説明

ウェーハ処理プロセス及び装置並びに中間層及びキャリヤー層を有するウェーハ

本発明は、ウェーハを処理する、特にウェーハを薄くするプロセス及びデバイスに関する。キャリヤー層、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配置されている中間層を有するウェーハをも記述する。上記中間層はプラズマ重合層であり、ウェーハに付着し、且つウェーハに対するよりも強くキャリヤー層に付着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の面は、ウェーハを処理するためのプロセス及び装置に関する。これらのプロセス及び装置は、半導体製品の生産に使用されるウェーハを、より薄いフォーマットで製造することを容易にすることを意図している。これに関連して、好ましくは、ウェーハはより信頼できるように処理可能であるべきであり、及び/または、半導体構成要素、及び/または回路、及び/またはセンサ、及び/または他の半導体製品の製造上の必要製造経費を低下させる、及び/またはより費用有効にすべきであり、及び/または、レーザ切断方法の使用を可能に、または容易にすべきであり、及び/または、特に、薄くされたウェーハの裏側のコーティング、及び/または構造化を可能に、または容易にすべきであり、及び/または、割れ、及び/または機械的破損の危険性を減少させるべきである。
【0002】
本発明のさらなる、そして緊密に関連する面は、中間層及びキャリヤー層(カバーリング層)を有するウェーハに関する。以下に、先ず本発明の第1の面を詳述し、次いで第2の面を説明する。
【背景技術】
【0003】
従来技術(本発明の第1の面)
薄いウェーハ、及び/または薄い半導体構成要素の製造手順は、通常はユーザ毎に異なる。しかしながら、一般的には、以下の手順が採用される。即ち、電子構成要素及び回路(ダイオード、トランジスタ、IC、センサ等)を製造する場合、例えば構造、層等のような構成要素を、種々の技術によってウェーハ(シリコン、GaAs、または他の半導体材料及び基体)に付着させる。現時点においては、これらのウェーハは、この目的のために必要な製造ステップが完了した後に、前側(活性的な側、即ち付着された構成要素が位置している側)に保護フィルム、または他の保護層(例えば、ワックスによって接触させたガラス板)が設けられる。このフィルム、または層の目的は、爾後にウェーハを薄くする手順(研削、ラッピング、切断、エッチング等による)中に、ウェーハの前側を、従って付着された電気的、及び機械的構造を保護することである。フィルム、または層を付着させた後にウェーハの後側が薄くされ、それによってウェーハの始めの厚みが減少する。残される残留厚みは、常に、爾後のプロセスステップ中に予測される機械的応力によって支配される。これらの機械的応力は、割れ、または他の機械的破損の危険性を重大に増加させることなく解消しなければならない。ウェーハの割れ特性を改善するために、薄くするステップの後にウェーハの後側を機械的に、及び/または化学的に処理することができる。可能な洗浄ステップの後に、ウェーハの前側から保護フィルム、またはキャリヤー層を剥がして除去する。これにより、機械的特性を改善するための可能なさらなる製造ステップ、及び/または測定、及び/または調査を遂行することができる。多くの場合には、薄くされたウェーハの後側は、1つの金属層、及び/または複数の層によってコーティング、及び/または構造化される。このコーティングは、殆どの場合真空中におけるスパッタリング、類似堆積プロセス、及び/またはリトグラフィックプロセスによって遂行され、多くの場合熱応力、及び/または熱支援を含む。後側に対するプロセス(後側コーティング、及び/または後側構造化)の後に、前側の保護フィルム、または付着されていた層組成が除去される。この後に、多くの場合、ウェーハは後側を下向きにして(活性的な前側を上向きにして)ソーイング(鋸引き用)フィルム(膨張フィルムまたはフレーム)上に配置される。最後に、回転分離用ディスク、または他の機械的ソーイングデバイスによってウェーハが鋸引きされる(ウェーハが分離した構造的部分に分割される)。これに関連して、個々の場合においてはレーザ分離方法が既に使用されている。個々の場合においてはウェーハはこの手順によっても割れを生じるので、個々の場合においてはスコアリングを含む支持方法が使用されたり、またはウェーハはエッチングプロセスによって分割される。普通のプロセスを用いると、割れ、または他の破損の危険性を増加させることなく薄いウェーハを処理及び輸送することは極めて困難である。これらの困難さは、特に、薄くする手順の後に、ウェーハがその薄い厚みに比して大きい機械的応力を受けなければならないことが原因である。これらの応力は、特に、
a)薄くする手順中にウェーハの前側を保護するための保護フィルム、または保護層をストリップまたは剥離(切り離し)する時に、
b)ソーイングフィルム上にウェーハを配置する時に、
c)薄くする手順と、ウェーハの分離(ウェーハを複数の部分、即ちダイまたはチップに分離する)との間の輸送中に、
発生し、全ての製造ステップは多分これらの間に行われる。しかしながら、特にこれらの応力は、後側をコーティングする間に発生する。
【0004】
最近では、上述したプロセスの代替プロセスとして、構造の研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的エッチング、及び/または構造のプラズマエッチングによってウェーハを薄くするプロセス(この用語には、スクレーピングも含まれる)の前に、ウェーハの前側が既に構造化されており、従って爾後の機械的、及び/または化学的方法によって薄くされるプロセス中にこれらの構造が露出され、それによってウェーハの分割がもたらされるようなプロセスが既に使用、及び/または開発されている。これに関連して、このように分割されたウェーハの部分(ダイ)を、爾後のプロセスステップ中に最早経済的に取扱うことができないことが欠陥であることが多い。これは、この場合、爾後に遂行しなければならない製造ステップ中に、既に分割されている多数の構成要素を分離させない、及び/またはそれらの位置を変化させないようにそれらを固定しなければならないことが原因である。
【0005】
従来技術の欠陥(本発明の第1の面)
これらの従来のプロセスを使用すると、薄くされたウェーハ、即ち後側が既に薄くされているウェーハの既に分割された部分(ダイ)を経済的にコーティングすることが極めて困難であり、若干の場合には不可能である。現在では、これを達成しようとすると、ウェーハの割れ、及び/または他の型の破損のために大きい製造損失が発生し、及び/またはこのような破損を回避するためにかなりな手動測定が必要になる。これに関連して、現時点においては、一般的にウェーハ、及び/または分割されたウェーハ部分を、極めて複雑な、及び/または極めて注意深い手法で手動で、及び/または複雑な装置によって取扱わなければならない。この困難さは、ウェーハの材料厚みが極めて薄いこと、及び/または多分既に分割されたウェーハ部分の数が多いことが主因である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的(本発明の第1の面)
本発明の第1の面は、ウェーハを処理するためのプロセス、及び装置を提供するという目的に基づいており、この面によれば、薄くされた後のウェーハの製造シーケンスが簡易化され、より経済的に系統立てることが可能になり、薄いウェーハの処理(特に、後側のコーティング)が容易になる。更に、本発明は、ウェーハを薄くし、後側をコーティングし、分割し、そしてそれらの間に行われる全ての製造ステップを含むプロセスステップ中に、ウェーハをより確実に、及び経済的に取扱うことを可能にすべきである。特定的には、それによってウェーハが割れる危険性を減少させるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成(本発明の第1の面)
上述した目的は、一方の側(前側)上に構成要素を担持しているウェーハを処理するプロセスによって達成される。このプロセスは、
−ウェーハの前側に、ウェーハの前側と接触する少なくとも1つの中間層と、キャリヤー層とを含む層システムを付着させるステップと、
−ウェーハの後側を薄くするステップと、
を含み、後側を薄くする間、層システムがウェーハ、またはウェーハの部分を保護または担持(保持)する。
【0008】
研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学エッチング、及び/または溝のプラズマエッチング、及び/または他の構造によって薄くするプロセスの前に、ウェーハの前側(構造化される側)が既に構造化されている、従って爾後の機械的、及び/または化学的方法(例えば、エッチング)による薄くするプロセス中にこれらの構造が露出されてウェーハの分割がもたらされるようなウェーハであることもできるウェーハは、ウェーハを薄くする(後側の材料を除去する)前にその前側が中間層でコーティングされる。これに関連して、この中間層は、化学蒸着法(CVD)によって付着させることが好ましい。この中間層は、例えば、ブレーメンのFraunhofer Institut fur Fertigungstechnik und Angewandte Materialforschungが開発したようなプラズマ重合コーティングであることができる。中間層は、その全厚みをCVDプロセス、及び/または別の真空技術プロセスによって形成させることも、及び/または(オプションとして、事前に)適当な材料を付着させることによって支援することも、及び/または形成させることもできる。これに関連して、1乃至1000nm、より好ましくは50乃至200nmであるこの接続中間層の厚みは調整することが好ましい。しかしながら、この層の厚みは、より薄くすることも、またはより厚くすることもできる。CVDによって付着されるプラズマ重合コーティングの場合の中間層の付着特性は、プロセス技術マッチングによって両側で個々に調整することができる。その一方で中間層は、爾後に、隣接層(キャリヤー層)をウェーハ表面から容易に剥離できるようにすべきである。しかしながら、中間層には、爾後のプロセスステップのためにウェーハ表面と、隣接するキャリヤー層との間に十分な結合力(接着、及び/または他の結合力)をも与えるべきであり、及び/またはそれを支援、及び/または許容すべきでもある。この結合力は、部分的に、ウェーハ表面の表面トポグラフィの特性によってももたらされる。例えば、もし研削、または他の適当な方法によって機械的に薄くするプロセスにおいて発生する剪断力を補償しなければならないのであれば、後者は特に重要である。ウェーハの構成要素は、本明細書において使用している用語「ウェーハ」から理解されるように、ウェーハの前側の不動態化(パッシベーティング)層(特により好ましいのは、ウェーハが電子構成要素を含む場合)であることもできる。このような不動態化層(もし存在すれば)は、電子構成要素を担持しているウェーハの層に直接接触するように配置することが好ましい。
【0009】
本発明による好ましいプロセスにおいては、ウェーハの薄くされた後側をコーティングする付加的なステップを含む。コーティングの間、ウェーハの前側上に配列されているオプションとしての構造化層システムが、ウェーハ、またはウェーハの部分を保護、または担持する。
【0010】
本発明による特に好ましいプロセスにおいては、ウェーハを分割する(付加的な)特色を有する。分割の間、前側層システムがウェーハ、またはウェーハの部分を保護、または担持する。分割は別のステップとして遂行されるか、または薄くすることによって遂行される。層システムは、分割中に分離されるか、または分離されることはない。
【0011】
本明細書において使用している用語「分割」とは、ウェーハをウェーハの部分(ダイ)に分離することを意味していることを理解されたい。
【0012】
薄くするのは、例えば、本発明によるプロセスによって化学的に(エッチング)、及び/または機械的に遂行することができる。
【0013】
