説明

インナーウェア

【課題】背骨の曲がりや股関節の安定性を保ち体幹が屈曲するのを防いで、正しい綺麗な姿勢を保持し、上半身または下半身のボディラインを美しく見せることのできるインナーウェアを提供する。
【解決手段】縦横方向に伸縮する編地からなる上半身にフィットするトップスなどのインナーウェア1である。背面中央部に脊柱起立筋の胸最長筋に当接するパワーの強い縦長テープ地13を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上半身に着けるトップスまたは下半身に着けるボトムなどのインナーウェアに関するものであり、さらに詳しくは、脊柱起立筋や大腿二頭筋をテーピングするように効果的にサポートして、正しい姿勢に矯正できるインナーウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の体を支えているのは、いわゆる背骨と呼ばれている脊柱であり、脊柱は7個の頸椎(首の骨)と、12個の胸椎(背中の骨)と、5個の腰椎(腰の骨)と、仙骨、尾骨からなりたっており、正常な脊柱を横から見ると、頸椎は前に、胸椎は後ろに、腰椎は前に向かって緩やかなS字状に湾曲している。この緩やかなS字状の形が正常な状態とされており、この形が崩れて背骨が曲がりすぎると猫背などになり姿勢が悪くなるとされている。
【0003】
この背骨が緩やかなS字状カーブを保つことにより、正しい綺麗な姿勢を保持できるが、日常生活の中では、立位姿勢や座位姿勢において前屈み動作をすることが多く、特にデスクワークで手を使う作業を長時間続けていると、どうしても前屈姿勢の状態になり、その姿勢に慣れてしまうと違和感がなくなって、背骨が曲がった状態の悪い姿勢になる。そうすると、頭痛、肩こり、腰痛、内臓疾患などの様々な症状を引き起こしやすくなる。
【0004】
また、下肢部の重要な筋肉の大腿二頭筋は、膝を後ろに上げる動作(股関節伸展)、膝を曲げる動作(膝関節屈曲)、膝を内側や外側に回す動作(股関節内旋・外旋)などの働きをしており、特に股関節の伸展は、前後方向への骨盤の安定性に重要な役目を果たすが、筋力が低下傾向にある中高年者は、腰部や下肢部の筋力が低下することから、股関節、膝関節機能が低下し正しい綺麗な姿勢を保持できなくなる。
【0005】
そのために、例えば、背筋を伸ばして姿勢をよくする目的の矯正下着が種々提案されている。そのうちの一つに、前身頃および後身頃の少なくともいずれか一方に、両側上部から逆側の両側下部に向かうと共に、中央部で交差するX字状の2条の伸縮性帯状片を縫着したボディスーツが提案されており、2条の伸縮性帯状片の伸縮力によって腹部および臀部の贅肉を引き上げると共に、脊椎をまっすぐに保ち、姿勢を矯正することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、別のものとして、伸縮性の本体部と、本体部の緊締力よりも強い緊締力を有する帯状の第1緊締部と第2緊締部を備え、第1緊締部は腹部中央から左右助骨の下端部に向かって左右に分れ、左右助骨の下端部を通り背中で互いに連結され、第2緊締部は腹部中央から左右に分れ、仙骨部の後を通り仙骨部の下部の後中心で互いに連結された姿勢補整衣類が提案されており、第1緊締部と第2緊締部との緊締力により、腹筋群、脊柱起立筋群、および臀筋群をサポートすることにより姿勢を良くすることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、別のものとして、前身頃の襟刳りの下方に沿って両脇まで横方向に広がる帯状部と、両脇下方に位置する山形部と、前記帯状部の上方で、前身頃の襟刳りの両側に位置し肩まで伸びる胸骨側部と、後身頃両肩から前記山形部の上方に向けてクロス状に延びるテープ状の骨格支持帯と、前記帯状体、山形部、胸骨側部および骨格支持帯体以外の胴部体本体を構成する主要部に分かれて、異なる組織で編まれており、かつ裾にゴム模様の縁取りが形成された矯正下着が提案されており、上衣が胸骨側部に連なるテープ状の骨格支持帯が肩の骨格、肩甲骨、背骨、骨盤上部を補整して、普段の生活姿勢や重力、筋力低下などで発生した上半身を中心とした骨格の歪を正すことが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−229002号公報
【特許文献2】特開2008−144302号公報
