エアゾールスプレー
【課題】エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のために、特別で大掛かりな設備を必要とすることなくその際の作業性も良好なエアゾールスプレーを得る。
【解決手段】押圧ボタン105の押圧によってスプレー容器102の内部に収容された噴霧対象となる流体内容物104を噴霧口107から噴霧するようにしたエアゾールスプレー101としての基本構成を備え、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレート110を流体内容物104の原液と共にスプレー容器102の内部に導入可能にし、ガスハイドレート110が分解することによって生ずる圧力上昇を利用してスプレー容器102の内部圧力を高めるようにした。
【解決手段】押圧ボタン105の押圧によってスプレー容器102の内部に収容された噴霧対象となる流体内容物104を噴霧口107から噴霧するようにしたエアゾールスプレー101としての基本構成を備え、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレート110を流体内容物104の原液と共にスプレー容器102の内部に導入可能にし、ガスハイドレート110が分解することによって生ずる圧力上昇を利用してスプレー容器102の内部圧力を高めるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾールスプレーに係り、特に、流体内容物を再充填することができるエアゾールスプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な種類のエアゾールスプレーが実用化され、各種の分野で適宜用いられている。
【0003】
このようなエアゾールスプレーの分野では、リユースによる環境負荷低減等を目的として、噴霧対象となる流体内容物の再充填に関する技術が研究されている。例えば特許文献1には、スプレー容器に対して噴霧機構の部分を着脱自在とした発明が開示されている。この発明によれば、スプレー容器から噴霧機構を取り外すことで噴霧対象となる流体内容物をスプレー容器に導入し、再び噴霧機構を装着することで流体内容物の詰め込みが可能である。そして、噴霧機構部分には、スプレー容器の内部圧力を高めるための加圧機構を設けている。この加圧機構は、手動でのピストン運動によってスプレー容器の内部圧力を高めることができる機構である。したがって、特許文献2に記載された発明では、スプレー容器内に流体内容物を詰め込み、加圧機構によってスプレー容器の内部圧力を上昇させることで、流体内容物の再充填作業が完了する。
【0004】
別の一例としては、特許文献2に、流体内容物の再充填を自動化した発明が開示されている。この発明は、スプレー容器を減圧してスプレー容器内に残留する流体内容物を排出させ、スプレー容器を大気圧よりも低い圧力に減圧させ、所定量の目的成分をスプレー容器内に注入し、更にスプレー容器内に圧縮空気を注入する、という内容である。この発明の実施には、相当程度の規模の再充填装置が必要とされる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−114460号公報
【特許文献2】特開2004−035017公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填に際しては、流体内容物を詰め込んだ後、スプレー容器の内部圧力を上昇させなければならない。そのための手法として、特許文献1では、手動でのピストン運動によってスプレー容器の内部圧力を高めるという手法が採用されており、特許文献2では、スプレー容器内への圧縮空気の自動注入という手法が採用されている。このため、特許文献1に記載された発明によれば、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のための特別で大掛かりな設備が不要である上に構造も簡単であるという利点を有する。また、特許文献2に記載された発明によれば、スプレー容器の内部圧力を自動的に上昇させることができるという構造上、作業性に優れる。
【0007】
その反面、特許文献1に記載された発明では、作業の煩雑さという問題がある。特許文献2に記載された発明では、特別で大掛かりな設備が要求されるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のために、特別で大掛かりな設備を必要とすることなくその際の作業性も良好なエアゾールスプレーを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能なスプレー容器と、前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記スプレー容器の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部に導入可能にする流体内容物導入機構と、を備える。
【0010】
別の面から見た本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能な柔軟性を有する流体収容袋を有し、内部空間が当該流体収容袋の内部空間と外部空間とに密閉的に仕切られたスプレー容器と、前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の外部空間に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の内部空間に導入可能にする流体内容物導入機構と、を備える。
【0011】
更に別の面から見た本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備えるスプレー容器と、前記スプレー容器に交換自在に取り付けられ、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容して前記スプレー容器の内部に配置される柔軟性を有する流体収容袋を有し、前記スプレー容器の外部に配置される押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスハイドレートが分解することでスプレー容器の内部圧力を高めることができ、したがって、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のために特別で大掛かりな設備を必要とすることなく、その際の作業性も良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の概要を示す概念図である。ガスハイドレートのペレットと噴霧対象となる流体内容物(その濃縮液又は原液)をスプレー容器に入れる。時間の経過とともにガスハイドレートが分解すると、スプレー容器内が高圧となる。これに伴い、ハイドレート由来のガス(ハイドレートのゲストガス)が噴射剤ないし加圧剤の役割を果たし、エアゾールスプレーが使用可能となる。ガスハイドレートとしては、炭酸ガスハイドレート、窒素ハイドレート、酸素ハイドレート等を使用することができる。
【0014】
このように、ガスハイドレートを用いることで、エアゾールスプレーを簡便に製造することができる。そして、使用後は、ガスハイドレートと流体内容物(その濃縮液又は原液)とを再充填することで、複数回に渡るスプレー容器等の再利用が可能となる。したがって、リユースの観点からして、環境負荷軽減に役立つ。