本発明による好ましいプロセスにおいては、ウェーハの後側を平滑にする付加的なステップを有する。この平滑化によって、好ましくはウェーハの分割が遂行、または促進され、及び/またはウェーハの薄くされた後側のコーティングが促進されるように、ウェーハの機械的特性が変更される。これに関連して、この平滑化は、化学的、または物理的エッチング(例えば、プラズマエッチング)によって、または機械的研磨によって遂行することができ、ウェーハの割れの危険性を低下させる。
【0014】
上述した本発明のプロセスは、好ましくは、ウェーハの前側上に層システムを形成させる前に、
−ウェーハを(予備)構造化する付加的なステップを有する。この構造化は、後側が薄くされる間、または爾後の後側の処理及びウェーハの分割の間に、形成された構造が開放されるように、研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的エッチング、及び/または物理的エッチングによって遂行される。
【0015】
更に好ましいのは、本発明による上述したプロセスにおいて、ウェーハを分割するために、(a)レーザビームを、または(b)好ましくは研磨材切断、ソーイング、または破断のような機械的方法を使用することである。これに関連して、分離のために予め構造化されていないウェーハに対して使用するには上記(b)の変形が特に好ましい。
【0016】
本発明による更に好ましいプロセスは、分割の後に、
−(a)ウェーハに対する層システムの付着力、または(b)ウェーハの側に接する層システムの層、好ましくは中間層に対するキャリヤー層の付着力を弱めるステップを含む。この手順の目的は、特定的には真空デバイス、または別の機械的除去デバイスによるウェーハの分割された部分の除去を可能にすることであり、特に好ましいことは、いわゆるブルーテープをウェーハの後側に付着させる必要をなくすことである。
【0017】
これに関連して、好ましくは、(a)の層システムの場合の、または(b)のキャリヤーシステムの場合の付着力の弱めは、(i)電磁放射の照射、(ii)熱作用、(iii)化学作用、及び/または(iv)機械的作用によって達成する。これに関連して、熱作用は、加熱または冷却、または両方からなることができる。
【0018】
これに関連して、本発明による好ましいプロセスにおいては、中間層は、キャリヤー層から、またはウェーハから、またはウェーハの部分から機械的に切り離される。
【0019】
更に、本発明による好ましいプロセスにおいては、層システムの中間層を真空技術によって付着させる。中間層は好ましくはDE 100 34 737 C2に記載されているような層であり、中間層は好ましくはプラズマ重合ストリッピング層である。このストリッピング層の特性は、所望の分離面(即ち、分離を生じさせるべき表面)の領域におけるその隣接層に対する付着力が、他の隣接層に対する付着力よりも強くならないように調整される。これらの付着特性は、中間層と隣接層(即ち、一般的には、ウェーハ及びキャリヤー層)とをマッチングさせることによって達成することができる。これは、好ましくは、中間層をプラズマ重合勾配層として形成することによって達成する。これに関連して、所望の分離表面が中間層及びウェーハの接触表面に沿って走る場合、換言すれば、中間層がキャリヤー層に対するよりもウェーハに対して強くなく付着させる場合には、これは特に好ましい。
【0020】
中間層を付着させた後に、別の層をキャリヤー層として付着させる。これは、好ましくは液体塗布によって(例えば、スピンコーターによって)付着させることが好ましいプラスチック組成(例えば、ポリマー)である。しかしながら、キャリヤー層は、感光コーティング、セラミック材料、金属、接着性及び/または可溶性の、及び/または有機及び/または無機物質、及び/または層組成、及び/または上述した材料の混合体からなることもできる。
【0021】
本発明によるプロセスのさらなる好ましい変更においては、キャリヤー層を、熱または光の照射によって硬化させる。
【0022】
これに関連して、キャリヤー層は、爾後の薄くするプロセス(ウェーハを薄くするための研削、研磨、切断または類似プロセス)の前に、通常はウェーハの前側(構造化されている側)を保護するための、キャリヤー層ではない普通のフィルムを付着させるプロセスを不要にする(従来技術によるプロセスにおいては遂行されていた)。もし必要ならば、及び/または好都合であれば、付着させたキャリヤー層を、機械的平滑化及び/または回転によって(例えば、スピンコーティングによって、及び/または他の適切な、及び/または必要プロセスの使用によって)平坦化及び/または平滑化することができる。この層は、熱及び/または他の適当な、または必要なプロセス(例えばUV及び/またはIR放射)によって同時に、及び/または爾後に硬化、及び/または溶解させることができる。
【0023】
爾後にレーザによって層システムの特性に関してウェーハを分割する目的のために、層システム、特にキャリヤー層の特性をその光学的、または他の材料特性に関してレーザビームの使用にマッチングさせると有利である。従って、レーザ分離中の層システムの相互作用、及び/またはその変化、または破損を阻止する、及び/または減少させるべきである。
【0024】
層システムは、(爾後の固定または保持のために)ウェーハの表面上を伸びている凹み、及び/またはデバイス、及び/または機械的構成要素(固定または保持のための)を有することができる。
【0025】
爾後の層の取扱いを更に強化、及び/または支援、及び/または容易にするために、層はガラス、金属、及び/または他の適当な有機及び/または無機材料、及び/または上述した材料の混合体の、及び/またはそれらからなる層組成のキャリヤーによって支持することができる。これに関連し、例えば研削シート、及び/または研磨シートのようなシートを使用することもできる。
【0026】
付着された層システム(少なくとも中間層及びキャリヤー層を含む)は、爾後のプロセス、取扱い、及び輸送中にウェーハ表面を担持、及び/または保護すべきであり、もし必要であれば、既に分割された構成要素(ウェーハ部分)の取り外し、及び/またはストリップが望まれるまでそれらを固定しているべきである。これに関連して、特に層特性、及び材料特性、及び/または層の厚みを調整することによって、層がさらなる長所またはマッチング特性を呈するように層を調整することが可能である。このように、層の柔軟性、付着力、及び/またはダンピング特性に影響を与え、調整することができる。これに関連して、ウェーハの表面トポグラフィを意図的に埋め込み、それによって保護することが有利である。これは特に、既にバンプアップされているウェーハを用いる場合の有利性を立証することができる。それは、このようにすると、突起している接点が機械的に保護され、また爾後に研削及び/または研磨によって薄くする際に、一般的に望ましくない接点の貫通力が減少するか、または完全に抑圧されるからである。
【0027】
付着された層システムは、幾つかの機能を有している。それらの若干に関しては、既に説明した。層システムは、ウェーハを薄くする際に機械的、及び/または化学的、またはプラズマ技術による破損からウェーハの前側を保護し、爾後のウェーハの取扱い、及び輸送によってもたらされる機械的応力を減少させ、ウェーハの前側を不純物から保護し、ソーイングフィルムとして役立ち、そして特に後側のコーティングを簡易化することを意図している。しかしながら、これに関連して、後側コーティングプロセスを分割の前に行うのか、または分割の後に行うのか、または完全に省略するのかは重要ではない。
【0028】
真空中においてキャリヤー層が、結局は、例えば脱ガスと殆ど、または全く反応しないようにキャリヤー層の材料を選択することが有利である。コーティングプロセスの場合、もし使用するキャリヤー層の材料が高い熱伝導度を有し、従ってウェーハの選択的な加熱が可能であるか、またはウェーハの熱を選択的に消散させることが可能であれば有利である。この特性は、例えば適当な充填材を追加することによって達成することができる。更に、キャリヤー層の材料を、温度変動の下におけるその挙動に関してウェーハの材料とマッチするように(例えば、ウェーハ材料と、キャリヤー材料とが極めて類似した熱膨張係数を有するように)選択すれば有利であることが多い(例えば、キャリヤー層の熱膨張係数とウェーハの熱膨張係数との比は、0.9から1.1までの範囲内であることが好ましい)。
【0029】
もしウェーハが十分に薄ければ、レーザ、及び/または他の適当な機械的方法(例えば研磨材切断、及び/またはソーイング、及び/またはエッチングプロセスのような)によってウェーハを分離することが有利、及び/または必要である。これに関連して、この目的のために設けられている構造、及びマーキング(ソーイングライン)を認識することができるように、適当な光学的方法によって(好ましくは赤外スペクトルにおいて)ウェーハを徹照(トランスイルミネーション)し、位置決めする(ウェーハ上の構成要素を最大可能な精度で分離することができるように位置合わせする)ことが好ましい。これに関連して、好ましくは、レーザ、及び/または別の適当に設計されたソーイング、及び/または分離用デバイスを、切断のために設けられた構造、輪郭、及び/またはライン上で移動させてそれらを切断(分離)する(レーザの場合には、そのビームによって)。この手順を監視し、オプションとして、光学的、電気的、または機械的測定及び調節デバイスのような適当なデバイスによって精密に調整する。ウェーハの分離中、または分離後に、形成された粒子、ガス、及び塵を、適当なデバイスによって除去し、吹き飛ばし、吸い込み、または洗浄することが意図されており、そのようにすることは可能である。しかしながら、分離のためにエッチングプロセスを使用することもできる。
【0030】
もしウェーハの薄くされた後側を金属化、及び/または後側を構造化するのであれば、それをウェーハの分割の前に遂行することが有利である。このようにすると、そのようにしなければもたらされる分離縁上のコーティングの露出、及び/または破損を回避することができる。安定化、及び/または支持の目的のためには、ウェーハを上述したキャリヤー層と共に、別の層、及び/またはキャリヤーによって保持、または固定すると有利である。
【0031】
本発明は、ウェーハ、またはこの時点においては既に分割されているウェーハの部分の組成を、その後側をコーティングする目的で真空中で処理することをも可能にする。これに関連して、例えば、特に真空中におけるスパッタリング、蒸着、及び/または他の適当な方法によって金属層を付着させることができる。これに関連して、コーティング中に300℃を越える温度が可能である。
【0032】
本発明による好ましいプロセスにおいては、層システムが、キャリヤー層のウェーハ側ではない側上に配置されている1つの層を含み、この層は(a)フィルムの形状であるか、または(b)無機及び/または有機材料の組成の形状である。
【0033】
計画された処理ステップが完了した後に、付着したキャリヤー層を再度ストリップすることが必要、または有利である。好ましくは、この目的のために、(別の)フィルム(例えば、ブルーテープ)をウェーハの後側に付着させ、次いで前側に付着しているキャリヤー層を除去する。この層をストリップする時に、除去を容易にする目的のための機械的デバイスを使用すると有利である。しかしながら、ウェーハの表面とキャリヤー層との間に位置する中間層が、キャリヤー層、及び/または分割された構成要素のストリップを容易にする。これに関連して、中間層の2つの側の一方において特定的に分離を発生させるように、中間層の両側の個々の付着特性を別々に調整することができる。分離の際に、中間層をウェーハ表面上に留めておくことも、またはキャリヤー層と一緒に除去することもできる。しかしながら、代替として、ウェーハの分割された部分を、キャリヤー層から直接取り除く、及び/または剥離することも好都合である。キャリヤー層の結合力、または付着特性を弱めるために、UVまたはIR光の照射、熱処理、及び/または他の適当な方法によって結合力、及び/または付着特性を弱めることが有利、及び/または望ましい。
【0034】
