説明

ウェルドラインの定量化測定方法及びその測定装置

【課題】本発明は、ウェルドラインの外観評価を数値で管理し、一定の基準で外観評価を行うこと、サンプル表面の複数個所を同時に測定して変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得し、変動係数を用いることで試料の色間の影響を受けずにウェルドラインの外観評価を一元管理することを目的としている。
【解決手段】このため、光沢計において、ウェルドラインの定量化測定装置用標準板にて標準合わせを行い、光源からの光入射角側絞りにて入角量を絞り試料に照射し、試料からの反射光を受光角側の受光角側絞りを用いずに受光器で受光し、測定された値を基に樹脂のウェルドラインの定量化を行う。また、ウェルドラインの定量化測定方法を実施するためのウェルドラインの定量化測定装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はウェルドラインの定量化測定方法及びその測定装置に係り、特にウェルドラインの外観評価の数値での管理、及び、サンプル表面のウェルドライン及び正常部の複数個所の測定を同時に行うウェルドラインの定量化測定方法及びその測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂(単に「樹脂」ともいう。)を金型で成形して樹脂製品(「成形部品」とも換言できる。)を成形する方策が種々行われている。
このとき、樹脂製品の表面部位にはウェルドラインが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−152742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来においては、一般に、前記樹脂製品の表面部位に発生したウェルドラインの外観評価を目視によって行っていた(例えば、上述の特許文献1の明細書の段落[0016]参照。)。
この結果、樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価に際して、個人差が発生し、外観評価を一元化することができないとともに、外観評価には熟練を要するという不都合を有していた。
【0005】
また、前記樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価及び定量化を測定器などの機器を使用して行う場合には、測色計や反射計、光沢計などを用いることが考えられる。
例えば、光沢計を用いた場合には、以下のような不都合があるとともに、樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価が数値で管理されていないという不都合がある。
(1)例えば、光沢の測定方法を用いた場合、を説明する。

入射角側 受光角側
角度 60° 60°
絞り 60° 60°
測定面積 13 X 15 mm
標準板 黒色標準板(91.8%)
(「1次側黒色標準板」ともいう。)
*「1次側黒色標準板」は、1次標準板とも称され、装置の標準合わせに使用する。
鏡面光沢度−測定方法(JIS Z 8741)において、屈折率1.567のガラス面を光沢度100%と規定しているが、測定機器に付属する標準板としては、屈折率1.530(入射角60°で94.1%)前後の黒色ガラスを標準板として用いる。
一般的な光沢計の測定面積(13×15mm)は広いため、ウェルドラインを測定しても、ウェルドラインの幅は7mm以下と狭く、周囲と平均化されてしまい、測定値に差が出ないという不都合がある。
通常の光沢測定方法での測定では、特に低光沢の樹脂の場合は、正常部とウェルドラインとの測定値の差の有効桁数が小さく、数値上では差が出にくいという不都合がある。
(2)対策を講じて単色での定量は可能であるが、光沢計で複数個所の測定を行い、その測定値を基に(MAX−MIN法により)1〜20までの値で定量値を付けた場合、黒色(「ブラック」ともいう。)では定量値が6のときに、以下の表1のように、目視判定級が5級であるのに対して、アイボリーの樹脂では定量値が3のときに、目視判定級が5級となり、色間で目視判定級に対しての定量値の値が異なってしまい単純比較できない(一元管理できない)という不都合がある。
【表1】

また、測色計を用いた場合には、明度で測定すると差が小さいため管理できないという不都合がある。
つまり、一例として、明度L*が正常部で27.25〜27.30に対して、ウェルドラインが27.0である。
顕微鏡光沢計を用いた場合には、微小面積(φ0.02mm)の反射特性を測定するため、樹脂試料において測定面積が小さすぎると試料面の凹凸によって測定値の変動が大きくなり、測定個所を増やしデータを比較しなければ、その正常部とウェルドラインとの差を比較および定量化することができないという不都合がある。
【0006】
