説明

インターホン装置

【課題】玄関子機及び居室親機の間で平衡伝送を行うにあたり、居室親機から玄関子機への電源供給を不要にするとともに、消費電力を低減させ、さらには回路構成を簡素化させる。
【解決手段】玄関子機1の子機トランス15及び居室親機2の親機トランス25の作用により平衡伝送を行い、玄関子機の子機CPU16により制御され子機電源を生成するための子機電源部10としては、太陽電池10a及び二次電池10bの組み合わせの態様による当該子機電源部を適用し、居室親機の親機CPU26により制御され親機電源を生成するための親機電源部20としては、安価な非絶縁型電源回路20aを適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関子機及び居室親機の間で平衡伝送を行うことができるインターホン装置に係り、特に、玄関子機に必要とされる子機電源の供給手段を自玄関子機に備えたインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のインターホン装置としては、屋外に設置されるカメラ付き子機と屋内に設置されるモニタ付き親機とを2線の通信線により接続することが一般的である。この装置において、子機は電源を含まず、親機から通信線を介して電力の供給を受けて動作する(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2001−144864号公報(段落番号「0002」、第8図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術に記載した特許文献1においては、子機に必要とされる電源が通信線を経由して親機から当該子機に供給され、この子機にて撮像される映像の映像信号や当該子機及び親機の間で送受信される通話音声の音声信号に親機から子機への供給電力が重畳されるため、大きな消費電力が必要であった。また、子機及び親機ではそれぞれ、前述の信号に電源を重畳させる又は信号から電源を分離するような回路が必要とされるため、回路構成が複雑であった。さらに、前述の通信線を経由して親機にノイズや雷ケージが侵入する虞があった。
【0004】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、玄関子機及び居室親機の間で平衡伝送を行うにあたり、居室親機から玄関子機への電源供給を不要にするとともに、消費電力を低減させ、さらには回路構成を簡素化させたインターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホン装置は、玄関に設置され呼出ボタンを有する玄関子機と、住戸内に設置され伝送路により接続される玄関子機との間で平衡伝送を行い、玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるための居室親機とを備えたものである。玄関子機には、子機電源を生成するための子機電源部と、呼出ボタンの使用による呼出操作を検出して子機電源部を駆動するための子機CPUとを備えている。居室親機には、親機電源を生成するための親機電源部と、玄関子機からの呼び出しを検出して親機電源部を駆動するための親機CPUとを備えている。
【0006】
また、本発明の第2の態様であるインターホン装置は、本発明の第1の態様において、親機電源部は、商用電源を降圧・整流するための非絶縁型電源回路にて構成されるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のインターホン装置によれば、伝送路により接続される玄関子機及び居室親機の間で平衡伝送を行うことができ、ノイズや雷ケージ対策用の該当回路が不要になるばかりでなく、居室親機の親機電源で絶縁する必要がなく、安価な非絶縁型電源回路にて構成される親機電源部を適用することができる。
【0008】
また、本発明のインターホン装置によれば、玄関子機の子機電源を居室親機から伝送路に重畳させて供給する必要がなく、当該子機電源の供給手段を自玄関子機に備えることにより、電源重畳・分離用の該当回路が不要になるばかりでなく、伝送路がショートしても玄関子機及び居室親機に障害が発生せず、ショート保護用の該当回路も不要になる。このことによって、当該インターホン装置全体の消費電力が低減されるとともに、回路構成を簡素化することができ、さらには伝送路の線路長に対応した電圧降下が発生せず、この電圧降下による子機電源の制限がなくなり、線路長を大幅に延伸することができる。
【0009】
