説明

ウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法

【課題】 水を主たる媒体とするクリーニング方法及びドライクリーニング方法の弊害を完全に回避し、公害除去に優れ人体にも安全な、かつ生産性に頗る資する、ウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法を提供する。
【解決手段】 衣類表面全体にシリコン水溶液を噴霧し、衣類を湿潤することにより全体に湿気を含ませた後、機内が温度60度乃至70度に設定された空気吸排気式回転乾燥機に投入し、乾燥機内において3分程度乾燥させることにより、シリコン水溶液の作用及び乾燥機内熱風並びに攪拌により衣類の繊維が膨潤することをもって、衣類に付着したほこり、ちり、花粉及び臭気を遊離分解させ、かつ、乾燥機内熱風とはたき作用により衣類の整毛、除菌、復元をもたらし、その後乾燥機より取り出した衣類を陰干しすることにより、衣類が元の状態に完全に自然復元し完了する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カシミア、モヘア、アンゴラ、毛皮等のウール系繊維からなる衣服に付着した、ほこり、ちり、花粉、臭気を除去することを主目的とした日常的メンテナンスに適するウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】衣類のクリーニング方法においては、従来提供されている方法を大別すると、いわゆる水を主たる媒体とするクリーニング方法とドライクリーニング方法に分けられる。
【0003】水を主たる媒体とするクリーニングは、水の攪拌をもって衣類を洗浄するランドリーあるいは家庭内で一般になされる洗濯機での洗濯及び一定の溶液に衣類を浸漬するウェットクリーニングの洗濯方法が知られている。
【0004】しかしながら、かかる方法では、衣類の色あせ、型くずれ、しわの発生、衣類間の色移り、縮みなど、様々の問題点を招来させることとなる。
【0005】また、かかる方法による洗濯後の自然乾燥の後においては衣類表面にしわが発生するため、着用に際しては、プレス作業が必須となるが、これは非常に煩雑な作業であり、その完全性を期すには特殊な技量を要するものであり、利用者に極めて多大な負担を強いることとなる。
【0006】さて、本発明にかかる湿式空気洗浄仕上加工方法における洗浄対象であるカシミヤなどに代表されるウール系の高級繊維衣類の場合、そもそも洗濯機での水洗い、溶液への浸漬に適さないものが圧倒的に多く、仮にそれを実施してしまうと、これらの製品の素材本来が有する品質を根本的に損なうおそれが高い。
【0007】とりわけ、これらのウール系繊維製品に対し、洗濯、脱水後ただちに乾燥機を使用した場合は、フェルト化現象を起こし、これら衣類本体の極端な縮みの原因となりうるものである。
【0008】一方、ドライクリーニングは、前記の水を主たる媒体としたクリーニングのように、洗濯時における衣類の色落ち、型くずれ、縮み、等が生ずることは、相対的に減ずるものの、以下に示す弊害を有するものである。
【0009】ドライクリーニングは乾燥時間におよそ30分程度要し、衣類をはたきながら乾燥させることとなるので、衣類本地に接着される裏地がよじれ又は剥離してしまう原因となりうる。
【0010】また、使用される溶剤の影響により、ボタン等の衣類の装飾物が腐食してしまったり、合成皮革の付属箇所が硬化、破損するおそれがある。
【0011】また、ドライクリーニングにおいて必須に使用される活性剤洗浄液によって、カシミア等のウール系繊維製品においては、表面に付着した、ちり、ほこり、花粉等の汚れが生地の奥に潜り込んでしまい、生地の表面が目詰まり窒息状態をもたらすこととなる。これでは、常態最も付着しやすい汚れを除去するべき日常的な衣類のメンテナンスとして全く機能しないばかりでなく、かえって、衣類の本来有するところの、色、つやなどその品質が加速度的に劣化することとなる。
【0012】さらに、ドライクリーニングは脱脂能力が強大であるため、数回クリーニングを実施すると、生地自体が固化し風合いが落ちてしまい、殊に、カシミア、モヘア、アンゴラなどのウール系高級繊維製品の場合、それらの本来有する独特の風合い、通気性、光沢性、柔軟性などが著しく劣化することとなる。
