説明

ウエハトレイ、それを用いた検査装置および検査方法

【課題】ウエハスケールレンズおよびウエハスケールカメラモジュールを、ウエハレベルで検査するトレイを用いることによって、検査時間を短縮する方法の提供。
【解決手段】検査装置100は、遮光筺体104内に、検査対象となるウエハスケールレンズ2を保持するウエハトレイ1と、テスト用の被写体101と、検査用のマスターチップである受光部103と、受光部103を保持する保持台102とを備えている。検査装置100は、被写体101と、受光部103との間に配置されたウエハスケールレンズ2の撮像テストを、ウエハレベルで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハトレイ、それを用いた検査装置および検査方法に関し、より詳細には、ウエハスケールレンズまたはウエハスケールカメラモジュール用のウエハトレイ、そのウエハトレイを用いたウエハスケールレンズまたはウエハスケールカメラモジュールの検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、カメラ付携帯電話、監視カメラなどの普及に伴い、それらに使用される固体撮像装置(カメラモジュール)の需要も増大し、且つ、適用の必要性から小型化、高信頼性、コストダウンの要求が高まっている。そのような要求を満たすカメラモジュールの製造方法として、半導体チップである撮像素子に、ウエハ状態のままレンズを搭載したウエハスケールパッケージ化することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2には、複数のカメラモジュールを、ウエハスケールパッケージ化することによって、ウエハスケールでカメラモジュールを製造する方法が開示されている。この方法を採用すると、カメラモジュールへの実装部品数を低減すると共に、半導体チップに光学レンズを直接実装する事ができる。その結果、カメラモジュールを個々に製造する場合に生じる組み立てばらつき、および、その組み立てばらつきが原因となるレンズの集光能力低下を招くことなく、カメラモジュールの実装サイズの小型化を図ることが可能になる。
【0004】
一方、製造されたカメラモジュールの出荷前には、カメラモジュールの評価が行われる。例えば、特許文献3には、イメージセンサパッケージの良否を、カメラモジュールに組み付ける前に評価する検査方法が開示されている。この検査方法では、ウエハスケールのイメージセンサパッケージを、個々のイメージセンサパッケージに個片化(分離)した後、イメージセンサパッケージを1つ1つ検査する。
【0005】
また、特許文献4には、カメラモジュールの分野ではないものの、ICパッケージの検査方法が開示されている。この検査方法でも、個々に分離されたICパッケージを、1つ1つ検査する。さらに、この検査方法では、ICパッケージが、加圧された状態で検査が行われる。
【0006】
一方、特許文献5には、カメラモジュールに適用されるレンズの検査方法が開示されている。この検査方法でも、個々に分離されたレンズを、1つ1つ検査する。
【特許文献1】特表2005−539276号公報(2005年12月22日公表)
【特許文献2】特開2004−63751号公報(2004年2月26日公開)
【特許文献3】特開2007−163453号公報(2007年6月28日公開)
【特許文献4】特開平7−12894号公報(1995年1月17日公開)
【特許文献5】特開2005−331345号公報(2005年12月2日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の検査方法は、ウエハスケールのカメラモジュールまたはレンズを、個片化した後検査するため、検査時間が非常に長いという問題がある。
【0008】
具体的には、特許文献1および特許文献2に開示されたウエハスケールカメラモジュールまたはそのカメラモジュールに適用されるウエハスケールレンズのコストダウンを図るため、特許文献3〜5の方法を用いて、出荷判定のための撮像テスト(検査)を高効率化するとする。
【0009】
例えば、特許文献3の検査方法を適用した場合、まず、個片化されたカメラモジュールが収納されたトレイから、カメラモジュールを1つずつ移送ユニットによって載置ユニットに移し替える。次に、載置ユニットの上部に設置された検査用チャート(被写体)および光源によって、撮像テストを行うことになる。しかし、この検査方法では、検査前に、ウエハスケールカメラモジュールを個片化する必要がある上、個片化したカメラモジュールも、1〜数個ずつ程度しかテストできない。このため、載置ユニットへの搬送時間も、テスト時間も非常に長くなる。
【0010】
一方、特許文献4の検査方法は、ICパッケージの検査方法であって、カメラモジュールの検査方法ではない。このため、カメラモジュールに適用することはできない。仮に適用したとすると、特許文献4の検査方法は、個片化されたカメラモジュールを複数個トレイに収納した状態で、テストが可能である。このため、移送ユニットによりカメラモジュールを1つずつ搬送する特許文献3の検査方法に比べると、処理能力は向上するとも考えられる。しかし、特許文献4の検査方法を適用した場合、ウエハスケールカメラモジュールの上部に、ウエハスケールカメラモジュールを加圧するためのコンタクトプッシャーが配置される。このため、コンタクトプッシャーが、邪魔になって、カメラモジュールの上面に設置された検査用チャートや光源を撮像することができない。このため、特許文献4の検査方法は、カメラモジュールの検査に適用することはできない。
【0011】
また、特許文献5の検査方法を適用した場合、特許文献3と同様に、検査前に、ウエハスケールカメラモジュールを個片化する必要がある。このため、個片化されたカメラモジュールを検査場所へ搬送する搬送時間も、テスト時間も非常に長くなる。
【0012】
このように、特許文献3〜5の検査方法を、ウエハスケールカメラモジュールに適用すると、ウエハ状態のカメラモジュールを、個々のカメラモジュールに分離した後、検査する必要がある。従って、搬送時間が長く、検査効率も悪くなるため、検査時間が非常に長いという問題がある。このような問題は、カメラモジュールに適用されるレンズを複数有するウエハスケールレンズを検査する場合にも生じる。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウエハスケールレンズおよびウエハスケールカメラモジュールを、ウエハレベルで検査することによって、検査時間を短縮できるウエハトレイ、それを用いた検査装置および検査方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のウエハトレイは、上記の課題を解決するために、カメラモジュールに用いられるレンズを複数有するウエハスケールレンズを保持し、ウエハスケールレンズの検査装置に用いられるウエハトレイであって、
ウエハスケールレンズを保持した状態で、検査対象となるレンズの評価ができるようになっていることを特徴としている。
【0015】
上記の発明によれば、ウエハスケールレンズの撮像テストを、ウエハ状態で行う。つまり、ウエハスケールレンズを個々のレンズに分離する前に、撮像テストを行う。これにより、分離した個々のレンズを検査装置に搬送する必要がなくなる。しかも、多数のレンズを同時に検査することができる。従って、ウエハスケールレンズの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0016】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールレンズが挟持される2枚のトレイを備えており、各トレイには開口が形成されており、レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズ光学部が配置される一方、ウエハスケールレンズの裏面に接するトレイに形成された開口内に、検査用の受光部が配置されるように、ウエハスケールレンズが保持されていてもよい。
