説明

ウインドウ型BGAパッケージ及びその製造方法

【課題】側面の剥離や断裂等を抑制するウインドウ型BGAパッケージを提供する。
【解決手段】基板210、第一チップ220、ダイアタッチ部材230、複数の第一ボンディングワイヤ240、封止体250及び複数の外接端子260を備える。基板210はダイアタッチ凹部213及びスロット214を有する。第一チップ220は、ダイアタッチ凹部213に設置され、側面223を有する。ダイアタッチ部材230はダイアタッチ凹部213の内に形成される。ダイアタッチ凹部213はダイアタッチ部材230の形状を制限し、ダイアタッチ部材230が側面223群と周縁213Aとの間の間隙に充填され、且つ側面223群の一部を被覆する。第一ボンディングワイヤ240群はスロット214を通過して第一チップ220と基板210とを電気接続する。封止体250は第一チップ220と第一ボンディングワイヤ240群とを密封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に一種のウインドウ型BGAパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な半導体装置のパッケージ形態においては、ウインドウ型BGAパッケージはチップ搭載する基板に貫通する1つのスロットを設け、基板と基板の上方にあるチップとを電気接続するように用いるボンディングワイヤはスロットを通過し、且つウインドウ型BGAパッケージは外部と電気接続ができるように外接端子用の半田ボールを基板の下方に接合する。チップを基板上に貼り付けることに用いる液体や稠密なダイアタッチ部材は、ダイアタッチ時の加熱と加圧の過程において流動的であるためオーバーフロー現象が発生し、更にチップのボンディングパッドにまで広がってワイヤボンディングを行うことができなくなる。よって、現在のウインドウ型BGAパッケージには、オーバーフローの不具合を避けるため液体や稠密なダイアタッチ部材の代わりにダイアタッチテープしか用いることができないが、コストが高くなる。チップのダイアタッチテープに貼り付けられる部位はチップの主面だけであり且つ平面状となって応力の影響を受け易いので、チップの側面には剥離や断裂等の問題が起き、従来のウインドウ型BGAパッケージに対する信頼性や品質は低くなる。
【0003】
図1に示すように、周知のウインドウ型BGAパッケージ100は主要に1つの基板110、1つのチップ120、1つのダイアタッチテープ130、複数のボンディングワイヤ140、1つの封止体150及び複数の外接端子160を備える。基板110は1つの内部表面111、1つの外部表面112及び内部表面111と外部表面112とを貫通する1つのスロット114を有する。チップ120は1つの主面121と主面121上にある複数のボンディングパッド124とを有する。チップ120を基板110上に設置するため、ダイアタッチテープ130はチップ120の主面121と基板110の内部表面111とを貼り付け、ダイアタッチの後にスロット114を露出する。チップ120の主面121上に1つの不活性化層125を形成する。ボンディングワイヤ140群はスロット114を通過してボンディングパッド124群を基板110に電気接続する。封止体150はチップ120とボンディングワイヤ140群とを密封する。外接端子160群は基板110の外部表面112に設置される。図1の拡大図に示すように、ダイアタッチテープ130がチップ120の主面121上にある不活性化層125の一部だけに貼り付けられることにより、封止と熱サイクル試験過程において生じた熱応力に起因するチップ120の側面の不活性化層125の剥離や断裂等の問題が容易に発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、一種のウインドウ型BGAパッケージ及びその製造方法を提供することである。該パッケージは、パッケージ全体の厚みを薄くすることが可能になるとともに、従来のウインドウ型BGAパッケージに対するチップの側面の剥離や断裂等の問題を有効に解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るウインドウ型BGAパッケージは、主要に1つの基板、1つの第一チップ、1つのダイアタッチ部材、複数の第一ボンディングワイヤ、1つの封止体及び複数の外接端子を備える。基板は、1つの内部表面、1つの外部表面、内部表面に形成した1つのダイアタッチ凹部及び外部表面からダイアタッチ凹部までを貫通する1つのスロットを有する。第一チップは、ダイアタッチ凹部に照準を合わせ基板の内部表面に設置されて、1つの第一主面、1つの第一背面及び第一主面と第一背面との間にある複数の側面を有する。ダイアタッチ部材は、ダイアタッチ凹部の内に形成されて第一チップの第一主面を貼り付ける。ダイアタッチ凹部はダイアタッチ部材の形状を制限することにより、ダイアタッチ部材が第一チップの側面群とダイアタッチ凹部の周縁との間の間隙に充填され、且つ第一チップの側面群の一部を被覆する。第一ボンディングワイヤ群はスロットを通過して第一チップと基板とを電気接続する。封止体は基板の内部表面上に形成されかつスロットに十分に充填されて、第一チップと第一ボンディングワイヤ群とを密封する。外接端子群は基板の外部表面に設置される。