【0013】また、ドライクリーニングはその脱脂能力により、衣類に付着した油分は落とすことができるものの、例えば、汗じみをはじめとする水溶性の汚れは殆ど落とすことができず、衣類の日常的メンテナンスにおいて必要とされる汗じみからもたらされる臭気の除去は全くなし得ず、特別な汚れを除去する以外はその効果はみるべきものはない。
【0014】ドライクリーニングに汎用的に使用される石油系溶剤は、公害、環境破壊を誘発する物質であり、その処理状況によっては人体にも悪影響を及ぼす危険が高い。例えば、昨今顕現化している問題に徴するならば、クリーニングの乾燥不十分により溶剤が残存した衣類を着用したところ、着用者の皮膚にやけどに類する症状がみられるなど、その弊害が散見されるところである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、従来提供されている水を主たる媒体とするクリーニング方法及びドライクリーニング方法の弊害を完全に回避し、湿式空気洗浄仕上加工なる方法を実現、提供させることにより、クリーニング事業者においてはこれまでの水を主媒体としたクリーニング方法又はドライクリーニング方法とは相違する全く新規なクリーニング方法を選択可能とし消費者のニーズにきめ細やかに対応することを可能とし、また各家庭においては何人も極めて容易に実施することができると共に、環境保全、公害除去に優れ人体にも安全な、かつ生産性に頗る資する、ウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、ウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法において、該衣類表面全体にシリコン水溶液を噴霧し、該衣類を湿潤することにより全体に湿気を含ませた後、機内が温度60度乃至70度に設定された空気吸排気式回転乾燥機に投入し、該乾燥機内において3分程度乾燥させることにより、該シリコン水溶液の作用及び乾燥機内熱風並びに攪拌により該衣類の繊維が膨潤することをもって、該衣類に付着したほこり、ちり、花粉及び臭気を遊離分解させ、かつ、該乾燥機内熱風とはたき作用により該衣類の整毛、除菌、復元をもたらし、その後該乾燥機より取り出した該衣類を陰干しすることにより、該衣類が元の状態に完全に自然復元し完了することを特徴とするものである。
【0017】また、衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法における噴霧水溶液として、ジメチルシリコンオイルに重量比0.1〜10%のエステル型非イオン界面活性剤を添加した、粒子径0.01〜0.1μmエマルジョンを用いることを特徴とする。
【0018】また、噴霧水溶液においてエステル型非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルよりなることを特徴とする。
【0019】また、噴霧水溶液におけるジメチルシリコンオイルの分子量が10000〜40000とすることを特徴とする。
【0020】ここに、「湿式空気洗浄」とは、従来提供されていた水を主たる媒体とするクリーニングを水式クリーニング、ドライクリーニングを「乾式クリーニング」とそれぞれ定義し、これらのクリーニング方法のいわば中間的位置に存するクリーニング方法の内実を現す名称として「湿式」なる語を創造し、具体的には、微量の水溶液を介するものの、衣類に対し過度な水分を付与することなく、衣類の表面にシリコン水溶液を適度に付与することにより、衣類を湿潤させ、その後、強力なドライ機を用いることなく、適度な熱風及び攪拌をもって、水溶液を乾燥させることにより繊維を膨潤させ、表面に付着した汚れを除去し、衣類自体に何らの悪影響を及ぼすことなく、メンテナンスを完了させる方法をいうものである。
【0021】また、ここに「洗浄」とは、これまでの記載より明らかなように、衣類に付着するあらゆる汚れを対象とするものでなく、ウール系繊維衣類において、これに付着した、ほこり、ちり、花粉の汚れの除去並びに主として汗じみ、着用者の体臭などからもたらされる臭気の除去を指すものである。
【0022】また、この方法においては、原理的には、若干の水分と気体とを融合合体させることにより、従来のクリーニング方法における残存有害物質の発生を回避し、極めて合理的かつ環境保全的に、衣類のメンテナンスを実現することを図ったものである。
