説明

インパルスシール装置

【課題】 ガラスクロステープ等を用いることなく、ヒーター線をしっかりとシーラー台に固定できるようにすること、
【解決手段】 ヒーター線12の両端がシーラー台11に固定されたインパルスシール装置10である。シーラー台のヒーター線の取付面の所定位置に凹部16aを形成し、ヒーター線は、その凹部に沿うように配置するとともに、そのヒーター線の上から当該凹部内に抑え部材17を挿入固定する。抑え部材は、絶縁性の固定ネジ18を用いて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパルスシール装置に関するもので、特に、シーラー台に取り付けられるヒーター線の固定構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
包装フィルムをシールするシール装置の1つとしてインパルスシール装置がある。このインパルスシール装置は、ニクロム線等のヒーター線を備えたシーラー台と、加圧バーとを対向配置させる。シーラー台と加圧バーの少なくとも一方は、相手に向けて接近離反移動可能に配置する。係る構成のインパルスシール装置は、シール対象のフィルムをシーラー台と加圧バーとの間に介在させるとともに、上記の接近移動をさせてシーラー台と加圧バーとで挟み込んだ状態で、ヒーター線に瞬間的に大電流を流して熱接着可能な状態にまで発熱させ、熱伝導によりフィルムを熱シールする。またヒーター線は、シーラー台に対し両端部で固定され、且つ耐熱性のガラスクロステープ等によりその表面が被覆されている。これにより、ヒーター線の両端部間においてはガラスクロステープによりシーラー台に貼り付けられて固定された状態になっている。この種のインパルスシール装置は、例えば特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−247424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムを加熱してシールした後、シーラー台はフィルムから離反する。このとき、フィルムと、そのフィルムに接触しているシーラー台の表面(実際にはガラスクロステープ)は、軽く接着された状態となっているため、フィルムが離れる際にその表面もフィルムに引っ張られてシーラー台から剥がれようとする力が働く。但し、従来のガラスクロステープでしっかりと被覆している場合には、当該ガラスクロステープがシーラー台にしっかりと接着されているため、ガラスクロステープ,ヒーター線がシーラー台から剥がれていくことは抑止できる。
【0005】
しかし、最近フィルム厚が0.3mm程度の厚いフィルムに対しインパルスシールにより接着したいという要求が出てきた。すると、シーラー台と加圧バーとの間には、2枚分のフィルム厚の厚いフィルムが介在した状態で挟まれることになり、短時間でシール処理しようとするとシールの温度も例えば250℃以上の高温度に設定する必要が出てくる。すると、ガラスクロステープの耐熱温度を超えているため、ガラスクロステープで固定することができない。また、短期間で劣化するため交換頻度が高くなる問題も生じる。
【0006】
そのため、ヒーター線の両端部のみでシーラー台に固定された状態になり、両端部間においてはヒーター線とシーラー台は接触しているだけとなるので、シール後にフィルムが離反していく際にヒーター線もフィルムにくっついていく。そのため、特に、シーラー台の軸方向の中央部位はヒーター線を固定している両端から離れているため、当該中央部位がシーラー台から浮き上がる問題がある。また、ガラスクロステープの貼着層の糊がはみ出て異物としてフィルムに付着する問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のインパルスシール装置は、(1)ヒーター線の両端がシーラー台に固定されたインパルスシール装置であって、前記シーラー台の所定位置に前記ヒーター線の中間部位を固定する固定部材を設け、その固定部材により前記ヒーター線の中間部位を、前記シーラー台に保持するようにした。このようにすると、ヒーター線は、その両端とともに中間の所定位置でもシーラー台に固定される。よって、両端の固定位置から固定部材で固定される位置までの距離が短くなりヒーター線がしっかりと固定できる。よって、熱シール後にフィルムと軽く接着しているヒーター線がフィルムとともにシーラー台から離れる方向に付勢されても、上記のようにしっかりとシーラー台に固定されているので剥がれることがない。
【0008】