さらに、本発明のインターホン装置によれば、玄関子機の子機電源を生成する子機電源部として、太陽電池及び二次電池の組み合わせの態様を適用することにより、子機電源を確保するにあたっての電池交換が不要になり利便性が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のインターホン装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。また、図1は、本発明の実施例によるインターホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すインターホン装置には、玄関に設置され来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼び出して通話を成立させるための玄関子機1と、住戸内に設置され(2線の)伝送路Lにより接続される玄関子機1からの呼び出し、すなわち、来訪者からの呼び出しを報知し、この呼び出しに応答した居住者が通話を成立させるための居室親機2とが備えられている。また、玄関子機1には、子機電源部10を構成する太陽電池10a、二次電池10b、子機DC−DCコンバータ10c及び子機電源スイッチ10dと、呼出ボタン11と、映像撮像・処理部12と、子機通話部13と、子機伝送部14と、子機トランス15と、子機CPU16とが備えられている。さらに、居室親機2には、親機電源部20を構成する非絶縁型電源回路20a、親機DC−DCコンバータ20b及び親機電源スイッチ20cと、映像処理・出画部21と、通話ボタン22と、親機通話部23と、親機伝送部24と、親機トランス25と、親機CPU26とが備えられている。
【0012】
次に、玄関子機1において、子機電源部10は、子機CPU16の制御により駆動されるものである。この子機電源部10を構成する太陽電池10aは、光起電力効果を利用して太陽光のエネルギーを直接電力に変換するためのものであり、例えば、シリコン太陽電池が好適とされる。また、二次電池10bは、太陽電池10aにて生成された直流電源を蓄電するためのものであり、例えば、リチウムイオン電池、金属リチウム電池、ポリマー電池等のリチウム系二次電池やニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池等のアルカリ二次電池が好適とされる。また、子機DC−DCコンバータ10cは、二次電池10bに蓄電された直流電源を放電させ、所定の電圧レベルの待受電源(以下、子機待受電源という。)にDC−DC変換して子機CPU16にのみ供給するとともに、同様に子機待受電源よりも高い所定の電圧レベルの動作電源(以下、子機動作電源という。)にDC−DC変換するためのものである。さらに、子機電源スイッチ10dは、子機DC−DCコンバータ10cにてDC−DC変換された子機動作電源を、当該玄関子機の構成各部にそれぞれ供給するためのものである。
【0013】
また、呼出ボタン11は、来訪者により使用され居住者を呼び出すための呼出操作が行われるものであり、この呼出操作は、子機CPU16にて検出される。
【0014】
また、映像撮像・処理部12は、子機CPU16の制御により駆動され、来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像を撮像し、撮像された映像を信号処理、例えば、増幅、FM変調するためのものである。この映像撮像処理部12としては、例えば、CCD、CMOS等の各種の撮像媒体から構成されるカメラや映像変調回路が好適とされる。
【0015】
また、子機通話部13は、子機CPU16の制御により駆動され、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力し、入出力される音声(送話音声、受話音声)を信号処理、例えば、増幅、4線−2線変換、2線−4線変換するためのものである。この子機通話部13としては、例えば、マイク、スピーカ及び通話回路が好適とされる。
【0016】
また、子機伝送部14は、映像撮像・処理部12から子機トランス15への信号伝送ライン、子機通話部13及び子機トランス15の間の信号伝送ライン、子機CPU16及び子機トランス15の間の信号伝送ラインをそれぞれ形成するためのものである。
【0017】
また、子機トランス15は、子機伝送部14から伝送路Lに送出される各種信号を不平衡−平衡変換するとともに、伝送路Lから子機伝送部14に送出される各種信号を平衡−不平衡変換するためのものである。
【0018】
さらに、子機CPU16は、子機電源部10の子機DC−DCコンバータ10dから供給されてくる待受電源又は動作電源により駆動され、当該玄関子機の構成各部をそれぞれ制御するためのものである。
【0019】
次に、居室親機2において、親機電源部20は、親機CPU26の制御により駆動されるものである。この親機電源部20を構成する非絶縁型電源回路20aは、商用電源を降圧、整流するためのものであり、例えば、1次側である商用電源と2次側である親機DC−DCコンバータ20bとの間が直結されているスイッチング電源が好適とされる。また、親機DC−DCコンバータ20bは、非絶縁型電源回路20aにて降圧、整流された直流電源を所定の電圧レベルの待受電源(以下、親機待受電源という。)にDC−DC変換して親機CPU26のみに供給するとともに、同様に親機待受電源よりも高い所定の電圧レベルの動作電源(以下、親機動作電源という。)にDC−DC変換するためのものである。さらに、親機電源スイッチ20cは、親機DC−DCコンバータ20bにてDC−DC変換された親機動作電源を、当該居室親機の構成各部にそれぞれ供給するためのものである。