【0023】本発明にかかるウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法は、上記のように構成されるので、従来提供されている水を主たる媒体とするクリーニング方法並びにドライクリーニング方法における弊害を完全に回避することができ、すなわち、湿式空気洗浄仕上加工という従来に存しない新規な方法により、以下の効果を奏しうるものである。
【0024】ウール系繊維製品に日常的に付着する、ちり、ほこり、花粉の汚れの除去、脱臭という日常的なメンテナンスが、衣類のシルエットを崩すことなく、生地の良好な状態を保持しつつ行うことが可能となる。
【0025】すなわち、これまで、衣類の汚れ状態にかかわらず、水を主体としたクリーニング又はドライクリーニングのみの選択をせざるを得なかったことを根本的に打開する洗浄方法を提供することにより、前記した従来のクリーニング方法における弊害を回避することが可能となる。
【0026】本発明にかかる湿式空気洗浄仕上加工方法においては、適量の水溶液を噴霧し、湿潤させることとなるので、水を主たる媒体としたクリーニング方法にみられるような衣類の縮み、色落ち、あるいは衣類間における色移りが皆無である。
【0027】また、乾燥機内の熱風及び攪拌を介することにより、衣類の繊維を膨潤させ、もって、付着したほこり、ちり、花粉の汚れ並びに臭気を遊離分解させ、更に、整毛、除菌、復元を可能とすることにより、ウール系繊維衣類の日常的メンテナンスを効果的に行うことが可能となる。
【0028】また、洗浄後、陰干しをすることにより、衣類の素材が本来有する復元力を利用することが可能となり、元の状態に完全に復元することとなるので、衣類のプレス、アイロンがけの必要性がなく、従来要した労力、時間などの関連コストを大幅に削減することができる。
【0029】また、家庭内においては汎用の乾燥機を利用することができるので、何人であっても極めて容易に行うことができ、飛躍的な低コストにより、一般に難しいとされたウール系繊維衣類の日常的メンテナンスを行うことが可能となる。
【0030】一方、クリーニング事業者においても、本発明の湿式空気洗浄を選択的に実施することにより、環境汚染問題を減らすことで社会的貢献を可能とすると共に、前の大型産業用乾燥機を改良することにより湿式空気洗浄との併用を容易ならしめ、もって生産性が増大し、コストを飛躍的に節約させることが可能となる。
【0031】本発明の湿式空気洗浄において使用されるシリコン水溶液はドライクリーニング溶剤と異なり環境に優しく、人体に何ら悪影響を及ぼすことがないので、身体に密着する衣類のメンテナンスとして極めて安全な方法を提供することが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
【0033】本発明にかかる衣類の簡易手入れ方法は、各種衣類のうち、動物性繊維よりなる生地を用いたものに適するものであり、その具体的対象としては、カシミア、アンゴラ、モヘア、ビキューナ、キャメル、毛皮などのウール系繊維製品が想定される。
【0034】まず、衣類表面全体に、シリコン水溶液を噴霧する。なお、噴霧方法は、例えば、ノズル式噴霧器に該シリコン水溶液を充填しなすものであり、可及的には、より細分化した水溶液を均等に噴霧できるものが、本発明の要部である湿潤、膨潤の各作用を促進するうえで好ましいものである。
【0035】また、水溶液は、衣類表面全体に噴霧し、衣類を湿潤させることが、本発明においては、重要となる。すなわち、過度な水分付与により、浸漬状態に類する程度に衣類を濡らしてはならない。
【0036】なお、例えば、汗染みなどが発生しやすい脇部などにはシリコン水溶液を集中的に噴霧することにより、かかる箇所における脱臭効果が高まることとなる。
【0037】かかる水溶液としては、請求項2に記載のように、例えばジメチルシリコンオイルに重量比0.1〜10%のエステル型非イオン界面活性剤を添加したエマルジョンを用いることが好適と考え得る。
【0038】また、エステル型非イオン界面活性剤としては、請求項3に記載のように例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルをエマルジョン化したものが適しており、かつ、粒子径0.01〜0.1μmが望ましい。これにより、衣類、殊にウール系繊維製品に噴霧することにより、水溶液が浸透しやすくなり、更に噴霧に際して均等的拡散に優れるものとなる。
【0039】かつ、上記の水溶液により、衣類に付着したほこり、ちり、花粉などの汚れに対し作用し、これらの汚れを、遊離、分解させその除去を容易ならしめることが可能となる。
