説明

インフルエンザを処置するための組成物および方法

本願は、インフルエンザの処置に有用な組成物および方法を提供する。本明細書で記載している組成物および方法は、インフルエンザに対して免疫原特性を呈するペプチド類およびペプチド組み合わせ剤の開発に基づいている。一部の実施態様において、ペプチド組み合わせ剤は、多くのインフルエンザウイルス株、例えば季節型インフルエンザウイルス株、さらには新型のブタ起源の汎発流行性A型インフルエンザ(H1N1)ウイルスに対しても防御応答を誘導する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本願は、2008年6月19日付、PCT特許出願第PCT/US08/67471号および2009年5月29日付、米国仮出願第61/182614号に対し優先権およびその利益を主張する。これらの優先権出願の内容については、出典明示で援用する。
【0002】
背景
インフルエンザは、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科のウイルスに起因する呼吸器系の一般的な感染疾患である。ウイルスの変異度が高いため、典型的には、年ごとに株の変異を考慮に入れて再処方したワクチンによる予防接種が必要とされる。合衆国で毎年開発されるワクチン組成物は、米国食品医薬品局ワクチンおよび関連生物製剤諮問委員会により決定される。同様に、世界保健機構(WHO)は、新たなインフルエンザ変異株を検出するため、研究機関の世界的な監視ネットワークを運営している、例えば、Lavanchy, Vaccine17:S24 (1999)参照。選択は、最近単離されたインフルエンザウイルスの抗原分析、抗原変異型の拡散パターンおよび最近ワクチン接種した個体の抗体応答に基づく。
【0003】
A型およびB型インフルエンザウイルスは、汎発流行性ヒト疾患を誘発する2型のインフルエンザウイルスである。A型インフルエンザウイルスは、2種の表面抗原:血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(N)に基づいてさらに亜型に分類される。B型インフルエンザウイルスは、亜型には分類されない。1977年以来、A型インフルエンザ(H1N1)ウイルス、A型インフルエンザ(H3N2)ウイルスおよびB型インフルエンザウイルスが世界的規模で循環している。ワクチン接種は、深刻な病気のハイリスク患者に対しインフルエンザ感染および関連合併症を予防し、またはインフルエンザを弱毒化する一つの最も有効な方法として認められている。不活化インフルエンザウイルスから調製された抗原の接種は、特異抗体の産生を刺激する。ワクチンを調製する元のウイルス株または密接に関連した株に対してのみ予防効力が示される。
【0004】
年ごとのワクチンは、来るべき冬に流行すると考えられるインフルエンザウイルスを代表する3種のウイルス株(通常、A型2種およびB型1種)を含む。出現している最新のインフルエンザウイルス株の抗原的特徴は、年ごとのワクチンに含ませる株の選択についての基礎となる情報を提供する。WHOは、毎年の世界的な疫学的状況を検討し、必要ならば、最新の疫学的証拠に基づいて新たな株を推奨する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作り直すにしても、特定の季節の間に世界中の人々に活発に感染する種々の株を全てワクチンに含ませるのは不可能である。さらに、インフルエンザ感染の季節的な増加に応えるため十分なワクチン投与量を処方および製造するのには比較的長い期間も必要とする。典型的には、ワクチンの製造には6か月を超える期間を要し得る。結果的に、新型であるかまたは見逃されていたインフルエンザ株が、その6か月の間に目覚ましく拡散し、大流行に至ることもあり得る。2009年4月には、ブタ起源の新型インフルエンザA型(H1N1)ウイルスが初めて検出された。それは、先に記載したH1N1亜型とは異なり、4種類が組み合わさったウイルスである。ウイルスが最初に急激な増加を示したのはメキシコであったが、流行は国境を越えて合衆国およびカナダへと急速に拡散し、現在ではほぼ全世界の国々が新たな症例を報告している。当業界では、インフルエンザを処置するための改良された組成物および方法が依然として要望されている。特に、WHOが推奨する季節型インフルエンザ株および新たに出現した流行性インフルエンザ株、例えばブタ起源の新たなA型インフルエンザ(H1N1)ウイルスの両方に対して広範な免疫原性を有する組成物が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
要約
本願は、インフルエンザの処置に有用な組成物および方法を提供する。本明細書で記載している組成物および方法は、インフルエンザに対して免疫原特性を呈するペプチド類およびペプチド組み合わせ剤の開発に基づいている。
【0007】
一部の実施態様において、ペプチド組み合わせ剤は、多くのインフルエンザウイルス株、例えば季節型インフルエンザウイルス株、さらには新型のブタ起源の流行性A型インフルエンザ(H1N1)ウイルスに対しても防御応答を誘導する。
【0008】
実施態様によっては、組成物を(例、筋肉注射により)非経口投与する場合もある。一部の実施態様では、非経口組成物は、非イオン性界面活性剤を含む小胞を含む。若干の実施態様では、非経口組成物は、TLR−4アゴニストアジュバントを含む。若干の実施態様では、非経口組成物中に存在するTLR−4アゴニストアジュバントの少なくとも一部分が、小胞に物理的に随伴している。
【0009】
現行では、インフルエンザワクチンは上述の非経口投与経路(例、筋肉注射)に限られているが、我々は、経口投与時に防御応答を誘導する組成物を同定した。従って、実施態様によっては、組成物を経口投与する場合もある。一部の実施態様では、経口組成物はビロソーム(bilosome)を含む。実施態様によっては、経口組成物がTLR−3アゴニストアジュバントを含む場合もある。若干の実施態様では、経口組成物中に存在するTLR−3アゴニストアジュバントの少なくとも一部分が、ビロソームに物理的に随伴している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1A〜Bは、競合マイクロ中和検定法により検出された例示的なペプチド組成物の特異性を示す。ヒト血清を希釈し、選択されたペプチド組成物、それに続いてインフルエンザウイルスとインキュベーションした。インキュベーション後、MDCK(メイディン−ダービーイヌ腎臓)細胞を添加し、プレートを18〜22時間後に展開した。(A)ヒト血清を用いて、インフルエンザ New Caledonia(A/NC/20/99)に対して競合マイクロ中和を測定した。(B)ヒト血清を用いて、インフルエンザ Wisconsin(A/Wis/67/05)に対して競合マイクロ中和を測定した。
【図2】図2は、細胞100万個当たりのスポット形成細胞(SFC)数として表される、IFNγ−ELISPOT検定法により検出される例示的ペプチド組成物により誘導された細胞性免疫応答を示す。インフルエンザワクチン接種個体からの末梢血単核細胞(PBMC)を、選択されたペプチドの存在下で培養した。プレートを2日後に展開し、各ウェルにおけるスポット数を拡大し、計数した。
【図3】図3は、非ワクチン接種対照動物の場合と比較した、ペプチド組成物INF−61Pによるワクチン接種動物において1×10プラーク形成単位(pfu)のH3N2(A/Wisconsin/2005)ウイルスで攻撃した後の10日間におけるメジアンの1日発熱数を示す。動物の体温が40℃またはそれを超えるたびごとに発熱数として計数した。1群につき4動物間におけるメジアンの発熱数を3時間ごとに計算した。対照およびワクチン接種動物は、同等の出発体温を有していた(第0日目参照)。
【図4】図4は、非ワクチン接種対照動物の場合と比較した、ペプチド組成物INF−61Pによるワクチン接種動物において1×10pfuのH3N2(A/Wisconsin/2005)ウイルスで攻撃した後の10日間における体重減少を示す。
【図5】図5は、ペプチド組成物INF−61Pで免疫化したフェレットからの直腸洗浄試料(上方パネル)および鼻腔洗浄試料(下方パネル)で観察されたインフルエンザウイルスに対し指向した粘膜IgA応答(FluViral)を示す。各動物におけるワクチン接種前応答に対する増加倍率としてデータを表し、異なる試料中に存在するIgAの総量について正規化した。市販のインフルエンザワクチン(FLUVIRAL)により得られた比較データも示す。
【図6】図6は、ペプチド組成物SFV2で免疫化したフェレットからの血清で観察されたB型インフルエンザ(Ohio)からの組換えHAタンパク質に対し指向した血清IgA応答を示す。各動物に関するワクチン接種前およびワクチン接種後血清試料からのELISAにより測定された応答(光学密度として記録)を、それぞれ一対の左および右縦棒に示す。強い陽性応答は、動物#4850および#4860で観察され得る。
【図7】図7は、脂質付加ペプチド組成物INF−09L−Aにより誘導された広範な反応性細胞(CTL)免疫性を示す。成熟年齢(>12か月)のHLA(A*0201)トランスジェニックマウスに、A型インフルエンザの核タンパク質における可変領域を標的とする組成物で3回ワクチン接種を行った。また、この組成物はミョウバンアジュバントを含んでいた。対照群にはアジュバントのみを与えた。脾臓細胞を、多様な亜型からの互いに異なるインフルエンザ株で感染させた:H3N2(A/HK/1/18, A/VICtoria/3/75)およびH1N1(A/NC/20/99, A/PR/8/34)。スポットは、ウイルス株のそれぞれに特異的なIFNγ−分泌T細胞の頻度を表し、エラーバーは、各群(n=3)におけるマウス間の標準偏差を表し得る。結果は、左から右へと次の通りに示される:H3N2(A/HK/1/18)、H3N2(A/VICtoria/3/75)、H1N1(A/NC/20/99)およびH1N1(A/PR/8/34)。
【図8】図8は、TLR−3アゴニストアジュバント(ポリI:C)含有または不含有で経口投与されたペプチド組成物に対する免疫応答を示す。マウス(1群当たりn=4)を4回(第0、3、14および17日目)経口的に免疫化した。脾臓細胞をワクチン接種後に採取し、同じペプチド組成物によりインビトロで刺激を加えた。IFNγELISPOT検定法を用いて、応答を測定した。図8に示すとおり、アジュバントを与えられた動物は、ワクチンのみを与えられた動物よりかなり大きな応答を示した。
【図9】図9は、配列番号16、17および18の配列を示す。
【図10】図10A〜Bは、ペプチド組成物SFV2の筋肉内投与により免疫化したフェレットで測定されたA型インフルエンザの次の亜型:(A/Solomon Island/03/06)H1N1または(A/Wisconsin/67/05)H3N2からの組換え血球凝集素(rHA)タンパク質に対し指向した(ELISAにより測定される)血清IgG応答を示す。免疫化後血清は、ペプチド組成物SFV2の筋肉内投与により免疫化したフェレットについてrHA Solomon(A)およびWisconsin(B)の両方でのELISAにおいて顕著な免疫応答を示した。B型インフルエンザ(B/Malaysia/2506/04)からのrHAに対してIgG応答は検出されなかった(データは示さず)。市販のインフルエンザワクチン(VAXIGRIP)により得られた比較データも提供する。
【図11】図11は、ペプチド組成物SFV2の筋肉内投与により免疫化し、次いでウイルス攻撃にさらしたフェレットの鼻腔洗浄試料からのウイルス量を示す。動物に、ペプチド組成物SFV2を接種し、2×10pfuのH1N1(A/Solomon Island/03/06)で攻撃し、鼻腔洗浄試料からのウイルス量を、ウイルス血症ピークでのプラーク検定法により測定した(第2日目)。各記号は、個々の動物で測定されたウイルス量を表す。市販のインフルエンザワクチン(VAXIGRIP)により得られた比較データも提供する。
【図12】図12は、ペプチド組成物SFV2の筋肉内投与により免疫化したフェレットにおける潜在的な汎発流行性インフルエンザ株に対する体液性免疫を示す。ワクチン接種の2週間後(ウイルス攻撃前)動物から血清を集め、試料を、ELISAにより単離された推定的汎発流行性ブタ(H1N1/California/2009)からの組換え血球凝集素(rHA)タンパク質との反応性について試験した。市販のインフルエンザワクチン(VAXIGRIP)により得られた比較データも提供する。
【図13】図13は、典型的なTLR−4アゴニストアジュバントPHAD(アラバマ、アラバスターのAvanti Polar Lipids, Inc.からのリン酸化ヘキサアシル二糖)の化学構造を示す。
【図14】図14は、別の典型例のTLR−4アゴニストアジュバントであるジ[3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソニル]脂質A(アンモニウム塩)(アラバマ、アラバスターのAvanti Polar Lipids, Inc.から)の化学構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
本願全体を通して、以下のパラグラフで定義している幾つかの用語を用いる。
【0012】
本明細書で使用している「免疫応答」の語は、動物で誘導された応答をいう。免疫応答は、細胞性免疫、体液性免疫を指し得るかまたはその両方を含み得る。免疫応答はまた、免疫系の一部分に限定され得る。例えば、実施態様によっては、免疫原性組成物が高いIFNγ応答を誘導し得る場合もある。実施態様によっては、免疫原性組成物が(例、鼻腔および/または直腸洗浄液で測定される)粘膜性IgA応答を誘導し得ることもある。一部の実施態様では、免疫原性組成物は、(例、血清で測定される)全身的IgG応答を誘導し得る。
【0013】
本明細書で使用している「免疫原性」の語は、非宿主体(例、インフルエンザウイルス)に対して宿主動物において免疫応答を生じさせ得ることを意味する。一部の実施態様では、この免疫応答が、特異的感染性生物(例、インフルエンザウイルス)に対するワクチンにより誘導される防御免疫性の基礎を形成する。
【0014】
本明細書で使用している「ペプチド」の語は、ペプチド結合により連結された少なくとも3個のアミノ酸の連なりをいう。一般に、ペプチドにおけるアミノ酸数に対する上限は無い。ペプチドは、一般的に天然アミノ酸のみを含む。しかしながら、非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込まれ得るアミノ酸)も含まれ得る。また、本発明ペプチドにおけるアミノ酸の1つまたはそれ以上は、例えば、化学的部分、例えば炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション用のリンカー、官能基化、または他の修飾手段などの付加により修飾され得る。様々な実施態様では、修飾(複数も可)により、さらに安定したペプチド(例、インビボ半減期の増大)が得られる。適切な修飾は、ペプチドの閉環、D−アミノ酸の組み込みなどを含み得る。様々な実施態様では、修飾(複数も可)により、免疫原性のさらに高いペプチドが誘導される。適切な修飾は、1個または複数の脂質(例、限定ではないが、パルミトイル、ミリストイル、ステアロイル、ラウロイル、オクタノイル、デカノイルなど)の共有結合、担体タンパク質(例、限定ではないが、ツベルクリン(PPD)の精製タンパク質誘導体、破傷風トキソイド、コレラ毒素およびそのBサブユニット、卵アルブミン、ウシ血清アルブミン、大豆トリプシン阻害剤、ムラミルジペプチドおよびその類似体、サイトカインまたはそのフラグメントなど)への融合などを含み得る。
【0015】
本明細書で使用している「相同性パーセンテージ」の語は、本願で定義している最適アラインメント後の2配列間における配列同一性のパーセンテージをいう。下記要領で一致が最大になるように整列させたとき2配列におけるアミノ酸の配列が同一である場合、2つのアミノ酸配列は「同一で」あると言われる。2つのアミノ酸配列間における配列比較は、典型的には一領域または「比較領域」にわたって最適整列させた2配列の配列を比較して、配列類似性領域を同定および比較することにより行われる。比較のための配列の最適アラインメントは、Smith および Waterman, Ad. App. Math. 2:482 (1981) の局所相同性アルゴリズム、Neddleman および Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970) の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson および Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988) の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピューター化インプリメンテーション、または目視検査により実施され得る。
【0016】
「配列同一性パーセンテージ」は、ある比較領域にわたって最適整列させた2配列を比較することにより決定され、その場合、比較領域におけるアミノ酸配列部分は、2配列の最適アラインメントのためのリファレンス配列(付加または欠失を含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。同一アミノ酸残基が両配列で現れている位置の数を測定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を比較領域における位置の総数で割り、結果を100倍して配列同一性のパーセンテージを得ることにより、パーセンテージを計算する。上記で与えたこの配列同一性の定義は、通常当業者により使用される定義である。定義それ自体は、アルゴリズムの助けを必要とするものではない。アルゴリズムは、配列同一性を計算するというよりも、配列の最適アラインメントを簡易化するのに有効であるに過ぎない。この定義から、2つの比較配列間における配列同一性についての十分に特定された唯一の値であって、最適アラインメントについて得られた値に対応する値が存在するということになる。
【0017】
本明細書で使用している「治療有効量」の語は、処置されている対象において有意義な成果を示すのに十分な量をいう。免疫原性組成物の治療有効量は、例えば、所望の生物学的エンドポイント、組成物の性質、投与経路、処置されている対象の健康状態、サイズおよび/または年齢などの因子により変動し得る。
【0018】
本明細書で使用している「処置する」(または「処置している」、「処置された」、「処置」など)の語は、インフルエンザ、インフルエンザの一症状または複数症状またはインフルエンザに罹患し易い状態を緩和、軽減、改変、改善、改良するかまたはそれらに影響を及ぼすことを目的として、インフルエンザに罹患しているか、インフルエンザの症状を呈するか、またはインフルエンザに罹患し易い状態である対象への免疫原性組成物の投与を指す。実施態様によっては、「処置する」の語が、対象のワクチン接種を指す場合もある。
【0019】
実施態様の詳細な記載
本願は、インフルエンザを処置するのに有用な組成物および方法を提供する。本明細書に記載している組成物および方法は、インフルエンザに対して免疫原特性を呈するペプチド類およびペプチド組み合わせ剤の開発に基づくものである。
【0020】
実施態様によっては、ペプチド組み合わせ剤が、インフルエンザの多くの株、例えば季節型インフルエンザ株、さらには新型のブタ起源の汎発流行性A型インフルエンザウイルスに対して防御応答を誘導する。
【0021】
一部の実施態様では、組成物を(例、筋肉注射により)非経口投与する。実施態様の中には、組成物がTLR−4アゴニストアジュバントを含む。若干の実施態様では、組成物は、非イオン性界面活性剤を含む小胞を含む。若干の実施態様では、組成物中に存在するTLR−4アゴニストアジュバントの少なくとも一部分が、小胞に物理的に随伴している。
【0022】