本発明による好ましいプロセスにおいては、ウェーハの後側を、(i)研磨、(ii)ラッピング、(iii)湿式化学エッチング、及び/または(iv)プラズマエッチングによって薄くする。これに関連して、研磨は、例えば研削であることができる。
【0035】
本発明による特に好ましいプロセスは、
a)中間層がウェーハの前側、及びキャリヤー層と接触するように、層システムをウェーハの前側に付着させるステップと、
b)キャリヤー層を硬化、及び/または焼固させるステップと、
c)ウェーハの後側を薄くするステップと、
d)ウェーハの後側を平滑化し、この平滑化によって、好ましくはウェーハの分割がもたらされるか、または促進されるように、及び/またはウェーハの薄くされた後側のコーティングが促進されるようにウェーハの機械的特性を変更するステップと、
e)薄くされたウェーハの後側をコーティングし、このコーティングの間、層システムにウェーハ、及び/またはウェーハの部分を保護または担持させるステップと、
f)ウェーハの構成要素を分割し、この分割の間、層システムにウェーハ、及び/またはウェーハの部分を保護または担持させ、且つ層システムが分離しないようにするステップと、
g)中間層を、キャリヤー層から、またはウェーハから、またはウェーハの(既に分割された)部分から、好ましくは機械的に切り離すステップと、
を含む。
【0036】
本発明による特に好ましいプロセスにおいては、層システムは、中間層がウェーハの前側に付着し、且つウェーハよりも強くキャリヤー層に付着するように付着される。
【0037】
本発明は更に、上述した本発明のプロセスを実行するための装置に関する。本装置は、ユニットであるか、または互いに接続されているユニットからなるユニットシステムであることが好ましい。本装置においては、中間層を付着させるための、キャリヤー層を付着させるための、付着させた層を処理するための、薄くするための、及び構成要素を分割するためのデバイスが互いに好ましく接続されている。本発明によるプロセスを遂行するための好ましい装置は、
−ウェーハの前側と、キャリヤー層とに接触している少なくとも1つの中間層を含む層システムを、ウェーハの前側に付着させる手段と、
−ウェーハの後側を薄くする手段と、
を備え、上記ウェーハの後側を薄くする手段は、コーティングの間、層システムに、前側に層システムが設けられているウェーハ、及び/またはウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、
上記装置は、オプションとして、
−ウェーハの薄くされた後側をコーティングする手段、
を備え、上記コーティング手段は、コーティングの間、層システムに、ウェーハ、及び/またはウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、及び/または
−ウェーハの構成要素を分割する手段、
を備え、上記分割手段は、分割の間、層システムに、ウェーハ、及び/またはウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、上記分割は、分離したステップとして遂行されるか、または薄くするステップによって実現され、分割中に層システムは分離されるか、または分離されず、及び/または
−ウェーハを、研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的エッチング、及び/または物理的エッチングによって構造化する手段、
を備え、上記構造化手段は、後側を薄くする間に、または爾後に後側を処理してウェーハを分割する間に、形成される構造が開放されるように装置の他の構成要素と共働し、及び/または
−(a)ウェーハに対する付着された層システムの付着力、または(b)ウェーハの側上の層システムの隣接する層、好ましくは中間層に対するキャリヤー層の付着力を弱める手段、及び/または
−ウェーハ、またはウェーハの部分を層システムから切り離す手段、
を備えている。
【0038】
本発明による装置の好ましい構成要素は、中間層、及び/またはキャリヤー層(保護またはカバーリング層)、または(1または複数の)層の組合わせ、及び/または層システムをウェーハの前側に付着させるコーティングデバイスと、後側にコーティングを付着させるデバイスと、ウェーハを薄くするデバイスと、ウェーハ部分(ダイ)を分割するためにレーザまたはレーザ支援分離装置及び/または機械的分離装置からなることができるデバイスと、分割の後にウェーハの前側に対するキャリヤー層の(オプションとして、中間層と一緒に)付着力を弱めるデバイスと、層から構成要素をストリップするデバイスとを備えている。
【0039】
本発明の長所(本発明の第1の面)
本発明は、電子構成要素、IC、センサ等を生産するために、ウェーハの製造及び取扱いの達成を大幅に技術的ならしめる長所を可能にする。製造は簡易化され、本発明によるプロセスを用いるとより費用有効になる。更に、より簡単な、より経済的な、そしてより信頼できる手法で、ウェーハの厚みをより薄くすることができる。
【0040】
現在使用されているキャリヤー解決方法(例えば、ガラスとワックスとの組合わせ)に優る長所は、特定的には、薄いウェーハの後側をコーティングするプロセス(特に、もしこれらのコーティング手順が真空中で、及び/または熱応力の下で遂行されれば)を用いて達成される。これに関連して、付着されたキャリヤー層がウェーハ及び/または分割されたウェーハ部分を固定、及び/または機械的に支持するので、薄いウェーハ、または既に分割されている構成要素の取扱いが簡易化される。もしウェーハ表面が十分なトポグラフ的特性を有していれば、ウェーハの分割された部分はそれによっても固定される。もしウェーハ表面の前側の構造化が分割の目的のために遂行されていれば、この効果を達成及び/または支援することもできる。その結果、中間層並びにキャリヤー層が、得られる構造内に実際に組み入れられ、その後に分割されるウェーハの機械的アンカーリングが達成される。
【0041】
さらなる長所は、前側に付着させた層システムが、極めて良好に(実際、この目的のために現在使用されているフィルムよりも良好に)ウェーハ表面のトポグラフィを保護できることである。それによって、機械的に薄くするプロセス中のウェーハ表面上の突起の望ましくない貫通力を低下させるか、または排除することさえできる。
【0042】
さらなる長所は、層システムを、真空プロセス、及び/またはラッカーリングプロセス(例えば、スピンコーティング)によって付着させ得ることである。従って、キャリヤー材料のフィルムの付着、及び/またはストリッピングを回避することができる。
【0043】
更に、中間層、及びキャリヤー層(好ましくは、分離されていない)の層システムが多層であることから、ウェーハの分割された部分を通常のモノリシックウェーハのように処理し、取扱うことができる。これに関連して、層システムは輸送手段の機能をも遂行し、また製造業者と爾後の顧客及びユーザとの間の出荷にも役立つ。
【0044】
しかしながら、フィルムまたは類似物の使用と比較した時の、本発明により適用される増強された真空技術、及び層システムの熱適合性は極めて重要である。
【0045】
例1(本発明の第1の面)
以下の説明においては、ウェーハは構成要素(即ち、特定的には電子構成要素)の形成を含む製造ステップ、及び/または機械的構造化、またはコーティング手順を既に通過しているものとする。
【0046】
ウェーハの前側は、CVDプロセスによって約100nm厚のプラズマ重合層(爾後にウェーハの活性表面(前側)をカバーする層システムの1つの構成要素)でコーティングされる。これに関連して、この層の両側は個々にマッチした付着特性を有し、中間層として役立つ。これに関連して、付着特性は、ウェーハの前側に対する中間層の結合が極めて僅かであり、キャリヤー層(次のステップにおいて付着される)に対する中間層の結合が強くなるように調整される。しかしながら、これらの付着特性は、逆に調整することもできる。
【0047】
次にキャリヤー層として、ポリアミドのプラスチック組成(オプションとして、充填材で強化されている)がスピンコーティングによって付着され、次いで熱の作用の下に焼固される。
【0048】
今度は、ウェーハの後側が研削によって薄くされ、次いで表面損傷を除くために化学的にエッチングされる。これに続いてウェーハの後側は、真空装置内におけるスパッタリングによって金属でコーティングされる。この手順中にウェーハは約350℃まで加熱されるが、層システムが破壊されることはない。最後に、ウェーハは、IR放射を使用する光学的プロセスによって整列され、レーザビームによって後側から分割される。分割が完了した後に、後側はフィルム(ブルーテープ)でコーティングされ、前側のキャリヤー層が中間層と共にストリッピングされる。分割されたウェーハ部分は、ピック・アンド・プレース手順によってフィルムから取り外され、接触させられる。
【0049】
好ましい変更の概要
以下に説明する本発明の第1の面の別の好ましい変更は、特許請求の範囲の従属請求項にも記載されている。
【0050】
好ましいプロセスにおいては、ウェーハを薄くする間に構成要素を有するウェーハを処理し、爾後に構成要素を分割し、そしてオプションとしてそれらの間に製造ステップを遂行する。このプロセスにおいては、ウェーハを薄くする前に、少なくとも中間層及びキャリヤー層からなる層システムでコーティングし、ウェーハの後側のコーティング中、ウェーハの前側に付着されている層システムによってウェーハ、及び/または既に分割されている構成要素を保護、及び/または保持する。
【0051】
これとは対照的に、上述したプロセス、即ち、レーザビームを使用して構成要素を分割するか、または代替として、研磨材切断、ソーイング、及び/または割りのような機械的方法を使用して構成要素を分割するプロセスが好ましい。
【0052】
本発明による好ましいプロセスにおいては、ウェーハを薄くする間、ウェーハの前側に付着された層システムによってウェーハを保護する。
【0053】
本発明による好ましいプロセスにおいては、レーザシステムによって構成要素を分割する間、ウェーハの前側に付着された層システムによってウェーハを保護する。
【0054】
更に、本発明によるプロセスにおいては、中間層は真空技術によって付着される層であることが好ましく、またキャリヤー層はプラスチック組成からなることが好ましく、更にキャリヤー層はスピンコーターによって付着させることが好ましい。
【0055】
本発明による好ましいプロセスにおいては、キャリヤー層は熱によって硬化させる。
【0056】
本発明による好ましいプロセスにおいては、キャリヤー層はキャリヤーの機能をも遂行する。
【0057】
本発明による好ましいプロセスにおいては、キャリヤー層は幾つかの層からなる層システムである。
【0058】
本発明による更に好ましいプロセスにおいては、ウェーハの割れ特性を改善するための洗浄、及び/または化学処理は、ウェーハを薄くするステップとウェーハの分割ステップとの間に、ウェーハの後側上で遂行する。
【0059】
本発明による更に好ましいプロセスにおいては、ウェーハの部分の除去、及び/またはストリッピングの目的のために、キャリヤー層の付着力を弱める。
【0060】
本発明による更に好ましいプロセスは、電磁波での照射によって、加熱によって、化学作用によって、及び/または機械的作用によって、キャリヤー層の付着力を弱める。
【0061】
本発明による更に好ましいプロセスは、
a)構成要素が配列されているウェーハの前側を中間層でコーティングするステップと、
b)ウェーハの前側上にキャリヤー層をコーティングするステップと、
c)キャリヤー層を硬化及び/または焼固させるステップと、
d)ウェーハをその後側から所望の厚みまで薄くするステップと、
e)薄くされたウェーハを改良する目的のために、化学的及び/または機械的プロセスによってウェーハの後側を処理して機械的特性を改善するステップと、
f)ウェーハの後側を1つの層でコーティングするステップと、
g)キャリヤー層を分離することなくウェーハを分割するステップと、
h)ウェーハの部分に対するキャリヤー層の付着力を弱めるステップと、
を含み、好ましいことには、ステップe)乃至h)を如何なる順序で遂行することも可能であり、及び/またはこれらのステップの個々のステップ、または全ステップを省略することができる。
