インテグラルスキン層付き発泡体を含むマスキング物品
被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる細長いマスキング物品(1)であって、本物品は、ポリマー発泡体から形成され、本物品の外面又はその外面の少なくともその長さ方向に延びる部分に、インテグラルスキン(7)を含む。被塗装面をマスキングするためにこの物品が車両に取り付けられるとき、本物品上のインテグラルスキンの位置は、インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる種類のマスキング物品に関する。本発明は、より具体的には、塗料又は車両に塗装されている他の表面処理材料が、間隙を通って車両の内側へと浸透するのを防ぐために、車両の2つの相対的可動な部分の間の間隙をマスキングするのに好適なマスキング物品に関するが、それに限定されない。間隙は、典型的には車両での開口部、例えば、ドア、ブート(boot)又はボンネット(bonnet)開口部に関連し、表面処理材料は一般的には、ある種の液体吹き付け装置を使用して塗布される。
【背景技術】
【0002】
マスキング材料は、塗料又は他の何らかの表面処理材料が隣接する領域に塗布される間に、対象物の1つの領域を覆うために使用される。自動車、小型トラック、大型トラック又はトレーラなどの車両の場合、車両の外面が塗装されるか、ないしは処理されるとき、修理又は改造中に(それらに限定はされないが)、マスキング材料は、最も広く使用される。
【0003】
以下において、簡略化のために、用語「塗料」は、車両の外面に塗布される他の類似の表面処理材料、例えばプライマー、防錆処理剤、ラッカーを含めて使用され、用語「塗装する」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0004】
ある形体のマスキング物品が要求される、1つの具体的な状況は、ドアと関連する周辺部の間の間隙など、車両の相対的移動可能な部分の間の間隙の周囲を吹き付け塗装するときである。その場合、塗料が車両の内側に侵入しないことを確実にすることが必要であり、また、塗料が間隙の付近に堆積して非平坦な仕上がりをもたらさないことを確実にすることも望ましい。これらの問題に取り組むために、種々のマスキング物品がこれまで提案されてきた。
【0005】
例えばドア、フード(hood)/ボンネット(bonnet)又はトランク(trunk)/ブート(boot)などの車両の可動部分と車両の隣接する部分との間の間隙を埋めるため、細長い発泡体テープの形体でマスキング物品を使用することが提案されている。発泡体テープは、塗装の前にテープを要求された位置に固定させ、かつ続いて塗装後に取り除くことができる、感圧性接着剤の長手方向に延びるストライプ(stripe)を有することができる。欧州特許出願公開第0 384 626(A)号には、楕円形又は円形の断面を有するような物品で、その長さに沿って一対の溶着シームを有するタイプの発泡体テープが記載される。すなわち、テープにより、間隙の付近の面(複数)は、塗装面の縁部が隣接する塗装されない領域と混合するようにでき、かつ見苦しい塗装縁部が回避されるように吹き付け塗装することが可能になる。
【0006】
車両における間隙での使用のためのその他のマスキング物品は、米国特許第5 260 097(A)号(シルベストル(Silvestre))、同第5 885 395(A)号(ウェスターン(Western))、同第6 630 227(B1)号(ヒンメルスバッハ(Himmelsbach)ら))、同第6 797 361(B1)号(ボイック(Bouic))、国際公開第99/12654号(ジェボン(Jevons))、同第02/068556号及び同第03/020438号(ジェブテック社(Jevtec Limited))に記載されている。
【0007】
マスキング物品は、吹き付け塗装に備えて車両のスエージライン(swage line)(すなわち、車両の車体で輪郭において変化がある外形線)をマスキングするためにも使用される。その場合、マスキング材料は、塗装されている表面領域の縁部がスエージラインに沿って保護されている表面領域と滑らかに融合するということを確実にすることが要求される。更にマスキング物品は、車両の本体面の領域で新しく塗布された塗料を、元の塗料を有する領域と混合させるために使用する。例えば、パネル上で小さな修理がされたところでは、パネル全体を再吹き付けする必要がない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
いくつかの発泡体マスキングテープは、車両における間隙及び/又はスエージラインをマスキングするために極めて有効であり、またとても便利に使用できることも証明されてきたが、得られたものが新しく製造された車両での仕上げにできるだけ酷似するように、新しい塗装面の縁部の仕上げを向上させることが継続して要望されている。
【0009】
本発明は、塗装に備えて車両の面をマスクキングするときに好適に使用できるマスキング物品の提供に関し、本物品により、新しい塗装面の縁部で高品質の仕上げを得ることが可能になる。本発明は特にスエージラインをマスキングするために及び/又は車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするために好適なマスキング物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる細長いマスキング物品を提供し、この物品は、ポリマー発泡体から形成され、物品の外面又はその外面の少なくとも長さ方向に延びる部分にインテグラルスキンを含む。
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「インテグラルスキン」は、発泡体と同じ材料から形成され、発泡体と一体化した部分であって、識別でき、より高い密度である層を指す。
【0012】
塗装されている面の縁部付近にインテグラルスキンがあることにより、塗装縁部の品質の改善を達成できることが見出されている。したがって、被塗装面をマスクキングするために本物品が車両に取り付けられるとき、本物品のインテグラルスキンの位置は、インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対向するようになっていることが好ましい。
【0013】
有利なことに、少なくとも、被塗装面をマスキングするために本物品が車両に取り付けられるときには、前記インテグラルスキンの一部が設置されている本物品の外面の部分は湾曲している。表面の湾曲は、被塗装面の縁部での塗料の蓄積を防ぐのに役立つ。
【0014】
前記物品が、物品の長さに沿って延びる少なくとも1つの溶着シームによって維持されている湾曲した外面を含んでいる場合のいくつかの実施例では、本物品の構造物は大規模での製造が容易になる。溶着シームが、加熱なしで加圧を介して形成され得るタイプの場合、製造は更に容易になる。
【0015】
本発明によるマスキング物品は、向かい合わせで配置されるポリマー発泡体の2つの層を含み、前記2つの層は、前記溶着シームによって前記2つの層の縁部に沿って互いに接合されていることができる。寸法及び形状の観点から、車両における多種多様な間隙に使用されるのに十分な汎用性があるタイプの本物品が提供され得る。
【0016】
本発明のマスキング物品を取り外し可能に車両に取り付けるために、いずれかの好適な手段が提供できる。有利なことに、感圧性接着剤は、本物品の外面に設けられ、本物品の製造及び使用の両方が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、例として、本発明の実施形態を以下の添付図面を参照して説明する。
【図1】本発明によるマスキング物品の斜視図である。
【図2】図1の物品の概略的な横断面図である。
【図3A】ドアが少し開いた位置において、図1のマスキング物品を適所に取り付けてある、車両の後部ドアと隣接するフレームとの間の間隙の概略の断面図である。
【図3B】ドアが閉じた位置において、図1のマスキング物品を適所に取り付けてある、車両の後部ドアと隣接するフレームとの間の間隙の概略の断面図である。
【図4】発泡体材料のウェブにインテグラルスキンを形成するためのプロセスを例示する略図である。
【図5】図1のマスキング物品のアレイを作製するためのプロセスを例示する略図である。
【図6】図4において示されたプロセスによって製造される、インテグラルスキン層付き発泡体材料の概略的な横断面図である。
【図7】図4及び5のプロセスによって作製されたマスキング物品のアレイの概略的な斜視図である。
【図8】本発明による別のマスキング物品の概略的な横断面図である。
【図9】本発明による別のマスキング物品の斜視図である。
【図10】図9の物品の概略的な横断面図である。
【図11A】図3Aと類似しているが、図9のマスキング物品を使用している場合の概略断面図である。
【図11B】図3Bと類似しているが、図9のマスキング物品を使用している場合の概略断面図である。
【図12】図9のマスキング物品のアレイを作製するためのプロセスを示す図である。
【図13】図12のプロセスによって作製されたマスキング物品のアレイの概略的な斜視図である。
【図14】本発明による別のマスキング物品の概略的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2は、車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするのに好適な可撓性テープ1の形状の細長い物品を、極めて概略的に示す。テープ1は、弾性圧縮可能な発泡体材料から形成され、長手方向に延在する溶着部2、3をテープの対向する両側に備え、概ね楕円形の断面を有する。以下に更に詳細に説明されるように、溶着部2、3により、テープの湾曲面の形状が維持される。溶着部2、3の間のテープ1の外面の一部分にあるものは、溶着部の間の中間に配置された接着剤5の長さ方向に延びるストライプである。溶着部2、3間のテープ1の外面のこの部分の全体は、以下に更に詳細に説明されるインテグラルスキン7を有し、インテグラルスキンは、テープの残りの部分よりも、より滑らかな質感をこの面に与える。
【0019】
テープ1の断面寸法は、その使用用途、特に、使用を目的とする間隙の性質によって決まる。これらの間隙としては、例えば車両のドアと周囲のフレームとの間の間隙並びに車両のボンネット/ブートと周囲のフレームとの間の間隙が挙げられ、間隙は車両によって異なるであろう。溶着部2、3の間での、テープ幅の典型的な寸法は、10〜30mmの範囲である。テープ厚さの(すなわち、直交方向の)典型的な寸法は、10〜20mmの範囲である。これらの範囲外の寸法を備えるテープは、勿論、適切な場合には使用することができる。同程度の寸法を備える、図1及び2に示されるタイプの発泡体テープは、要求される場合には、円形の断面でも製造することができる。
【0020】
図3A及び3Bには、例として、修理作業中に自動車の外面の吹き付け塗装に備えて車両のドア11と、13で示された隣接する部分との間の間隙9をマスキングするためのテープ1の使用を示す。修理作業の性質によって、テープ1はドアの開口部の全体又は一部のみの周囲に貼られてもよい。示されている特別な場合では、間隙9は、自動車の後部ドアと隣接するフレームとの間の代表的なものであり、その幅は一般的には少なくとも3mmである(ドアが閉じられているとき)。
【0021】
図3Aで示されているように、テープ1は、ドアがわずかに開いた状態で、フレーム13の面15に接着性ストライプ5によって取り付けられる。ドア11は次いで、閉じられ(図3Bを参照)、ドアの縁部17がテープ1と接触し、テープは間隙9を埋め、これによって間隙がマスキングされ、ドアの縁部及び隣接する面15は吹き付け塗装に備えられる。テープ1のインテグラルスキン層付き面7の部分は、ドア11が閉じられるとき間隙9において露出されたままであり、以下に説明するように、隣接する縁部15に望ましい「柔らかな縁部」を作り出すようにはたらき、そこでは、塗布された塗料の層は隣接する未処理の領域と混合する。最適な結果のためには、インテグラルスキン層付き面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料吹き付けの照準の線上に位置するように、テープを車両に貼り付けるべきである。