【0015】
本発明の実施の一形態を図2ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態のエアゾールスプレー101は、健康目的あるいは美容目的等のために、人間の肌に直接噴霧するような使用態様を想定している。
【0016】
図2は、本発明の実施の一例を示す全体の模式図である。本実施の形態のエアゾールスプレー101は、スプレー容器102と噴霧機構103とを基本構成として備えている。スプレー容器102は、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物104を収容可能なハウジング構造を有している。噴霧機構103は、押圧ボタン105の押圧によって内蔵する弁(図示せず)を開き、スプレー容器102の内部に配置された吸引管106から供給された流体内容物104を噴霧口107から噴霧可能な構造を有している。つまり、噴霧機構103はスプレー容器102に対して固定される固定部108を備え、この固定部108に押圧ボタン105がスライド自在に取り付けられている。前述した弁(図示せず)は、固定部108に内蔵され、押圧ボタン105の押し込み動作に応じて開いた状態となる。固定部108には、押圧ボタン105を復帰させるためのコイルバネ(図示せず)も内蔵されており、押圧ボタン105が復帰すれば前述した弁(図示せず)も閉じられる。そして、吸引管106は固定部108に取り付けられ、噴霧口107に連通路(図示せず)を介して連通している。このような図示しない連通路に前述した図示しない弁が介在し、その開閉によって連通路を開閉するわけである。
【0017】
スプレー容器102には、その上面に位置させて蓋109がネジ構造によって着脱自在に取り付けられている。スプレー容器102には、蓋109を開けることで、ガスハイドレート110と流体内容物104とを導入することができる。そのための構造として、ガスハイドレート導入機構と流体内容物導入機構とが共通の導入機構111として設けられている。導入機構111の一部を構成するガスハイドレート導入機構は、スプレー容器102の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレート110をスプレー容器102の内部に導入可能にする機構である。また、導入機構111の他の一部を構成する流体内容物導入機構は、スプレー容器102の一部を開閉し、流体内容物104をスプレー容器102の内部に導入可能にする機構である。
【0018】
図3は、ガスハイドレート導入機構及び流体内容物導入機構を構成する導入機構111を示す縦断正面図である。スプレー容器102の上面には、その一部が他の部分よりも低くなった段部112が形成されている。この段部112には、ガスハイドレート110及び流体内容物104を導入するための導入口113が形成されている。導入口113は、段部112に突出形成された円筒状の導入口壁114によって覆われている。前述した蓋109は、導入口壁114との間に形成されたネジ構造によって着脱自在となっている。そこで、導入口壁114に蓋109がネジ止めされた状態では、導入口113を介してスプレー容器102の内部に連通する空間が形成され、この空間がガスハイドレート110を密閉的に収容する収容室115となっている。つまり、収容室115は、必要個数のガスハイドレート110を収納することができるだけの形状及び容積を有している。
【0019】
スプレー容器102の内部には、導入口113に一端が嵌合固定された導入管116の他端が延出している。この導入管116は、導入口113に連絡し、収容室115とスプレー容器102の内部空間とを連通させる。そして、導入口113の終端には、圧力弁117が開閉自在に取り付けられている。圧力弁117は、スプレー容器102の内部天井面との間に掛け渡されて引っ張りバネとして作用する付勢部としてのコイルスプリング118に保持されている。したがって、圧力弁117は、収容室115とスプレー容器102の内部とを開閉する。そして、コイルスプリング118は、収容室115内の内部圧力の上昇に伴い圧力弁117を開くことができるように圧力弁117を閉方向に付勢している。この場合の収容室115内の内部圧力の上昇は、ガスハイドレート110の分解によって発生する圧力上昇によってもたらされる。
【0020】
図4は、加圧されて圧力弁117が開かれている状態を示す導入機構111の縦断正面図である。ガスハイドレート110の分解によって収容室115内の内部圧力が高まると、上昇した圧力がコイルスプリング118の付勢力に抗して圧力弁117を開かせる。図4中、白抜き矢印は、収容室115内の内部圧力の上昇が圧力弁117に加える力の方向を示している。
【0021】
図5は、補充タンクに設けられている補充機構を示す縦断正面図である。スプレー容器102に補充するための流体内容物104は、補充タンク119に収容されている。本実施の形態の場合、収容室115に収容されたガスハイドレート110が分解すると、水が生成される。生成された水は導入口113から取り込まれて導入管116を通りスプレー容器102に流れ込む。このため、スプレー容器102には、水が溜まった状態となっている。そこで、後から補充する流体内容物104は、予めスプレー容器102に溜まっているガスハイドレート110由来の水に薄められるため、原液ではなく、濃縮液が用いられる。つまり、補充タンク119に収容されている流体内容物104は、濃縮液である。濃縮液の濃度は、有効成分が適度な濃度の原液となるように調整されている。
【0022】
濃縮液を構成する溶媒としては、ガスハイドレートの分解により生じる水との親和性の点から、例えば、水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が好ましい。特に、エタノール、あるいは水とエタノールとを任意の割合で混合したものが好ましい。
【0023】
また、濃縮液中に添加される有効成分としては、例えば、クロタミトン等のかゆみ止め剤、アラントイン等の抗炎症剤、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、サリチル酸メチル等の消炎鎮痛剤、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌・消毒剤、l−メントール等の清涼化剤、プロピレングリコール等の保湿剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス等の各種抽出液、ラウリル酸メタクリレート等の消臭剤・各種香料等が挙げられる。
【0024】
図6は、図5に示す補充機構の分解斜視図である。補充タンク119は、導入機構111に装着することで、内部に収容する流体内容物104を導入口113からスプレー容器102に供給できるようにした補充機構120を備えている。補充機構120は、補充タンク119の下面に取り付けられた供給管121とこの供給管121が嵌合するように供給管121に取り付けられた栓122とによって構成されている。つまり、供給管121は、その終端外周面に複数個の供給孔123を備えており、これらの供給孔123と補充タンク119の内部とを連通させている。したがって、補充タンク119に収容されている流体内容物104は、供給孔123から外部に流れ出す。そして、供給孔123からの流体内容物104の流れ出しを実現させるために、補充タンク119には外気を取り込む供給弁124(図2参照)が設けられている。
【0025】