【0017】
上記の発明によれば、2枚のトレイにウエハスケールレンズが挟持される。また、各トレイには、開口が形成されているため、ウエハスケールレンズを挟持した状態で、ウエハスケールレンズの撮像テストを行うことができる。
【0018】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズの画角が確保されることが好ましい。上記の発明によれば、ウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに、レンズの画角を妨げない大きさの開口が形成されている。このため、レンズによる撮影は、開口によって妨げられない。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0019】
本発明のウエハトレイでは、レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイが、遮光性を有することが好ましい。上記の発明によれば、遮光性を有するトレイによって、画角外の光が遮断または吸収される。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0020】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールレンズが、吸着保持されてもよい。これにより、ウエハスケールレンズの製造工程時に発生した反りやあおりを、矯正及び吸収する事ができる。このため、撮像テストで重要な画角ズレ等軽減できる。従って、正確な撮像テストを実施する事ができる。
【0021】
本発明のウエハトレイでは、レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接する吸着口を備えており、上記吸着口は、レンズ光学部を避けて形成されていてもよい。上記の発明によれば、吸着口が、レンズ光学部を避けて形成されている。つまり、吸着口は、平坦部に形成されている。従って、ウエハスケールレンズを確実に吸着保持することができる。
【0022】
本発明のウエハトレイでは、上記吸着口は、互いに隣接するレンズ間を仕切るように形成されていることが好ましい。これにより、ウエハスケールレンズに形成されたレンズを均一に保持することができる。
【0023】
本発明のウエハトレイでは、上記吸着口が、遮光性を有することが好ましい。上記の発明によれば、遮光性を有する吸着口によって、画角外の光が遮断または吸収される。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0024】
本発明のウエハトレイでは、レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面のみが、吸着保持されることが好ましい。これにより、ウエハトレイの構成を簡素化することができる。また、ウエハスケールレンズの裏面から受光部を接近または接触させやすくなるため、検査装置の構成を簡素化することもできる。
【0025】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールレンズの位置合わせのための位置決めガイドを備えることが好ましい。これにより、ウエハトレイの正確な位置に、ウエハスケールレンズを装着することができる。従って、ウエハスケールレンズに傷を付けずに、ウエハスケールレンズを装着および搬送することができる。
【0026】
本発明の検査装置は、前記いずれかのウエハトレイを備えることを特徴としている。また、本発明の検査方法は、前記いずれかのウエハトレイを用いて、ウエハレベルでウエハスケールレンズを評価することを特徴としている。従って、ウエハスケールレンズの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0027】
本発明のウエハトレイは、上記の課題を解決するために、レンズと固体撮像素子とを備え、裏面に電極部が形成されたカメラモジュールを複数有するウエハスケールカメラモジュールを保持し、カメラモジュールの検査装置に用いられるウエハトレイであって、
カメラモジュールを保持した状態で、検査対象となるカメラモジュールのレンズが被写体を撮影する一方、電極部に検査用のコンタクトピンが接触できるようになっていることを特徴としている。
【0028】
上記の発明によれば、ウエハスケールカメラモジュールの撮像テストを、ウエハ状態で行う。つまり、ウエハスケールカメラモジュールを個々のカメラモジュールに分離する前に、撮像テストを行う。これにより、分離した個々のカメラモジュールを検査装置に搬送する必要がなくなる。しかも、多数のカメラモジュールを同時に検査することができる。従って、ウエハスケールカメラモジュールの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0029】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールカメラモジュールが挟持される2枚のトレイを備えており、
各トレイには開口が形成されており、
レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズ光学部が配置される一方、ウエハスケールカメラモジュールの裏面に接するトレイに形成された開口内に、検査用のコンタクトピンが配置されるように、ウエハスケールカメラモジュールが保持されていてもよい。
【0030】
上記の発明によれば、2枚のトレイにウエハスケールカメラモジュールが挟持される。また、各トレイには、開口が形成されているため、ウエハスケールカメラモジュールを挟持した状態で、ウエハスケールカメラモジュールの撮像テストを行うことができる。
【0031】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズの画角が確保されることが好ましい。上記の発明によれば、ウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに、レンズの画角を妨げない大きさの開口が形成されている。このため、レンズによる撮影は、開口によって妨げられない。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0032】
本発明のウエハトレイでは、レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイが、遮光性を有することが好ましい。上記の発明によれば、遮光性を有するトレイによって、画角外の光が遮断または吸収される。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0033】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールカメラモジュールが、吸着保持されてもよい。これにより、ウエハスケールカメラモジュールの製造工程時に発生した反りやあおりを、矯正及び吸収する事ができる。このため、撮像テストで重要な画角ズレ等軽減できる。従って、正確な撮像テストを実施する事ができる。
