説明

ウィンドウ表示制御装置及びその方法、プログラム

【課題】 重複しているウィンドウ同士それぞれのウィンドウ情報の視認性を容易にかつ効率的に向上させることができるウィンドウ表示制御装置及びその方法、プログラムを提供する。
【解決手段】 編集対象となる編集ウィンドウ及び、前記編集ウィンドウに対して参照する参照ウィンドウを設定する。編集ウィンドウの背面において、前記参照ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該参照ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する。参照ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記参照ウィンドウを前記編集ウィンドウの前面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御装置及びその方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータを代表とするコンピュータ端末上の情報表示方法として、複数の表示内容をウィンドウ上に表示し、それを重複させて表示させるオーバーラップウィンドウシステムが標準的に利用されている。
【0003】
以下に、従来のオーバーラップマルチウィンドウシステムについて、図21を用いて説明する。
【0004】
図21は従来のオーバーラップマルチウィンドウシステムの表示例を示す図である。
【0005】
図21において、901は、ディスプレイ表示領域全体である。902は最前面に表示され、ユーザの入力を受け付けるフォーカスウィンドウ(アクティブウィンドウとも呼ぶ)である。903は、アクティブウィンドウ902によって表示領域の一部が隠されているウィンドウ(インアクティブウィンドウとも呼ぶ)である。
【0006】
ウィンドウ903は、その前面に表示されているウィンドウ902によって表示領域の一部が隠蔽されており、隠蔽された部分の表示内容(ウィンドウ情報)については参照できない。そして、隠蔽されたウィンドウ情報を参照するには、ウィンドウ903に対し何らかのコマンドを与え、ウィンドウ903を最前面に表示させる必要がある。
【0007】
一方、ウィンドウ903が最前面になることで隠蔽されるウィンドウ902のウィンドウ情報を確認するには、ウィンドウ902に対し何らかのコマンドを与え、ウィンドウ902を前面に表示する操作を行う。
【0008】
このようなオーバーラップマルチウィンドウシステムでは、ウィンドウ同士の一部が重複することによって、前面のウィンドウに隠蔽された背面のウィンドウのウィンドウ情報を参照するには、ユーザが参照したいウィンドウ、もしくは参照したいウィンドウを隠している他のウィンドウに対し、何らかの操作を行うことで隠蔽されたウィンドウ情報を見えるように表示させる必要が生じる。
【0009】
そこで、隠蔽されたウィンドウ情報を閲覧するウィンドウシステムとして、例えば、特許文献1が提案されている。この特許文献1で提案されているウィンドウシステムは、ウィンドウの重複領域に対し、半透明処理を実施することで、背面に隠蔽されたウィンドウ情報を前面のウィンドウ情報と重ねて表示する。
【0010】
また、ウィンドウを半透明にする技術は、例えば、特許文献2にも記載されている。
【特許文献1】特開平8−292758号公報
【特許文献2】特開平7-104724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1においては、隠蔽されたウィンドウ情報をユーザの操作を必要とせずに、その内容を閲覧することは可能であるが、ウィンドウ同士の重複領域に対する透明度が一定である。そのため、例えば、アクティブウィンドウにおいて、文字入力作業を行う場合には、アクティブウィンドウ上の入力情報と、その背面にあるウィンドウとの重複領域上のウィンドウ情報が重なってしまうことがあり、入力情報とウィンドウ情報との区別を視認しにくい場合がある。
【0012】
また、背面にあるウィンドウのウィンドウ情報を詳しく閲覧したい場合には、透明度調整バー等の調整機能を利用して、背面のウィンドウのウィンドウ情報の詳細を閲覧可能にする技術も存在するが、この場合も、必要に応じて透明度を変化させるユーザ操作が要求され、その操作性に欠けている。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、重複しているウィンドウ同士それぞれのウィンドウ情報の視認性を容易にかつ効率的に向上させることができるウィンドウ表示制御装置及びその方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明によるウィンドウ表示制御装置は以下の構成を備える。即ち、
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御装置であって、
第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定手段と、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該第2ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成手段と、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御手段と
を備える。
【0015】
また、好ましくは、前記生成手段は、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置と前記重複領域間の距離に基づいて、前記透かし画像を生成する。
【0016】
また、好ましくは、前記生成手段は、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置と前記重複領域上の複数の所定点間それぞれとの距離に基づいて、重複領域内の透明度が段階的に変化する前記透かし画像を生成する。
【0017】
また、好ましくは、前記表示制御手段は、前記第2ウィンドウにスクロールバーが存在する場合、更に、スクロール操作画面を前記表示画面内の最前面に表示する。
【0018】
また、好ましくは、前記設定手段は、ウィンドウ内で選択された任意の範囲を前記第2ウィンドウとして設定する。
【0019】
また、好ましくは、前記設定手段は、前記第2ウィンドウの設定指示がない場合、前記第1ウィンドウと、前記表示画面上の他のウィンドウとの位置関係に基づいて、該表示画面上の任意のウィンドウを前記第2ウィンドウに設定する。
【0020】
また、好ましくは、前記表示制御手段は、更に、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置に基づいて、前記第2ウィンドウの表示位置を制御する。
【0021】
