説明

インバータトランスおよびそれを用いた放電灯点灯装置

【課題】簡易で安価な構造でありながら信頼性が高いインバータトランス、及び、そのインバータトランスを用いて二次側の開放状態時にその異常を高い精度で検出して駆動停止を可能とする放電灯点灯装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るインバータトランスT1は、ボビン3と、ボビン3の巻芯部の外周に巻回された一次巻線から構成される一次巻線部4と、ボビン3の巻芯部の外周に巻回された二次巻線から構成される二次巻線部5と、ボビン3の巻芯部の外周に巻回された三次巻線から構成される三次巻線部6とを備え、一次巻線部4と二次巻線部5と三次巻線部6は、巻芯部の中心軸方向に沿って、所定の間隔(F−E、A−B)を空けて並べて配設される。また、本発明に係る放電灯点灯装置は、二次側の開放状態時に、インバータトランスT1の三次巻線からのフィードバックを受けて、インバータトランスT1の出力電圧を制御する開放電圧検出回路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
テレビジョン、パーソナルコンピュータなどの電子機器に用いられる液晶ディスプレイ装置は液晶が非発光のため、バックライト装置のような照明装置を必要とする。このバックライト装置の光源には放電灯が用いられており、そのような放電灯として冷陰極蛍光管が一般に用いられている。近年、液晶ディスプレイ装置の大型化に伴い、液晶テレビジョン装置等の大型の液晶ディスプレイ装置では、高輝度の表示を必要とするため、バックライト装置の光源には複数本の冷陰極蛍光管(CCFL)が用いられている。冷陰極蛍光管を点灯するには高電圧が必要であるため、インバータ回路のスイッチング部にて高周波電圧を発生させ、インバータトランスで昇圧して点灯に必要な高電圧を得て冷陰極蛍光管に印加している。
【0002】
従来、インバータトランスは1出力型が一般的であり、1出力型の構造では、複数本の冷陰極蛍光管を点灯するために冷陰極蛍光管と同数のインバータトランスが必要となるため、大型の液晶ディスプレイ装置において、多数のインバータトランスを搭載する結果、バックライト装置が大型化してしまうという問題がある。このため、複数の二次巻線を備えて1個のインバータトランスで複数の出力が得られる構造としたインバータトランスが提案されている(例えば、図10参照)。
【0003】
図10(a)は、従来のインバータトランスの一例であるインバータトランス100を示す上面図、図10(b)はインバータトランス100に用いられるボビン105(105A,105B)の構成を示す上面図である。
【0004】
図10(a)に示すインバータトランス100は、コア103(103A,103B)と、一次巻線部106および二次巻線部107を有するボビン105(105A、105B)とを備えた2出力型のインバータトランスである。コア103は、コア103Aとコア103Bとを突き合せることによって構成され、コア103Aは、5個の脚部103a〜103eが連結部103fにて連結された略E型の形状を有している。 また、コア103Bも、5個の脚部103a’〜103e’が連結部103f’にて連結された略E型の形状を有している。コア103の2個の脚部103b−103b'、103d−103d'には、一次巻線106および二次巻線107が巻回されたボビン105A、105Bがそれぞれ装着されている。
【0005】
図10(b)に示すように、ボビン105Aおよびボビン105Bは、巻芯108と、巻芯108の両端にそれぞれ形成された端子台109A、109Bとから構成され、端子台109Aには一次巻線用端子ピン110、端子台109Bには二次巻線用端子ピン111が植設されている。巻芯108の外周には、10個のフランジ112が一体に形成されており、フランジ112aより外側に端子台109A、フランジ112jより外側に端子台109Bが配置され、フランジ112bとフランジ112cの間のセクションに一次巻線部106が配置され、フランジ112cとフランジ112jとの間でフランジ112d〜112iによって分割された複数のセクションには、二次巻線部107が配置されている。
【0006】
従来、このような構成のインバータトランス100を用いて複数の放電灯を駆動する放電灯点灯装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図11は、特許文献1に記載された放電灯点灯装置の回路構成を示す図である。
図11に示す放電灯点灯装置200は、制御回路202、制御回路202に接続されたフルブリッジ回路203、フルブリッジ回路203に接続されたインバータトランスT201,T202を備えている。
【0008】
放電灯点灯装置200において、制御回路202(一つのICにより構成されている)はフルブリッジ回路203を作動させ、フルブリッジ回路203はインバータトランスT201,T202の一次側に駆動信号を送信し、インバータトランスT201,T202は、直列接続されたCCFLを駆動して、大型液晶TV用の放電灯点灯装置を構成している。
【0009】
インバータトランスT201,T202は、リーケージ型のインバータトランスであり、直列接続された2つの一次巻線に対してそれぞれ対応する二次巻線が設けられている。各二次巻線の端子間には、直列接続された2つのコンデンサC201、C202が並列に接続され、2つの二次巻線の一端側(高圧側)には2本のCCFLのぞれぞれの一端が接続され、2本のCCFLのそれぞれの他端同士は連結され、1つのインバータトランスT201,T202で2本のCCFLを駆動する構成となっている。また、二次巻線の他端側(低圧側)は、それぞれ検出抵抗R201を介してGNDに接続されるとともにCCFLに寄生するコンデンサC203、C203が、2本のCCFLに対して、GNDとCCFLとの間にそれぞれ接続されている。