【特許文献3】特開2006−37255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1、2は、脊柱起立筋の胸最長筋をテーピングするものではなく、他の筋肉のサポートや贅肉を引き上げることを目的とするものであり、体幹を支えることができないため、正しい姿勢に整えることはできないといった問題点があった。また、前記特許文献3も、胸最長筋をサポートするものではなく、リュックを担いだ時のように、首、胸郭部、背部、脇を圧迫して締め付けるだけであり、これも正しい姿勢の矯正についての効果は得られないといった問題点があった。
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として開発されたもので、脊柱起立筋の胸最長筋または大腿二頭筋をテーピングするパワーの強いテープ地を備えて、背骨の曲がりや股関節の安定性を保ち体幹が屈曲するのを防いで、正しい綺麗な姿勢を保持し、上半身または下半身のボディラインを美しく見せることのできるインナーウェアを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決し、その目的を達成する手段として、本発明は、縦横方向に伸縮する編地からなる上半身にフィットするトップスのインナーウェアであって、背面中央部に、脊柱起立筋の胸最長筋に当接するパワーの強い縦長テープ地を設けたことを特徴とするインナーウェアを開発し、採用した。
【0012】
また、本発明は、縦横方向に伸縮する編地からなる上半身にフィットするトップスのインナーウェアであって、背面中央部に、脊柱起立筋の胸最長筋に当接するパワーの強い縦長テープ地を設けると共に、前身頃の下方部と後身頃の下方部に超強パワーのX状編地を設けたことを特徴とするインナーウェアを開発し、採用した。
【0013】
上記のように構成したインナーウェアにおいて、前記縦長テープ地は、タック編により小間隔をあけて左右二列に編成されていることを特徴とするインナーウェアを開発し、採用した。
【0014】
また、本発明は、縦横方向に伸縮する編地からなる下半身にフィットするボトムのインナーウェアであって、脚筒部の背面中央部に、大腿二頭筋に当接するパワーの強いテープ地を設けたことを特徴とするインナーウェアを開発し、採用した。
【0015】
さらに、本発明は、縦横方向に伸縮する編地からなる下半身にフィットするボトムのインナーウェアであって、脚筒部の背面中央部に、大腿二頭筋に当接するパワーの強いテープ地を設けると共に、前身頃の下方部と後身頃の下方部に超強パワーのX状編地を設けたことを特徴とするインナーウェアを開発し、採用した。
【発明の効果】
【0016】
請求項1によれば、トップスのインナーウェアを着用すると、背面中央部に編成された縦長のテープ地が脊柱起立筋の胸最長筋に当接しテーピング機能を保持してサポートすると共に、このテープ地はパワーを強くしてあるから、前屈する時に、背中部分が引っ張られ曲げ運動を妨げる抵抗が生じて曲がり難くなり、それによって着用者が胸を張り、背筋を伸ばして良い姿勢を保つことになり、猫背になるようなことがなくなって正しい綺麗な姿勢を保持できる。
【0017】
請求項2によれば、前記請求項1の効果に加えて、前身頃と後身頃の下方部に超強パワーのX状編地により、骨盤が引き締められ歪みやズレが矯正されると同時に腹部の贅肉を押さえて体型補整が可能となり上半身のボディラインが美しくなる。
【0018】
請求項3によれば、小間隔をあけて縦長テープ地を左右二列に編成されているから、脊柱起立筋の胸最長筋に沿って当接し、テーピングするようにサポートでき、背骨の曲げを一層妨げることになり猫背を防ぐことができる。
【0019】
請求項4によれば、ボトムのインナーウェアを着用すれば、脚筒部の背面中央部に編成されたテープ地によって大腿二頭筋をテーピングするようにサポートし、このテープ地は、縦方向には伸び難くなっているから、大腿二頭筋の収縮力を助成して膝関節の屈曲や内転、股関節の伸展がスムーズになり、特に歩行時の立位姿勢が悪くならない。
【0020】
請求項5によれば、前記請求項4の効果に加えて、前身頃と後身頃の中央部に超強パワーのX状編地により、骨盤が引き締められ歪みやズレが矯正されると同時に腹部の贅肉を押さえて体型補整が可能となり下半身のボディラインが美しくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態を示すタンクトップの正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示すタンクトップの正面図である。
