説明

エアコンベヤ

【課題】搬送経路2のコーナー部2bに容器4が滞留しないようにして、容器4が変形することを防止する。
【解決手段】容器4に形成されたフランジ4bの下面側を一対のレール12、14により支持し、エア噴射手段22からエアを吹き付けて容器4を前進させる。このエアコンベヤ1の搬送経路2は、コーナー部2bによって方向転換をするようになっており、コーナー部2bの上流側2aに、搬送されている容器4を停止させるストッパー6が、そして、下流側2cに、容器4の滞留を検出するセンサー8が配置されている。センサー8が容器4の滞留を検出すると、その信号が制御装置10に入力され、制御装置10からの指令によりストッパー6が作動して容器4を停止させ、コーナー部2bに容器4を供給しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアコンベヤに係り、特に、容器の搬送経路内に、搬送方向を変更するコーナー部を有するエアコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料の充填容器としてPETボトルが広く用いられている。このような飲料を製造するラインでは、PETボトル等の軽量な容器は、エアコンベヤによって搬送して充填装置やキャッパ等の各種処理容器に順次供給し各処理を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
エアコンベヤは、特許文献1に記載されているように、二本の平行な支持レール上に容器の首部に形成されたフランジの下面を支持させて吊り下げた状態にし、エアダクト内に導入したエアを吹き出し口から容器の首部に吹き付けて移動させるようになっている。エアコンベヤによりPETボトル等を搬送して飲料水を製造するラインは、実際のレイアウトでは、前記特許文献1には示されていないが、コーナー部で方向を変換して適宜配置した各容器処理装置に容器を供給する構成になっている。
【特許文献1】特開平10−250842号公報(第2−3頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6(a)、(b)は、従来のエアコンベヤ101のコーナー部102aを示す図であり、例えば、図(a)のように、角形の容器104の方向を規制して整列させた状態で搬送している場合に、下流側の容器処理装置(図示せず)が停止したり減速する等によって角形容器104が滞留すると、コーナー部102aで角形容器104の角部が当たって押し圧がかかり(A部参照)、変形してしまうおそれがあった。また、図(b)のように、角形容器104の方向を規制せずに搬送した場合には、一方の角形容器104の角部が隣接する角形容器104の平面部に押し付けられると(B部参照)、この平面部が変形してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、容器に形成されたフランジの下面を支持するレールと、このレールに支持されている容器にエアを吹き付けるエア噴射手段とを備え、方向転換を行うコーナー部を有する搬送経路内を、前記エア噴射手段によるエアの推進力によって容器を搬送するエアコンベヤにおいて、前記コーナー部の手前に配置され、搬送される容器を停止させるストッパーと、前記コーナー部の下流側に容器が滞留したことを検出する検出手段と、前記ストッパーの作動を制御する制御手段とを設け、前記検出手段からの検出信号が入力されたときに前記ストッパーを作動させることにより、前記コーナー部への容器の供給を停止させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエアコンベヤは、搬送経路のコーナー部の上流側にストッパーを設けることにより、下流側に容器が滞留した場合に、コーナー部に容器を供給しないようにして、容器が押し圧により変形することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
容器のフランジ部をレールによって支持し、エア噴射手段から容器にエアを噴射することにより搬送するエアコンベヤの、搬送方向を変更するために設けられているコーナー部の手前にストッパーを設け、コーナー部の下流側のセンサーによって容器が滞留したことを検出したときに、ストッパーを作動させてコーナー部内への容器の供給を停止させるという構成で、容器が押し圧により変形することを防止するという目的を達成する。
【実施例1】