【0020】
また、映像処理・出画部21は、親機CPU26の制御により駆動され、玄関子機1の映像撮像・処理部12にて撮像された映像を信号処理、例えば、増幅、FM復調し、来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像を出画するためのものであり、例えば、LCD、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体から構成されるモニタや映像復調回路が好適とされる。なお、映像処理・出画部21は、前述の映像出画機能の他に、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示する呼出報知機能も備えられている。
【0021】
また、通話ボタン22は、来訪者からの呼び出しに居住者が応答するための応答操作や成立中の通話を終了させるための終話操作が行われるものであり、これら応答操作及び終話操作はそれぞれ、親機CPU26にて検出される。
【0022】
また、親機通話部23は、親機CPU26の制御により駆動され、居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力し、入出力される音声(送話音声、受話音声)を信号処理、例えば、増幅、4線−2線変換、2線−4線変換するためのものである。この親機通話部23としては、例えば、マイク、スピーカ及び通話回路が好適とされる。なお、親機通話部23は、前述の通話機能の他に、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を放音する呼出報知機能も備えられている。
【0023】
また、親機伝送部24は、親機トランス25から映像処理・出画部21への信号伝送ライン、親機通話部23及び親機トランス25の間の信号伝送ライン、親機CPU26及び親機トランス25の間の信号伝送ラインをそれぞれ形成するためのものである。
【0024】
また、親機トランス25は、親機伝送部24から伝送路Lに送出される各種信号を不平衡−平衡変換するとともに、伝送路Lから親機伝送部24に送出される各種信号を平衡−不平衡変換するためのものである。
【0025】
さらに、親機CPU26は、親機電源部20の親機DC−DCコンバータ20bから供給されてくる待受電源又は動作電源により駆動され、当該居室親機の構成各部をそれぞれ制御するためのものであり、計時機能が備えられている。
【0026】
このように構成された本発明の実施例によるインターホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0027】
図1に示すインターホン装置が待受状態であるとき、すなわち、後述する呼び出し、映像の撮像及び出画、通話の何れの動作についても行われていないとき、玄関子機1の子機電源部10を構成する子機電源スイッチ10d及び居室親機2の親機電源部20を構成する親機電源スイッチ20cはそれぞれ、子機CPU16及び親機CPU26の制御によりオフモードに切り換えられている。
【0028】
これらの制御によって、待受状態の玄関子機1では、子機電源部10を構成する太陽電池10にて電力変換された後、二次電池10bに予め蓄電されている直流電源の電圧レベルを子機DC−DCコンバータ10cを経由して所定の電圧レベルにDC−DC変換された子機待受電源が、子機CPU16のみに供給されることになる。一方、待受状態の居室親機2では、親機電源部20を構成する非絶縁型電源回路20aにて降圧、整流された後、親機DC−DCコンバータ20bを経由して所定の電圧レベルにDC−DC変換された親機待受電源が、親機CPU26のみに供給されることになる。
【0029】
次に、前述のような待受状態であるとき、玄関に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼び出すために、玄関子機1の呼出ボタン11を使用して呼出操作を行うと、この呼出操作を検出した子機CPU16は、待受状態から呼出状態に移行され、呼出信号を生成して子機伝送部14に送出するとともに、子機電源部10を制御して、子機電源スイッチ10dをオフモードからオンモードに切り換える。
【0030】
この制御によって、呼出状態の玄関子機1では、子機電源部10を構成する太陽電池10にて電力変換された後、二次電池10bに予め蓄電されている直流電源の電圧レベルを子機DC−DCコンバータ10cを経由して前述の子機待受電源よりも高い所定の電圧レベルにDC−DC変換された子機動作電源が、オンモードの子機電源スイッチ10dを経由して子機CPU16のみならず、当該玄関子機の構成各部にそれぞれ供給されることになる。
【0031】