【0022】
テープ1にインテグラルスキン層付き面があることにより、隣接する面に作られた塗装縁部の品質が結果として改善されることが見出されている。より具体的には、塗装縁部に沿って現れる塗装斑点(縁部に毛羽立ち外観を与える)の数は低減され、再塗装される面の全体的な外観を良くするという付随的利点を有することが見出されている。理論に束縛されるものではないが、従来の発泡体マスキングテープが使用されるときに現れる塗装斑点は、発泡体マスキングテープの多孔質の性質に基づいて発泡体材料の表面にある細孔によるものであり、並びに染みの形成は、インテグラルスキン7を提供することによる表面の滑らかさの向上によって抑制されると考えられている。
【0023】
図1及び図2で示されているタイプの発泡体テープは、吹き付け塗装に備えて車両のスエージライン(すなわち、車両の車体において輪郭に変化がある場所の外形線)をマスキングするために使用することもできる。その場合もまた、インテグラルスキン層付き7の存在によって、塗装される車両車体の領域と隣接する領域との間のスエージラインに沿った、塗装縁部の品質の改善を達成することができる。また、最適な結果のために、テープは、インテグラルスキン層付き面の少なくとも一部が、塗装縁部に隣接し、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料拭き付けの照準の線上に位置するように車両に貼り付けるべきである。
【0024】
インテグラルスキンを有する発泡体材料は周知であり、実際にある種のインテグラルスキンは、従来の発泡プロセス中にポリマー発泡体の露出面に形成され、発泡体が使用される前に、「スカイビング(skiving)」として既知のプロセスによって、取り除かれることが多い。同様に、インテグラルスキンは、押出成形プロセスによって製造された発泡体物品に形成されることもできる(例えば、ギブ(Gibb)の米国特許第3 869 832(A)号の「発明の背景」を参照)。熱可塑性ポリマー発泡体の場合では、インテグラルスキンは、米国特許第3 123 656(A)号(ロッホリン(Rochlin))及び同第3 443 007(A)号(ハーディ(Hardy))で記載されているように、発泡体の加熱及び加圧によって、又は同第2 994 110(A)号(ハーディ(Hardy))に記載されているように追加層の適用によって、製作後の制御された方法で発泡体材料に形成することができることが既知である。「インテグラルスキン」は、発泡体材料の外面においてより高密度な層であり、それは発泡体と同じ材料から形成されており、発泡体材料と一体化された部分であるが異なる領域である(言い換えれば、インテグラルスキンの平均的密度とそのスキンの下の発泡体材料の平均密度との間に急激な変化が認識され得る)。プロセス条件によっては、インテグラルスキンの外面はまだ細孔の存在を示す場合があり得るが、細孔は「インテグラルスキン層が付いていない」面よりも数が少ないであろう(すなわちインテグラルスキンの外面はより多く閉じられ、そしてより滑らかである)。
【0025】
図4は、好適な幅の熱可塑性ポリマー発泡体材料ウェブの1つの面に制御された方法でインテグラルスキンを形成する図を示し、図5は、そのようなタイプのウェブがどのように発泡体テープのアレイに変換されるかを示す。
【0026】
図4は、ポリマー発泡体材料20のウェブが、ロール21から一連のローラ22を経由してステーション23に送られることを示し、ステーション23では、インテグラルスキンはウェブの上面に形成される(図面に見られるように)。インテグラルスキンは、加熱されたロール24の周囲及び加熱されたロールと加圧ローラ25との間のニップを通ってウェブを通過させることによって形成される。加熱されたロール24の温度及びウェブ上にローラ25によってかけられる圧力は、プロセス速度とともに、加熱されたロールに隣接するウェブの全表面にわたって、インテグラルスキンが、要求される厚さ及び要求される平滑度を備える外面を有して確実に形成されるように選択する。ステーション23を離れるインテグラルスキン層付きウェブは、厚さが減少し、図6の断面図によって示されるように、インテグラルスキン28を1つの面に備える元の発泡体材料の層27から構成される。インテグラルスキン層付きウェブは、ウェブが巻き取られるロール30に至る一連のローラ29を経由して通過する間に、冷却される。
【0027】
次に図5を参照すると、ロール30からのインテグラルスキン層付きウェブ26は、最外部にインテグラルスキン28を有してローラ31(一部のみが示されている)の周囲を通過させられる。等間隔隔てられ、刃先がとがっていない回転刃のセット(そのうち2つの33及び34のみが示されている)は、スコアローラ31の1つの側に設置されたスライド軸(図示なし)に搭載される。回転刃は、途中にあるインテグラルスキン層付きウェブ26においてウェブを貫いて切断することが実質的にない状態で、平行な等間隔で隔てられた一連の溶着部35をもたらすに十分な力でスコアローラに向けて弾性的に付勢される。熱の供給なしに圧力によって達成されるこのタイプの溶着は、「冷間圧接」と呼ばれており、図5に示される工程は、この方法で溶着されやすいタイプの発泡体材料26を必要とするということが理解されるであろう。このタイプの発泡体材料は、「冷間圧接可能な」発泡体と呼ばれている。
【0028】
スコアローラ31の反対側上で、感圧性ホットメルト接着剤(図示せず)が、ダイ(図示せず)から発泡体層27の外面の上に、隣接する溶着部35のそれぞれの対の間で、正確に整列した一連の平行ストライプに塗布される。図7に示されるような、溶着部35によって互いに接合された平行な発泡体ストリップ37のアレイ36の形態を有するウェブ材料は、次いでロールを離れ、ウェブ自体上又はコア材の上にロール状に巻き取られる。アレイでの発泡体ストライプ37の末端部は、所望される場合、梱包目的のために、例えば接着剤タブ(欧州特許出願公開第0 384 626(A)号に記載のように)、弾性ひも(国際公開第2005/110905号で記載のように)又はステープルによって一時的に固定することができる。要求される場合、発泡体ストライプ37のいずれもが、隣接するストリップ(複数)に接合されている溶着部(複数)35にそって引き裂くことによって、アレイから所望される長さで分離することができる。すなわち分離された発泡体ストリップは、図1に示される発泡体テープの形態を有し、かつ例えば図3A及び3Bを参照して上記に説明したように使用して、車両の2つの部分の間の間隙をマスキングすることができる。
【0029】
図5を参照して説明したように製造される発泡体テープの幅が、回転刃33、34間の距離を変更することによって調節され得るということ、及びそれぞれのテープの上の接着剤ストライプの位置が、回転に対するダイオリフィスの位置を変更することによって調節され得るということは理解されるであろう。
【0030】
所望であれば、インテグラルスキン層付きウェブ26が、ロール30に巻き取られることなく、図4のステーション23から図5のスコアローラ31に直接送ることができることも理解されるであろう。あるいは、好適なインテグラルスキン層付き発泡体のウェブがすぐに利用できる場合、図4のプロセスは不要となり、インテグラルスキン層付き発泡体はスコアローラ31の周囲に直接送ることができる。
【0031】
図5を参照して説明した上記のプロセスの変更では、インテグラルスキン層付きウェブ26を、インテグラルスキン層28がローラに隣接した状態でスコアローラ31の周囲を通過させて発泡体テープを生産し、その場合、接着剤ストライプはテープのインテグラルスキン層が付いていない側に配置される。図4を参照して説明した上記のプロセスの変更では、インテグラルスキンがウェブの残りの主要面でも形成されるように、インテグラルスキン層付きウェブ26は、反転した方向でステーション23の中を通る2度目の通過が行われる。この場合、ウェブの厚さは2回減少され、元のウェブ20の厚さはこれを考慮に入れて選択されるべきである。次いで、図5に示される変換プロセスにより、結果として発泡体テープのアレイが得られ、このタイプのテープのそれぞれは、図8に示されるように全表面にインテグラルスキン39を有する。
【0032】
図4及び5を参照して上記に説明したようなプロセスを用いて、図1及び2又は図8に例示されるような発泡体テープを作製するのに好適であると見出された発泡体材料は、26kg/cm3の密度を有し、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)(英国、ブロード・オーク(Limited, Broad Oak)、アクリントン(Accrington))から入手可能である冷間圧接可能な連続気泡型ポリウレタン発泡体である。具体的な実施例では、図8に示されたタイプのテープは、それぞれ16mm、18mm及び20mmのような厚さを有する材料20(図4)のウェブから生産された。それぞれのウェブは上記のように処理され、それぞれの場合で、それぞれの側にインテグラルスキン層を有する厚さ14mmのウェブが生産される。より厚いウェブ上に生産されたスキンは、より薄いウェブ上に生産されたものよりも、より多く塞がっていることが認められた。発泡体テープは、14mmの幅(すなわち図5での溶着部35間の距離)で生産される。
【0033】
図9には、車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするのに好適な可撓性テープ40について、別の細長い形態の物品を概略的に示す。テープ40は、向かい合わせで配置された弾性的に圧縮可能な発泡体材料の2つの細長い層41、42から構成され、2つの層は、テープの対向する両側で長手方向に延びる溶着部43、44によって共に接合される。図10でも示されるように、テープ40の断面図は、溶着部43、44の間の方向で細長く、溶着部付近にあるテープ端部45、46では概ね円形になっている。
【0034】
テープが休止位置にあるときは、発泡体層41、42が比較的互いに近いため、発泡体層41、42及び溶着部43、44により、テープ40の中央部にほとんど閉じられた空間部47が取り囲まれる。接着剤ストライプ48はテープの外面の上に設けられ、テープの長さに沿って延在する。図で示されるように、接着剤ストライプ48は溶着部44よりも溶着部43により近く配置される。溶着部43、44間の発泡体層41のこの外面の全体は、上記テープ1のインテグラルスキン7に類似であるインテグラルスキン49を有し、インテグラルスキンはこの面に、テープの残り部分よりも滑らかな質感を与える。
【0035】
テープ40の構造体(層41、42の発泡体材料のその断面寸法及び物理的特性を備える)に、溶着部43、44をお互いに向けて移動させるために圧力がテープの反対側にかけられるとき、囲まれた空間部47は、広がり、次いで溶着部43、44が互いに接触するようになるまで移動させた場合には、空間部は最終的に再度接近する。
【0036】
図11A及び11Bは、修理作業中の自動車外面の吹き付け塗装に備えて、車両のドア51と隣接する部分(52で示されている)との間の間隙50をマスキングするためのテープ40の使用例を示す。修理作業の性質に応じて、テープ40はドア開口部の周囲全体に又は一部に貼り付けられてもよい。図示されている特別な場合では、間隙50は、後部ドアと、特定の現代的な自動車のドアに隣接するクォーターパネルの縁部との間に見られる代表例であり、ドアのクォーターパネルの縁部は、間隙部からより広いランディング面54へと内側に延びる面53を含む折り返し部(dog-leg)で形成され、ランディング面は、ドアが閉じられるときにドア51と概ね平行により近付くことになる。ランディング面54は、ドアが閉じられるときにドア51からは約10cm以上の間隔を有してもよい。間隙50の幅は、ドアが閉められるとき、一般的には、自動車で少なくとも3mmであり、市販の車両では22mmのような大きさである場合がある。
