説明

ウェットティシュー収納容器及びウェットティシュー収納容器の梱包構造

【課題】歪みが少なく、気密性の高いウェットティシュー収納容器を提供する。
【解決手段】ウェットティシューPを収納するウェットティシュー収納容器100であって、上部にウェットティシューの取出口が形成された容器本体1と、容器本体の底面開口11を閉塞する底蓋2と、容器本体に取り付けられ取出口12を閉塞する上蓋3と、容器本体の操作部取付部18に取り付けられた操作部4と、取出口を封止してウェットティシューの収納空間部5を気密状態とする気密部6とを備え、気密部は、容器本体に設けられた本体側気密部61と、上蓋に設けられた上蓋側気密部62とを備え、本体側気密部と上蓋側気密部が係合することにより収納空間部を気密状態とし、容器本体の操作部取付部以外の部分及び上蓋は、外形が曲面状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティシューを収納するウェットティシュー収納容器及びその梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、家屋の床やトイレ、或いは人体などを拭くためのウェットティシューを収納するウェットティシュー収納容器が知られている。
ウェットティシュー収納容器は、一般的に外形が略直方体状に形成されており、内側の収納空間部に収納されたウェットティシューを天面部に形成された取出口から引き出して使用するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、ウェットティシュー収納容器に収納された状態でウェットティシューからの水分の蒸発を防止する必要があるため、収納空間部の気密性を確保するようなっている。
【特許文献1】特開2003−170949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ウェットティシュー収納容器として、例えば、所定の金型に樹脂等の材料を流入して、射出成形により製造するものが知られているが、上記特許文献1等のように、ウェットティシュー収納容器の外形が略直方体状であると、金型内で容器の角になる部位で樹脂の流れに乱れが生じ、結果として樹脂の収縮に差が生じることにより成形体に歪みが生じてしまうといった問題がある。この結果、ウェットティシュー収納容器の気密性が低下してしまう虞がある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、歪みが少なく、気密性の高いウェットティシュー収納容器及びウェットティシュー収納容器の梱包構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
ウェットティシューを収納するウェットティシュー収納容器であって、
内側にウェットティシューが収納される収納空間部を構成するとともに、上部に前記ウェットティシューの取出口が形成された容器本体と、
前記容器本体の底面開口を閉塞して、前記容器本体とともに収納空間部を構成する底蓋と、
前記容器本体に取り付けられ、前記取出口を閉塞する上蓋と、
前記容器本体の取付部に取り付けられ、前記上蓋による前記取出口の閉塞を解除して当該取出口を露出させるための操作を行う操作部と、
前記取出口を封止して前記収納空間部を気密状態とする気密部と、を備え、
前記気密部は、前記容器本体に設けられた本体側気密部と、前記上蓋に設けられた上蓋側気密部とを備え、前記本体側気密部と前記上蓋側気密部が係合することにより前記収納空間部を気密状態とし、
前記容器本体の前記取付部以外の部分及び前記上蓋は、外形が曲面状に形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウェットティシュー収納容器において、
前記上蓋は、前記上蓋側気密部よりも内側であって、前記取出口に対向する部分が最も高くなるような形状に形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のウェットティシュー収納容器において、
前記容器本体に対して前記上蓋を回動自在とする回動軸部を備え、
前記容器本体は、前記取出口を具備する上面開口部を備え、
前記本体側気密部は、前記取出口の延在方向に対して略垂直に設けられ、
前記上蓋側気密部は、前記本体側気密部と係合した状態で前記取出口の延在方向に対して略垂直となるように前記上蓋に設けられ、
前記回動軸部は、前記容器本体の前記上面開口部の外縁よりも内側であって、前記取出口と略等しい高さに設けられていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載のウェットティシュー収納容器を梱包部材により梱包する梱包構造であって、