【0010】
フルブリッジ回路203は、直流電源からの電圧Vinを入力して、制御回路202からの駆動パルス信号により高周波電圧をインバータトランスT201,T202の一次側に入力し、二次巻線で昇圧させる。そして、この昇圧された電圧を二次巻線に接続された2本のCCFLに印加し、2本のCCFLを放電、点灯させている。
【0011】
図11に示すように、制御回路202は、三角波回路(発振回路)210、エラーアンプ回路211、PWM回路212、及びロジック回路213を備えている。この制御回路202は、三角波回路210からの三角波出力をPWM回路212に入力して、CCFLに流れる電流を電圧に変換する電流電圧変換回路により、その電圧がエラーアンプ回路211の反転入力部に入力されるようになっている。エラーアンプ回路211は、CCFLに応じた出力電圧をPWM回路212に出力し、PWM回路212は、三角波出力とエラーアンプ回路211の出力電圧を比較してパルス信号をロジック回路213に出力する。ロジック回路213は、三角波回路210の出力パルス信号とPWM回路212からの出力パルス信号により、フルブリッジ回路203へ入力するゲート信号を供給する。
【0012】
ロジック回路213のゲート信号によりフルブリッジ回路203は動作し、インバータトランスT201,T202の一次側に交流電流を流して、二次側の二次巻線に昇圧された電圧を誘起させてCCFLが駆動する。
【0013】
二次巻線の他端側(低圧側)に流れるランプ電流は、検出抵抗R201により電圧に変換され、ダイオードD202を介して制御回路202にフィードバックされる。インバータトランスT201,T202の二次側のどちらかがランプ抜け、コネクタオープンなどによる開放状態となった場合は、検出抵抗R201に発生する電圧が検出され、この電圧が制御回路202にフィードバックされることで、フルブリッジ回路203の作動が停止される。
【0014】
また、インバータトランスT201,T202の二次側に接続されたコンデンサC201、C202で分圧された信号が、ダイオードD201を介して制御回路202のエラーアンプ回路211及び過電圧保護回路(図示略)に供給される。この信号により、過電圧時にCCFLに印加される出力電圧が所定の電圧になるようにフィードバック制御される。また、制御回路202には、CCFLの調光を行うためのバースト信号を供給するバースト回路(図示略)が設けられている。この回路からの出力は、バースト信号となり、この信号によって、CCFLの電流をフィードバック制御するエラーアンプの反転入力をプルアップさせ、トランスの一次側を非作動にして、CCFLを断続的に作動させて調光ができるようになっている。
【0015】
【特許文献1】特開2006−140055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ここで、図10に示したトランス100を、図11に示した放電灯点灯装置200に適用することには、次のような問題があった。すなわち、放電灯点灯装置200では、CCFLをフィードバック制御するため、インバータトランスT201,T202の二次側にコンデンサC201、C202を設ける必要があるが、これらのコンデンサは高い耐圧を要求される高圧コンデンサを用いる必要があり、これは部品コストが高くなる要因となり、コストダウンが困難である。
【0017】
また、放電灯点灯装置200では、インバータトランスT201,T202の二次側の低圧側から検出抵抗R201を用いてランプ電流の有無を検知し、制御回路202へフィードバックするようにしているが、このフィードバック方式では、インバータトランスの二次側の一端が高圧側に接続され、他端がGND側に接続されるインバータトランスしか対応できない。
【0018】
また、近年の放電灯点灯装置では、低価格化のため、インバータトランスの一つの二次巻線の両端にそれぞれ1本のCCFLを接続することで2本のCCFLを駆動する方式が採用されるようになってきており、この駆動方式では二次側に低圧端子が無いため、二次側での開放状態による異常検出ができないという問題がある。
【0019】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易で安価な構造でありながら信頼性が高いインバータトランス、及び、そのインバータトランスを用いて二次側の開放状態時にその異常を高い精度で検出して駆動停止を可能とする放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0021】
(1)前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された一次巻線から構成される一次巻線部と、前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された二次巻線から構成される二次巻線部と、前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された三次巻線から構成される三次巻線部と、を備えるインバータトランスであって、前記一次巻線部と前記二次巻線部と前記三次巻線部は、前記巻芯部の中心軸方向に沿って、所定の間隔を空けて並べて配設されることを特徴とするインバータトランス(請求項1)。
【0022】
(2)(1)項に記載のインバータトランスにおいて、前記一次巻線部と前記二次巻線部と前記三次巻線部は、前記巻芯部の中心軸方向に沿ってこの順番に配設されるとともに、前記二次巻線部と前記三次巻線部との間の前記所定の間隔を1mm以上としたことを特徴とするインバータトランス(請求項2)。
【0023】