【0037】
図11Aに示されるように、ドア51がわずかに開いた状態で、テープ40はクォーターパネルの折り返し部の面53に取り付けられる。テープ40は、溶着部44により画定された側を間隙50の近くに位置決めし、溶着部43により画定された側を間隙50から離れた車両の内部の方に位置決めして、配置される。溶着部43により近い接着剤ストライプ48はまた、このように間隙50から離れて取り付けられる。次にドア51が閉められ、ドアの縁部55が、溶着部44の付近のマスキングテープ40のインテグラルスキン層の付いていない面と接触状態にされる。ドアの縁部55によってかけられた圧力は、テープ40内部で空間部47に広がりを与え、その一方でテープは、内部の周辺で部分的に折り重なり、かつ間隙50を埋める。これにより間隙がドアの縁部及び隣接する面52の吹き付け塗装に備えてマスキングされる。
【0038】
ドア51が閉じられるとき、間隙50で露出されたままであるテープ40の面は、所望の「柔らかな縁部」が得られるようになり、面52、53上に塗布された塗料層が隣接する未処理の面と混合するようになる。接着剤ストライプ48が間隙50で露出され、かつ「硬い」塗装縁部が生じさせるリスクは比較的低い。加えて、テープ1に関連して上記に説明したように、テープ40上のインテグラルスキン層付きの面49が、縁部に沿った塗装反転の数の減少を介して、結果として塗装縁部の品質の改善をもたらすことが見出されている。最適な結果のために、テープは、インテグラルスキン層付きの面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、より具体的には、塗料拭き付けの照準の線上に位置するように、車両に貼り付けるべきである。
【0039】
図9及び10に示されたタイプの発泡体テープは、間隙をマスキングするのに特に好適であるが、吹き付け塗装に備えて、車両のスエージライン(すなわち、車両の車体の輪郭に変化がある外形線)をマスキングするために使用することもできる。その場合もまた、インテグラルスキン層付き面49があることにより、塗装される車両車体の領域と隣接する領域との間の、スエージラインに沿った塗装縁部の品質の改善を達成することを可能にし得る。この場合もまた、最適の結果のためには、インテグラルスキン層付きの面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料吹き付けの照準の線上に位置するように、テープは車両に貼り付けるべきである。
【0040】
図12は、図9に示されたタイプのマスキングテープのアレイの製造を示す。好適な発泡体材料の2つのシート60、61は、スコアローラ62の周囲を同時に通過される。シート60はローラ62から最も遠くにあり、例えば図4を参照して上記に説明したようなプロセスによって、外面上に形成されたインテグラルスキン60Aを既に有している。2つの63、64のみが記されているが、等間隔にあり刃先がとがっていない回転刃のセットは、スコアローラ62の1つの側に設置されたスライド軸(図示せず)に搭載されている。回転刃は、途中にある発泡体シート60、61においてそれらシートを貫いて切断することが実質的にない状態で、平行な等間隔で隔てられた一連の「冷間圧接部」67をもたらすに十分な力でスコアローラに向けて弾性的に付勢される。
【0041】
スコアローラ62の反対側上で、感圧性ホットメルト接着剤(図示せず)は、ダイ(図示せず)からの一連の平行なストライプで発泡体層60の外側のインテグラルスキン層付きの面に、一対の隣接する溶着部67の間で、それらと正確に整列して塗布される。発泡体材料は次に、図13において示されるように、溶着部67によって互いに接合された平行な発泡体ストリップ66のアレイ65の形態を有し、アレイ自体の上か又はコア材の上にロール状に巻き取られる。図7を参照して上記に説明したように、アレイにおける発泡体ストリップ66末端部は、所望の場合、例えば接着剤タブ(欧州特許出願0 384 626(A)号に記載のように)、弾性ひも(国際公開第2005/110905号に記載のように)又はステープルによって、梱包目的のために一時的に固定されることができる。要求される場合、発泡体ストリップ66のいずれもが、隣接するストリップに接合されている溶着部67に沿って引き裂くことによって、アレイ65から所望される長さで分離することができる。すなわち、分離された発泡体ストリップは、図9に示された発泡体テープの形態を有し、かつ例えば図11A及び11Bを参照して上記に説明したように使用して、車両の2つの部分の間の間隙をマスキングすることができる。
【0042】
図12を参照して説明したようにして製造された発泡体テープの幅が、回転63、64間の距離を変更することによって調整され得るということ、及びそれぞれのテープ上の接着剤ストライプの位置が、回転に対するダイオリフィスの位置を変更することによって調整され得るということは理解されるであろう。
【0043】
図12を参照して上記に説明したプロセスの変更において、シート61(シート60ではなくて)は、この場合、スコアローラ62に隣接する面の上にインテグラルスキンを有する。次いで前記プロセスにより、接着剤ストライプがテープのインテグラルスキン層が付いていない側の上に配置された発泡体テープのアレイが結果としてもたらされる。更なる変更では、シート60、61の両方は、インテグラルスキンを有し、それぞれが全表面にわたってインテグラルスキン68を有する、図14に示されたタイプである発泡体テープのアレイが結果としてもたらされる。
【0044】
自動車において間隙をマスキングするときに使用するのに好適であると見出されている、図9及び14に示されるタイプの特定な実施例の泡体テープは、図12を参照して上記に説明したように作製され、インテグラルスキン層付き発泡体用に、28kg/m3の公称密度を有するポリウレタン発泡体から形成された3.5mmの公称厚さを有するポリウレタンシートを使用し、インテグラルスキン層の付かない発泡体用に、26kg/m3の公称密度を有するポリウレタン発泡体から形成された3mmの公称厚さを有するシートを使用する(両方ともカリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited))(英国、アクリントン(Accrington)から入手可能)。テープは、22mmの幅(すなわち図12での溶着部67の間の距離)で製造された。
【0045】
図9〜14を参照して上記に説明した一般タイプの発泡体マスキングテープは、同様に、本出願人の同時継続中英国特許出願第0622340.8号(2006年11月9日付け)、及び同第0711124.8号(本出願と同じ日付)にも記載されている。
【0046】
図5〜12を参照して上記に説明したプロセスによって発泡体テープを製造するために、熱可塑性で冷間圧接可能な任意の発泡体材料が使用されてもよいということは理解されるであろう。好適な材料は、ポリウレタン発泡体類の中だけではなく、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びポリプロピレンの発泡体類の中でも見出すことができる。発泡体は、所定の用途に要求される形状に適合するのに十分な弾性的な圧縮可能性を有すれば、連続型気泡又は独立型気泡であることができる。発泡体の密度は、適切な強度の冷間圧接部が得られることを確実にするように選択すべきであり、すなわち、約20〜約30kgm−3の範囲の密度を有する発泡体が一般に実用的であるが、その範囲外の密度を備える材料も妥当である箇所に採用してもよい。
【0047】
発泡体テープ上の感圧性接着剤5、48は、発泡体材料及び車両の車体に接着できる必要がある。発泡体テープが巻物の形体で梱包されるとき、接着剤5、48の反対側のテープの面は、巻物中の1つの層でテープ上の接着剤が巻物中の隣接するテープに接着するのを防ぐために、剥離材料でコーティングされてもよい。この目的のためには任意の好適な剥離材料が使用されてもよい。
【0048】
図5及び12を参照して上記に説明した溶着プロセスは、図1、8、9及び14を参照して上記に説明したような発泡体マスキングテープを作製する効率的な方法を提供するが、任意のその他の好適な製造方法が使用されてもよい。例えば、溶着シームは、熱又は超音波エネルギーの投入を必要とする方法によって形成されることがある。あるいは、発泡体は、溶着シームの形成を含まず、例えば、接着剤の使用を介した、又は切断による、若しくは熱成形による、他の方法で成形される場合がある。例えば、図9に示された一般的なタイプの発泡体テープは、材料41、42の2つの層を向かい合わせで組み込み、それらの長さ方向の縁部に沿って、接着剤によって(by and adhesive)、又は(両面接着剤テープ又は転写テープなどの)接着剤テープの使用により接合することによって形成できるであろう。これらの場合では、冷間圧接可能でない発泡体を選択することができる。
【0049】
いくつかの場合では、発泡体上のインテグラルスキンは、成形プロセスの中の一部として形成され、出発材料としてインテグラルスキン層付きの発泡体の必要性を排除してもよい。
【0050】
本発明によるマスキング物品の車両への取り付けは、任意の好適な方法で達成されてもよく、上記のような感圧性接着剤の使用に限定されない。例えば、代替として、物品は、マスキング物品の部分に組み込まれた薄い磁気のストリップを使用しながら、磁気引力によって取り付けることができるという例が挙げられる。物品が車両の2つの相対的移動可能な部分の間で使用されるとき、取り付け部にどのような形体が使用されても、取り付け部は、マスキング物品が可撓性であることを可能にしながら、一方では車両の稼動な部分を物品の上に閉じることによって生じる圧縮波に耐えるに十分な固定性を有する必要がある。取り付け手段はまた、塗布された塗料の任意の後処理(例えばベーキング)に耐えることができなければならない。取り付け点は、マスキング物品の表面の平坦な領域上に位置決めされるのが好ましく、また車両の部分を閉じ合わせる動作によって同時に押し付けられるマスキング物品の長手方向縁部から離れたところに位置決めされることが好ましい。接着剤がマスキング物品を自動車の表面に取り付けるのに使用される場合は、かかる位置は、車両の部分を閉じ合わせる動作による接着剤の露出がないことを確実にすることができ、これによって、塗料が接着剤の縁部にもたれて蓄積する場所に硬い縁部が形成されるリスクを排除できる。しかしながら、取り付け点の位置は、選択の問題であり、マスキング物品の意図された利用法を考慮して選択されるべきである。
【0051】
発泡体テープは、塗装に備えて、車両の表面をマスキングするのに好適な任意の寸法で製造することができる。インテグラルスキンがあることによって、マスキングされる表面の湾曲部及び角部の周囲に設置される発泡体テープの性能に有害な影響があってはならず、更に車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙の形に追従する性能が損なわれてはならない。
【0052】
図1、8、9及び14を参照して上記に説明した発泡体テープは、概ね円形又は楕円形の横断面を有する特別なタイプであるが、他の多くの発泡体テープの形体が、塗装に備えて車両表面のマスキングに使用するために提案されている(例えば、欧州特許出願公開第0 669 197(A)号及欧州特許第0 745 000(B1)号;米国特許第6 337 127(B1)号及び同第6 627 259(B1)号;並びに国際公開第02/068556(A2)号及び同第03/020438(A2)号に記載のテープを参照)。上記のようなインテグラルスキンを有する発泡体材料の使用によって得られる利点は、概ね円形又は楕円形の横断面を有する発泡体テープに限定されず、他の形状の発泡体テープでも達成され、特にインテグラルスキン層付き面(又は少なくともその一部)を塗料の塗布される方向に対して、対面するように配置できる場合、他の形状の発泡体テープでも達成され得るということを理解されたい。