【0034】
本発明のウエハトレイでは、レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接する吸着口を備えており、上記吸着口は、レンズ光学部を避けて形成されていることが好ましい。上記の発明によれば、吸着口が、レンズ光学部を避けて形成されている。つまり、吸着口は、平坦部に形成されている。従って、ウエハスケールカメラモジュールを確実に吸着保持することができる。
【0035】
本発明のウエハトレイでは、上記吸着口は、互いに隣接するカメラモジュール間を仕切るように形成されていることが好ましい。これにより、ウエハスケールカメラモジュールに形成されたレンズを均一に保持することができる。
【0036】
本発明のウエハトレイでは、上記吸着口が、遮光性を有することが好ましい。上記の発明によれば、遮光性を有する吸着口によって、画角外の光が遮断または吸収される。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0037】
本発明のウエハトレイでは、レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面のみが、吸着保持されることが好ましい。これにより、ウエハトレイの構成を簡素化することができる。また、ウエハスケールカメラモジュールの裏面からコンタクトピンを接触させやすくなるため、検査装置の構成を簡素化することもできる。
【0038】
本発明のウエハトレイでは、電極部が形成されたウエハスケールカメラモジュールの裏面に接する吸着口を備えており、上記吸着口は、電極部を避けて形成されていてもよい。
【0039】
上記の発明によれば、吸着口が、電極部を避けて形成されている。つまり、吸着口は、平坦部に形成されている。従って、ウエハスケールカメラモジュールを確実に吸着保持することができる。また、電極部のコンタクタ加重によるそりを吸収しウエハの割れを防止できる。
【0040】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールカメラモジュールの裏面のみが、吸着保持されることが好ましい。これにより、ウエハスケールカメラモジュールの裏面からそりを吸収しウエハの割れを防止できる。
【0041】
本発明のウエハトレイでは、ウエハスケールカメラモジュールの位置合わせのための位置決めガイドを備えることが好ましい。これにより、ウエハトレイの正確な位置に、ウエハスケールカメラモジュールを装着することができる。従って、ウエハスケールカメラモジュールに傷を付けずに、ウエハスケールカメラモジュールを装着および搬送することができる。
【0042】
本発明の検査装置は、前記いずれかのウエハトレイを備えることを特徴としている。また、本発明の検査方法は、前記いずれかのウエハトレイを用いて、ウエハレベルでウエハスケールカメラモジュールを評価するることを特徴としている。従って、ウエハスケールカメラモジュールの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0043】
請求項11〜20のいずれか1項に記載のウエハトレイを用いて、ウエハレベルでウエハスケールレンズを評価することを特徴とするウエハスケールレンズの検査方法。
【発明の効果】
【0044】
本発明のウエハトレイは、以上のように、ウエハスケールレンズまたはウエハスケールカメラモジュールを保持した状態で、検査対象となるウエハスケールレンズまたはウエハスケールカメラモジュールの評価ができる構成である。それゆえ、ウエハスケールレンズまたはウエハスケールカメラモジュールの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図13に基づいて説明する。
【0046】
〔実施の形態1〕
本実施形態では、図1〜図5に基づき、ウエハスケールレンズの撮像テストを、ウエハレベルで行う検査方法について説明する。図3は、本実施形態のウエハトレイを備えた撮像テスト装置(検査装置)の概略図である。
【0047】
図3のように、本実施形態の検査装置100は、遮光筺体104内に、検査対象となるウエハスケールレンズ2を保持するウエハトレイ1と、テスト用の被写体101と、検査用のマスターチップである受光部103と、受光部103を保持する保持台102とを備えている。検査装置100は、被写体101と、受光部103との間に配置されたウエハスケールレンズ2の撮像テストを、ウエハレベルで行う。
【0048】
ウエハスケールレンズ2の撮像テストは、まず、ウエハスケールレンズ2に形成された各レンズによって被写体101を撮影する。一方、ウエハスケールレンズ2の裏面に受光部103を接近または接触させて、検査対象となるレンズによって撮影された被写体101を、受光部103で受光する。そして、受光部103から出力された画像データに基づき、レンズの性能を評価する。つまり、検査装置100は、受光部103を用いることにより、ウエハスケールレンズ2を完成品のカメラモジュールと見立てて撮像テストを行う。このため、完成品のカメラモジュールを形成したときと同じ条件で、評価できる。
【0049】
このように、検査装置100では、ウエハトレイ1を用いることによって、ウエハスケールレンズ2の撮像テストを、ウエハ状態で行う。つまり、ウエハスケールレンズ2を個々のレンズに分離する前に、撮像テストを行う。これにより、個々のレンズを検査装置100に搬送する必要がなくなる。しかも、多数のレンズを同時に検査することができる。従って、検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0050】
ここで、ウエハトレイ1について具体的に説明する。図1は、本実施形態のウエハトレイ1の斜視図であって、(a)開状態のウエハトレイ1、(b)は閉状態のウエハトレイ1を示している。図1(a)のように、ウエハトレイ1は、2枚のトレイ(上トレイ11,下トレイ12)によって、1枚のウエハスケールレンズ2を挟持するようになっている。
【0051】
ウエハスケールレンズ2は、複数のレンズ20を有している。図2は、ウエハスケールレンズ2が有するレンズ20の断面図である。レンズ20は、おもて面に凸状のレンズ光学部(レンズ光学面)21が形成されており、このレンズ光学部21が実質的にレンズとして機能する。なお、レンズ光学部21が形成されているため、レンズ20のおもて面は凹凸形状となっている。
【0052】
なお、図1(a)のように、ウエハスケールレンズ2の外縁部にはノッチ2aが形成されている。そして、ウエハトレイ1の下トレイ12には、このノッチ2aに対応する位置決めガイド12aが形成されている。これにより、図1(b)のように、ウエハトレイ1が閉状態になると、ノッチ2aと位置決めガイド12aとが互いに嵌合することによって、下トレイ12上の正確な位置に、ウエハスケールレンズ2が配置される。
【0053】
上トレイ11および下トレイ12は、ウエハスケールレンズ2の保持領域に、各トレイ11,12を貫通した網目状(格子状)の開口が形成されている。具体的には、図4は、ウエハトレイ1の閉状態を示す断面図である。図4のように、ウエハトレイ1の上トレイ11には開口15が、下トレイ12には開口16が形成される。上トレイ11に形成された開口15の面積(網目の大きさ)は、各レンズ20に対応する大きさである。このため、ウエハトレイ1では、隣接するレンズ20(光学レンズ部21)間が、仕切り17aによって仕切られている。この仕切り17aは、レンズ光学部21の画角23の範囲外に設けられている。本実施形態では、テーパ構造の仕切り17aを有しており、レンズ光学部21から離れるにつれて仕切り17aの幅(太さ)が狭く(細く)なっている。