【0006】
さらに、第一チップは第一主面を被覆する1つの不活性化層を有してもよく、この不活性化層はダイアタッチ凹部の内に完全に埋め込まれることにより、不活性化層の周辺縁部はダイアタッチ部材に密封される。
またさらに、ダイアタッチ凹部の深さはダイアタッチ部材と不活性化層との厚み合計より大きく、第一チップの厚みより小さくなってもよく、第一チップの一部はダイアタッチ凹部の内に埋め込まれる。
【0007】
またさらに、ダイアタッチ凹部の周縁は第一チップの外に位置してよいが、第一チップの側面群に緊密接近してもよい。
またさらに、ダイアタッチ部材はスロットの内に拡散してもよい。
またさらに、ダイアタッチ部材は第一ボンディングワイヤ群を第一チップの一端に密封してもよい。
【0008】
またさらに、第一チップは第一主面に形成した複数の第一ボンディングパッドを有してもよく、この第一ボンディングパッド群はスロットに照準を合わせて第一ボンディングワイヤ群の接合用に用いられる。
またさらに、基板は1つの梯形ギャップを有してもよく、この梯形ギャップは外部表面とスロットとの側辺に形成される。
【0009】
またさらに、外接端子群は複数の半田ボールを有してもよい。
またさらに、1つの第二チップを有してもよく、この第二チップは背中合わせに第一チップ上に積層されて複数の第二ボンディングパッドを有する。
またさらに、複数の第二ボンディングワイヤを有してもよく、この第二ボンディングワイヤ群は第二ボンディングパッド群を基板に電気接続する。
またさらに、封止体は第一チップの第一背面を被覆してもよい。
【0010】
さらに本発明に係るウインドウ型BGAパッケージの製造方法は、先ず、1つの基板を提供し、この基板は1つの内部表面、1つの外部表面、内部表面に形成される1つのダイアタッチ凹部及び外部表面からダイアタッチ凹部までを貫通する1つのスロットを有する。そして、ダイアタッチ凹部の内に1つのダイアタッチ部材を形成する。次に、1つの第一チップを設置し、この第一チップはダイアタッチ凹部に照準を合わせて基板の内部表面に仮に貼り付けられる。第一チップは1つの第一主面、1つの第一背面及び第一主面と第一背面との間にある複数の側面を有する。ダイアタッチ部材は第一チップの第一主面を仮に貼り付け、そして、ワイヤボンディングを行って複数の第一ボンディングワイヤを形成し、この第一ボンディングワイヤ群はスロットを通過して第一チップと基板とを電気接続する。次に、ダイアタッチ拡散ステップを実施し、第一チップに圧力を印加することによりダイアタッチ部材の形状はダイアタッチ凹部に制限されるため、ダイアタッチ部材は拡散して第一チップの側面群とダイアタッチ凹部の周縁との間の間隙に充填され、第一チップの側面群の一部を被覆する。その後、1つの封止体を基板の外部表面上に形成しかつスロットに十分充填することにより第一チップと第一ボンディングワイヤ群とを密封する。最後に、基板の外部表面に複数の外接端子を設置する。
【0011】
以上に述べたように、本発明のウインドウ型BGAパッケージ及びその製造方法は下記の利点と効果を有する。
(1)基板の内部表面にダイアタッチ凹部を形成しかつダイアタッチ凹部に第一チップの一部を埋め込むことにより、パッケージ全体の厚みを薄くすることが可能となる。
(2)ダイアタッチ部材を用いてダイアタッチ凹部と第一チップとの間の間隙を充填しかつ第一チップの側面の一部を被覆することにより、非平面のダイアタッチ区域を提供してダイアタッチ強度を増強する。
【0012】
(3)ダイアタッチ部材を用いて第一チップの不活性化層の周辺縁部を密封することにより、第一チップの受ける応力が減少し、チップと不活性化層の剥離及び第一チップの側面の断裂の発生を避ける。
(4)ダイアタッチ部材を用いて第一ボンディングワイヤ群を第一チップの一端に密封することにより、封止過程において第一ボンディングワイヤ群がモールド流れの衝撃を受けることによる断線の発生を防止する。
(5)基板の梯形ギャップは基板の外部表面より低くすることにより、低いワイヤボンディング区域を提供し、比較的細いボンディングワイヤを用いてワイヤボンディング接合を行うことができ、ボンディングワイヤ露出のリスクを抑える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるウインドウ型BGAパッケージを図2の断面図を参照して説明する。