【実施例】
【0053】
以下の実施例を提供し、本発明を例示する。本実施例では、以下の材料を使用した。
【0054】
発泡体A:26kgm−3の公称密度を有する、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)から入手可能であるポリウレタン連続気泡型発泡体。
【0055】
発泡体B:28kgm−3の公称密度を有し、インテグラルスキンを1つの側に備える、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)から3.5mmの公称厚さで入手可能であるポリウレタン連続気泡発型泡体。
【0056】
これらの材料を使用しながら、発泡体テープの試料は以下のように調製した。
【0057】
試料1:16mmの厚さを有する発泡体Aのウェブを、加熱及び加圧により両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。図8で示されたタイプの発泡体テープを、図5を参照して上記に説明したように、隣接する回転刃の間隔を14mmにし、インテグラルスキン層付き発泡体から調製した。
【0058】
試料2:試料1の調製方法を繰り返して、18mmの厚さを有する発泡体Aのウェブで開始して、これを加熱及び加圧して両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。
【0059】
試料3:試料1の調製方法を繰り返して、20mmの厚さを有する発泡体Aのウェブで開始し、これを加熱及び加圧して両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。
【0060】
比較試料:図5を参照して上記に説明した方法を14mmの厚さを有する発泡体Aのウェブに適用し、冷間圧接部の間隔が14mmの発泡体テープを調製した。
【0061】
試料4:3mmの厚さを有する発泡体Aのウェブ及び発泡体Bのウェブが使用し、図12を参照して上記に説明したようなプロセスで隣接する回転刃の間隔を22mmにすることにより、図9に例示されたタイプの発泡体テープを調製した。接着剤ストライプは5mm幅であり、冷間圧接部の1方から6mmで位置決めした。
【0062】
試料5:接着剤ストライプが、発泡体Bの(インテグラルスキン層付き)面ではなく発泡体Aの(インテグラルスキン層の付いていない)面に塗布されるように、ウェブを反転した点を除き、試料4を調製する方法を繰り返した。
【0063】
発泡体テープの試料を以下のように評価した。
【0064】
試料1〜3及び比較試料の長いテープを自動車のドアのフレームに接着し、接着位置は、ドアがテープの上に閉じられたときに、テープがドア及びフレームの外面とで概ね同一平面になるようにした。ドア及びフレームの外面は次いで、「ネクサ(Nexa)6690クリアコート(Clear Coat)」吹き付け塗料(マックス・マイヤー(MaxMeyer)、英国、ニーダムロード、ストーマーケット、サフフォーク(Needham Road, Stowmarket, Suffolk)、IP14 2AD、英国から入手可能)を用いて、塗料スプレーガンから従来の方法を適用してコーティングした。ドア及びフレーム上でコーティングされた領域の縁部は、それらの品質(特に、それらの外観及び手触りの柔らかさ)を評価試験した。全ての試料が、合格レベルの柔らかさ、滑らかさを有したフェザー状塗装縁部を作り出したが、試料1〜3によって作り出された塗装縁部は、塗装縁部に関する塗装斑点の数及び大きさにおける大幅な減少が起因して、比較試料の長いテープによって作り出された場合を上回って顕著に改善した(毛羽立ちの少ない)外観を有することが見出された。
【0065】
試料4及び5を、以下のように種々の自動車修理で評価した。
【0066】
修理1 自動車BMW 320d右前翼における凹みは、外側に押し戻され、パネルは打ち延ばされ、その後に、車輪のアーチを再成形し、後に続く塗装のために充填剤を塗布した。試料5の長いテープを、再吹き付けのみのクリアコートの段階中に、発泡体テープのインテグラルスキン層付き面を塗料吹き付けの照準の線上に位置決めして、バンパーの下位部の上のスエージラインに沿って貼り付けた。熟練した自動車修理工は、非硬度性(non-hardness)及び非毛羽立ち(non-fuzziness)に関して10点満点の8点に評価された塗装縁部をスエージラインに沿って得ることができた(比較試料の長いテープでは、10点満点の5点に評価された)。
【0067】
修理2 自動車BMW X5のボンネットを再吹き付け塗装した。これに備えて、バンパーを取り除き、試料4の長いテープを、接着剤を用いてボンネットの縁部に頂部に向かって貼り付けた。次いで、発泡体テープのインテグラルスキン層付きの面が、塗料吹き付けの照準の線上に位置決めされた状態で、発泡体テープがボンネットと周囲との間の間隙に配置してボンネットを閉じた。熟練した自動車修理工は、非硬度性及び非毛羽立ちに関して、10点満点の7点で評価された塗装縁部を得ることができた(比較試料の長いテープの場合、10点満点の5点で評価された)。
【0068】
修理3 再吹き付け塗装に備えて、試料4の長いテープを、自動車フォルクスワーゲン(Volkswagen)ビートル(Beetle)のテールゲートの左側に隣接するパネルに貼り付けた。次いで、発泡体テープをテールゲートとパネルとの間の間隙に配置してテールゲートを閉じ、塗料を塗布した。前側ドアを取り除き、間隙には紙のマスキングテープで固定されたフィルムを用いてカバーをかけた。試料4の長いテープを、A−ポスト(A-post)に対するフィルムの縁部の周囲及びドアフレームの頂部の湾曲した部分に貼り付け、塗料を塗布した。それぞれの場合で、発泡体テープを、発泡体テープのインテグラルスキン層付きの面を塗料吹き付けの照準の線上に位置決めされた状態で配置した。熟練した自動車修理工は、非硬度性及び非毛羽立ちに関して、テールゲート7に隣接するパネルに対して10点満点の8点、ドアフレームの湾曲した部分に対して10点満点の7点、及びA−ポスト(A-post)に対して10点満点の9点で評価された塗装縁部を得ることができた(ここでは、比較試料の長いテープで提供された塗装縁部は、10点満点の5点で評価された)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる種類のマスキング物品に関する。本発明は、より具体的には、塗料又は車両に塗装されている他の表面処理材料が、間隙を通って車両の内側へと浸透するのを防ぐために、車両の2つの相対的可動な部分の間の間隙をマスキングするのに好適なマスキング物品に関するが、それに限定されない。間隙は、典型的には車両での開口部、例えば、ドア、ブート(boot)又はボンネット(bonnet)開口部に関連し、表面処理材料は一般的には、ある種の液体吹き付け装置を使用して塗布される。
【背景技術】
【0002】
マスキング材料は、塗料又は他の何らかの表面処理材料が隣接する領域に塗布される間に、対象物の1つの領域を覆うために使用される。自動車、小型トラック、大型トラック又はトレーラなどの車両の場合、車両の外面が塗装されるか、ないしは処理されるとき、修理又は改造中に(それらに限定はされないが)、マスキング材料は、最も広く使用される。
【0003】
以下において、簡略化のために、用語「塗料」は、車両の外面に塗布される他の類似の表面処理材料、例えばプライマー、防錆処理剤、ラッカーを含めて使用され、用語「塗装する」は、それに応じて解釈されるべきである。
【0004】
ある形体のマスキング物品が要求される、1つの具体的な状況は、ドアと関連する周辺部の間の間隙など、車両の相対的移動可能な部分の間の間隙の周囲を吹き付け塗装するときである。その場合、塗料が車両の内側に侵入しないことを確実にすることが必要であり、また、塗料が間隙の付近に堆積して非平坦な仕上がりをもたらさないことを確実にすることも望ましい。これらの問題に取り組むために、種々のマスキング物品がこれまで提案されてきた。
【0005】
例えばドア、フード(hood)/ボンネット(bonnet)又はトランク(trunk)/ブート(boot)などの車両の可動部分と車両の隣接する部分との間の間隙を埋めるため、細長い発泡体テープの形体でマスキング物品を使用することが提案されている。発泡体テープは、塗装の前にテープを要求された位置に固定させ、かつ続いて塗装後に取り除くことができる、感圧性接着剤の長手方向に延びるストライプ(stripe)を有することができる。欧州特許出願公開第0 384 626(A)号には、楕円形又は円形の断面を有するような物品で、その長さに沿って一対の溶着シームを有するタイプの発泡体テープが記載される。すなわち、テープにより、間隙の付近の面(複数)は、塗装面の縁部が隣接する塗装されない領域と混合するようにでき、かつ見苦しい塗装縁部が回避されるように吹き付け塗装することが可能になる。
【0006】
車両における間隙での使用のためのその他のマスキング物品は、米国特許第5 260 097(A)号(シルベストル(Silvestre))、同第5 885 395(A)号(ウェスターン(Western))、同第6 630 227(B1)号(ヒンメルスバッハ(Himmelsbach)ら))、同第6 797 361(B1)号(ボイック(Bouic))、国際公開第99/12654号(ジェボン(Jevons))、同第02/068556号及び同第03/020438号(ジェブテック社(Jevtec Limited))に記載されている。
【0007】
マスキング物品は、吹き付け塗装に備えて車両のスエージライン(swage line)(すなわち、車両の車体で輪郭において変化がある外形線)をマスキングするためにも使用される。その場合、マスキング材料は、塗装されている表面領域の縁部がスエージラインに沿って保護されている表面領域と滑らかに融合するということを確実にすることが要求される。更にマスキング物品は、車両の本体面の領域で新しく塗布された塗料を、元の塗料を有する領域と混合させるために使用する。例えば、パネル上で小さな修理がされたところでは、パネル全体を再吹き付けする必要がない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
いくつかの発泡体マスキングテープは、車両における間隙及び/又はスエージラインをマスキングするために極めて有効であり、またとても便利に使用できることも証明されてきたが、得られたものが新しく製造された車両での仕上げにできるだけ酷似するように、新しい塗装面の縁部の仕上げを向上させることが継続して要望されている。
【0009】
本発明は、塗装に備えて車両の面をマスクキングするときに好適に使用できるマスキング物品の提供に関し、本物品により、新しい塗装面の縁部で高品質の仕上げを得ることが可能になる。本発明は特にスエージラインをマスキングするために及び/又は車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするために好適なマスキング物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる細長いマスキング物品を提供し、この物品は、ポリマー発泡体から形成され、物品の外面又はその外面の少なくとも長さ方向に延びる部分にインテグラルスキンを含む。
【0011】
本明細書で用いる場合、用語「インテグラルスキン」は、発泡体と同じ材料から形成され、発泡体と一体化した部分であって、識別でき、より高い密度である層を指す。
【0012】
塗装されている面の縁部付近にインテグラルスキンがあることにより、塗装縁部の品質の改善を達成できることが見出されている。したがって、被塗装面をマスクキングするために本物品が車両に取り付けられるとき、本物品のインテグラルスキンの位置は、インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対向するようになっていることが好ましい。
