説明

インフレーション成形袋及びその製造方法

【課題】凹凸状の縦筋部を袋の両側部に形成して袋の把持を良好に行うことで全体の厚みを薄くすることができるとともに、平坦で薄肉の部分を形成して印刷などを容易に行うことができるインフレーション成形袋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】インフレーション成形袋10は、インフレーションフィルム11が円筒状に形成され、その底部が熱溶着部12でシールされて袋状に形成されている。インフレーション成形袋10の両側部には、突条による縦筋14が複数形成された縦筋部15が設けられ、該縦筋部15間には縦筋部15における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部17が形成されている。この薄肉部17の表面には、被収容物を表示する印刷が施された印刷部18が形成されている。縦筋部15の幅Sは、被収容物を袋内に収容する際の包装機のチャックが把持可能となるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば肥料、米、培養土等の被収容物を収容するためのインフレーション成形袋及びその製造方法に係り、詳しくは被収容物を自動包装機で袋内に収容する際に袋の自立性が良く、自動包装機のチャックが袋を把持しやすいインフレーション成形袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインフレーション成形袋が例えば特許文献1に開示されている。すなわち、熱可塑性合成樹脂製の筋入りフィルムは、ダイから押し出され、溶融状態にあるフィルムに複数の小孔ノズルから冷却空気を吹付け、溶融状態にあるフィルムに温度ムラを形成した後、該フィルムを引き伸ばすことにより、フィルムに凹凸状の筋が形成されたものである。この筋入りフィルムによれば、フィルムの密着性を防止することができるとともに、フィルム間に若干の隙間が形成されて袋の開口性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−209135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の従来構成においては、凹凸状の筋は例えば折幅300mmの袋の場合には幅1〜4mmの筋が5〜40mm置きに設けられる。すなわち、凹凸状の筋は袋の全周にわたって設けられることから、平坦な部分が少なくなり、例えば袋の表面に印刷を施す場合に容易に行うことができない。また、被収容物を自動包装機で袋内に収容する際の自動包装作業性を良くするために、フィルムの肉厚を必要以上に厚くする必要があった。その上、複数の小孔ノズルから冷却空気を吹付ける方式では小孔ノズルから吹き出された冷却空気がフィルムに当たるまでに広がることから、小孔ノズル間の間隔を広くしなければならず、フィルムに形成される筋間の間隔が広くなり過ぎるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、凹凸状の縦筋部を袋の両側部に形成して袋の把持を良好に行うことで全体の厚みを薄くすることができるとともに、平坦で薄肉の部分を形成して印刷などを容易に行うことができるインフレーション成形袋及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に係るインフレーション成形袋は、インフレーションフィルムが円筒状に形成されるとともに、その底部が熱溶着されて袋状に形成されたインフレーション成形袋であって、前記袋の両側部に突条による縦筋が複数形成された縦筋部を設けるとともに、該縦筋部間には縦筋部における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部を形成したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のインフレーション成形袋は、請求項1に係る発明において、前記薄肉部には被収容物を表示する印刷が施されていることを特徴とする。
請求項3に記載のインフレーション成形袋は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記縦筋部の幅は、被収容物を袋内に収容する際の包装機のチャックが把持可能となるように設定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係るインフレーション成形袋の製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインフレーション成形袋の製造方法であって、溶融樹脂からインフレーション成形法によって筒状のインフレーションフィルムを成形すると同時に、該筒状のインフレーションフィルムの両側部にインフレーションフィルムの成形方向と平行となるように突条による縦筋を金型によって複数形成した縦筋部を設ける縦筋形成工程と、前記筒状のインフレーションフィルムを延伸した後両縦筋部が折曲げられるようにして平坦化する延伸平坦化工程と、インフレーションフィルムをその成形方向と直交する方向に熱溶着してヒートシール部を形成するシール工程と、前記ヒートシール部に隣り合う位置でヒートシール部に沿って切断し、袋の底部及び開口部を形成する切断工程とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載のインフレーション成形袋の製造方法は、請求項4に係る発明において、ブロー比が1.5〜2.5であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明のインフレーション成形袋では、袋の両側部に突条による縦筋が複数形成された縦筋部が設けられるとともに、該縦筋部間には縦筋部における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部が形成されている。このように、複数の突条により凹凸状に形成された縦筋部によって剛性が増すことにより、袋の把持が容易になり、自動包装適性が向上する。さらに、薄肉部が平坦に形成されていることから、薄肉部の表面に例えば印刷を簡単に施すことができる。加えて、縦筋部間は薄肉部で形成されていることから、袋全体として薄肉化を図ることができる。
【0011】
従って、本発明のインフレーション成形袋によれば、凹凸状の縦筋部を袋の両側部に形成して袋の把持を良好に行うことで全体の厚みを薄くすることができるとともに、平坦で薄肉の部分を形成して印刷などを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態におけるインフレーション成形袋を示す正面図。
【図2】図1の2−2線における断面図。
【図3】図1の3−3線における断面図。
【図4】インフレーション成形袋を包装機のチャックで把持する状態を示す正面図。
【図5】インフレーション成形装置のダイ部分の概略を説明するための説明図。
【図6】インフレーション成形装置のダイ部分の要部を破断して示す斜視図。
【図7】インフレーション成形装置のダイ部分の要部を拡大して示す部分断面図。
【図8】成形された筒状のインフレーションフィルムを示す斜視図。
【図9】成形された筒状のインフレーションフィルムの底部を熱溶着した状態を示す斜視図。
【図10】平坦化された筒状のインフレーションフィルムの表面に印刷を行い、成形袋を製袋化する状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図10に従って詳細に説明する。
図1に示すように、インフレーション成形袋10は、インフレーションフィルム11が円筒状に形成されるとともに、その底部が帯状に延びる熱溶着部12で熱溶着されて扁平袋状に形成されている。該インフレーション成形袋10の開口部としての上部開口10aは、袋内に肥料等の被収容物が収容された後に図1の二点鎖線に示す熱溶着によるヒートシール部13が形成されてシールされるようになっている。
【0014】
斯かるインフレーションフィルム11は、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂により形成されている。インフレーション成形袋10の両側部には、それぞれ突条による複数本(本実施形態では15本)の縦筋14が図1の上下方向に平行に延びるように形成された縦筋部15が設けられ、縦方向(上下方向)の剛性が高められている。図2に示すように、両縦筋部15の中央部には、横断面がそれぞれヘアピン状に折曲げられた折曲げ部16が形成されている。
【0015】
該縦筋部15間には縦筋部15における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部17が形成されている。図1及び図4に示すように、この薄肉部17には被収容物を表示するための印刷部18(○○○肥料と10kg)が設けられている。インフレーション成形袋10の折り幅Lは例えば380mmに設定され、縦筋部15の幅Sは被収容物をインフレーション成形袋10内に収容する際に自動包装機のチャック19が把持可能となるように設定され、平坦化した状態でそれぞれ例えば15〜30mmに設定される。
【0016】
縦筋部15における縦筋14の本数は、縦筋部15の幅に収まるように設定され、例えば10〜30本に設定される。図2に示すように、薄肉部17の厚みyは0.06〜0.15mm、例えば0.08mmに設定することにより、突条による縦筋14部分の厚みxは0.10〜0.15mm、例えば0.12mmに設定され、縦筋14の幅mは0.3〜0.7mm、例えば0.5mmに設定される。また、溝20における厚みzは0.05〜0.1mm、例えば0.07mmに設定され、溝20の幅nは1.8〜2.2mm、例えば2.0mmに設定される。
【0017】