前記梱包部材は、少なくとも前記ウェットティシュー収納容器と等しい高さを有し、積み重ねられるウェットティシュー収納容器を支持する支持部を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、容器本体の取付部以外の部分及び上蓋は、外形が曲面状に形成されているので、当該容器本体及び上蓋の射出成形に際して、金型内で樹脂の流れに偏りが生じて成形体に歪みが発生してしまうといった問題を生じさせることなく適正に製造することができる。これにより、容器本体に設けられた本体側気密部、及び上蓋に設けられた上蓋側気密部の配置精度を高めることができ、当該本体側気密部及び上蓋側気密部を係合することにより気密状態とされる収納空間部の気密性を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、上蓋は、上蓋側気密部よりも内側であって、取出口に対向する部分が最も高くなるような形状に形成されているので、上蓋の内側に収納空間部から引き出されて取出口に係止されるウェットティシューを気密状態で配することができる。即ち、当該上蓋を閉じてもウェットティシューが上蓋側気密部と本体側気密部の間に挟まったり、はみ出すことなく、当該ウェットティシューを気密空間内に配することができる。また、取出口に係止されるウェットティシューは、上蓋の下面や容器本体の上面により押圧されることがなくなり、当該ウェットティシューを使用の際に容易に取り出すことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、回動軸部は、容器本体の取出口と略等しい高さに設けられているので、上蓋を閉状態となるように回動させることで、略水平となる位置まで回動させることができ、これにより、取出口の延在方向に対して略垂直となるように配置された本体側気密部と上蓋側気密部を適正に係合させて収納空間部の気密性をより高めることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、梱包部材には、積み重ねられるウェットティシュー収納容器を支持する支持部が設けられているので、当該支持部によりウェットティシュー収納容器を支持することができ、上端部が曲面形状の当該ウェットティシュー収納容器であっても所定数積み重ねて配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した好適な一実施形態として例示するウェットティシュー収納容器100を示す斜視図であり、図2は、ウェットティシュー収納容器100を示す正面図である。また、図3及び図4は、ウェットティシュー収納容器100を示す平面図であり、図4にあっては、上蓋3を破線で表し、当該上蓋3を透過した状態を図示している。また、図5は、図3のV−V線におけるウェットティシュー収納容器100の断面図であり、収納空間部5からウェットティシューPが一枚引き出された状態を表している。
なお、以下の説明では、ウェットティシュー収納容器100の前後方向をX軸方向として、操作部4が設けられている側を手前側とし、操作部4と反対側を後側とする。さらに、左右方向(幅方向)をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0014】
本実施形態のウェットティシュー収納容器100は、例えば、図1〜図5に示すように、平面視にて略楕円形をなし全体としてドーム状に形成され、具体的には、内側にウェットティシューP(図5参照)を収納する容器本体1と、この容器本体1の底面開口11(図5参照)を塞ぐ底蓋2と、容器本体1の上部に設けられたウェットティシューPの取出口12(図5参照)を開閉するように当該容器本体1に回動自在に取り付けられた上蓋3と、取出口12を開状態とするために操作される操作部4と、ウェットティシューPが収納される収納空間部5(図5参照)を気密状態とする気密部6(図5参照)等を備えて構成されている。
【0015】
容器本体1は、例えば、射出成形により製造され、上下両側に開口を有し、周面が曲面形状に形成された部材であり、底面開口11を塞ぐように底蓋2が取り付けられることにより、この底蓋2とともにウェットティシューPを収納する収納空間部5を構成するものである。具体的には、容器本体1は、例えば、図2〜図5に示すように、下端部に断面略楕円形状の底面開口11を有し、上部側ほど小径となるように湾曲して形成された周面部13と、この周面部13の上端に連続して形成され、収納空間部5に収納されたウェットティシューPを取り出すための取出口12を具備する上面開口部14等を備えている。
【0016】
周面部13の下端部と底蓋2の上端部が係合することにより、底面開口11を塞ぐことができる一方で、当該係合を解除することにより、当該容器本体1の内側を開放(露出)させるようになっている。従って、収納空間部5にウェットティシューPを収納する場合には、底蓋2を周面部13から取り外して当該容器本体1の内側を開放してウェットティシューPを収納し、その後、周面部13に底蓋2を取り付けることにより、底面開口11を塞ぐようになっている。
【0017】
また、収納空間部5には、例えば、複数枚のウェットティシューP、…が積層された状態で収納されるようになっており、継続して当該収納容器から取り出せるように交互に折り重ねられている。即ち、ウェットティシューPを外へ引き出したときに、次のウェットティシューPがその上端が取出口12よりも突出する位置まで収納空間部5から引き出されるようになっている(図5参照)。
なお、図5にあっては、ウェットティシューPが積層された状態を模式的に表している。
【0018】
上面開口部14は、例えば、平面視にて略楕円形状をなし、その略中央部に水平方向に延在する取出口12が形成され、取出口12よりもX軸方向後側に上蓋3を回動自在に取り付けるためのヒンジ取付部15が設けられている。
【0019】
取出口12は、例えば、図4及び図5に示すように、上面開口部14の略中央部に取り付けられた気密部6を構成する環状の本体側気密部61の内縁部によって構成されている。
本体側気密部61は、例えば、図5に示すように、取出口12の延在方向(水平方向)に対して略垂直となるように設けられ、径方向外側に突出した凸部が上面開口部14の内縁部に沿って形成された凹部に嵌め合わされることにより、上面開口部14に取り付けられている。
なお、上蓋3に設けられ、本体側気密部61に係合する上蓋側気密部62については後述する。
【0020】
ヒンジ取付部15は、例えば、上蓋3をY軸方向の回動軸311(後述)に沿って回動自在に取り付けるためのものであり、Y軸方向に沿って形成された凹型の軸受部151(図3及び図4参照)と、上蓋3を開く方向に付勢するねじりコイルバネ等の付勢部材152等を備えている。
【0021】
軸受部151は、例えば、図3〜図5に示すように、2つの回動軸311、311に対応させてY軸方向に並んで設けられ、上面開口部14の外縁よりも内側であって、取出口12と略等しい高さとなっている。ここで、軸受部151は、回動軸311とともに回動軸部を構成している。
これにより、上蓋3を閉状態となるように回動させることで、略水平となる位置まで回動させることができる。従って、取出口12の延在方向に対して略垂直となるように配置された本体側気密部61と上蓋側気密部62を適正に係合させて収納空間部5の気密性をより高めることができる。
【0022】
付勢部材152は、例えば、ねじりコイルバネに限られるものではなく、上蓋3を開く方向に付勢可能なものであれば如何なるものであっても良く、例えば、板バネ等を適用することができる。
これにより、操作部4の操作に基づいて回動規制部1による上蓋3の回動の規制が解除された状態では、上蓋3が回動して取出口12を露出させるようになっている。
【0023】
ここで、上蓋3について説明する。
上蓋3は、例えば、射出成形により製造され、取出口12を閉塞するように容器本体1に取り付けられた状態で容器本体1の周面部13とともにドーム状をなす部材である。具体的には、上蓋3は、例えば、容器本体1のヒンジ取付部15に取り付けられる回動軸311を有する軸部分31と、この軸部分31から前方及び側方に延出された曲面形状の天面部32と、この天面部32の前端部から略真下に延出された前端面部33等を備えている。
【0024】
回動軸311(回動軸部)は、例えば、図3及び図4に示すように、軸部分31のY軸方向両側の端部から外方に突出して形成されている。
【0025】
天面部32は、例えば、容器本体1の周面部13の曲率に合わせて所定の曲率を有し、上部側ほど小径となるように湾曲して形成されている。即ち、天面部32は、例えば、その略中心部分が最も高くなるような形状となっている。
また、天面部32の内面(下面)からは、本体側気密部61と係合する上蓋側気密部62が突出され、その内側にウェットティシューPを下側(容器本体1側)に押さえる押さえ部321が形成されている。
【0026】
上蓋側気密部62は、例えば、本体側気密部61先端の内側及び外側に接触するように環状部が2重に形成され、上蓋を手前側に回動させることで本体側気密部61と係合するようになっている。この状態で、上蓋側気密部62は取出口12の延在方向に対して略垂直に延在するようになっている。
【0027】