また、好ましくは、前記表示制御手段は、前記第2ウィンドウの一部の部分画像が前記表示画面を構成する矩形領域の一端からはみ出ている場合、前記部分画像を該矩形領域の一端に対応するもう一方の一端から表示する。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明によるウィンドウ表示制御方法は以下の構成を備える。即ち、
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御方法であって、
編集対象となる第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定工程と、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該第2ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成工程と、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御工程と
を備える。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明によるプログラムは以下の構成を備える。即ち、
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御を実現するプログラムであって、
編集対象となる第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定工程のプログラムコードと、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該第2ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成工程のプログラムコードと、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御工程のプログラムコードと
を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、重複しているウィンドウ同士それぞれのウィンドウ情報の視認性を容易にかつ効率的に向上させることができるウィンドウ表示制御装置及びその方法、プログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
<実施形態1>
まず、本発明のウィンドウ表示制御装置について、図1を用いて説明する。
【0027】
尚、本発明のウィンドウ表示制御装置は、例えば、パーソナルコンピュータ等の端末上で動作するOSによって実現されるウィンドウシステムにおいて、そのウィンドウの表示制御に特徴がある。
【0028】
図1は本発明の実施形態1のウィンドウ表示制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【0029】
図1において、CPU21、RAM22、ROM23、LANアダプタ24、ビデオアダプタ25、入力部として機能するキーボード26、マウス27、ハードディスク28、CD−ROMドライブ29は、それぞれシステムバス20を介して互いに接続されている。システムバス20は、例えばPCIバス、AGPバス、メモリバス等を意味する。また、図1では、各バス間の接続用チップやキーボードインタフェースやいわゆるSCSIやATAPIのような入出力用インタフェースは省略されている。
【0030】
CPU21は、オペレーションシステムのプログラムやアプリケーションプログラムに基づいて四則演算や比較演算等の各種の演算や、ハードウェアの制御を行う。RAM22には、ハードディスク28やCD−ROMドライブ29に装着されたCD−ROMやCD−R等の記憶媒体から読み出されたオペレーションシステムのプログラムやアプリケーションプログラム等が記憶され、これらはCPU21の制御の元に実行される。RAM22の内容については後にメモリマップの内容として詳述する。
【0031】
ROM23にはオペレーションシステムと協働してハードディスク等への入出力を司るいわゆるBIOS等が記憶される。LANアダプタ24は、CPU21によって制御されるオペレーションシステムの通信プログラムと協働してネットワークを介した外部との通信を行う。ビデオアダプタ25は、ディスプレイ装置(例えば、CRTやLCD)に出力する画像信号を生成し、キーボード26やマウス27は情報処理装置への指示を入力するために用いられる。
【0032】
ハードディスク28は、オペレーションシステムやアプリケーションプログラムや以下で説明するフローチャートを実行可能なプログラムを記憶している。
【0033】
CD−ROMドライブ29は、CD−ROMやCD−RやCD−R/W等の記憶媒体を装着してアプリケーションプログラムをハードディスク28にインストールするのに用いる。尚、CD−ROMドライブの代わりにCD−RドライブやCD−R/WドライブやMOドライブ等を用いても良いのは言うまでもない。
【0034】
次に、実施形態1のウィンドウ表示制御装置が実行するウィンドウ表示制御処理について、図2を用いて説明する。
【0035】
図2は本発明の実施形態1のウィンドウ表示制御処理を示すフローチャートである。
【0036】
尚、実施形態1では、編集ウィンドウ、参照ウィンドウとして説明をするが、編集ウィンドウは初めに優先して表示させるウィンドウであり、標準のウィンドウ(第1ウィンドウ)とも言い換えることができる。また、参照ウィンドウは、編集ウィンドウよりも優先度の低いウィンドウであり、編集ウィンドウの後に表示されるウィンドウ(第2ウィンドウ)である。
【0037】
また、図2のフローチャートは、本システムが起動されている間、繰り返されるものとする。
【0038】
本システムの起動時には、後述する半透明化処理の際に使われる、ROM23に記憶されているマスクテーブルを、メモリ(RAM22)上に格納する。また、図2のフローチャートの実行時には、少なくとも1つのウィンドウが表示画面上に表示されているものとする。あるいは、ウィンドウが1つも表示されていない場合には、ウィンドウを表示させた上で、本処理が実行される。
【0039】
ステップS101で、編集ウィンドウの設定指示の有無を判定する。設定指示がない場合(ステップS101でNO)、処理を一旦終了して、再度、ステップS101に戻り、編集ウィンドウの設定指示を待機する。一方、設定指示がある場合(ステップS101でYES)、ステップS102に進む。
【0040】
ステップS102で、表示画面上のウィンドウの内、所望のウィンドウを編集ウィンドウに設定する。
【0041】
