説明

インバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法

【課題】モータをインバータによりコントロールするオイル潤滑式コンプレッサにおいて、モータ回転の低減時に圧縮機本体に潤滑油を過剰に供給されるのを防止するインバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法を提供する。
【解決手段】空気使用量13の低減時には、制御部6はインバータ1を介してモータ5の回転を低減させると共に電磁弁2の開閉をコントロールし、圧縮機本体4側への潤滑油の過剰供給を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機本体を作動するモータをインバータを用いてコントロールするオイル潤滑式のコンプレッサにおいて、モータ回転数に対応して圧縮機本体へ供給される潤滑油量を電磁弁をコントロールして調整するようにしたインバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油を用いたオイル潤滑式コンプレッサとしては、例えば「特許文献1」の如きものがあるが、その構成としては図2に示すものが通常使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−216048(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、このオイル潤滑式コンプレッサにあっては、図2に示すように、圧縮機本体4には潤滑油供給部より潤滑油が供給されると共にレシーバタンク10により分離した潤滑油11をクーラ12やフィルタ14及び電磁弁2を介して戻油される潤滑油供給系路が形成されている。
【0005】
一方、圧縮機本体4への空気の供給はエアクリーナ7や空気容量調整弁8を介して送られる。
【0006】
しかしながら、従来、上記のようなオイル潤滑式コンプレッサでは、空気使用側で空気使用量が低減した場合には、空気容量調整弁8を調整した供給空気量を調整し、コンプレッサの回転数を低減させてコンプレッサからの送気量をコントロールするようにしていた。
【0007】
一方、コンプレッサのモータ5のコントロールとしてはインバータを用いることにより円滑にコントロールされると共に、モータの回転数に見合った潤滑油の自動的供給を行うことにより省電力化と潤滑油の過剰供給をコントロールできることが知られている。
【0008】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、空気使用量の変化に対応してモータの回転をインバータにより制御すると共にモータの回転数に対応して圧縮機本体への潤滑油の供給量をコントロールして潤滑油の過剰供給を防止するようにした、インバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、インバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサのモータの回転の低下時における潤滑油の過剰供給を防止する方法であって、該方法は、コンプレッサに供給される潤滑油の供給系路に設けられている2つの電磁弁の開閉をモータの回転数に対応して制御し、圧縮機本体へ供給する潤滑油量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1のインバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法によれば、モータの回転をインバータを用いてコントロールすると共に空気使用量に対応してインバータを制御する制御部により2つの電磁弁の開閉をコントロールすることにより、圧縮機本体へ供給する潤滑油量を調整し、圧縮機本体への潤滑油の過剰供給を防止することができ、省電力化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の潤滑式コンプレッサの全体構成を示す構成図。
【図2】従来の潤滑式コンプレッサの全体構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のインバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法の実施の形態を図面を参照して詳述する。
【実施例】
【0013】
図1により、本発明の適用されているコンプレッサの全体構成についてまず説明する。
本実施形態のコンプレッサは、圧縮機本体4と、モータ5と、制御部6と、インバータ1と、電磁弁2と、エアクリーナ7と、レシーバタンク10と、クーラ12と、フィルタ14と、を備えている。
【0014】
圧縮機本体4は、モータ5により作動され、エアクリーナ7より空気が供給される。モータ5はインバータ1によりコントロールされ、インバータ1には空気使用量13に対応して制御を行う制御部6が連結される。また、圧縮機本体4からの圧縮空気はレシーバタンク10に送られ空気と潤滑油との分離が行われる。
【0015】
レシーバタンク10で分離された潤滑油11は、クーラ12で冷却され、フィルタ14を介して電磁弁2に送られる。電磁弁2は制御部6によりコントロールされ、コントロールされた潤滑油が圧縮機本体4に戻油されて再使用される。
【0016】
以上のように、空気使用量13に対応して制御部6はインバータ1と電磁弁2をコントロールして適量の潤滑油を圧縮機本体4に供給するように構成される。電磁弁2は第1の電磁弁2aと第2の電磁弁2bの2つのものからなり、第2の電磁弁2bには絞り弁が設けられている。
【0017】
空気使用量13が低下すると制御部6はインバータ1を介してモータ5をコントロールし、圧縮機本体の回転数を低減させる。この状態で潤滑油の供給量をコントロールしないと圧縮機本体4へ過剰の潤滑油が供給される。そこで制御部6は電磁弁2の第1の電磁弁2aを閉じ、第2の電磁弁2bのみを開いて圧縮機本体への潤滑油の供給を低減し、過剰供給を防止する。以上の動作によりモータ5の電流値も低減し省電力化の効果を上げることができる。
【0018】
本発明は、以上の説明の内容からなるが、これに限定するものではなく、同一技術的範疇のものが適用されることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明はオイル潤滑式コンプレッサの全てに適用可能であり、その利用範囲は広い。
【符号の説明】
【0020】
1 インバータ
2 電磁弁
2a 第1の電磁弁
2b 第2の電磁弁
4 圧縮機本体
5 モータ
6 制御部
7 エアクリーナ
10 レシーバタンク
11 潤滑油
12 クーラ
13 空気使用量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサのモータ回転の低下時における潤滑油の過剰供給を防止する方法であって、
該方法は、コンプレッサに供給される潤滑油の供給系路に設けられている2つの電磁弁をモータの回転数に対応して制御し、圧縮機本体へ供給する潤滑油量を調整する
ことを特徴とするインバータを用いたオイル潤滑式コンプレッサの潤滑油の過剰供給防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−256739(P2011−256739A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130128(P2010−130128)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000174987)三井精機工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】