(2)前記シーラー台の前記ヒーター線の取付面の所定位置に凹部を形成し、前記固定部材は、その凹部内に挿入固定する抑え部材であり、前記ヒーター線の中間部位を、前記抑え部材と前記凹部の間で挟み込んで固定するようにするとよい。このようにすると、ヒーター線の中間部位が、抑え部材と凹部との間で挟み込まれてしっかりと固定されるので好ましい。またヒーター線の両端がシーラー台に固定されたインパルスシール装置であって、前記シーラー台の前記ヒーター線の取付面の所定位置に凹部を形成し、前記ヒーター線は、その凹部に沿うように配置するとともに、そのヒーター線の上から当該凹部内に抑え部材を挿入固定するようにしてもよい。
【0009】
(3)前記抑え部材は導電材料で形成され、通電時に前記ヒーター線を流れる電流が前記抑え部材に流れるようにするとよい。ヒーター線の凹部に沿って湾曲している部位に電流が流れることが抑制でき、係る凹部に沿った部位で発熱することを抑制できる。抑え部材は、前記ヒーター線よりも導電率の高い材料を用いるとより好ましい。
【0010】
(4)(3)の発明を前提とし、前記ヒーター線は、前記中間部位で分断されていてもよい。通電時に抑え部材に電流が流れることから、その抑え部材の存在領域ではヒーター線が接続されていなくても良く、抑え部材がある中間部位で分断する構成を採ることができる。すなわち、シーラー台を導電材料の本体の表面に絶縁体を配置すると共に、その絶縁体に凹部を形成する構成を採った場合、凹部の深さを絶縁体の厚さと等しくすると、凹部の底面から導電材料で構成される本体が露出する。この場合に1本の連続したヒーター線を用い、その露出した本体の表面にヒーター線が接触すると、そこで電気的に導通する。但し、その場合でも、抑え部材側を電流が流れることで、通電時に本体(シーラー台)側に電流が流れることはないが、ヒーター線の中間部位を分断し、当該露出する表面に対向する部位にヒーター線が存在しないようにすることで、より確実にヒーター線とシーラー台とを絶縁できる。
【0011】
(5)前記抑え部材は、絶縁材料から形成される固定ネジで前記シーラー台に取り付けられるようにするとよい。シーラー台が導電性材料で形成されている場合でも、抑え部材とシーラー台が固定ネジを経由して導通することが抑制できる。
【0012】
(6)前記固定部材は、前記シーラー台に取りつれられた永久磁石で構成してもよい。永久磁石は磁力の強いネオジム磁石が好ましく適用できる。永久磁石は、複数設けるとより確実にヒーター線を固定できるので好ましい。
【発明の効果】
【0013】
シーラー台にむき出し状態でヒーター線が配置され、フィルムとヒーター線が直接接触するタイプのものでも、ヒーター線はその両端と少なくとも中間の一箇所以上でシーラー台に固定されるため、熱シール後にフィルムと軽く接着しているヒーター線がフィルムとともにシーラー台から離れる方向に付勢された際にヒーター線がシーラー台から剥がれることがない。よって、高温度のシールにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るインパルスシール装置の好適な一実施形態を示す全体図である。
【図2】要部拡大図である。
【図3】要部を拡大した分解斜視図である。
【図4】変形例を示す要部拡大図である。
【図5】変形例を示す要部拡大図である。
【図6】本発明に係るインパルスシール装置の好適な他の実施形態を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係るインパルスシール装置の一実施形態を示している。このインパルスシール装置10は、PTP包装機その他の包装機に実装される。より具体的には、包装機のフィルム供給装置内のフィルム継ぎ装置(「フィルムスプライサー」と称されることもある)に実装される。つまり、フィルム継ぎ装置は、包装機本体に対して供給中の包装フィルムがすべて繰り出された場合に、当該包装フィルムの終端部位に予備用の包装フィルムの先端を接続することで、予備用の包装フィルムは現行の包装フィルムに続いて連続して包装機本体側に供給するものである。この2つの包装フィルムの接続に、インパルスシール装置を用いる。この種のインパルスシール装置は、例えば特開2010−137909号公報などに開示されている。
【0016】
図1に示すように、インパルスシール装置10は、表面にヒーター線12を装着したシーラー台11と、加圧バー13を所定の間隔を置いて対向配置する。本実施形態では、包装フィルム20が上下方向に立った状態で搬送されている箇所でシール処理するため、シーラー台11,加圧バー13も図示するように上下方向に起立した状態で設置される。そして、包装フィルム20は、シーラー台11と加圧バー13の間の空間内を移動する。
【0017】