現行では、インフルエンザワクチンは上述の非経口投与経路(例、筋肉注射)に限られているが、我々は、経口投与時に防御応答を誘導する組成物を同定した。従って、実施態様によっては、組成物を経口投与する場合もある。実施態様によっては、組成物がTLR−3アゴニストアジュバントを含む場合もある。一部の実施態様では、組成物はビロソームを含む。若干の実施態様では、組成物中に存在するTLR−3アゴニストアジュバントの少なくとも一部分が、ビロソームに物理的に随伴している。
【0023】
I.ペプチド類
一態様において、本願は、単独で、または組み合わせて使用することにより、インフルエンザ処置用の免疫原性組成物を製造し得るペプチド類を提供する。これらのペプチド類の中には、免疫原性組成物中に含まれ得るものもあり、また本願はこれらのペプチド類の順列と組み合わせを含む組成物を包含するものとする。下記II項では、具体例としてのペプチド組み合わせ剤を記載する。
【0024】
A型インフルエンザ血球凝集素(HA)亜型1(H1)ペプチド類
実施例における表2〜6は、A型インフルエンザ血球凝集素(HA)亜型1(H1)タンパク質から誘導された幾つかのペプチドのアミノ酸配列を記載している。表2〜5および配列リストに示されているところによると、ペプチドのうちの幾つかは一般的共通配列の変異型である。
【0025】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号2(表2参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。配列番号2の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸も全て包含されるものとする。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号2の少なくとも21、22、23、24、25または26連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらのペプチド類のうちの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号2の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号2の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜3)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0026】
一部の実施態様において、本願は、配列番号3(表3参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。配列番号3の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸も全て包含されるものとする。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号3の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらのペプチド類のうちの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号3の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号3の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜3)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0027】
一部の実施態様において、本願は、配列番号4(表4参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。配列番号4の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸も全て包含されるものとする。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号4の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらのペプチド類のうちの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号4の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、または4の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号4の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜2)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。
【0028】
一部の実施態様において、本願は、配列番号5(表5参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。配列番号5の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸も全て包含されるものとする。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号5の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28または29の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらのペプチド類のうちの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号5の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号5の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜3)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0029】
一部の実施態様において、本願は、配列番号6(表6参照)の少なくとも40の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含むペプチド類を提供する。実施態様によっては、相同性は、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。
【0030】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。幾つかの実施態様において、本願は、配列番号6の少なくとも50、60、70または80の連続アミノ酸を含むペプチド類を提供する。すなわち、ペプチドは、配列番号6のアミノ酸1〜81を含み得る。ペプチドはまた、配列番号6のアミノ酸82〜88を含み得る。若干の実施態様では、ペプチドは、配列番号6の全配列を含み得る。他の実施態様では、ペプチドは、本質的に配列番号6により構成され得る。さらに別の実施態様では、ペプチドは、配列番号6により構成され得る。
【0031】
前記に加えて、本願はまた、配列番号16(図9参照)の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む種類のペプチドを提供するもので、この場合ペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素(HA)タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む。この種類は、上記の他のH1ペプチドを包含する。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも85、90%、95%または99%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様では、ペプチドは、配列番号16の20〜50の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号16の50〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。
【0032】
実施態様によっては、前述のH1ペプチドのいずれかが30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、若干の実施態様では、特定領域のいずれか1つを含むペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれ得る。
【0033】
A型インフルエンザ血球凝集素(HA)亜型3(H3)ペプチド類
実施例における表9〜11は、A型インフルエンザ血球凝集素(HA)亜型3(H3)タンパク質から誘導された幾つかのペプチドのアミノ酸配列を記載している。表9〜11および配列リストに示されているとおり、これらのペプチドは、配列番号17(図9参照)の共通配列の全変異型である。
【0034】
一部の実施態様において、本願は、配列番号17の配列を含むペプチド類を提供する。配列番号17の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。
【0035】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号9(表9参照)の配列を含むペプチド類を提供する。配列番号9の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様では、免疫原性組成物は、配列番号9の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号9の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。本願はまた、配列番号9のアミノ酸配列により本質的に構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供するものとする。
【0036】
一部の実施態様において、本願は、配列番号10(表10参照)の配列を含むペプチド類を提供する。配列番号10の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号10の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号10の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。本願はまた、配列番号10のアミノ酸配列により本質的に構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供するものとする。
【0037】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号11(表11参照)の配列を含むペプチド類を提供する。配列番号11の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号11の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチド類を含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。本願はまた、配列番号11のアミノ酸配列により本質的に構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供するものとする。
【0038】
実施態様によっては、前述のH3ペプチドのいずれかが30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、若干の実施態様において、特定領域のいずれか1つを含むペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれ得る。
【0039】
実施例における表7は、A型インフルエンザ血球凝集素(HA)亜型3(H3)タンパク質から誘導された別のペプチドのアミノ酸配列を記載している。本願は、配列番号7の少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む種類のペプチドを提供するもので、この場合ペプチドは、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む。若干の実施例において、ペプチドは、配列番号7の少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも85、90%、95%または99%の相同性を有する領域を含み得る。一部の実施態様では、ペプチドは、配列番号7の少なくとも50、60、70または80の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号7の全配列を含み得る。他の実施態様において、ペプチドは、本質的に配列番号7により構成され得る。さらに別の実施態様では、ペプチドは、配列番号7により構成され得る。若干の実施態様において、ペプチドは、100未満のアミノ酸、例えば90、80、70、60、50または40未満のアミノ酸を含み得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、若干の実施態様において、特定領域のいずれか1つを含むペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれ得る。
【0040】
B型インフルエンザ血球凝集素(HA)ペプチド類
実施例における表8および12は、B型インフルエンザ血球凝集素(HA)タンパク質から誘導された幾つかのペプチド類のアミノ酸配列を記載している。
【0041】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号18(図9参照)の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含むペプチドを提供し、その際ペプチドは、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含むものとする。一部の実施態様において、ペプチドは、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも85、90%、95%または99%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様では、ペプチドは、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも25、30、35、40または45の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。
【0042】
一部の実施態様において、ペプチドは、配列番号12(表12参照)の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様において、相同性レベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号12の全配列を含み得る。一部の実施態様では、ペプチドは、本質的に配列番号12により構成され得る。一部の実施態様では、ペプチドは、配列番号12により構成され得る。
【0043】
幾つかの実施態様において、ペプチドは、配列番号13(表12参照)の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様では、相同性レベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号13の全配列を含み得る。若干の実施態様では、ペプチドは、本質的に配列番号13により構成され得る。若干の実施態様では、ペプチドは、配列番号12により構成され得る。
【0044】
幾つかの実施態様において、ペプチドは、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含み得る。若干の実施態様では、相同性は、高く、例えば少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、第1および/または第2領域における相同性は、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも25、20、35、40または45の連続アミノ酸に及び得る。
【0045】
一部の実施態様において、ペプチドは、配列番号8(表8参照)の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様では、相同性レベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、ペプチドは、配列番号8の全配列を含み得る。他の実施態様では、ペプチドは、本質的に配列番号8の配列により構成されるかまたはそのものにより構成され得る。
【0046】
実施態様によっては、前述のB型HAペプチドのいずれかが、100未満のアミノ酸、例えば90、80、70、60、50または40未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、若干の実施態様において、特定領域のいずれか1つを含むペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれ得る。
【0047】
A型インフルエンザ核タンパク質(NP)ペプチド類
実施例における表13および14は、A型インフルエンザ核タンパク質(NP)から誘導された幾つかのペプチドのアミノ酸配列を記載している。表13におけるペプチドは、配列番号14の共通配列の変異型である。表14におけるペプチドは、配列番号15の共通配列の変異型である。
【0048】
幾つかの実施態様において、本願は、配列番号14(表13参照)の配列を含むペプチド類を提供するが、それらのペプチドは、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含んでいる。配列番号14の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号14の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、配列番号14のアミノ酸配列により本質的に構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供することは言うまでもない。
【0049】
一部の実施態様において、本願は、配列番号15(表14参照)の配列を含むペプチド類を提供するが、それらのペプチドは、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含んでいる。配列番号15の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号15の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、本質的に配列番号15のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供することは言うまでもない。
【0050】
実施態様によっては、前述のNPペプチドのいずれかが、30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含むペプチドが、さらに大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0051】
他のインフルエンザペプチド類