【図4】図3の背面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示すボトムの正面図である。
【図6】図5の背面図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示すボトムの正面図である。
【図8】図7の背面図である。
【図9】テープ状編地の組織図である。
【図10】X字状編地の組織図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の第1実施の形態を添付の図1,2に基づいて説明すれば、1は丸編機で筒状に連続編成された袖のないタンクトップやキャミソールなどのインナーウェア本体であり、胸部から下腹部を覆う前身頃2および背中部から臀部を覆う後身頃3は部分的に締付けパワーを変えてある。ここでいう締付けパワーとは、締付け力、締付け圧などを言い、締付けパワーの強弱は、編組織を変えたり、弾性糸の打ち込み本数を変えたり、弾性糸の太さを変えたりすることによって可能である。締付けパワーの強さは、超強パワー領域部A、強パワー領域部B、強乃至中パワー領域部C、中パワー領域部D、弱パワー領域部Eの5段階に分かれている。
【0023】
4は前身頃2のネックライン5とアームホール6の間にある肩部編地であり、リブ編みで太さが中間の糸によって編成された縦方向によく伸びる中パワー領域部Dになっている。7はネックライン5の下部に沿って平編みで編成されたバストを包み込むカップ部であり、バストの膨らみを潰すことのない柔らかい縦、横両方向に伸縮し、両カップ部7,7の間にシャーリング部8を形成し、着用した際に、シャーリング部8が伸びて着用者のバストにぴったりとフィットするようになっている。
【0024】
9は左右アームホール6,6の下端部から斜め下方に向かって外腹斜筋、腹直筋に当接して腹部下方部に至る先端部が幅広くなっている傾斜編地であり、リブ編で細糸によって編成された縦方向によく伸縮する強パワー領域部Bになっている。
【0025】
10は両カップ部7,7と、傾斜編地9,9の間に挟まれた略逆三角形状の胸部編地であり、リブ編みの中間糸によって編成され、強乃至中パワー領域部Cになっている。11は傾斜編地9,9の外側部を平編みによって編成された側面編地であり、縦、横両方向によく伸縮する弱パワー領域部Eになっている。12は前身頃2の下端部編地で、この部分も平編みによって編成されており、縦、横両方向に伸縮する中パワー領域部Eになっている。
【0026】
一方、後身頃3には、ネックライン5の下部中央部で、背面中央部から下方に延びる縦長のテープ地13が編成されている。このテープ地13は、タック編組織で編成された強パワーで、横方向に伸びるが縦方に伸び難くなっている。このテープ地13は、中心の小間隔部14の左右に二列配列してあり、脊柱起立筋の胸最長筋に当接しテーピング機能を保持してサポートできるようになっている。
【0027】
図9にタック編み組織を示している。∨印がニット、×印がミスである。すなわち、第1コースは1列目針がミス×、第2列目針がニット∨、第3列目針がミス×、第4列目針がニット∨、第5列目針がミス×、第6列目針がニット∨、第7列目針がミス×、第8列目針がニット∨というように、1ウエールミス、1ウエールニットを繰り返し、第2コース〜第8コースも同様に、1ウエールミス、1ウエールニットを繰り返している。
【0028】
15は後身頃3のネックライン5とアームホール6の間にあり、かつネックライン5の外周辺部に沿うように編成された半円状編地であり、リブ編みで極細糸によって編成された強パワー領域部Aになっていて、ネックライン5およびアームホール6の伸び広がりを防いでいる。16は平編みによって編成された背中編地であり、縦横両方向によく伸縮する弱パワー領域部Eになっている。17は後身頃3の下端部編地で、平編みによって編成されており、縦、横両方向によく伸縮する弱パワー領域部Eになっている。
【0029】
上記のように構成された第1実施の形態の使用状態を作用、効果と共に説明すれば、通常のアンダーシャツを着る時のように、頭からかぶるのでなく、タンクトップやキャミソールを束ねてネック部から足を入れて下から上へはいて着るものであり、ウエスト部まで持ち上げ、身頃部分を整えながら脇の下まで身頃を上げてアームホールに腕を通して、前中心部分を引っ張らないように、肩のライン、ネックラインを整えると共に、バストをカップに収容する。そして、このように身体の下からはくことにより余分な体脂肪を持ち上げられ、より強い引き締め効果を得ることができる。
