説明

インバータユニット

【課題】インバータ側からコネクタまでの電気的接続をより容易に行なえるようにする。
【解決手段】インバータ22を収容するインバータケース30に、バッテリ16からのケーブル18とインバータ22側との電気的接続に用いられる高電圧用コネクタ50を収容するための収容部32を上面側が開口となるよう形成すると共に、収容部32の開口を塞ぐようにインバータケース30に取り付けるためのカバーを設ける。これにより、高電圧用コネクタ50の収容部32への収容とカバー40のインバータケース30への取り付けとをインバータケース30の上方からの作業によって行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリからのケーブルをインバータ側に電気的に接続するための端子台が内部に設けられると共に外表面に差込口が形成された収容ケースと、ケーブルの端部に取り付けられると共に収容ケースの差込口に差し込まれたときに端子が端子台に接続されるコネクタと、収容ケース内に配置されてコネクタが脱落すると収容ケースの差込口を閉塞する絶縁部材と、を備える電気機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電気機器では、こうした構成とすることにより、外部からの衝撃力によってコネクタが脱落した際に、収容ケースの内部が露出するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−134654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、インバータを収容するインバータケースと、バッテリからのケーブルとインバータ側との電気的接続に用いられるコネクタを収容するコネクタシェルとを別体で構成するものでは、インバータからコネクタまでの電気的接続を行なう際に、コネクタのコネクタシェルへの収容(例えばケースの上方からの作業)とコネクタシェルのインバータケースへの取り付け(例えばケースの側面側からの作業)とを行なう必要があり、作業が比較的煩雑になっていた。
【0005】
本発明のインバータユニットでは、インバータ側からコネクタまでの電気的接続をより容易に行なえるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインバータユニットは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のインバータユニットは、
バッテリからの電力を用いてモータを駆動するインバータをケースに収容してなるインバータユニットであって、
前記ケースには、前記バッテリからのケーブルと前記インバータ側との電気的接続に用いられるコネクタを収容するための収容部が上面が開口するよう形成されてなり、
前記収容部の開口を塞ぐように前記ケースに取り付けるためのカバーを設ける、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のインバータユニットでは、バッテリからの電力を用いてモータを駆動するインバータを収容するケースにバッテリからのケーブルとインバータ側との電気的接続に用いられるコネクタを収容するための収容部を上面が開口するよう形成すると共に、収容部の開口を塞ぐようにケースに取り付けるためのカバーを設ける。したがって、コネクタをケースの上方から収容部に収容してコネクタをインバータ側に電気的に接続し(例えばコネクタの端子とインバータ側の端子とを接続し)、カバーをケースの上方からケースに取り付けることにより、インバータからコネクタまでを電気的に接続すると共にケース内を防水することができる。即ち、インバータからコネクタまでの電気的接続をケースの上面側からの作業によって行なうことができる。この結果、この作業をより容易に行なうことができる。しかも、コネクタを収容するコネクタシェルをケースと別体で構成するものとは異なりコネクタシェルをケースに取り付けるという作業を要しないから、インバータからコネクタまでの電気的接続の作業をより簡易なものとすることができると共にこの作業に要するボルトなどの部品点数を削減することができる。さらに、このインバータユニットを自動車のボディに取り付ける場合、コネクタシェルをケースと別体で構成するものに比して、接地(ボディ)までの抵抗の低減を図ることができ、電磁シールドの性能の向上を図ることができる。なお、バッテリからのケーブルをコネクタに取り付けることにより、ケーブルとインバータ側とをコネクタを用いて電気的に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例としてのインバータユニット20を搭載するハイブリッド自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】インバータユニット20の構成の概略を示す構成図である。
【図3】インバータユニット20の一部の分解斜視図である。
【図4】比較例のインバータユニット20Bの構成の概略を示す構成図である。
【図5】インバータユニット20Bの一部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例としてのインバータユニット20を搭載するハイブリッド自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、インバータユニット20の構成の概略を示す構成図であり、図3は、インバータユニット20の一部の分解斜視図である。