本願は、複数のインフルエンザタンパク質からの配列を含む他のペプチド類を提供する。すなわち、若干の実施態様において、本願は、配列番号1(表1参照)のアミノ酸配列を含むペプチド類を提供する。表1および配列リストで示されているとおり、配列番号1は共通配列である。共通配列は、B型インフルエンザHAタンパク質およびA型インフルエンザHA H3タンパク質における配列から誘導された。配列番号1の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらのペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号1の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なるペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号1の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なるペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、本質的に配列番号1のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成されるペプチド類を提供することは言うまでもない。また、実施態様によっては、ペプチドが30未満のアミノ酸を含み得ることは言うまでもない。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含むペプチドが、さらに大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0052】
II.ペプチドの組み合わせ
一態様において、本願は、I項記載のペプチドの組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する。以下の具体例としての組み合わせは非限定的なものであり、本願が、I項記載のペプチドの順列と組み合わせを全て包含することは、言うまでもない。また、他のペプチド類(既存のインフルエンザワクチンから見出される伝統的インフルエンザタンパク質抗原を含む)も本明細書記載の免疫原性組成物のいずれかに付加され得ることは、言うまでもない。実施態様によっては、免疫原性組成物中の各ペプチドが独立して免疫原性を示す場合もある。
【0053】
実施態様によっては、少なくとも1つのペプチドが、非インフルエンザタンパク質からの20またはそれより多い連続アミノ酸を伴う領域を含むこともある。実施態様によっては、各ペプチドが、非インフルエンザタンパク質からの20またはそれより多い連続アミノ酸を伴う領域を含むこともある。実施態様によっては、組成物の少なくとも2つのペプチドが単一タンパク質内に存在することもある。
【0054】
一部の実施態様において、本願は、I項からの1または複数のA型インフルエンザHA H1ペプチドおよび1または複数のA型インフルエンザHA H3ペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0055】
一部の実施態様において、本願は、I項からの1または複数のA型インフルエンザHA H1ペプチドおよび1または複数のB型インフルエンザHAペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0056】
一部の実施態様において、本願は、I項からの1または複数のA型インフルエンザHA H3ペプチドおよび1または複数のB型インフルエンザHAペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0057】
一部の実施態様において、本願は、I項からの1または複数のA型インフルエンザHA H1ペプチド、1または複数のA型インフルエンザHA H3ペプチドおよび1または複数のB型インフルエンザHAペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。
【0058】
実施態様によっては、I項からの1または複数のA型インフルエンザNPペプチドが上述の組み合わせのいずれか1つに含まれることもあり得る。
【0059】
若干の実施態様において、本願は、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第1ペプチド、配列番号17のアミノ酸配列を含む第2ペプチド、および配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドを含む免疫原性組成物を提供し、この場合第3ペプチドは、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含むものとする。一部の実施態様では、第1および第3ペプチドは、100未満のアミノ酸を含み、第2ペプチドは、30未満のアミノ酸を含む。
【0060】
実施態様によっては、さらに配列番号14または15のアミノ酸配列を含む第4ペプチドが含まれる場合もあり、この第4ペプチドは、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含むものとする。
【0061】
具体例としての第1ペプチド(A型インフルエンザHA H1)
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも85%、90%、95%または99%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号16の20〜50の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号16の50〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。
【0062】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号2(表2参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含み得る。配列番号2の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸が含まれるものとする。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号2の少なくとも21、22、23、24、25または26の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらの第1ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号2の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なる第1ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号2の異なるアミノ酸配列を含む2(n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0063】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号3(表3参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含み得る。配列番号3の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸が含まれるものとする。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号3の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32または33の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらの第1ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号3の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なる第1ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号3の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0064】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号4(表4参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含み得る。配列番号4の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸が含まれるものとする。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号4の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29または30の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらの第1ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号4の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3または4の異なる第1ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号4の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜2)の異なる第1ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。
【0065】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号5(表5参照)の少なくとも20の連続アミノ酸を含み得る。配列番号5の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つの20連続アミノ酸が含まれるものとする。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号5の少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28または29の連続アミノ酸を含み得る。本願はまた、これらの第1ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号5の少なくとも20の連続アミノ酸を含む2、3、4、5、6、7または8の異なる第1ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号5の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。
【0066】
若干の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6(表6参照)の少なくとも40の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。一部の実施態様では、相同性は、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含み得る。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6の少なくとも50、60、70または80の連続アミノ酸を含み得る。すなわち、第1ペプチドは、配列番号6のアミノ酸1〜81を含み得る。第1ペプチドはまた、配列番号6のアミノ酸82〜88を含み得る。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6の全配列を含み得る。他の実施態様では、第1ペプチドは、本質的に配列番号6により構成され得る。さらに別の実施態様では、第1ペプチドは、配列番号6により構成され得る。
【0067】
実施態様によっては、上述の第1ペプチドのいずれかが30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含む第1ペプチドが、さらに大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0068】
具体例としての第2ペプチド(A型インフルエンザHA H3)
一部の実施態様において、第2ペプチドは、配列番号17の配列を含み得る。配列番号17の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。
【0069】
若干の実施態様において、第2ペプチドは、配列番号9(表9参照)の配列を含み得る。配列番号9の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらの第2ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号9の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なる第2ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号9の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、本質的に配列番号9のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成される第2ペプチドを提供することは言うまでもない。
【0070】
若干の実施態様において、第2ペプチドは、配列番号10(表10参照)の配列を含み得る。配列番号10の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらの第2ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号10の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なる第2ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号10の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、本質的に配列番号10のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成される第2ペプチドを提供することは言うまでもない。
【0071】
若干の実施態様において、第2ペプチドは、配列番号11(表11参照)の配列を含み得る。配列番号11の共通配列により特定された変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらの第2ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原性組成物を提供する。すなわち、若干の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号11の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なる第2ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また本願が、本質的に配列番号11のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成される第2ペプチドを提供することは言うまでもない。
【0072】
実施態様によっては、上述の第2ペプチドのいずれかが30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含む第2ペプチドが、さらに大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0073】
具体例としての第3ペプチド(B型インフルエンザHA)
一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも85%、90%、95%または99%の相同性を有する領域を含み得る。一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも25、30、35、40または45の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。
【0074】
一部の実施態様では、第3ペプチドは、配列番号12(表12参照)の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。一部の実施態様において、相同性のレベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様では、第3ペプチドは、配列番号12の全配列を含み得る。若干の実施態様では、第3ペプチドは、本質的に配列番号12により構成され得る。一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号12により構成され得る。
【0075】
一部の実施態様では、第3ペプチドは、配列番号13(表12参照)の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。一部の実施態様において、相同性のレベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様では、第3ペプチドは、配列番号13の全配列を含み得る。若干の実施態様では、第3ペプチドは、本質的に配列番号13により構成され得る。一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号13により構成され得る。
【0076】
一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含み得る。一部の実施態様では、相同性は、さらに高く、例えば少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様では、第1および/または第2領域における相同性は、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも25、20、35、40または45の連続アミノ酸に及び得る。
【0077】
若干の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号8の全配列と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み得る。若干の実施態様では、相同性レベルは、少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。若干の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号8の全配列を含み得る。他の実施態様では、第3ペプチドは、本質的に配列番号8の配列により構成されるかまたはそのものにより構成され得る。
【0078】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、2つの異なる第3ペプチドを含み得、その一方は、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、他方は配列番号18の68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含んでいる。一部の実施態様において、相同性のレベルは、一方または両方のペプチドにおいて少なくとも85%、90%、95%または99%であり得る。
【0079】
実施態様によっては、前述の第3ペプチドのいずれかが、100未満のアミノ酸、例えば90、80、70、60、50または40未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含む第3ペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0080】
具体例としての第4ペプチド(A型インフルエンザNP)