【0062】
本発明による好ましいプロセスにおいては、中間層、及び/またはキャリヤー層を付着させる前にウェーハは既に、研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的、及び/または物理的エッチングプロセスによって構造化されており、従ってこれらの構造は開放されており、薄くする処理、及び/または爾後の後側の処理中にウェーハが分割される。
【0063】
多くの場合に好ましい本発明によるプロセスにおいては、分離プロセスが省略される。
【0064】
本発明による好ましいプロセスにおいては、研削、ラッピング、湿式化学エッチング、及び/またはプラズマエッチングによってウェーハを薄くする。
【0065】
本発明による好ましいプロセスにおいては、キャリヤー層を付着させた後にフィルムの形状の別の層を付着させ、及び/またはキャリヤー層を付着させた後に無機及び/または有機組成の形状の別の層を付着させる。
【0066】
本発明によるプロセスを実施するための好ましい装置は、
a)中間層を付着させるためのコーティングデバイスと、
b)キャリヤー層を付着させるためのコーティングデバイスと、
c)ウェーハを薄くするためのデバイスと、
d)構成要素を分割するためのデバイスと、
e)ウェーハの後側をコーティングするためのデバイスと、
f)中間層に対するキャリヤー層の付着力を弱めるためのデバイスと、
g)構成要素をキャリヤー層からストリップするためのデバイスと、
を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下に図1乃至15を参照して、本発明の第1の面を詳細に説明する。
【0068】
図示したプロセスステップの順序は単なる例示に過ぎず、本プロセス、または将来プロセスから逸脱しても差し支えない。例えば、12番目のステップ(後側の金属化)の後に9番目のステップ(レーザ分離)によるウェーハの分割を遂行すると有利であることがあり得る。
【0069】
図面において、技術的な細部、サイズの関係、及びディメンションは、単なる例示に過ぎない。
【0070】
図1は、薄くされるゾーン1及び電子構成要素2を有するウェーハ(1、2)の断面図であって、両頭矢印で示す始めの厚みが例えば600μmであることを示している。
【0071】
図2は、ステップ2の後の、即ち、例えばCVDコーティングプロセスによって中間層3を付着させた後のウェーハを示している。
【0072】
図3は、ステップ3の後の、即ち、例えばポリマー(例えば、ポリアミド)からなるプラスチック組成を付着させることによって、保護及びキャリヤー層4を付着させた後のウェーハを示している。これに関連して、付着させる組成を、例えばスピンコーティングのような適当な方法によって分配及び/または平滑化すると有利である。
【0073】
図4は、ステップ4、即ち、保護及びキャリヤー層を熱処理(加温または加熱)によって、及び/またはプラスチック組成を別の適当な化学的及び/または物理的処理することによって硬化、及び/または焼固5させることを示している。
【0074】
図5は、ステップ5において裏返しにされた、即ち、機械的(研削、及び/または研磨等によって)に薄くするために機械的デバイス内へ挿入する際のウェーハを示している。
【0075】
図6は、ステップ6(研削/平滑)の後の状態を示しており、薄くされたウェーハ1b、2の断面図である。既に薄くされたゾーン1bは図式的に示されている。薄くする手順によって傷ついたゾーン6が後側に位置している。両頭矢印で示す残されたウェーハの厚みは、例えば100μmであり、ウェーハの後側に遂行された研磨を破線で示す。
【0076】
図7は、ステップ7、即ち、後側の傷付いたゾーン6を、例えば研磨7のような機械的プロセスによって、及び/または例えばエッチング8のような化学的プロセスによって除去することを示している。従って、ウェーハ1c、2は更に薄くされたゾーン1cを有している。
【0077】
図8は、ステップ8、即ち、光学的プロセスによってウェーハを整列させるステップを示している。この場合、光学式検出デバイス(例えば、IRカメラ9)によってウェーハを位置決めする、及び/または切断デバイス(例えば、レーザ11、図9参照)を位置決めするために、ウェーハの前側(活性または構造化側)に設けられている構造、及び/またはマーキング9aを認識するように適当な波長(例えば、IR放射、IR放射源10)によってウェーハを徹照すると有利である。
【0078】
図9は、ステップ9、即ち、適当な切断プロセス、この場合にはレーザ切断ヘッド11によるウェーハの分離を示している。これに関連して、ウォータージェット支援を用いた/用いないレーザビームを使用すると有利である。
【0079】
図10は、ステップ10、即ち、(好ましいが、必須ではない)ウェーハの洗浄を示している。洗浄の目的のために、適当な方法によってウェーハを洗浄すると有利である。即ちこの場合には、例えば水のような液体洗浄剤12を噴霧、及び/またはリンスすることによって、及び/または浴13として使用すると有利である。
【0080】
図11は、ステップ11、即ち、ウェーハの固定を示している。ウェーハを良好に固定して保持するには、ウェーハを(例えば、そのキャリヤー層4を介して)ホールダ14に確保及び/または固定すると有利である、及び/またはそのようにする必要がある。またこれは、別のホールダ、及び/またはボンディング、静電荷、または類似の方法のような適当な方法を使用することによって達成することもできる。本質的には、それが有利及び/または必要である限り、この例における全ての製造ステップにおいて固定及び/または保持することを意図している。
【0081】
図12は、ステップ12、即ち、後側のコーティングを示している。ウェーハの後側をコーティングするには、それを真空15中で遂行すると有利である、及び/またはそのようにする必要がある。この場合、後側のコーティング16は、例えば蒸着、及び/またはスパッタリングのような適当な方法によって、及び/または別の適当な化学的、及び/または物理的方法によって付着させた金属層からなることができる。
【0082】
図13は、ステップ13、即ち、適当な方法、及び/または例えばピックアップデバイスのようなデバイス17によって、ウェーハの分割された部分(構成要素)をストリップまたは除去することを示している。この場合、適当な化学的、及び/または物理的プロセスによって構成要素のストリッピングを支援することが有利である、及び/またはそのようにする必要がある。
【0083】
図14は、ステップ13の代替を示している。ウェーハを保持フレーム20によって固定する、及びウェーハを回転させる必要がある場合に、ウェーハの後側を別のフィルム、及び/または別のキャリヤー(例えば、ブルーテープのようなキャリヤーフィルム)上に/へ配置及び/または結合すると有利である、及び/またはそのようにする必要がある。
【0084】
図15は、図14による代替ステップ13の後のステップ。この別のシーケンスにおいては、キャリヤー層をストリップする必要がある、及び/またはそのようにすることが有利である。この場合、適当な機械的方法、及び/またはデバイス(19)を使用すると有利である。同時に、適当な化学的、及び/または物理的方法によってキャリヤー層のストリッピングを支援することが有利である、及び/またはそのようにする必要がある。中間層は(先行プロセスステップに依存して)、キャリヤー層を剥がす(図示してない)時にウェーハから意図的に除去することも、またはウェーハ上に意図的に残す(図式的に図示してある)こともできる。
【0085】
例 2
もし薄くされ、分割されるウェーハがIC、トランジスタ、ダイオード、センサ等を製造するための製造プロセス内にあれば、電気的及び機械的構造(構成要素)、及び層を付着させる製造ステップの大部分は既に通過している筈である。従って、ウェーハの上側(活性側、即ち構造が位置している側)は、中間層、及び/またはキャリヤー層でカバー、またはコーティングされている。ウェーハが上に配列されている層、及び/または層組成が、例えばフィルムによってキャリヤー上に固定され、及び/または真空吸引デバイスによって原位置に保持される。次いで、ウェーハはユニットシステム内へ送られる。次に、ウェーハを薄くするプロセスが遂行される。このようにして、例えば研削、ラッピング、及び/またはエッチングのような公知の方法によって、ウェーハの厚みが薄くされる。
【0086】
このプロセスステップ中に、またはそれに続いて、ウェーハを洗浄することができる。更に、割れ特性を改善するための化学処理が可能である。このプロセスステップが完了した後に、ウェーハをユニットシステム内へ移動させ、例えば分離デバイスに引き渡す。薄くするために1または幾つかのユニット要素を組合わせることができ、また分離するために1または幾つかの要素を組合わせることができることに注目されたい。ウェーハは、前側に付着された層、または層システムが除去されずに分離デバイスに引き渡される。これに関連して、輸送、及び爾後に層、または層システムを拡張させるためのデバイスを、縁に、及び/または層の下に、及び/または層システムの下に取付けることができる。
【0087】
次いで、ウェーハは、適当な光学的及び/または機械的システムによって、分離デバイスに対して整列される。これに関連して、赤外照射または徹照法を含むプロセスを好ましく使用することができる。ウェーハは、この特定の時点においては、未だその前側が層、または層システム上に配列されている。ウェーハを整列させた後に、ウェーハの後側は、例えばレーザビームの援助によってスライススルー、または分割される。レーザは、好ましくは直径約25μmの極めて細いウォータージェットによって案内される。レーザビームはウォータージェットの内部で移動し、ウォータージェットの内壁において全反射するので散乱損失が回避される。
【0088】
例えば、層、または層システムがウェーハの前側をカバーするのに十分に多孔質であって、ウォータージェットは層、または層システムを破壊することなく層、または層システムを通過するものとした。同時に、層及び/または層システムは無傷のままであり、分割された構成要素がフィルム上にそれらの位置を保持するものとした。しかしながら、例えば研磨材切断、及び/またはソーイング、及び/または割りのような機械的デバイスを分離のために使用することもできる。
【0089】
次に、ユニットシステムの内側を、または外側をも洗浄するプロセスが遂行される。ユニットシステムは、ウェーハの後側を機械的に、及び/または化学的にコーティングする目的のためのユニット、または装置をも含むことができる。これに関連し、特に真空技術プロセス、及びユニットが含まれる。詳述すれば、金属層は、例えばスパッタリング、及び/または蒸着、及び/または他の方法によって付着させることができる。この場合、後側のコーティングは、分離手順の前に、及び/または後に遂行できるものとしている。更にユニットシステムは、今では分割されている電気構成要素を除去するための要素によって拡張させることができる。また、キャリヤー及びラッカー層、またはフィルムを有する、またはこのような層を有していない分離されたウェーハを、カセットシステム内に挿入できることも意図している。
【0090】
キャリヤー層を有していないウェーハを挿入する場合には、キャリヤー層から分離するためのデバイスはユニットシステム内に設けられる。しかしながら、好ましくは、他の層、及び/または層システムを特定的に使用することもできる。キャリヤー層は、良好な付着特性を有するプラスチック材料からなることが好ましい。キャリヤー層とウェーハとの結合は、好ましくは中間層の付着力によって遂行される。もしキャリヤー層とウェーハとの結合が実質的に接着によって行われていれば、電磁放射(例えば、IRまたはUV放射)による加熱によって、または熱を加えることによって、キャリヤー層をストリップすることができる。
【0091】
本発明の第2の面は、技術的には第1の面に密に関連している。しかしながら、その重要な経済的重要性に関して以下に別に説明することにする。
【0092】