尚、この編集ウィンドウの設定は、例えば、表示画面上の所望のウィンドウを選択した状態(アクティブ状態)で、マウス27を右クリックすることで表示されるメニュー(図3)を用いて実行する。具体的には、図3の設定メニューから、「編集ウィンドウ」を選択することで、選択したウィンドウを編集ウィンドウに設定することができる。また、編集ウィンドウに設定した場合は、その旨を示すために、図3の設定メニュー上の項目「編集ウィンドウ」の左端に「レ」(チェックマーク)が付与される。一方、この状態で、再度、項目「編集ウィンドウ」を選択すると、設定が解除され、「レ」(チェックマーク)が外される。
【0042】
また、編集ウィンドウとは、文字入力等の編集作業を行うウィンドウを設定するためのウィンドウであり、本ウィンドウ表示制御処理の制御対象となる。また、編集ウィンドウに設定されたウィンドウは、その属性値として、「0」が設定される。
【0043】
一方、編集ウィンドウに対する参照ウィンドウ(編集ウィンドウに対して半透明化処理を実行するウィンドウ)に設定されたウィンドウは、属性値として「1」が設定される。また、属性値は、例えば、RAM22に、対応するウィンドウと対応づけられて記憶される。
【0044】
次に、ステップS103で、表示画面内にウィンドウが2つ以上あるか否かを判定する。2つ以上のウィンドウがない場合(ステップS103でNO)、編集ウィンドウに対する参照ウィンドウを指定することができないので、処理を一旦終了して、ステップS101に戻り、ウィンドウが2つ以上表示されるまで、待機する。一方、2つ以上のウィンドウがある場合(ステップS103でYES)、ステップS104に進む。
【0045】
ステップS104で、参照ウィンドウの設定指示の有無を判定する。参照ウィンドウの設定指示がない場合(ステップS104でNO)、処理を一旦終了して、再度、ステップS101に戻り、参照ウィンドウの設定指示を待機する。一方、参照ウィンドウの設定指示がある場合(ステップS104でYES)、ステップS105に進む。
【0046】
ステップS105で、表示画面上のウィンドウの内、編集ウィンドウ以外の所望のウィンドウを参照ウィンドウに設定する。
【0047】
尚、この参照ウィンドウの設定は、例えば、表示画面上の所望のウィンドウを選択した状態(アクティブ状態)で、マウス27を右クリックすることで表示される設定メニュー(図4)を用いて実行する。具体的には、図4の設定メニューから、「参照ウィンドウ」を選択することで、選択したウィンドウを編集ウィンドウに設定することができる。
【0048】
また、参照ウィンドウとは、上述したように、編集ウィンドウと重なる場合に、半透明化処理に使用されるウィンドウである。
【0049】
ステップS106で、編集ウィンドウがアクティブの時に、その編集ウィンドウに対する表示制御処理を実行する。この表示制御処理は、編集ウィンドウがアクティブの間繰り返される。
【0050】
次に、ステップS106の編集ウィンドウの表示制御処理の詳細について、図5を用いて説明する。
【0051】
図5は本発明の実施形態1の編集ウィンドウの表示制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【0052】
尚、図5の編集ウィンドウの表示制御処理は、編集ウィンドウがアクティブで、編集ウィンドウ・参照ウィンドウが設定されている時に繰り返し行われる処理である。
【0053】
ステップS201で、参照ウィンドウにスクロールバーがあるか(ウィンドウがスクロールできる状態にあるか)否かを判定する。参照ウィンドウにスクロールバーがない場合(ステップS201でNO)、ステップS203に進む。一方、参照ウィンドウにスクロールバーがある場合(ステップS201でYES)、ステップS202に進む。
【0054】
ステップS202で、スクロール操作画面(図6)を表示画面内の任意の位置に最前面に表示する。
【0055】
尚、このスクロール操作画面は、参照ウィンドウ上のスクロールバーを操作することなく、スクロール操作画面上の矢印ボタンを操作するだけで、参照ウィンドウのウィンドウ情報(表示内容)をスクロールさせる画面である。このスクロール操作画面には、図6に示されるように、参照ウィンドウのウィンドウ情報を上下左右にスクロールさせるための各方向の矢印キーが構成されており、ユーザは、マウス27等の入力部を用いて、矢印キーを操作することで、所望とする方向に参照ウィンドウのウィンドウ情報をスクロールさせることができる。
【0056】
ステップS203で、参照ウィンドウの画像をメモリ(RAM22)上に格納する。このとき、ステップS202で表示されたスクロール操作画面が操作されている場合、参照ウィンドウをスクロールさせた後の参照ウィンドウの画像をメモリ上に格納する。
【0057】
ステップS204で、編集ウィンドウ・参照ウィンドウそれぞれの座標情報をメモリ(RAM22)上に格納する。
【0058】
尚、この座標情報は、例えば、表示画面全体に対する編集ウィンドウ・参照ウィンドウの位置を示す情報である。また、実施形態1では、表示画面の水平方向をx軸、垂直方向をy軸、また、その左上角を原点(0,0)として、その原点に対して、編集ウィンドウ・参照ウィンドウの4隅の位置座標を座標情報としている。
【0059】
ステップS205で、編集ウィンドウと参照ウィンドウが重なっているか否かを判定する。重なっていない場合(ステップS205でNO)、ステップS201に戻る。一方、重なっている場合(ステップS205でYES)、ステップS206に進む。
【0060】
尚、ステップS205の判定は、メモリ上に格納した編集ウィンドウと参照ウィンドウの両者の座標情報を比較することで実現する。
【0061】
ステップS206で、参照ウィンドウの表示位置を決定する。
【0062】
尚、実施形態1では、現在の参照ウィンドウの表示位置を、そのまま参照ウィンドウの表示位置として決定する。但し、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重なり状態(位置関係)によっては、参照ウィンドウのウィンドウ情報が視認しにくい場合があるので、位置関係に基づいて、参照ウィンドウの表示位置を決定(変更)するようにしても良い。この参照ウィンドウの表示位置を決定(変更)する表示位置決定処理については、実施形態3において、別途後述する。
【0063】
ステップS207で、編集ウィンドウの半透明化処理を実行する。尚、この半透明化処理の詳細については、図10を用いて後述する。
【0064】
ステップS208で、編集ウィンドウに対する操作の有無を判定する。一定時間内に操作がある場合(ステップS208でYES)、ステップS201に戻り、ステップS201〜ステップS206の処理を経て、ステップS207で、半透明化処理を継続する。一方、一定時間内に操作がない場合(ステップS208でNO)、ステップS209に進む。
【0065】
ステップS209で、参照ウィンドウを編集ウィンドウの前面に表示する。
【0066】
尚、この表示方法は、例えば、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重なっている部分の参照ウィンドウの画像を、編集ウィンドウ上の重なっている部分に貼り付ける方法がある。