(3)(2)項に記載のインバータトランスにおいて、前記一次巻線部と前記二次巻線部との間の前記所定の間隔を1mm以上としたことを特徴とするインバータトランス(請求項3)。
【0024】
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載のインバータトランスにおいて、前記一次巻線用の入力端子と前記三次巻線用の出力端子は、前記巻芯部の中心軸方向に延び、かつ、前記ボビンの両端に位置することを特徴とするインバータトランス(請求項4)。
【0025】
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のインバータトランスにおいて、前記二次巻線用の出力端子は、前記ボビンの一側面から前記一次巻線用の入力端子と前記三次巻線用の出力端子の両方に対して直角方向に延びることを特徴とするインバータトランス(請求項5)。
【0026】
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載のインバータトランスと、該インバータトランスを所定の駆動周波数で駆動するブリッジ回路と、該ブリッジ回路の作動を制御する制御回路とを備え、前記インバータトランスに接続された放電灯を点灯する放電灯点灯装置であって、前記インバータトランスの二次側に形成されたリーケージインダクタンスと容量による共振回路と、前記インバータトランスの前記三次巻線の一端と前記制御回路との間に設けられ、二次側が開放状態のときに、前記共振回路の共振特性が変化することにより発生する開放電圧を検出して、前記インバータトランスの出力電圧が所定の電圧になるように前記ブリッジ回路の作動を制御するための開放電圧検出回路と、を備えることを特徴とする放電灯点灯装置(請求項6)。
【0027】
(7)(6)項に記載の放電灯点灯装置において、前記三次巻線の一端と前記制御回路との間に設けられ、二次側が開放状態のときに、前記共振回路の共振特性が変化することにより発生する開放電圧を検出して、前記ブリッジ回路の作動を停止するための異常検出回路をさらに備えることを特徴とする放電灯点灯装置(請求項7)。
【0028】
(8)(3)〜(5)のいずれか1項に記載のインバータトランスと、該インバータトランスを所定の駆動周波数で駆動するブリッジ回路と、該ブリッジ回路の作動を制御する制御回路と、を備え、前記インバータトランスの前記二次巻線の両端のそれぞれには、2本の放電灯のそれぞれの一端が接続され、前記2本の放電灯のそれぞれの他端は、互いに接続されるかまたはGND側に接続されることを特徴とする放電灯点灯装置(請求項8)。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るインバータトランスは、上記のように構成したため、簡易で安価な構造でありながら信頼性が高く、インバータトランスの一つの二次巻線の両端にそれぞれ1本のCCFLを接続して2本のCCFLを駆動する放電灯点灯装置に、好適に用いることが可能となる。また、本発明に係るインバータトランスを用い、開放電圧検出回路を備えた放電灯点灯装置は、二次側の開放状態時にその異常を高い精度で検出して駆動を停止させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0031】
(インバータトランスの実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるインバータトランスT1を示す上面図、図2は、インバータトランスT1に用いられるボビン3の構成を、さらに詳細に示す上面図である。
【0032】
図1に示すインバータトランスT1は、例えばフェライト材からなる二つのU型コア2A、2Bと、例えば液晶ポリマー等の合成樹脂により矩形筒状に成形されたボビン3と、ボビン3の外周に巻回された一次巻線、二次巻線、および三次巻線からそれぞれ構成される一次巻線部4、二次巻線部5、および三次巻線部6を備えている。一次巻線部4、二次巻線部5、および三次巻線部6は、ボビン3の巻芯部10の中心軸方向に沿って、後述する所定の間隔を空けて、この順番に並べて配設されている。
【0033】
コア2A、2Bは、それぞれの一方の脚2a、2bがボビン3の中央孔に挿入され、ボビン3の外側に配置される他方の脚2a’、2b’とともに、コア2A、2Bの対向面を突き合わせて接合することにより、一体のUU型コア2を構成するものである。また、ボビン3には、一次巻線用入力端子14、二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)16a,16a’、二次巻線用出力端子(パターン接続用)16b,16b’、三次巻線用出力端子15がそれぞれ植設されている。
【0034】
ここで、図2を参照して、本実施形態におけるボビン3の構成を詳しく説明する。
図2に示すボビン3は、巻芯部10を分割する複数のフランジを有しており、第1のフランジ11aと第2のフランジ11bの間には、一次巻線部4が形成される第1の巻芯部10aが設けられ、第2のフランジ11bと第3のフランジ11cの間には、一次巻線部4と二次巻線部5との間の絶縁距離を形成する第1の空間溝部12aが設けられている。また、第3のフランジ11cと第5のフランジ11eの間には、二次巻線部5が形成される第2の巻芯部10bが設けられ、第5のフランジ11eと第6のフランジ11fとの間には、二次巻線部5と三次巻線部6との間の絶縁距離を形成する第2の空間溝部12bが、第6のフランジ11fと第7のフランジ11gの間には、三次巻線部6が形成される第3の巻芯部10cが設けられている。さらに、第2の巻芯部10bは、複数(図2では8個)の第4のフランジ11dによって分割されており、二次巻線部5は分割巻きにて巻回される。
【0035】