ここで、従来の問題点を列記すると、樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価を目視により行っていたため、評価に個人差が発生しているとともに、樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価を行うのに熟練を要していた。
そして、従来の光沢の測定方法を用いた場合、以下の問題点が生じていた。
(1)光沢計では測定面積が大きいため、ウェルドラインは周囲の正常部位と平均化された値になってしまう。
(2)シボ加工の場合は拡散光が増加し、低光沢になるためウェルドラインと正常部位との差が出難い。
(3)対策を講じて単色での定量を実施しても、試料の色の影響を受けてしまうため、色間での定量値の値と目視判定級とが合わず、一元管理できない。
また、同じ試料でウェルドライン及び正常部の複数個所の測定を行う際には、何度も測定しなければならず、更に、方向による見え方の差を定量するためにサンプルの測定点を上下で回転させてから再度測定点の測定を行わなければならず、測定に手間がかかっていた。
【0007】
この発明は、樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価を数値で管理し、常に一定の基準で外観評価を行うこと、サンプル表面のウェルドラインおよび正常部の複数個所
を同時に測定して変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得し、変動係数を用いることで試料の色間の影響を受けずにウェルドラインの外観評価を一元管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、光沢計において、ウェルドラインの定量化測定装置用標準板にて標準合わせを行い、光源からの光入射角側絞りにて入角量を絞り試料に照射し、試料からの反射光を受光角側の受光角側絞りを用いずに受光器で受光し、測定された値を基に樹脂のウェルドラインの定量化を行うことを特徴とする。
また、ウェルドラインの定量化測定方法を実施するためのウェルドラインの定量化測定装置とする。
【発明の効果】
【0009】
以上詳細に説明した如くこの発明によれば、光源からの入角量を入射角側絞りにて絞り、サンプルからの反射光を受光器で受光する光沢の測定方法にて前記サンプルの樹脂製品金型成形時に発生するウェルドラインの定量化を行うウェルドラインの定量化測定方法において、従来受光器の前に設けられていてサンプルからの光を絞る機能を有する受光角側絞りを使用しないことで、受光角側の反射光の減少を回避し、ウェルドラインの定量化用標準板を用いて、その標準板の値を10〜25倍の値として標準合わせを行い、低光沢測定レンジにおいて正確な測定を行い、サンプル表面の複数個所を同時に測定し、これらのウェルドラインの測定値と正常部の測定値の値を基に変動係数を用いてウェルドラインの定量化を行う。
尚、標準板の値を10倍未満とすると測定値に差が出ず、25倍を超えると測定値が飽和して事実上、測定範囲を広げられない。したがって、10〜25倍の範囲で測定することが好ましい。 従って、前記樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価を数値で管理でき、常に一定の基準で外観評価を行うことができる。
そして、サンプル表面の複数個所を同時に測定することにより、変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得することができる。
また、光源と、この光源からの入角量を絞る入射角側絞りと、サンプルからの反射光を絞る受光角側絞りと、受光角側絞りによって絞られた反射光を受光する受光器とを備える光沢計にて前記サンプルを測定するウェルドラインの定量化測定装置において、受光角側絞りを外して受光角側の反射光の減少を回避し、ウェルドラインの定量化測定装置用標準板を用いてその標準板の値を10〜25倍の値として標準合わせを行い、低光沢域の感度を上げ、低光沢域の測定幅を広げた後に、前記受光器からの受光信号によってサンプル表面の複数個所を同時に測定し、これらのウェルドラインの測定値と正常部の測定値の値を基に変動係数を用いてウェルドラインの定量化測定を行う制御手段を備えている。また、ウェルドラインの測定面積を4×12mm〜13×15mmとした。
従って、低光沢域の測定幅が広がることで前記樹脂製品の表面部位のウェルドラインの外観評価を数値で管理でき、変動係数を用いることで、常に一定の基準で外観評価を行うことができる。
そして、サンプル表面の複数個所のウェルドラインと正常部とをそれぞれを偶数個所測定し、試料の方向性依存をなくすため両方向から入射、受光させて同時に測定することにより、前記制御手段は変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は複数個所の測定点の測定を説明する図であり、(a)は樹脂製品の平面図、(b)は樹脂製品の側面図、(c)は複数個所の測定点の測定を説明する樹脂製品の平面図である。(実施例)