本発明の第2の面は、キャリヤー層(カバーリング層)、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配列されている中間層を有するウェーハ、このようなウェーハを生産するためのプロセス、ウェーハを薄くするためのプロセス、及びウェーハの後側を金属化するためのプロセスに関する。
【0093】
従来技術/開始位置(本発明の第2の面)
技術的な理由から、輸送、または次の処理ステップのために表面を保護するように、表面を一時的にカバーする必要があることが多い。広く使用されている方法は、例えば自動車を顧客まで輸送する間に塗装を保護するためにその部分を接着フィルムでカバーしたり、または一時的にビークルに宣伝用資料を貼ることからなる。更に、塗装作業(タッチアップ塗装)の場合には、修理する箇所の周囲の領域をカバーするために、フィルムで一時的にカバーすることが広く使用されている。
【0094】
同様に、現在の半導体構成要素(ダイ)の生産においては、後側処理または分離(切断による分割)に含まれる取扱いを簡易化できるようにするために、また特に実際の電子構成要素が位置しているウェーハの前側を保護するために、多くの場合、ウェーハを一時的にカバーする接着フィルム(例えば、いわゆる研削フィルム、またはブルーテープ)が使用されている。
【0095】
現在の半導体生産セクターにおける開発は、シリコンウェーハの、従ってその生産後に実際の電子構成要素のキャリヤー、及び回路の厚みを大幅に減少させる(薄くする)ことを目指している。これに関連して、現在では40−50μmの厚みを達成することができる。到達するまでには極めて遠いが、このような手順から得られるさまざまな長所については、ここでは詳細を説明することを省略する。しかしながら、例えば、ウェーハの、従ってそれから分離されるチップ(ダイ)の厚みを薄くする場合、例えば後側を金属化することによってチップ内の電子構成要素間の望ましくないクロストーク、並びに基体雑音を効果的に減少させ得ることを述べておく。この効果は、主として、シリコン層の厚みを減少させるとシリコン層の内部抵抗も減少するという事実に基づいている。更に、薄いウェーハは厚いウェーハよりも高い熱伝導度を有しているが、これは爾後の使用のためには望ましい。
【0096】
従来技術の欠点(本発明の第2の面)
しかしながら、薄い厚みは長所を提供するだけではなく、特にウェーハを更に処理する場合の困難さをももたらす。即ち、極めて薄いウェーハは益々割れ易くなり、機能コーティング内の応力によって曲がり易くなる。更に、その熱容量は極めて低くなり、爾後の処理ステップに重大な困難さと挑戦とをもたらす。これは、特に、約370℃乃至380℃の温度を使用しなければならない後側の金属化、及びコーティングされるウェーハに保証すべき真空適応性に影響を与える。ウェーハの質量が大幅に減少している、従って同様に熱容量が大幅に減少していることは、高い金属化温度によって電気回路が大幅により高度にロードされることを意味する。
【0097】
更に、従来の高度に自動化されたプロセスにおいて極めて薄くされたウェーハを取扱うことは、機械的応力、及び既存の取扱い装置におけるさらなる可処理性の面から挑戦的である。
【0098】
現在まで、後側が金属化され、極めて薄くされたウェーハを供給することが可能な満足できる方法は工業的に実現されていなかった。それは、従来の公知の全ての型のキャリヤーフィルムが、金属化に必要な高温において分解するからである。
【0099】
現在、主としてコーティングされる表面として使用されているのは、窒化シリコン、及び/または二酸化シリコン、またはポリイミドの保護層が設けられるウェーハ表面である。しかしながら、本質的に他の材料も排除するものではない。更に、これらの表面は、一般的に電気回路によって、またはその他にウェーハを個々のダイに分離する“ダイシング”プロセスによって構造化される。
【0100】
保護、及び/または取扱いを簡易化するために、ウェーハの前側を一時的にカバーするウェーハ処理プロセスは従来技術から公知である。例えば、DE 100 29 035 C1は、処理すべきウェーハにいわゆるキャリヤーウェーハを付着させるウェーハの処理プロセスを開示している。2枚のウェーハは、接続層によって結合される。この接続層は、キャリヤーウェーハ内の孔の中に部分的に挿入され、従って孔によって露出される被処理ウェーハの部分の上に載る。被処理ウェーハの後側に対して処理ステップを遂行した後に、接続層を除去することによって、キャリヤーウェーハが再度分離される。
【0101】
US 5,981,391に開示されている半導体デバイスの製造プロセスは、ウェーハの前側を接着性媒体によって保護するステップと、ウェーハの後側を処理した後にこの接着性媒体を除去するステップと、接着性媒体を除去した後に、接着性媒体から残された接着剤の熱分解温度より高い温度までウェーハを加熱するステップとを含んでいる。
【0102】
WO 99/08322は、コーティングが常に少なくともチタンからなるようなコーティングされたウェーハを開示している。
【0103】
WO 99/48137においても同様に、ウェーハに1つの層が設けられており、この層は爾後の処理ステップ中にウェーハの前側を保護するようになっている。このような概念はDE 198 11 115 A1にも用いられており、両出願における層は、少なくともウェーハがダイに分割される後までウェーハ上に留まる。
【0104】
US 6,263,566 B1も同様に、処理ステップの後に選択された領域から除去することができるコーティングを有するウェーハを開示している。
【0105】
上述した従来技術に述べられている全てのコーティングは、それでも完全に満足できるものではなく、例えば若干の場合にはかなりの努力をしない限りウェーハから分離させることができない。更に、これらの層を付着させること自体が複雑であり、また層材料はその層が遂行しなければならないタスクに最適にマッチしないことが多い。
【0106】
本発明の目的(本発明の第2の面)
本発明の第2の面の目的は、上述した従来技術の欠点を解消することである。この目的は、キャリヤー層、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配列されている中間層を有するウェーハによって達成される。この中間層はウェーハに付着しているプラズマ重合層であり、且つキャリヤー層に対してはウェーハよりも強く付着している。これに関連して、半導体産業において普通に使用されているプロセス(中間層にはPECVD、またはプラズマ重合、またキャリヤー層の付着には好ましくはスピンコーティング)が使用されているので、より詳細な説明は省略する。
【0107】
ウェーハのためのキャリヤー層として、多くの材料を使用することができる。詳述すれば、一方では柔軟であり乍ら、一方では保護機能を遂行することができるように十分な機械的硬さを有する材料であることが好ましい。層の例はポリイミドの層であり、これらの層は、上記特色に加えて、簡単な手法でウェーハに付着させることが可能であり、また後に層を硬化させる(例えば、熱的に)ことができる。また、ポリイミドは、後側金属化に対して十分に耐熱性があるという事実からも適している。
【0108】
本発明の第2の面によれば、中間層はプラズマ重合層である。キャリヤー層に対する中間層の付着力を、ウェーハの表面に対する付着力よりも強くなるように中間層の組成及び付着プロセスを選択する限り、この中間層を付着させるプロセスの実行モードが唯一のものではない。直流電圧励起からマイクロ波励起までの範囲にわたる全ての方法が可能である。また、大気圧プラズマの使用も排除するものではない。
【0109】
しかしながら、プラズマ重合中間層の生産を、低圧プラズマ重合プロセスによって遂行することが好ましい。この手順においては、プラズマコーティングプロセスの開始時のガス組成が特に重要である。残留酸素含量が高過ぎるか、または残留水分が高過ぎれば(例えば、壁堆積から)、ガス組成の著しい、且つ制御されない変化を生じ、従ってコーティングの第1単分子層が最適ではなくなる。しかしながら、単分子層は再現可能に付着特性を発生しなければならない。プラズマのトランジェント相中にこの層が堆積される場合も、コーティングのこの最適ではない第1単分子層が発生し得る。従って、第1単分子層の堆積のためには、特に必要な境界条件を確立することが好ましい。これは、例えば、オプションとして水分をフリーズアウトする、及び/またはプラズマチャンバを加熱することによって支援しながら十分に排気する(爾後の動作圧よりも10の2乃至3乗低くする)ことによって達成することも、及び/または、特にプラズマのトランジェント相中に、真空中においてコーティングされるウェーハを一時的にカバーする(例えば、可動スクリーンによって)ことによって達成することもできる。トランジェント相の後には、プラズマプロセスによって反応器内の残留酸素含量及び残留水分は大幅に減少するので、十分に安定な状態が確立される。もし必要ならば、例えばガス組成、出力、及び/または圧力のような反応パラメータを変化させることによって、ウェーハに対する中間層の付着特性を得ることができる。中間層の厚みは、好ましくは1乃至1000nm、より好ましくは10乃至500nm、特に好ましくは50乃至200nmである。
【0110】
好ましくは、本発明による対象のウェーハ(ウェーハ+キャリヤー層及び中間層)は、オプションとしてドープされたシリコンからなる。ウェーハ自体は、その前側に電子構成要素を有する活性層を含み、中間層はその前側上に配列される。上述したように、もしウェーハが電子構成要素を有する活性層を含んでいればウェーハは常に不動態化層をも含み、この不動態化層は例えば窒化シリコン、及び/または二酸化シリコン、またはポリイミドからなることができる。この場合、上述した中間層はこの(ウェーハの構成要素としての)不動態化層上に配列される。ウェーハの前側は、電子構成要素を有する活性層の位置によって定義される。ウェーハの活性層が配列されているこの側を、ウェーハの前側と称する。
【0111】
本発明による好ましいウェーハ(ウェーハ+中間層及びキャリヤー層)においては、中間層は勾配層であるか、及び/またはキャリヤー層に隣接する接着性ゾーン及びウェーハに隣接する弱接着性ゾーン、並びにオプションとして移行ゾーンを含み、接着性ゾーン及び弱接着性ゾーンは異なる物質からなる。これに関連し、弱接着性ゾーンとは、“接着性ゾーン”がその関連基体(キャリヤー層)に対して付着するよりも弱く基体(ウェーハを有していない)に付着するゾーンである。
【0112】
プラズマ重合中間層の堆積プロセスの範囲内において、中間層が接着性ゾーン及び弱接着性ゾーンを含むように、例えばガス組成によって堆積パラメータを制御することが可能である。これは、中間層を担持するウェーハの層(例えば、不動態化層)が、使用されているキャリヤー層と類似する、または同一の接着特性を有している場合には特に有用である。堆積材料を適当に選択することによって、中間層に接する層(キャリヤー層及びウェーハの担持層)に対する接着性ゾーン及び弱接着性ゾーンの付着特性を正確に調整することができる。
【0113】
低圧プラズマ重合によって中間層を形成させることは、DE 100 34 737 C2から公知である。しかしながら、この特許に記載されているプラズマ重合中間層は、(本発明によるウェーハの中間層とは対比的に)それが金属基体(即ち、それが付着されている層)に対して優れた付着力を有していること、弱接着特性への移行を堆積プロセス中に段階状に発生させることを特徴としている。このような中間層は、典型的には、液体モールド開放剤を不要にすることを可能にするために、プラスチック処理において金属モールドをコーティングする際に使用されている。中間層を適当にマッチングさせることによって、この層に付着されるプラスチック材料を、残滓を残さずにモールドから取り外すことができる。
【0114】
驚くべきことには、ウェーハ処理に使用可能な中間層は、上記DE 100 34 737 C2に記載されているプロセスとは全く逆の方法で遂行される堆積プロセスによって得ることができる。従って、プラズマ重合中間層のための堆積条件は、上記DE 100 34 737 C2によるプロセスとは対照的に、弱接着性ゾーンを有する中間層を先ず堆積させるように選択しなければならない。このようにすると、キャリヤー層を(最後に堆積された中間層の接着性ゾーンに)付着させた後に、弱接着性ゾーンとウェーハとの間を分離させることができるようになる。
