説明

ウェーハの固定およびマーク付け

本発明は、少なくとも一枚の材料層からなるシート・タイプ材料またはフィルム・タイプ材料を自動的かつ個別に、マーク付けした内容物を持つ包装単位に包装する方法に関する。蝋様マーク材料で作ったマーク(40)を暖めた第1の包装材料ストリップ(20)に塗布する。シート・タイプ材料またはフィルム・タイプ材料(10)を、第1の包装材料ストリップの表面の粗さよりも大きい粗さを有する表面を有するマークに固定する。第2の包装材料ストリップ(30)をシート・タイプまたはフィルム・タイプ材料に貼付し、第1の包装材料ストリップに連結して閉じた包装単位を形成する。包装単位(35)を冷却し、マークを第1の包装材料ストリップから分離する。シート・タイプまたはフィルム・タイプ材料のための確実な包装方法およびマーク付けが本発明の前記方法に従って開発される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一枚の材料層からなるシート状材料またはフィルム状材料を、マーク付けした内容物を持つ包装単位に自動的かつ個別に包装する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状材料またはフィルム状材料は、たとえば、活性医薬物質のキャリアとして製薬業で使用されている。これらの材料は、たとえば、改質デンプンからなる薄くて軽量、可撓性のあるフィルムである。そして、一枚またはそれ以上の層で構成されており、活性物質を収容している少なくとも一枚の層で構成されている。これらのシート状材料またはフィルム状材料は、たとえば、水溶性である。これらの材料は、人間に適用したとき、たとえば舌にあてがったときに、溶解して活性物質を放出する。
【0003】
乾ききるのを避けるために、これらのシート状、フィルム状材料は、一般的に、個別に包装される。包装に際しては、シート状材料またはフィルム状材料を一枚ずつ2枚の包装材料ストリップの間に挿入してから、包装材料ストリップを互いに溶着し、たとえば、4辺封止袋を形成する。包装材料ストリップ間に一枚ごとにシート状材料またはフィルム状材料を挿入するとき、わずかな空気流を流しておいて材料の位置を変える。すなわち、シート状材料またはフィルム状材料を包装材料ストリップの領域から離れるように空気流を吹き付ける。一枚の4辺封止袋を封止してしまってからでなければ、たとえば、4辺封止袋内に実際にシート状材料またはフィルム状材料があるかどうか確認できない。
【0004】
薬剤製品のキャリアとして使用する場合、シート状材料またはフィルム状材料にマークを付けなければならない。このようなマークは、たとえば、タイプ、バッチおよび/または一枚ごとのシート状材料またはフィルム状材料を特定するのに役立つ。マークを付けるときに、シート状材料またはフィルム状材料を損なってはならない。したがって、水溶性マークや溶媒含有マークは考えられない。シート状材料またはフィルム状材料内の活性物質の濃度が水または溶媒で変わってしまうからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シート状材料またはフィルム状材料のための操作上信頼性が高い自動包装・マーク付け方法を開発するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求の範囲の主請求項の特徴によって解決される。この目的のために、蝋様マーク材料(waxy marking material)で作ったマークを、加熱した第1の包装材料ストリップに塗布する。シート状材料またはフィルム状材料を、第1の包装材料ストリップの表面の粗さよりも大きい粗さの表面を有するマーク上に固定する。このとき、マークは接着する。第2の包装材料ストリップをシート状材料またはフィルム状材料を覆って置いてから第1の包装材料ストリップに結合して、閉じた包装単位を形成する。次いで、包装単位を冷却し、マークが第1の包装材料ストリップから外れる。
【0007】
蝋様材料は有機物質である。たとえば、20℃の室温では、蝋様材料は硬化しにくい。温度が上昇するにつれて、蝋様材料は可塑変形可能になる。たとえば、40℃より高い温度では、蝋様材料は溶融可能となり、溶融物の粘度は温度の上昇と共に低下する。蝋様材料は、たとえば、自然発生の動物性蝋または植物性蝋(たとえば、蜜蝋)、合成蝋、たとえば、固体パラフィンの混合物である。
【0008】