【図2】図2はウェルドラインの定量化測定装置の概略構成図である。(実施例)
【図3】図3はハンディタイプのウェルドラインの定量化測定装置を示す図であり、(a)は概略斜視図、(b)は要部説明図である。(実施例)
【図4】図4は据え置きタイプのウェルドラインの定量化測定装置を示す図であり、(a)は概略斜視図、(b)は要部説明図である。(実施例)
【図5】図5はウェルドラインの定量化測定装置の概略システム図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
図1〜図5はこの発明の実施例を示すものである。
図1〜図5において、1はウェルドラインLの定量化測定装置である。
この定量化測定装置1には、図3に示すハンディタイプの定量化測定装置1Aと、図4に示す据え置きタイプの定量化測定装置1Bとがある。
ハンディタイプの定量化測定装置1Aは、図3(a)に示す如く、本体2Aの上面部位にON・OFF用スイッチ3Aと測定結果などを表示する表示器4Aとが配置されている。ON・OFF用スイッチは自動停止機能を有する場合には、例えば始動機能のみを有する「測定スイッチ」とも換言できる。
また、据え置きタイプの定量化測定装置1Bは、図4(a)に示す如く、本体2Bの上面部位にON・OFF用スイッチ3Bと測定結果などを表示する表示器4Bとが配置されている。
前記定量化測定装置1は、図2に示す如く、ランプである光源5と、この光源5からの入角量を入射角側第1レンズ6を通過した後に絞る入射角側絞り7と、この入射角側絞り7を通過した後の入射光を通過させる入射角側第2レンズ8と、この入射角側第2レンズ8を通過した入射光をサンプル9の測定点9´に入射させた後に、この測定点9´からの反射光を通過させる受光角側レンズ10と、この受光角側レンズ10を通過した反射光を通過させる受光角側絞りの代わりに設けた受光角側フィルタ11と、この受光角側フィルタ11によって絞られた反射光を受光する受光器12とを備えている。
つまり、前記定量化測定装置1は、上記の構成を有する光沢計にて図1(c)に示す如く金型成形時に表面部位に発生するウェルドラインLを含むサンプル9の測定点9´Aから9´Fを測定するものである。本実施例では、一例として、測定を測定点9´Aから9´Fの6点で行ったが、測定点は6点に限定されるものではない。
【0013】
また、前記定量化測定装置1は、受光角側絞りを使用しないことで受光角側の反射光の減少を回避し、ウェルドラインLの定量化測定装置1用標準板に光沢値18.8%(入射角60°、受光角60°)の白色板を用いてその値を200〜400%として標準合わせを行い、低光沢測定レンジを標準板の値が10〜25倍になるよう正確な測定を行った後に、前記受光器12からの受光信号によってサンプル表面のウェルドラインおよび正常部の複数個所を同時に測定し、これらのウェルドラインLの測定値と正常部の測定値の値を基に変動係数を用いてウェルドラインLの定量化測定を行う制御手段(「CPU」ともいう。)13を備えている。
詳述すれば、前記定量化測定装置1は、例えば以下のような設定とする。
入射角側 受光角側
角度 60° 60°
絞り 85°用 なし
測定面積 4 X 12 mm
標準板 白色標準板(18.8% →200〜400%) (「2次側白色標準板」ともいう。)
つまり、前記定量化測定装置1は、測定角度を「60°」、入射角側絞り「85°用」、受光角側絞り「なし」、標準板(「白色標準板」や「2次側白色標準板」ともいう。)「18.8%」を用いて標準板値「200〜400%」の間で記憶し、標準合わせを行う。
そして、標準板を用いた標準合わせを行った後に、複数個所、例えば図1(a)及び(c)に示す6個所を同時に測定する。
このとき、測定点9´となるウェルドラインLを含むサンプル9の測定点9´Aから9´Fの6個所を計測する。
なお、上記の各数値は、一例である。
前記定量化測定装置1は、前記ウェルドラインLを測定できるように、入射角側に位置する前記光源5を絞り、受光角側の反射光の減少を回避するために受光角側絞りを外している。
また、前記定量化測定装置1は、標準板値を「200〜400%」の間で記憶させることで測定レンジを強制的に広げて測定範囲を狭くし、前記受光器12からの受光信号によってサンプル表面のウェルドラインおよび正常部の複数個所を同時に測定した際に、これらのウェルドラインLの値と他の部分の測定値との差ができるようにしている。
そして、前記制御手段13は、図5に示す如く、入力側に、前記ON・OFF用スイッチ3A、3Bと、前記表示器4A、4Bと、充電式電池14と、定電圧発生回路15とを接続し、出力側には、前記定電圧発生回路15にも接続するランプである前記光源5を接続する一方、前記受光器12はこの光源5からの光を受光し、増幅回路16とA/D変換回路17とを順次接続し、このA/D変換回路17を前記制御手段13及び前記表示器4A、4Bに接続している。