【0054】
このように、上トレイ11には開口15が形成されているため、ウエハスケールレンズ2の各レンズ光学部21が、開口15から露出する。従って、上述の検査装置100による撮像テストの際には、ウエハトレイ1に保持されたウエハスケールレンズ2が被写体101を撮影できる。
【0055】
また、本実施形態では、上トレイ11に形成された開口15内に、レンズ21の画角23が確保されている。つまり、本実施形態では、上トレイ11に、レンズ21の画角23を妨げない大きさの開口15が形成されている。このため、レンズ21による撮影は、開口15によって妨げられない。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0056】
一方、下トレイ12に形成された開口16は、撮像テストの際に、ウエハスケールレンズ2が受光部103にアクセスできる程度の大きさであればよい。本実施形態では、隣接するレンズ20間が、仕切り17bによって仕切られている。これにより、図4のように、撮像テストの際には、保持台102に保持された受光部103が、接近または接触することによって、ウエハスケールレンズ2が被写体101を撮像できる。
【0057】
このように、上トレイ11および下トレイ12には、開口15,16が形成されているため、ウエハトレイ1を閉状態としても、ウエハスケールレンズ2の両面にアクセスできる。従って、ウエハレベルでの撮像テストが可能となる。
【0058】
なお、図4のように、ウエハトレイ1は、外側部に開閉支点13を備えており、この開閉支点13を軸にして、各トレイ11,12の開閉動作が可能になっている。また、ウエハトレイ1の閉状態は、止め具14によって固定される。また、下トレイ12は、ウエハスケールレンズ2の底面および側面に接触するようになっており、位置決め機能も有する。
【0059】
また、ウエハスケールレンズ2を確実に保持する上では、仕切り17a,17bを隣接するレンズ20間に形成することが好ましい。ただし、仕切り17a,17bは、隣接するレンズ20間に形成することに限定されるものではなく、ウエハスケールレンズ2を十分に保持さえできれば、数個のレンズ20ごとに間隔をあけて形成してもよいし、全く形成しなくてもよい。
【0060】
さらに、より正確な撮像テストを行う上では、ウエハスケールレンズ2のおもて面に接する上トレイ11が、遮光性を有することが好ましい。言い換えれば、仕切り17aが、遮光性を有することが好ましい。上トレイ11(仕切り17a)が遮光性を有していれば、上トレイ11(仕切り17a)が画角外の光を、遮断または吸収する。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。なお、上トレイ11(仕切り17a)自体が遮光性を有する材料から形成されていてもよいし、遮光性を有さない上トレイ11(仕切り17a)に、遮光膜を形成することによって、上トレイ11(仕切り17a)に遮光性を付与してもよい。
【0061】
上述のように、ウエハトレイ1は、ウエハスケールレンズ2を2枚のトレイ11,12によって挟み込む構成である。しかし、ウエハトレイ1の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図5は、別のウエハトレイ1aを示す断面図である。
【0062】
図5のウエハトレイ1aは、ウエハスケールレンズ2を吸着保持する。具体的には、ウエハトレイ1aは、ウエハスケールレンズ2のレンズ光学部21の形成面と対向配置された光学ガラス11aを備えている。光学ガラス11aは、光学特性に優れており、ウエハスケールレンズ2による被写体の撮影に影響しない。このため、光学ガラス11aには、上述の上トレイ11のような開口は形成されず、レンズ光学部21の形成面の全域を覆っている。
【0063】
光学ガラス11aは、ウエハスケールレンズ2を吸着保持するために、その裏面からレンズ光学部21に向かって吸着口19が形成されている。吸着口19は、上述の仕切り17aと同様に、隣接するレンズ光学部21(レンズ20)間に形成されている。各吸着口19は、レンズ光学部21を避けて、かつ、画角23の範囲外で、ウエハスケールレンズ2に接触している。また、各吸着口19は、互いに連通しており、吸気経路を形成する。これにより、光学ガラス11aの側方から吸引(吸気)すると、ウエハスケールレンズ2がウエハトレイ1aに吸着保持される。また、ウエハトレイ1aは、吸気によって充分にウエハスケールレンズ2を吸着保持できる。このため、ウエハトレイ1aでは、ウエハスケールレンズ2の裏面にウエハトレイ1で用いた下トレイ12が不要である。従って、ウエハスケールレンズ2の裏面は露出している。これにより、受光部103を接近または接触させて、撮像テストが可能となる。
【0064】
また、吸着口19は、遮光性を有することが好ましい。吸着口19が遮光性を有していると、吸着口19が、画角外の光を遮断または吸収する。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。なお、吸着口19自体が遮光性を有する材料から形成されていてもよいし、遮光性を有さない吸着口19に、遮光膜を形成することによって、吸着口19に遮光性を付与してもよい。
【0065】
なお、光学ガラス11aは、光学樹脂など、撮像テストに影響しない光学特性に優れた材料から構成されていればよい。また、吸着の際、光学ガラス11aの外縁部に形成された位置決めガイド18には、ウエハスケールレンズ2が当接する。これにより、ウエハスケールレンズ2のθ位置が確保される。
【0066】
以上のように、本実施形態によれば、ウエハスケールレンズの撮像テストを、ウエハ状態で行う。つまり、ウエハスケールレンズを個々のレンズに分離する前に、撮像テストを行う。これにより、分離した個々のレンズを検査装置に搬送する必要がなくなる。しかも、多数のレンズを同時に検査することができる。従って、ウエハスケールレンズの検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。つまり、ウエハ状態のままでの良否判定が可能となる。その結果、不良品は、後続の工程には持ち込まれず、早い段階で排除することができる。従って、歩留まりの向上および品質の向上が確保できる。それゆえ、上述したスループットの向上と併せて、コストダウンを図ることが可能となる。
【0067】
〔実施の形態2〕
次に、本実施形態では、図6〜図13に基づき、ウエハスケールカメラモジュールの撮像テストを、ウエハレベルで行う。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0068】
図8は、本実施形態のウエハトレイを備えた撮像テスト装置(検査装置)の概略図である。検査装置110は、実施の形態1の検査装置100と略同様の構成である。ただし、検査装置110では、検査対象がウエハスケールカメラモジュール3である点、ウエハトレイ4がウエハスケールカメラモジュール3を保持する点、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面側からコンタクタ105に設けられたコンタクトピン106を接触させる点が、検査装置100と異なる。
【0069】