押さえ部321は、例えば、天面部32の内面から容器本体1側(下側)に突出して環状に形成され、当該上蓋3を閉じた状態で取出口12の内側に配されるようになっている。
これにより、取出口12に係止されるウェットティシューPを当該取出口12の内側に適正に押し込むことができ、上蓋3と容器本体1との間にウェットティシューPが挟まった状態となることをより適正に防止することができる。
【0028】
また、押さえ部321の突出長は、例えば、図5に示すように、上蓋側気密部62の先端部よりも容器本体1側に突出される程度とされている。
これにより、上蓋3を閉じる際に、押さえ部321の方が上蓋側気密部62よりも先に取出口12に係止されるウェットティシューPに接触して、当該ウェットティシューPを押さえ部321により容器本体1側に押さえることができる。従って、上蓋3を閉じてもウェットティシューPが上蓋側気密部62と本体側気密部61の間に挟まったり、はみ出すことなく、本体側気密部61と上蓋側気密部62を適正に係合させて収納空間部5内を適正に気密状態とすることができる。
なお、押さえ部321の突出長は、例えば、当該押さえ部321の先端部が取出口12と同じ高さか、或いは、それよりも上方に配置される程度とされるのが好ましい。
【0029】
従って、天面部32は、例えば、上蓋側気密部62及び押さえ部321よりも内側であって取出口12に対向する部分が最も高くなっている。
これにより、上蓋3の内側に収納空間部5から引き出されて取出口12に係止されるウェットティシューPを上蓋側気密部62の内側に気密状態で配することができる。即ち、当該上蓋3を閉じてもウェットティシューPが上蓋側気密部62と本体側気密部61の間に挟まったり、はみ出すことなく、当該ウェットティシューPを気密空間内に配することができる。
また、取出口12に係止されるウェットティシューPは、上蓋3の下面や容器本体1の上面開口部14等により押圧されることがなくなり、当該ウェットティシューPを使用の際に容易に取り出すことができる。
【0030】
天面部32のX軸方向手前側の部分は、例えば、後側に食い込むように平面視曲線状に形成され、その下面に前端面部33が形成されている。
【0031】
前端面部33は、例えば、天面部32の手前側の部分の曲線形状に沿うように湾曲して形成されている。
前端面部33の下端部には、例えば、X軸方向後側に向けて所定の長さ突出された上蓋側凸部331が形成されている。
一方、上面開口部14の取出口12よりも前側であって、前端面部33に対向する対向面部16には、X軸方向前側に向けて所定の長さ突出された本体側凸部161が形成されている。
そして、上蓋3を取出口12を閉塞するようにX軸方向前側に回動させると、当該上蓋3の上蓋側凸部331が上面開口部14の対向面部16に形成された本体側凸部161に係止した状態となって、上蓋3の取出口12を開放するようなX軸方向後側に対する回動が規制される(図5参照)。
【0032】
また、対向面部16の下側には、例えば、上摘み部42の接触部423が係合する被係合部17が形成されている。
被係合部17は、例えば、対向面部16の表面からX軸方向の後側に所定の深さ座刳られ、且つ、Y軸方向に沿って延在するように溝状に形成されている。そして、被係合部17に接触部423が係合することにより、当該上摘み部42の回動軸部422(後述)を中心とする回動を規制するようになっている。
【0033】
また、周面部13のX軸方向手前側には、例えば、操作部4を取り付けるための操作部取付部18が設けられている。
【0034】
ここで、操作部4について詳細に説明する。
操作部4は、例えば、操作部取付部18の所定位置に取付固定された下摘み部41と、この下摘み部41の上側に設けられた上摘み部42等を備えて構成されている。
【0035】
下摘み部41は、例えば、X軸方向の断面略L字状に形成され、先端部がX軸方向前側に向けて突出するように配設されている(図5参照)。また、下摘み部41の先端部は、例えば、ウェットティシュー収納容器100の周面部13の曲率に合わせるように所定の曲率をもって湾曲して形成されている。
【0036】
上摘み部42は、例えば、取出口12を閉塞するように上蓋3を閉じた状態で、ユーザにより操作される操作レバー部421がX軸方向前側であって斜め上向きに突出するように配設されている。また、上摘み部42は、例えば、容器本体1の操作部取付部18に回動自在に取り付けられ、容器本体1に対する回動の中心軸を構成する回動軸部422と、上蓋3の前端面部33の下端部(一端部)に接触して当該上蓋3を跳ね上げる接触部423とを有している。
即ち、上摘み部42は、例えば、操作レバー部421と、この操作レバー部421の後側の端部に連続して設けられ、Y軸方向側の両端面に回動軸部422が形成された中央軸部424と、この中央軸部424の後側の下端部に連続して設けられ、中央軸部424よりも厚さが薄く形成された接触部423等を備えている。