つまり、前記制御手段13は、前記ON・OFF用スイッチ3A、3BからのON操作信号で前記定量化測定装置1を起動させて光源5を制御し、定量化測定を開始する一方、ON・OFF用スイッチ3A、3BからのOFF操作信号で前記定量化測定装置1を停止させる。
また、前記制御手段13は、前記受光器12から受光信号を入力し、複数個所の前記ウェルドラインLを同時に測定してその測定結果などを表示器4A、4Bで表示する。
前記制御手段13は、前記受光器12から受光信号を入力してサンプル表面のウェルドラインおよび正常部の複数個所を同時に測定した際に、各色6点の定量値の変動係数を算出し、比較する。
このとき、変動係数は相対的な散らばりを指す指標である。
また、標準偏差は、スケールの影響を受けるため相互に比較することはできないが、変動係数は標準偏差からスケールの影響を排除しているため、単位が異なる値でも散らばりの度合いが相互に比較できるものである。
以下に、変動係数を算出する式を開示する。
変動係数 = 標準偏差 ÷ 平均値 X 100
変動係数CV値にて比較することにより、各色の基準合わせが可能である。
【0014】
ここで、2次側白色標準板であるウェルドラインLの定量化測定装置1用標準板を用いてウェルドラインLの定量化測定装置1の校正を行う手順を説明する。
(a1)定量化測定装置1用標準板は測定角度60°光沢で約20%のものを使用するのが、レンジ的にちょうど良い。
(a2)前記標準板をウェルドラインLの定量化測定装置1には200〜400%の間の数値を入力する。
これは、強制的に測定レンジを広げるための手段である。
(a3)測定孔にウェルドラインLの定量化測定装置1用標準板をセットし、ウェルドラインLの定量化測定装置1を校正モードにした後、前記ON・OFF用スイッチ3A、3BをON操作する。
(a4)CPUである前記制御手段13はランプである前記光源5を点灯させる。
(a5)前記受光器12で受けた光は、その光量に比例した電流を発生させ、前記増幅回路16へと進む。
(a6)そして、適正な抵抗値で増幅され、光量に比例した電圧へと変換される。
(a7)次に、前記A/D変換回路17によるアナログ・デジタルの変換(A/D変換)を経て、前記制御手段13は光量に比例したデジタルデータを得る。
(a8)そして、前記制御手段13はデジタルデータをメモリに保管し、待機する。
【0015】
次に、実際に、ウェルドラインLの定量化測定装置1を用いてサンプルである前記樹脂製品9の測定を行う手順について説明する。
(b1)測定孔にサンプルである樹脂製品9をセットし、ウェルドラインLの定量化測定装置1を測定モードにした後、前記ON・OFF用スイッチ3A、3BをON操作する。
(b2)前記制御手段13はランプである前記光源5を点灯させる。
(b3)前記受光器12で受けた光は、その光量に比例した電流を発生させ、前記増幅回路16へと進む。
(b4)そして、適正な抵抗値で増幅され、光量に比例した電圧へと変換される。
(b5)次に、前記A/D変換回路17によるアナログ・デジタルの変換(A/D変換)を経て、前記制御手段13は光量に比例したデジタルデータを得る。
(b6)そして、前記制御手段13は、校正でメモリに保管されたものと、今回の測定で得たデジタルデータとを用いて演算処理を行い、演算結果を前記表示器4A、4Bに表示する。
(b7)また、図5に示す如く前記制御手段13に無線通信機18を介してプリンタ19が接続され、制御手段13に印刷出力の設定がなされている場合は、そのデータをブルートゥースなどの無線技術を用いて前記プリンタ19へ送信し、プリンタ19で演算結果を印字する。
【0016】
これにより、この発明の実施例における前記定量化測定方法は、光源5からの入角量を入射角側絞り7にて絞り、樹脂製品の金型成形時に発生するウェルドラインLからの反射光を受光角側絞りにて絞り、受光器12で受光する光沢計にて前記ウェルドラインLを測定するウェルドラインLの測定方法において、受光角側の反射光の減少を回避するために受光角側絞りを外し、測定レンジを強制的に広げ標準合わせを行った後に、サンプル表面の複数個所を同時に測定し、これらのウェルドラインLの値と正常部の測定値との差によりウェルドラインLの定量化測定を行う。
従って、前記樹脂製品9の表面部位のウェルドラインLの外観評価を数値で管理でき、常に一定の基準で外観評価を行うことができる。
そして、サンプル表面の複数個所を同時に測定することにより、変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得することができる。
つまり、前記定量化測定方法によって205枚のサンプルを測定し、変動係数を求めて視感判定と比較したところ判定結果が合致し、外観評価を数値で管理できるので、常に一定の基準で外観評価を行うことができるものである。
追記すれば、例えば、通常の光沢計での測定値を基に1〜20までの値で(変動係数により)定量値を付けた場合、黒色(「ブラック」ともいう。)では、以下の表2のように、
定量値が1〜5のときに目視判定級が5級、
定量値が6〜9のときに目視判定級が4級、
定量値が10〜13のときに目視判定級が3級、