ボビン3の両端には、第1のフランジ11aによって仕切られた第1の端子台13aと第7のフランジ11gによって仕切られた第2の端子台13bが設けられている。さらに、ボビン3の、第2のフランジ11bから第3のフランジ11cにまたがる部分の一方の側面には第3の端子台13cが、また、第5のフランジ11eから第6のフランジ11fにまたがる部分の第3の端子台13cと同一の側面には、第4の端子台13dが設けられている。
【0036】
第1の端子台13aには一次巻線用入力端子14が、第2の端子台13bには三次巻線用出力端子15が植設されており、第3の端子台13cには、二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)16a’と二次巻線用出力端子(パターン接続用)16b’が植設され、第4の端子台13dには二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)16aと二次巻線用出力端子(パターン接続用)16bが植設されている。一次巻線用入力端子14と三次巻線用出力端子15は、それぞれ、巻芯部10の中心軸方向に延び、かつ、ボビン3の両端に配置されている。そして、二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)16aと二次巻線用出力端子(パターン接続用)16bは、ボビン3の一方の側面から一次巻線用入力端子14および三次巻線用出力端子15の両方に対して直角方向に延び、二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)16a’と二次巻線用出力端子(パターン接続用)16b’も、ボビン3の同一の側面から一次巻線用入力端子14および三次巻線用出力端子15の両方に対して直角方向に延びている。
【0037】
一次巻線用入力端子14と三次巻線用出力端子15は、それぞれ、巻芯部10の中心軸方向に延び、かつ、ボビン3の両端に配置され、二次巻線用出力端子16a、16a’,16b、16b’は、一次巻線用入力端子14および三次巻線用出力端子15の両方に対して直角方向に延びることで、一次、二次、三次のそれぞれの巻線の引き出し部が交差することがなく、かつ、お互いに離れる方向に引き出されるため、十分な絶縁距離を確保することが可能となる。
また、二次巻線用出力端子16a、16a’、16b、16b’がボビン3の同一の側面から延びることで、二次巻線がCCFLに接続される距離を最短することができる。これによって、配線パターンによる余分な浮遊容量を少なくすることができ、浮遊容量によるトランスの共振特性のずれへの影響が軽減され、CCFLに流れるランプ電流のバランスを良好にすることができる。
【0038】
さらに、本実施形態におけるインバータトランスT1では、二次巻線部5と三次巻線部6との間および一次巻線部4と二次巻線部5との間の距離が、それぞれ1mm以上になるように配置されている。
【0039】
この点について詳述すれば、次の通りである。すなわち、本実施形態において、二次巻線部5と三次巻線部6との間には、第5のフランジ11e、第2の空間溝部12b、および第6のフランジ11fにより形成された1mm以上の間隔(例えば、図1に示す位置Aと位置Bとの間の距離)が存在する。さらに、本実施形態では、二次巻線用出力端子16aに引き出される二次巻線の引き出し部(図示略)および二次巻線用出力端子16a、16bと、三次巻線部6との間の最短距離(図1に示す位置Cと位置Dとの間の距離)も、1mm以上となるように設定されている。
【0040】
同様に、二次巻線部5と一次巻線部4との間には、第2のフランジ11b、第1の空間溝部12a、および第3のフランジ11cにより形成された1mm以上の間隔(例えば、図1に示す位置Eと位置Fとの間の距離)が存在する。また、二次巻線用出力端子16a’に引き出される二次巻線の引き出し部(図示略)及び二次巻線用出力端子16a、16bと、一次巻線部4との間の最短距離(図1に示す位置Gと位置Hとの間の距離)も、1mm以上となるように設定されている。
【0041】
このように、本実施形態では、二次巻線部5、二次巻線用出力端子16a、16a’に引き出される二次巻線の引き出し部(図示略)、および二次巻線用出力端子16a、16a’、16b、16b’を含めた広義の二次巻線部(以下、二次巻線部(5)と記す)の全体と三次巻線部6との間、および、二次巻線部(5)の全体と一次巻線部4との間に、1mm以上の間隔が設けられている。
【0042】
以上のような構成とすることにより、コロナ放電やアーク放電などの異常放電の発生を防ぐことが可能となり、信頼性の高いインバータトランスを提供することができる。
【0043】
ここで、二次巻線部(5)と三次巻線部6との間および一次巻線部4と二次巻線部(5)との間の間隔を、それぞれ1mm以上としたことの技術的意義を説明する。
【0044】
一例として、32インチサイズの液晶TVに用いられる放電灯点灯装置について考察する。この種の放電灯点灯装置では、二次巻線部の通常動作電圧がおよそ1000Vであり、異常時の電圧がおよそ1500〜2000Vである。異常時には、例えば、二次巻線部5と三次巻線部6と間(例えば、位置Aの部分と位置Bの部分との間、あるいは、位置Cの部分と位置Dの部分との間)に1500V〜2000Vの電位差が加わるため、二次巻線部5(または二次側全体)と三次巻線部6との間に一定以上の間隔が確保されていない場合、コロナ放電やアーク放電などの異常放電が発生し、インバータの動作不能による駆動停止、最悪の場合には、異常放電による発煙・発火が生じる。
【0045】
そこで、本発明者等は、Dakin等により提唱されている以下の実験式に基づいて、確保すべき間隔を求めた。
V=720*(t/ε’)0.46
(V:コロナ放電の開始電圧(単位:V)、t:絶縁層の厚さ(単位:mil)、ε’:絶縁層の比誘電率)