次に、上記のように構成されたインフレーション成形袋10を製造するためのインフレーション成形装置について説明する。
図5に示すように、インフレーション成形装置21の本体22の中心部には成形筒ダイ23が設けられ、図6に示すように、成形筒ダイ23に形成された成形穴24の内部にはマンドレル25が収容されている。このマンドレル25は上部に位置する大径部25aと、下部に位置する小径部25bとによって構成されている。前記成形筒ダイ23の成形穴24とマンドレル25の小径部25bとの間には、ポリエチレン樹脂の溶融液を収容する収容室26が形成されている。前記成形筒ダイ23の成形穴24とマンドレル25の大径部25aとの間には、ポリエチレン樹脂を円筒状にインフレーション成形するための円筒状の成形用空間27が形成されている。前記成形筒ダイ23の成形穴24の上部には偏肉調整リング28が配設されている。
【0018】
図7に示すように、前記マンドレル25の大径部25aの外周面の180°対向する位置には、マンドレル25の中心軸線と平行に延びる直線状の成形溝29がそれぞれ複数(この実施形態では15)互いに平行に形成されている。前記各成形溝29のマンドレル25の外周面30からの深さdは0.2〜1.0mm、具体的には0.6mmに設定されている。前記成形溝29の幅wは0.2〜1.0mm、具体的には0.6mmに設定され、各成形溝29の間隔pは0.2〜1.0mm、具体的には0.6mm(成形溝29のピッチは1.2mm)に設定されている。また、マンドレル25の外周面30と偏肉調整リング28の内周面28aとの隙間gは、例えば2.0mmに設定されている。図6に示すように、マンドレル25の中心部には、下方から上方向に向かって図5に示す袋状のインフレーションフィルム11内に空気を注入するための注入穴31が形成されている。
【0019】
次に、上述したインフレーション成形装置21を用いて、筒状のインフレーションフィルム11及びインフレーション成形袋10を成形する方法について説明する。
縦筋形成工程では、図5及び図6において、前記収容室26内に貯留されたポリエチレン樹脂の溶融液が図示しない加圧供給機構によって上方向に流動され、成形用空間27から上方向(成形方向)に真円状に押し出されると、図5及び図8に示すように円筒状のインフレーションフィルム11が成形される。この場合、ブロー比(成形筒ダイ23の口径に対する円筒状のインフレーションフィルム11の胴部の最大径の比)は、厚みむら等のない良好な品質のインフレーションフィルム11を得るために1.5〜2.5であることが好ましく、例えば1.9に設定される。このブロー比が1.5を下回るとインフレーションフィルム11の縦配向が強くなり、縦裂けの原因となるおそれがある。一方、ブロー比が2.5を上回るとインフレーションフィルム11の成形が不安定となり、偏肉が起こりやすくなる。
【0020】
成形されたインフレーションフィルム11の内周面には図6及び図7に示すマンドレル25の成形溝29によって、前述した15条の縦筋14がインフレーションフィルム11の両側に成形方向と平行に延びるように成形される。インフレーションフィルム11は、図6に示すマンドレル25に形成された注入穴31から上方向に注入される空気によって円筒状に膨張された状態に保持される。
【0021】
延伸平坦化工程では、インフレーションフィルム11が成形筒ダイ23の上方で延伸された後、平坦化装置32によって平坦化され、ピンチロール33によって引き上げられる。この延伸平坦化工程において、インフレーションフィルム11は、その円周方向及び該インフレーションフィルム11の移動方向に引き伸ばされるので、図2に示すように、各縦筋14の間隔が成形溝29の間隔よりも広くなる。
【0022】
また、各縦筋14間も引き伸ばされて、その厚みがマンドレル25の外周面30と偏肉調整リング28の内周面28aとの隙間gよりも薄くなる。この理由は、図7に示すマンドレル25の外周面30と偏肉調整リング28の内周面28aとの隙間gはどの部位も同じであるが、各成形溝29相互間における前記隙間g内の溶融樹脂が前記各成形溝29に流入するために、該隙間gを成形する樹脂の量が若干少なくなるからである。さらに、縦筋部15間のインフレーションフィルム11の厚みyが引き伸ばされて薄くなり、縦筋14における厚みxと縦筋14間の溝20における厚みzとの中間の厚みを示す。
【0023】
前記インフレーションフィルム11には、横断面がヘアピン状の2つの折曲げ部16が屈曲形成される。そして、図5に示すように、インフレーションフィルム11は延伸された後、平坦化装置32によって平坦化され、ピンチロール33によって引き上げられ、巻取ボビンを有する巻取装置34によって扁平状態でロール状に巻き取られる。
【0024】