玄関子機1の子機CPU16は、子機電源部10からの子機動作電源を受電した映像撮像・処理部12を制御して駆動させる。この映像撮像・処理部12は、来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像の撮像を開始して映像信号を生成し、子機伝送部14に送出する。また、子機伝送部14は、子機CPU16にて生成された呼出信号に映像撮像・処理部12にて生成された映像信号を重畳させた呼出・映像信号を生成する。この呼出・映像信号は、子機トランス15にて不平衡−平衡変換された後、伝送路Lを経由して平衡伝送で居室親機2の親機トランス25に送出される。
【0032】
居室親機2の親機トランス25は、伝送路Lを経由して玄関子機1から平衡伝送されてきた呼出・映像信号を平衡−不平衡変換した後、親機伝送部24に送出する。また、親機伝送部24は、受信した呼出・映像信号を呼出信号及び映像信号に分離し、呼出信号は親機CPU26に、映像信号は映像処理・出画部21にそれぞれ送出する。さらに、親機CPU26は、受信した呼出信号をもとに来訪者からの呼び出しがあることを検出し、待受状態から呼出状態に移行され、親機電源部20を制御して、親機電源スイッチ20cをオフモードからオンモードに切り換える。
【0033】
この制御によって、呼出状態の居室親機2では、親機電源部20を構成する非絶縁型電源回路20aにて降圧、整流された後、親機DC−DCコンバータ20bを経由して前述の親機待受電源よりも高い所定の電圧レベルにDC−DC変換された親機動作電源が、オンモードの親機電源スイッチ20cを経由して親機CPU26のみならず、当該居室親機の構成各部にそれぞれ供給されることになる。
【0034】
なお、前述までの説明では、玄関子機1の子機CPU16にて生成された呼出信号に映像撮像・処理部12にて生成された映像信号を重畳させ、伝送路Lを経由して平衡伝送で居室親機2に送出したが、この態様に限定されるものではない。例えば、前述の呼出信号及び映像信号を個別の当該信号として重畳せずに、伝送路Lを経由して平衡伝送で居室親機2に送出することもできる。
【0035】
また、居室親機2の親機CPU26は、親機電源部20からの親機動作電源を受電した映像処理・出画部21及び親機通話部23をそれぞれ制御して駆動させる。これら映像処理・出画部21及び親機通話部23のうち当該映像処理・出画部は、受信した映像信号を信号処理し、玄関子機1の映像撮像・処理部12にて撮像された来訪者の映像や玄関の周囲近傍の映像の撮像の出画を開始するとともに、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示させて呼出報知を行うことができる。一方、親機通話部23では、来訪者からの呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を放音させて呼出報知を行うことができる。
【0036】
次に、前述の映像の出画及び呼出報知をもとに、来訪者からの呼び出しがあることを当該来訪者の判別と併せて確認できた居住者が居室親機2の通話ボタン22を使用して応答操作を行うと、この応答操作を検出した親機CPU26は、呼出状態から通話状態に移行され、所定の通話時間の計時を開始するとともに、親機電源部20からの親機動作電源を受電した親機通話部23を制御して駆動させ、さらには応答信号を生成し、親機伝送部24を経由して親機トランス25に送出する。また、親機トランス25は、受信した応答信号を不平衡−平衡変換した後、伝送路Lを経由して平衡伝送で玄関子機1の子機トランス15に送出する。なお、居室親機2が通話状態において、親機電源部20を構成する親機電源スイッチ20cは、親機CPU26の制御によりオンモードが保持されるため、当該居室親機の構成各部への親機動作電源の供給は継続されている。
【0037】
玄関子機1の子機CPU16は、受信した応答信号をもとに居住者による応答があったことを検出し、呼出状態から通話状態に移行され、子機電源部10からの動作電源を受電した子機通話部13を制御して駆動させる。なお、玄関子機1が通話状態において、子機電源部10を構成する子機電源スイッチ10dは、子機CPU16の制御によりオンモードが保持されるため、当該玄関子機の構成各部への子機動作電源の供給は継続されている。
【0038】
これらの制御によって、来訪者が使用する玄関子機1の子機通話部13と、子機伝送部14、子機トランス15、伝送路L、居室親機2の親機トランス25、親機伝送部24を経由して居住者が使用する親機通話部23との間の信号伝送ラインが形成され、子機通話部13及び親機通話部23を使用して入出力される音声(送話音声、受話音声)の電気信号である音声信号を、伝送路Lを経由して平衡伝送させることで通話が成立し、特に、居住者にとっては、前述の呼出状態から継続して映像処理・出画部21に出画されている来訪者の映像を確認しながら通話を成立させることができる。
【0039】
次に、前述の通話状態において、成立中の通話を終了させるために、居住者が居室親機2の通話ボタン22を使用して終話操作を行う、又は親機CPU26にて計時中の通話時間がタイムアップになると、この終話操作又はタイムアップを検出した当該親機CPUは、通話状態から待受状態に復旧(移行)され、親機電源部20を制御して、親機電源スイッチ20cをオンモードからオフモードに切り換えるとともに、親機DC−DCコンバータ20bにて親機待受電源を生成させ、さらには終話信号を生成し、前述の応答信号と同一の信号伝送ラインを経由して玄関子機1の子機CPU16に送出する。