【0037】
中央軸部424は、例えば、そのY軸方向中央部がそのY軸方向両端側よりもX軸方向後側に突出するように湾曲して形成され(図4参照)、且つ、当該中央軸部424のY軸方向両端側よりもX軸方向後側ほどより肉厚となるような形状に形成されている(図5等参照)。
【0038】
接触部423は、例えば、図3に示すように、Y軸方向に並んで所定間隔を空けて2つ設けられている。
【0039】
また、上摘み部42の操作レバー部421の先端部は、例えば、ウェットティシュー収納容器100の周面部13の曲率に合わせるように所定の曲率をもって湾曲して形成されている。
【0040】
操作部取付部18は、例えば、周面部のX軸方向手前側におけるY軸方向略中央部から上端部にかけて後側に所定の深さ切り欠かれてなり、上端部は上面開口部に連続するような形状となっている。
即ち、操作部取付部18は、例えば、容器本体1の取出口12よりも前方の左右両側に形成され、上摘み部42が取り付けられる左右の壁部181、181と、左右の壁部181、181の各々の内面から内側に突出するように形成され、下摘み部41が取り付けられる溝部182等を備えている。
【0041】
左右の壁部181、181の各々は、例えば、収納空間部5の外側となる位置に形成され、Y軸方向に沿うように略垂直に、且つ、X軸方向に沿って延在するように起立して形成されている。また、左右の壁部181の各々には、例えば、上摘み部42の回動軸部422が取り付けられる取付穴部183が設けられ、取付穴部183の位置規制凸部184(後述)の下側に、当該壁部181の表面から所定の深さ座刳られてなる下側穴部185が形成されている(図5〜図7参照)。
【0042】
取付穴部183は、例えば、壁部181からY軸方向に所定の深さ座刳られてなり、X軸方向に沿って延在するように長円形状に形成されている。
取付穴部183のX軸方向の長さは、例えば、上摘み部42をX軸方向にスライドさせて、操作部4による取出口12を開状態とするための操作をロックするロック位置とアンロックするアンロック位置に配置することができる程度となっている。
ここで、上摘み部42のロック位置とは、接触部423が被係合部17に係合されることで回動軸部422を中心とする上摘み部42の回動を規制する位置であり、アンロック位置とは、接触部423と被係合部17の係合が解除されて上蓋3を跳ね上げ可能となるように前端面部33の下端部の下側に接触部423が配置された位置(接触位置)のことである。即ち、上摘み部42がアンロック位置に配された状態では(図5参照)、取付穴部183の内周面の前側部分に上摘み部42の回動軸部422の外面が接触した状態となる一方で、上摘み部42がロック位置に配された状態では(図7参照)、取付穴部183の内周面の後側部分に上摘み部42の回動軸部422の外面が接触した状態となる。
【0043】
また、取付穴部183の内周面のうち、X軸方向の略中央となる下側部分には、例えば、位置規制凸部184が上向きに突設されている。
位置規制凸部184は、例えば、取付穴部183の内周面の前側部分或いは後側部分に接触する位置にスライド移動した回動軸部422のX軸方向の位置を規制するものである。即ち、上摘み部42をロック位置とアンロック位置との間で移動する場合には、回動軸部422が位置規制凸部184を乗り越えるようにしてX軸方向に移動することとなり、上摘み部42がロック位置若しくはアンロック位置に配された状態では、位置規制凸部184により回動軸部422が取付穴部183内にてX軸方向に自由に移動することが規制されるようになっている。
【0044】
下側穴部185は、例えば、位置規制凸部184を挟むように取付穴部183に対向する位置に設けられている。これにより、取付穴部183内を回動軸部422がX軸方向に移動する際に、回動軸部422により位置規制凸部184が下側穴部185側に押し込まれて取付穴部183が弾性変形することとなる。
【0045】
次に、取出口12を開放状態とするための操作部4の操作及び当該操作のロック機構について図5〜図7を参照して説明する。
ここで、図6及び図7は、図5の領域Aの要部拡大断面図であり、図6は、取出口12を開放状態とするために上摘み部42が操作された状態を表し、図7は、上摘み部42がロック位置に配された状態を表している。
【0046】
先ず、上蓋3が閉じられた状態から取出口12を開放状態とする場合、上摘み部42を回動軸部422が取付穴部183に沿ってスライドするように引き出してアンロック位置に配設する(図5参照)。このとき、回動軸部422がX軸方向前側に移動して位置規制凸部184を乗り越える際には、位置規制凸部184の下側に下側穴部185が設けられているため、取付穴部183が弾性変形することとなり、上摘み部42をスムーズに移動させることができる。