【0012】
実施例のインバータユニット20は、図1に示すように、走行用の動力を出力可能なエンジン12や、走行用の動力を出力可能なモータ14,バッテリ16などと共にハイブリッド自動車10に搭載されており、バッテリ16からの電力を用いてモータ14を駆動するインバータ22と、インバータ22を収容するインバータケース30と、インバータケース30の上面の開口部分を塞ぐカバー40(図2および図3参照)と、を備える。なお、バッテリ16とインバータ22との電気的接続は、バッテリ16からのケーブル18とインバータ22に電気的に接続されたインバータ側端子24(図3参照)とが高電圧用コネクタ50を用いて(介して)電気的に接続されることによって行なわれる。以下、説明の都合上、まず、高電圧用コネクタ50について説明し、その後、インバータケース30などについて説明する。
【0013】
高電圧用コネクタ50は、図2および図3に示すように、バッテリ16からのケーブル18を図中下方から挿入するための挿入部52と、ケーブル18が挿入部52に挿入されて高電圧用コネクタ50に取り付けられたときにケーブル18と電気的に接続される端子54と、を備える。
【0014】
インバータケース30は、アルミダイカスト鋳造によって形成されており、ハイブリッド自動車10のボディに固定(接地)されている。このインバータケース30には、図3に示すように、インバータ22を収容する本体部分31の他に、高電圧用コネクタ50を収容するための収容部32が本体部分31から側面側に突出して形成されている。この収容部32は、上方が開口されており、高電圧用コネクタ50を挿入部52側から収容部32に挿入してその収容部32に収容できるようになっている。また、この収容部32の下方には、高電圧用コネクタ50を収容したときに挿入部52が下方に突出するよう開口部34が形成されている。さらに、この収容部32には、インバータ22に電気的に接続されたインバータ側端子24などが配置されている。
【0015】
カバー40は、インバータケース30の収容部32の開口より大きな略平板状に形成されており、収容部32の開口を塞ぐようにインバータケース30に取り付け可能となっている。このカバー40をインバータケース30に取り付けることにより、インバータケース30内を防水することができる。
【0016】
こうして構成された実施例のインバータユニット20では、高電圧用コネクタ50をインバータケース30の上方から収容部32に収容してボルト42によって収容部32に取り付けると共に高電圧用コネクタ50の端子54をボルト44によってインバータ側端子24と接続し、インバータケース30の上方からカバー40をボルト46によってインバータケース30に取り付けることにより、インバータ22から高電圧用コネクタ50までを電気的に接続すると共にインバータケース30内を防水することができる。即ち、実施例では、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続をインバータケース30の上方からの作業だけで行なうことができる。なお、ケーブル18と高電圧用コネクタ50との電気的接続は、高電圧用コネクタ50の挿入部52にケーブル18を挿入して取り付けることによって行なうことができる。
【0017】
図4は、比較例のインバータユニット20Bの構成の概略を示す構成図であり、図5は、インバータユニット20Bの一部の分解斜視図である。比較例のインバータユニット20Bは、インバータ22と、インバータ22を収容するインバータケース30Bと、インバータケース30Bとは別体で構成されて高電圧用コネクタ50を収容するコネクタシェル32Bと、コネクタシェル30の上方を塞ぐシェルカバー33Bと、インバータケース30の上面の開口部分(インバータ側端子24と高電圧用コネクタ50の端子54との接続箇所)を塞ぐカバー40Bと、を備える。コネクタシェル32Bは、下面と3方向の側壁部とからなり、下面には、高電圧用コネクタ50を収容したときに挿入部52が下方に突出するよう開口部が形成されている。インバータケース30Bは、側面に高電圧用コネクタ50の端子54を挿入可能な側面開口部35Bが形成されていると共に、上面に高電圧用コネクタ50の端子54のインバータ側端子24への接続作業を行なうための上面開口部36Bが形成されている。カバー40Bは、インバータケース30Bの上面開口部36Bより大きな略平板状に形成されており、上面開口部36Bを塞ぐようにインバータケース30Bに取り付け可能となっている。
【0018】
この比較例のインバータユニット20Bでは、高電圧用コネクタ50をコネクタシェル32Bに上方から載置した後にシェルカバー33Bをコネクタシェル32Bの上方からボルト42Bによってコネクタシェル32Bに取り付けることによって高電圧用コネクタ50をコネクタシェル32Bに収容し(コネクタシェル32Bの開口側の側面から高電圧用コネクタ50の端子54が突出している状態とし)、高電圧用コネクタ50の端子54がインバータケース30Bの側面開口部35Bから挿入されてインバータ側端子24に接続可能となるようコネクタシェル32Bをボルト43Bによってインバータケース30の側面に取り付け、インバータケース30Bの上面開口部36Bからボルト44Bによって高電圧用コネクタ50の端子54をインバータ側端子24に取り付け、インバータケース30Bの上方からカバー40Bをボルト46Bによってインバータケース30に取り付けることにより、インバータ22から高電圧用コネクタ50までを電気的に接続すると共にインバータケース30B内を防水することができる。