【0008】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るエアコンベヤの全体の構成を示す平面図であり、この図ではエアコンベヤの構成は省略して容器の搬送経路2だけを示している。このエアコンベヤ(全体として符号1で示す)は、円弧状に湾曲したコーナー部2bを介してほぼ直角に折れ曲がる搬送経路2を有しており、図1の下方(上流部2a)から搬送されてきた容器4(例えば、角形のPETボトル)がコーナー部2bを経て図の左側の下流部2cへと搬送される。前記コーナー部2bの上流側に、このエアコンベヤによって搬送されている容器4を停止させるストッパー6が設けられている。また、コーナー部2bの下流側には、この下流部2cに容器4が滞留したことを検出するセンサー8が設けられている。センサー8の検出信号は制御装置10に入力され、この制御装置10からの指令により前記ストッパー6の作動を制御する。なお、この実施例では、角形のPETボトル4が方向を規制され、同一方向を向いて整列された状態で搬送されている。
【0009】
前記エアコンベヤ1の構成について図2により説明する。エアコンベヤ1は、容器(この実施例では角形PETボトル)4を支持する二本の平行な支持レール12、14を備えている。これらエアコンベヤ1によって搬送されるPETボトル4は、首部4aの外周にフランジ4bが形成されており、前記両支持レール12、14は、このPETボトル4の首部4aの外径よりもやや広く、かつ、フランジ4bの外径よりも狭い間隔で平行に配置されている。従って、各PETボトル4は前記フランジ4bの下面側をこれら二本の支持レール12、14に支持されて、吊り下げられた状態で搬送される。また、前記両支持レール12、14の下方には、これら支持レール12、14に吊り下げられて搬送されるPETボトル4の胴部4cを両側から支持する胴部ガイド16が配置されている
【0010】
二本の支持レール12、14の上方には、両側の壁面18aおよび天面18bと、両壁面18aの下端部と前記支持レール12、14との間を接続する底面18cとから構成されたエアダクト18が配設されており、図示しないエア供給源からこのエアダクト18内に圧力エアが導入される。
【0011】
また、このエアダクト18の内部の、前記二本の支持レール12、14間に形成される間隙の上方には、前記PETボトル4の首部4aが通過できる大きさのエア通路20が形成されている。この首部4aが通過するエア通路20は、両側板20aと天板20bとから構成されており、これら両側板20aおよび天板20bには、所定の間隔で、進行方向前方側(下流側)を向いて開口する多数のエア吹き出し口20c、20dが設けられている。前記エアダクト18内に導入された圧力エアは、エア通路20に形成されたこれら吹き出し口20c、20dからPETボトル4の首部4aに向けて吹き付けられ、PETボトル4はこのエアの推進力によって、前記支持レール12、14上を滑りながら前方へ送られる。この実施例では、両側板20aおよび天板20bに形成されたエア吹き出し口20c、20dがエア噴射手段22を構成している。
【0012】
エアコンベヤ1の搬送経路2の上流部2aに配置されたストッパー6は、図2および図3に示すように、PETボトル4の搬送経路2の両側に配置された一対のグリップ部材24、24を有している。これらグリップ部材24、24は、進退動用エアシリンダー26、26のピストンロッド26a、26aに取り付けられ、これらエアシリンダー26、26の作動により搬送経路2方向に向けて進退動するようになっている。これら進退動用エアシリンダ26、26は、固定ブラケット28、28上に進退動可能に支持された型替え用エアシリンダ30、30に取り付けられており、処理する容器4のサイズが変更になったときには、これら型替え用エアシリンダ30、30を作動させて進退動用エアシリンダ26、26を移動させることにより、前記グリップ部材24、24の位置を調整できるようになっている。
【0013】
前記グリップ部材24、24は、進退動用エアシリンダ26、26のピストンロッド26a、26aに連結された垂直なプレート32、32と、これら垂直プレート32、32の前面に取り付けられた、ゴム等の弾性体からなる複数(この実施例では5個)のパッド34、34を備えている。これら弾性体のパッド34、34は、内部が空洞の筒状をしており、前記PETボトル4等の容器を保持する際に、大きく変形することができるので、搬送されるPETボトル4の方向が不揃いな場合でも複数のPETボトル4を同時に把持することができる。
【0014】
また、各弾性体パッド34、34は、上下二つの部分34A、34Bに分かれており、これら二つの部分34A、34Bの中間に容器4の胴部4cを支持する前記胴部ガイド16が配置されている。これら両側のグリップ部材24、24は、進退動用エアシリンダー26、26の作動により後退されたときには、このエアコンベヤ1によって搬送されているPETボトル4に接触しない位置に退避し、進退動用エアシリンダー26、26によって前進されたときには、エアコンベヤ1によって搬送されてきたPETボトル4の両側に圧接されてこれらPETボトル4を停止させる。
【0015】