【0115】
本発明による好ましい対象(ウェーハ+キャリヤー層及び中間層)、特に、上述した好ましい変更の1つにおいては、ウェーハの側上に、始めは液体前駆体であり、爾後に総合コーティングの一体構成要素になる中間層を形成させる。
【0116】
もしコーティングすべきウェーハを真空チャンバ内へ導入する(低圧プラズマの場合)前に液体前駆体で薄く濡らせば、中間層の特に良品質の弱接着特性を達成することができる。この前駆体は、
−真空中において本質的な部分が蒸発すべきではないこと、
−分離活性物資(例えば、Wacker Chemie製のAK5乃至AK50のようなシリコンオイル)であるべきこと、
という要求を満足しなければならない。
【0117】
当業者ならば、液体前駆体を、プラズマ重合中間層の化学に好ましくマッチングさせることができよう。また、爾後のプラズマプロセスによって前駆体がプラズマ重合コーティングの部分になるように、前駆体は好ましくは薄く(例えば、0.1乃至50nm)塗布すべきである。これに関連して、初期液体前駆体が中間層内に完全に統合されることが特に好ましい。液体前駆体は、好ましくは浸漬、噴霧、またはスピンコーティングによって基体(ウェーハ)に塗布し、ウェーハの後側(即ち、前側とは反対側のウェーハの側)のコーティングは回避すべきである。
【0118】
このようにして塗布された液体前駆体は、プラズマ重合の第1のステップにおいて、プラズマの活性要素(電子、陽子、イオン等)に曝される。これにより、通常は、前駆体分子相互の橋かけ(ポリマーチェーン、または三次元ポリマーフレームワーク)と、ガス相から堆積された層との橋かけとが発生する。このようにして、始めは液体であった前駆体は、プラズマ重合転移コーティングの一体化構成要素になり、従って、爾後にそれと共にウェーハから除去することができる。
【0119】
当業者ならば、液体前駆体の型、及びコーティングの厚み(基体上の)を、また、始めは液体の前駆体のプラズマ重合コーティングへの大規模集積、好ましくは完全な集積が生ずるように、爾後の相互にプラズマ重合コーティングするステップをマッチさせることができよう。これは、中間層を除去した後に、例えばウェーハの前側の接触角を測定することによってチェックすることができる。ウェーハの前側上の如何なる前駆体残滓も、X線光電子分光法(XPS)によって検出することができる。
【0120】
これもまたもし必要ならば、このような液体前駆体を使用することによって、プラズマによる合計コーティング時間を短縮することもできる。
【0121】
本発明による好ましい対象(ウェーハ+中間層及びキャリヤー層)は、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、特に好ましくは少なくとも400℃までの温度において、中間層が殆ど変化することなくウェーハに、及びキャリヤー層に付着する。もし、ウェーハのさらなる処理の枠組みの中で層の高温ローディング(例えば、後側金属化)を計画しているのであれば、耐高温特性が特に重要である。
【0122】
もし液体前駆体を使用すれば、上述した橋かけに起因して液体解除剤としてのその特性を失う。液体前駆体は、プラズマ重合コーティングと一体の部分になる。これにより、それは対応する温度安定性をも達成する。
【0123】
本発明による好ましい対象は、実質的に残滓を生ずることなく中間層をウェーハからストリップすることができる。本発明による特に好ましい対象は、完全に残滓を生ずることなく中間層をウェーハからストリップすることができる。キャリヤー層も中間層と共にウェーハからストリップされるから、ウェーハをキャリヤー層によって(オプションとして、中間層によっても)保護しながら、例えば、後側を金属化する、ウェーハを薄くする、ダイに分割するのような多くのさらなる処理ステップを遂行することができる。キャリヤー層を適切に変更することによって、更に、機械に実行させるさらなる処理計画にウェーハをマッチさせることもできる。分割の後に、可能な限り残滓を残さずに中間層及びキャリヤー層をストリップすることによって(電子構成要素の接触が行われる領域においては特に重要である)、邪魔なキャリヤー層を伴わない個々のダイ(チップ)をそれらの評価ステージへ引き渡すことができる。
【0124】
これに関連して、本発明によるウェーハが好ましいのは、中間層とウェーハとを機械的に切り離す(例えば、剥離プロセスによって)ことができるからである。
【0125】
処理ステップの後、ウェーハ(及び、それから作られたチップ)は一般的に極めて鋭敏である。この理由から、ウェーハが化学的な、または熱的な応力を受けないようにすることが望ましい。中間層の付着力は(前述したように)意図的に変化させることができるから、ウェーハまたはチップにとって機械的な切り離しに要する機械的ローディングが高過ぎることがないようにこれらを調整することができる。適当なプロセスによって、ウェーハの個々のチップへの分離を、切り離しと同時に行うことができる(ウェーハ内の計画された分離ラインに沿って例えばソーイングによって、または、レーザを使用することによって既に凹みが作られている場合には、もし先行ステップにおいてウェーハが十分に薄くされれば)。
【0126】
本発明による好ましい対象は、キャリヤー層はポリマー材料からなる。この材料に対しては、一般に、爾後のプロセスのために好ましくは400℃までの十分な温度安定性が要求される。更に、材料は、好ましくはスピンコーティングによって付着可能であるべきであり、また可能な限り高い熱伝導度及び熱容量を有するべきである。更に、内部応力は極めて低くすべきであるか、または曲がりを防ぐために、薄くされたウェーハの内部応力とマッチさせるべきである(既存のデバイスは、平坦なウェーハだけしか無欠陥で処理できないからである)。好ましくは、キャリヤ層の層厚は、ウェーハを薄くすることによって除去された厚みが補償されるように調整可能であるべきである。もし付着方法によってキャリヤー層を十分に平坦にすることができなければ、これらの条件を満足させるために研削、または研磨方法をも使用すべきである。
【0127】
本発明による好ましい対象においては、ウェーハ上に配列されている中間層の熱伝導度は、ウェーハの熱伝導度よりも多くとも10%だけ低い。
【0128】
特にウェーハの後側が金属化され、特にウェーハが高度に薄くされている場合には、熱の散逸が十分に保証されなければ活性層内の電子構成要素の部分を破壊しかねない高い熱応力を受けることになるから、中間層の熱伝導度が高いことが有利である。もし中間層が、そして理想的にはキャリヤー層も適切な熱伝導度特性(特に好ましくは、高い熱容量)を有していれば、活性ゾーン内の熱応力の減少が保証される。
【0129】
コーティング(キャリヤー層+中間層)は、もしそれが例えば取扱い、またはさらなる処理のような利点を提供するのであれば、後側にも付着させることができる。
【0130】
本発明はまた、キャリヤー層、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配列されている中間層とを有するウェーハの製造方法を提供し、本方法は、
a)ウェーハを供給するステップと、
b)プラズマ重合中間層がウェーハに付着しているような中間層を有するウェーハを準備するステップと、
c)中間層がウェーハに対するよりもキャリヤー層により堅固に付着するように、キャリヤー層を中間層に付着させるステップと、
を含み、好ましくはウェーハの前側は電子構成要素を有する活性層を含み、中間層はこの前側上に配列される。
【0131】
これに関連して、もしステップb)において、中間層をウェーハ上に堆積させるのであれば、形成される中間層が勾配層であるか、及び/またはキャリヤー層を付着させるための接着性ゾーン、及び/またはウェーハに接する弱接着性ゾーン、並びにオプションとして移行ゾーンを含むように堆積条件を時間と共に変化させることが好ましい。
【0132】
これに関連して、ステップb)の前に、望ましい方法で中間層の弱接着性ゾーンの分離特性に影響を与えるために、分離活性物質であることが好ましい液体前駆体でウェーハを濡らすことが好ましい。本発明のプロセスにおいては、液体前駆体を浸漬、噴霧、またはスピンコーティングプロセスによってウェーハに塗布することが好ましい。最も好ましいのは、液体前駆体が橋かけされて中間層の一体構成要素になるように、本発明によるプロセスのステップb)を遂行することである。
【0133】
本発明は更に、ウェーハを薄くするためのプロセスを提供する。本プロセスは、
−キャリヤー層、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配列されている中間層とを有するウェーハを、上述した本発明によるプロセス(好ましくは、本発明の第2の面に関して説明したプロセス)によって製造するステップを含み、薄くするウェーハをステップa)において供給し、更に
−ウェーハの後側を薄くするステップ、
を含む。更に、ウェーハの後側を金属化するプロセスは、
−キャリヤー層、及びキャリヤー層とウェーハとの間に配列されている中間層とを有するウェーハを、上述した本発明によるプロセス(好ましくは、本発明の第2の面に関して説明したプロセス)によって製造し、オプションとして薄くするステップと、
−ウェーハの後側に金属層を付着させるステップと、
を含む。
【0134】
上記コメントは、好ましい変更に対しても適切に適用される。
【0135】
最後に述べた本発明による2つのプロセスは、従来技術の対応プロセスに比して簡易化されており、特にウェーハと(再剥離可能な)キャリヤー層との組合わせを考えた時に、及び中間層の特性(例えば、熱伝導度)に起因してより精密である。
【0136】
好ましくは、後側を薄くした後に、及び/または後側を金属化した後に、最後に述べた2つの本発明によるプロセスを用いて、中間層及びキャリヤー層を再度ウェーハから除去する。
【0137】
本発明によるプロセス(好ましくは、本発明の第2の面に関して記載したプロセス)は、個々の要素に分離するように準備されたウェーハを使用する場合、及び中間層及びキャリヤー層を薄くするか、または除去することによってウェーハが好ましく再度分離される場合に好ましい。これに関連して、分離プロセス中のウェーハ界面の表面上のアンダーカットが好ましく回避されることに注目されたい。
【0138】
以下に、図16及び17を参照して本発明の第2の面をより詳細に説明する。
【0139】
図16は、本発明による好ましい対象(ウェーハ+キャリヤー層及び中間層)を示す図である。この対象は、電子構成要素を有していないシリコン層1と、電子構成要素を有し且つオプションとして不動態化層によって保護されている層2と、中間層3と、キャリヤー層4とを含んでいる。
【0140】
図17は、図16に拡大鏡で示されている領域の詳細図であって、電子構成要素を有していないシリコン層1の小さい部分と、電子構成要素を有する層2と、中間層3と、キャリヤー層4の一部分とが示されている。中間層3内には、弱接着性ゾーン3a及び接着性ゾーン3bがハイライトされている。
【0141】
本発明による対象を製造するためには、図1及び2に示すような電子構成要素が形成されているシリコンウェーハ(シリコン層1、及び電子構成要素を有する層2からなる)に、先ずプラズマ重合中間層3を形成させる。この中間層は、それが構造部分の表面と対面する弱接着性ゾーン3aと、外側の接着性ゾーン3bとを含むように構成されている。これらのゾーンの間に位置している領域(図2参照)は、移行ゾーンを形成している(この移行ゾーンは、不要とすることもできる)。次いで、厚めのキャリヤー層4をプラズマ重合中間層3に付着させる。このキャリヤー層は、例えばスピンコーティング法によって、またはラッカーリングによって付着させることができる。
【0142】