【0046】
ここで、絶縁層をボビンの汎用的な構成材料である合成樹脂としてその比誘電率ε’を4.0とし、開始電圧を1500Vとして、上式を満たす絶縁層(合成樹脂層)の厚さtを求めた。得られた厚さは、mm単位で約0.5mmであり、この厚さ(距離)でコロナ放電が開始されると考えられる。さらに、本発明者等の研究によって、温度、湿度等の変動によりコロナ放電の開始される距離が変動することなどを考慮すれば、マージンを50%とすることが適当であることがわかったため、本実施形態において、二次巻線部(5)と三次巻線部6との間の間隔を、1mm以上としたものである。また、同様の考察により、一次巻線部4と二次巻線部(5)との間の間隔も、1mm以上とした。
【0047】
尚、この計算は、二次巻線部(5)と三次巻線部6との間および一次巻線部4と二次巻線部(5)との間が、合成樹脂層(例えば、ボビンのフランジ)のみで仕切られている場合に相当するものであるが、本実施形態によるインバータトランスT1のように、例えば、二次巻線部5と三次巻線部6との間および一次巻線部4と二次巻線部6との間を、それぞれ二つのフランジと二つのフランジ間に挟まれる空間溝部とからなる構成とした場合には、フランジのみの場合よりも絶縁性が高くなるため、1mm以上の距離を確保すれば異常放電を防ぐことができる。
【0048】
また、32インチサイズより小さい液晶TVに用いられる放電灯点灯装置では、開放電圧が上記の開始電圧(1500V)よりも低くなる傾向を有するため、二次巻線部と三次巻線部との間に1mm以上の距離を確保すれば異常放電の発生が防げることがわかる。また、32インチサイズより大きい液晶TVに用いられる放電灯点灯装置では、開放電圧が上記の開始電圧(1500V)よりの高くなる傾向を有するため、想定される開放電圧に基づいて絶縁層の厚さtを算出し、二次巻線部と三次巻線部との間および一次巻線部と二次巻線部との間にそれぞれ1mm以上で、必要とされる距離を設けることで異常放電の発生を防ぐことが可能となる。
【0049】
以上のように、本実施形態によるインバータトランスT1のように、二次巻線部(5)と三次巻線部6との間および一次巻線部4と二次巻線部(5)との間の距離を1mm以上とすることで、アーク放電やコロナ放電などの異常放電の発生を防ぐことが可能となり、信頼性の高いインバータトランスを提供することが可能となる。これは、一つの二次巻線部の両端にそれぞれ1本のCCFLを接続して2本のCCFLを駆動するように用いられるインバータトランスにおいて、有利なものである。
【0050】
尚、一つの二次巻線部の一端が高圧側に接続され、他端がGND側に接続される構成をとるインバータトランスの場合は、二次巻線部の一次巻線部側を低圧側とすることにより、一次巻線部と二次巻線部との間に、必ずしも一定の間隔(例えば、1mm以上)を確保する必要はない。
【0051】
(放電灯点灯装置の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による放電灯点灯装置について、添付図面に基づいて説明する。
【0052】
図3は、インバータトランスT1を用いた放電灯点灯装置の概略の回路構成を示す図である。図3に示す放電灯点灯装置20は、制御回路22、制御回路22に接続されたフルブリッジ回路23、フルブリッジ回路203に接続されたインバータトランスT1を備えている。
【0053】
放電灯点灯装置20は、例えば大型液晶TV用に好適な放電灯点灯装置またはその一部に相当するものであり、制御回路22(一つのICにより構成されている)はフルブリッジ回路23を作動させ、フルブリッジ回路23はインバータトランスT1の一次巻線W1に駆動信号を送信し、インバータトランスT1は、二次巻線W2に接続されたCCFL(La1,La2)を駆動する。
【0054】
本実施形態で用いられるインバータトランスT1は、上述した第1の実施形態によるインバータトランスT1であり、その二次巻線部を構成する二次巻線W2用の二つの出力端子のそれぞれには、ランプコネクタCN1を介して2本のCCFL(La1,La2)のそれぞれの一端が接続されている。そして、2本のCCFL(La1,La2)のそれぞれの他端同士は連結され、インバータトランスT1の一つの二次巻線W2で2本のCCFL(La1,La2)を駆動する構成となっている。
【0055】
制御回路22は、図11に示した従来の放電灯点灯装置200の制御回路202と同様な構成を有するため、詳細な図示および説明は省略する。
【0056】
フルブリッジ回路23は、直流電源からの電圧Vinを入力して、制御回路22からの駆動パルス信号により、インバータトランスT1の一次巻線部を構成する一次巻線W1に高周波電圧を入力し、二次巻線W2で昇圧させる。そして、この昇圧された電圧を二次巻線W2に接続された2本のCCFL(La1,La2)に印加し、2本のCCFLを放電、点灯させている。また、放電灯点灯装置20には、インバータトランスT1の二次側にリーケージインダクタンスと容量による共振回路が構成されている。
【0057】
ここで、本実施形態による放電灯点灯装置20において、インバータトランスT1を用いて開放電圧を検出する回路の動作について説明する。
【0058】
インバータトランスT1には、上述したように、二次巻線部と1mm以上の間隔を設けて三次巻線部が配置されている。三次巻線部を構成する三次巻線W3の一端は、検出抵抗R1を介してGND側に接続され、他端はGNDに接続されている。また、三次巻線W3の一端には、開放電圧検出回路24および異常検出回路25が接続されている。開放電圧検出回路24は、ダイオードD1からなり、異常検出回路25は、コンパレータCP1と、コンパレータCP1のプラス(+)側入力端子に接続されたダイオードD2と,コンデンサC1と,コンパレータCP1のマイナス(−)側入力端子に接続された抵抗R2、R3とからなる。開放電圧検出回路24の出力と異常検出回路25の出力はどちらも制御回路22に接続されている。