その後、巻き取られた扁平状のインフレーションフィルム11を巻き戻しながら図示しない印刷装置に供給する。そして、図10に示すように、インフレーションフィルム11の表面に被収容物として例えば肥料の具体的な名前「○○○肥料」と肥料の収容量を表す数値「10kg」とを印刷して印刷部18を形成する。この印刷操作をインフレーションフィルム11に対して図10の二点鎖線に示す仮想切断線35を基準にして連続的に行う。
【0025】
次いで、製袋装置によるシール工程として、印刷が施されたインフレーションフィルム11を図示しない熱溶着装置に供給し、インフレーションフィルム11の印刷部18を挟むように仮想切断線35の内側(底部側)に一定間隔をおいて熱溶着を行い、熱溶着部12を形成する。この熱溶着操作を繰り返し行って、全ての印刷部18の底部側に熱溶着部12を形成する。
【0026】
続いて、製袋装置による切断工程として、インフレーションフィルム11を図示しない切断装置に供給し、前記仮想切断線35に沿ってインフレーションフィルム11を切断し、図1に示すインフレーション成形袋10の製造を終了する。この状態のインフレーション成形袋10の底部は熱溶着部12で閉塞されるとともに、上部は上部開口10aで開口されている。そして、図9に示すように、上部開口10aを開いた状態でインフレーション成形袋10の内部に肥料を収容した後、インフレーション成形袋10の上部を熱溶着装置によって熱溶着し、図1の二点鎖線に示す直線状のヒートシール部13を形成し、肥料の袋詰めを完了する。
【0027】
次に、前記のように構成されたインフレーション成形袋10の作用について説明する。
さて、図1に示すように、インフレーション成形袋10では、両側部に突条による縦筋14が複数形成された縦筋部15が設けられている。このため、図4に示すように、インフレーション成形袋10内に自動包装機で肥料を収容するときには、そのチャック19が縦筋部15の部分を跨ぐようにして掴む。このとき、縦筋部15は縦筋14が厚く形成されて剛性が高く、腰があるとともに、開口性も良いため、チャック19はインフレーション成形袋10をしっかりと掴むことができる。
【0028】
また、縦筋部15間には、金型によるインフレーション成形法によって縦筋部15における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部17が形成されている。このように、薄肉部17は平坦に形成されていることから、インフレーション成形袋10の表面すなわち薄肉部17の表面に印刷装置で印刷を施すときには、所定の文字を安定した状態で連続的に印刷を行うことができ、スムーズに印刷部18を形成することができる。
【0029】
さらに、インフレーションフィルム11の成形過程における延伸平坦化工程で縦筋部15間は引き伸ばされて薄肉部17が形成される。この薄肉部17は縦筋部15に比べて面積が大きいことから、インフレーション成形袋10の袋全体として十分な薄肉化を図ることができる。
【0030】
以上の実施形態によって発揮される効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態のインフレーション成形袋10では、両側部に突条による縦筋14が複数形成された縦筋部15が設けられ、かつ縦筋部15間には縦筋部15における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部17が形成されている。このため、インフレーション成形袋10の剛性(強度)を高めて自立性を向上させることができるとともに、自動包装機のチャック19がインフレーション成形袋10の両側部(耳部)をしっかり把持することができ、自動包装適性が高く、被収容物の充填作業性及び充填効率を向上させることができる。
【0031】
また、前記縦筋14は金型によって凸状に形成され、従来の冷却空気による方法では断面円弧状に形成されたり、形状が途中で変形したり、間隔が広くなり過ぎたりするのに比べて、インフレーション成形袋10の底部から上部開口10aに到るまで凸状の一定形状で狭い間隔にて形成することができる。このため、縦筋14は縦方向に従来よりも高い剛性を発現でき、腰の強いインフレーション成形袋10を得ることができる。
【0032】
加えて、薄肉部17の表面に例えば印刷を簡単に施したり、文字を容易に書いたりすることができる。さらに、縦筋部15間は薄肉部17で形成されていることから、袋全体として薄肉化を図ることができる。
【0033】
よって、本実施形態のインフレーション成形袋10によれば、凹凸状の縦筋部15を形成して袋の把持を良好に行うことができるとともに、平坦な薄肉部17を形成して印刷などを容易に行うことができ、かつ袋全体を薄肉化させることができて省資源化を図ることができる。
(2)インフレーション成形袋10の薄肉部17には、被収容物を表示する「○○○肥料と10kg」の印刷部18が施されている。この印刷部18は表面が平坦な薄肉部17に形成されていることから、被収容物を示す綺麗な印刷を容易に施すことができる。