図2に示すように、ウインドウ型BGAパッケージ200は、主に1つの基板210、1つの第一チップ220、1つのダイアタッチ部材230、複数の第一ボンディングワイヤ240、1つの封止体250及び複数の外接端子260より構成されている。基板210は1つの内部表面211、1つの外部表面212、内部表面211に形成した1つのダイアタッチ凹部213及び外部表面212からダイアタッチ凹部213までを貫通する1つのスロット214を有する。内部表面211は封止体250に露出しない基板210の1つの表面であり、第一チップ220の設置に用いられる。外部表面212は封止体250から露出する基板210の1つの表面であり、外接端子260群の設置に用いられる。スロット214は、中央スロットであってもよく、第一チップ220の複数の第一ボンディングパッド224を露出して第一ボンディングワイヤ240群の通過をさせる。第1実施形態において、基板210は1つの梯形ギャップ215を有し、この梯形ギャップ215は外部表面212とスロット214との側辺に形成されて第一ボンディングワイヤ240群の円弧高さを低くすることができる。具体的に言えば、図2に示すように、基板210は更に外部表面212に形成した複数の外接パッド217と複数の第一フィンガー216を有し、第一フィンガー216群は梯形ギャップ215に形成かつ排列されて第一ボンディングワイヤ240群と電気接続することに提供される。外接パッド217群はマトリックス排列或いは多列の周辺排列になってもよく、外接端子260群と接合することに提供される。基板210は更に1つのはんだマスク層218を有してもよく、このはんだマスク層218は外部表面212に形成されるが、外接パッド217群を露出する。第1実施形態において、はんだマスク層218は更に第一フィンガー216群を露出し梯形ギャップ215を形成する。一般に、基板210は一種の配線基板であり、例えば、印刷回路基板又はセラミック回路基板が有る。
【0014】
図2に示すように、第一チップ220はダイアタッチ凹部213に照準を合わせて基板210の内部表面211上に設置され、1つの第一主面221、1つの第一背面222及び第一主面221と第一背面222との間の複数の側面223を有する。具体的に言えば、第一チップ220は、ダイアタッチ凹部213よりサイズがやや小さくなってもよい。また、第一チップ220の一部は第一主面221が基板210に向かうようにダイアタッチ凹部213に埋め込まれる。ダイアタッチ凹部213の周縁213Aは第一チップ220の外に位置してもよいが、第一チップ220の側面223群に緊密接近し、よって、側面223群とダイアタッチ凹部213の周縁213Aとの間に1つの間隙Sが形成される。第一チップ220の第一主面221に形成された第一ボンディングパッド224群はスロット214の内に照準を合わせて第一ボンディングワイヤ240群と接合するのに用いられる。第1実施形態において、第一ボンディングパッド224群は第一主面221の中央辺りに位置し、即ち、中央ボンディングパッドと見なされることができる。また、第一ボンディングパッド224群は第一チップ220の内部にある集積回路が外部と接続する電極となり、材質としてアルミ、銅又はアルミ合金を採用してもよい。図2の拡大図に示すように、第一チップ220は更に第一主面221を被覆する1つの不活性化層225を有し、この不活性化層225は第一ボンディングパッド224群を露出し、ポリイミド(Polyimide、PI)、BCB樹脂(Benzocyclobutene、BCB)、シリサイド(Silicide)の中から何れかを用いることができ、ここで、シリサイドはシリカ(Silica)又は窒化シリコン(Silicone Nitride)を含む。
【0015】
再び図2を参照する。ダイアタッチ部材230はダイアタッチ凹部213の内に形成されて第一チップ220の第一主面221を貼り付ける。ダイアタッチ凹部213によりダイアタッチ部材230の形状は制限されるので、ダイアタッチ部材230は第一チップ220の側面223群とダイアタッチ凹部213の周縁213Aとの間の間隙Sに充填され、且つ第一チップ220の側面223群の一部までを被覆することによって、ダイアタッチ部材230の接着範囲が増加するとともに、ダイアタッチ区域を非平面(ほぼU字形の断面となる)にさせ、第一チップ220と基板210との接着力を増強できる。また、ダイアタッチ凹部213の深さDが、ダイアタッチ部材230と不活性化層225との厚み合計Tより大きくなって第一チップ220の厚みより小さくなることが好ましく、それにより、第一チップ220の一部をダイアタッチ凹部213の内に埋め込ませてパッケージ全体の厚みを薄くすることが可能となる。ここで、ダイアタッチ部材230の厚みは不活性化層225からダイアタッチ凹部213の底面までのダイアタッチ部材230最短距離とみなされる。好ましくは、第一チップ220の不活性化層225がダイアタッチ凹部213の内に完全に埋め込まれ、それにより、不活性化層225の周辺縁部はダイアタッチ部材230に密封されて不活性化層225の第一チップ220から剥離現象の発生を避ける。ダイアタッチ部材230はB‐ステージ接着剤(B-stage adhesive)を採用することができ、このB‐ステージ接着剤はマルチステージ硬化特性を有して第一チップ220の側面223群を被覆する効果を調整する。