【0067】
ステップS210で、編集ウィンドウ及び参照ウィンドウの少なくとも一方のウィンドウの操作の有無を判定する。ウィンドウの操作がない場合(ステップS210でNO)、操作があるまで待機する。この場合、参照ウィンドウが前面に表示された状態が維持される。一方、ウィンドウの操作がある場合(ステップS210でYES)、ステップS211に進む。
【0068】
ステップS211で、編集ウィンドウ及び参照ウィンドウに対して設定解除の指示の有無を判定する。設定解除の指示がない場合(ステップS211でNO)、ステップS207に戻る。一方、設定解除の指示がある場合(ステップS211でYES)、ステップS212に進む。
【0069】
ステップS212で、指定された編集ウィンドウまたは参照ウィンドウの設定解除を、対応する図3または図4の設定メニューを操作して実行する。
【0070】
次に、ステップS207の半透明化処理の概念について、図7及び図8を用いて説明する。
【0071】
図7及び図8は本発明の実施形態1の半透明化処理の概念を説明するための図である。
【0072】
図7では、編集ウィンドウ700と参照ウィンドウ710が重複している状態において、説明上、編集ウィンドウ700と参照ウィンドウ710を分離させた状態を示している。実施形態1の半透明化処理では、編集ウィンドウ700と参照ウィンドウ710の重複領域に対応する各ウィンドウの画像aと画像bを合成する際に、所定のマスクテーブル(図9)を適用することで、画像aと画像bの内容を混在させて合成した合成画像(透かし画像)(図8)を生成する。
【0073】
この合成画像は、各ウィンドウの画像aと画像bの一部が間引かれた状態の画像となるので、結果的に、人間の目には、参照ウィンドウ710の一部が半透明化された状態で視認されることになる。つまり、重複領域内で、参照ウィンドウ710のウィンドウ情報が編集ウィンドウ700上で視覚可能に表示されることになる。
【0074】
また、実施形態1では、この混在画像に含ませる画像aと画像bの比率を、マスクテーブル(図9)を用いて決定する。
【0075】
次に、このマスクテーブルを生成するためのマスクパターンについて、図9を用いて説明する。
【0076】
図9は本発明の実施形態1のマスクパターンの一例を示す図である。
【0077】
図9では、複数種類のマスクパターンA〜J、Zを示しており、これらのマスクパターンはそれぞれON(黒)及びOFF(白)の情報から構成されている。そして、マスクパターンを編集ウィンドウと参照ウィンドウの重複領域に適用した場合、ONの箇所には参照ウィンドウの重複領域の画像が、OFFの箇所には編集ウィンドウの重複領域の画像が生成されることになる。
【0078】
そのため、マスクパターンAからなるマスクテーブルを適用した場合は編集ウィンドウの重複領域の画像すべてからなる合成画像を生成することになる。一方、マスクパターンJからなるマスクテーブルを適用した場合は参照ウィンドウの重複領域の画像すべてからなる合成画像を生成することになる。
【0079】
そして、重複領域に対する合成画像を生成するために適用するマスクパターンの選択は、実施形態1では、編集ウィンドウのキャレット位置に基づいて決定する。具体的には、キャレット位置と重複領域間の距離に応じて、重複領域内の透明度が段階的に変化するようにマスクパターンを適宜選択してマスクテーブルを生成する。
【0080】
図9の場合、キャレット位置と重複領域上の複数の所定点(例えば、左上角座標(x,y)、左上角座標のx座標と同一のx座標でy座標が異なる座標(x,y1)〜(x,yn)、ここで、nは整数)間それぞれの距離情報に応じて、マスクパターンを選択する構成となっている。例えば、距離情報が10未満の場合、マスクパターンA(透明度0)を選択する。距離情報が10以上20未満の場合、マスクパターンB(透明度10)を選択する。以下、同様にして、距離情報が該当する所定距離範囲内に対応するマスクパターンを選択し、距離情報が90以上の場合は、マスクパターンJ(透明度100)を選択する。また、マスクパターンZは、編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合のデフォルトマスクパターンであり、この場合は、重複領域全体が所定の透明度(透明度50)となる。
【0081】
つまり、実施形態1では、編集ウィンドウのキャレット位置周辺は、ユーザが文字情報を入力する状況であることを想定して、重複領域中のキャレット周辺部分においては、背面にある参照ウィンドウに対する透明度を低くして、前面にある編集ウィンドウのウィンドウ情報の視認性を向上させることができる。一方、重複領域中のキャレットから離れた部分は、その離れている距離に従って、参照ウィンドウに対する透明度を高くして、参照ウィンドウのウィンドウ情報の視認性も向上させることができる。
【0082】
このように、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重複領域内の透明度を、編集ウィンドウ上のキャレット位置と重複領域の位置関係に基づいて、段階的に変更することで、編集ウィンドウに対する操作箇所(キャレット位置)周辺における視認性と、重複領域によって隠蔽されている参照ウィンドウのウィンドウ情報の視認性を、より有効な表示形態で向上させることができる。
【0083】
次に、ステップS207の半透明化処理の詳細について、図10を用いて説明する。
【0084】
図10は本発明の実施形態1の半透明化処理の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
まず、ステップS301で、編集ウィンドウと参照ウィンドウが互いに重複している画像(以下、重複画像とする)を取得する。ステップS302で、重複画像に関する情報として、重複画像の左上角座標を取得する。
【0086】
図7の例の場合、重複画像として、画像a及び画像b、その重複画像に関する情報として、左上角のc点のy座標、高さd及び幅eを取得する。そして、取得したこれらの情報は、メモリ(RAM22)上に格納する。
【0087】
ステップS303で、キャレット位置から重複画像の左上角座標までの距離情報を算出する。この算出した距離情報は、マスクテーブルに付加されている距離情報と照合し、マスクテーブルを作成する際に、必要なマスクパターンを選択するために使用される。
【0088】
尚、編集ウィンドウ上のキャレットの位置座標のy座標は、予め初期化されているため、編集ウィンドウにキャレットがない場合、距離情報は重複ウィンドウの左上角座標のy座標そのものになる。
【0089】
取得した距離情報は、編集ウィンドウにキャレットがある場合、つまり、重複領域の透明度を段階的に変化させるマスクテーブルを作成するときのみ使用されるので、ステップS304で、編集ウィンドウにキャレットがあるかないかを判定する。キャレットがない場合(ステップS304でNO)、ステップS305に進み、デフォルトの距離情報を取得する。この場合、メモリ上に格納されている図9のマスクパターン群の内、マスクパターンZからなるマスクテーブルを作成することが可能になる。