具体的には、図8のように、本実施形態の検査装置110は、遮光筺体104内に、検査対象となるウエハスケールカメラモジュール3を保持するウエハトレイ4と、テスト用の被写体101と、コンタクトピン106を備えたコンタクタ105とを備えている。検査装置110は、被写体101と、コンタクタ105との間に配置されたウエハスケールカメラモジュール3の撮像テストを、ウエハレベルで行う。
【0070】
ウエハスケールカメラモジュール3の撮像テストは、まず、ウエハスケールカメラモジュール3に形成された各カメラモジュール30によって被写体101を撮影する。一方、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面にコンタクトピン106を接触させて、検査対象となるカメラモジュールによって撮影されて出力された被写体101の画像データに基づき、カメラモジュールの性能を評価する。
【0071】
このように、検査装置110では、ウエハトレイ4を用いることによって、ウエハスケールカメラモジュール3の撮像テストを、ウエハ状態で行う。つまり、ウエハスケールカメラモジュール3を個々のカメラモジュールに分離する前に、撮像テストを行う。これにより、個々のカメラモジュールを検査装置110に搬送する必要がなくなる。しかも、多数のカメラモジュールを同時に検査することができる。従って、検査効率を高め、検査時間を飛躍的に短縮することができる。
【0072】
ここで、ウエハトレイ4について具体的に説明する。図6は、本実施形態のウエハトレイ4の斜視図であって、(a)開状態のウエハトレイ4、(b)は閉状態のウエハトレイ4を示している。図6(a)のように、ウエハトレイ4は、2枚のトレイ(上トレイ41,下トレイ42)によって、1枚のウエハスケールカメラモジュール3を挟持するようになっている。
【0073】
ウエハスケールカメラモジュール3は、複数のカメラモジュール30を有している。図7は、ウエハスケールカメラモジュール3が有するカメラモジュール30の断面図である。カメラモジュール30は、レンズ20と撮像部31とが光軸方向に積層されており、レンズ20の裏面に撮像部31が配置されている。撮像部31の裏面には、撮像部31の電極部である半田バンプ32が形成されている。このため、撮像部31の裏面は凹凸形状となっている。
【0074】
なお、図6(a)のように、ウエハスケールカメラモジュール3の外縁部にはノッチ3aが形成されている。そして、ウエハトレイ4の下トレイ42には、このノッチ3aに対応する位置決めガイド42aが形成されている。これにより、図6(b)のように、ウエハトレイ4が閉状態になると、ノッチ3aと位置決めガイド42aとが互いに嵌合することによって、下トレイ42上の正確な位置に、ウエハスケールカメラモジュール3が配置される。
【0075】
上トレイ41および下トレイ42は、ウエハスケールカメラモジュール3の保持領域に、各トレイ41,42を貫通した網目状(格子状)の開口が形成されている。具体的には、図9は、ウエハトレイ4の閉状態を示す断面図である。図9のように、ウエハトレイ4の上トレイ41には開口45が、下トレイ42には開口46が形成される。上トレイ41に形成された開口45の面積(網目の大きさ)は、各レンズ20に対応する大きさである。このため、ウエハトレイ4では、隣接するレンズ20(光学レンズ部21)間が、仕切り47aによって仕切られている。この仕切り47aは、レンズ光学部21の画角23の範囲外に設けられている。本実施形態では、テーパ構造の仕切り47aを有しており、レンズ光学部21から離れるにつれて仕切り47aの幅(太さ)が狭く(細く)なっている。
【0076】
このように、上トレイ41には開口45が形成されているため、ウエハスケールカメラモジュール3の各レンズ光学部21が、開口45から露出する。従って、上述の検査装置110による撮像テストの際には、ウエハトレイ4に保持されたウエハスケールカメラモジュール3が被写体101を撮影できる。
【0077】
また、本実施形態では、上トレイ41に形成された開口45内に、レンズ21の画角23が確保されている。つまり、本実施形態では、上トレイ41に、レンズ21の画角23を妨げない大きさの開口45が形成されている。このため、レンズ21による撮影は、開口45によって妨げられない。従って、正確な撮像テストを行うことができる。
【0078】
一方、下トレイ42に形成された開口46は、撮像テストの際に、ウエハスケールカメラモジュール3の半田バンプ32にコンタクトピン106が接触できる程度の大きさであればよい。本実施形態では、隣接するカメラモジュール30間が、仕切り47bによって仕切られている。これにより、図9のように、撮像テストの際には、コンタクタ105に設けられたコンタクトピン106が、半田バンプ32に接触することによって、ウエハスケールカメラモジュール3が被写体101を撮像できる。
【0079】
このように、上トレイ41および下トレイ42には、開口45,46が形成されているため、ウエハトレイ4を閉状態としても、ウエハスケールカメラモジュール3の両面にアクセスできる。従って、ウエハレベルでの撮像テストが可能となる。
【0080】
なお、図9のように、ウエハトレイ4は、外側部に開閉支点43を備えており、この開閉支点43を軸にして、各トレイ41,42の開閉動作が可能になっている。また、ウエハトレイ4の閉状態は、止め具44によって固定される。また、下トレイ42は、ウエハスケールカメラモジュール3の底面および側面に接触するようになっており、位置決め機能も有する。
【0081】
また、ウエハスケールカメラモジュール3を確実に保持する上では、仕切り47a,47bを隣接するレンズ20間に形成することが好ましい。ただし、仕切り47a,47bは、隣接するカメラモジュール30間に形成することに限定されるものではなく、ウエハスケールカメラモジュール3を十分に保持さえできれば、数個のカメラモジュール30ごとに間隔をあけて形成してもよいし、全く形成しなくてもよい。
【0082】
さらに、より正確な撮像テストを行う上では、ウエハスケールカメラモジュール3のおもて面に接する上トレイ41が、遮光性を有することが好ましい。言い換えれば、仕切り47aが、遮光性を有することが好ましい。上トレイ41(仕切り47a)が遮光性を有していれば、画角外の光が上トレイ41(仕切り47a)によって、遮断または吸収される。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。なお、上トレイ41(仕切り47a)自体が遮光性を有する材料から形成されていてもよいし、遮光性を有さない上トレイ41(仕切り47a)に、遮光膜を形成することによって、上トレイ41(仕切り47a)に遮光性を付与してもよい。
【0083】
上述のように、ウエハトレイ4は、ウエハスケールカメラモジュール3を2枚のトレイ41,42によって挟み込む構成である。しかし、ウエハトレイ1の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図10および図11は、別のウエハトレイ4a,4bを示す断面図である。
【0084】
図10および図11のウエハトレイ4a,4bは、ウエハスケールカメラモジュール3を吸着保持する。
【0085】
具体的には、図10のウエハトレイ4aは、ウエハスケールカメラモジュール3のレンズ光学部21の形成面と対向配置された光学ガラス41aを備えている。光学ガラス41aは、光学特性に優れており、ウエハスケールカメラモジュール3による被写体の撮影に影響しない。このため、光学ガラス41aには、上述の上トレイ41のような開口は形成されず、レンズ光学部21の形成面の全域を覆っている。
【0086】