【0016】
図2を再び参照する。第一ボンディングワイヤ240群はスロット214を通過して第一チップ220の第一ボンディングパッド224群を基板210の第一フィンガー216群に電気接続して第一チップ220と基板210との間を電気的に相互接続する。第一ボンディングワイヤ240群はワイヤボンディング方法で形成されることができ、材質としては金又は銅等の導電材料が適当である。第一フィンガー216群は梯形ギャップ215に位置するため、基板210と第一チップ220との間は比較的短いワイヤボンディング高度差を有し、第一ボンディングワイヤ240群の円弧高さが低くなり、比較的細いボンディングワイヤを採用してワイヤボンディング接合を行うことができる。また、ダイアタッチ部材230は更にスロット214の内まで拡散し、好ましくは、ダイアタッチ拡散を介し第一チップ220の一端に第一ボンディングワイヤ240群を更に密封してモールド流れの衝撃によるボンディングワイヤの断線を防止する。
【0017】
図2に示すように、封止体250は基板210の内部表面211に形成されるだけでなく、スロット214に十分に充填されて第一チップ220と第一ボンディングワイヤ240群を密封する。第1実施形態では、封止体250は第一チップ220の第一背面222を被覆することができるが、他の実施形態では、第一チップ220の第一背面222を露出して放熱効果を増加してもよい(図示せず)。
【0018】
図2に示すように、外接端子260群は基板210の外部表面212にある外接パッド217に設置され、ウインドウ型BGAパッケージ200の入力端及び/或は出力端として利用されて外部の装置(例えば、外部の印刷回路基板)と電気接続する。外接端子260群は半田ボール、金属ボール、ソルダペースト、接触パッド又は接触ピンを有していてもよい。
【0019】
従って、ダイアタッチ凹部213によって、ダイアタッチ部材230のダイアタッチ拡散が有効に制御されるようになるため、第一チップ220の側面223群の一部までが被覆され、ダイアタッチ面積を有効に増加することができるとともに、ダイアタッチ区域を非平面にすることもできる。その結果、パッケージ全体の厚みを薄くすることが可能となり、ダイアタッチ強度を増強することもでき、且つ不活性化層225は第一チップ220から剥離することなく、第一チップ220の側面223群が断裂することを避けることができる。また、ダイアタッチ凹部213により、ダイアタッチ部材230は基板210の周縁に拡散することがないので、ダイアタッチ部材230は封止体250に完全密封されて良好な耐湿性を確保する。ダイアタッチ部材230は更に第一チップ220の一端に第一ボンディングワイヤ240群を密封すれば好ましく、それにより、封止過程における第一ボンディングワイヤ240群がモールド流れの衝撃を受けて断線することも防止する。
【0020】
次に、図3及び図4Aから図4Eを参照しながら本発明の第1実施形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造方法を説明する。図3は製造のフローチャートを示し、図4Aから図4Eは製造過程における素子の断面図を示す。
図3に示すように、ウインドウ型BGAパッケージの製造過程は、主要に「基板を提供する」ステップ1、「仮にダイアタッチする」ステップ2、「電気接続」ステップ3、「ダイアタッチ拡散」ステップ4、「封止体を形成する」ステップ5及び「外接端子を設置する」ステップ6等を含む。
【0021】
先ず、「基板を提供する」ステップ1を実施する。すなわち、図4Aに示すように、基板210を提供する。基板210の内部表面211にはダイアタッチ凹部213とスロット214とが形成される。スロット214は外部表面212からダイアタッチ凹部213までを貫通し、ダイアタッチ凹部213の内にダイアタッチ部材230を形成する。ここで、ダイアタッチ凹部213を機械的に形成する時に基板210の内部にある配線構成を破壊することがないようにダイアタッチ凹部213の底面には配線層を設けない。ダイアタッチ部材230はマルチステージ硬化の稠密接着剤を採用すれば好ましく、基板210形成の時にダイアタッチ部材230は優れた流動性を有するため、スクリーン印刷又は鋼板印刷の方法でダイアタッチ凹部213に形成されることができる。ダイアタッチ部材230は、スロット214を露出させるためダイアタッチ凹部213に十分充填されず、且つ基板210の内部表面211と同一平面又は内部表面211よりやや高くなる。基板210の第一フィンガー216群は外接パッド217群と同一配線層になる。基板210は更に1つのはんだマスク層218を有し、はんだマスク層218は外部表面212に形成されて外接パッド217群を露出し、更に1つの梯形ギャップ215を構成し、梯形ギャップ215は第一フィンガー216群を露出する。