栓122は、供給管121を圧入状態が嵌合させるための嵌合孔125を備えている。そこで、この嵌合孔125に供給管121が圧入嵌合されると、供給孔123が栓122で覆われ、供給孔123からの流体内容物104の漏れ出しが防止される。
【0026】
図7は、流体内容物104の補充タンクが装着されることによって圧力弁117が開かれている状態を示す導入機構111の縦断正面図である。図7に示すように、補充タンク119の供給管121の外径は、スプレー容器102の側の導入管116の内径よりも小径に形成されている。また、補充タンク119の栓122の外径は、導入管116の内径よりも大径に形成されている。そこで、スプレー容器102の側において蓋109を開いて導入口113を開放状態にしておき、補充タンク119の供給管121をスプレー容器102の導入管116に差し込む。すると、補充タンク119の栓122がスプレー容器102の段部112に塞き止められたまま供給管121のみがスプレー容器102の内部に向けて進行する。そして、進行した供給管121は、その先端部によって圧力弁117を押圧し、圧力弁117を開かせる。この際、供給管121に対して栓122がスライド移動するため、供給管121の先端部に形成されている複数個の供給孔123が露出する。これにより、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、圧力弁117が開いていることによりスプレー容器102の内部空間に導入される。
【0027】
このような構成において、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、収容室115に収容したガスハイドレート110の分解によって発生する圧力により、スプレー容器102の内部空間が高圧状態に維持されている。そこで、押圧ボタン105を押圧すると噴霧機構103が内蔵する弁(図示せず)が開かれ、スプレー容器102の内部に配置された吸引管106が流体内容物104を吸引し、噴霧口107に導く。すると、噴霧口107では、供給された流体内容物104を霧状にして噴霧し、エアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる。
【0028】
これに対して、スプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなった場合、あるいはスプレー容器102に収容されている流体内容物104がなくなった場合には、そのようなエアゾールスプレー101としての機能が果たされなくなる。この場合、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、ガスハイドレート110を再充填するか、あるいはガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填することで、再び、エアゾールスプレー101としての機能を復活させることができる。もっとも、流体内容物104がなくなる頃合にスプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなるようなタイミングとなることが望ましい。このようなタイミングは、ガスハイドレート110の充填個数と流体内容物104である濃縮液の供給量とを調節することで実現可能である。そこで、以下、流体内容物104がなくなる頃合にはスプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなるという設定の下で、ガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填する作業について説明する。
【0029】
ガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填するには、蓋109をネジ回して外し、導入口113を開放状態にする。この際、スプレー容器102の内部圧力は既に高圧に維持されなくなっているので、安全かつ容易に蓋109を外すことができる。この状態で、まず、補充タンク119を導入口113に装着する。これにより、前述したように、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、スプレー容器102の内部に導入される。この場合にスプレー容器102の内部に導入されるのは、流体内容物104の原液ではなく濃縮液である。前述したように、スプレー容器102の内部には、ガスハイドレート110由来の水が予め溜まっているので、この水に濃縮液が薄められ、有効成分が適度な濃度の原液となるように調整されるからである。
【0030】
次に、導入口壁114によって囲まれる収容室115に必要数のガスハイドレート110を投入する。市販の際には、ガスハイドレート110のペレットの大きさを統一しておき、収容室115の間口を決定する導入口壁114で囲まれた領域の径を、一定の大きさ以上のペレットが投入できない径とすることで、ガスハイドレート110が過剰に供給されることによる危険を回避することができる。収容室115にガスハイドレート110を投入したならば、蓋109をネジ回して閉め、ガスハイドレート110及び流体内容物104の再充填作業が完了する。
【0031】
ガスハイドレート110を流体内容物104と共に再充填すると、ガスハイドレート110は徐々に分解を始める。これにより、収容室115内の内部圧力が高まり、上昇した圧力がコイルスプリング118の付勢力に抗して圧力弁117を開かせる。その結果、スプレー容器102の内部圧力が高まり、エアゾールスプレー101がエアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる状態となる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、ガスハイドレート110が分解することでスプレー容器102の内部圧力を高めることができ、したがって、エアゾールスプレー101に対する流体内容物104の再充填のために特別で大掛かりな設備を必要とすることなく、その際の作業性も良好にすることができる。
【0033】
次いで、別の実施の形態を図8ないし図10に基づいて説明する。この場合、図2ないし図7に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0034】
図8は、本発明の別の実施の一形態を示す全体の模式図である。本実施の形態が前述した実施の形態と相違する点は、スプレー容器102の内部に流体収容袋201が設けられ、この流体収容袋201の内部空間ISと外部空間OSとが密閉的に仕切られている点である。つまり、スプレー容器102には、その上面部分に位置させて例えば円盤状のフレーム202が固定的に取り付けられており、このフレーム202の下面には流体収容袋201が固定されている。流体収容袋201は、内部に噴霧対象となる流体内容物104を収容可能な柔軟性を有する袋体である。柔軟性を有するが故に、外部からの圧力を受けて潰れていく。流体収容袋201の材料としては、合成樹脂、アルミなどの金属箔、合成樹脂と金属のラミネートシート等、可撓性を有しかつ薄い材料が用いられる。
【0035】
本実施の形態のエアゾールスプレー101では、流体収容袋201の内部空間ISにのみ流体内容物104が収容され、スプレー容器102の内部ではあっても流体収容袋201の外部空間OSには流体内容物104が収容されない。したがって、噴霧機構103は、フレーム202に取り付けられ、噴霧機構103の吸引管106は流体収容袋201の内部空間ISに配置されている。その一方で、外部空間OSはガスハイドレート110が収容される収容室115と連通可能であり、当該外部空間OSにおいて圧力上昇が発生する。