蝋様材料で作ったマークを塗布するとき、加熱した第1の包装材料ストリップに液体、粘着性または固体の蝋を塗布する。塗布は、たとえば、テンプレートの有無にかかわらず固定式ノズルまたは可動ノズルからワックス・クレヨンなどを吹き付けることによって行う。液体蝋を塗布するとき、前述の第1包装材料ストリップが蝋の硬化を防ぐ。固体蝋を塗布する場合には、加熱した包装材料ストリップによって、蝋を少なくとも粘性の状態に加熱する。
【0009】
包装材料ストリップの表面の粗さは低い。したがって、蝋は低い親和性で包装材料ストリップに接着する。
【0010】
マーク上にシート状材料またはフィルム状材料を固定するためには、シート状材料またはフィルム状材料を粗い表面を有するマーク上に置く。これら二枚の部分は高い親和性をもって互いに接着する。たとえば、包装材料ストリップに関して空気流がシート状材料またはフィルム状材料の位置を変えることはできない。
【0011】
次の工程において、シート状材料またはフィルム状材料を覆って第2の包装材料ストリップを置き、これら二枚の包装材料ストリップを、たとえば、封止縁溶接によって溶着する。シート状材料またはフィルム状材料は、さらに、第1の包装材料ストリップに接着しているマーク上に固定される。
【0012】
次いで、このようにして製造した包装単位を冷却する。このとき、蝋が硬化する。蝋は、第1の包装材料ストリップの表面から剥がれるが、シート状材料またはフィルム状材料の表面には接着し続ける。その結果、マークがシート状材料またはフィルム状材料へ転写される。
【0013】
この方法の終了後、各包装単位は、均一に位置した、マーク付きのシート状材料またはフィルム状材料を含んでいる。
【0014】
こうして、これらの工程は、シート状材料またはフィルム状材料の自動包装・マーク付けを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のさらなる詳細を、従属請求項および概略的に示した実施形態についての以下の説明で明らかにする。
【0016】
図1は、シート状材料またはフィルム状材料(10)を包装し、マーク付けする方法を示している。シート状材料またはフィルム状材料(10)は、たとえば、ウェーハ(10)である。ウェーハとは、活性医薬物質を収容する改質デンプンからなる水溶性の薄いフィルムである。ウェーハ(10)の寸法は、たとえば、ほぼ20×30mmである。
【0017】
この方法は、たとえば、5つの工程(1〜5)からなる。第1の工程(1)において、マーク(40)を、たとえばスプレー・ユニット(50)によって、第1の、下方包装材料ストリップ(20)に塗布する。
【0018】
第2の工程(2)において、ウェーハ(10)(たとえば吸引グリッパー(60)によって、マガジン(65)から第1の包装材料ストリップ(20)上へ運ばれる)をマーク(40)上へ置く。第1の包装材料ストリップ(20)は、マーク(40)の塗布およびウェーハ(10)の設置中に、たとえばヒータ(70)によって、たとえばほぼ40℃まで加熱される。
【0019】
次の工程(3)において、第2の、たとえば上方の包装材料ストリップをウェーハ(10)および下方の包装材料ストリップ(20)上に置く。
【0020】
第4の工程(4)において、互いに重なっている二枚の包装材料ストリップ(20、30)を、たとえば4つの封止線(25)のところで、封止装置(80)によって結合する。このようにして、4辺封止袋(35)(すべての側部が閉鎖され、1枚のウェーハ(10)を正確に包装している)が、たとえば包装単位(35)として製造される。
【0021】
次の工程(5)において、4辺封止袋(35)を、たとえばその下面から冷却ユニット(90)によって冷却する。
【0022】
下方包装材料ストリップ(20)は、たとえば、ポリエチレンで作った透明なプラスチック・フィルムのストリップである。この包装材料ストリップの少なくとも上面(23)の粗さは低くなっている。したがって、かなり滑らかである。適切であるならば、シリコーンでコーティングしてもよい。
【0023】
下方包装材料ストリップ(20)は、ドラム(21)から繰り出されてから偏向ローラ(22)上を通過する。包装材料ストリップ(20)は、たとえば偏向ローラ(22)の半径方向調節によって位置決めされ、張力付与される。
【0024】
第1の工程(1)において、マーク(40)は、ヒータ(70)によって加熱された包装材料ストリップ(20)の上面(23)に塗布される。マーク(40)は、蝋様材料(たとえば、蜜蝋)から形成されている。透明であっても着色してあってもよい。
【0025】