【0030】
また、上半身に着用すると、後身頃3の背面中央部に編成された縦方向に伸び難いタック編みの縦長テープ地13で胸最長筋に当接し、テーピングのようにサポートするから、前屈姿勢時において、胸最長筋が引っ張られ、曲げる方向への抵抗が生じ、それによって背骨が曲がり難くなり猫背になることがなく、正しい綺麗な姿勢を保持することができる。
【0031】
さらに、前身頃2の左右アームホール6,6の下端部から斜め下方に向かって編成された上部から下部に向かって漸次広くした傾斜編地9が外腹斜筋、腹直筋を当接しテーピングのようにサポートするから、脊柱を支えるのに必要な腹圧を高めることができ、姿勢を補整する効果を向上させることができると共に、腹部の贅肉を押さえてボディラインを美しく見せることができるものである。
【0032】
図3,4に示すのは本発明の第2実施の形態を示すものであり、前記第1実施の形態と相違するのは、前身頃2と後身頃3の下方部にパワーの強い太幅のX状編地18,19が編成されている点である。すなわち、丸編機で筒状に連続編成されたタンクトップやキャミソールなどのインナーウェア本体1である点、前身頃2および後身頃3は部分的に締付けパワーの異なる編生地で構成されている点、肩部編地4、ネックライン5、アームホール6,6、カップ部7,7、シャーリング部8、傾斜編地9,9、胸部編地10、側面編地11、下端部編地12、テープ状編地13、小間隔部14、半円状編地15、背中編地16、下端部編地17などは前記第1実施の形態と全く同じで何ら変わることがないので、同一箇所に同一符号を付して説明は省略する。
【0033】
18は前身頃2の右側面中央部から左側面下方部に至る斜め太幅の編地18aと、左側面中央部から右側面下方部に至る斜め太幅の編地18bが下腹部で交差した前面X状編地であり、この前面X状編地18は、縦方向に伸縮し難いタック編みで編まれており、締付けパワーが強く超強パワー領域部Aになっている。
【0034】
前面X状編地18のタック編み組織を図10に示している。∨印がニット、×印がミスである。すなわち、第1コースは1列目針がミス×、第2列目針がニット∨、第3列目針がニット∨、第4列目針がミス×、第5列目針がミス×、第6列目針がニット∨、第7列目針がニット∨、第8列目針がミス×というように、2ウエールミス、2ウエールニットを繰り返し、第2コース〜第8コースも同様に、2ウエールミス、2ウエールニットを繰り返している。
【0035】
一方、後身頃3においても、タック編みによって右側面中央部から左側面下方部に至る斜め太幅の編地19aと、左側面中央部から右側面下方部に至る斜め太幅の編地19bが腰部で交差して後面X状編地19を編成しており、締付けパワーが超強パワー領域部Aになっている。この後面X状編地19の編み組織は、前面X状編地18と同じであり説明は省略する。
【0036】
上記のように構成された第2実施の形態の使用状態を作用、効果と共に説明すれば、前記実施の形態1と同様に、頭からかぶるのでなく、タンクトップやキャミソールを束ねてネック部から足を入れて下から上へはいて着る。そして、上半身に着用すると、前述の第1実施の形態と同様の作用効果に加えて、骨盤の位置には締付けパワーが超強パワーで太幅の前面X状編地18が当接するから、骨盤の上部の腸骨および第5腰椎、第4腰椎を引き締めることにより、仙骨と腸骨の間の関節結合部がずれたり開いたりすることがなくなり矯正ができると共に、骨盤の中、下部の仙骨、恥骨、坐骨、尾骨などを抱きこむように締め付けることにより骨盤を固定し骨盤が歪んだり、開いたりする原因による姿勢の悪さを矯正することができる。
【0037】
図5,6に示すのは、本発明の第3実施の形態を示すもので、前記第1、第2実施の形態では上半身に着けるタンクトップやキャミソールであったが、この第3実施の形態では、下半身に着けるボトムなどのインナーウェア本体21である。前身頃22および後身頃23は部分的に締付けパワーを変えた編生地で構成されているのは前記第1,第2実施と同じである。
【0038】
24は前身頃22の正面上端部にリブ編で太さが中間の糸によって編成された上腹部に当接する五角形編地であり、横方向より縦方向によく伸びる超強パワー領域部Aになっている。25はその五角形編地24の両側部から脚筒部26の下端までの側面部を一連に編成し外側広筋に当接する長い細幅編地であり、リブ編の太さが中間の糸によって編成されており、縦方向に伸縮し、強パワー領域部Bになっている。