【0040】また、請求項4に記載のように、ジメチルシリコンオイルは分子量10000〜40000の低粘度エマルジョン化することで、溶液の安定、他成分との相溶性を図ることが可能となり、保存、使用環境の変動によっても、その洗浄効果を減じしめることはない。
【0041】上記のように、ウール系繊維衣類に対し、シリコン水溶液をその表面全体にまんべんなく噴霧させた後、湿潤させ、シリコン水溶液の湿り気を、衣類全体に馴染ませるようにする。ここで十分水溶液を馴染ませることにより、上記したようなシリコン水溶液のもたらす、汚れの除去、臭気の除去、生地表面の平滑、除菌、整毛の各効果を万全ならしめるものとなる。
【0042】なお、その際、衣類は、型を整え吊り下げるなどすることは特段必要なく、例えば、丸めた状態において放置しても何ら効果に影響を及ぼさない。
【0043】次に、全体に水溶液の湿り気が全体に馴染んだ衣類を、空気吸排気式回転乾燥機に投入する。
【0044】乾燥機内の熱風及び攪拌により、衣類に付着したほこり、ちり、花粉が衣類の繊維の膨潤によって遊離、剥離し、かつ、衣類に付着した脱臭、除菌、復元の促進を可能とするものである。
【0045】乾燥機は、機内を温度60度乃至70度に設定する。かかる温度内に設定することにより、湿潤された衣類が、適度なペースで乾燥していき、衣類の繊維の適正の膨潤をもたらし、衣類表面に付着したほこり、ちり、花粉などの汚れが、水溶液と共に、除去せしめることとなる。
【0046】なお、乾燥機内温度80度に設定して本発明の湿式空気洗浄仕上加工を実施したところ、衣類の乾燥が迅速に過ぎ、除去すべきほこりなどの汚れが、生地に残存し、乾燥機に備えられたフィルターに汚れが十分に取り込み得なかった。
【0047】また、乾燥機内40度前後にて実施したところ、乾燥時間を要し過ぎ、最終結果として汚れが除去でき得るとしても、乾燥工程が長きに過ぎるため、衣類への負担が過重となり、風合いを劣化させることとなり、メンテナンスとして採用し得ないものであった。
【0048】従って、3分程度の乾燥時間は、湿潤、膨潤という本発明における必須構成要件と密接に連動しているものである。
【0049】そして、乾燥終了後、乾燥機から取り出した衣類は、ハンガーなどに掛け、陰干しにする。
【0050】なお、衣類は、陰干しの間、素材本来の有する自然の復元力により復元するため、元の状態に完全に復元するので、表面のしわなどは発生せず、洗浄後のプレス、アイロンがけは全く不要となる。
【0051】なお、本発明にかかる湿式空気洗浄仕上加工方法の効果を示すため、以下の実験を実施した。
【0052】実験に供した対象衣類は、カシミア100%の黒色のオーバーコートであり、従来のクリーニング方法であるドライクリーニング及び水洗いクリーニングとの比較において行った。また、本発明にかかる湿式空気洗浄仕上加工においてはシリコン水溶液及び一般に汎用される家庭用乾燥機を使用し、ドライクリーニングにおいては石油系溶剤及び業務用ドライ機を、水洗いクリーニングにおいては家庭用洗濯機及び自然天日乾燥により、実施した。
【0053】その結果は、図2のとおりであるが、本発明の湿式空気洗浄仕上加工と水洗いクリーニングとの比較においては、色つや、毛並み、しわ、型くずれ、柔軟性保持、縮みの各仕上状態において、圧倒的優位な結果を得ることが出来た。
【0054】また、ドライクリーニングにおいては、水洗いクリーニングに比較すれば相対的に良好な結果を得られたものの、本発明の湿式空気洗浄仕上加工方法に比較すれば、ほこり、ちりの汚れの取れ具合、汗、体臭などの臭気の除去、色つやの保持、等において相違が見られ、特筆すべきは、カシミヤの黒色が、本発明では本来有する深みのある黒色となり得たが、ドライクリーニングでは、白みがかった、光沢の褪せたものとなってしまった。かかる現象は、ドライクリーニングを繰り返し行うと更に顕著となるものである。
【0055】
【発明の効果】本発明にかかるウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法は、上記のように構成されるので、従来提供されている水を主たる媒体とするクリーニング方法並びにドライクリーニング方法における弊害を完全に回避することができ、すなわち、湿式空気洗浄仕上加工という従来に存しない新規な方法により、以下の効果を奏しうるものである。