これにより、上摘み部42は、接触部423が上蓋3の前端面部33の下端部の下側となる接触位置、即ち、アンロック位置に配置される。
【0047】
この状態で、上摘み部42の操作レバー部421が下側に移動するように操作されると、上摘み部42は回動軸部422を中心として接触部423が上側に移動するように回動して、当該接触部423が前端面部33の下端部に接触する。このとき、前端面部33の下端部に回動規制部の規制力より大きな力が加わることで上蓋3を跳ね上げて(図6参照)、これにより、付勢部材152により付勢される上蓋3は、X軸方向の後側に回動して取出口12を開放状態とするようになっている。
【0048】
次に、上摘み部42をロック位置に配設する場合について説明する。
例えば、アンロック位置に配設された上摘み部42をロック位置に移動させる場合、当該上摘み部42を回動軸部422が取付穴部183に沿ってスライドするように押し込む。このとき、回動軸部422がX軸方向後側に移動する際には、アンロック位置に配設する場合と同様に、下側穴部185により取付穴部183が弾性変形することで回動軸部422が位置規制凸部184を乗り越えて上摘み部42をスムーズに移動させることができる。
そして、X軸方向後側に移動する接触部423は、被係合部17に係合してY軸方向を軸心とする回動が規制された状態となり、当該接触部423を前端面部33の下端部に接触不可能な接触不可位置、即ち、ロック位置に配置される。
【0049】
次に、ウェットティシュー収納容器100の梱包部材200による梱包構造について図8及び図9について説明する。
図8は、ウェットティシュー収納容器100の梱包状態を示す斜視図である。また、図9は、ウェットティシュー収納容器100を積み重ねた状態を模式的に示す側面図である。
【0050】
先ず、梱包部材200について説明する。
梱包部材200は、例えば、図8及び図9に示すように、操作部4を前面開口部201から露出させるようにしてウェットティシュー収納容器100を収納するものである。また、梱包部材200は、例えば、ボール紙等のシート状材を折り曲げて所定位置をノリやテープ等により貼着することにより形成されるものであり、底面部202と、底面部202の一部に連続して形成され、ウェットティシュー収納容器100の側方を取り囲むように配設される側面部203と、側面部203の上端の一部に連続して形成され、ウェットティシュー収納容器100の天面側に配設される上面部204等を備えている。
【0051】
底面部202は、例えば、ウェットティシュー収納容器100の底蓋2の形状に合わせて形成されている。
【0052】
側面部203は、例えば、底面部202に対して略垂直に形成され、前面開口部201を形成する開口部形成面部2031と、開口部形成面部2031に連続して形成され、積み重ねられるウェットティシュー収納容器100を支持する支持面部2032等を備えている。
【0053】
開口部形成面部2031は、例えば、X軸方向手前側ほど低い位置となるように上端部から斜め下向きに切り欠かれ、開口端部側に凸部及び凹部が交互に連続するような形状に形成されている。また、開口部形成面部2031の凸部及び凹部の先端部には、例えば、アール(R)が付けられている。
なお、開口部形成面部2031の下端には、例えば、底蓋2の着脱動作の際に把持され、当該底蓋に2つ設けられた把持部21が配置される把持部配置部2033が形成されている。
【0054】
支持面部2032は、例えば、ウェットティシュー収納容器100よりもわずかに高く、且つ、周方向に亘って略等しい高さとなるように形成されている。
【0055】
上面部204は、例えば、天面部の一部を被覆するように配設され、当該上面部204のX軸方向手前側の端部が前面開口部201を構成している。即ち、上面部204のX軸方向手前側の端部から後側に切り欠かれて、開口端部側に凸部及び凹部が交互に連続するような形状に形成されている。
なお、開口部形成面部2031の凸部及び凹部の先端部には、例えば、アール(R)が付けられている。
【0056】
また、上面部204の形状や寸法は、例えば、操作部や上蓋等の寸法に応じて適宜任意に変更することができ、具体的には、積み重ねられるウェットティシュー収納容器100の底蓋の1/3以上の面積を有するような形状に形成したり、上面部204のX軸方向手前側の部分が切り欠かれても少なくとも上蓋3の頂点を被覆するような形状に形成することができる。
【0057】