蜜蝋は、塗布前に、たとえばスプレー・ユニット(50)内でヒータ(51)によってたとえば80℃の温度まで加熱される。この温度では、蜜蝋は液状であり、粘度は低い。たとえば、スプレー・ユニット(50)内部で、蜜蝋はスプレーヘッド(52)に運ばれる。スプレーヘッド(52)は、たとえば、テンプレートおよびノズル(53)を含む。このノズルを通して蜜蝋が包装材料ストリップ(20)上へ送られる。このとき、包装材料ストリップ(20)上に、たとえばテンプレートの画像が形成される。マーク(40)として塗布された蜜蝋は単色でもよいし、多色でもよい。マーク(40)は、たとえば、英数字、デジタルのまたは色分けされた一連のキャラクタまたはシンボルを含んでいてもよい。
【0026】
スプレーヘッド(52)および/またはノズル(53)は固定式であってもよいし、可動であってもよい。可動スプレーヘッド(52)および/または可動ノズル(53)は、たとえば、コンピュータ支援方法で動かしてもよい。その結果、たとえば、ウェーハ(10)が一枚ごとに個別のマーク(40)を持つことになる。可動スプレーヘッド(52)および/または可動ノズル(53)を使用する場合、たとえば、テンプレートはなくてもよい。
【0027】
スプレー・ユニット(50)は、多数のスプレーヘッド(52)および/またはノズルを含んでいてもよい。これらは固定式であっても可動式であってもよい。たとえばノズル(53)を清掃するために清掃装置をスプレー・ユニット(40)上またはその中に配置してもよい。
【0028】
熱い蜜蝋は、前述の包装材料ストリップ(20)の表面(23)と衝突したとき、冷却される。しかしながら、包装材料ストリップ(20)の温度が蜜蝋の凝固温度よりも高いので、粘性は保つ。よって、蜜蝋は包装材料ストリップ(20)の少なくともかなり滑らかな表面(23)に接着する。こうして、マーク(40)は、たとえば、包装材料ストリップ(20)の下面から読み取ることができる。
【0029】
ひとたびマーク(40)を塗布したならば、加熱された包装材料ストリップ(20)は、さらに、ウェーハ(10)を一枚ずつ装填する装填部(2)に運ばれる。包装材料ストリップ(20)は、装填部(2)でもヒータ(70)によって加熱されてもよい。
【0030】
各ウェーハ(10)は、包装材料ストリップ(20)の表面(23)の粗さよりも大きい粗さを有する少なくとも1つの表面(11)を有する。マガジン(65)において、ウェーハ(10)は、たとえば、粗面(11)がマガジン(65)の取り出し側(66)とは反対の向きとなるように積み重なっている。
【0031】
マガジン(65)からウェーハ(10)を取り出すために、たとえば、吸引グリッパー(60)をマガジン(65)の前方に設置する。負圧力をオンにすることによって、マガジン(65)内に位置する最初のウェーハ(10)が吸引され、ピックアップされる。次いで、吸引グリッパー(60)は、たとえば包装材料ストリップ(20)上方の位置へ回動し、包装材料ストリップ(20)の方向へ軸線方向に移動する。ウェーハ(10)がマーク(40)に触れたらすぐに、負圧をオフにする。よって、ウェーハ(10)が吸引グリッパー(60)から外れ、マーク(40)の粗面(11)と接着する。
【0032】
次いで、装填済みの包装材料ストリップ(20)が、タイミングを合わせて上方包装材料ストリップ(30)の塗布部(3)に向かって運ばれる。
【0033】
上方包装材料ストリップ(30)は下方包装材料ストリップ(20)と同じ材料からなるものであってもよい。上方包装材料ストリップ(30)はドラム(31)から繰り出される。上方包装材料ストリップ(30)は、たとえば偏向ローラ(32)によって位置決め、張力付与される。これら二枚の包装材料ストリップ(20、30)は、たとえば、共通の駆動部によって搬送される。それ故、二枚の包装材料ストリップ(20、30)は、同じクロック周波数および同じクロック増分で動かされる。
【0034】
次のクロック・サイクルにおいて、クロック周波数は、たとえば、毎分100サイクルとなる。包装材料ストリップ(20、30)は、ウェーハ(10)と共に、封止(4)のための封止ユニット(80)の下に運ばれる。
【0035】
封止ユニット(80)は、たとえば、上方封止ユニット部分(81)と下方封止ユニット部分(86)とからなる。これらの封止ユニット部分(81、86)は、共に、たとえば、封止ヒータ(82、87)を含む。そして、これらの封止ヒータ(82、87)によって封止バー(83、88)が加熱される。図1においては、搬送方向に対して横方向に向いた封止線(25)用として、封止ユニット部分(81、86)ごとに2本の封止バー(83、88)しか示していない。しかし言うまでもなく、たとえば搬送方向の封止線のために追加の封止バーを設けてもよい。封止(4)のために、封止ユニット部分(81、86)を互いに向かって動かし、それによって、間にある包装材料ストリップ(20、30)を互いに溶着する。この方法では、溶着期間は、たとえば、1/160秒である。こうして、たとえば、4つの封止線(25)がウェーハ(10)まわりに作られる。それ故、ウェーハ(10)が包装単位(35)、たとえば4辺封止袋(35)に包装される。一枚ずつになっている包装単位(35)は、互いに結合したまま、冷却(5)のためにさらに一緒に搬送される。