(3)インフレーション成形袋10の縦筋部15の幅Sは、被収容物を袋内に収容する際の自動包装機のチャック19が把持可能となるように設定されている。このため、インフレーション成形袋10内へ被収容物を収容する操作を円滑かつ速やかに行うことができる。
(4)インフレーション成形袋10は、筒状のインフレーションフィルム11の両側部に縦筋14を金型で複数形成した縦筋部15を設ける縦筋形成工程と、筒状のインフレーションフィルム11を延伸した後両縦筋部15が折曲げられるようにして平坦化する延伸平坦化工程と、熱溶着部12を形成するシール工程と、袋の底部及び上部開口10aを形成する切断工程とを経て製造される。従って、インフレーション成形袋10を簡易な構成を有するインフレーション成形装置及び製袋装置によって容易かつ連続的に成形することができる。
(5)インフレーション成形法において、ブロー比は1.5〜2.5に設定される。このため、インフレーション成形袋10の偏肉や強度低下を招くことなく、薄肉化を図ることができる。
【0034】
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記縦筋14をインフレーション成形袋10の外周面側に設けることができ、さらに内周面側と外周面側の双方に設けることも可能である。
【0035】
・ 前記複数の縦筋14間の間隔を袋の大きさに応じて適宜変更したり、縦筋部15における縦筋14の数をチャック19の種類に応じて適宜変更したりすることができる。
・ 前記印刷部18を形成しない場合には、縦筋部15をチャック19の把持部以外の位置に設けることもできる。
【0036】
次に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記縦筋はインフレーションフィルムの内周面に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインフレーション成形袋。このように構成した場合、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、包装機のチャックをインフレーション成形袋の内周面に当て、インフレーション成形袋を広げるように操作することでインフレーション成形袋を良好に把持することができる。
【符号の説明】
【0037】
10…インフレーション成形袋、10a…上部開口、11…インフレーションフィルム、12…熱溶着部、13…ヒートシール部、14…縦筋、15…縦筋部、17…薄肉部、18…印刷部、19…チャック、S…縦筋部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレーションフィルムが円筒状に形成されるとともに、その底部が熱溶着されて袋状に形成されたインフレーション成形袋であって、
前記袋の両側部に突条による縦筋が複数形成された縦筋部を設けるとともに、該縦筋部間には縦筋部における厚みより薄く形成された平坦な薄肉部を形成したことを特徴とするインフレーション成形袋。
【請求項2】
前記薄肉部には被収容物を表示する印刷が施されていることを特徴とする請求項1に記載のインフレーション成形袋。
【請求項3】
前記縦筋部の幅は、被収容物を袋内に収容する際の包装機のチャックが把持可能となるように設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインフレーション成形袋。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインフレーション成形袋の製造方法であって、
溶融樹脂からインフレーション成形法によって筒状のインフレーションフィルムを成形すると同時に、該筒状のインフレーションフィルムの両側部にインフレーションフィルムの成形方向と平行となるように突条による縦筋を金型によって複数形成した縦筋部を設ける縦筋形成工程と、
前記筒状のインフレーションフィルムを延伸した後両縦筋部が折曲げられるようにして平坦化する延伸平坦化工程と、
インフレーションフィルムをその成形方向と直交する方向に熱溶着してヒートシール部を形成するシール工程と、
前記ヒートシール部に隣り合う位置でヒートシール部に沿って切断し、袋の底部及び開口部を形成する切断工程と
を備えることを特徴とするインフレーション成形袋の製造方法。
【請求項5】
ブロー比が1.5〜2.5であることを特徴とする請求項4に記載のインフレーション成形袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−131560(P2012−131560A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287470(P2010−287470)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(591137499)吉忠化学工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】