シーラー台11は、ベース14に取り付けられる。ベース14は、シーラー台11の取付面と反対側の面でシリンダ15に連携されている。シリンダ15を動作させることで、ベース14は水平方向に往復移動する。このベース14の往復移動に追従して、シーラー台11も移動し、加圧バー13に対して接近/離反移動する。つまり、通常の包装処理時には、シーラー台11は図示した待機位置に位置し、包装フィルム20はシーラー台11,加圧バー13のいずれとも非接触の状態でスムーズに搬送される。2枚の包装フィルムをシールして接続する場合、当該2枚の包装フィルム20をシーラー台11と加圧バー13の間に配置する。この状態でシリンダ15が作動してシーラー台11が前進移動(図中左側に移動)し、加圧バー13との間で2枚の包装フィルム20を所定の圧力で挟み込む。この状態で、ヒーター線12に瞬間的に大電流を通電することでヒーター線12を発熱させ、2枚の包装フィルム20を加圧しながら加熱して熱シールする。その後は、シリンダ15を上記と逆に動作させ、シーラー台11を後退移動させて元の待機位置に復帰させる。すると、包装フィルム20は、シーラー台11(ヒーター線12),加圧バー13から離反し、以後、通常の包装処理のためにフィルム供給が行われる。係る基本構成は、従来のインパルスシール装置と同様である。
【0018】
なお、本実施形態で用いる(シール対象となる)包装フィルム20のフィルム厚は0.3mmと通常のものよりも厚くしていることから、それに伴いヒーター線12における発熱量も高く(例えば250℃)なるように温度制御がされている。
【0019】
ヒーター線12は、例えばニクロム線等で構成され、その形状は、図2(b),図3に示すように所定幅の帯状となっている。一方、通常シーラー台11は金属で形成されることから、このヒーター線12に通電した電流がシーラー台11側に流れないようにするため、シーラー台11の表面に絶縁体16を取り付け、その絶縁体16の表面にヒーター線12を配置する。つまり、この絶縁体16の表面が、シーラー台11のヒーター線12の取付面を構成する。さらに本実施形態では、上述したようにヒーター線12の発熱量を高くしたことに対応して、絶縁体16は、アルミプレートのおもて面にアルミナの絶縁層を設けた耐熱性を備えたものとしている。この絶縁体16は、後述する凹部16aによって長手方向に二分割されており、凹部16aに面する端面は斜めに形成されアルミ基材が露出した状態になっている。
【0020】
また、本実施形態では、ヒーター線12の両端は、ネジ22にてシーラー台11の両端に配置された取付部材23に固定される。この取付部材23はスプリング24によりシーラー台11の軸方向中央側に移動する方向に付勢されている。これにより、ヒーター線12は、両端及び中央で固定され、しかも、スプリング24による付勢力を利用してピンと張った状態でシーラー台11(絶縁体16)の表面に接触した状態を保持する。
【0021】
そして絶縁体16の軸方向中央位置に凹部16aを形成する。これに伴い、絶縁体16の表面に配置するヒーター線12の中央部12aも凹部16aに沿わせる。この凹部16aの表面形状に符合する外形状(断面略等脚台形)からなる抑え部材17を用意し、当該凹部16a内に抑え部材17を装着する。抑え部材17は、固定ネジ18にてシーラー台11にネジ止め固定される。これにより、ヒーター線12の中央部12aは、抑え部材17にて固定される。また、固定ネジ18は、樹脂などの絶縁材料で形成する。
【0022】
なお、ヒーター線12の中央部12aは凹部16aに沿わせるが、凹部16aの底面部分とは必ずしも接触させる必要はない。すなわち、上述したようにヒーター線12の両端はスプリング24の付勢力によりともに外側に付勢される。この状態でヒーター線12の中央部12aが抑え部材17で抑えられることから、中央部12aは抑え部材17の表面に接触して凹部16a内を迂回する。よって、抑え部材17の厚さを凹部16aの深さよりも短く設定することで、シーラー台11の表面とヒーター線12とを非接触にすることができる。そうすると、ヒーター線12とシーラー台11とが短絡することがなく、よって、凹部16aの底面及びシーラー台11の表面が露出していても問題はない。しかしながら、安全の為、凹部16aにおいて露出しているシーラー台11の表面に絶縁体を配置しておくことが好ましい。
【0023】
図3に示すように、ヒーター線12の中央部12aの所定位置には、円形の開口部12bが形成される。この開口部12bは、ヒーター線12をシーラー台11に取り付けた際に、シーラー台11に設けた固定ネジ18用のネジ穴の上に位置するようにしている。開口部12bの径は、当該ネジ穴の径よりも一回り大きくしている。また、抑え部材17の中央にも上下に貫通する貫通孔17aが形成される。この貫通孔17aは、固定ネジ18のネジ部に対してバカ穴となる設定にしており、上部には固定ネジ18の頭を収容するための拡径した段部が形成されている。よって、シーラー台11のネジ穴の上に開口部12b,貫通孔17aが位置するようにヒーター線12,抑え部材17を位置させた状態で、固定ネジ18を装着することで固定する。
【0024】