光学ガラス41aは、ウエハスケールカメラモジュール3を吸着保持するために、その裏面からレンズ光学部21に向かって吸着口49が形成されている。吸着口49は、上述の仕切り47aと同様に、隣接するカメラモジュール30間に形成されている。各吸着口49は、レンズ光学部21を避けて、かつ、画角23の範囲外で、ウエハスケールカメラモジュール3のレンズ光学部の形成面に接触している。また、各吸着口49は、互いに連通しており、吸気経路を形成する。これにより、光学ガラス41aの側方から吸引(吸気)すると、ウエハスケールカメラモジュール3がウエハトレイ4aに吸着保持される。また、ウエハトレイ4aは、吸気によって充分にウエハスケールレンズ2を吸着保持できる。このため、ウエハトレイ4aでは、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面に、ウエハトレイ4で用いた下トレイ42が不要である。従って、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面は露出している。これにより、コンタクトピン106を接触させて、撮像テストが可能となる。
【0087】
また、吸着口49は、遮光性を有することが好ましい。吸着口49が遮光性を有していると、吸着口49が、画角外の光を遮断または吸収する。これにより、画角外の光の進入および画角外の光の乱反射を防ぐことができる。従って、正確な撮像テストを行うことができる。なお、吸着口49自体が遮光性を有する材料から形成されていてもよいし、遮光性を有さない吸着口49に、遮光膜を形成することによって、吸着口49に遮光性を付与してもよい。
【0088】
なお、光学ガラス41aは、光学樹脂など、撮像テストに影響しない光学特性に優れた材料から構成されていればよい。また、吸着の際、光学ガラス41aの外縁部に形成された位置決めガイド48には、ウエハスケールカメラモジュール3の側面が当接する。これにより、ウエハスケールカメラモジュール3のθ位置が確保される。
【0089】
一方、図11のウエハトレイ4bは、ウエハトレイ4aとは逆に、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面を、吸着保持する。具体的には、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面に対向配置されたコンタクトトレイ41bを備えている。
【0090】
コンタクトトレイ41bは、ウエハスケールカメラモジュール3を吸着保持するために、ウエハスケールカメラモジュール3の裏面(半田バンプ32)に向かって吸着口49が形成されている。吸着口49は、隣接するカメラモジュール30間に形成されている。各吸着口49は、半田バンプ32を避けてウエハスケールカメラモジュール3の裏面に接触している。また、各吸着口49は、互いに連通しており、吸気経路を形成する。これにより、コンタクトトレイ41bの側方から吸引(吸気)すると、ウエハスケールカメラモジュール3がウエハトレイ4bに吸着保持される。また、ウエハトレイ4bは、吸気によって充分にウエハスケールカメラモジュール3を吸着保持できる。このため、ウエハトレイ4bでは、ウエハスケールカメラモジュール3のおもて面に、ウエハトレイ4で用いた上トレイ41が不要である。従って、ウエハスケールカメラモジュール3のおもて面(レンズ光学部21)は露出している。これにより、レンズ光学部21により被写体101を撮像することが可能となる。
【0091】
一方、コンタクトトレイ41bには、コンタクタを形成することもできる。具体的には、コンタクトトレイ41bには、コンタクトピン106が貫通しており、ウエハスケールカメラモジュール3を吸着保持したときに、コンタクトピン106が半田バンプ32に接触する。これにより、コンタクトピン106を半田バンプ32に接触させて、撮像テストが可能となる。また、コンタクトトレイ41bは貫通したコンタクトピン106により、裏面に配線基板50をダイレクトにコンタクトする事も可能である。
これにより、ウエハスケールカメラモジュール3の吸着保持と、半田バンプ32へのコンタクトピン106の接触とを同時に実現できる。
【0092】
なお、吸着の際、コンタクトトレイ41bの外縁部に形成された位置決めガイド48には、ウエハスケールカメラモジュール3の側面が当接する。これにより、ウエハスケールカメラモジュール3のθ位置が確保される。
【0093】
本実施形態のウエハトレイ4におけるウエハスケールカメラモジュール3の位置決めガイド42aについて説明する。図12および図13は、位置決めガイドによるウエハの位置合わせを示す斜視図である。
【0094】
図12の例では、ウエハスケールカメラモジュール3の外縁部に、予め位置決めノッチ3aが形成されている。一方、ウエハトレイ4(下トレイ42)には、各ノッチ3aに対応する位置決めガイド42aが形成されている。これにより、各ノッチ3aを、ウエハトレイ4に形成された位置決めガイド42aにあてがうように装着することにより、各カメラモジュール30の裏面(電極面)が、ウエハトレイ4に形成された開口46内に配置される。従って、ウエハスケールカメラモジュール3がウエハトレイ4に正確に装着される。
【0095】
一方、図13の例では、ウエハスケールカメラモジュール3の外縁部に、ノッチ3aに加え、位置決め穴3bが形成されている。一方、ウエハトレイ4(下トレイ42)には、ノッチ3aに対応する位置決めガイド42aに加え、位置決め穴3bに挿着される位置決めピン42bが形成されている。これにより、各ノッチ3aを、ウエハトレイ4に形成された位置決めガイド42aにあてがうように装着するとともに、位置決め穴3bに位置決めピン42bを挿着する。その結果、各カメラモジュール30の裏面(電極面)が、ウエハトレイ4に形成された開口46内に配置される。従って、ウエハスケールカメラモジュール3がウエハトレイ4に正確に装着される。
【0096】
なお、ウエハスケールカメラモジュール3の位置決めを行うには、図12、図13以外にもそれぞれのウエハスケールカメラモジュール3の形状に合わせたガイドが用いられうることはいうまでもない。
【0097】
以上のように、本発明によれば、ウエハスケールカメラモジュールまたはウエハスケールレンズを保持したまま、光学面からの撮像、および、撮像部へのコンタクタの接触または受光部の接近または接触が可能となる。それゆえ、ウエハスケールカメラモジュールまたはウエハスケールレンズを個片化することなくテストすることができる。
【0098】
本発明は、以下のように表現することもできる。
【0099】
〔1〕光学レンズ及び固体撮像素子をウェハスケールで形成したウェハスケールカメラモジュールにおいて、ウェハスケールのままレンズ光学面及び、撮像素子電極面の同時アクセスを可能とする事を特徴とするウェハトレイ。本発明のウエハトレイは、ウエハスケールカメラモジュールの構造を考慮し、光学面および撮像素子電極面(ウエハの両面)に同時にアクセス可能な形状となっている。
【0100】
これにより、ウエハスケールカメラモジュールを、個々のカメラモジュールに個片化することなく、ウエハ状態でカメラモジュールの撮像テストが可能となる。このため、従来のように個片状態で(個々のカメラモジュール単位で)撮像テストを行う場合に比べて、撮像テストが実施し易くなる上、スループットも飛躍的に向上する。
【0101】
また、予めウエハトレイにより、ウエハスケールカメラモジュールのX方向、Y方向、およびθ方向の位置調整が行われる。このため、撮像テスト装置には、ウエハスケールカメラモジュールの位置を調整するための複雑な機構を設ける必要がない。従って、撮像テスト装置の開発も容易になる。
【0102】