一部の実施態様において、所望による第4ペプチドは、配列番号14(表13参照)の配列を含み得る。配列番号14の共通配列により特定される変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらの第4ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号14の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なる第4ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また免疫原性組成物が、本質的に配列番号14のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成される第4ペプチドを含み得ることは言うまでもない。
【0081】
一部の実施態様において、所望による第4ペプチドは、配列番号15(表14参照)の配列を含み得る。配列番号15の共通配列により特定される変異型配列のいずれか1つが含まれるものとする。本願はまた、これらの第4ペプチドの2つまたはそれ以上を含む免疫原組成物を提供する。すなわち、一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号15の配列を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16の異なる第4ペプチドを含み得る。若干の実施態様において、免疫原性組成物は、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含み得る。実施態様によっては、n=1である。実施態様によっては、n=2である。実施態様によっては、n=3である。実施態様によっては、n=4である。また免疫原性組成物が、本質的に配列番号15のアミノ酸配列により構成されるかまたはそのものにより構成される第4ペプチドを含み得ることは言うまでもない。
【0082】
実施態様によっては、前述の第4ペプチドのいずれかが、30未満のアミノ酸を含むこともあり得る。しかしながら、本明細書で検討しているところによると、実施態様によっては、特定領域のいずれか1つを含む第4ペプチドはまた、大きなペプチド内に含まれることもあり得る。
【0083】
具体例としてのペプチドの組み合わせ
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号6と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチド、配列番号8と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドおよびそれぞれ配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0084】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号6と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む第1ペプチド、配列番号8と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドおよびそれぞれ配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0085】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号6と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む第1ペプチド、配列番号8と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドおよびそれぞれ配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0086】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号6を含む第1ペプチド、配列番号8を含む第3ペプチドおよびそれぞれ配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0087】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、本質的に配列番号6により構成される第1ペプチド、本質的に配列番号8により構成される第3ペプチドおよびそれぞれ本質的に配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ本質的に配列番号11の異なるアミノ酸配列により構成される。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ本質的に配列番号14の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ本質的に配列番号15の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0088】
一部の実施態様において、免疫原性組成物は、配列番号6により構成される第1ペプチド、配列番号8により構成される第3ペプチドおよびそれぞれ配列番号9、10または11の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み得る。一実施態様では、第2ペプチドは、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列により構成される。一実施態様では、n=4である。一実施態様では、組成物はさらに、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様において、組成物はさらに、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。一実施態様では、m=4である。
【0089】
III.ペプチド合成
本明細書で記載しているペプチド類は、当業界で公知の方法(組換え技法を含む)を用いて合成され得る。様々な実施形態において、ペプチド類は、固相ペプチド合成法(SPPS)により合成され得る。SPPSでは、リンカー分子により酸に不安定な結合を介してC−末端アミノ酸を固相(典型的には架橋樹脂、例えばポリスチレンまたはポリエチレングリコール含有樹脂)に結合させる。使用する固相は、一般的に合成に使用する溶媒に不溶性であるため、比較的簡単かつ迅速に過剰の試薬および副生成物を洗い流せる。酸中では安定しているが、塩基により除去可能な保護基(例、Fmoc基)でN−末端を保護する。塩基安定性の酸分解性基により側鎖官能基を保護する。そこで、SPSS技術では、C−末端を固相に結合させた状態で、N−α−保護アミノ酸を伸長中のペプチド鎖に組み込ませる。実施例1は、典型的なSPSS工程について説明している。
【0090】
一般に、この工程は自動化され得、市販の装置を用いることにより、20またはそれより長いアミノ酸長のペプチドを常用的に合成することができる。長いペプチド(例、40アミノ酸より長い)を製造するとき、適切な保護基を用いることによりライゲーションされ得る一連のフラグメント中でのペプチド生成が有利であることが立証され得る。
【0091】
本明細書で記載しているとおり、ある種のペプチド組成物は、単一ペプチド配列の多くの変異型を含み得る(例、同一配列における2またはそれ以上の位置における2またはそれより多い異なるアミノ酸を伴う)。所定のセットにおける各変異型は個々に合成され得るが、典型的には単一合成において変異型のサブセットまたは1セット全体を合成する方が有利である。様々な実施態様において、これは、スプリット−コンバイン方法を用いて達成され得る。すなわち、所定の位置に2つの異なるアミノ酸の一方を含むように変異型のセットが設計された場合、樹脂は2つの等しい部分に分離され得、各部分が2つのアミノ酸の一方とカップリングすることにより、2つの特徴的なペプチド鎖を形成し得る。一旦カップリングが完了すると、2つの部分は、後続のアミノ酸が両鎖に付加され得るように再び組み立てられ得る。別法として、選択の対象となる2つのアミノ酸が同一反応に加えられるワンポット法が使用され得る。典型的には、2つのアミノ酸は当モル量で加えられる。しかしながら、環境によっては(例えば、それぞれの反応速度論が著しく異なる場合)、非当モル量の方が好ましい場合もあり得る。次いで、ペプチド反応は、Kaiser ニンヒドリン試験を用いることにより完全性について監視され得る。
【0092】
以下の参考文献は、若干の典型的なペプチド混合物の製造方法を記載している:Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5131 (1985); Geysen et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3998 (1984) および米国特許第5,010,175号。
【0093】
IV.アジュバント
一部の実施態様では、免疫原組成物は、1種またはそれ以上のアジュバントを含み得る。当業界で周知のとおり、アジュバントは、免疫応答の増強剤である。アジュバントについては、当業界では熟知されている(例、"Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach", Pharmaceutical Biotechnology, 第6巻、Powell および Newman 編、Plenum Press、ニューヨークおよびロンドン、1995参照)。
【0094】
アジュバントの例としては、完全フロイントアジュバント(CFA)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、スクアレン、スクアランおよびミョウバン(水酸化アルミニウム)があり、これらは当業界ではよく知られた材料であり、数社から市販されている。一部の実施態様において、アルミニウムまたはカルシウム塩類(例、水酸化またはリン酸塩類)はアジュバントとして使用され得る。ミョウバン(水酸化アルミニウム)は、多くの既存のワクチンで使用されてきた。典型的には、1用量当たり約40〜約700μgのアルミニウムが含有され得る。
【0095】
様々な実施態様において、水中油エマルジョンまたは油中水エマルジョンもまたアジュバントとして使用され得る。例えば、油相は、スクアレンまたはスクアランおよび界面活性剤を含み得る。様々な実施態様では、非イオン性界面活性剤、例えばソルビタンおよびマンニドのモノ−およびジ−C12−C24−脂肪酸エステルなどが使用され得る。油相は、好ましくは免疫原性ペプチド(複数も可)を約0.2〜約15重量%の割合で含み得る(例、約0.2〜1%)。PCT公開第WO95/17210号は、具体例としてのエマルジョンを報告している。
【0096】
QS21と称するアジュバントは、南米産樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮に由来するアジュバント活性を有する免疫学的活性サポニンフラクションであり、その製造方法は、米国特許第5057540号に開示されている。キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)サポニンの半合成および合成誘導体、例えば米国特許第5977081および6080725号記載のものも有用である。
【0097】
TLRは、ドロソフィラ・トル(ショウジョウバエ、Drosophila Toll)受容体と相同的なタンパク質の一群であり、病原体に関連した分子パターンを認識することから、身体が自己および非自己分子を区別するのを助ける。ウイルス病原体に共通した物質は、病原体関連分子パターンとしてTLRにより認識される。例えば、TLR−3は2本鎖RNAにおけるパターンを認識し、TLR−4はリポ多糖類におけるパターンを認識し、TLR−7/8は、ウイルス性および細菌性RNAおよびDNAにおいてアデノシンを含むパターンを認識する。TLRが上記パターン認識により誘導されたとき、炎症および自然および獲得免疫応答の活性化に至る一連のシグナリング事象が起こる。様々なTLRにより認識される分子パターンを含む若干の合成リガンドが、アジュバントとして開発されており、本明細書記載の免疫原性組成物中に含まれ得る。
【0098】
例えば、ポリリボイノシン酸:ポリリボシチジン酸またはポリ(I:C)(カリフォルニア、サンディエゴの InvivoGen から入手可能)は、2本鎖RNA(ウイルス感染に随伴した分子パターン)の合成類似体であり、TLR−3についてのアゴニストである典型的なアジュバントである(例、Field et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 58:1004 (1967) および Levy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 62:357 (1969) 参照)。下記実施例11は、典型的な経口ペプチド組成物でのこのアジュバントの使用に伴う利点を立証している。一部の実施態様では、ポリ(I:C)を他の薬剤と組み合わせることにより、安定性が改善され得る(例、リボヌクレアーゼの活性を介した分解の縮小による)。例えば、米国特許第3,952,097、4,024,241 および 4,349,538号は、ポリ−L−リシンとのポリ(I:C)複合体について報告している。また、ポリ(I:C)へのポリ−アルギニンの付加は、リボヌクレアーゼの活性による分解を縮小させることが示された。米国特許公開第20090041809号は、TLR−3アゴニストとして作用し得る1個または複数個のロックト核酸(LNA)ヌクレオシドを伴う2本鎖核酸について報告している。当業者であれば、他の適切なTLR−3アゴニストアジュバントについても同定できるはずである。
【0099】
弱毒化脂質A誘導体(ALD)、例えばモノホスホリル脂質A(MPL)および3−脱アシルモノホスホリル脂質A(3D−MPL)は、TLR−4についてのアゴニストである典型的なアジュバントである。ALDは、分子の呈する作用が、脂質Aの有害な作用を低減化または相違させた形となるように改変または構築された脂質A様分子である。これらの有害な作用には、ニワトリ胚50%致死量検定法(CELD50)において評価される発熱性、局所 Shwarzman 反応性および毒性がある。MPLおよび3D−MPLは、米国特許第4436727および4912094号にそれぞれ記載されている。元来、MPLは、強力ではあるが高毒性の免疫系調節剤である、腸内細菌リポ多糖類(LPS)の一構成成分である、脂質Aから誘導されたものである。3D−MPLは、3位の還元末端グルコサミンにエステル結合しているアシル残基が選択的に除去された点がMPLとは異なる。MPLおよび3D−MPLは、脂肪酸鎖長の変動を伴う若干の脂肪酸置換パターン、すなわち、ヘプタアシル、ヘキサアシル、ペンタアシルなどの混合物を含み得るものとする。すなわち、MPLおよび3D−MPLの様々な形態およびそれらの混合物も本開示に包含される。
【0100】
一部の実施態様において、これらのALDは、例えば2%スクアレン/Tween(登録商標)80エマルジョン中で、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)と組み合され得る(例、英国特許第2122204号参照)。MPLは、PHAD(リン酸化ヘキサアシル二糖)としてアラバマ、アラバスターのAvanti Polar Lipids, Inc. から入手可能である。図13は、PHADの化学構造を示す。下記実施例13は、典型的非経口ペプチド組成物でのこのアジュバントの使用に伴う利点を立証している。図14には、別の典型的なTLR−4アゴニストアジュバントであるジ[3−デオキシ−D−マンノ−オクツロソニル]−脂質A(アンモニウム塩)の構造が示されている(同じく、アラバマ、アラバスターのAvanti Polar Lipids, Inc.製)。当業者であれば、他の適切なTLR−4アゴニストアジュバントを同定できるはずである。例えば、他のリポ多糖類は、国際公開第98/01139号、米国特許第6005099号および欧州特許第729473号に記載されている。
【0101】
イミキモド(1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)は、同じく本明細書記載の免疫原性組成物中に有利な形で含まれ得るTLR−7/8の低分子アゴニストである。
【0102】
V.小胞
実施態様によっては、組成物中の1または複数ペプチドを小胞と組み合わせる場合もあり得る。当業界で周知のとおり、小胞は、一般的に両親媒性分子(例、脂肪酸、脂質、ステロイドなど)を含む1または複数の脂質二重層により取り囲まれた水性区画を有する。小胞の水性コアには、1または複数のペプチドが存在し得る。ペプチドはまた、その疎水性によって、二重層とも(例、疎水性相互作用および/または水素またはイオン結合を介して)会合され得る。いかなる小胞でも本明細書記載の免疫原性組成物で使用され得ること、また脂質二重層の両親媒性分子はイオン性および/または非イオン性であり得ることは、言うまでもない。
【0103】
実施態様によっては、小胞が、非イオン性両親媒性物質(例、非イオン性界面活性剤)を含むこともあり得る。適切な両親媒特性をもつ非イオン性界面活性剤であれば全て、かかる小胞の形成に使用され得る。限定ではないが、適切な界面活性剤の例には、グリセリン基剤のエステル結合界面活性剤がある。上記グリセリンエステルは、例えば各アシル部分に少なくとも10個の炭素原子を含む、2つの高級脂肪族アシル基の1つを含み得る。上記グリセリンエステルに基づいた界面活性剤は、複数のグリセリン単位、例えば5個以下のグリセリン単位を含み得る。グリセリンモノエステル、例えばC12−C20アルカノイルまたはアルケノイル部分、例えばカプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、オレイルまたはステアロイルを含むものが使用され得る。具体例としての界面活性剤は、1−モノパルミトイルグリセリンである。
【0104】
エーテル結合界面活性剤もまた、非イオン性界面活性剤として使用され得る。例えば、グリセリンまたは炭素原子4個以下の低級脂肪族グリコールを有するグリコール、例えばエチレングリコールに基づくエーテル結合界面活性剤が適切である。上記グリコールに基づく界面活性剤は、複数のグリコール単位、例えば5個以下のグリコール単位を含み得る(例、ジグリコールセチルエーテルおよび/またはポリオキシエチレン−3−ラウリルエーテル)。グリコールまたはグリセリンモノエーテル類、例えばC12−C20アルカニルまたはアルケニル部分、例えばカプリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、オレイルまたはステアリルを含むものが使用され得る。使用され得るエチレンオキシド縮合生成物には、PCT公開第WO88/06882号に開示されたものがある(例、ポリオキシエチレン高級脂肪族エーテルおよびアミン界面活性剤)。具体例としてのエーテル結合界面活性剤には、1−モノセチルグリセリンエーテルおよびジグリコールセチルエーテルがある。
【0105】
一部の実施態様において、非イオン性界面活性剤を含む小胞は、例えば小胞を負に帯電させるため、さらにイオン性両親媒性物質を含み得る。例えば、これにより、小胞の安定化および有効な分散が促進され得る。限定はされないが、酸性物質、例えば高級アルカンおよびアルケン酸(例、パルミチン酸、オレイン酸)または例えばジアルキルホスフェート類などのリン酸を含む酸性基を含む他の化合物(例、ジセチルホスフェート、またはホスファチジン酸またはホスファチジルセリン)および硫酸モノエステル類、例えば高級アルキルスルフェート(例、セチルスルフェート)は全てこの目的に使用され得る。イオン性両親媒性物質は、存在するとすれば、典型的には非イオン性界面活性剤の重量にして1〜30%の量で含まれる。例えば、2〜20重量%または5〜15重量%である。
【0106】
一部の実施態様において、小胞成分は、二重層を形成し得る高分子量の適切な疎水性材料と混合され得る(例えば、ステロイド、例えばコレステロールなどのステロール)。一部の実施態様では、ステロイドの存在は、小胞の物理特性を左右する脂質二重層の形成を促進し得る。ステロイドは、存在するとすれば、典型的には非イオン性界面活性剤の20〜120重量%の量で含まれる。例えば、25〜90重量%または35〜75重量%である。