これにより、例えば、図9に示すように、梱包部材200によりウェットティシュー収納容器100を梱包した状態で、側面部203の支持面部2032により積み重ねられるウェットティシュー収納容器100を支持することができるので、上端部が曲面形状の当該ウェットティシュー収納容器100であっても所定数(例えば、3個)積み重ねて配置することができる。
【0058】
なお、図9にあっては、ウェットティシュー収納容器100が3つ積み重ねられたものを例示して説明したが、積み重ねられる個数はこれに限られるものではなく、2つ以上であれば如何なる個数であっても良い。
【0059】
以上のように、本実施形態のウェットティシュー収納容器100によれば、容器本体1の操作部取付部18以外の部分及び上蓋3は、外形が曲面状に形成されているので、当該容器本体1及び上蓋3の射出成形に際して、金型内で樹脂の流れに偏りが生じて成形体に歪みが発生してしまうといった問題を生じさせることなく適正に製造することができる。これにより、容器本体1に設けられた本体側気密部61、及び上蓋3に設けられた上蓋側気密部62の配置精度を高めることができ、当該本体側気密部61及び上蓋側気密部62を係合することにより気密状態とされる収納空間部5の気密性を高めることができる。
【0060】
また、上蓋3には、容器本体1側に突出した押さえ部321が設けられているので、取出口12を閉塞するように上蓋3を回動させた際に、取出口12に係止されたウェットティシューPを押さえ部321により容器本体1側に押さえることができ、上蓋3と容器本体1との間にウェットティシューPが挟まった状態となることを防止することができる。この結果、上蓋3の閉動作を適正に行うことができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、ウェットティシューPを収納するウェットティシュー収納容器100を例示したが、これに限られるものではなく、ウェットシート等の湿性の家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器であっても良い。
【0062】
また、上記実施形態にあっては、本体側気密部61と容器本体1を別部材で構成するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、本体側気密部61と容器本体1を一部材で構成するようにしても良い。
【0063】
加えて、上記実施形態にあっては、ヒンジ取付部15の軸受部151及び回動軸311と取出口12の高さを略等しくなるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、軸受部151及び回動軸311と取出口12の高さが5mm程度であればずれていても構わない。
なお、上蓋3を閉状態となるように回動させた状態で、本体側気密部61と上蓋側気密部62の係合を適正に行うことができるのであれば、本体側気密部61と上蓋側気密部62の延在方向は、上記実施形態に例示されたものに限られるものではない。即ち、軸受部151及び回動軸311と取出口12の高さがずれたように配置された構成であっても、当該高低差に応じて上蓋3の閉状態における本体側気密部61と上蓋側気密部62の延在方向を調整することにより、上蓋3を閉状態となるように回動させた状態での本体側気密部61と上蓋側気密部62の係合状態を適正なものとすることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、押さえ部321が環状に形成されるようにしたが、押さえ部321の形状はこれに限られるものではなく、例えば、押さえ部321はウェットティシューPを容器本体1側に押さえることが可能であれば如何なる形状であっても良い。
さらに、押さえ部321として、上蓋側気密部62の先端部よりも容器本体1側に突出された形状のものを例示したが、例えば、押さえ部321の形状はこれに限られるものではない。
加えて、押さえ部321は取出口12の内側に配置されるようにしたが、押さえ部321の配置はこれに限られるものではなく、例えば、上蓋3と容器本体1との間にウェットティシューPが挟まった状態となること防止することができる位置であれば如何なる位置であっても良い。
【0065】
また、上記実施形態にあっては、梱包部材200の支持面部2032がウェットティシュー収納容器100よりも高い高さを有するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、少なくともウェットティシュー収納容器100と等しい高さを有していれば良い。