【0039】
27は五角形編地24の下面で、下方に向かって傾斜状に広がった後、幅狭くなる方向に傾斜した腹部中央編地であり、この腹部中央編地27は大腰筋、腸骨筋に当接するように下面部で二股の左右編地27a,27bとなり、先端部が長い細幅編地25,25に達し、リブ編みの細糸で編成されており、縦方向に伸縮し、強パワー領域部Bになっている。
【0040】
28は腹部中央編地27および二股の左右編地27a,27bと縦長編地25,25の間に編成されている中央部に向かって突出する腹部左右編地であり、リブ編みによる強乃至中パワー領域部Cになっている。29は縫工筋に当接するように脚筒部26の内面側から前記二股の左右編地27a,27bに達する先端部が幅広の逆ハ字状編地であり、平編みによって編成されており、超強パワー領域部Aになっている。30は大腿直筋に当接する脚部編地であり、平編みによって編成され縦、横両方向に伸びる弱パワー領域部Eになっている。
【0041】
一方、後身頃23には、門字状となる腰部編地31と脚筒部26の下端までの両側編地32が一連に編成してあり、両側編地32は外側広筋に当接し、超強パワーで編成してある。33は左右の臀部編地で、リブ編の太さが中間の糸によって弱パワー領域部Eになっている。
【0042】
34は脚筒部26の背面中央部に長さ方向にタック編みによって編成されたテープ地であり、このテープ地34は、前記第1,2実施の形態のテープ地13と同じであり、タック編みで編成された横方向に伸びても縦方向に伸び難くなっている。タック編み組織は、前記第1実施の形態の図9と同じであり説明は省略する。
【0043】
35は縫工筋に当接するように脚筒部26の内面側から前記テープ地34の上方部に達する先端部が幅広の逆ハ字状編地であり、リブ編みの極太糸で編成されており、横方向の伸びより縦方向の伸びが良く強パワー領域部Bになっている。
【0044】
36は脚筒部26の大腿直筋に当接する脚部編地であり、平編みによって編成された縦、横両方向に伸びる弱パワー領域部Eになっている。
【0045】
上記のように構成された第3実施の形態の使用状態を作用、効果と共に説明すれば、下半身にボトムなどのインナーウェア本体21を着用すれば、脚筒部26の背面中央部に編成されたテープ地34により、大腿二頭筋に当接してテーピングのようにサポートするから、大腿二頭筋の収縮力を助成して膝関節の屈曲や内転、股関節の伸展がスムーズになり、特に歩行時の立位姿勢が悪くならない。
【0046】
また、前身頃22の腹部中央編地27と二股の左右編地27a,27および脚筒部26の内面側から前記左右編地27a,27に達する先端部が幅広の逆ハ字状編地29により、膝を伸ばした位置に固定する働きをする縫工筋をサポートして綺麗な姿勢を補助すると共に、歩行動作や姿勢維持のために極めて重要な大腰筋、超骨筋をサポートし正しい姿勢を補助することができる。
【0047】
さらに、後身頃23の腰部編地31と脚筒部26の下端までの側面部を一連に編成し外側広筋に当接する長い縦長編地32を編成してあるから、膝を伸ばした位置に固定する働きをする縫工筋をサポートして綺麗な姿勢を補助すると共に、歩行動作や姿勢維持のために極めて重要な大腰筋、超骨筋をサポートし正しい姿勢を補助することができる。
【0048】
図7,8に示すのは、本発明の第4実施の形態を示すもので、前記第3実施の形態と相違するのは、前身頃22と後身頃路23の中央部にX状編地37,38を備えている点である。すなわち、丸編機で筒状に連続編成されたボトムなどのインナーウェア本体21で、前身頃22および後身頃23は部分的に締付けパワーの異なる編生地で構成されているのは前記第3実施の形態と同じである。
【0049】
また、前身頃22の上腹部に当接する五角形編地24、外側広筋に当接する両側部の縦長編地25,25、脚筒部26,26、大腰筋、腸骨筋に当接する二股の左右編地27a,27b、縫工筋に当接する逆ハ字状編地29,29、大腿直筋に当接する脚部編地30,30および後身頃23の臀部編地33、テープ状編地34、逆ハ字状編地35、脚部編地36についは、前記第3実施の形態と同じであることから、同一箇所には同一符号を付してここでの説明は省略する。
【0050】
相違しているのは、前身頃22の右側面上方央部から左側面中央部に至る斜め太幅の編地37aと、左側面上方部から右側面中央部に至る斜め太幅の編地37bが腹部で交差して形成された前面X状編地37で、超強パワー領域部Aであり、タック編みによって編成されている。その編み組織は、前記第2実施の形態の図3と同じであり、∨印がニット、×印がタックである。