さらに抑え部材17は、ステンレス、銅、アルミニウム等のヒーター線12に比較して導電性が良好な導電材料で形成される。また、好ましくは、抑え部材17は強度が高い方が良く、その点で言うとステンレスが最も好ましく、次に銅を用いると良い。抑え部材17とシーラー台11とでヒーター線12を挟み込んだ状態では、抑え部材17の両側面17cがヒーター線12に面接触するとともに、抑え部材17の上面17dとヒーター線12が面一になり、さらに、上面17dの両端縁17bがヒーター線12に近接(接触)する。よって、抑え部材17とヒーター線12とは電気的にも導通状態となっている。
【0025】
通電時には、ヒーター線12の一端から他端に向けて電流が流れる。ヒーター線12の中央部12aには、開口部12bが形成されており、開口部12bの両脇は幅が狭くその部分の抵抗値が高くなる。一方、係るヒーター線12の中央部12aの位置には、その上に全体が導電材料で形成された抑え部材17が配置される。従って、通電時にヒーター線12の一端から流れてきた電流は、凹部16aに沿って湾曲したヒーター線12の中央部12aを流れることなく抑え部材17内を流れて反対側のヒーター線12の露出した部位に至り、最終的にヒーター線12の他端から流れ出る。
【0026】
よって、抵抗値の高くなったヒーター線12の中央部12aの開口部12bの両脇を電流が流れないで済むため、係る部位での発熱が抑制できる。また、抑え部材17はヒーター線12に比べて厚さがあって電流の流れる方向に対する断面積が大きくなるとともに、導電率が高いことも相まってその部位の抵抗値が小さくなる。よって抑え部材17の設置区間では熱シールするに十分な温度にまでは発熱しない。よって、包装フィルム20も抑え部材17の接触した部位ではシールされないが、上述したようにインパルスシール装置10は、フィルム継ぎ装置に実装されるため、前後の包装フィルムが接続されれば良いので問題はない。
【0027】
本実施形態では、ヒーター線12の表面が露出しておりシール時にはヒーター線12が包装フィルム20に直接接触する。シール後に包装フィルム20が離反していく際にヒーター線12も包装フィルム20にくっついていこうとするが、ヒーター線12の中央部12aが抑え部材17で固定されることから、ヒーター線12がシーラー台11から剥がれることが抑制できる。
【0028】
図4は、抑え部材17による固定構造の変形例の要部を示している。上述したように、通電時にヒーター線12の一端から流れ込んだ電流は、抑え部材17を流れてヒーター線12の他端に至る。従って、抑え部材17を配置した箇所では、抑え部材17とヒーター線12が接続されていれば、必ずしもシーラー台11の端から端までを1本のヒーター線12で構成する必要はない。
【0029】
そこで、この変形例では、図4に示すように、抑え部材17の底面側にヒーター線を設けないようにした。すなわち、上述した実施形態の構成を前提とすると、ヒーター線12の抑え部材17で抑えられる中央部位を切除し、ヒーター線12の中間部位で分断した構成をする。換言すると、ヒーター線12は、2本のヒーター線要素12′12″により構成され、そのヒーター線要素12′,12″のそれぞれ一方の端部をシーラー台11の両端にネジにて取り付け(図示省略)、他方の端部12cを、抑え部材17の側面17cと凹部16aの間で挟み込んで固定する。
【0030】
さらに、凹部16aの底面において露出しているシーラー台11の表面に絶縁体30を配置する。これにより、抑え部材17とシーラー台11が接触し、導通することが確実に阻止できる。もちろん、2本のヒーター線要素12′,12″を用いる変形例において、絶縁体30を配置しない構成もとれる。なお、その他の構成は、上述した実施形態と同様であり、対応する部材には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図5は、図4の変形例を前提としたさらに別の変形例である。この変形例では、凹部16aの内側面に屈曲部(凸部)16bを設け、その屈曲部16bに合わせて抑え部材17の側面17cにも屈曲部(凹部)17fを設ける。そして、ヒーター線12の他方の端部12cは、この屈曲部16,17cに沿って折り曲げた状態で挟み込まれるため、よりしっかりと固定され、抜けが防止できる。なお、図4と同じ構成については、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0032】
上述した実施形態では、抑え部材17にて固定する箇所が中央部12aの一箇所としているが、複数箇所で固定しても良い。特に、シーラー台11(ヒーター線12)の全長が長くなった場合には、それに応じて複数箇所で固定するのが好ましい。
上述した実施形態では、シーラー台11を移動させたが、加圧バー13側を移動させても良いし、両方とも移動させても良い。
【0033】