接着性ゾーン3bの構造は、キャリヤー層4と接着性層3bとの間の結合を、弱接着性ゾーン3aとシリコンウェーハ(層1及び2からなる)の表面との間の結合よりも強くするために、本質的にキャリヤー層4とマッチさせなければならない。均一な厚み関係を形成させ、ウェーハの通常の取扱いを可能ならしめるために、好ましくは、キャリヤー層は爾後の作業ステージにおけるウェーハを薄くするプロセスに対応する厚みに付着させる。
【0143】
例 3 : 液体前駆体を使用する勾配層としての中間層の付着
液体前駆体としてチェーン長50の線状ポリジメチルシロキサン(AK 50, Wacker Chemie)を使用し、処理すべきシリコンウェーハに50nmの層厚で均一に塗布した。予備試験においては、AK 50は真空中において高い抵抗を呈した。次いで、準備済みのウェーハをプラズマ重合ユニット内へ導入し、以下の表1に示すパラメータを使用して更にコーティングした。これに関連して、ウェーハは、コーティング手順のパート1の間に補助デバイスによってカバーしたが、このカバーリングはパート2の開始時に除去された。このカバーリングは、ウェーハをプラズマに曝す前に、安定なプラズマ及びガス状態を発生させるのに役立つ。典型的には、プラズマプロセスの開始時に実際にトランジェント相が発生し、これは界面に、及び/または液体前駆体に望ましくない影響を及ぼし得る(上述)。
【0144】
【表1】

【0145】
このコーティングは、コーティングされたウェーハの弱接着特性を失うことなく、400℃において30分にわたって熱処理することができた。
【0146】
適当なキャリヤー層を付着させた後に、中間層全体を完全にウェーハ表面からストリップすることができた。楕円偏光法(エリプソメトリ)によって、無残滓除去を確認することができた。この極めて高感度の層厚測定プロセスを使用しても、残滓を検出することはできなかった。弱接着性コーティングのストリッピング力は、上述した熱処理プロセスによって影響を受けることはなかった。分離面は、常にウェーハ側にあった。(注:もし中間層を干渉色を発生するような層厚に付着させれば、ブランクウェーハ上でこれを光学的に容易に監視することができる。更に、濡れ角測定でも、比較的大きい横方向領域で弱接着性層がウェーハ表面上に残っていないことを確認することができた)。
【0147】
例 4 : 液体前駆体を使用する勾配層より薄い中間層の付着
手順は例3を参照されたい。パラメータは次の表2に示す。
【0148】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】薄くするゾーン及び電子構成要素を有するウェーハの断面図である。
【図2】ステップ2の後の、ウェーハを示す図である。
【図3】ステップ3の後の、ウェーハを示す図である。
【図4】プラスチック組成を熱処理(加温または加熱)、及び/または別の適当な化学的及び/または物理的処理によって硬化、及び/または焼固するステップ4を示す図である。
【図5】ステップ5において、機械的デバイス内へ挿入する際のウェーハを示す図である。
【図6】ステップ6(研削/平滑)後の薄くされたウェーハを示す断面図である。
【図7】後側の傷付いたゾーンを、除去するステップ7を示す図である。
【図8】光学的プロセスによってウェーハを整列させるステップ8を示す図である。
【図9】適当な切断プロセスであるステップ9を示す図である。
【図10】ウェーハを洗浄するステップ10を示す図である。
【図11】ウェーハを固定するステップ11を示す図である。
【図12】後側をコーティングするステップ12を示す図である。
【図13】ウェーハの分割された部分(構成要素)をストリップまたは除去するステップ13を示す図である。
【図14】ステップ13の代替を示す図である。
【図15】図14によるステップ13の代替の後のステップを示す図である。
【図16】本発明による層システムを示す図である。
【図17】図16に拡大鏡で示されている領域の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側(前側)の上に構成要素(2)を担持しているウェーハ(1、2)を処理するプロセスにおいて、
−前記ウェーハ(1、2)の前側に、前記ウェーハ(1、2)の前側と接触する少なくとも1つの中間層(3)と、キャリヤー層(4)とを含む層システムを付着させるステップと、
−前記ウェーハ(1、2)の後側を薄くするステップと、
を含み、前記後側を薄くする間、前記層システムが前記ウェーハ、または前記ウェーハの部分を保護または担持(保持)する、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
−前記ウェーハの薄くされた後側(1c、2)をコーティングする付加的なステップを含み、前記コーティングの間、前記層システムが前記ウェーハ(1c、2)、または前記ウェーハの部分を保護、または担持する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
−ウェーハを分割する(1、2;1c、2)特色を有し、前記分割の間、前側層システムが前記ウェーハ、または前記ウェーハの部分を保護、または担持し、前記分割は別のステップとして遂行されるか、または前記薄くすることによって遂行され、前記層システムは分割中に分離されるか、または分離されない、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
−前記ウェーハ(1b、2)の後側を平滑にする付加的なステップを有し、前記平滑によって前記ウェーハ(1b、2)の分割が遂行、または促進され、及び/または前記ウェーハ(1c、2)の薄くされた後側のコーティングが促進されるような手法で前記ウェーハの機械的特性を変更する、
ことを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ウェーハ(1、2)の前側上に前記層システムを形成させる前に、
−前記ウェーハを構造化する付加的なステップを有し、前記構造化は、前記ウェーハ(1c、2)の後側を薄くする間に、または爾後の後側の処理及び前記ウェーハの分割の間に、形成された構造が開放されるように研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的エッチング、及び/または物理的エッチングによって遂行される、
ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項6】
前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を分割するために、(a)レーザビームを、または(b)好ましくは研磨材切断、ソーイング、または破断のような機械的方法を使用する、
ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項7】
前記分割の後に、
−(a)前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に対する前記層システムの付着力、または(b)前記ウェーハ側上の前記層システムの隣接層、好ましくは中間層(3)に対する前記キャリヤー層(4)の付着力を弱めるステップを含む、
ことを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項8】
前記(a)の層システムの場合の、または前記(b)のキャリヤー層の場合の前記付着力の弱めは、(i)電磁放射の照射、(ii)熱作用、(iii)化学作用、及び/または(iv)機械的作用によって達成する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記中間層(3)は、前記キャリヤー層(4)から、または前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)から、または前記ウェーハの部分から、機械的に切り離されることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項10】
前記層システムの前記中間層(3)は、真空技術によって付着されることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項11】
前記キャリヤー層(4)は、プラスチック組成からなることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項12】
前記キャリヤー層(4)は、スピンコーターによって付着されることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項13】
前記キャリヤー層(4)は、熱または光の照射によって硬化されることを特徴とする請求項1乃至12の1つに記載のプロセス。
【請求項14】
前記層システムは、前記キャリヤー層(4)のウェーハ側ではない側上に配置されている1つの層を含み、この層は(a)フィルムの形状であるか、または(b)無機及び/または有機材料の組成の形状であることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項15】
前記ウェーハの後側は、(i)研磨、(ii)ラッピング、(iii)湿式化学エッチング、及び/または(iv)プラズマエッチングによって薄くされることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項16】
前記プロセスは、
a)前記中間層(3)が前記ウェーハ(1、2)の前側及び前記キャリヤー層(4)と接触するように、前記層システムを前記ウェーハ(1、2)の前側に付着させるステップと、
b)前記キャリヤー層(4)を硬化、及び/または焼固させるステップと、
c)前記ウェーハ(1、2)の後側を薄くするステップと、
d)前記ウェーハ(1、2;1b、2)の後側を平滑化し、この平滑によって、好ましくは前記ウェーハ(1、2;1b、2)の分割がもたらされる、または促進されるように、及び/または前記ウェーハ(1、2;1b、2)の薄くされた後側のコーティングが促進されるように前記ウェーハ(1、2;1b、2)の機械的特性を変更するステップと、
e)前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の薄くされた後側をコーティングし、このコーティングの間、前記層システムに前記ウェーハ、及び/または前記ウェーハの部分を保護または担持させるステップと、
f)前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の構成要素を分割し、この分割の間、前記層システムに前記ウェーハ、及び/または前記ウェーハの部分を保護または担持させ、且つ前記層システムが分離しないようにするステップと、
g)前記中間層(3)を前記キャリヤー層(4)から、または前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)から、または前記ウェーハの部分から、オプションとして機械的に切り離すステップと、
を含むことを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項17】
前記層システムは、前記中間層(3)が前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の前側に付着し、且つ前記ウェーハよりも強く前記キャリヤー層(4)に付着するように付着されることを特徴とする先行請求項の1つに記載のプロセス。
【請求項18】
先行請求項の1つに記載のプロセスを遂行するための装置であって、
−ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の前側と、キャリヤー層(4)とに接触している少なくとも1つの中間層(3)を含む層システムを、前記ウェーハの前側に付着させる手段と、
−前記ウェーハ(1、2)の後側を薄くする手段と、
を備え、前記ウェーハの後側を薄くする手段は、前記コーティングの間、前記層システムに、前記ウェーハ、及び/または前記ウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、