【0036】
流体収容袋201の内部空間ISには、補充タンク119から流体内容物104を再充填可能に構成されている。これを実現するのは流体内容物導入機構203である。流体内容物導入機構203は、流体内容物104を流体収容袋201の内部空間ISに導入可能にする機構である。このため、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、前述した導入機構111は、専らガスハイドレート導入機構として用いられる。このような構造上、流体内容物104は流体収容袋201の内部空間に収容され、その流体内容物104に対する加圧は流体収容袋201の外部空間OSから行なわれることになる。したがって、流体収容袋201の内部空間ISに収容されている流体内容物104は、ガスハイドレート110由来の水と混ざり合わない。よって、補充タンク119に収容する流体内容物104としては、前述した実施の一形態のような濃縮液ではなく、流体内容物104そのものとしての原液である。そこで、図1と図8とを比較参照することで明らかなように、流体内容物104として濃縮液を用いる図1に示すエアゾールスプレー101に用いられる補充タンク119の容量よりも、流体内容物104として原液を用いる図8に示すエアゾールスプレー101に用いられる補充タンク119の容量の方が大容量に設定されている。
【0037】
ここで、原液である流体内容物104は、ガスハイドレート110由来の水と混合されることがないため、油成分を比較的多く配合することができる。例えば、水に低級アルコールだけでなく多価アルコールを配合してものを用いることができる。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、冷却感の付与や乾燥性の向上等の目的で使用される。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが挙げられ、保湿性の向上、肌触りをよくする等の目的で使用される。
【0038】
原液中に添加される有効成分としては、例えば、クロタミトン等のかゆみ止め剤、アラントイン等の抗炎症剤、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、サリチル酸メチル等の消炎鎮痛剤、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌・消毒剤、l−メントール等の清涼化剤、プロピレングリコール等の保湿剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス等の各種抽出液、ラウリル酸メタクリレート等の消臭剤・各種香料等が挙げられる。
【0039】
また、使用感を向上させる目的で、原液に油成分を添加してもよい。油成分としては、例えば、シリコン油、エステル油、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0040】
図9は、流体内容物導入機構203を示す縦断正面図である。流体内容物導入機構203は、ガスハイドレート110を導入するための導入機構111と類似の構造を備えている。つまり、フレーム202の上面には、流体内容物104を導入するための導入口204が形成されている。導入口204は、フレーム202の上面から突出形成された円筒状の導入口壁205によって覆われている。この導入口壁205には、蓋206がネジ構造によって着脱自在となっている。フレーム202には、流体収容袋201の内部空間ISに位置付けられるように、導入口204に一端が嵌合固定された導入管207の他端が延出している。この導入管207は、導入口204に連絡し、流体収容袋201の内部空間ISを外部と連通させる。そして、導入口204の終端には、圧力弁208が開閉自在に取り付けられている。圧力弁208は、フレーム202の内部天井面との間に掛け渡されて引っ張りバネとして作用する付勢部としてのコイルスプリング209に保持されている。したがって、圧力弁208は、流体収容袋201の内部空間ISと外部とを開閉する。
【0041】
図10は、流体内容物104の補充タンク119が装着されることによって圧力弁208が開かれている状態を示す流体内容物導入機構203を示す縦断正面図である。図10に示すように、補充タンク119の供給管121の外径は、スプレー容器102の側の導入管207の内径よりも小径に形成されている。また、補充タンク119の栓122の外径は、導入管207の内径よりも大径に形成されている。そこで、スプレー容器102の側において蓋206を開いて導入口204を開放状態にしておき、補充タンク119の供給管121をスプレー容器102の導入管207に差し込む。すると、補充タンク119の栓122がフレーム202の上面に塞き止められたまま供給管121のみが流体収容袋201の内部空間ISに向けて進行する。そして、進行した供給管121は、その先端部によって圧力弁208を押圧し、圧力弁208を開かせる。この際、供給管121に対して栓122がスライド移動するため、供給管121の先端部に形成されている複数個の供給孔123が露出する。これにより、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、圧力弁208が開いていることにより流体収容袋201の内部空間ISに導入される。
【0042】
ここで、ガスハイドレート110を導入するための導入口113からの流体内容物104の誤った注ぎ込みを防止するために、導入機構111と流体内容物導入機構203とで寸法を変えておくことが望ましい。例えば、導入機構111における導入口壁114の内径を、補充タンク119の栓122の外径よりも小径にしたり、導入機構111における導入管116の内径を、補充タンク119の供給管121の外径よりも小径にしたりすることで、導入機構111に対する補充タンク119の装着が阻止され、流体収容袋201の外部空間OSに対する流体内容物104の誤った注ぎ込みを防止することができる。
【0043】
更に、図8に示すように、スプレー容器102の内部における流体収容袋201の外部空間OSには、ガスハイドレート110が分解することにより生成された水が溜まってしまう。図2ないし図7に示して説明した実施の形態のエアゾールスプレー101では、こうしてスプレー容器102に溜まる水を流体内容物104として利用していたのに対して、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、そのような意味での水の利用価値はない。むしろ、スプレー容器102が金属製であるとするなら、錆の発生を抑制する面からすると、スプレー容器102の底部に溜まる水は積極的に排水した方が良い。そこで、スプレー容器102の下方には、排水用の排水栓210が着脱自在に取り付けられている。
【0044】
このような構成において、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、収容室115に収容したガスハイドレート110の分解によって発生する圧力により、スプレー容器102の内部空間が高圧状態に維持されている。これにより、流体収容袋201がその外部空間OSから加圧され、流体収容袋201の内部空間ISに収容されている流体内容物104にも高圧がかけられている。そこで、押圧ボタン105を押圧すると噴霧機構103が内蔵する弁(図示せず)が開かれ、流体収容袋201の内部空間ISに配置された吸引管106が流体内容物104を吸引し、噴霧口107に導く。すると、噴霧口107では、供給された流体内容物104を霧状にして噴霧し、エアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる。