【0022】
次に、「仮にダイアタッチする」ステップ2を実施する。すなわち、図4Bに示すように、第一チップ220は、ダイアタッチ凹部213に照準を合わせて基板210の内部表面211にダイアタッチ部材230で仮に貼り付けられる。第一チップ220はダイアタッチ凹部213の内にわずかに落ち込んでもダイアタッチ部材230が変形しすぎることがなく、ダイアタッチ部材230のオーバーフロー範囲も変わらない。ここで、ダイアタッチ部材230は第一チップ220の第一主面221を仮に貼り付け、第一チップ220の第一ボンディングパッド224群はスロット214の内に照準を合わせる。具体的に言えば、ステップ2において、基板210をバーンイン(burn-in)する必要が有り、それにより、ダイアタッチ部材230は室温で半硬化状態になって粘着性を有して第一チップ220を貼り付けるのに用いられる。この時、ダイアタッチ温度を利用してダイアタッチ部材230を比較的低い流動性に調整するため、ダイアタッチ部材230は窪み易くならない外形を有して第一ボンディングワイヤ240群まで流れかつ被覆することにより、ワイヤボンディングを行えなくなる問題を避ける。
【0023】
次に、「電気接続」ステップ3を実施する。すなわち、図4Cに示すように、ワイヤボンディング法で形成した第一ボンディングワイヤ240群はスロット214を通過して第一チップ220の第一ボンディングパッド224群を基板210の第一フィンガー216群に電気接続する。
次に、「ダイアタッチ拡散」ステップ4を実施する。すなわち、図4Dに示すように、第一チップ220に加熱加圧することにより、ダイアタッチ部材230は拡散し、第一チップ220はダイアタッチ凹部213の内により落ち込む。このステップ4における加熱温度と印加圧力はステップ2における操作温度と圧力より高くなる。第一チップ220がダイアタッチ凹部213に押圧及び貼着される時、温度の上昇によってダイアタッチ部材230に優れた流動性を与えることになるが、ダイアタッチ部材230の形状はダイアタッチ凹部213に制限されるため、ダイアタッチ部材230は拡散して第一チップ220の側面223群とダイアタッチ凹部213の周縁との間の間隙S(図2参照)に流れ込み、更に第一チップ220の側面223群の一部を被覆することとなる。なお、ダイアタッチ部材230は第一ボンディングワイヤ240群の形成後に拡張変形を起こし始めるので、たとえダイアタッチ部材230が第一ボンディングワイヤ240群へ流れ込んでもワイヤボンディング実行不可の問題にならないだけでなく、第一ボンディングワイヤ240群の固定にも役立つ。ステップ4において、ダイアタッチ部材230は更にスロット214の内に拡散すれば好ましく、第一ボンディングワイヤ240群の一端を被覆してもよく、ダイアタッチ部材230が硬化した後に第一ボンディングワイヤ240群の一端が固定封止されることにより、後続の封止過程における第一ボンディングワイヤ240群がモールド流れの衝撃を受けて断線することを防止する。第1実施形態において、ダイアタッチ部材230の硬化を「ダイアタッチ拡散」ステップ4と同時に又はその後に実施してもよいし、又は「封止体を形成する」ステップ5の過程において完成しても構わない。また、図2及び図3に示すように、より具体的に言えば、「ダイアタッチ拡散」ステップ4において、第一チップ220の不活性化層225はダイアタッチ凹部213の内に完全埋め込まれるため、不活性化層225の周辺縁部はダイアタッチ部材230に密封される。
【0024】
その後、「封止体を形成する」ステップ5を実施する。すなわち、図4Eに示すように、トランスファモールド(transfer mold)技術を用い封止体250を基板210の内部表面211上に形成し、更にスロット214に十分充填して第一チップ220と第一ボンディングワイヤ240群とを密封する。ダイアタッチ凹部213がダイアタッチ部材230の形状を制限することにより、ダイアタッチ部材230は基板210の周辺へ拡散しないので、封止体250に完全密封されることができる。
【0025】
最後に、「外接端子を設置する」ステップ6を実施する。すなわち、リフロー技術を用いて外接端子260群を外接パッド217群に設置すると、図2に示すようなウインドウ型BGAパッケージ200の構成になる。尚、他の実施形態において、ウインドウ型BGAパッケージ200の製造方法は更に1つの第二チップ(図示せず)の設置ステップを含み、第二チップは背中合わせに第一チップ220の第一背面222上に積層されてもよい。