【0040】
玄関子機1の子機CPU16は、受信した終話信号をもとに通話状態から待受状態に復旧(移行され)され、子機電源部10を制御して、子機電源スイッチ10dをオンモードからオフモードに切り換えるとともに、子機DC−DCコンバータ10cにて子機待受電源を生成させる。
【0041】
これらの制御によって、待受状態に復旧(移行)された玄関子機1では、子機電源部10を構成する子機DC−DCコンバータ10cを経由して所定の電圧レベルにDC−DC変換された子機待受電源が子機CPU16のみに供給され、その他の構成各部への子機動作電源の供給が停止される。一方、待受状態に復旧(移行)された居室親機2では、親機電源部20を構成する親機DC−DCコンバータ20bを経由して所定の電圧レベルにDC−DC変換された親機待受電源が親機CPU26のみに供給され、その他の構成各部への親機動作電源の供給が停止される。
【0042】
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例によれば、伝送路Lにより接続される玄関子機1及び居室親機2の間で信号伝送を行うにあたり、子機トランス15及び親機トランス25の作用により平衡伝送を行うことができ、ノイズや雷ケージ対策用の該当回路が不要になるばかりでなく、居室親機2の親機電源で絶縁する必要がなく、安価な非絶縁型電源回路20aにて構成される親機電源部20を適用することができる。
【0043】
また、本発の実施例によれば、玄関子機1の子機電源を居室親機2から伝送路Lに重畳させて供給する必要がなく、当該子機電源の供給手段を自玄関子機に備えることにより、電源重畳・分離用の該当回路が不要になるばかりでなく、伝送路Lがショートしても玄関子機1及び居室親機2に障害が発生せず、ショート保護用の該当回路も不要になる。このことによって、当該インターホン装置全体の消費電力が低減されるとともに、回路構成を簡素化することができ、さらには伝送路Lの線路長に対応した電圧降下が発生せず、この電圧降下による子機電源の制限がなくなり、線路長を大幅に延伸することができる。
【0044】
また、本発明の実施例によれば、玄関子機1の子機電源を生成する子機電源部10として、太陽電池10a及び二次電池10bの組み合わせの態様を適用することにより、子機電源を確保するにあたっての電池交換が不要になり利便性が高められる。
【0045】
さらに、本発明の実施例によれば、所定の通話時間を計時するための計時機能を居室親機2の親機CPU26に備えた態様について説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、親機CPU26から計時機能を分離し、タイマ(図示せず。)として当該居室親機に備えることもできる。
【0046】
最後に、本発明のインターホン装置においては、前述のように特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のインターホン装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例によるインターホン装置の具体的な構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0048】
1……玄関子機
10……子機電源部
11……呼出ボタン
16……子機CPU
2……居室親機
20……親機電源部
20a……非絶縁型電源回路
26……親機CPU
L……伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関に設置され呼出ボタン(11)を有する玄関子機(1)と、住戸内に設置され伝送路(L)により接続される前記玄関子機との間で平衡伝送を行い、前記玄関子機からの呼び出しに応答して通話を成立させるための居室親機(2)とを備え、
前記玄関子機には、子機電源を生成するための子機電源部(10)と、前記呼出ボタンの使用による呼出操作を検出して前記子機電源部を駆動するための子機CPU(16)とを備え、
前記居室親機には、親機電源を生成するための親機電源部(20)と、前記玄関子機からの呼び出しを検出して前記親機電源部を駆動するための親機CPU(26)とを備えたことを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記親機電源部は、商用電源を降圧・整流するための非絶縁型電源回路(20a)にて構成されることを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−219114(P2008−219114A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49779(P2007−49779)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】