【0107】
一部の実施態様において、小胞はビロソームであり得る(例、米国特許第5876721号参照)。本明細書で使用している「ビロソーム」は、非イオン性界面活性剤および粘膜を通る脂質様分子の輸送を促す輸送促進分子を含む小胞である。米国特許第5876721号の記載によると、様々な分子が輸送エンハンサーとして使用され得る。例えば、側鎖のC23炭素原子がカルボン酸および/またはその誘導体をもつコレステロール誘導体は、輸送エンハンサーとして使用され得る。上記誘導体には、限定されるわけではないが、「胆汁酸類」コール酸およびケノデオキシコール酸、それらのグリシンまたはタウリンとの複合生成物、例えばグリココール酸およびタウロコール酸、デオキシコール酸およびウルソデオキシコール酸を含む誘導体、およびこれらの酸のそれぞれの塩類がある。
【0108】
他の輸送エンハンサーには、アシルオキシ化アミノ酸、例えばアシルカルニチンおよびその塩類がある。例えば、C6−20アルカノイルまたはアルケノイル部分を含むアシルカルニチン、例えばパルミトイルカルニチンは、輸送エンハンサーとして使用され得る。本明細書で使用しているアシルオキシ化アミノ酸の語は、第1級、第2級および第3級アミノ酸並びにα、βおよびγアミノ酸を包含するものとする。アシルカルニチン類は、アシルオキシ化γアミノ酸の例である。
【0109】
免疫原性組成物に含まれるビロソームが、複数タイプの輸送エンハンサー、例えば1種または複数の異なる胆汁酸塩類および1種または複数のアシルカルニチン類を含み得ることは言うまでもない。
【0110】
また、ビロソームにイオン性両親媒性物質を組み込むことにより、例えばビロソームを負に帯電させ得ることは言うまでもない。例えば、これにより、ビロソームの安定化および有効な分散が促進され得る。限定はされないが、酸性物質、例えば高級アルカンおよびアルケン酸(例、パルミチン酸、オレイン酸)または例えばジアルキルホスフェート類などのリン酸を含む酸性基を含む他の化合物(例、ジセチルホスフェート、またはホスファチジン酸またはホスファチジルセリン)および硫酸モノエステル類、例えば高級アルキルスルフェート(例、セチルスルフェート)は全てこの目的に使用され得る。
【0111】
一部の実施態様において、ビロソーム成分は、二重層を形成し得る高分子量の適切な疎水性材料と混合され得る(例えば、ステロイド、例えばコレステロールなどのステロール)。一部の実施態様では、ステロイドの存在は、ビロソームの物理特性を左右する脂質二重層の形成を促進し得る。
【0112】
ビロソーム内に存在する輸送エンハンサー(複数も可)は、一般的に非イオン性界面活性剤の40〜400重量%の量で存在する(例、60〜100重量%または70〜90重量%)。ステロイドは、存在するとすれば、典型的には非イオン性界面活性剤の20〜120重量%の量で含まれる(例、25〜90重量%または35〜75重量%)。イオン性両親媒性物質は、存在するとすれば、典型的には非イオン性界面活性剤の1〜30重量%の量で含まれる(例、2〜20重量%または5〜15重量%)。
【0113】
非イオン性界面活性剤を含む小胞の製造については、例えばPCT公開第WO1993/019781号で報告されているものなど、多くの公知技術がある。これらの公知方法のいずれであっても、適切な小胞の製造に使用され得、ビロソームはこれらの技術のいずれかを改変することにより製造され得るものとする。典型的な技術は、非イオン性界面活性剤の薄膜を、有機溶媒、例えば炭化水素または塩素化炭化水素溶媒、例えばクロロホルムからの回転式蒸発法により製造する、回転式薄膜蒸発方法である、例えば、Russell および Alexander, J.Immunol. 140:1274 (1988)参照。次いで、生成した薄膜を、輸送エンハンサーの存在下、重炭酸緩衝液中で再水和する。
【0114】
ビロソームの製造に適合化され得る別の小胞製造方法は、Collins et al., J. Pharm. Pharmacol. 42:53 (1990)に開示された方法である。この方法では、非イオン性界面活性剤、ステロイド(使用する場合)およびイオン性両親媒性物質(使用する場合)の混合物を融解し、水性緩衝液の存在下で激しく混合しながら水和する。輸送エンハンサーは、混合物中の他の構成成分により封入されるか(すなわち、共融解による)、またはペプチドの封入に使用される工程中同時に小胞に組み込まれ得る。
【0115】
別の方法では、剪断力の存在下で水和させる。上記剪断力の適用に使用され得る装置は、公知の適切な装置である(例、PCT公開第WO88/06882号参照)。また、音波処理および超音波処理は、小胞の形成またはそれらの粒子サイズの改変に有効な手段である。
【0116】
1または複数ペプチドは、いかなる方法にせよ小胞と組み合され得る。例えば、回転式薄膜蒸発技術の場合、これは、輸送エンハンサーと一緒にペプチドの存在下で薄膜を水和させることにより達成され得る。他の方法では、1または複数ペプチドを、水相に存在するペプチドを急速冷凍、次いで凍結乾燥により封入する脱水−再水和方法により予め成形しておいた小胞と組み合わせることもあり得る、例えば、Kirby および Gregoriadis, Biotechnology 2:979 (1984)参照。別法として、小胞をペプチドと混合し、液体窒素中で繰り返し急速冷凍し、例えば60℃程度の温度(すなわち、関連界面活性剤の転移温度より高温)に温める、冷凍解凍技術が使用され得る、例えば、Pick, Arch. Biochem. Biophys. 212:195 (1981)参照。ペプチド封入に加えて、脱水−再水和方法および冷凍−解凍技術によると、小胞へ追加的輸送エンハンサーを同時に組み込むこともできる。
【0117】
これらの方法のそれぞれにおいて、小胞形成混合物を融解状態で維持するのに十分な程度高温で、小胞成分の懸濁液を数回多孔質ポリカーボネート膜から押し出して成形し得る。この方法は、均一サイズを有する小胞が製造され得るという利点を有する。本発明により使用され得る小胞(ビロソームを含む)は、いかなる直径のものでもよい。一部の実施態様では、組成物は、約10nm〜約10μmの範囲の直径を有する小胞を含み得る。一部の実施態様では、小胞は、約100nm〜約5μmの直径を有する。一部の実施態様では、小胞は、約500nm〜約2μmの直径を有する。一部の実施態様では、小胞は、約800nm〜約1.5μmの直径を有する。
【0118】
VI.投薬量および投与
本発明方法は、成人および小児を含むヒトにおけるインフルエンザの処置に有用である。しかしながら、一般に、それらは動物でも使用され得る。一部の実施態様において、本発明方法は、獣医適用、例えばイヌおよびネコ適用に使用され得る。所望ならば、本発明方法はまた、家畜、例えばヒツジ、鳥類、ウシ、ブタおよびウマの品種にも使用され得る。
【0119】
本明細書記載の組成物は、一般に、免疫応答を誘導するのに必要であるかまたは十分である量および時間で投与される。投薬レジメンは、一定の期間にわたる単一用量または複数用量により構成され得る。投与されるペプチド組成物の正確な量は、対象ごとに変動し得、幾つかの因子によって異なり得る。すなわち、一般に、使用される正確な用量は、担当医により決定され、対象の体重および投与経路並びに対象の年齢および症状の重症度および感染の危険性に左右されるものとする。一部の実施態様では、免疫原性組成物中のペプチドの用量は、約0.01〜50mgの範囲であり得る。例えば、一部の実施態様では、範囲は、0.1〜5mg、例えば0.1〜2mgであり得る。実施例14は、0.2または1mgペプチド用量の2回の連続筋肉注射(第0日および第28日目)を含む具体例としての投与スキームを記載している。
【0120】
一般に、組成物は、任意の経路により対象に投与され得る。実施例における結果は、本明細書記載の免疫原性ペプチド組成物が、伝統的非経口経路により、または経口的に投与されたとき防御応答を誘導し得ることを立証している。すなわち、実施態様によっては、組成物は、経口的に(頬側、舌下経路および胃洗浄または他の人工栄養手段を含む)投与される場合もあり得る。上記の経口送達は、固体または液体組成物の例えば錠剤、カプセル、多重粒子、ゲル、フィルム、小卵(ovule)、エリキシル、液剤、懸濁液などの形態を用いて達成され得る。一部の実施態様において、液体組成物を用いたとき、組成物は、胃のpHを中和するために塩基性組成物(例、重炭酸溶液)と連係的に投与され得る。一部の実施態様において、塩基性組成物は、ペプチド組成物の前および/または後に投与され得る。一部の実施態様において、塩基性組成物は、投与前にペプチド組成物と組み合わされるか、またはペプチド組成物と同時に摂取され得る。
【0121】
いかなる注射形態よりも経口送達が有利であることを考えると、経口経路は特に望ましいものであると認められる。また、公知インフルエンザワクチンが全て、これまで非経口投与されてきたという事実を考えると、結果は驚くべきものであると認められる。本明細書記載の免疫原性組成物が、現行のインフルエンザワクチンで使用されている標準タンパク質抗原よりもかなり短いペプチドを含むという事実に照らし合わせると、経口送達による防御応答の誘導能力は、特に予想外のことである。事実、免疫原としての短いペプチドの使用およびタンパク質ワクチンの経口送達の両方に対して当業界では長い間偏見があった。
【0122】
一部の実施態様において、経口組成物は、1または複数のペプチド、ビロソームおよびアジュバントを含む。一部の実施態様において、アジュバントはTLR−3アゴニストである。一部の実施態様において、アジュバントは、ビロソームと混合され得る。実施態様によっては、アジュバントをビロソームと(例、ビロソームの製造に使用される工程中にアジュバントを1または複数のペプチドおよび/またはビロソーム成分と組み込むことにより)会合させる場合もあり得る。
【0123】
一部の実施態様において、組成物は、例えば注射による非経口送達用に処方され得る。上記実施態様では、投与は、例えば、静脈内、筋肉内、皮内または皮下経路であるか、または注入または無針注射技術によるものであり得る。上記非経口投与の場合、組成物は、慣用的凍結乾燥組成物で調製および維持され、投与前に医薬上許容される食塩溶液、例えば0.9%食塩溶液により再構成され得る。注射可能組成物のpHは、当業界で周知のとおり、医薬上許容される酸、例えばメタンスルホン酸で調節され得る。使用され得る他の許容される賦形剤および溶媒には、リンゲル液およびU.S.Pがある。さらに、滅菌した固定油類も、溶媒または懸濁媒質として常用されている。この目的の場合、合成モノ−またはジグリセリドを含め、刺激の強くない固定油であれば使用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射可能物質の製造に使用される。注射可能組成物は、例えば、細菌保持フィルターに通してろ過するか、または使用前に滅菌水または他の滅菌注射可能媒質に溶解または分散され得る滅菌固体組成物形態で殺菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0124】
一部の実施態様において、非経口組成物は、1または複数のペプチド、非イオン性界面活性剤を含む小胞およびアジュバントを含む。一部の実施態様において、アジュバントはTLR−4アゴニストである。実施態様によっては、アジュバントを小胞と混合する場合もあり得る。実施態様によっては、アジュバントを小胞と(例、小胞の製造に使用される工程中にアジュバントを1または複数のペプチドおよび/または小胞成分と組み込むことにより)会合させる場合もあり得る。
【0125】
また組成物は、鼻腔経路または吸入により投与され得、好都合には、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用し、または使用せず、与圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーから乾燥粉末形態またはエーロゾル噴霧形態で送達される。与圧式エーロゾルの場合、用量単位は、バルブを取り付けて計量された量を送達することにより決定され得る。与圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器またはネブライザーは、例えば溶媒としてエタノールと噴射剤の混合物を用いた、抗体の溶液または懸濁液を含み得、さらに滑沢剤、例えばソルビタントリオレエートを含み得る。吸入器または吹き入れ器で使用されるカプセルおよびカートリッジ(例えばゼラチンでできている)は、ペプチド組成物および適切な粉末基剤、例えば乳糖または澱粉の粉末ミックスを含むように製剤化され得る。
【0126】
直腸投与用組成物は、好ましくは、ペプチド(複数も可)を、周囲温度では固体であるが、体温では液体であるため、直腸円蓋部で溶解し、抗体を放出する適切な非刺激性賦形剤または担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ロウと混合することにより製造され得る坐薬である。また、当業界で周知のとおり、停留浣腸および直腸カテーテルも使用され得る。また、増粘性担体、例えばヒドロキシプロピルセルロースは、直腸内における組成物の保持を促すため、直腸投与に適切な本発明担体である。一般的に、組成物に加えられる担体の量は、組成物の保持を最大にするように選択される。特に、体積は、直腸円蓋部における投与された組成物の保持を危うくするほど大きくするべきではない。
【0127】
VII.具体例としての組成物
一部の実施態様において、本開示は、TLR−3アゴニストアジュバントおよび非イオン性界面活性剤および粘膜を通る脂質様分子の輸送を促す輸送エンハンサーを含む小胞を含む免疫原組成物を提供する。実施態様によっては、これらの組成物を経口投与する場合もあり得る。若干の実施態様では、TLR−3アゴニストアジュバントはポリ(I:C)を含む。一部の実施態様において、輸送エンハンサーは、胆汁酸、その誘導体またはこれらのいずれかの塩(例、デオキシコール酸ナトリウム)である。若干の実施態様において、非イオン性界面活性剤は、グリセリンエステル(例、1−モノパルミトイルグリセリン)である。実施態様によっては、小胞がさらにイオン性両親媒性物質(例、ジセチルホスフェート)を含む場合もある。実施態様によっては、小胞がさらにステロイド(例、コレステロール)を含む場合もある。一部の実施態様において、小胞は、1−モノパルミトイルグリセリン、ジセチルホスフェート、コレステロールおよびデオキシコール酸ナトリウムを含む。実施態様によっては、組成物がさらにミョウバンを含むこともある。
【0128】
一部の実施態様において、本開示は、TLR−4アゴニストアジュバントおよび非イオン性界面活性剤を含む小胞を含む免疫原組成物を提供する。実施態様によっては、これらの組成物を非経口投与(例、筋肉注射により)する場合もあり得る。若干の実施態様において、TLR−4アゴニストアジュバントは、モノホスホリル脂質Aまたは3−脱アシルモノホスホリル脂質Aを含む。若干の実施態様において、非イオン性界面活性剤はグリセリンエステル(例、1−モノパルミトイルグリセリン)である。実施態様によっては、小胞がさらにイオン性両親媒性物質(例、ジセチルホスフェート)を含む場合もある。実施態様によっては、小胞がさらにステロイド(例、コレステロール)を含む場合もある。一部の実施態様において、小胞は、1−モノパルミトイルグリセリン、ジセチルホスフェートおよびコレステロールを含む。実施態様によっては、組成物がさらにミョウバンを含むこともある。
【0129】
一部の実施態様において、前述の免疫原性組成物は、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第1ペプチド、配列番号17のアミノ酸配列を含む第2ペプチド、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドであって、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第3ペプチド、および配列番号14のアミノ酸配列を含む第4ペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含む第4ペプチドを含む。
【0130】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含む。一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6のアミノ酸1〜88を含む。
【0131】
一部の実施態様では、第2ペプチドは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。一部の実施態様において、組成物は、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む。実施態様によっては、n=4である。
【0132】
一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む。一部の実施態様において、第3ペプチドは、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含む。一部の実施態様において、組成物は、2つの異なる第3ペプチドを含んでおり、その一方は、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、他方は、配列番号18の68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む。若干の実施態様では、組成物は、2つの異なる第3ペプチドを含んでおり、その一方は配列番号12のアミノ酸配列を含み、他方は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0133】
一部の実施態様において、組成物は、それぞれが配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む。実施態様によっては、n=4である。
【0134】
一部の実施態様において、第1ペプチドは、配列番号6のアミノ酸1〜88を含む。組成物は、それぞれが配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=4)の異なる第2ペプチドを含む。組成物は、2つの異なる第3ペプチドを含んでおり、その一方は配列番号12のアミノ酸配列を含み、他方は配列番号13のアミノ酸配列を含む。また、組成物は、それぞれが配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(m=4)の異なる第4ペプチドを含む。
【0135】
上述の組成物は、季節型インフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している個体の処置に使用される。
【0136】
実施態様の中には、上述の組成物を、ブタ起源のA型インフルエンザ(H1N1)ウイルスにより誘発されるインフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している個体の処置に使用する場合もある。
【実施例】
【0137】
実施例
以下の実施例では、本明細書記載のある種の組成物および方法の具体的な製造および実践方法について記載している。これらの実施例は説明を目的としているのに過ぎず、本明細書記載の組成物および方法の範囲に対し制限を設ける意図など無いことは言うまでもない。
【実施例1】
【0138】
実施例1:ペプチド合成
本明細書記載のペプチドは、全て固相ペプチド合成法(SPPS)により合成された。概して、リンカー分子により酸に不安定な結合を介してC−末端アミノ酸を架橋ポリスチレン(またはPEGに基づく)樹脂に結合させた。この樹脂は、合成に使用する溶媒に不溶性であるため、比較的簡単かつ迅速に過剰の試薬および副生成物を洗い流せる。酸中では安定しているが、塩基により除去可能なFmoc基でN−末端を保護した。塩基安定性の酸分解性基により側鎖官能基を保護した。次いで、鎖の一端を固相に結合させた状態で、N−α−Fmoc保護アミノ酸を伸長中のペプチド鎖に組み込ませることにより合成を実施した。
【0139】