【0045】
図11は、本発明の更に別の実施の一形態を示す全体の模式図である。この場合、図2ないし図7に基づいて説明した実施の一形態及び図8ないし図10に基づいて説明した別の実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0046】
本実施の形態は、基本的には図8ないし図10に基づいて説明した実施の形態と多くの点で共通性を有している。相違する点は、スプレー容器102がフレーム202に対して着脱自在になっている点である。つまり、流体収容袋201と噴霧機構103とは共にフレーム202に取り付けられていることから、それらが一体的なユニット構造をなしている。便宜上、このようなユニット構造体を再充填パック301と呼ぶことにする。再充填パック301は、例えばネジ結合によってスプレー容器102に着脱自在となっている。したがって、流体内容物104の再充填作業は、補充タンク119を使用することなく、ユニット構造をなしている再充填パック301の着脱によって容易に行なうことができる。
【0047】
そして、流体内容物104の再充填作業に際して、補充タンク119からの補充が不要であるため、流体内容物導入機構203を設ける必要がない。ユーザは、再充填パック301を購入し、スプレー容器102に対して再充填パック301を付け替えるだけで、流体内容物104の再充填作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の概要を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の一例を示す全体の模式図である。
【図3】ガスハイドレート導入機構及び流体内容物導入機構を構成する導入機構を示す縦断正面図である。
【図4】加圧されて圧力弁が開かれている状態を示す導入機構の縦断正面図である。
【図5】補充タンクに設けられている補充機構を示す縦断正面図である。
【図6】図5に示す補充機構の分解斜視図である。
【図7】流体内容物の補充タンクが装着されることによって圧力弁が開かれている状態を示す導入機構の縦断正面図である。
【図8】本発明の別の実施の一形態を示す全体の模式図である。
【図9】流体内容物導入機構を示す縦断正面図である。
【図10】流体内容物の補充タンクが装着されることによって圧力弁が開かれている状態を示す流体内容物導入機構を示す縦断正面図である。
【図11】本発明の更に別の実施の一形態を示す全体の模式図である。
【符号の説明】
【0049】
102 スプレー容器
103 噴霧機構
104 流体内容物
105 押圧ボタン
106 吸引管
110 ガスハイドレート
111 導入機構(ガスハイドレート導入機構)
115 収容室
117 圧力弁
118 コイルスプリング(付勢部)
201 流体収容袋
203 流体内容物導入機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾールスプレーに係り、特に、流体内容物を再充填することができるエアゾールスプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な種類のエアゾールスプレーが実用化され、各種の分野で適宜用いられている。
【0003】
このようなエアゾールスプレーの分野では、リユースによる環境負荷低減等を目的として、噴霧対象となる流体内容物の再充填に関する技術が研究されている。例えば特許文献1には、スプレー容器に対して噴霧機構の部分を着脱自在とした発明が開示されている。この発明によれば、スプレー容器から噴霧機構を取り外すことで噴霧対象となる流体内容物をスプレー容器に導入し、再び噴霧機構を装着することで流体内容物の詰め込みが可能である。そして、噴霧機構部分には、スプレー容器の内部圧力を高めるための加圧機構を設けている。この加圧機構は、手動でのピストン運動によってスプレー容器の内部圧力を高めることができる機構である。したがって、特許文献2に記載された発明では、スプレー容器内に流体内容物を詰め込み、加圧機構によってスプレー容器の内部圧力を上昇させることで、流体内容物の再充填作業が完了する。
【0004】
別の一例としては、特許文献2に、流体内容物の再充填を自動化した発明が開示されている。この発明は、スプレー容器を減圧してスプレー容器内に残留する流体内容物を排出させ、スプレー容器を大気圧よりも低い圧力に減圧させ、所定量の目的成分をスプレー容器内に注入し、更にスプレー容器内に圧縮空気を注入する、という内容である。この発明の実施には、相当程度の規模の再充填装置が必要とされる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−114460号公報
【特許文献2】特開2004−035017公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填に際しては、流体内容物を詰め込んだ後、スプレー容器の内部圧力を上昇させなければならない。そのための手法として、特許文献1では、手動でのピストン運動によってスプレー容器の内部圧力を高めるという手法が採用されており、特許文献2では、スプレー容器内への圧縮空気の自動注入という手法が採用されている。このため、特許文献1に記載された発明によれば、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のための特別で大掛かりな設備が不要である上に構造も簡単であるという利点を有する。また、特許文献2に記載された発明によれば、スプレー容器の内部圧力を自動的に上昇させることができるという構造上、作業性に優れる。
【0007】
その反面、特許文献1に記載された発明では、作業の煩雑さという問題がある。特許文献2に記載された発明では、特別で大掛かりな設備が要求されるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のために、特別で大掛かりな設備を必要とすることなくその際の作業性も良好なエアゾールスプレーを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能なスプレー容器と、前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記スプレー容器の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部に導入可能にする流体内容物導入機構と、を備える。
【0010】
別の面から見た本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能な柔軟性を有する流体収容袋を有し、内部空間が当該流体収容袋の内部空間と外部空間とに密閉的に仕切られたスプレー容器と、前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の外部空間に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の内部空間に導入可能にする流体内容物導入機構と、を備える。