【0090】
一方、キャレットがある場合(ステップS304でYES)、ステップS306に進む。ステップS306で、メモリ上にあるマスクパターン(各マスクパターンにはそれぞれ距離情報を有している)の距離情報を参照し、それに対応するマスクパターンを選択する。使用するマスクパターンを選択すると、ステップS307に進む。例えば、ステップS303で取得した距離情報が15であれば、初めに図9のマスクパターンBが選択される。
【0091】
尚、距離情報の単位は、ドットでもポイントでも良い。
【0092】
ステップS307で、重複画像中の1バンド分(マスクパターン分の高さ分と、重複画像の幅分の領域)の領域に対するマスクテーブルを作成する。
【0093】
ステップS308で、重複画像全体に対するマスクテーブルの作成が終了したか否かを判定する。終了した場合(ステップS308でYES)、ステップS311に進む。一方、終了していない場合(ステップS308でNO)、ステップS309に進む。
【0094】
尚、ステップS308の判定は、重複画像のサイズ以上の十分なサイズのマスクテーブルの作成が終了したか否かを判定するものである。
【0095】
ステップS309で、次のバンド分のマスクテーブルを作成するために、前回の距離情報の算出のために参照した重複画像の座標(最初は、左上角座標)からy方向にマスクパターンの高さ分ずらした座標と、キャレット位置間の距離情報を算出して、マスクパターンを選択するための距離情報を更新する。そして、ステップS304を経て、ステップS306で、更新した距離情報を参照して、それに対応するマスクパターンを選択し、ステップS307で、1バンド分のマスクテーブルを作成する。そして、以上の処理を、距離情報を更新しながら繰り返すことで、重複画像のサイズ以上の十分なサイズのマスクテーブルを作成する。
【0096】
尚、キャレットが存在しない場合には、距離情報を更新しながら、所定のマスクパターン(マスクパターンZ)からなるマスクテーブルを1バンドずつ作成することになる。
【0097】
ステップS308において、マスクテーブルの作成が終了したら、ステップS310で、作成したマスクテーブルを、編集ウィンドウと参照ウィンドウのそれぞれの重複画像に適用して、合成画像を生成する。
【0098】
ステップS311で、合成画像を編集ウィンドウに貼り付ける。これは、ステップS302で取得した座標情報に基づいて貼り付けることになる。
【0099】
次に、編集ウィンドウにキャレットが存在する場合のマスクテーブルの作成例について、図11を用いて説明する。
【0100】
図11は本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在する場合のマスクテーブルの作成例を説明するための図である。
【0101】
編集ウィンドウにキャレットが存在する場合では、まず、現在のキャレット位置から重複画像の左上角座標間の距離情報は算出する。ここで、算出された距離情報が15であるとする。そのため、この場合は、マスクテーブルを構成するマスクパターンには、マスクパターンBを選択することになる。そして、この選択したマスクパターンBを用いて、高さが10で、幅が重複画像の幅に相当する1バンド分のマスクテーブルを作成する。
【0102】
1バンド分のマスクテーブルの作成が終了すると、次のバンドに対するマスクテーブルを作成するために距離情報を更新する。ここで、更新した距離情報は25であるとする。そのため、この場合は、マスクテーブルを構成するマスクパターンには、マスクパターンCを選択することになる。そして、この選択したマスクパターンCを用いて、1バンド分のマスクテーブルを作成する。
【0103】
以下、同様にして、バンド単位で、距離情報を更新しながら、マスクテーブルを作成し、重複画像のサイズ以上の十分なサイズのマスクテーブルを作成したら、処理を終了する。
【0104】
尚、この作成するマスクテーブルは、構成要素となるマスクパターンのサイズによっては、必ずしもマスクテーブルと重複画像のサイズが一致しない場合が発生するが、基本的には、重複画像全体に対して上述の半透明化処理が実現されれば良いので、実施形態1では、少なくとも重複画像のサイズ以上の十分なサイズのマスクテーブルを作成する。そして、作成したマスクテーブルにおいて、重複画像のサイズを越える部分については、それを無視して半透明化処理を実行する。
【0105】
そして、作成したマスクテーブルを編集ウィンドウ及び参照ウィンドウの重複画像に適用すると、例えば、図12に示すような表示結果が得られる。図12に示すように、キャレット1200が存在する場合には、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重複画像1210の透明度が、キャレット1200との距離に応じて段階的に変化している。
【0106】
これにより、ユーザは、キャレット周辺では、編集ウィンドウのウィンドウ情報が視認しやすくなり、一方で、キャレットから離れるに従って、重複画像中で、編集ウィンドウの背面にある参照ウィンドウのウィンドウ情報が視認できるようになる。
【0107】
次に、編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合のマスクテーブルの作成例について、図13を用いて説明する。
【0108】
図13は本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合のマスクテーブルの作成例を説明するための図である。
【0109】
編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合では、常にデフォルトのマスクパターンZを選択して、マスクテーブルを構成することになるので、バンド単位で、マスクパターンZのマスクテーブルを作成する。
【0110】
そして、作成したマスクテーブルを編集ウィンドウ及び参照ウィンドウの重複画像に適用すると、例えば、図14に示すような表示結果が得られる。図14に示すように、キャレットが存在しない場合には、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重複画像1410の透明度は一定となる。
【0111】
これにより、キャレットが存在しない場合には、編集ウィンドウ及び参照ウィンドウの両者のウィンドウ情報を視認することができるようになる。
【0112】
以上説明したように、実施形態1によれば、ウィンドウ同士の重複領域に対して半透明化処理を適用する場合に、編集ウィンドウ(アクティブウィンドウ)上のキャレット位置と重複領域の位置関係に基づいて、重複領域内の透明度を制御することで、編集ウィンドウの操作時における視認性と、編集ウィンドウの背面にある参照ウィンドウ上のウィンドウ情報の視認性を向上させることができる。