【0026】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるウインドウ型BGAパッケージを図5の断面図を参照しながら説明する。第2実施形態のウインドウ型BGAパッケージの構成は第1実施形態と基本的に同じであるが、より多いチップを積層することができる。
図5に示すように、ウインドウ型BGAパッケージ300は、主要に1つの基板210、1つの第一チップ220、1つのダイアタッチ部材230、複数の第一ボンディングワイヤ240、1つの封止体250及び複数の外接端子260より構成されている。基板210は1つの内部表面211、1つの外部表面212、内部表面211に形成した1つのダイアタッチ凹部213及び外部表面212からダイアタッチ凹部213までを貫通する1つのスロット214を有する。基板210は1つの梯形ギャップ215を有してもよく、この梯形ギャップ215は外部表面212とスロット214の側辺とに形成される。第2実施形態において、梯形ギャップ215の両側にある外部表面212に複数の第一フィンガー216を形成してもよく、そして、ダイアタッチ凹部213の外部にある内部表面211にも複数の第二フィンガー319を形成してよい。基板210は多層印刷回路基板を用いることができ、それにより、第一フィンガー216群と第二フィンガー319群とを外部表面212の複数の外接パッド217に電気接続させることが可能となる。第一チップ220はダイアタッチ凹部213に照準を合わせて基板210の内部表面211上に設置される。第一チップ220は1つの第一主面221、1つの第一背面222及び第一主面221と第一背面222との間にある複数の側面223を有する。図5に示すように、ダイアタッチ部材230はダイアタッチ凹部213の内に形成されて第一チップ220の第一主面221を貼り付ける。ダイアタッチ部材230の形状はダイアタッチ凹部213に制限されるため、ダイアタッチ部材230は第一チップ220の側面223群とダイアタッチ凹部213の周縁213Aとの間の間隙に充填されるとともに、第一チップ220の側面223群までを被覆することにより、第一チップ220の一部はダイアタッチ凹部213の内に埋め込まれてパッケージ全体の厚みを薄くする。
【0027】
図5に示すように、第一チップ220は第一主面221に形成した複数の第一ボンディングパッド224を有し、この第一ボンディングパッド224群はスロット214の内に照準を合わせている。第一ボンディングワイヤ240群はスロット214を通過して第一チップ220の第一ボンディングパッド224群を基板210の第一フィンガー216群に電気接続する。第2実施形態において、ウインドウ型BGAパッケージ300は更に1つの第二チップ370を備え、この第二チップ370は1つの第二主面371及び第二主面371に相対する一つの第二背面372を有する。第二チップ370は背中合わせに第一チップ220の第一背面222上に設置され、即ち、第二チップ370の第二背面372は第一チップ220の第一背面222に貼り付けられ、第二主面371は上に向かっている。第二チップ370は更に第二主面371に形成した複数の第二ボンディングパッド374を有する。第2実施形態において、第二チップ370は実質的に第一チップ220と同じチップであり、例えば、チップサイズ、電気機能及びボンディングパッド配置は皆一致し、且つ第二ボンディングパッド374群は中央ボンディングパッドにもなるので、チップ種類が減少し、チップの製造と管理コストを下げることができる。また、複数の第二ボンディングワイヤ341を用い第二ボンディングパッド374群を基板210の第二フィンガー319群に電気接続することにより、第二チップ370と基板210との間を電気的に相互接続する。封止体250は基板210の内部表面211上に形成されかつスロット214に十分充填されて第一チップ220、第二チップ370、第一ボンディングワイヤ240群及び第二ボンディングワイヤ341群を密封する。外接端子260群は外部と接合するため基板210の外部表面212にある外接パッド217群に設置される。
【0028】