【0056】ウール系繊維製品に日常的に付着する、ちり、ほこり、花粉の汚れの除去、脱臭という日常的なメンテナンスが、衣類のシルエットを崩すことなく、生地の良好な状態を保持しつつ行うことが可能となる。
【0057】すなわち、これまで、衣類の汚れ状態にかかわらず、水を主体としたクリーニング又はドライクリーニングのみの選択をせざるを得なかったことを根本的に打開する洗浄方法を提供することにより、前記した従来のクリーニング方法における弊害を回避することが可能となる。
【0058】本発明にかかる湿式空気洗浄仕上加工方法においては、適量の水溶液を噴霧し、湿潤させることとなるので、水を主たる媒体としたクリーニング方法にみられるような衣類の縮み、色落ち、あるいは衣類間における色移りが皆無である。
【0059】また、乾燥機内の熱風及び攪拌を介することにより、衣類の繊維を膨潤させ、もって、付着したほこり、ちり、花粉の汚れ並びに臭気を遊離分解させ、更に、整毛、除菌、復元を可能とすることにより、ウール系繊維衣類の日常的メンテナンスを効果的に行うことが可能となる。
【0060】また、洗浄後、陰干しをすることにより、衣類の素材が本来有する復元力を利用することが可能となり、元の状態に完全に復元することとなるので、衣類のプレス、アイロンがけの必要性がなく、従来要した労力、時間などの関連コストを大幅に削減することができる。
【0061】また、家庭内においては汎用の乾燥機を利用することができるので、何人であっても極めて容易に行うことができ、飛躍的な低コストにより、一般に難しいとされたウール系繊維衣類の日常的メンテナンスを行うことが可能となる。
【0062】本発明の湿式空気洗浄において使用されるシリコン水溶液はドライクリーニング溶剤と異なり環境に優しく、人体に何ら悪影響を及ぼすことがないので、身体に密着する衣類のメンテナンスとして極めて安全な方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式空気洗浄仕上加工方法を経時的概念的に表した図。
【図2】本発明の湿式空気洗浄仕上加工方法を従来のクリーニング方法と比較して実験結果を表した表
【符号の説明】

【特許請求の範囲】
【請求項1】ウール系繊維衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法において、該衣類表面全体にシリコン水溶液を噴霧し、該衣類を湿潤することにより全体に湿気を含ませた後、機内が温度60度乃至70度に設定された空気吸排気式回転乾燥機に投入し、該乾燥機内において3分程度乾燥させる間に、該シリコン水溶液の作用及び乾燥機内熱風並びに攪拌により該衣類の繊維が膨潤することをもって、該衣類に付着したほこり、ちり、花粉及び臭気を遊離分解させ、かつ、該乾燥機内熱風とはたき作用により該衣類の整毛、除菌、復元をもたらし、その後該乾燥機より取り出した該衣類を陰干しすることにより、該衣類が元の状態に完全に自然復元し完了することを特徴とする衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法。
【請求項2】噴霧水溶液として、ジメチルシリコンオイルに重量比0.1〜10%のエステル型非イオン界面活性剤を添加した、粒子径0.01〜0.1μmエマルジョンを用いることを特徴とする請求項1に記載される衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法。
【請求項3】エステル型非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いることを特徴とする請求項2に記載される衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法。
【請求項4】ジメチルシリコンオイルの分子量が10000〜40000とすることを特徴とする請求項2又は3に記載される衣類の湿式空気洗浄仕上加工方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2001−46795(P2001−46795A)
【公開日】平成13年2月20日(2001.2.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−225155
【出願日】平成11年8月9日(1999.8.9)
【出願人】(597169959)サンコー化学株式会社 (1)
【Fターム(参考)】