【0113】
特に、実施形態1では、編集ウィンドウ上の実際の編集箇所(キャレット位置)の周辺の重複領域上の部分領域では、編集ウィンドウのウィンドウ情報の視認性を向上させることができ、逆に、編集箇所から離れた重複領域の部分領域では、参照ウィンドウのウィンドウ情報の視認性を向上させることができる。これにより、編集ウィンドウ及び参照ウィンドウに対して、より有意な視認状態を提供することができる。
【0114】
また、編集ウィンドウと参照ウィンドウに対する操作の有無を判定し、一定時間操作がない場合には、参照ウィンドウを自動的に編集ウィンドウの前面に表示し、再び操作があった場合には、編集ウィンドウを参照ウィンドウの前面に表示する。
【0115】
これにより、複数のウィンドウが表示されていて、参照ウィンドウのウィンドウ情報を参照しながら、編集ウィンドウ上で編集作業を行いたい場合には、両者のウィンドウに対してユーザが要望する環境を好適に提供することができる。
【0116】
<実施形態2>
実施形態1では、参照ウィンドウの設定は、ウィンドウ全体を設定対象とする構成としているが、これに限定されない。例えば、任意のウィンドウ中の所望の領域を参照ウィンドウとして設定しても良い。
【0117】
以下、実施形態2におけるウィンドウ表示制御処理について、図15を用いて説明する。
【0118】
図15は本発明の実施形態2のウィンドウ表示制御処理を示すフローチャートである。
【0119】
尚、図2と同一のステップについては、同一のステップ番号を付加して、その説明は省略する。また、実施形態2のウィンドウ表示制御処理は、実施形態1の図2のステップS104及びステップS105を、図14のフローチャートに置換することで実現される。
【0120】
実施形態1の図2のステップS101〜ステップS103の処理後、ステップS401で、参照ウィンドウの設定指示の有無を判定する。参照ウィンドウの設定指示がない場合(ステップS401でNO)、ステップS402に進み、参照ウィンドウを自動設定する。
【0121】
尚、参照ウィンドウに自動設定するウィンドウは、例えば、表示画面内のウィンドウの表示状態が図16のような場合では、編集ウィンドウ1600に対して、前面のウィンドウ1610でも、背面のウィンドウ1620でも良い。あるいは、編集ウィンドウから一番近いウィンドウや、重複領域が一番大きいウィンドウでも良い。つまり、編集ウィンドウと他のウィンドウとの位置関係に基づいて、参照ウィンドウを自動設定する。
【0122】
このように、実施形態1の図2のステップS104では、参照ウィンドウの設定指示がない場合は、処理を終了していたが、実施形態2では、参照ウィンドウの設定指示がない場合でも、表示画面内のウィンドウの表示状態において、編集ウィンドウに対する参照ウィンドウを自動的に設定することができる。
【0123】
一方、ステップS402で、参照ウィンドウの設定指示がある場合(ステップS402でYES)、ステップS403に進み、参照ウィンドウ内の表示内容の内、任意の領域の選択範囲の指定の有無を判定する。選択範囲の指定がない場合(ステップS403でNO)、ステップS105に進み、選択されているウィンドウ全体を参照ウィンドウに設定する。
【0124】
尚、選択範囲の指定は、複数の選択範囲を指定することも可能である。
【0125】
一方、ステップS403において、選択範囲の指定がある場合(ステップS403でYES)、ステップS404に進み、選択範囲に対応する画像及び画像に関する情報をメモリ上に記憶する。その後、ステップS105で、選択範囲に対応する画像を参照ウィンドウに設定する。
【0126】
尚、図15のフローチャートでは、ユーザが参照ウィンドウの設定指示を行ってから選択範囲を指定しているが、参照ウィンドウが未設定の状態で先に選択範囲を指定する構成にすることも可能である。この場合、選択範囲を指定されたウィンドウが自動的に参照ウィンドウに設定されることになる。
【0127】
以上説明したように、実施形態2によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、ウィンドウもしくはそのウィンドウ内の任意の領域を参照ウィンドウに設定することができる。また、参照ウィンドウの設定指示がない場合でも、表示画面内のより適切なウィンドウを自動的に参照ウィンドウに設定することができる。
【0128】
<実施形態3>
実施形態1では、参照ウィンドウの表示位置は、参照ウィンドウの設定時の表示位置をそのまま維持する構成としているが、これに限定されない。例えば、編集ウィンドウと参照ウィンドウの重複状態によっては、編集ウィンドウのウィンドウ情報の視認性に影響を及ぼす可能性がある。
【0129】
そこで、実施形態3では、編集ウィンドウ上のキャレット位置に応じて、参照ウィンドウの表示位置を制御する構成について説明する。
【0130】
また、参照ウィンドウの表示位置を制御した結果、そのサイズによっては、表示画面内に収まらない場合があり得る。
【0131】
例えば、図17では、表示画面1700において、編集ウィンドウ1710と、参照ウィンドウ1720が表示されている状態を示している。特に、図17では、参照ウィンドウ1720の一部の部分画像1730が表示画面1700内に収まらず、はみ出している状態である。
【0132】
そこで、このような場合には、部分画像1730を、表示画面1700の上辺端から表示される位置に、その表示位置を移動する。これにより、参照ウィンドウ1720内のすべてのウィンドウ情報を視認することができるようになる。もちろん、この場合でも、編集ウィンドウと参照ウィンドウが重複する重複領域では、実施形態1と同様の半透明化処理を実行する。
【0133】
以下、実施形態3における、参照ウィンドウの表示位置を決定する参照ウィンドウの表示位置決定処理について、図18を用いて説明する。
【0134】
図18は本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示位置決定処理を示すフローチャートである。
【0135】
尚、実施形態3の参照ウィンドウの表示位置決定処理は、実施形態1の図5のステップS206を、図18のフローチャートに置換することで実現される。
【0136】
ステップS501で、編集ウィンドウにキャレットがあるか否かを判定する。キャレットがない場合(ステップS501でNO)、編集ウィンドウではキー入力による編集作業が行われていないということなので、参照ウィンドウは現在の表示位置を保持する。
【0137】
一方、キャレットがある場合(ステップS501でYES)、ステップS502に進み、表示画面サイズを取得して、メモリ上に格納する。
【0138】