次の方法は、本明細書記載のペプチドの製造に使用した典型的SPPS法である。各カップリングを開始するため、NovaPEG樹脂結合アミノ酸/ペプチド上のFmoc基を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の20%ピペリジンで除去した。次いで、それをすすぎ、そのα−カルボキシル基を2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレートで活性化しておいた保護アミノ酸を加えた。活性化アミノ酸および樹脂結合アミノ酸を塩基の存在下で反応させることにより、新たなペプチド結合を形成させた。ペプチドを段階的方法で合成しながら、可溶性試薬、例えばカップリング試薬、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、塩基、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および脱ブロック化試薬、ピペリジンを全て、ろ過によりペプチド−固体支持体マトリックスから除去し、各カップリング段階の最後にすすいだ。目的ペプチドが樹脂上で会合するまで、この工程を反復した。少なくとも85%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む開裂溶液により樹脂から開裂し、ペプチドから保護基を脱保護した後、粗ペプチドをエーテルからの沈殿により集め、次いで遠心分離にかけた。次いで、ペプチドを精製し、HPLCおよび質量分析法により特性検定した。
【0140】
本明細書で記載しているとおり、ある種のペプチド組成物は、単一ペプチド配列の多くの変異型を含み得る(例、同一配列における2またはそれ以上の位置における2またはそれより多い異なるアミノ酸を伴う)。所定のセットにおける各変異型は個々に合成され得るが、典型的には単一合成において変異型のサブセットまたは1セット全部を合成する方が有利である。例えば、これは、スプリット−コンバイン方法を用いて達成され得る。すなわち、所定の位置に2つの異なるアミノ酸の一方を含むように変異型のセットが設計された場合、樹脂は2つの等しい部分に分離され得、各部分が2つのアミノ酸の一方とカップリングすることにより、2つの特徴的なペプチド鎖を形成し得る。一旦カップリングが完了すると、2つの部分は、後続のアミノ酸が両鎖に付加され得るように再び組み立てられ得る。別法として、選択の対象となる2つのアミノ酸が同一反応に加えられるワンポット法が使用され得る。典型的には、2つのアミノ酸は当モル量で加えられる。しかしながら、環境によっては(例えば、それぞれの反応速度論が著しく異なる場合)、非当モル量の方が好ましい場合もあり得る。次いで、ペプチド反応は、Kaiser ニンヒドリン試験を用いることにより完全性について監視され得る。
【実施例2】
【0141】
実施例2:競合マイクロ中和検定法
この実施例では、インフルエンザ中和抗体に対する様々なペプチド組成物の結合能力を評価した。異なるペプチド組成物(図1および下表1〜9参照)を、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)で80μg/mlに希釈し、50μlを96ウェル平底マイクロタイタープレート(Nunc)における異なるウェルに加えた。各ペプチド組成物は、適用可能な場合変異型の完全な補体を含んでいた(例、表1に示された8個のINF−HA−3−V3ペプチド変異型、表4に示された4個のINF−H1−4−V4ペプチド変異型など)。市販の抗インフルエンザ血清およびヒト血清を、IMDM中で1/40に希釈し、50μlを各ウェルに添加した後、プレートを37℃で1時間インキュベーションした。IMDM中1×10pfuを含むインフルエンザウイルス株 Wisconsin(A/Wis/67/05)または New Caledonia(A/NC/20/99)50μlを、各ウェルに添加し、プレートを37℃でさらに1時間インキュベーションした。これに続いて、2%ウシ胎児血清(FCS)を補った5×10のメイディン−ダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞を各ウェルに添加した。どのプレートも4細胞および4ウイルス対照ウェルを含んでいた。プレートを37℃で18〜22時間インキュベーションした。細胞を1ウェル当たり70%エタノール50μlにより10分間固定し、室温で風乾した。プレートを0.05%Tween-20 含有PBSで5回洗浄し、ウェルを10%FCSで遮断した。4℃で90分後、ブロック緩衝液中で1/500に希釈しておいたA型インフルエンザヌクレオキャプシド抗原(Chemicon)に指向したモノクローナル抗体50μlを、各ウェルに添加した。4℃で1時間さらにインキュベーションした後、プレートを5回洗浄し、ヤギ抗マウスIgGペルオキシダーゼ結合アフィニティー精製抗体(1/10000)100μlを30分間4℃で各ウェルに添加した。プレートを5回洗浄し、100μlのオルトフェニレンジアミン(OPD:Sigma、セントルイス、ミズーリ)により展開し、20分後1NのHClにより酵素反応を止めた。ELISAプレートリーダー(Bio-Rad)により波長490nmでODを測定することにより、反応を定量した。表1、2、3、4、5、6、7、8および9のペプチド(複数も可)を含む組成物に関する結果を図1に示す。
【0142】
図1に示したとおり、光学密度(OD)測定によりELISAで定量したところによると、市販または免疫血清を添加することにより、インビトロでの細胞のインフルエンザウイルス感染は阻害され得る。すなわち、約0.6のOD値(ウイルス対照参照)は、免疫血清の存在下では約0.2まで低下する(ウイルス+血清対照参照)。様々なペプチド組成物と血清をインキュベーションすることにより、ペプチドが血清中に存在する中和抗体とある程度結合するため、それらの中和活性は打ち消され得る(例、約0.3またはそれより高いOD値)。

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】


【表9】

【実施例3】
【0143】
実施例3:ELISPOT検定法
この実施例では、ELISPOT検定法でヒトPBMCの活性化(IFNγ産生量により測定される)を測定することにより、実施例1のペプチド組成物の免疫原性を試験した。マルチスクリーン−HTSプレート(Millipore、ベッドフォード、マサチューセッツ)を、4℃で一晩、PBS中の抗マウスIFNγ抗体(mAb AN18、Mabtech、マリーモント、オハイオ)10μg/mlで被覆した。次いで、プレートをPBSで洗浄し、室温で1時間、10%FCSおよび100U/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを含むIMDMで遮断した。培地を除去し、ペプチド組成物(40μg/ml、図2および表1〜9参照)と混合したインフルエンザワクチン接種済ヒト対象からの2×10の末梢血単核細胞(PBMC)(200μl/ウェル)を、2日間各ウェルに加えた。インキュベーション後、細胞を取り出し、PBS+0.05%Tween 20 で洗浄し、室温で2時間1μg/mlのビオチニル化抗マウスIFNγ抗体(mAb R4−6A2−Biotin、Mabtech)とインキュベーションした。洗浄後、PBS+0.5%FCS中の1/1000ストレプトアビジン−ALP−PQ(Mabtech)100μl/ウェルを加え、室温で1時間インキュベーションした。プレートを上記と同様に洗浄し、室温で20分間1ウェル当たり100μlのBCIP/NBTアルカリ性ホスファターゼ(Moss Inc)により展開した。水道水でプレートをすすぐことにより反応を止めた。各ウェルにおけるスポットの数を拡大および計数した。表1、2、3、4、5、6、7、8および9のペプチド(複数も可)を含む組成物に関する結果を図2に示す。
【0144】
図2に示されているとおり、ある種のペプチドがこの検定法において強い応答を発したことから、これらの組成物は免疫原性であることが確認された。
【実施例4】
【0145】
実施例4:他のペプチド類
この実施例における表10〜14は、本明細書記載の組成物および方法で使用され得る他の具体例としてのペプチド類を記載している。
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【実施例5】
【0146】
実施例5:ペプチド組成物INF−61P
ペプチド組成物INF−61Pは、表15に示したペプチドの混合物を含む。
【表15】

【実施例6】
【0147】
実施例6:ペプチド組成物INF−63P
ペプチド組成物INF−63Pは、表16に示したペプチドの混合物を含む。
【表16】

【実施例7】
【0148】
実施例7:ペプチド組成物SFV2
ペプチド組成物SFV2は、表17に示したペプチドの混合物を含む。
【表17】

【実施例8】
【0149】
実施例8:ビロソームINF−61P組成物
この実施例では、ペプチド組成物の経口送達用に実施例9および11で使用したビロソームINF−61P組成物の製法を記載する。脂質類(モノパルミトイル−グリセリン、コレステロールおよびジセチルホスフェート)を、クロロホルムに溶かし、薄膜状に乾燥し、次いで実施例5のINF−61Pペプチドおよびデオキシコール酸ナトリウム(「胆汁酸塩」)により再水和した。動的光散乱法を用いることによりサイズについて、またニンヒドリン試験を用いることにより封入効率について、生成したビロソームを評価した。次いで、負荷ビロソームの容量を調節することにより、所望量のペプチドを含む組成物を製造した。下記に記載しているとおり、これらの負荷ビロソームは、経口投与したときでさえ、フェレットおよびマウスに免疫原性ペプチド組成物を送達することができた。
【実施例9】
【0150】
実施例9:ビロソームINF−61P組成物によるフェレットの経口インフルエンザ免疫化
この実施例では、フェレットにおけるある種の免疫原性ペプチド組成物のインビボ試験について記載する。インフルエンザウイルス感染のフェレットモデルは、インフルエンザワクチン候補評価用の最も優れた標準哺乳類モデルである。事実、フェレットは、A型およびB型インフルエンザの全ての主要な亜型の臨床単離株により感染し、人体で観察されるのと類似した病気の臨床経過(体温上昇および症例によっては体重減少を含む)を呈し得る。
【0151】
若干の研究者らは、筋肉(IM)注射により接種される現時点で認可されているインフルエンザワクチンが、血球凝集反応阻害活性を併せもつ中和性IgG抗体を誘導することを立証した。これらの既存のワクチンによる細胞性免疫の誘導、および防御におけるその役割は不明である。下記で検討しているとおり、我々は、経口投与された免疫原性ペプチド組成物がIgA抗体を全身的(血清)および粘膜(直腸および鼻腔洗浄試料)において誘導することを示した。インフルエンザ感染は粘膜表面を介して起こるため、IgA応答(粘膜免疫応答の顕著な特徴)は、全身的IgG応答よりも有効であり得る。実施例13で示すところによると、免疫原性ペプチド組成物を標準的非経口経路(例、IM注射による)により投与したとき、全身的IgG応答が得られた。
【0152】
ワクチン接種および攻撃実験を行うため、血球凝集反応阻害検定法により血清陰性として予めスクリーニングされた雄のフェレットを選択した。ペプチドが0.5mlの量で含まれるように経口送達用組成物を処方した。全フェレットに対し免疫化の3日前に採血し、血清、血漿およびPBMCを集めた。INF−61P組成物を与えたフェレットを、第0、3、14および17日目に絶食後胃洗浄により経口的に免疫化した。市販ワクチン対照については、第0および17日目に、FLUVIRAL ワクチンを四頭筋へ筋肉注射した。
【0153】
第27日目、血清を得るためフェレットを採血し、唾液および直腸洗浄液を集めた。次いで、PBS(0.5ml/鼻孔)で2×10pfu/mlに希釈したインフルエンザウイルスにより鼻腔内経路で全フェレットを攻撃した。ウイルス攻撃後10日間、鼻腔洗浄液を集め、全動物を秤量し、感染の臨床徴候について毎日監視した(体温については、各動物の体内の移植体により電子工学的に測定した)。動物を殺す時点で、血清、血漿、PBMCおよび(場合によっては)総血球数(CBC)を得るため採血し、脾臓を集め、単核細胞について処理した。
【0154】
図3に示すとおり、免疫原性ペプチド組成物INF−61P(実施例5参照)を動物に接種し、H3N2(A/Wisconsin/2005)ウイルスで攻撃したとき、動物が発熱数の減少を呈したことから、組成物INF−61Pの防御効果が立証された。さらに、INF−61Pワクチン接種動物(図4参照)は、ウイルス攻撃後の日々に対照マウスと比べて、それほど目立った体重減少を呈しなかった。
【0155】
図5に描いているとおり、組成物INF−61Pは、直腸洗浄液(上方パネル)および鼻腔洗浄液(下方パネル)試料で見られる粘膜IgA応答を誘導した。INF−61Pを接種された動物の大多数(3/4)は、直腸または鼻腔洗浄液試料においてワクチン接種前応答に対しIgA力価の少なくとも2倍の増加を呈した。予想通り、標準MI注射により接種された市販のワクチンは、全身的(血清)IgG応答を誘導した(データは示さず)。しかしながら、図5で示すとおり、それはIgA応答を一切誘導しなかった。
【0156】
SFV2ペプチド(実施例7参照)を含む免疫原性ペプチド組成物でこの実験を再現したときも、同様の結果(データは示さず)が観察された。注目すべきことに、B型インフルエンザからの組換えHAタンパク質に対し指向した血清IgAは、組成物SFV2を接種された動物でも検出された(図6参照)。
【実施例10】
【0157】
実施例10:皮下投与されたINF−09L−A組成物の免疫応答試験
この実施例では、マウスにおいて表13のペプチド組成物(INF−NP1−V1)の修正版(INF−09L−A)を皮下投与することにより誘導された免疫応答について記載する。INF−09L−Aペプチド組成物は、各ペプチドのN−末端にKSSリンカーを含む点が表13に示されたINF−NP1−V1組成物とは異なっていた。N−末端リシン部分は、各ペプチドの二重脂質化(lipidate)に用いられた。
【0158】
成熟年齢に達した(>12か月)HLA(A0201)トランスジェニックマウスに、INF−09L−Aペプチド組成物によるワクチン接種を3回行った。16の変異型は全て投与された組成物に含まれていた。組成物はまた、ミョウバンアジュバントを含んでいた。対照群には、アジュバントのみを与えた。多くの亜型からのインフルエンザ分岐株:H3N2 (A/HK/1/18, A/VICtoria/3/75)およびH1N1 (A/NC/20/99, A/PR/8/34)により脾臓細胞を感染させた。ELISPOT検定法(方法については実施例3参照)においてIFNγ分泌性T細胞の頻度を定量することにより、T細胞応答を測定した。スポットは、ウイルス株のそれぞれに特異的なIFNγ分泌性T細胞の頻度を表し、エラーバーは、各群(n=3)でのマウス間における標準偏差を表す。結果を、左から右に向って次の通り示す:H3N2(A/HK/1/18)、H3N2(A/VICtoria/3/75)、H1N1(A/NC/20/99)および H1N1(A/PR/8/34)。図7に示すとおり、ペプチド組成物は、広範な細胞性(CTL)免疫反応を誘導した。
【実施例11】
【0159】
実施例11:経口投与されたペプチド組成物により誘導される免疫応答に対するアジュバントの効果
この実施例では、アジュバントの使用および不使用時におけるペプチド組成物をマウスに経口投与することにより誘導される免疫応答を比較する。
【0160】
TLR−3に基づくアジュバント(ポリI:C)と組み合わせて、または組み合わせずにビロソームに封入したペプチド組成物を、マウス(n=4)に与えた。マウスを4回経口的に免疫化した(第0、3、14および17日目)。ワクチン接種後、脾臓細胞を採取し、ペプチド組成物中に存在する4種の個々のペプチドによりインビトロで別々に刺激を加えた。IFNγELISPOT(方法については実施例3参照)を用いて、応答を測定した。各ペプチド攻撃に関する結果を図8で比較する。図8に示すとおり、アジュバントと組み合わせたペプチド組成物を投与された動物は、ペプチド組成物を単独で与えられた動物よりも大きな応答を示した。
【実施例12】
【0161】
実施例12:小胞SFV2組成物
この実施例では、ペプチド組成物の筋肉(IM)注射用として実施例13で使用された組成物の製造について記載する。小胞は、次の脂質により構成された:1−モノパルミトイルグリセリン(非イオン性界面活性剤)、コレステロール(ステロイド)およびジセチルホスフェート(イオン性両親媒性物質)。具体的には、5:4:1モル比の脂質類(270mgの1−モノパルミトイルグリセリン(MPG)、255mgのコレステロール(CHO)および90mgのジセチルホスフェート(DCP))を、確実に粉末が平底25mlガラス製ビーカーの側面に付着しないようにしながら、ガラス製ビーカーに入れた。ビーカーをクランプで締め、アルミホイルで覆い、時々ビーカー中で渦状に撹拌しながら、脂質を135℃で10分間加熱した油浴中で溶かした。組成物によっては、合成TLR−4アゴニスト、PHAD(Avanti Polar Lipids, Inc. からのリン酸化ヘキサアシル二糖、図13に示す)を、他の脂質と共溶解する場合もあれば、PHADをペプチド組成物SFV2(実施例7に記載)と共に加える場合もあった。10mlのペプチド組成物SFV2(400μg/ml)およびPHAD(100μg/ml)の生成した混合物を、加熱水浴中30℃で5分間、重炭酸ナトリウム溶液(pH8.5)中でプレインキュベーションした。ペプチド溶液を8000rpmでホモジナイゼーションし、次いで、溶解した脂質溶液に移しかえ、その時点からホモジナイゼーションを30℃で10分間続行した(別法として、加熱した脂質溶液を抗原溶液に移しかえ、それに続いてホモジナイゼーションすることも可能であったと思われる)。最後に、緩衝液中の400mMのショ糖溶液10mlを、小胞/ペプチド溶液に加え、30秒間ボルテックスした。小胞(ペプチド併用または併用せず)を等分してバイアルに充填し(0.5ml/バイアル)、凍結乾燥した。凍結乾燥した小胞(ペプチド併用または併用せず)を、投与前0.5mlの食塩水中で再水和し、ミョウバン(水酸化アルミニウム)に吸収させた。
【実施例13】
【0162】
実施例13:小胞SFV2組成物によるフェレットの非経口的免疫化
この実施例では、フェレットにおける実施例12の小胞SFV2組成物のインビボ試験について記載する。ワクチン接種および攻撃実験を行うため、血球凝集反応阻害検定法により血清陰性として予めスクリーニングされた雄のフェレットを選択した。ペプチドが0.5mlの量で含まれるように筋肉注射用組成物を実施例12記載の要領で処方した。全フェレットに対し免疫化の3日前に採血を実施し、血清、血漿およびPBMCを集めた。第0および28日目に、SFV2ペプチド組成物を併用または併用していない小胞で筋肉注射(IM)によりフェレットを免疫化した。市販ワクチン対照については、第0および28日目に、VAXIGRIP 市販ワクチンを四頭筋へ筋肉注射した。この市販ワクチンは、2008年〜2009年の時期におけるA型およびB型株について3価の不活化インフルエンザワクチンである(具体的には、A/Brisbane/59/2007 H1N1; A/Brisbane/10/2007 H3N2 および B/Florida/4/2006 株)。この試験についての実験群を表18に要約する。
【表18】

【0163】
第28日目、フェレットから採血し、血清試料を集めた。次いで、PBS(0.5ml/鼻孔)で2×10pfu/mlに希釈したインフルエンザウイルスにより鼻腔内経路で全フェレットを攻撃した。ウイルス攻撃後10日間、鼻腔洗浄液を集め、全動物を秤量し、感染の臨床徴候について毎日監視した(体温については、各動物の体内の移植体により電子工学的に測定した)。動物を殺す時点で、血清、血漿、PBMCおよび(場合によっては)総血球数(CBC)を得るため採血し、脾臓を集め、単核細胞について処理した。
【0164】