【0011】
更に別の面から見た本発明のエアゾールスプレーは、密閉構造を備えるスプレー容器と、前記スプレー容器に交換自在に取り付けられ、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容して前記スプレー容器の内部に配置される柔軟性を有する流体収容袋を有し、前記スプレー容器の外部に配置される押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスハイドレートが分解することでスプレー容器の内部圧力を高めることができ、したがって、エアゾールスプレーに対する流体内容物の再充填のために特別で大掛かりな設備を必要とすることなく、その際の作業性も良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の概要を示す概念図である。ガスハイドレートのペレットと噴霧対象となる流体内容物(その濃縮液又は原液)をスプレー容器に入れる。時間の経過とともにガスハイドレートが分解すると、スプレー容器内が高圧となる。これに伴い、ハイドレート由来のガス(ハイドレートのゲストガス)が噴射剤ないし加圧剤の役割を果たし、エアゾールスプレーが使用可能となる。ガスハイドレートとしては、炭酸ガスハイドレート、窒素ハイドレート、酸素ハイドレート等を使用することができる。
【0014】
このように、ガスハイドレートを用いることで、エアゾールスプレーを簡便に製造することができる。そして、使用後は、ガスハイドレートと流体内容物(その濃縮液又は原液)とを再充填することで、複数回に渡るスプレー容器等の再利用が可能となる。したがって、リユースの観点からして、環境負荷軽減に役立つ。
【0015】
本発明の実施の一形態を図2ないし図7に基づいて説明する。本実施の形態のエアゾールスプレー101は、健康目的あるいは美容目的等のために、人間の肌に直接噴霧するような使用態様を想定している。
【0016】
図2は、本発明の実施の一例を示す全体の模式図である。本実施の形態のエアゾールスプレー101は、スプレー容器102と噴霧機構103とを基本構成として備えている。スプレー容器102は、密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物104を収容可能なハウジング構造を有している。噴霧機構103は、押圧ボタン105の押圧によって内蔵する弁(図示せず)を開き、スプレー容器102の内部に配置された吸引管106から供給された流体内容物104を噴霧口107から噴霧可能な構造を有している。つまり、噴霧機構103はスプレー容器102に対して固定される固定部108を備え、この固定部108に押圧ボタン105がスライド自在に取り付けられている。前述した弁(図示せず)は、固定部108に内蔵され、押圧ボタン105の押し込み動作に応じて開いた状態となる。固定部108には、押圧ボタン105を復帰させるためのコイルバネ(図示せず)も内蔵されており、押圧ボタン105が復帰すれば前述した弁(図示せず)も閉じられる。そして、吸引管106は固定部108に取り付けられ、噴霧口107に連通路(図示せず)を介して連通している。このような図示しない連通路に前述した図示しない弁が介在し、その開閉によって連通路を開閉するわけである。
【0017】
スプレー容器102には、その上面に位置させて蓋109がネジ構造によって着脱自在に取り付けられている。スプレー容器102には、蓋109を開けることで、ガスハイドレート110と流体内容物104とを導入することができる。そのための構造として、ガスハイドレート導入機構と流体内容物導入機構とが共通の導入機構111として設けられている。導入機構111の一部を構成するガスハイドレート導入機構は、スプレー容器102の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレート110をスプレー容器102の内部に導入可能にする機構である。また、導入機構111の他の一部を構成する流体内容物導入機構は、スプレー容器102の一部を開閉し、流体内容物104をスプレー容器102の内部に導入可能にする機構である。
【0018】
図3は、ガスハイドレート導入機構及び流体内容物導入機構を構成する導入機構111を示す縦断正面図である。スプレー容器102の上面には、その一部が他の部分よりも低くなった段部112が形成されている。この段部112には、ガスハイドレート110及び流体内容物104を導入するための導入口113が形成されている。導入口113は、段部112に突出形成された円筒状の導入口壁114によって覆われている。前述した蓋109は、導入口壁114との間に形成されたネジ構造によって着脱自在となっている。そこで、導入口壁114に蓋109がネジ止めされた状態では、導入口113を介してスプレー容器102の内部に連通する空間が形成され、この空間がガスハイドレート110を密閉的に収容する収容室115となっている。つまり、収容室115は、必要個数のガスハイドレート110を収納することができるだけの形状及び容積を有している。
【0019】
スプレー容器102の内部には、導入口113に一端が嵌合固定された導入管116の他端が延出している。この導入管116は、導入口113に連絡し、収容室115とスプレー容器102の内部空間とを連通させる。そして、導入口113の終端には、圧力弁117が開閉自在に取り付けられている。圧力弁117は、スプレー容器102の内部天井面との間に掛け渡されて引っ張りバネとして作用する付勢部としてのコイルスプリング118に保持されている。したがって、圧力弁117は、収容室115とスプレー容器102の内部とを開閉する。そして、コイルスプリング118は、収容室115内の内部圧力の上昇に伴い圧力弁117を開くことができるように圧力弁117を閉方向に付勢している。この場合の収容室115内の内部圧力の上昇は、ガスハイドレート110の分解によって発生する圧力上昇によってもたらされる。
【0020】
図4は、加圧されて圧力弁117が開かれている状態を示す導入機構111の縦断正面図である。ガスハイドレート110の分解によって収容室115内の内部圧力が高まると、上昇した圧力がコイルスプリング118の付勢力に抗して圧力弁117を開かせる。図4中、白抜き矢印は、収容室115内の内部圧力の上昇が圧力弁117に加える力の方向を示している。
【0021】
図5は、補充タンクに設けられている補充機構を示す縦断正面図である。スプレー容器102に補充するための流体内容物104は、補充タンク119に収容されている。本実施の形態の場合、収容室115に収容されたガスハイドレート110が分解すると、水が生成される。生成された水は導入口113から取り込まれて導入管116を通りスプレー容器102に流れ込む。このため、スプレー容器102には、水が溜まった状態となっている。そこで、後から補充する流体内容物104は、予めスプレー容器102に溜まっているガスハイドレート110由来の水に薄められるため、原液ではなく、濃縮液が用いられる。つまり、補充タンク119に収容されている流体内容物104は、濃縮液である。濃縮液の濃度は、有効成分が適度な濃度の原液となるように調整されている。
【0022】
濃縮液を構成する溶媒としては、ガスハイドレートの分解により生じる水との親和性の点から、例えば、水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が好ましい。特に、エタノール、あるいは水とエタノールとを任意の割合で混合したものが好ましい。