ステップS503で、編集ウィンドウにキャレットが存在する場合に、メモリ上に格納されている参照ウィンドウの高さ情報と表示画面サイズ情報を用いて、参照ウィンドウの高さが表示画面の高さより予め設定されている一定値以上差があるか否かを判定する。一定値以上差がない場合(ステップS503でNO)、処理を終了し、現在の参照ウィンドウの表示位置を維持する。
【0139】
これは、一定値以上差がない場合に、参照ウィンドウの表示位置を、キャレット位置の近くに移動させてしまうと、参照ウィンドウがディスプレイからはみ出してしまい、参照したい部分がディスプレイに表示されないという問題が考えられる。つまり、表示画面から見えない部分が多くなり、参照できる部分が少なくなる可能性がある。そのため、この場合には、現在の参照ウィンドウの表示位置を、そのまま参照ウィンドウの表示位置として決定する。
【0140】
一方、一定値以上差がある場合(ステップS503でYES)、ステップS504に進む。ステップS504で、メモリ上にある編集ウィンドウに関する情報からキャレットの位置情報を取得する。
【0141】
ステップS505で、取得したキャレットの位置情報から参照ウィンドウを移動させるための表示位置を計算する。これにより、参照ウィンドウを編集ウィンドウで編集作業が行いやすい位置に移動させる。
【0142】
尚、表示位置の決定は、例えば、図19のように、参照ウィンドウ左上角座標のy座標を、編集ウィンドウ上のキャレットの位置から常に一定の距離になるようにしても良い。あるいは、キャレットが編集ウィンドウの下位部分にあり、参照ウィンドウを現在の位置より上位に移動させたほうが見やすくなる場合であれば、参照ウィンドウの表示位置をキャレットより上位にすることも可能である。
【0143】
ステップS506で、参照ウィンドウを、計算した表示位置へ移動する。
【0144】
尚、キャレット位置に合わせて、参照ウィンドウを下方向に移動させていった場合には、図17で説明したように、参照ウィンドウの一部が表示画面からはみ出て、そのウィンドウ情報の一部が切れてしまうことが考えられる。この場合は、表示画面からはみ出した参照ウィンドウの部分画像をディスプレイの最上位から表示させることで、常に参照ウィンドウの全体が表示画面に表示されるようにしてもよい。
【0145】
このような場合には、ステップS506で、更に、参照ウィンドウの表示制御処理を実行する。
【0146】
この参照ウィンドウの表示制御処理について、図20を用いて説明する。
【0147】
図20は本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示制御処理を示すフローチャートである。
【0148】
ステップS601で、メモリに格納されている表示画面サイズ情報と参照ウィンドウの高さ情報より、参照ウィンドウが表示画面の下からはみ出しているか否かを判定する。はみ出していない場合(ステップS601でNO)、処理を終了する。一方、はみ出している場合(ステップS601でYES)、ステップS602に進む。
【0149】
ステップS602で、参照ウィンドウが表示画面の下からはみ出している部分画像を、表示画面の最上位から表示する。
【0150】
具体的には、メモリ上に格納されている表示画面サイズ情報、参照ウィンドウの表示位置、参照ウィンドウのサイズを用いて、はみ出した部分画像の画像情報を取得して、メモリ上に格納する。そして、その部分画像を、参照ウィンドウの表示位置のx座標に合わせて表示画面の最上位から貼り付けて表示する。
【0151】
尚、参照ウィンドウが、編集ウィンドウ上のキャレットより上にある場合は、表示画面の上からはみ出している部分画像をディスプレイの最下位に表示させるようにしても良い。つまり、参照ウィンドウの一部の部分画像が表示画面を構成する矩形領域の一端からはみ出ている場合、部分画像を該矩形領域の一端(例えば、最下端(あるいは右端))に対応するもう一方の一端(最上端(あるいは左端))から表示する。
【0152】
以上説明したように、実施形態3によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、編集ウィンドウ上のキャレット位置に基づいて、参照ウィンドウの表示位置を制御するとともに、参照ウィンドウの表示状態に応じて、参照ウィンドウ中の部分画像の表示位置を制御する。
【0153】
これにより、より適切な表示位置で参照ウィンドウを表示することができ、編集ウィンドウ及び参照ウィンドウの視認性を向上させることができる。
【0154】
尚、上記実施形態1乃至3は、一例であり、用途や目的に応じて、実施形態1乃至3の構成を任意に組み合わせた実施形態を実現することもできる。
【0155】
また、上記実施形態では、編集ウィンドウと参照ウィンドウを1つずつ設定して、両者の表示制御を実現する構成としているが、2つ以上の参照ウィンドウを設定して、各参照ウィンドウに対して上記実施形態の処理を実現するようにしても良い。
【0156】
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0157】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0158】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0159】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0160】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0161】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0162】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0163】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0164】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施形態1のウィンドウ表示制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1のウィンドウ表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態1の設定メニューの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の設定メニューの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1の編集ウィンドウの表示制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1のスクロール操作画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1の半透明化処理の概念を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