さらに、梱包部材200として、底面部202及び上面部204を具備するものを例示したが、底面部202及び上面部204を具備するか否かは適宜変更することができる。即ち、底面部202を備えなくとも、ウェットティシュー収納容器100の底蓋2の底面を支持面部2032上に載置することができ、また、上面部を備えなくとも、支持面部2032によりウェットティシュー収納容器100を支持することができるからである。
【0066】
加えて、ウェットティシュー収納容器100や梱包部材200の構成や各部の形状等は、上記実施形態に例示したものは一例であり、これらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明を適用した好適な一実施形態として例示するウェットティシュー収納容器を示す斜視図である。
【図2】図1のウェットティシュー収納容器を示す正面図である。
【図3】図1のウェットティシュー収納容器を示す平面図である。
【図4】図1のウェットティシュー収納容器を示す平面図である。
【図5】図3のV−V線におけるウェットティシュー収納容器の断面図である。
【図6】図5の領域Aの要部拡大断面図である。
【図7】図5の領域Aの要部拡大断面図である。
【図8】図1のウェットティシュー収納容器の梱包状態を示す斜視図である。
【図9】図1のウェットティシュー収納容器を積み重ねた状態を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0068】
100 ウェットティシュー収納容器(家庭用薄葉紙収納容器)
1 容器本体
12 取出口
13 周面部
14 上面開口部
15 ヒンジ取付部
151 軸受部(回動軸部)
18 操作部取付部(取付部)
2 底蓋
3 上蓋(蓋体)
311 回動軸(回動軸部)
4 操作部
5 収納空間部
6 気密部
61 本体側気密部
62 上蓋側気密部(蓋体側気密部)
200 梱包部材
2032 支持面部(支持部)
P ウェットティシュー(家庭用薄葉紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェットティシューを収納するウェットティシュー収納容器であって、
内側にウェットティシューが収納される収納空間部を構成するとともに、上部に前記ウェットティシューの取出口が形成された容器本体と、
前記容器本体の底面開口を閉塞して、前記容器本体とともに収納空間部を構成する底蓋と、
前記容器本体に取り付けられ、前記取出口を閉塞する上蓋と、
前記容器本体の取付部に取り付けられ、前記上蓋による前記取出口の閉塞を解除して当該取出口を露出させるための操作を行う操作部と、
前記取出口を封止して前記収納空間部を気密状態とする気密部と、を備え、
前記気密部は、前記容器本体に設けられた本体側気密部と、前記上蓋に設けられた上蓋側気密部とを備え、前記本体側気密部と前記上蓋側気密部が係合することにより前記収納空間部を気密状態とし、
前記容器本体の前記取付部以外の部分及び前記上蓋は、外形が曲面状に形成されていることを特徴とするウェットティシュー収納容器。
【請求項2】
前記上蓋は、前記上蓋側気密部よりも内側であって、前記取出口に対向する部分が最も高くなるような形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェットティシュー収納容器。
【請求項3】
前記容器本体に対して前記上蓋を回動自在とする回動軸部を備え、
前記容器本体は、前記取出口を具備する上面開口部を備え、
前記本体側気密部は、前記取出口の延在方向に対して略垂直に設けられ、
前記上蓋側気密部は、前記本体側気密部と係合した状態で前記取出口の延在方向に対して略垂直となるように前記上蓋に設けられ、
前記回動軸部は、前記容器本体の前記上面開口部の外縁よりも内側であって、前記取出口と略等しい高さに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェットティシュー収納容器。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のウェットティシュー収納容器を梱包部材により梱包する梱包構造であって、
前記梱包部材は、少なくとも前記ウェットティシュー収納容器と等しい高さを有し、積み重ねられるウェットティシュー収納容器を支持する支持部を備えることを特徴とするウェットティシュー収納容器の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−137677(P2008−137677A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323916(P2006−323916)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】