ダイアタッチ部材230の形状はダイアタッチ凹部213に制限されるため、ダイアタッチ部材230が伸びて第一チップ220の側面223群の一部までを被覆しても基板210の内部表面211の周辺へ流れ込むことがなく、第二フィンガー319群の汚染が避けられる。その結果、ウインドウ型BGAパッケージ300にとって、内部表面211にオーバーフロー誤差許容値を用意する必要がない故にパッケージ全体のサイズを縮小することが可能となる。以上述べたように、ウインドウ型BGAパッケージ300は、パッケージ全体の厚みを薄くするだけでなくダイアタッチ強度が増強されることでチップ剥離も避けられ、更にパッケージ全体のサイズを縮小することができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の保護範囲は特許申請範囲で限定されて、この保護範囲に基準して、本発明の精神と範囲内に触れるどんな変更や修正は本発明の保護範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】周知のウインドウ型BGAパッケージを示す断面図及びその一部を拡大した部分断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるウインドウ型BGAパッケージを示す断面図及びその一部を拡大した部分断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造方法を示すフローチャートである。
【図4A】本発明の第1実施例形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造過程を示す断面図である。
【図4B】本発明の第1実施例形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造過程を示す断面図である。
【図4C】本発明の第1実施例形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造過程を示す断面図である。
【図4D】本発明の第1実施例形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造過程を示す断面図である。
【図4E】本発明の第1実施例形態によるウインドウ型BGAパッケージの製造過程を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるウインドウ型BGAパッケージを示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
S:第一チップの側面とダイアタッチ凹部の周縁との間の間隙、D:ダイアタッチ凹部の深さ、T:ダイアタッチ部材と不活性化層との厚み合計、200:ウインドウ型BGAパッケージ、210:基板、211:内部表面、212:外部表面、213:ダイアタッチ凹部、213A:周縁、214:スロット、215:梯形ギャップ、216:第一フィンガー、217:外接パッド、218:はんだマスク層、220:第一チップ、221:第一主面、222:第一背面、223:側面、224:第一ボンディングパッド、225:不活性化層、230:ダイアタッチ部材、240:第一ボンディングワイヤ、250:封止体、260:外接端子、300:ウインドウ型BGAパッケージ、319:第二フィンガー、341:第二ボンディングワイヤ、370:第二チップ、371:第二主面、372:第二背面、374:第二ボンディングパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部表面、外部表面、前記内部表面に形成したダイアタッチ凹部及び前記外部表面から前記ダイアタッチ凹部までを貫通するスロットを有する基板と、
前記ダイアタッチ凹部に照準を合わせて前記基板の前記内部表面上に設置され、第一主面、第一背面及び前記第一主面と前記第一背面との間の複数の側面を有する第一チップと、
前記ダイアタッチ凹部の内に形成されて前記第一チップの前記第一主面を貼り付け、前記ダイアタッチ凹部により形状が制限されるので、前記第一チップの前記側面群と前記ダイアタッチ凹部の周縁との間の間隙に充填可能であり、且つ前記第一チップの前記側面群の一部までを被覆するダイアタッチ部材と、
前記スロットを通過して前記第一チップと前記基板とを電気接続する複数の第一ボンディングワイヤと、
前記基板の前記内部表面に形成されるだけでなく、前記スロットに十分に充填されて前記第一チップと前記第一ボンディングワイヤ群とを密封する封止体と、
前記基板の前記外部表面に設置される複数の外接端子と、
を備えることを特徴とするウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項2】
前記第一チップは更に前記第一主面を被覆する不活性化層を有し、前記不活性化層は前記ダイアタッチ凹部の内に完全に埋め込まれ、且つ前記ダイアタッチ凹部の周縁は前記第一チップの外に位置するとともに、前記第一チップの前記側面群に緊密接近することにより、前記不活性化層の周辺縁部は前記ダイアタッチ部材に密封されることを特徴とする請求項1に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項3】