図10A〜Bに示すとおり、組成物SFV2のIMは、体液性応答を誘導する。免疫後血清は、ペプチド組成物SFV2の筋肉内投与により免疫化したフェレットについて rHA Solomon (A) および Wisconsin (B)の両方でのELISAにおいて顕著な免疫応答を示した。VAXIGRIP 処置動物は、ELISAにおいて小さな免疫応答を示しただけであり、空小胞(すなわち、SFV2ペプチドを併用していない)で処置した動物は、反応性を全く示さなかった。動物群のいずれにおいても、rHA Malaysia に対するIgG応答は全く検出されなかった(データは示さず)。
【0165】
図11に示すとおり、組成物SFV2のIMは、ウイルス攻撃に対し防御作用を示す。動物に実施例12の免疫原性ペプチド組成物SFV2を接種し、2×10pfuのH1N1(A/Solomon Island/03/06)で攻撃を加え、鼻腔洗浄試料からのウイルス量を、ウイルス血症のピーク時(第2日目)でのプラーク検定法により測定した。各記号は、個々の動物で測定されたウイルス量を表す。SFV2ワクチンを接種された動物は、空小胞で処置された対照動物と比べ、鼻腔洗浄試料においてウイルス量の著しい低下(p<0.05)を呈した。同じく標準IM注射により接種される市販の季節型インフルエンザワクチンは、鼻腔洗浄試料においてウイルス量の低下を呈しなかった。
【0166】
図12に示すとおり、組成物SFV2のIMは、潜在的な汎発流行性インフルエンザ株に対して体液性免疫を誘導する。2回目の接種(攻撃前)の2週間後に血清を動物から集め、ELISAにより推定的汎発流行性ブタ(H1N1/California/2009)単離株からの組換え血球凝集素(rHA)タンパク質との反応性について試料を試験した。SFV2を接種された動物は、空小胞で処置された対照動物と比べて、rHA H1N1/California(汎発流行性ブタH1N1)に対して高い血清IgG反応性を呈した。図12におけるデータは、市販の季節型インフルエンザワクチンを接種された動物からの血清が、この新規インフルエンザ株に対して反応し得なかったことを示す。
【実施例14】
【0167】
実施例14:投与スキーム
この実施例では、ヒトにおける実施例12の小胞SFV2組成物を用いた典型的投与スキームについて記載する。以下の処置群を特色とする部分盲検無作為化プラセボ対照試験を実施する:
・処置群1:抗原用量1、小胞SFV2組成物(1mgペプチド)に相当する2回の筋肉注射、第0日および28日目に投与(n=50)。
・処置群2:用量2、NAM1と組み合わせたSFV2(0.2mgペプチド)に相当する2回の筋肉注射、第0日および28日目に投与(n=50)。
・処置群3:リン酸緩衝食塩水の2回の筋肉注射、プラセボ群、第0日および28日目に投与(n=25)。
【0168】
対象を2:2:1の割合で無作為化する。
【0169】
短期認容性を投与後7日目に評価する。自発的に報告された有害事象を投与後28日間に収集する。深刻な有害事象および医学的に重要な事象を、168日(±14日)の全追跡期間にわたって収集する。各注射の前後および168日の追跡期間の最後に生物学的安全性を評価する。
【0170】
第0日、28日(±3日)、56日(±7日)目および168日(±14日)の追跡期間の最後に集めた血清試料において、免疫原性を評価する。免疫学的リードアウトは、血清HI抗体(血球凝集阻害検定法)、rHA-特異的血清IgG(ELISA)およびマイクロ中和検定法により測定される中和抗体である。細胞性(CTL)免疫性評価に関しては、T細胞応答をELISPOTおよび細胞内サイトカイン染色法により評価する。
【0171】
配列リスト
37CFR1.52(e)(5)に従って、テキストファイル形態(「Sequence Listing.txt」という題で2009年6月18日に作成、14キロバイト)で本願と共に提出された配列リストについては、出典明示により援用する。
【0172】
他の実施態様
本発明の他の実施態様については、当業者であれば、本明細書に開示した本発明の詳細または実施例を考慮に入れることにより、容易に想到できるはずである。詳細な説明および実施例は、単なる具体例としてみなすべきであり、本発明の真の範囲は請求の範囲によってのみ示されているものとする。本明細書で引用した参考文献の内容については、出典明示により援用する。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第1ペプチド、
配列番号17のアミノ酸配列を含む第2ペプチド、および
配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドであって、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第3ペプチド
を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
第1ペプチドが、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1ペプチドが、配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
第1ペプチドが、配列番号16の20〜50の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
第1ペプチドが、配列番号16の50〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
第1ペプチドが、配列番号2の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
第1ペプチドが、配列番号3の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
第1ペプチドが、配列番号4の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
第1ペプチドが、配列番号5の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、それぞれ配列番号2の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、それぞれ配列番号3の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、それぞれ配列番号4の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜2)の異なる第1ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、それぞれ配列番号5の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なる第1ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
第1ペプチドが、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
第1ペプチドが、配列番号6の少なくとも60の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
第1ペプチドが、配列番号6の少なくとも80の連続アミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項17】
第1ペプチドが、配列番号6のアミノ酸1〜81を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項18】
第1ペプチドが、配列番号6のアミノ酸82〜88を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項19】
第1ペプチドが、配列番号6のアミノ酸1〜88を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項20】
第1ペプチドが、100未満のアミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項21】
第2ペプチドが、配列番号9のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項22】
第2ペプチドが、配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項23】
第2ペプチドが、配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項24】
組成物が、それぞれ配列番号9の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項25】
組成物が、それぞれ配列番号10の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項26】
組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項27】
n=4である、請求項24〜26のいずれか1項記載の組成物。
【請求項28】
第2ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項29】
第3ペプチドが、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項30】
第3ペプチドが、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも40の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項31】
第3ペプチドが、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項32】
第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項33】
第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項34】
第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項35】
組成物が、2つの異なる第3ペプチドを含み、その一方が、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、他方が、配列番号18の68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項36】
第3ペプチドが、100未満のアミノ酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項37】
組成物が、さらに配列番号14のアミノ酸配列を含む第4ペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含む第4ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項38】
組成物が、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む、請求項37記載の組成物。
【請求項39】
n=4である、請求項38記載の組成物。
【請求項40】
第4ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項37記載の組成物。
【請求項41】
組成物が、さらに配列番号15のアミノ酸配列を含む第4ペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含む第4ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項42】
組成物が、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む、請求項41記載の組成物。
【請求項43】
n=4である、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
第4ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項41記載の組成物。
【請求項45】
第1ペプチドが、配列番号6と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項46】
第1ペプチドが、配列番号6と少なくとも90%の相同性を有する領域を含み、第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも90%の相同性を有する領域を含み、組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項47】
第1ペプチドが、配列番号6と少なくとも95%の相同性を有する領域を含み、第3ペプチドが、配列番号8と少なくとも95%の相同性を有する領域を含み、組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項48】
第1ペプチドが配列番号6を含み、第3ペプチドが配列番号8を含み、組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項49】
n=4である、請求項45〜48のいずれか1項記載の組成物。
【請求項50】
第1ペプチドが本質的に配列番号6により構成され、第3ペプチドが本質的に配列番号8により構成され、組成物が、それぞれ本質的に配列番号11の異なるアミノ酸配列により構成される2(ただし、n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項51】
組成物が、さらにそれぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む2(ただし、m=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
nおよび/またはm=2である、請求項51記載の組成物。
【請求項53】
nおよび/またはm=3である、請求項51記載の組成物。
【請求項54】
nおよび/またはm=4である、請求項51記載の組成物。
【請求項55】
各ペプチドが免疫原性である、請求項1〜54のいずれか1項記載の組成物。
【請求項56】
少なくとも1つのペプチドが、さらに非インフルエンザタンパク質からの20またはそれより多い連続アミノ酸を伴う領域を含む、請求項1〜55のいずれか1項記載の組成物。
【請求項57】
各ペプチドが、さらに非インフルエンザタンパク質からの20またはそれより多い連続アミノ酸を伴う領域を含む、請求項1〜56のいずれか1項記載の組成物。
【請求項58】
少なくとも2つのペプチドが、単一タンパク質内に存在する、請求項1〜57のいずれか1項記載の組成物。
【請求項59】
第1および第3ペプチドが、100未満のアミノ酸を含み、第2ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項1〜58のいずれか1項記載の組成物。
【請求項60】
組成物が、さらにアジュバントを含む、請求項1〜59のいずれか1項記載の組成物。
【請求項61】
アジュバントがミョウバンである、請求項1〜60のいずれか1項記載の組成物。
【請求項62】
アジュバントが、南米産樹木キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja Saponaria Molina)の樹皮に由来するアジュバント活性を有する免疫学的活性サポニンフラクションである、請求項1〜61のいずれか1項記載の組成物。
【請求項63】
アジュバントがTLR−3アゴニストである、請求項1〜62のいずれか1項記載の組成物。
【請求項64】
アジュバントが、ポリリボイノシン酸:ポリリボシチジン酸である、請求項63記載の組成物。
【請求項65】
アジュバントがTLR−4アゴニストである、請求項1〜64のいずれか1項記載の組成物。
【請求項66】
アジュバントが、モノホスホリル脂質Aまたは3−脱アシルモノホスホリル脂質Aを含む、請求項65記載の組成物。
【請求項67】
アジュバントがTLR−7/8アゴニストである、請求項1〜66のいずれか1項記載の組成物。
【請求項68】
アジュバントが、1−イソブチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンである、請求項67記載の組成物。
【請求項69】
少なくとも1つのペプチドが小胞と会合している、請求項1〜68のいずれか1項記載の組成物。
【請求項70】
小胞が非イオン性界面活性剤を含む、請求項69記載の組成物。
【請求項71】
小胞がグリセリンエステルを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項72】
小胞がグリコールまたはグリセリンエーテルを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項73】
小胞が、粘膜を通る脂質様分子の輸送を促す輸送エンハンサーを含む、請求項70記載の組成物。
【請求項74】
小胞が、側鎖のC23炭素原子がカルボン酸をもつコレステロール誘導体を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項75】
小胞が、コール酸、ケノデオキシコール酸またはその塩を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項76】
小胞が、グリコール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸またはその塩を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項77】
小胞が、アシルオキシ化アミノ酸またはその塩を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項78】
小胞が、C6−20アルカノイルまたはアルケノイル部分を含むアシルカルニチンまたはその塩を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項79】
小胞が、イオン性界面活性剤を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項80】
小胞が、アルカンまたはアルケン酸を含む、請求項73記載の組成物。
【請求項81】
小胞がホスフェートを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項82】
小胞が、ジセチルホスフェート、ホスファチジン酸またはホスファチジルセリンを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項83】
小胞が、硫酸モノエステルを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項84】
小胞がセチルスルフェートを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項85】
小胞がステロイドを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項86】
小胞がコレステロールを含む、請求項73記載の組成物。
【請求項87】
小胞が、約10nm〜約10μmの範囲の直径を有する、請求項73記載の組成物。
【請求項88】
小胞が、約800nm〜約1.5μmの範囲の直径を有する、請求項73記載の組成物。
【請求項89】
少なくとも1つのペプチドが、小胞の水性コア内に封入されている、請求項73記載の組成物。
【請求項90】
配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含むペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項91】
ペプチドが、配列番号2の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項92】
ペプチドが、配列番号3の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項93】