【0013】
有利なことに、少なくとも、被塗装面をマスキングするために本物品が車両に取り付けられるときには、前記インテグラルスキンの一部が設置されている本物品の外面の部分は湾曲している。表面の湾曲は、被塗装面の縁部での塗料の蓄積を防ぐのに役立つ。
【0014】
前記物品が、物品の長さに沿って延びる少なくとも1つの溶着シームによって維持されている湾曲した外面を含んでいる場合のいくつかの実施例では、本物品の構造物は大規模での製造が容易になる。溶着シームが、加熱なしで加圧を介して形成され得るタイプの場合、製造は更に容易になる。
【0015】
本発明によるマスキング物品は、向かい合わせで配置されるポリマー発泡体の2つの層を含み、前記2つの層は、前記溶着シームによって前記2つの層の縁部に沿って互いに接合されていることができる。寸法及び形状の観点から、車両における多種多様な間隙に使用されるのに十分な汎用性があるタイプの本物品が提供され得る。
【0016】
本発明のマスキング物品を取り外し可能に車両に取り付けるために、いずれかの好適な手段が提供できる。有利なことに、感圧性接着剤は、本物品の外面に設けられ、本物品の製造及び使用の両方が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
次に、例として、本発明の実施形態を以下の添付図面を参照して説明する。
【図1】本発明によるマスキング物品の斜視図である。
【図2】図1の物品の概略的な横断面図である。
【図3A】ドアが少し開いた位置において、図1のマスキング物品を適所に取り付けてある、車両の後部ドアと隣接するフレームとの間の間隙の概略の断面図である。
【図3B】ドアが閉じた位置において、図1のマスキング物品を適所に取り付けてある、車両の後部ドアと隣接するフレームとの間の間隙の概略の断面図である。
【図4】発泡体材料のウェブにインテグラルスキンを形成するためのプロセスを例示する略図である。
【図5】図1のマスキング物品のアレイを作製するためのプロセスを例示する略図である。
【図6】図4において示されたプロセスによって製造される、インテグラルスキン層付き発泡体材料の概略的な横断面図である。
【図7】図4及び5のプロセスによって作製されたマスキング物品のアレイの概略的な斜視図である。
【図8】本発明による別のマスキング物品の概略的な横断面図である。
【図9】本発明による別のマスキング物品の斜視図である。
【図10】図9の物品の概略的な横断面図である。
【図11A】図3Aと類似しているが、図9のマスキング物品を使用している場合の概略断面図である。
【図11B】図3Bと類似しているが、図9のマスキング物品を使用している場合の概略断面図である。
【図12】図9のマスキング物品のアレイを作製するためのプロセスを示す図である。
【図13】図12のプロセスによって作製されたマスキング物品のアレイの概略的な斜視図である。
【図14】本発明による別のマスキング物品の概略的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2は、車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするのに好適な可撓性テープ1の形状の細長い物品を、極めて概略的に示す。テープ1は、弾性圧縮可能な発泡体材料から形成され、長手方向に延在する溶着部2、3をテープの対向する両側に備え、概ね楕円形の断面を有する。以下に更に詳細に説明されるように、溶着部2、3により、テープの湾曲面の形状が維持される。溶着部2、3の間のテープ1の外面の一部分にあるものは、溶着部の間の中間に配置された接着剤5の長さ方向に延びるストライプである。溶着部2、3間のテープ1の外面のこの部分の全体は、以下に更に詳細に説明されるインテグラルスキン7を有し、インテグラルスキンは、テープの残りの部分よりも、より滑らかな質感をこの面に与える。
【0019】
テープ1の断面寸法は、その使用用途、特に、使用を目的とする間隙の性質によって決まる。これらの間隙としては、例えば車両のドアと周囲のフレームとの間の間隙並びに車両のボンネット/ブートと周囲のフレームとの間の間隙が挙げられ、間隙は車両によって異なるであろう。溶着部2、3の間での、テープ幅の典型的な寸法は、10〜30mmの範囲である。テープ厚さの(すなわち、直交方向の)典型的な寸法は、10〜20mmの範囲である。これらの範囲外の寸法を備えるテープは、勿論、適切な場合には使用することができる。同程度の寸法を備える、図1及び2に示されるタイプの発泡体テープは、要求される場合には、円形の断面でも製造することができる。
【0020】
図3A及び3Bには、例として、修理作業中に自動車の外面の吹き付け塗装に備えて車両のドア11と、13で示された隣接する部分との間の間隙9をマスキングするためのテープ1の使用を示す。修理作業の性質によって、テープ1はドアの開口部の全体又は一部のみの周囲に貼られてもよい。示されている特別な場合では、間隙9は、自動車の後部ドアと隣接するフレームとの間の代表的なものであり、その幅は一般的には少なくとも3mmである(ドアが閉じられているとき)。
【0021】
図3Aで示されているように、テープ1は、ドアがわずかに開いた状態で、フレーム13の面15に接着性ストライプ5によって取り付けられる。ドア11は次いで、閉じられ(図3Bを参照)、ドアの縁部17がテープ1と接触し、テープは間隙9を埋め、これによって間隙がマスキングされ、ドアの縁部及び隣接する面15は吹き付け塗装に備えられる。テープ1のインテグラルスキン層付き面7の部分は、ドア11が閉じられるとき間隙9において露出されたままであり、以下に説明するように、隣接する縁部15に望ましい「柔らかな縁部」を作り出すようにはたらき、そこでは、塗布された塗料の層は隣接する未処理の領域と混合する。最適な結果のためには、インテグラルスキン層付き面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料吹き付けの照準の線上に位置するように、テープを車両に貼り付けるべきである。
【0022】
テープ1にインテグラルスキン層付き面があることにより、隣接する面に作られた塗装縁部の品質が結果として改善されることが見出されている。より具体的には、塗装縁部に沿って現れる塗装斑点(縁部に毛羽立ち外観を与える)の数は低減され、再塗装される面の全体的な外観を良くするという付随的利点を有することが見出されている。理論に束縛されるものではないが、従来の発泡体マスキングテープが使用されるときに現れる塗装斑点は、発泡体マスキングテープの多孔質の性質に基づいて発泡体材料の表面にある細孔によるものであり、並びに染みの形成は、インテグラルスキン7を提供することによる表面の滑らかさの向上によって抑制されると考えられている。
【0023】
図1及び図2で示されているタイプの発泡体テープは、吹き付け塗装に備えて車両のスエージライン(すなわち、車両の車体において輪郭に変化がある場所の外形線)をマスキングするために使用することもできる。その場合もまた、インテグラルスキン層付き7の存在によって、塗装される車両車体の領域と隣接する領域との間のスエージラインに沿った、塗装縁部の品質の改善を達成することができる。また、最適な結果のために、テープは、インテグラルスキン層付き面の少なくとも一部が、塗装縁部に隣接し、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料拭き付けの照準の線上に位置するように車両に貼り付けるべきである。
【0024】
インテグラルスキンを有する発泡体材料は周知であり、実際にある種のインテグラルスキンは、従来の発泡プロセス中にポリマー発泡体の露出面に形成され、発泡体が使用される前に、「スカイビング(skiving)」として既知のプロセスによって、取り除かれることが多い。同様に、インテグラルスキンは、押出成形プロセスによって製造された発泡体物品に形成されることもできる(例えば、ギブ(Gibb)の米国特許第3 869 832(A)号の「発明の背景」を参照)。熱可塑性ポリマー発泡体の場合では、インテグラルスキンは、米国特許第3 123 656(A)号(ロッホリン(Rochlin))及び同第3 443 007(A)号(ハーディ(Hardy))で記載されているように、発泡体の加熱及び加圧によって、又は同第2 994 110(A)号(ハーディ(Hardy))に記載されているように追加層の適用によって、製作後の制御された方法で発泡体材料に形成することができることが既知である。「インテグラルスキン」は、発泡体材料の外面においてより高密度な層であり、それは発泡体と同じ材料から形成されており、発泡体材料と一体化された部分であるが異なる領域である(言い換えれば、インテグラルスキンの平均的密度とそのスキンの下の発泡体材料の平均密度との間に急激な変化が認識され得る)。プロセス条件によっては、インテグラルスキンの外面はまだ細孔の存在を示す場合があり得るが、細孔は「インテグラルスキン層が付いていない」面よりも数が少ないであろう(すなわちインテグラルスキンの外面はより多く閉じられ、そしてより滑らかである)。
【0025】
図4は、好適な幅の熱可塑性ポリマー発泡体材料ウェブの1つの面に制御された方法でインテグラルスキンを形成する図を示し、図5は、そのようなタイプのウェブがどのように発泡体テープのアレイに変換されるかを示す。
【0026】
図4は、ポリマー発泡体材料20のウェブが、ロール21から一連のローラ22を経由してステーション23に送られることを示し、ステーション23では、インテグラルスキンはウェブの上面に形成される(図面に見られるように)。インテグラルスキンは、加熱されたロール24の周囲及び加熱されたロールと加圧ローラ25との間のニップを通ってウェブを通過させることによって形成される。加熱されたロール24の温度及びウェブ上にローラ25によってかけられる圧力は、プロセス速度とともに、加熱されたロールに隣接するウェブの全表面にわたって、インテグラルスキンが、要求される厚さ及び要求される平滑度を備える外面を有して確実に形成されるように選択する。ステーション23を離れるインテグラルスキン層付きウェブは、厚さが減少し、図6の断面図によって示されるように、インテグラルスキン28を1つの面に備える元の発泡体材料の層27から構成される。インテグラルスキン層付きウェブは、ウェブが巻き取られるロール30に至る一連のローラ29を経由して通過する間に、冷却される。
【0027】
次に図5を参照すると、ロール30からのインテグラルスキン層付きウェブ26は、最外部にインテグラルスキン28を有してローラ31(一部のみが示されている)の周囲を通過させられる。等間隔隔てられ、刃先がとがっていない回転刃のセット(そのうち2つの33及び34のみが示されている)は、スコアローラ31の1つの側に設置されたスライド軸(図示なし)に搭載される。回転刃は、途中にあるインテグラルスキン層付きウェブ26においてウェブを貫いて切断することが実質的にない状態で、平行な等間隔で隔てられた一連の溶着部35をもたらすに十分な力でスコアローラに向けて弾性的に付勢される。熱の供給なしに圧力によって達成されるこのタイプの溶着は、「冷間圧接」と呼ばれており、図5に示される工程は、この方法で溶着されやすいタイプの発泡体材料26を必要とするということが理解されるであろう。このタイプの発泡体材料は、「冷間圧接可能な」発泡体と呼ばれている。
【0028】