前記ダイアタッチ凹部の深さが前記ダイアタッチ部材と前記不活性化層との厚み合計より大きくなって前記第一チップの厚みより小さくなることにより、前記第一チップの一部はダイアタッチ凹部の内に埋め込まれることを特徴とする請求項2に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項4】
前記ダイアタッチ部材は更に前記スロットの内に拡散することを特徴とする請求項1に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項5】
前記ダイアタッチ部材は更に前記第一ボンディングワイヤ群を前記第一チップの一端に密封することを特徴とする請求項4に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項6】
前記基板は梯形ギャップを有し、前記梯形ギャップは前記外部表面と前記スロットとの側辺に形成されることを特徴とする請求項1に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項7】
前記第一チップは前記第一主面に形成した第一ボンディングパッド群を有し、前記第一ボンディングパッド群は前記スロットの内に照準を合わせて前記第一ボンディングワイヤ群と接合するのに用いられ、
背中合わせに前記第一チップの前記第一背面上に設置されて複数の第二ボンディングパッドを有する第二チップと、
前記第二ボンディングパッド群を前記基板に電気接続する第二ボンディングワイヤと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のウインドウ型BGAパッケージ。
【請求項8】
基板を提供し、前記基板は内部表面、外部表面、前記内部表面に形成したダイアタッチ凹部及び前記外部表面から前記ダイアタッチ凹部までを貫通するスロットを有し、且つ前記ダイアタッチ凹部の内にダイアタッチ部材を形成するステップと、
第一チップを設置し、前記第一チップは第一主面、第一背面及び前記第一主面と前記第一背面との間の複数の側面を有し、前記ダイアタッチ凹部に照準を合わせて前記ダイアタッチ部材で前記第一チップの前記第一主面を前記基板の前記内部表面に仮に貼り付けるステップと、
ワイヤボンディングを行って複数の第一ボンディングワイヤを形成し、前記第一ボンディングワイヤ群を前記スロットを通過させて前記第一チップを前記基板に電気接続するステップと、
前記第一チップに圧力を印加し、前記ダイアタッチ部材の形状をダイアタッチ凹部により制限することにより、前記ダイアタッチ部材が拡散して前記第一チップの側面群とダイアタッチ凹部の周縁との間の間隙に流れ込み、更に前記第一チップの前記側面群の一部までを被覆するダイアタッチ拡散ステップと、
封止体を形成し、前記封止体は前記基板の前記内部表面に形成されかつ前記スロットに十分に充填されて前記第一チップと前記第一ボンディングワイヤ群とを密封するステップと、
複数の外接端子を設置し、前記外接端子群は前記基板の前記外部表面に設置されるステップと、
を含むことを特徴とするウインドウ型BGAパッケージの製造方法。
【請求項9】
前記第一チップは更に前記第一主面を被覆する不活性化層を有し、前記ダイアタッチ拡散ステップにおいて、前記不活性化層は前記ダイアタッチ凹部の内に完全に埋め込まれ、且つ前記ダイアタッチ凹部の周縁は前記第一チップの外に位置するが、前記第一チップの前記側面群に緊密接近することにより、前記不活性化層の周辺縁部は前記ダイアタッチ部材に密封されることを特徴とする請求項8に記載のウインドウ型BGAパッケージの製造方法。
【請求項10】
前記ダイアタッチ拡散ステップにおいて、前記ダイアタッチ部材は更に前記スロットの内に拡散することを特徴とする請求項8に記載のウインドウ型BGAパッケージの製造方法。
【請求項11】
前記ダイアタッチ部材は更に前記第一ボンディングワイヤ群を前記第一チップの一端に密封することを特徴とする請求項8に記載のウインドウ型BGAパッケージの製造方法。
【請求項12】
前記第一チップは前記第一主面に形成した第一ボンディングパッド群を有し、前記第一ボンディングパッド群は前記スロットの内に照準を合わせて前記第一ボンディングワイヤ群と接合するのに用いられ、
更に、第二チップを設置し、前記第二チップは背中合わせに前記第一チップの前記第一背面上に設置されて複数の第二ボンディングパッドを有し、且つ複数の第二ボンディングワイヤを形成し、前記第二ボンディングワイヤ群は前記第二ボンディングパッド群を前記基板に電気接続するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載のウインドウ型BGAパッケージの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図5】
image rotate