上記装置は、オプションとして、
−前記ウェーハ(1b、2;1c、2)の薄くされた後側をコーティングする手段を備え、上記コーティング手段は、前記コーティングの間、前記層システムに、前記ウェーハ、及び/または前記ウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、及び/または
−前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の構成要素を分割する手段を備え、前記分割手段は、前記分割の間、前記層システムに、前記ウェーハ、及び/または前記ウェーハの部分を保護、または担持させるように設計されており、前記分割は分離したステップとして遂行されるか、または薄くするステップによって実現され、前記層システムは前記分割中に分離されるか、または分離されず、及び/または
−前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を、研削、及び/またはスコアリング、及び/または化学的エッチング、及び/または物理的エッチングによって構造化する手段を備え、上記構造化手段は、後側を薄くする間に、または爾後に後側を処理して分割する間に、形成される構造が開放されるように前記装置の他の構成要素と共働し、及び/または
−(a)前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に対する前記付着された層システムの付着力、または(b)前記ウェーハの側上の前記層システム、好ましくは中間層(3)に対する前記キャリヤー層の付着力を弱める手段、及び/または
−前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を、または前記ウェーハの部分を前記層システムから切り離す手段を備えている、
ことを特徴とする装置。
【請求項19】
キャリヤー層(4)、及び前記キャリヤー層(4)とウェーハとの間に配列されている中間層(3)を有するウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)であって、
前記中間層(3)は前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に付着しているプラズマ重合化層であり、且つ前記キャリヤー層(4)に対しては前記ウェーハよりも強く付着している、
ことを特徴とするウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項20】
前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)は、実質的に、オプションとしてドープされたシリコンからなることを特徴とする請求項19に記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項21】
前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)は、その前側に電子構成要素を有する活性層(2)を含み、前記中間層(3)は前記前側上に配列されることを特徴とする請求項19または20に記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項22】
前記中間層(3)は勾配層であるか、及び/または前記キャリヤー層(4)に隣接する接着性ゾーン(3b)及び前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に隣接する弱接着性ゾーン(3a)、並びにオプションとして移行ゾーンを含み、前記接着性ゾーン(3b)及び弱接着性ゾーン(3a)は異なる物質からなることを特徴とする請求項19乃至21の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項23】
前記中間層(3)は、一体構成要素として始めは液体前駆体を前記ウェーハの側上に含むことを特徴とする請求項19乃至22の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項24】
前記中間層(3)は、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、特に好ましくは少なくとも400℃までの温度において、前記ウェーハと、前記キャリヤー層(4)とに付着されることを特徴とする請求項19乃至23の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項25】
前記中間層(3)は、実質的に残滓を生ずることなく前記ウェーハからストリップできることを特徴とする請求項19乃至24の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項26】
前記中間層(3)と前記ウェーハとは、機械的に切り離すことができることを特徴とする請求項19乃至25の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項27】
前記キャリヤー層(4)は、ポリマー材料からなることを特徴とする請求項19乃至26の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項28】
前記中間層(3)は、前記ウェーハの熱伝導度よりも多くとも10%だけ低い熱伝導度を有していることを特徴とする請求項19乃至27の1つに記載のウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)。
【請求項29】
キャリヤー層(4)、及び前記キャリヤー層(4)とウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)との間に配列されている中間層(3)とを有するウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の製造プロセスにおいて、
a)ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を供給するステップと、
b)プラズマ重合化中間層(3)が前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に付着されているような中間層(3)を有する前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を準備するステップと、
c)前記中間層(3)が、前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に対するよりも前記キャリヤー層(4)に対してより堅固に付着するように、前記キャリヤー層(4)を前記中間層(3)に付着させるステップと、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項30】
前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)は、その前側に電子構成要素を有する活性層を含み、前記中間層(3)は前記前側上に配列されていることを特徴とする請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記ステップb)において、前記中間層(3)は前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)上に堆積され、前記堆積は、形成される前記中間層(3)が勾配層であるか、及び/または前記キャリヤー層(4)を付着させるための接着性ゾーン(3b)、及び/または前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に接する弱接着性ゾーン(3a)、並びにオプションとして移行ゾーンを含むように堆積条件を時間と共に変化させることを特徴とする請求項29または30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)は、前記ステップb)の前に液体前駆体で濡らすことを特徴とする請求項29乃至31の1つに記載のプロセス。
【請求項33】
前記液体前駆体は、分離活性物質であることを特徴とする請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記液体前駆体は、浸漬、噴霧、またはスピンコーティングプロセスによって前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)に塗布されることを特徴とする請求項32または33に記載のプロセス。
【請求項35】
前記ステップb)は、前記液体前駆体が橋かけされて前記中間層(3)の一体構成要素になるように遂行されることを特徴とする請求項32乃至34の1つに記載のプロセス。
【請求項36】
ウェーハ(1、2)を薄くするプロセスにおいて、
−キャリヤー層(4)、及びキャリヤー層(4)とウェーハ(1、2)との間に配列されて
いる中間層(3)を有する前記ウェーハ(1、2)を、請求項29乃至35の1つに記載のプロセスによって製造するステップを含み、前記薄くするウェーハ(1、2)は前記ステップa)において準備し、更に
−前記ウェーハ(1、2)の後側を薄くするステップ、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項37】
ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の後側を金属化するプロセスにおいて、
−キャリヤー層(4)、及び前記キャリヤー層(4)とウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)との間に配列されている中間層(3)を有する前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)を、請求項29乃至36の1つに記載のプロセスによって製造し、オプションとして薄くするステップと、
−前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の後側に金属層を付着させるステップと、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項38】
中間層(3)及びキャリヤー層(4)は、前記後側が薄くされた後に、及び/または前記後側が金属化された後に、前記ウェーハ(1b、2;1c、2)から再度除去されることを特徴とする請求項36または37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記ステップa)において、個々の要素に分離するように準備されたウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)が供給されることを特徴とする請求項29乃至38の1つに記載のプロセス。
【請求項40】
オプションとして、前記後側金属化を除き、前記ウェーハ(1、2;1b、2;1c、2)の個々の要素への分離は、前記中間層(3)及び前記キャリヤー層(4)を薄くするか、または除去することによって遂行されることを特徴とする請求項39に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2006−508540(P2006−508540A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556221(P2004−556221)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013434
【国際公開番号】WO2004/051708
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505201168)フラウンホファー ゲゼルシャフト ツール フェルドルンク デル アンゲヴァントテン フォルシュンク エー ファウ (10)
【出願人】(505201227)