スコアローラ31の反対側上で、感圧性ホットメルト接着剤(図示せず)が、ダイ(図示せず)から発泡体層27の外面の上に、隣接する溶着部35のそれぞれの対の間で、正確に整列した一連の平行ストライプに塗布される。図7に示されるような、溶着部35によって互いに接合された平行な発泡体ストリップ37のアレイ36の形態を有するウェブ材料は、次いでロールを離れ、ウェブ自体上又はコア材の上にロール状に巻き取られる。アレイでの発泡体ストライプ37の末端部は、所望される場合、梱包目的のために、例えば接着剤タブ(欧州特許出願公開第0 384 626(A)号に記載のように)、弾性ひも(国際公開第2005/110905号で記載のように)又はステープルによって一時的に固定することができる。要求される場合、発泡体ストライプ37のいずれもが、隣接するストリップ(複数)に接合されている溶着部(複数)35にそって引き裂くことによって、アレイから所望される長さで分離することができる。すなわち分離された発泡体ストリップは、図1に示される発泡体テープの形態を有し、かつ例えば図3A及び3Bを参照して上記に説明したように使用して、車両の2つの部分の間の間隙をマスキングすることができる。
【0029】
図5を参照して説明したように製造される発泡体テープの幅が、回転刃33、34間の距離を変更することによって調節され得るということ、及びそれぞれのテープの上の接着剤ストライプの位置が、回転に対するダイオリフィスの位置を変更することによって調節され得るということは理解されるであろう。
【0030】
所望であれば、インテグラルスキン層付きウェブ26が、ロール30に巻き取られることなく、図4のステーション23から図5のスコアローラ31に直接送ることができることも理解されるであろう。あるいは、好適なインテグラルスキン層付き発泡体のウェブがすぐに利用できる場合、図4のプロセスは不要となり、インテグラルスキン層付き発泡体はスコアローラ31の周囲に直接送ることができる。
【0031】
図5を参照して説明した上記のプロセスの変更では、インテグラルスキン層付きウェブ26を、インテグラルスキン層28がローラに隣接した状態でスコアローラ31の周囲を通過させて発泡体テープを生産し、その場合、接着剤ストライプはテープのインテグラルスキン層が付いていない側に配置される。図4を参照して説明した上記のプロセスの変更では、インテグラルスキンがウェブの残りの主要面でも形成されるように、インテグラルスキン層付きウェブ26は、反転した方向でステーション23の中を通る2度目の通過が行われる。この場合、ウェブの厚さは2回減少され、元のウェブ20の厚さはこれを考慮に入れて選択されるべきである。次いで、図5に示される変換プロセスにより、結果として発泡体テープのアレイが得られ、このタイプのテープのそれぞれは、図8に示されるように全表面にインテグラルスキン39を有する。
【0032】
図4及び5を参照して上記に説明したようなプロセスを用いて、図1及び2又は図8に例示されるような発泡体テープを作製するのに好適であると見出された発泡体材料は、26kg/cm3の密度を有し、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)(英国、ブロード・オーク(Limited, Broad Oak)、アクリントン(Accrington))から入手可能である冷間圧接可能な連続気泡型ポリウレタン発泡体である。具体的な実施例では、図8に示されたタイプのテープは、それぞれ16mm、18mm及び20mmのような厚さを有する材料20(図4)のウェブから生産された。それぞれのウェブは上記のように処理され、それぞれの場合で、それぞれの側にインテグラルスキン層を有する厚さ14mmのウェブが生産される。より厚いウェブ上に生産されたスキンは、より薄いウェブ上に生産されたものよりも、より多く塞がっていることが認められた。発泡体テープは、14mmの幅(すなわち図5での溶着部35間の距離)で生産される。
【0033】
図9には、車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするのに好適な可撓性テープ40について、別の細長い形態の物品を概略的に示す。テープ40は、向かい合わせで配置された弾性的に圧縮可能な発泡体材料の2つの細長い層41、42から構成され、2つの層は、テープの対向する両側で長手方向に延びる溶着部43、44によって共に接合される。図10でも示されるように、テープ40の断面図は、溶着部43、44の間の方向で細長く、溶着部付近にあるテープ端部45、46では概ね円形になっている。
【0034】
テープが休止位置にあるときは、発泡体層41、42が比較的互いに近いため、発泡体層41、42及び溶着部43、44により、テープ40の中央部にほとんど閉じられた空間部47が取り囲まれる。接着剤ストライプ48はテープの外面の上に設けられ、テープの長さに沿って延在する。図で示されるように、接着剤ストライプ48は溶着部44よりも溶着部43により近く配置される。溶着部43、44間の発泡体層41のこの外面の全体は、上記テープ1のインテグラルスキン7に類似であるインテグラルスキン49を有し、インテグラルスキンはこの面に、テープの残り部分よりも滑らかな質感を与える。
【0035】
テープ40の構造体(層41、42の発泡体材料のその断面寸法及び物理的特性を備える)に、溶着部43、44をお互いに向けて移動させるために圧力がテープの反対側にかけられるとき、囲まれた空間部47は、広がり、次いで溶着部43、44が互いに接触するようになるまで移動させた場合には、空間部は最終的に再度接近する。
【0036】
図11A及び11Bは、修理作業中の自動車外面の吹き付け塗装に備えて、車両のドア51と隣接する部分(52で示されている)との間の間隙50をマスキングするためのテープ40の使用例を示す。修理作業の性質に応じて、テープ40はドア開口部の周囲全体に又は一部に貼り付けられてもよい。図示されている特別な場合では、間隙50は、後部ドアと、特定の現代的な自動車のドアに隣接するクォーターパネルの縁部との間に見られる代表例であり、ドアのクォーターパネルの縁部は、間隙部からより広いランディング面54へと内側に延びる面53を含む折り返し部(dog-leg)で形成され、ランディング面は、ドアが閉じられるときにドア51と概ね平行により近付くことになる。ランディング面54は、ドアが閉じられるときにドア51からは約10cm以上の間隔を有してもよい。間隙50の幅は、ドアが閉められるとき、一般的には、自動車で少なくとも3mmであり、市販の車両では22mmのような大きさである場合がある。
【0037】
図11Aに示されるように、ドア51がわずかに開いた状態で、テープ40はクォーターパネルの折り返し部の面53に取り付けられる。テープ40は、溶着部44により画定された側を間隙50の近くに位置決めし、溶着部43により画定された側を間隙50から離れた車両の内部の方に位置決めして、配置される。溶着部43により近い接着剤ストライプ48はまた、このように間隙50から離れて取り付けられる。次にドア51が閉められ、ドアの縁部55が、溶着部44の付近のマスキングテープ40のインテグラルスキン層の付いていない面と接触状態にされる。ドアの縁部55によってかけられた圧力は、テープ40内部で空間部47に広がりを与え、その一方でテープは、内部の周辺で部分的に折り重なり、かつ間隙50を埋める。これにより間隙がドアの縁部及び隣接する面52の吹き付け塗装に備えてマスキングされる。
【0038】
ドア51が閉じられるとき、間隙50で露出されたままであるテープ40の面は、所望の「柔らかな縁部」が得られるようになり、面52、53上に塗布された塗料層が隣接する未処理の面と混合するようになる。接着剤ストライプ48が間隙50で露出され、かつ「硬い」塗装縁部が生じさせるリスクは比較的低い。加えて、テープ1に関連して上記に説明したように、テープ40上のインテグラルスキン層付きの面49が、縁部に沿った塗装反転の数の減少を介して、結果として塗装縁部の品質の改善をもたらすことが見出されている。最適な結果のために、テープは、インテグラルスキン層付きの面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、より具体的には、塗料拭き付けの照準の線上に位置するように、車両に貼り付けるべきである。
【0039】
図9及び10に示されたタイプの発泡体テープは、間隙をマスキングするのに特に好適であるが、吹き付け塗装に備えて、車両のスエージライン(すなわち、車両の車体の輪郭に変化がある外形線)をマスキングするために使用することもできる。その場合もまた、インテグラルスキン層付き面49があることにより、塗装される車両車体の領域と隣接する領域との間の、スエージラインに沿った塗装縁部の品質の改善を達成することを可能にし得る。この場合もまた、最適の結果のためには、インテグラルスキン層付きの面の少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するように、又はより具体的には、塗料吹き付けの照準の線上に位置するように、テープは車両に貼り付けるべきである。
【0040】
図12は、図9に示されたタイプのマスキングテープのアレイの製造を示す。好適な発泡体材料の2つのシート60、61は、スコアローラ62の周囲を同時に通過される。シート60はローラ62から最も遠くにあり、例えば図4を参照して上記に説明したようなプロセスによって、外面上に形成されたインテグラルスキン60Aを既に有している。2つの63、64のみが記されているが、等間隔にあり刃先がとがっていない回転刃のセットは、スコアローラ62の1つの側に設置されたスライド軸(図示せず)に搭載されている。回転刃は、途中にある発泡体シート60、61においてそれらシートを貫いて切断することが実質的にない状態で、平行な等間隔で隔てられた一連の「冷間圧接部」67をもたらすに十分な力でスコアローラに向けて弾性的に付勢される。
【0041】
スコアローラ62の反対側上で、感圧性ホットメルト接着剤(図示せず)は、ダイ(図示せず)からの一連の平行なストライプで発泡体層60の外側のインテグラルスキン層付きの面に、一対の隣接する溶着部67の間で、それらと正確に整列して塗布される。発泡体材料は次に、図13において示されるように、溶着部67によって互いに接合された平行な発泡体ストリップ66のアレイ65の形態を有し、アレイ自体の上か又はコア材の上にロール状に巻き取られる。図7を参照して上記に説明したように、アレイにおける発泡体ストリップ66末端部は、所望の場合、例えば接着剤タブ(欧州特許出願0 384 626(A)号に記載のように)、弾性ひも(国際公開第2005/110905号に記載のように)又はステープルによって、梱包目的のために一時的に固定されることができる。要求される場合、発泡体ストリップ66のいずれもが、隣接するストリップに接合されている溶着部67に沿って引き裂くことによって、アレイ65から所望される長さで分離することができる。すなわち、分離された発泡体ストリップは、図9に示された発泡体テープの形態を有し、かつ例えば図11A及び11Bを参照して上記に説明したように使用して、車両の2つの部分の間の間隙をマスキングすることができる。
【0042】
図12を参照して説明したようにして製造された発泡体テープの幅が、回転63、64間の距離を変更することによって調整され得るということ、及びそれぞれのテープ上の接着剤ストライプの位置が、回転に対するダイオリフィスの位置を変更することによって調整され得るということは理解されるであろう。
【0043】
図12を参照して上記に説明したプロセスの変更において、シート61(シート60ではなくて)は、この場合、スコアローラ62に隣接する面の上にインテグラルスキンを有する。次いで前記プロセスにより、接着剤ストライプがテープのインテグラルスキン層が付いていない側の上に配置された発泡体テープのアレイが結果としてもたらされる。更なる変更では、シート60、61の両方は、インテグラルスキンを有し、それぞれが全表面にわたってインテグラルスキン68を有する、図14に示されたタイプである発泡体テープのアレイが結果としてもたらされる。
【0044】