態1の半透明化処理の概念を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態1のマスクパターンの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1の半透明化処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在する場合のマスクテーブルの作成例を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在する場合の編集ウィンドウと参照ウィンドウの表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合のマスクテーブルの作成例を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態1の編集ウィンドウにキャレットが存在しない場合の編集ウィンドウと参照ウィンドウの表示例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態2のウィンドウ表示制御処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態2の参照ウィンドウの自動設定を説明するための図である。
【図17】本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示位置の制御を説明するための図である。
【図18】本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示位置決定処理を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示位置の決定方法を説明するための図である。
【図20】本発明の実施形態3の参照ウィンドウの表示制御処理を示すフローチャートである。
【図21】従来のオーバーラップマルチウィンドウシステムの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0166】
20 システムバス
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 LANアダプタ
25 ビデオアダプタ
26 キーボード
27 マウス
28 ハードディスク
29 CD−ROMドライブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御装置であって、
第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定手段と、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該第2ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成手段と、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とするウィンドウ表示制御装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置と前記重複領域間の距離に基づいて、前記透かし画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置と前記重複領域上の複数の所定点間それぞれとの距離に基づいて、重複領域内の透明度が段階的に変化する前記透かし画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第2ウィンドウにスクロールバーが存在する場合、更に、スクロール操作画面を前記表示画面内の最前面に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項5】
前記設定手段は、ウィンドウ内で選択された任意の範囲を前記第2ウィンドウとして設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記第2ウィンドウの設定指示がない場合、前記第1ウィンドウと、前記表示画面上の他のウィンドウとの位置関係に基づいて、該表示画面上の任意のウィンドウを前記第2ウィンドウに設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、更に、前記第1ウィンドウ上のキャレット位置に基づいて、前記第2ウィンドウの表示位置を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記第2ウィンドウの一部の部分画像が前記表示画面を構成する矩形領域の一端からはみ出ている場合、前記部分画像を該矩形領域の一端に対応するもう一方の一端から表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のウィンドウ表示制御装置。
【請求項9】
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御方法であって、
第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定工程と、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該参照ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成工程と、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御工程と
を備えることを特徴とするウィンドウ表示制御装置。
【請求項10】
表示画面に表示されるウィンドウの表示を制御するウィンドウ表示制御を実現するプログラムであって、
第1ウィンドウ及び、前記第1ウィンドウに対応して制御される第2ウィンドウを設定する設定工程のプログラムコードと、
前記第1ウィンドウの背面において、前記第2ウィンドウの少なくとも一部が重複する場合、その重複領域内で、該参照ウィンドウの内容が視覚可能になる透かし画像を生成する生成工程のプログラムコードと、
前記第1ウィンドウに対して一定時間操作がない場合、前記第2ウィンドウを前記第1ウィンドウの前面に表示する表示制御工程のプログラムコードと
を備えることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−4086(P2006−4086A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178522(P2004−178522)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(390002761)キヤノン販売株式会社 (656)
【Fターム(参考)】