上述した実施形態並びに変形例では、シーラー台11が金属等の導電性を有する部材で構成しているために絶縁体16を設けたが、シーラー台の材質を適宜に設定することで絶縁体16を設けない態様をとることもできる。さらに、シーラー台11の表面を平坦にして絶縁体16の中央に凹部16aを形成したが、シーラー台11の表面形状として適宜位置に凹部を形成し、シーラー台11の表面に絶縁塗料を塗布したり、シート状の絶縁シートを配置したりしても良い。
【0034】
図6は、固定部材として永久磁石を用いた実施形態を示している。すなわち、シーラー台11に、ネオジム永久磁石32を軸方向に沿って複数箇所に設置し、そのネオジム永久磁石32の磁力によりヒーター線12を吸着固定する。このようにすることで、ヒーター線12の両端の固定位置から永久磁石32で固定される位置までの距離が短くなりヒーター線12がしっかりと固定できる。よって、熱シール後に包装フィルム20と軽く接着しているヒーター線12が包装フィルム20とともにシーラー台11から離れる方向に付勢されても、上記のようにヒーター線12はしっかりとシーラー台11に固定されているので剥がれることがない。さらにネオジム永久磁石32は、導電性があるため、例えばその露出する表面(ヒーター線12との接触面)を絶縁材料で被覆する。もちろん、ネオジム永久磁石32の表面全体を絶縁材料で被覆しても良いし、ネオジム永久磁石32とヒーター線12との間に絶縁部材を介在させてもよい。さらに、シーラー台11のネオジム永久磁石32の装着部位に絶縁処理(ネオジム永久磁石32を装着する凹部内周面に絶縁被膜が形成されていたり、装着部位となる凹部を樹脂で形成したりする等)がなされていれば、ネオジム永久磁石32とヒーター線12を直接接触させても良い。
【0035】
この実施形態では、ネオジム永久磁石32は、大きな磁力を発生し、ヒーター線12をしっかりと固定することができるが、他の永久磁石を用いてももちろん良い。また、本実施形態では、加圧バー13側にもシリンダ31を設け、加圧バー13とシーラー台11の両方を互いに接近離反移動させるようにしたが、いずれか一方を移動させるようにしても良い。なお、その他の構成は、上述した実施形態並びに変形例と同様であり、対応する部材には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
また、上述した各実施形態並びに変形例を適宜組み合わせて実施することができる。すなわち、抑え部材17による固定構造と、永久磁石によるヒーター線12の固定構造を併用しても良い。
【0037】
上述した各実施形態並びに変形例では、シール温度が高温度のものに対応する装置に適用した例で説明したが、本発明はこれに限ることはなく、従来同様の通常のシール温度に用いるシール措置として実現しても良い。
【0038】
また、上述した各実施形態並びに変形例では、インパルスシール装置が包装機のフィルム継ぎ装置に適用した例を説明したが、フィルム継ぎ装置以外に設置するのも妨げない。
【符号の説明】
【0039】
10 インパルスシール装置
11 シーラー台
12 ヒーター線
13 加圧バー
16 絶縁体
17 抑え部材
18 固定ネジ
32 ネオジム永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒーター線の両端がシーラー台に固定されたインパルスシール装置であって、
前記シーラー台の所定位置に前記ヒーター線の中間部位を固定する固定部材を設け、
その固定部材により前記ヒーター線の中間部位を、前記シーラー台に保持することを特徴とするインパルスシール装置。
【請求項2】
前記シーラー台の前記ヒーター線の取付面の所定位置に凹部を形成し、
前記固定部材は、その凹部内に挿入固定する抑え部材であり、
前記ヒーター線の中間部位を、前記抑え部材と前記凹部の間で挟み込んで固定することを特徴とする請求項1に記載のインパルスシール装置。
【請求項3】
前記抑え部材は少なくとも一部を導電材料とし、通電時に前記ヒーター線を流れる電流が前記抑え部材を経由して流れるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のインパルスシール装置。
【請求項4】
前記ヒーター線は、前記中間部位で分断されていることを特徴とする請求項3に記載のインパルスシール装置。
【請求項5】
前記抑え部材は、絶縁材料から形成される固定ネジで前記シーラー台に取り付けられることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のインパルスシール装置。
【請求項6】
前記固定部材は、前記シーラー台に取りつれられた永久磁石で構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインパルスシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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