自動車において間隙をマスキングするときに使用するのに好適であると見出されている、図9及び14に示されるタイプの特定な実施例の泡体テープは、図12を参照して上記に説明したように作製され、インテグラルスキン層付き発泡体用に、28kg/m3の公称密度を有するポリウレタン発泡体から形成された3.5mmの公称厚さを有するポリウレタンシートを使用し、インテグラルスキン層の付かない発泡体用に、26kg/m3の公称密度を有するポリウレタン発泡体から形成された3mmの公称厚さを有するシートを使用する(両方ともカリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited))(英国、アクリントン(Accrington)から入手可能)。テープは、22mmの幅(すなわち図12での溶着部67の間の距離)で製造された。
【0045】
図9〜14を参照して上記に説明した一般タイプの発泡体マスキングテープは、同様に、本出願人の同時継続中英国特許出願第0622340.8号(2006年11月9日付け)、及び同第0711124.8号(本出願と同じ日付)にも記載されている。
【0046】
図5〜12を参照して上記に説明したプロセスによって発泡体テープを製造するために、熱可塑性で冷間圧接可能な任意の発泡体材料が使用されてもよいということは理解されるであろう。好適な材料は、ポリウレタン発泡体類の中だけではなく、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン及びポリプロピレンの発泡体類の中でも見出すことができる。発泡体は、所定の用途に要求される形状に適合するのに十分な弾性的な圧縮可能性を有すれば、連続型気泡又は独立型気泡であることができる。発泡体の密度は、適切な強度の冷間圧接部が得られることを確実にするように選択すべきであり、すなわち、約20〜約30kgm−3の範囲の密度を有する発泡体が一般に実用的であるが、その範囲外の密度を備える材料も妥当である箇所に採用してもよい。
【0047】
発泡体テープ上の感圧性接着剤5、48は、発泡体材料及び車両の車体に接着できる必要がある。発泡体テープが巻物の形体で梱包されるとき、接着剤5、48の反対側のテープの面は、巻物中の1つの層でテープ上の接着剤が巻物中の隣接するテープに接着するのを防ぐために、剥離材料でコーティングされてもよい。この目的のためには任意の好適な剥離材料が使用されてもよい。
【0048】
図5及び12を参照して上記に説明した溶着プロセスは、図1、8、9及び14を参照して上記に説明したような発泡体マスキングテープを作製する効率的な方法を提供するが、任意のその他の好適な製造方法が使用されてもよい。例えば、溶着シームは、熱又は超音波エネルギーの投入を必要とする方法によって形成されることがある。あるいは、発泡体は、溶着シームの形成を含まず、例えば、接着剤の使用を介した、又は切断による、若しくは熱成形による、他の方法で成形される場合がある。例えば、図9に示された一般的なタイプの発泡体テープは、材料41、42の2つの層を向かい合わせで組み込み、それらの長さ方向の縁部に沿って、接着剤によって(by and adhesive)、又は(両面接着剤テープ又は転写テープなどの)接着剤テープの使用により接合することによって形成できるであろう。これらの場合では、冷間圧接可能でない発泡体を選択することができる。
【0049】
いくつかの場合では、発泡体上のインテグラルスキンは、成形プロセスの中の一部として形成され、出発材料としてインテグラルスキン層付きの発泡体の必要性を排除してもよい。
【0050】
本発明によるマスキング物品の車両への取り付けは、任意の好適な方法で達成されてもよく、上記のような感圧性接着剤の使用に限定されない。例えば、代替として、物品は、マスキング物品の部分に組み込まれた薄い磁気のストリップを使用しながら、磁気引力によって取り付けることができるという例が挙げられる。物品が車両の2つの相対的移動可能な部分の間で使用されるとき、取り付け部にどのような形体が使用されても、取り付け部は、マスキング物品が可撓性であることを可能にしながら、一方では車両の稼動な部分を物品の上に閉じることによって生じる圧縮波に耐えるに十分な固定性を有する必要がある。取り付け手段はまた、塗布された塗料の任意の後処理(例えばベーキング)に耐えることができなければならない。取り付け点は、マスキング物品の表面の平坦な領域上に位置決めされるのが好ましく、また車両の部分を閉じ合わせる動作によって同時に押し付けられるマスキング物品の長手方向縁部から離れたところに位置決めされることが好ましい。接着剤がマスキング物品を自動車の表面に取り付けるのに使用される場合は、かかる位置は、車両の部分を閉じ合わせる動作による接着剤の露出がないことを確実にすることができ、これによって、塗料が接着剤の縁部にもたれて蓄積する場所に硬い縁部が形成されるリスクを排除できる。しかしながら、取り付け点の位置は、選択の問題であり、マスキング物品の意図された利用法を考慮して選択されるべきである。
【0051】
発泡体テープは、塗装に備えて、車両の表面をマスキングするのに好適な任意の寸法で製造することができる。インテグラルスキンがあることによって、マスキングされる表面の湾曲部及び角部の周囲に設置される発泡体テープの性能に有害な影響があってはならず、更に車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙の形に追従する性能が損なわれてはならない。
【0052】
図1、8、9及び14を参照して上記に説明した発泡体テープは、概ね円形又は楕円形の横断面を有する特別なタイプであるが、他の多くの発泡体テープの形体が、塗装に備えて車両表面のマスキングに使用するために提案されている(例えば、欧州特許出願公開第0 669 197(A)号及欧州特許第0 745 000(B1)号;米国特許第6 337 127(B1)号及び同第6 627 259(B1)号;並びに国際公開第02/068556(A2)号及び同第03/020438(A2)号に記載のテープを参照)。上記のようなインテグラルスキンを有する発泡体材料の使用によって得られる利点は、概ね円形又は楕円形の横断面を有する発泡体テープに限定されず、他の形状の発泡体テープでも達成され、特にインテグラルスキン層付き面(又は少なくともその一部)を塗料の塗布される方向に対して、対面するように配置できる場合、他の形状の発泡体テープでも達成され得るということを理解されたい。
【実施例】
【0053】
以下の実施例を提供し、本発明を例示する。本実施例では、以下の材料を使用した。
【0054】
発泡体A:26kgm−3の公称密度を有する、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)から入手可能であるポリウレタン連続気泡型発泡体。
【0055】
発泡体B:28kgm−3の公称密度を有し、インテグラルスキンを1つの側に備える、カリゲン・フォームズ社(Caligen Foams Limited)から3.5mmの公称厚さで入手可能であるポリウレタン連続気泡発型泡体。
【0056】
これらの材料を使用しながら、発泡体テープの試料は以下のように調製した。
【0057】
試料1:16mmの厚さを有する発泡体Aのウェブを、加熱及び加圧により両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。図8で示されたタイプの発泡体テープを、図5を参照して上記に説明したように、隣接する回転刃の間隔を14mmにし、インテグラルスキン層付き発泡体から調製した。
【0058】
試料2:試料1の調製方法を繰り返して、18mmの厚さを有する発泡体Aのウェブで開始して、これを加熱及び加圧して両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。
【0059】
試料3:試料1の調製方法を繰り返して、20mmの厚さを有する発泡体Aのウェブで開始し、これを加熱及び加圧して両側に同等にインテグラルスキン層を付けて、厚さを14mmに減少させた。
【0060】
比較試料:図5を参照して上記に説明した方法を14mmの厚さを有する発泡体Aのウェブに適用し、冷間圧接部の間隔が14mmの発泡体テープを調製した。
【0061】
試料4:3mmの厚さを有する発泡体Aのウェブ及び発泡体Bのウェブが使用し、図12を参照して上記に説明したようなプロセスで隣接する回転刃の間隔を22mmにすることにより、図9に例示されたタイプの発泡体テープを調製した。接着剤ストライプは5mm幅であり、冷間圧接部の1方から6mmで位置決めした。
【0062】
試料5:接着剤ストライプが、発泡体Bの(インテグラルスキン層付き)面ではなく発泡体Aの(インテグラルスキン層の付いていない)面に塗布されるように、ウェブを反転した点を除き、試料4を調製する方法を繰り返した。
【0063】
発泡体テープの試料を以下のように評価した。
【0064】
試料1〜3及び比較試料の長いテープを自動車のドアのフレームに接着し、接着位置は、ドアがテープの上に閉じられたときに、テープがドア及びフレームの外面とで概ね同一平面になるようにした。ドア及びフレームの外面は次いで、「ネクサ(Nexa)6690クリアコート(Clear Coat)」吹き付け塗料(マックス・マイヤー(MaxMeyer)、英国、ニーダムロード、ストーマーケット、サフフォーク(Needham Road, Stowmarket, Suffolk)、IP14 2AD、英国から入手可能)を用いて、塗料スプレーガンから従来の方法を適用してコーティングした。ドア及びフレーム上でコーティングされた領域の縁部は、それらの品質(特に、それらの外観及び手触りの柔らかさ)を評価試験した。全ての試料が、合格レベルの柔らかさ、滑らかさを有したフェザー状塗装縁部を作り出したが、試料1〜3によって作り出された塗装縁部は、塗装縁部に関する塗装斑点の数及び大きさにおける大幅な減少が起因して、比較試料の長いテープによって作り出された場合を上回って顕著に改善した(毛羽立ちの少ない)外観を有することが見出された。
【0065】
試料4及び5を、以下のように種々の自動車修理で評価した。
【0066】
修理1 自動車BMW 320d右前翼における凹みは、外側に押し戻され、パネルは打ち延ばされ、その後に、車輪のアーチを再成形し、後に続く塗装のために充填剤を塗布した。試料5の長いテープを、再吹き付けのみのクリアコートの段階中に、発泡体テープのインテグラルスキン層付き面を塗料吹き付けの照準の線上に位置決めして、バンパーの下位部の上のスエージラインに沿って貼り付けた。熟練した自動車修理工は、非硬度性(non-hardness)及び非毛羽立ち(non-fuzziness)に関して10点満点の8点に評価された塗装縁部をスエージラインに沿って得ることができた(比較試料の長いテープでは、10点満点の5点に評価された)。
【0067】
修理2 自動車BMW X5のボンネットを再吹き付け塗装した。これに備えて、バンパーを取り除き、試料4の長いテープを、接着剤を用いてボンネットの縁部に頂部に向かって貼り付けた。次いで、発泡体テープのインテグラルスキン層付きの面が、塗料吹き付けの照準の線上に位置決めされた状態で、発泡体テープがボンネットと周囲との間の間隙に配置してボンネットを閉じた。熟練した自動車修理工は、非硬度性及び非毛羽立ちに関して、10点満点の7点で評価された塗装縁部を得ることができた(比較試料の長いテープの場合、10点満点の5点で評価された)。
【0068】
修理3 再吹き付け塗装に備えて、試料4の長いテープを、自動車フォルクスワーゲン(Volkswagen)ビートル(Beetle)のテールゲートの左側に隣接するパネルに貼り付けた。次いで、発泡体テープをテールゲートとパネルとの間の間隙に配置してテールゲートを閉じ、塗料を塗布した。前側ドアを取り除き、間隙には紙のマスキングテープで固定されたフィルムを用いてカバーをかけた。試料4の長いテープを、A−ポスト(A-post)に対するフィルムの縁部の周囲及びドアフレームの頂部の湾曲した部分に貼り付け、塗料を塗布した。それぞれの場合で、発泡体テープを、発泡体テープのインテグラルスキン層付きの面を塗料吹き付けの照準の線上に位置決めされた状態で配置した。熟練した自動車修理工は、非硬度性及び非毛羽立ちに関して、テールゲート7に隣接するパネルに対して10点満点の8点、ドアフレームの湾曲した部分に対して10点満点の7点、及びA−ポスト(A-post)に対して10点満点の9点で評価された塗装縁部を得ることができた(ここでは、比較試料の長いテープで提供された塗装縁部は、10点満点の5点で評価された)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる細長いマスキング物品であって、