【0051】
38は後身頃23の右側面中央部から左側面下方部に至る斜め太幅の編地38aと、左側面中央部から右側面下方部に至る太幅の斜め太幅の編地38bが腹部で交差して形成された後面X状編地で、超強パワー領域部Aであり、タック編みによって編成されている。その編み組織は、前記第2実施の形態の図4と同じであり、∨印がニット、×印がタックである。
【0052】
上記のように構成された第4実施の形態の使用状態を作用、効果と共に説明すれば、下半身にボトム21を着用すれば、前述の第3実施の形態と同様の作用効果に加えて、骨盤の位置には締付けパワーが超強パワーで太幅の前面X状編地37が当接するから、骨盤の上部の腸骨および第5腰椎、第4腰椎を引き締めることにより、仙骨と腸骨の間の関節の結合部がずれたり開いたりすることがなくなり矯正ができると共に、骨盤の中、下部の仙骨、恥骨、坐骨、尾骨などを抱きこむように締め付けることにより骨盤を固定し骨盤が歪んだり、開いたりする原因による姿勢の悪さを矯正することができる。
【0053】
また、前面のX状編地37の下端中央部から脚筒部260の両側部に向かって編成された二股の左右編地27a,27bにより、歩行動作や姿勢維持のために極めて重要な大腰筋、腸骨筋をサポートして正しい姿勢を補助することができる。さらに、脚筒部26の内面側から前記二股の左右編地27a,27bに達する先端部が幅広の逆ハ字編地29,29により、膝を伸ばした位置に固定する働きをする縫工筋をサポートして綺麗な姿勢を補助する。
【0054】
以上、本発明の主要な実施の形態を説明したが、本発明は必ずしも上記実施例に限定されるものではなく、例えば、テープ地を別体の当布として縫製して使用する事もあり、発明の目的を達成でき、且つ発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能であり、それらも全て本発明の範囲内に包含されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、アンダーシャツ、タンクトップ、キャミソールなどの上半身に着用するトップスおよびショーツ、ガードル、スパッツなどの下半身に着用するボトムなどのインナーウェアに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 インナーウェア本体
2 前身頃
3 後身頃
5 ネックライン
13 テープ地
14 小間隔部
18 前面X状編地
19 後面X状編地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横方向に伸縮する編地からなる上半身にフィットするトップスのインナーウェアであって、背面中央部に、脊柱起立筋の胸最長筋に当接するパワーの強い縦長テープ地を設けたことを特徴とするインナーウェア。
【請求項2】
縦横方向に伸縮する編地からなる上半身にフィットするトップスのインナーウェアであって、背面中央部に、脊柱起立筋の胸最長筋に当接するパワーの強い縦長テープ地を設けると共に、前身頃の下方部と後身頃の下方部に超強パワーのX状編地を設けたことを特徴とするインナーウェア。
【請求項3】
前記縦長テープ地は、タック編により小間隔をあけて左右二列に編成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインナーウェア。
【請求項4】
縦横方向に伸縮する編地からなる下半身にフィットするボトムのインナーウェアであって、脚筒部の背面中央部に、大腿二頭筋に当接するパワーの強いテープ地を設けたことを特徴とするインナーウェア。
【請求項5】
縦横方向に伸縮する編地からなる下半身にフィットするボトムのインナーウェアであって、脚筒部の背面中央部に、大腿二頭筋に当接するパワーの強いテープ地を設けると共に、前身頃の下方部と後身頃の下方部に超強パワーのX状編地を設けたことを特徴とするインナーウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−52276(P2012−52276A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198035(P2010−198035)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(591042414)株式会社ルシアン (9)
【Fターム(参考)】