以上の構成に係るエアコンベヤ1の作動について説明する。容器(PETボトル)4は、両側のレール12、14に支持され、エア噴射手段22、つまりエア通路20の両側板20aと天板20bに形成されたエア吹き出し口20c、20dから吹き付けられたエアにより前記レール12、14上を滑って前進する。通常は、前後のPETボトル4間に適宜の間隔があいた状態で搬送される(図1参照)。この場合には、各PETボトル4が単独で移動しており、直線の上流部2aおよび下流部2cはもちろんコーナー部2bもスムーズに流れて通過していく。
【0016】
このエアコンベヤ1の搬送経路2の下流側に設けられている容器処理装置(図示せず)等が停止したり減速すると、エアコンベヤ1の搬送経路2の下流部2cにPETボトル4が滞留してしまう場合がある(図4参照)。このように搬送経路2の下流部2cに滞留したPETボトル4を、センサー8が検出すると、この検出信号が制御装置10に送られる。制御装置10は下流部2cにPETボトル4が滞留したと判断し、ストッパ6に指令を出すことによりストッパ6を作動させる。ストッパー6の進退動用エアシリンダ26の作動により両側のグリップ部材24が搬送経路2方向に前進して、両側からPETボトル4を把持して停止させる。このようにコーナー部2bの下流部2cでPETボトル4が滞留した場合には、搬送経路2のコーナー部2bよりも上流側2aでPETボトル4を停止させて、コーナー部2bにPETボトル4を供給しないようにするので、コーナー部2b内でPETボトル4が密着して押し圧がかかることがなく、PETボトル4が変形することを防止できる。
【0017】
前記図1および図4に示す実施例では、角形のPETボトル4を方向規制して搬送する場合について説明したが、この構成のストッパー6の場合には、前述のように、弾性体のパッド34、34は内部が空洞の筒状をしており、PETボトル4を保持する際に大きく変形することができるので、角形PETボトル4を方向規制せずに搬送する場合でも確実に停止させることができる(図5参照)。特に、この実施例のストッパー6のグリップ部材24、24は、複数の弾性体パッド34を備えているので、どの方向を向いた角形PETボトル4でも、充分な把持力により確実に、しかも複数本同時にグリップすることができる。なお、前記実施例では、角形のPETボトル4を搬送する場合について説明したが、丸形容器でも搬送経路2のコーナー部2bに滞留すると、過度の押し圧がかかって変形する場合があるが、本実施例装置は、丸形容器に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】エアコンベヤの全体の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】エアコンベヤとストッパーを示す縦断面図である。
【図3】ストッパーの平面図である。
【図4】ストッパーの作動時を示すエアコンベヤ全体の平面図である。
【図5】方向規制されていない角形容器をストッパーによって停止させた状態を示す平面図である。
【図6】従来のエアコンベヤの搬送状態を示す図であり、図(a)は角形PETボトルが方向を規制されて搬送されている場合を示し、図(b)は角形PETボトルが方向を規制されずに搬送されている場合を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 エアコンベヤ
4 容器(PETボトル)
4b 容器のフランジ
6 ストッパー
8 検出手段(センサー)
10 制御手段(制御装置)
12 レール
14 レール
22 エア噴射手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に形成されたフランジの下面を支持するレールと、このレールに支持されている容器にエアを吹き付けるエア噴射手段とを備え、方向転換を行うコーナー部を有する搬送経路内を、前記エア噴射手段によるエアの推進力によって容器を搬送するエアコンベヤにおいて、
前記コーナー部の手前に配置され、搬送される容器を停止させるストッパーと、前記コーナー部の下流側に容器が滞留したことを検出する検出手段と、前記ストッパーの作動を制御する制御手段とを設け、
前記検出手段からの検出信号が入力されたときに前記ストッパーを作動させることにより、前記コーナー部への容器の供給を停止させることを特徴とするエアコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−117348(P2006−117348A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304851(P2004−304851)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】