つまり、上記の発明によれば、ウエハ状態のままでの良否判定が可能となる。その結果、不良品は、後続の工程には持ち込まれず、早い段階で排除することができる。従って、後続の工程の歩留まりの向上およびユーザへの出荷品質の向上が確保できる。それゆえ、上述したスループットの向上と併せて、コストダウンを図ることが可能となる。
【0103】
〔2〕上記〔1〕に記載のウエハトレイにおいて、複数の穴が開いた上蓋及び下蓋で挟み込み、ウェハスケールカメラモジュールを収納する事を特徴とするウェハトレイ。この構成では、複数の穴が形成された上蓋および下蓋によって、ウエハが挟み込まれる。これにより、ウエハスケールカメラモジュールのまま、ウエハトレイに収納および固定することができる。
【0104】
〔3〕上記〔2〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの光学レンズ面に接する蓋の形状は、光学レンズの画角を損なわない穴を有する事を特徴とするウェハトレイ。この構成では、ウエハスケールカメラモジュールの光学レンズ形成面に接する蓋には、光学レンズの画角を損なわないように、穴が形成されている。つまり、その蓋には、光学レンズの凹凸を回避するように、穴が形成されている。
【0105】
〔4〕上記〔2〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面に接するトレイの形状は、電極面へのコンタクトを損なわない穴を有する事を特徴とするウェハトレイ。この構成では、ウエハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面に接する蓋には、電極面に形成された半田バンプ等の凹凸を回避するように、穴が形成されている。これにより、カメラモジュールのテストの際に、コンタクトピン等が、電極面(半田バンプ等)に、直接コンタクトすることが可能となる。
【0106】
〔5〕上記〔1〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの光学レンズ面のみを保持する事を特徴とするウェハトレイ。なお、ウエハスケールカメラモジュールの光学レンズ面に接するトレイは、光学ガラスもしくは光学樹脂等、光学特性に優れた素材により形成することによって、光学面のみでウエハを固定することができる。
【0107】
〔6〕上記〔5〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの光学特性を損なわないトレイはウェハスケールカメラモジュールを吸引保持するためのしきりを有する事を特徴とするウェハトレイ。これによれば、本発明のウエハトレイにウエハを装着する事により、ケースの剛性を利用し、ウエハの製造工程で発生する反りやあおりを矯正及び吸収する事ができ、撮像テストで重要な画角ズレ等軽減でき、正確な撮像テストを実施する事ができる。なお、このウエハトレイは、ウエハスケールカメラモジュールの光学レンズ面に接するトレイの形状が、光学レンズの凹凸を回避し、且つ光学レンズの画角を損なわない状態でウエハを吸着可能なしきりを有するとも表現できる。
【0108】
〔7〕上記〔1〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面のみを保持する事を特徴とするウェハトレイ。これにより、ウエハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面に接するトレイのみでウエハを固定する事ができる。
【0109】
〔8〕上記〔7〕に記載のウエハトレイにおいて、ウェハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面に接するトレイの形状は、電極面へコンタクトするプローブピンと吸引保持するためのしきり(吸着口)を有する事を特徴とするウエハトレイ。この構成では、本発明のトレイにウエハを装着する事により、ケースの剛性を利用し、電極部のコンタクタ加重によるそりを吸収しウエハの割れを防止できる。
【0110】
また、この構成では、半田バンプも整然と配列されているウエハ形状に即したコンタクタの一括形成(1個〜全数)が可能となるため、コンタクタ数を増加させる事ができる。従って、多数個同時測定(複数同時検査)が容易となる。
【0111】
なお、この構成は、上記〔7〕のウエハトレイにおいて、ウエハスケールカメラモジュールの撮像素子電極面に接するトレイの形状は、電極面に設けられた半田バンプ等の電極に直接コンタクトが可能なコンタクトピンを有し、また半田バンプ等の凹凸を回避しながらウエハ吸着が可能なしきりによりウエハを固定し、且つコンタクトを補助することを特徴としているともいえる。
【0112】
〔9〕上記〔1〕〜〔8〕のいずれかのウエハトレイにおいて、ウェハ形状を利用した位置決めガイドを有する事を特徴とするウェハトレイ。この構成では、ウエハスケールカメラモジュールのウエハ形状を利用し、トレイに位置決めガイドを設けているため、正確な位置にウエハを装着可能なる。これにより、位置決めガイドに沿ってウエハをトレイに装着する事により、ウエハスケールカメラモジュールの光学部及び電極部の凹凸に傷を付けずに装着、搬送する事ができる。また、ウエハスケールレンズに傷を付けずに、装着および搬送することができる。すなわち、ウエハトレイに形成された位置決めガイドに沿って、ウエハトレイにウエハを装着することができる。これにより、ウエハトレイの正確な位置に、ウエハを装着することができる。従って、ウエハスケールカメラモジュールの光学面および電極面を傷つけずに、ウエハトレイにウエハを装着できる。また、ウエハスケールカメラモジュールを保護することもできる。このため、歩留まりおよび品質を、さらに向上することができる。
【0113】
〔10〕上記〔1〕〜〔9〕のいずれかのウエハトレイと用いて、ウエハスケールカメラモジュールのレンズ光学面、および、撮像素子の電極面に、同時にアクセスすることを特徴とするウェハスケールカメラモジュールのテスト方法。これにより、ウエハスケールカメラモジュールの状態のまま、撮像テストを実施することができる。
【0114】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、デジタルスチルカメラ、カメラ付携帯電話、監視カメラなどカメラモジュールを備えた各種電子機器の製造に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明のウエハトレイの斜視図であって、(a)開状態のウエハトレイ、(b)は閉状態のウエハトレイを示している。
【図2】図1のウエハトレイに保持されるウエハスケールレンズが有するレンズの断面図である。
【図3】図1のウエハトレイを備えた検査装置の概略図である。
【図4】図1のウエハトレイの断面図である。
【図5】本発明の別のウエハトレイの断面図である。
【図6】本発明のウエハトレイの斜視図であって、(a)開状態のウエハトレイ、(b)は閉状態のウエハトレイを示している。
【図7】図6のウエハトレイに保持されるウエハスケールカメラモジュールが有するカメラモジュールの断面図である。
【図8】図6のウエハトレイを備えた検査装置の概略図である。
【図9】図6のウエハトレイの断面図である。
【図10】本発明の別のウエハトレイの断面図である。
【図11】本発明の別のウエハトレイの断面図である。
【図12】本発明のウエハトレイに形成された位置決めガイドによるウエハの位置合わせを示す斜視図である。