【0059】
開放電圧検出回路24について説明する。三次巻線W3の一端側に流れる電流は検出抵抗R1により電圧に変換され、ダイオードD1である開放電圧検出回路24を介して制御回路22にフィードバックされる。インバータトランスT1の二次側の両端のどちらかがランプ抜け、コネクタオープンなどによって開放状態となった場合は、インバータトランスT1の二次側に構成されたリーケージインダクタンスと容量による共振回路の共振特性が正常時に対して変化する(この点については、後述する)ことにより発生する開放電圧が検出抵抗R1によって検出され、この開放電圧がフィードバックされて、インバータトランスT1の駆動電圧が一定の電圧になるように、制御回路22によって、フルブリッジ回路23の動作が制御される。
【0060】
次に、異常検出回路25について説明する。三次巻線W3の一端側に流れる電流は検出抵抗R1により検出電圧に変換され、ダイオードD2を介してコンパレータCP1のプラス(+)側入力端子に入力される。コンパレータCP1のマイナス(−)側入力端子には基準電圧Vrefを抵抗R2,R3により分圧した電圧が入力される。そして、コンパレータCP1のプラス(+)側入力端子に入力された検出電圧と、コンパレータCP1のマイナス(−)側入力端子に加わる分圧電圧とが比較され、検出電圧が分圧電圧よりも大きい場合は、コンパレータCP1からの出力信号が制御回路22にフィードバックされる。
【0061】
インバータトランスT1の二次側の両端のどちらかがランプ抜け、コネクタオープンなどによって開放状態となった場合は、インバータトランスT1の二次側に構成されたリーケージインダクタンスと容量による共振回路の共振特性が正常時に対して変化することにより発生する開放電圧が、検出電圧としてコンパレータCP1に入力される。ここで、コンパレータCP1のマイナス(−)側入力端子に入力される分圧電圧は、想定される開放電圧よりも小さく設定されており、コンパレータCP1からの出力信号が制御回路22にフィードバックされ、制御回路22は、この出力信号を受けて、フルブリッジ回路23の作動を停止させる。
【0062】
これらの2つの検出回路を用いることで、開放電圧検出回路24により開放状態が検知されてからしばらくの間はインバータトランスT1の出力電圧が所定の電圧になるように制御し、さらに開放状態が続く場合には以上検出回路25による検出結果を受けて作動を停止するといった制御を行うことができる。
【0063】
次に、共振回路の共振特性の変化について説明する。
図4(a)、(b)は、CCFLを含めたインバータトランスT1の二次側の等価回路を示している。図4(a)はCCFLがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合に対応しており、図4(b)はCCFLがランプコネクタCN1に接続されていない場合に対応している。
【0064】
CCFLがランプコネクタCN1に接続されている場合には、図4(a)に示すように、相互インダクタンスM、インバータトランスT1の二次側のリーケージインダクタンスLe2、およびインバータトランスT1の二次側の付加容量CoとCCFLの寄生容量CLCDとの合成容量によって共振回路が構成される。尚、Rはランプインピーダンスであり、一次側のリーケージインダクタンスLe1は、共振には実質的に関与しない回路定数である。
【0065】
CCFLがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合、共振回路の直列共振周波数Fsおよび並列共振周波数Fpは次式のように表される。
Fs=1/(2π√(Le2×(Co+CLCD)))
Fp=1/(2π√((Le2+M)×(Co+CLCD)))
【0066】
一方、CCFLがランプコネクタCN1に接続されていない場合には、図4(b)に示すように、相互インダクタンスM、インバータトランスT1の二次側のリーケージインダクタンスLe2、およびインバータトランスT1の二次側の付加容量Coによって共振回路が構成される。このときの共振回路の直列共振周波数Fs’および並列共振周波数Fp’は、次式のように表される。
Fs’=1/(2π√(Le2×Co))
Fp’=1/(2π√((Le2+M)×Co))
【0067】
このように、CCFLがランプコネクタCN1に接続されている場合とCCFLがランプコネクタCN1に接続されていない場合とでは共振特性が変化することがわかる。
【0068】
共振特性の変化について、実際の測定結果を示して具体的に説明すれば、次の通りである。図3に示す構成を備えた放電灯点灯装置20に対して、インピーダンスアナライザーにより、インバータトランスT1の二次側のゲインの周波数特性とフェーズの周波数特性を測定した結果を、図5〜図7に示す。ここで、ゲインとは、インバータトランスT1の一次側の電流と電圧との比を意味し、インバータトランスT1の負荷の一次側から見たアドミッタンスに相当する。また、フェーズとは、インバータトランスT1の一次側の電圧と電流との位相差を意味する。
【0069】
図5は、二次側のCCFLのすべてがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合、図6は、二次側が全開放状態(CCFLのすべてがランプコネクタCN1に接続されていない場合)、図7は、二次側が半開放状態(二つのCCFLのうちのどちらかがランプコネクタCN1に接続されていない場合)における、それぞれのゲインの周波数特性とフェーズの周波数特性を示している。
【0070】