なお、ケーブル18と高電圧用コネクタ50との電気的接続は、高電圧用コネクタ50の挿入部52にケーブル18を挿入して取り付けることによって行なうことができる。この比較例では、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続において、インバータケース30の上方からの作業(高電圧用コネクタ50のコネクタシェル32Bへの収容)とインバータケース30Bの側面側からの作業(コネクタシェル32Bのインバータケース30Bへの取り付け)とを要するため、作業が比較的煩雑になる。また、インバータケース30Bとコネクタシェル32Bとを別体で構成するため、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続において、作業工程数や作業に要するボルトなどの部品点数が比較的多くなる。さらに、接地(ボディ)までのシールドラインの経路がコネクタシェル32B−インバータケース30B−ボディとなって比較的長くなると共に、コネクタシェル32B−インバータケース30B間がボルトとなるために抵抗が大きくなりやすい(シールド性能が低下しやすい)。
【0019】
一方、実施例では、インバータケース30に上方が開口してなる収容部32を形成すると共に、その収容部32を覆うためのカバー40を設けるから、以下の効果を奏する。まず、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続において、作業をインバータケース30の上方から行なうことができるから、比較例に比して作業をより容易に行なうことができる。また、比較例とは異なりコネクタシェル32Bをインバータケース30に取り付けるという作業を要しないから、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続の作業をより簡易なものとする(作業工程数を低減する)ことができると共にこの作業に要するボルトなどの部品点数を比較例に比して削減することができる。さらに、比較例に比して、接地(ボディ)までのシールドラインの経路をインバータケース30B−ボディとして短縮することができると共にシールド性能の向上を図ることができる。加えて、実施例では、カバー40をインバータケース30から取り外せば、高電圧用コネクタ50を収容部32から取り外し可能となるから、比較例に比して、高電圧用コネクタ50の取り外しを容易に行なうことができる。
【0020】
以上説明した実施例のインバータユニット20によれば、インバータ22を収容するインバータケース30に、バッテリ16からのケーブル18とインバータ22側との電気的接続に用いられる高電圧用コネクタ50を収容するための収容部32を上面側が開口となるよう形成すると共に、収容部32の開口を塞ぐようにインバータケース30に取り付けるためのカバーを設けるから、インバータ22から高電圧用コネクタ50までの電気的接続をより容易に行なうことができる。
【0021】
実施例のインバータユニット20では、ハイブリッド自動車10に、走行用の動力を出力可能なエンジン12や、走行用の動力を出力可能なモータ14,バッテリ16などと共に搭載されものとしたが、エンジンを備えない電気自動車に、モータやバッテリなどと共に搭載されるものとしてもよい。
【0022】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、インバータ22が「インバータ」に相当し、インバータケース30が「ケース」に相当し、収容部32が「収容部」に相当し、カバー40が「カバー」に相当する。
【0023】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0024】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、インバータユニットの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 自動車、12 エンジン、14 モータ、16 バッテリ、18 ケーブル、20,20B インバータユニット、22 インバータ、24 インバータ側端子、30,30B インバータケース、32 収容部、32B コネクタシェル、33B シェルカバー、34 開口部、35B 側面開口部、36B 上面開口部、40,40B カバー、42,42B,43B,44,44B,46,46B ボルト、50 高電圧用コネクタ、52 挿入部、54 端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力を用いてモータを駆動するインバータをケースに収容してなるインバータユニットであって、
前記ケースには、前記バッテリからのケーブルと前記インバータ側との電気的接続に用いられるコネクタを収容するための収容部が上面が開口するよう形成されてなり、
前記収容部の開口を塞ぐように前記ケースに取り付けるためのカバーを設ける、
インバータユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90366(P2013−90366A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226195(P2011−226195)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】