ペプチドが、配列番号4の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項94】
ペプチドが、配列番号5の少なくとも20の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項95】
組成物が、それぞれ配列番号2の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なるペプチドを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項96】
組成物が、それぞれ配列番号3の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なるペプチドを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項97】
組成物が、それぞれ配列番号4の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜2)の異なるペプチドを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項98】
組成物が、それぞれ配列番号5の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜3)の異なるペプチドを含む、請求項90記載の組成物。
【請求項99】
ペプチドが、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項100】
ペプチドが、配列番号6の少なくとも60の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項101】
ペプチドが、配列番号6の少なくとも80の連続アミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項102】
ペプチドが、配列番号6と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項103】
ペプチドが、配列番号6と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項104】
ペプチドが、配列番号6のアミノ酸1〜81を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項105】
ペプチドが、配列番号6のアミノ酸82〜88を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項106】
ペプチドが配列番号6を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項107】
ペプチドが、本質的に配列番号6により構成される、請求項90記載の組成物。
【請求項108】
ペプチドが、配列番号6により構成される、請求項90記載の組成物。
【請求項109】
ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項90記載の組成物。
【請求項110】
配列番号17のアミノ酸配列を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項111】
ペプチドが、配列番号9のアミノ酸を含む、請求項110記載の組成物。
【請求項112】
ペプチドが、配列番号10のアミノ酸を含む、請求項110記載の組成物。
【請求項113】
ペプチドが、配列番号11のアミノ酸を含む、請求項110記載の組成物。
【請求項114】
組成物が、それぞれ配列番号9の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項110記載の組成物。
【請求項115】
組成物が、それぞれ配列番号10の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項110記載の組成物。
【請求項116】
組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項110記載の組成物。
【請求項117】
組成物が、それぞれ本質的に配列番号11の異なるアミノ酸配列により構成される2の異なるペプチドを含む、請求項116記載の組成物。
【請求項118】
n=4である、請求項114〜117のいずれか1項記載の組成物。
【請求項119】
ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項110記載の組成物。
【請求項120】
配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含むペプチドであって、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項121】
ペプチドが、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項122】
ペプチドが、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも40の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項123】
ペプチドが、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項124】
ペプチドが、配列番号8と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項125】
ペプチドが、配列番号8と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項126】
ペプチドが、配列番号8と少なくとも95%の相同性を有する領域を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項127】
ペプチドが配列番号8を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項128】
ペプチドが、本質的に配列番号8により構成される、請求項120記載の組成物。
【請求項129】
ペプチドが配列番号8により構成される、請求項120記載の組成物。
【請求項130】
ペプチドが、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、組成物が、さらに配列番号18の68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む異なるペプチドを含む、請求項120記載の組成物。
【請求項131】
ペプチドが、100未満のアミノ酸を含む、請求項120記載の組成物。
【請求項132】
配列番号14のアミノ酸配列を含むペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項133】
組成物が、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項132記載の組成物。
【請求項134】
n=4である、請求項133記載の組成物。
【請求項135】
ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項132記載の組成物。
【請求項136】
配列番号15のアミノ酸配列を含むペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項137】
組成物が、それぞれ配列番号15の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項136記載の組成物。
【請求項138】
n=4である、請求項137記載の組成物。
【請求項139】
ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項136記載の組成物。
【請求項140】
配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項141】
組成物が、それぞれ配列番号1の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なるペプチドを含む、請求項140記載の組成物。
【請求項142】
n=4である、請求項141記載の組成物。
【請求項143】
ペプチドが、30未満のアミノ酸を含む、請求項140記載の組成物。
【請求項144】
配列番号7の少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含むペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含むペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項145】
領域が、配列番号7の領域と少なくとも90%の相同性を有する、請求項144記載の組成物。
【請求項146】
領域が、配列番号7の領域と少なくとも95%の相同性を有する、請求項144記載の組成物。
【請求項147】
ペプチドが、配列番号7の少なくとも40の連続アミノ酸を含む、請求項144記載の組成物。
【請求項148】
ペプチドが、配列番号7の少なくとも60の連続アミノ酸を含む、請求項144記載の組成物。
【請求項149】
ペプチドが、配列番号7の少なくとも80の連続アミノ酸を含む、請求項144記載の組成物。
【請求項150】
ペプチドが配列番号7を含む、請求項144記載の組成物。
【請求項151】
ペプチドが、本質的に配列番号7により構成される、請求項144記載の組成物。
【請求項152】
ペプチドが配列番号7により構成される、請求項144記載の組成物。
【請求項153】
ペプチドが、100未満のアミノ酸を含む、請求項144記載の組成物。
【請求項154】
インフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している個体の処置方法であって、請求項1〜153のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を個体に投与することを含む方法。
【請求項155】
組成物を経口投与する、請求項154記載の方法。
【請求項156】
組成物を非経口投与する、請求項154記載の方法。
【請求項157】
組成物を筋肉注射により投与する、請求項154記載の方法。
【請求項158】
組成物を鼻腔内経路または吸入により投与する、請求項154記載の方法。
【請求項159】
組成物を直腸投与する、請求項154記載の方法。
【請求項160】
個体が、季節型インフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している、請求項154記載の方法。
【請求項161】
個体が、ブタ起源のA型インフルエンザ(H1N1)ウイルスにより誘発されるインフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している、請求項154記載の方法。
【請求項162】
TLR−3アゴニストアジュバント;
非イオン性界面活性剤および粘膜を通る脂質様分子の輸送を促す輸送エンハンサーを含む小胞;
配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第1ペプチド;
配列番号17のアミノ酸配列を含む第2ペプチド;
配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドであって、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第3ペプチド;および
配列番号14のアミノ酸配列を含む第4ペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含む第4ペプチド
を含む免疫原性組成物。
【請求項163】
TLR−3アゴニストアジュバントがポリ(I:C)を含む、請求項162記載の組成物。
【請求項164】
輸送エンハンサーが、胆汁酸、その誘導体またはこれらのいずれかの塩である、請求項162〜163のいずれか1項記載の組成物。
【請求項165】
輸送エンハンサーがデオキシコール酸ナトリウムである、請求項164記載の組成物。
【請求項166】
非イオン性界面活性剤がグリセリンエステルである、請求項162〜165のいずれか1項記載の組成物。
【請求項167】
非イオン性界面活性剤が1−モノパルミトイルグリセリンである、請求項166記載の組成物。
【請求項168】
小胞が、さらにイオン性両親媒性物質を含む、請求項162〜167のいずれか1項記載の組成物。
【請求項169】
イオン性両親媒性物質がジセチルホスフェートである、請求項168記載の組成物。
【請求項170】
小胞がさらにステロイドを含む、請求項162〜169のいずれか1項記載の組成物。
【請求項171】
ステロイドがコレステロールである、請求項170記載の組成物。
【請求項172】
小胞が、1−モノパルミトイルグリセリン、ジセチルホスフェート、コレステロールおよびデオキシコール酸ナトリウムを含む、請求項162記載の組成物。
【請求項173】
組成物がさらにミョウバンを含む、請求項162〜172のいずれか1項記載の組成物。
【請求項174】
インフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している個体の処置方法であって、請求項162〜173のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を個体に経口投与することを含む方法。
【請求項175】
TLR−4アゴニストアジュバント;
非イオン性界面活性剤を含む小胞;
配列番号16の20〜100の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第1ペプチドであって、A型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第1ペプチド;
配列番号17のアミノ酸配列を含む第2ペプチド;
配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む第3ペプチドであって、B型インフルエンザ血球凝集素タンパク質からの100未満の連続アミノ酸を含む第3ペプチド;および
配列番号14のアミノ酸配列を含む第4ペプチドであって、A型インフルエンザ核タンパク質からの20未満の連続アミノ酸を含む第4ペプチド
を含む免疫原性組成物。
【請求項176】
TLR−4アゴニストアジュバントが、モノホスホリル脂質Aまたは3−脱アシルモノホスホリル脂質Aを含む、請求項175記載の組成物。
【請求項177】
非イオン性界面活性剤がグリセリンエステルである、請求項175〜176のいずれか1項記載の組成物。
【請求項178】
非イオン性界面活性剤が1−モノパルミトイルグリセリンである、請求項177記載の組成物。
【請求項179】
小胞がさらにイオン性両親媒性物質を含む、請求項175〜178のいずれか1項記載の組成物。
【請求項180】
イオン性両親媒性物質がジセチルホスフェートである、請求項179記載の組成物。
【請求項181】
小胞がさらにステロイドを含む、請求項175〜180のいずれか1項記載の組成物。
【請求項182】
ステロイドがコレステロールである、請求項181記載の組成物。
【請求項183】
小胞が、1−モノパルミトイルグリセリン、ジセチルホスフェート、コレステロールおよびデオキシコール酸ナトリウムを含む、請求項175記載の組成物。
【請求項184】
組成物がさらにミョウバンを含む、請求項175〜183のいずれか1項記載の組成物。
【請求項185】
インフルエンザに罹患しているか、またはその危険に瀕している個体の処置方法であって、請求項175〜184のいずれか1項記載の組成物の治療有効量を個体に非経口投与することを含む方法。
【請求項186】
組成物を筋肉注射により投与する、請求項185記載の方法。
【請求項187】
第1ペプチドが、配列番号6の少なくとも40の連続アミノ酸を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項188】
第1ペプチドが、配列番号6のアミノ酸1〜88を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項189】
第2ペプチドが配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項190】
組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項191】
n=4である、請求項190記載の組成物。
【請求項192】
第3ペプチドが、配列番号18の2〜49位または68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも90%の相同性を有する領域を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項193】
第3ペプチドが、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第1領域および68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する第2領域を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項194】
組成物が、2つの異なる第3ペプチドを含み、その一方が、配列番号18の2〜49位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含み、他方が、配列番号18の68〜121位における少なくとも20の連続アミノ酸と少なくとも80%の相同性を有する領域を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項195】
組成物が、2つの異なる第3ペプチドを含み、その一方が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、他方が、配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項196】
組成物が、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第4ペプチドを含む、請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。
【請求項197】
n=4である、請求項196記載の組成物。
【請求項198】
第1ペプチドが配列番号6のアミノ酸1〜88を含み、
組成物が、それぞれ配列番号11の異なるアミノ酸配列を含む、2(n=1〜4)の異なる第2ペプチドを含み、
組成物が2つの異なる第3ペプチドを含み、その一方が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、他方が、配列番号13のアミノ酸配列を含み、そして
組成物が、それぞれ配列番号14の異なるアミノ酸配列を含む、2(m=4)の異なる第4ペプチドを含む、
請求項162〜173または175〜184のいずれか1項記載の組成物。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−525190(P2011−525190A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514829(P2011−514829)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047911
【国際公開番号】WO2009/155489
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(504303469)バリエーション バイオテクノロジーズ インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】