図5に示すように、二次側のCCFLのすべてがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合は、駆動周波数41kHzにおける測定点Mにおいて、ゲインの値は−40.4013dBを示している。これに対して、図6に示すように、二次側が全開放状態では、駆動周波数56kHzにおける測定点Mにおいて、ゲインの値は−55.5765dBを示す。また、図7に示すように、二次側が半開放状態では、駆動周波数56kHzにおける測定点Mにおいて、ゲインの値は−49.2486dBを示す。
【0071】
このように、正常時、全開放状態、半開放状態によって共振特性が変化し、全開放状態および半開放状態によって発生する開放電圧は正常時の電圧と異なるため、この開放電圧を三次巻線W3と制御回路22の間に設けられた開放電圧検出回路24および異常検出回路25によって検出することにより異常をフィードバックすることができる。
【0072】
次に、図8を参照して、インバータトランスにおける三次巻線部の配置位置と検出電圧の関係について説明する。
【0073】
図8は、インバータトランスにおける三次巻線部6が配置される位置の違いを示した図であり、図8(a)は、ボビン3において、三次巻線部6が一次巻線部4の外周側に重ねて巻回されている状態(位置P1と呼ぶ)であり、図8(b)は、ボビン3において、三次巻線部6が一次巻線部4に隣接して設けられた溝に巻回された状態(位置P2と呼ぶ)であり、図8(c)は、ボビン3において、三次巻線部6が一次巻線部4と反対側の二次巻線部5の一方端側に巻回された状態(位置P3と呼ぶ)であり、言い換えれば、一次巻線部4と二次巻線部5と三次巻線部6とを、ボビン3の巻芯部の中心軸方向に沿ってこの順番に配設したものである。上述したように、本発明の第1及び第2の実施形態におけるインバータトランスT1は、図8(c)に示す位置P3の配置をとる。
【0074】
図9は、全開放時の三次巻線部6による検出電圧の周波数に対する特性を、図8(a)〜(c)に示した三次巻線部6のそれぞれの配置位置について示したグラフである。
【0075】
図9に示すように、位置P1および位置P2では、三次巻線部6と一次巻線部4との距離が近く、三次巻線部6が開放状態によって増大する管電圧を検出する時に、三次巻線部6と一次巻線部4との結合が強くなるため、一次巻線部4の影響を受けることによって三次巻線部6によって検出される二次側の電圧の検出精度が低くなる。これに対して、位置P3では、三次巻線部6が一次巻線部4と離れているため、一次巻線部4のとの結合が弱くなるため、一次巻線部4の影響を受けることがなく、三次巻線部6は管電圧に比例した電圧を検出することができるため、三次巻線部6による二次側の電圧の検出精度が高い。
【0076】
このように、本実施形態による放電灯点灯装置20によれば、これに用いられるインバータトランスT1が、一次巻線部4と二次巻線部5と三次巻線部6とをこの順番に配設するように構成されているとともに、三次巻線W3と制御回路22との間に、インバータトランスT1の二次側に構成されたリーケージインダクタンスと容量による共振回路の共振特性が、二次側が開放状態の時に正常時に対して変化することにより発生する開放電圧を検出する開放電圧検出回路24および異常検出回路25を設けたことによって、二次側の開放電圧を高い精度で検出することが可能な放電灯点灯装置を提供することができる。
【0077】
以上、本発明を好ましい実施形態によって説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変形や応用が可能である。
例えば、上記の実施形態においては、インバータトランスを構成するコアをUU型形状としたが、本発明は、このコア形状に限定されるものではない。
【0078】
また、本発明に係る放電灯点灯装置の回路構成も、実施形態の回路構成に限定されるものではなく、様々な構成が適用可能である。例えば、ブリッジ回路はハーフブリッジ回路でもプッシュプル回路でもよい。また、開放電圧検出回路、異常検出回路も、同等の機能を有する他の回路構成を用いて実現することも可能である。
【0079】
また、第2の実施形態による放電灯装置20の場合ように、放電灯の構成は、一端が二次側の両端に接続される2本の放電灯の他端がお互いに接続されている構成に限定されるものではなく、2本の放電灯の他端のそれぞれがGND側に接続されていてもよい。さらに、本発明に係る放電灯点灯装置で駆動される放電灯(CCFL)は、直管タイプに限らす、U字管、コ字管など、他の形状の放電灯であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインバータトランスT1を示す上面図である。
【図2】図1に示すインバータトランスT1に用いられるボビンの構成を示す上面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による放電灯点灯装置の概略の回路構成を示す図である。
【図4】(a)は、CCFLがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合に対応した、CCFLを含めたインバータトランスT1の二次側の等価回路であり、(b)は、CCFLがランプコネクタCN1に接続されていない場合に対応した、CCFLを含めたインバータトランスT1の二次側の等価回路である。
【図5】二次側のCCFLのすべてがランプコネクタCN1に正常に接続されている場合の、インバータトランスT1の二次側のゲインの周波数特性とフェーズの周波数特性を示すグラフである。
【図6】二次側が全開放状態におけるインバータトランスT1の二次側のゲインの周波数特性とフェーズの周波数特性を示すグラフである。
【図7】二次側が半開放状態におけるインバータトランスT1の二次側のゲインの周波数特性とフェーズの周波数特性を示すグラフである。