ポリマー発泡体から形成され、前記マスキング物品の外面に又は前記マスキング物品の少なくとも長さ方向に延びる部分に、インテグラルスキンを含む、マスキング物品。
【請求項2】
被塗装面をマスキングするために前記マスキング物品が車両に取り付けられるとき、前記マスキング物品上の前記インテグラルスキンの位置は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するようになっている、請求項1に記載のマスキング物品。
【請求項3】
被塗装面をマスキングするために、前記マスキング物品が少なくとも車両に取り付けられるときは、前記インテグラルスキンの前記一部が配置されている前記マスキング物品の前記外面の部分が湾曲している、請求項2に記載のマスキング物品。
【請求項4】
前記マスキング物品は、前記マスキング物品の長さに沿って延びる少なくとも1つの溶着シームによって維持される、湾曲した外面を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスキング物品。
【請求項5】
長さ方向に延びる一対の溶着シームを、前記マスキング物品の互いに反対側に有し、前記インテグラルスキンが、前記マスキング物品の少なくとも一部において前記溶着シームの間に延びる、請求項4に記載のマスキング物品。
【請求項6】
向かい合わせで配置されるポリマー発泡体の2つの層を含み、前記2つの層は前記溶着シームにより前記2つの層の縁部に沿って互いに接合されている、請求項5に記載のマスキング物品。
【請求項7】
前記マスキング物品を車両の一部分に取り外し可能に取り付けるために、感圧性接着剤が、前記マスキング物品の前記外面に設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマスキング物品。
【請求項8】
前記接着剤が、前記マスキング物品の長さに沿って延びるストライプの形態である、請求項7に記載のマスキング物品。
【請求項9】
前記マスキング物品がロールに巻き取られるとき、前記マスキング物品が前記マスキング物品自体に接着するのを防ぐために、剥離コーティングを、前記マスキング物品の前記外面であって、前記接着剤と反対側に含む、請求項7又は請求項8に記載のマスキング物品。
【請求項10】
ウェブの主要な面のうち少なくとも1つの面にわたってインテグラルスキンを有するポリマー発泡体のウェブを提供する工程と、前記発泡体を、一対の平行な線に沿って圧縮及び溶着して前記湾曲した面を形成する工程と、を含む、請求項5に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項11】
ポリマー発泡体の2つのウェブを提供する工程であって、前記2つのウェブのうち少なくとも1つのウェブは、ウェブの面のうち少なくとも1つにわたってインテグラルスキンを有する工程と、前記ウェブを、前記スキンが外側を向くように向かい合わせに配置する工程と、間隔を空けた一対の平行な線に沿って前記2つのウェブを同時に圧縮及び溶着する工程と、を含む、請求項6に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項12】
ウェブの厚さを減少させるために、前記ウェブの少なくとも1つの主要な面を加熱及び加圧することによって、ポリマー発泡体のウェブに前記インテグラルスキンを形成する工程を含む、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマー発泡体の1つの面を加熱及び加圧して、前記インテグラルスキンを形成する工程を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項14】
前記インテグラルスキンが前記ポリマー発泡体に形成されてから、前記マスキング物品が前記ポリマー発泡体から形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
吹き付け塗装に備えて車両のスエージラインをマスキングするために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向いている状態で、前記マスキング物品が前記スエージラインに沿って延びるように、前記物品を前記車両の面に取り付ける工程を含む、方法。
【請求項16】
吹き付け塗装に備えて車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記マスキング物品を前記相対的移動可能な部分の1つに取り付ける工程と、次いで、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向くように前記相対的移動可能な部分の間の間隙に配置された前記マスキング物品により、前記相対的移動可能な部分を接合する工程と、を含む、方法。
【請求項17】
車両の面の一部に新しく塗布される塗料を、前記面に既にある塗料に混合するために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向いている状態で、前記面の一部に隣接する面に前記マスキング物品を取り付ける工程を含む、方法。
【請求項1】
被塗装面をマスキングするために、取り外し可能に車両に取り付けることができる細長いマスキング物品であって、
ポリマー発泡体から形成され、前記マスキング物品の外面に又は前記マスキング物品の少なくとも長さ方向に延びる部分に、インテグラルスキンを含む、マスキング物品。
【請求項2】
被塗装面をマスキングするために前記マスキング物品が車両に取り付けられるとき、前記マスキング物品上の前記インテグラルスキンの位置は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に対して、概ね対面するようになっている、請求項1に記載のマスキング物品。
【請求項3】
被塗装面をマスキングするために、前記マスキング物品が少なくとも車両に取り付けられるときは、前記インテグラルスキンの前記一部が配置されている前記マスキング物品の前記外面の部分が湾曲している、請求項2に記載のマスキング物品。
【請求項4】
前記マスキング物品は、前記マスキング物品の長さに沿って延びる少なくとも1つの溶着シームによって維持される、湾曲した外面を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスキング物品。
【請求項5】
長さ方向に延びる一対の溶着シームを、前記マスキング物品の互いに反対側に有し、前記インテグラルスキンが、前記マスキング物品の少なくとも一部において前記溶着シームの間に延びる、請求項4に記載のマスキング物品。
【請求項6】
向かい合わせで配置されるポリマー発泡体の2つの層を含み、前記2つの層は前記溶着シームにより前記2つの層の縁部に沿って互いに接合されている、請求項5に記載のマスキング物品。
【請求項7】
前記マスキング物品を車両の一部分に取り外し可能に取り付けるために、感圧性接着剤が、前記マスキング物品の前記外面に設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマスキング物品。
【請求項8】
前記接着剤が、前記マスキング物品の長さに沿って延びるストライプの形態である、請求項7に記載のマスキング物品。
【請求項9】
前記マスキング物品がロールに巻き取られるとき、前記マスキング物品が前記マスキング物品自体に接着するのを防ぐために、剥離コーティングを、前記マスキング物品の前記外面であって、前記接着剤と反対側に含む、請求項7又は請求項8に記載のマスキング物品。
【請求項10】
ウェブの主要な面のうち少なくとも1つの面にわたってインテグラルスキンを有するポリマー発泡体のウェブを提供する工程と、前記発泡体を、一対の平行な線に沿って圧縮及び溶着して前記湾曲した面を形成する工程と、を含む、請求項5に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項11】
ポリマー発泡体の2つのウェブを提供する工程であって、前記2つのウェブのうち少なくとも1つのウェブは、ウェブの面のうち少なくとも1つにわたってインテグラルスキンを有する工程と、前記ウェブを、前記スキンが外側を向くように向かい合わせに配置する工程と、間隔を空けた一対の平行な線に沿って前記2つのウェブを同時に圧縮及び溶着する工程と、を含む、請求項6に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項12】
ウェブの厚さを減少させるために、前記ウェブの少なくとも1つの主要な面を加熱及び加圧することによって、ポリマー発泡体のウェブに前記インテグラルスキンを形成する工程を含む、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマー発泡体の1つの面を加熱及び加圧して、前記インテグラルスキンを形成する工程を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を製造する方法。
【請求項14】
前記インテグラルスキンが前記ポリマー発泡体に形成されてから、前記マスキング物品が前記ポリマー発泡体から形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
吹き付け塗装に備えて車両のスエージラインをマスキングするために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向いている状態で、前記マスキング物品が前記スエージラインに沿って延びるように、前記物品を前記車両の面に取り付ける工程を含む、方法。
【請求項16】
吹き付け塗装に備えて車両の2つの相対的移動可能な部分の間の間隙をマスキングするために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記マスキング物品を前記相対的移動可能な部分の1つに取り付ける工程と、次いで、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向くように前記相対的移動可能な部分の間の間隙に配置された前記マスキング物品により、前記相対的移動可能な部分を接合する工程と、を含む、方法。
【請求項17】
車両の面の一部に新しく塗布される塗料を、前記面に既にある塗料に混合するために、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマスキング物品を使用する方法であって、前記方法は、前記インテグラルスキンの少なくとも一部が、塗料の塗布される方向に概ね向いている状態で、前記面の一部に隣接する面に前記マスキング物品を取り付ける工程を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−528860(P2010−528860A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512305(P2010−512305)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066476
【国際公開番号】WO2008/154559
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066476
【国際公開番号】WO2008/154559
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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