【0023】
また、濃縮液中に添加される有効成分としては、例えば、クロタミトン等のかゆみ止め剤、アラントイン等の抗炎症剤、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、サリチル酸メチル等の消炎鎮痛剤、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌・消毒剤、l−メントール等の清涼化剤、プロピレングリコール等の保湿剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス等の各種抽出液、ラウリル酸メタクリレート等の消臭剤・各種香料等が挙げられる。
【0024】
図6は、図5に示す補充機構の分解斜視図である。補充タンク119は、導入機構111に装着することで、内部に収容する流体内容物104を導入口113からスプレー容器102に供給できるようにした補充機構120を備えている。補充機構120は、補充タンク119の下面に取り付けられた供給管121とこの供給管121が嵌合するように供給管121に取り付けられた栓122とによって構成されている。つまり、供給管121は、その終端外周面に複数個の供給孔123を備えており、これらの供給孔123と補充タンク119の内部とを連通させている。したがって、補充タンク119に収容されている流体内容物104は、供給孔123から外部に流れ出す。そして、供給孔123からの流体内容物104の流れ出しを実現させるために、補充タンク119には外気を取り込む供給弁124(図2参照)が設けられている。
【0025】
栓122は、供給管121を圧入状態が嵌合させるための嵌合孔125を備えている。そこで、この嵌合孔125に供給管121が圧入嵌合されると、供給孔123が栓122で覆われ、供給孔123からの流体内容物104の漏れ出しが防止される。
【0026】
図7は、流体内容物104の補充タンクが装着されることによって圧力弁117が開かれている状態を示す導入機構111の縦断正面図である。図7に示すように、補充タンク119の供給管121の外径は、スプレー容器102の側の導入管116の内径よりも小径に形成されている。また、補充タンク119の栓122の外径は、導入管116の内径よりも大径に形成されている。そこで、スプレー容器102の側において蓋109を開いて導入口113を開放状態にしておき、補充タンク119の供給管121をスプレー容器102の導入管116に差し込む。すると、補充タンク119の栓122がスプレー容器102の段部112に塞き止められたまま供給管121のみがスプレー容器102の内部に向けて進行する。そして、進行した供給管121は、その先端部によって圧力弁117を押圧し、圧力弁117を開かせる。この際、供給管121に対して栓122がスライド移動するため、供給管121の先端部に形成されている複数個の供給孔123が露出する。これにより、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、圧力弁117が開いていることによりスプレー容器102の内部空間に導入される。
【0027】
このような構成において、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、収容室115に収容したガスハイドレート110の分解によって発生する圧力により、スプレー容器102の内部空間が高圧状態に維持されている。そこで、押圧ボタン105を押圧すると噴霧機構103が内蔵する弁(図示せず)が開かれ、スプレー容器102の内部に配置された吸引管106が流体内容物104を吸引し、噴霧口107に導く。すると、噴霧口107では、供給された流体内容物104を霧状にして噴霧し、エアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる。
【0028】
これに対して、スプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなった場合、あるいはスプレー容器102に収容されている流体内容物104がなくなった場合には、そのようなエアゾールスプレー101としての機能が果たされなくなる。この場合、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、ガスハイドレート110を再充填するか、あるいはガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填することで、再び、エアゾールスプレー101としての機能を復活させることができる。もっとも、流体内容物104がなくなる頃合にスプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなるようなタイミングとなることが望ましい。このようなタイミングは、ガスハイドレート110の充填個数と流体内容物104である濃縮液の供給量とを調節することで実現可能である。そこで、以下、流体内容物104がなくなる頃合にはスプレー容器102の内部圧力が高圧に維持されなくなるという設定の下で、ガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填する作業について説明する。
【0029】
ガスハイドレート110と共に流体内容物104を再充填するには、蓋109をネジ回して外し、導入口113を開放状態にする。この際、スプレー容器102の内部圧力は既に高圧に維持されなくなっているので、安全かつ容易に蓋109を外すことができる。この状態で、まず、補充タンク119を導入口113に装着する。これにより、前述したように、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、スプレー容器102の内部に導入される。この場合にスプレー容器102の内部に導入されるのは、流体内容物104の原液ではなく濃縮液である。前述したように、スプレー容器102の内部には、ガスハイドレート110由来の水が予め溜まっているので、この水に濃縮液が薄められ、有効成分が適度な濃度の原液となるように調整されるからである。
【0030】
次に、導入口壁114によって囲まれる収容室115に必要数のガスハイドレート110を投入する。市販の際には、ガスハイドレート110のペレットの大きさを統一しておき、収容室115の間口を決定する導入口壁114で囲まれた領域の径を、一定の大きさ以上のペレットが投入できない径とすることで、ガスハイドレート110が過剰に供給されることによる危険を回避することができる。収容室115にガスハイドレート110を投入したならば、蓋109をネジ回して閉め、ガスハイドレート110及び流体内容物104の再充填作業が完了する。
【0031】
ガスハイドレート110を流体内容物104と共に再充填すると、ガスハイドレート110は徐々に分解を始める。これにより、収容室115内の内部圧力が高まり、上昇した圧力がコイルスプリング118の付勢力に抗して圧力弁117を開かせる。その結果、スプレー容器102の内部圧力が高まり、エアゾールスプレー101がエアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる状態となる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、ガスハイドレート110が分解することでスプレー容器102の内部圧力を高めることができ、したがって、エアゾールスプレー101に対する流体内容物104の再充填のために特別で大掛かりな設備を必要とすることなく、その際の作業性も良好にすることができる。