【図8】インバータトランスにおける三次巻線部の配置位置の違いを示した図である。
【図9】全開放時の三次巻線部による検出電圧の周波数に対する特性を、図8に示す三次巻線部のそれぞれの配置位置について示したグラフである。
【図10】(a)は、従来のインバータトランスの一例であるインバータトランスを示す上面図、(b)は、(a)に示すインバータトランスに用いられるボビンの構成を示す上面図である。
【図11】従来の放電灯点灯装置の一例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0081】
2,2A,2B:コア、2a,2a’,2b,2b’:脚、3,3a:ボビン、4:一次巻線部、5:二次巻線部、6:三次巻線部、10a:第1の巻芯部、10b:第2の巻芯部、10c:第3の巻芯部、11a:第1のフランジ、11b:第2のフランジ、11c:第3のフランジ、11d:第4のフランジ、11e:第5のフランジ、11f:第6のフランジ、11g:第7のフランジ、12a:第1の空間溝部、12b:第2の空間溝部、13a:第1の端子台、13b:第2の端子台、13c:第3の端子台、13d:第4の端子台、14:一次巻線用入力端子、15:三次巻線用出力端子、16a,16a’:二次巻線用出力端子(巻線の引き出し部からげ用)、16b,16b':二次巻線用出力端子(パターン接続用)、20:放電灯点灯装置、22:制御回路、23:フルブリッジ回路、24:開放電圧検出回路、25:異常検出回路、T1:インバータトランス、W1:一次巻線、W2:二次巻線、W3:三次巻線、CN1:ランプコネクタ、La1,La2:CCFL、R1:検出抵抗、R2,R3:抵抗、D1,D2:ダイオード、C1:コンデンサ、CP1:コンパレータ、Vref:基準電圧、Co:付加容量、CLCD:寄生容量、Le2:二次側のリーケージインダクタンス、M:相互インダクタンス、R:ランプインピーダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと、
前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された一次巻線から構成される一次巻線部と、
前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された二次巻線から構成される二次巻線部と、
前記ボビンの巻芯部の外周に巻回された三次巻線から構成される三次巻線部と、
を備えるインバータトランスであって、
前記一次巻線部と前記二次巻線部と前記三次巻線部は、前記巻芯部の中心軸方向に沿って、所定の間隔を空けて並べて配設されることを特徴とするインバータトランス。
【請求項2】
前記一次巻線部と前記二次巻線部と前記三次巻線部は、前記巻芯部の中心軸方向に沿ってこの順番に配設されるとともに、前記二次巻線部と前記三次巻線部との間の前記所定の間隔を1mm以上としたことを特徴とする請求項1に記載のインバータトランス。
【請求項3】
前記一次巻線部と前記二次巻線部との間の前記所定の間隔を1mm以上としたことを特徴とする請求項2に記載のインバータトランス。
【請求項4】
前記一次巻線用の入力端子と前記三次巻線用の出力端子は、前記巻芯部の中心軸方向に延び、かつ、前記ボビンの両端に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインバータトランス。
【請求項5】
前記二次巻線用の出力端子は、前記ボビンの一側面から前記一次巻線用の入力端子と前記三次巻線用の出力端子の両方に対して直角方向に延びることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインバータトランス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のインバータトランスと、該インバータトランスを所定の駆動周波数で駆動するブリッジ回路と、該ブリッジ回路の作動を制御する制御回路とを備え、前記インバータトランスに接続された放電灯を点灯する放電灯点灯装置であって、
前記インバータトランスの二次側に形成されたリーケージインダクタンスと容量による共振回路と、前記インバータトランスの前記三次巻線の一端と前記制御回路との間に設けられ、二次側が開放状態のときに、前記共振回路の共振特性が変化することにより発生する開放電圧を検出して、前記インバータトランスの出力電圧が所定の電圧になるように前記ブリッジ回路の作動を制御するための開放電圧検出回路と、を備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記三次巻線の一端と前記制御回路との間に設けられ、二次側が開放状態のときに、前記共振回路の共振特性が変化することにより発生する開放電圧を検出して、前記ブリッジ回路の作動を停止するための異常検出回路をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項3から5のいずれか1項に記載のインバータトランスと、該インバータトランスを所定の駆動周波数で駆動するブリッジ回路と、該ブリッジ回路の作動を制御する制御回路と、を備え、
前記インバータトランスの前記二次巻線の両端のそれぞれには、2本の放電灯のそれぞれの一端が接続され、前記2本の放電灯のそれぞれの他端は、互いに接続されるかまたはGND側に接続されることを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−92763(P2010−92763A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262831(P2008−262831)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】