【図13】本発明のウエハトレイに形成された別の位置決めガイドによるウエハの位置合わせを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1,1a ウエハトレイ
2 ウエハスケールレンズ
3 ウエハスケールカメラモジュール
4,4a,4b ウエハトレイ
11 上トレイ(トレイ)
12 下トレイ(トレイ)
13 トレイ開閉支点
14 止め具
15 開口
16 開口
17a 仕切り
17b 仕切り
18 位置合わせガイド
19 吸着口
20 レンズ
21 レンズ光学部
23 画角
30 カメラモジュール
32 半田バンプ(電極部)
41 上トレイ(トレイ)
42 下トレイ(トレイ)
43 開閉支点
44 止め具
45 開口
46 開口
47a 仕切り
47b 仕切り
48 位置合わせガイド
49 吸着口
50 配線基板
100 検査装置
101 被写体
102 保持台
103 受光部
104 遮光筺体
105 コンタクタ
106 コンタクトピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールに用いられるレンズを複数有するウエハスケールレンズを保持し、ウエハスケールレンズの検査装置に用いられるウエハトレイであって、
ウエハスケールレンズを保持した状態で、検査対象となるレンズの評価ができるようになっていることを特徴とするウエハトレイ。
【請求項2】
ウエハスケールレンズが挟持される2枚のトレイを備えており、
各トレイには開口が形成されており、
レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズ光学部が配置される一方、ウエハスケールレンズの裏面に接するトレイに形成された開口内に、検査用の受光部が配置されるように、ウエハスケールレンズが保持されていることを特徴とする請求項1に記載のウエハトレイ。
【請求項3】
ウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズの画角が確保されることを特徴とする請求項2に記載のウエハトレイ。
【請求項4】
レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接するトレイが、遮光性を有することを特徴とする請求項2または3に記載のウエハトレイ。
【請求項5】
ウエハスケールレンズが、吸着保持されることを特徴とする請求項1に記載のウエハトレイ。
【請求項6】
レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面に接する吸着口を備えており、
上記吸着口は、レンズ光学部を避けて形成されていることを特徴とする請求項5に記載のウエハトレイ。
【請求項7】
上記吸着口は、互いに隣接するレンズ間を仕切るように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のウエハトレイ。
【請求項8】
上記吸着口が、遮光性を有することを特徴とする請求項6または7に記載のウエハトレイ。
【請求項9】
レンズ光学部が形成されたウエハスケールレンズのおもて面のみが、吸着保持されることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載のウエハトレイ。
【請求項10】
ウエハスケールレンズの位置合わせのための位置決めガイドを備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のウエハトレイ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のウエハトレイを備えるウエハスケールレンズの検査装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のウエハトレイを用いて、ウエハレベルでウエハスケールレンズを評価することを特徴とするウエハスケールレンズの検査方法。
【請求項13】
レンズと固体撮像素子とを備え、裏面に電極部が形成されたカメラモジュールを複数有するウエハスケールカメラモジュールを保持し、カメラモジュールの検査装置に用いられるウエハトレイであって、
カメラモジュールを保持した状態で、検査対象となるカメラモジュールのレンズが被写体を撮影する一方、電極部に検査用のコンタクトピンが接触できるようになっていることを特徴とするウエハトレイ。
【請求項14】
ウエハスケールカメラモジュールが挟持される2枚のトレイを備えており、
各トレイには開口が形成されており、
レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズ光学部が配置される一方、ウエハスケールカメラモジュールの裏面に接するトレイに形成された開口内に、検査用のコンタクトピンが配置されるように、ウエハスケールカメラモジュールが保持されていることを特徴とする請求項13に記載のウエハトレイ。
【請求項15】
ウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイに形成された開口内に、レンズの画角が確保されることを特徴とする請求項14に記載のウエハトレイ。
【請求項16】
レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接するトレイが、遮光性を有することを特徴とする請求項14または15に記載のウエハトレイ。
【請求項17】
ウエハスケールカメラモジュールが、吸着保持されることを特徴とする請求項14に記載のウエハトレイ。
【請求項18】
レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面に接する吸着口を備えており、
上記吸着口は、レンズ光学部を避けて形成されていることを特徴とする請求項17に記載のウエハトレイ。
【請求項19】
上記吸着口は、互いに隣接するカメラモジュール間を仕切るように形成されていることを特徴とする請求項18に記載のウエハトレイ。
【請求項20】
上記吸着口が、遮光性を有することを特徴とする請求項18または19に記載のウエハトレイ。
【請求項21】
レンズが形成されたウエハスケールカメラモジュールのおもて面のみが、吸着保持されることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載のウエハトレイ。
【請求項22】
電極部が形成されたウエハスケールカメラモジュールの裏面に接する吸着口を備えており、
上記吸着口は、電極部を避けて形成されていることを特徴とする請求項17に記載のウエハトレイ。
【請求項23】
ウエハスケールカメラモジュールの裏面のみが、吸着保持されることを特徴とする請求項22に記載のウエハトレイ。
【請求項24】
ウエハスケールカメラモジュールの位置合わせのための位置決めガイドを備えることを特徴とする請求項13〜23のいずれか1項に記載のウエハトレイ。
【請求項25】
請求項13〜24のいずれか1項に記載のウエハトレイを備えるウエハスケールカメラモジュールの検査装置。
【請求項26】
請求項13〜24のいずれか1項に記載のウエハトレイを用いて、ウエハレベルでウエハスケールレンズを評価することを特徴とするウエハスケールレンズの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−73748(P2010−73748A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236913(P2008−236913)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】