【0036】
冷却(5)において、4辺封止袋(35)は、たとえば搬送されている材料(20、30、35)の下方に配置された冷却ユニット(90)によって、たとえば20℃の室温ま
で冷却される。よって、蜜蝋が完全に凝固する。そして、下方包装材料ストリップ(20)の表面(23)から剥がれる。しかしながら、蜜蝋は、ウェーハ(10)のより粗い表面(11)に接着したままとなる。このようにして、マーク(40)がウェーハ(10)へ転写される。
【0037】
この方法の場合、ウェーハ(10)の物質に変化は起きない。ウェーハ(10)は、その活性物質の濃度およびその含水量を保ったままである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】シート状材料またはフィルム状材料を包装し、マーク付けする方法を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 第1の工程(マーク付け)
2 第2の工程(装填)
3 第3の工程(上方包装材料ストリップの貼付)
4 第4の工程(封止)
5 第5の工程(冷却)
10 シート状材料またはフィルム状材料(ウェーハ)
11 表面
20 第1の包装材料ストリップ(下方包装材料ストリップ)
21 ドラム
22 偏向ローラ
23 表面
25 封止線
30 第2の包装材料ストリップ(上方包装材料ストリップ)
31 ドラム
32 偏向ローラ
35 包装単位(4辺封止袋)
40 マーク
50 スプレー・ユニット
51 ヒータ
52 スプレーヘッド
53 ノズル
60 吸引グリッパー
65 マガジン
66 取り出し側
70 ヒータ
80 封止ユニット
81 上方封止ユニット部分
82 封止ヒータ
83 封止バー
86 下方封止ユニット部分
87 封止ヒータ
88 封止バー
90 冷却ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一枚の材料層からなるシート状材料またはフィルム状材料を自動的に個別に、マーク付けした内容物を持つ包装単位に包装する方法であって、
蝋様マーク材料で作ったマーク(40)を加熱した第1の包装材料ストリップ(20)に塗布し、
シート状材料またはフィルム状材料(10)を、第1の包装材料ストリップ(20)の表面(23)の粗さよりも大きい粗さの表面(11)を有するマーク(40)に固定し、マークをシート状材料またはフィルム状材料(10)に接着し、
第2の包装材料ストリップ(30)をシート状材料またはフィルム状材料(10)を覆って置き、第1の包装材料ストリップ(20)に結合して、閉じた包装単位(35)を形成し、
包装単位(35)を冷却し、それによって、マーク(40)が第1の包装材料ストリップ(20)から外れる
ことからなる方法。
【請求項2】
マーク(40)を塗布する際およびシート状材料またはフィルム状材料(10)を固定する際に第1の包装材料ストリップ(20)を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マーク材料が蜜蝋であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シート状材料またはフィルム状材料(10)が水溶性であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シート状材料またはフィルム状材料(10)を4辺封止袋(35)に包装することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−528587(P2006−528587A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520733(P2006−520733)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007749
【国際公開番号】WO2005/012097
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(300005035)エルテーエス ローマン テラピー−ジステーメ アーゲー (128)
【Fターム(参考)】