定量値が14〜16のときに目視判定級が2級、
定量値が17〜20のときに目視判定級が1級となる。
そして、グレーやアイボリーの樹脂においても、表2から明らかなように、黒色と同様の目視判定級となる。
【表2】

【0017】
また、この発明の実施例における前記定量化測定装置1は、光源5と、この光源5からの入角量を絞る入射角側絞り7と、樹脂製品の金型成形時に発生するウェルドラインLからの反射光を絞る受光角側絞りと、受光角側絞りによって絞られた反射光を受光する受光器12とを備える光沢計にて前記ウェルドラインLを測定するウェルドラインLの測定装置において、受光角側絞りを外して受光角側の反射光の減少を回避し、測定レンジを強制的に広げて、標準板を用いて標準合わせを行った後に、前記受光器12からの受光信号によって複数個所の前記ウェルドラインLを同時に測定し、これらのウェルドラインLの値と正常部の測定値との差によりウェルドラインLの定量化測定を行う制御手段13を備えている。
従って、前記樹脂製品9の表面部位のウェルドラインLの外観評価を数値で管理でき、常に一定の基準で外観評価を行うことができる。
そして、サンプル表面の複数個所を同時に測定することにより、前記制御手段13は変動係数の計算に必要なデータを一度の測定で取得することができる。
つまり、前記定量化測定装置1によって205枚のサンプルを測定し、変動係数を求めて視感判定と比較したところ判定結果が合致し、外観評価を数値で管理できるので、常に一定の基準で外観評価を行うことができるものである。
【0018】
更に、前記定量化測定装置1の測定に関して追記する。
従来は、3点を測定した後に、180°回転させ、その後に再度3点を測定する、という測定手順を取っていた。
このような従来の測定手順に対して、この発明の前記定量化測定装置1においては、図1(c)に示す如く、光源5と受光角側レンズ10との配置位置を上下の1段目9’A〜9’Cと2段目9’D〜9’Fとで左右逆転させた状態とする。
さすれば、測定の際に試料を回転させなくとも、1段目9’A〜9’Cと2段目9’D〜9’Fとで入射・受光方向が変更され、6点を同時に測定することが可能となる。
これにより、従来は一方向による見え方の差を定量するために、試料(サンプル)の測定点を上下で回転させてから再度測定を行っていたが、この発明においては、試料の方向性依存をなくすため、両方向から入射・受光させて同時に試料の複数個所を測定できるので、一度の測定で変動係数の計算に必要なデータを取得することができるものである。
【符号の説明】
【0019】
1 定量化測定装置
1A ハンディタイプの定量化測定装置
1B 据え置きタイプの定量化測定装置
L ウェルドライン
2A、2B 本体
3A、3B ON・OFF用スイッチ
4A、4B 表示器
5 光源
6 入射角側第1レンズ
7 入射角側絞り
8 入射角側第2レンズ
9 サンプル
9´ 測定点
10 受光角側レンズ
11 受光角側フィルタ
12 受光器
13 制御手段
14 充電式電池
15 定電圧発生回路
16 増幅回路
17 A/D変換回路
18 無線通信機
19 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢計において、ウェルドラインの定量化測定装置用標準板にて標準合わせを行い、光源からの光入射角側絞りにて入角量を絞り試料に照射し、試料からの反射光を受光角側の受光角側絞りを用いずに受光器で受光し、測定された値を基に樹脂のウェルドラインの定量化を行うことを特徴とするウェルドラインの定量化測定方法。
【請求項2】
前記ウェルドラインの定量化測定装置用標準板の値を10〜25倍の値として標準合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のウェルドラインの定量化測定方法。
【請求項3】
前記測定された値を基に樹脂のウェルドラインの定量化を行う際に、変動係数を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のウェルドラインの定量化測定方法。
【請求項4】
前記試料の複数個所を同時に測定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のウェルドラインの定量化測定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のウェルドラインの定量化測定方法を実施するためのウェルドラインの定量化測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254614(P2012−254614A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130372(P2011−130372)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000107583)スガ試験機株式会社 (28)
【Fターム(参考)】