【0033】
次いで、別の実施の形態を図8ないし図10に基づいて説明する。この場合、図2ないし図7に基づいて説明した実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0034】
図8は、本発明の別の実施の一形態を示す全体の模式図である。本実施の形態が前述した実施の形態と相違する点は、スプレー容器102の内部に流体収容袋201が設けられ、この流体収容袋201の内部空間ISと外部空間OSとが密閉的に仕切られている点である。つまり、スプレー容器102には、その上面部分に位置させて例えば円盤状のフレーム202が固定的に取り付けられており、このフレーム202の下面には流体収容袋201が固定されている。流体収容袋201は、内部に噴霧対象となる流体内容物104を収容可能な柔軟性を有する袋体である。柔軟性を有するが故に、外部からの圧力を受けて潰れていく。流体収容袋201の材料としては、合成樹脂、アルミなどの金属箔、合成樹脂と金属のラミネートシート等、可撓性を有しかつ薄い材料が用いられる。
【0035】
本実施の形態のエアゾールスプレー101では、流体収容袋201の内部空間ISにのみ流体内容物104が収容され、スプレー容器102の内部ではあっても流体収容袋201の外部空間OSには流体内容物104が収容されない。したがって、噴霧機構103は、フレーム202に取り付けられ、噴霧機構103の吸引管106は流体収容袋201の内部空間ISに配置されている。その一方で、外部空間OSはガスハイドレート110が収容される収容室115と連通可能であり、当該外部空間OSにおいて圧力上昇が発生する。
【0036】
流体収容袋201の内部空間ISには、補充タンク119から流体内容物104を再充填可能に構成されている。これを実現するのは流体内容物導入機構203である。流体内容物導入機構203は、流体内容物104を流体収容袋201の内部空間ISに導入可能にする機構である。このため、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、前述した導入機構111は、専らガスハイドレート導入機構として用いられる。このような構造上、流体内容物104は流体収容袋201の内部空間に収容され、その流体内容物104に対する加圧は流体収容袋201の外部空間OSから行なわれることになる。したがって、流体収容袋201の内部空間ISに収容されている流体内容物104は、ガスハイドレート110由来の水と混ざり合わない。よって、補充タンク119に収容する流体内容物104としては、前述した実施の一形態のような濃縮液ではなく、流体内容物104そのものとしての原液である。そこで、図1と図8とを比較参照することで明らかなように、流体内容物104として濃縮液を用いる図1に示すエアゾールスプレー101に用いられる補充タンク119の容量よりも、流体内容物104として原液を用いる図8に示すエアゾールスプレー101に用いられる補充タンク119の容量の方が大容量に設定されている。
【0037】
ここで、原液である流体内容物104は、ガスハイドレート110由来の水と混合されることがないため、油成分を比較的多く配合することができる。例えば、水に低級アルコールだけでなく多価アルコールを配合してものを用いることができる。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、冷却感の付与や乾燥性の向上等の目的で使用される。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが挙げられ、保湿性の向上、肌触りをよくする等の目的で使用される。
【0038】
原液中に添加される有効成分としては、例えば、クロタミトン等のかゆみ止め剤、アラントイン等の抗炎症剤、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、サリチル酸メチル等の消炎鎮痛剤、パラオキシ安息香酸エステル等の殺菌・消毒剤、l−メントール等の清涼化剤、プロピレングリコール等の保湿剤、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス等の各種抽出液、ラウリル酸メタクリレート等の消臭剤・各種香料等が挙げられる。
【0039】
また、使用感を向上させる目的で、原液に油成分を添加してもよい。油成分としては、例えば、シリコン油、エステル油、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0040】
図9は、流体内容物導入機構203を示す縦断正面図である。流体内容物導入機構203は、ガスハイドレート110を導入するための導入機構111と類似の構造を備えている。つまり、フレーム202の上面には、流体内容物104を導入するための導入口204が形成されている。導入口204は、フレーム202の上面から突出形成された円筒状の導入口壁205によって覆われている。この導入口壁205には、蓋206がネジ構造によって着脱自在となっている。フレーム202には、流体収容袋201の内部空間ISに位置付けられるように、導入口204に一端が嵌合固定された導入管207の他端が延出している。この導入管207は、導入口204に連絡し、流体収容袋201の内部空間ISを外部と連通させる。そして、導入口204の終端には、圧力弁208が開閉自在に取り付けられている。圧力弁208は、フレーム202の内部天井面との間に掛け渡されて引っ張りバネとして作用する付勢部としてのコイルスプリング209に保持されている。したがって、圧力弁208は、流体収容袋201の内部空間ISと外部とを開閉する。
【0041】
図10は、流体内容物104の補充タンク119が装着されることによって圧力弁208が開かれている状態を示す流体内容物導入機構203を示す縦断正面図である。図10に示すように、補充タンク119の供給管121の外径は、スプレー容器102の側の導入管207の内径よりも小径に形成されている。また、補充タンク119の栓122の外径は、導入管207の内径よりも大径に形成されている。そこで、スプレー容器102の側において蓋206を開いて導入口204を開放状態にしておき、補充タンク119の供給管121をスプレー容器102の導入管207に差し込む。すると、補充タンク119の栓122がフレーム202の上面に塞き止められたまま供給管121のみが流体収容袋201の内部空間ISに向けて進行する。そして、進行した供給管121は、その先端部によって圧力弁208を押圧し、圧力弁208を開かせる。この際、供給管121に対して栓122がスライド移動するため、供給管121の先端部に形成されている複数個の供給孔123が露出する。これにより、補充タンク119に収容されている流体内容物104が供給孔123から流れ出し、圧力弁208が開いていることにより流体収容袋201の内部空間ISに導入される。
【0042】
ここで、ガスハイドレート110を導入するための導入口113からの流体内容物104の誤った注ぎ込みを防止するために、導入機構111と流体内容物導入機構203とで寸法を変えておくことが望ましい。例えば、導入機構111における導入口壁114の内径を、補充タンク119の栓122の外径よりも小径にしたり、導入機構111における導入管116の内径を、補充タンク119の供給管121の外径よりも小径にしたりすることで、導入機構111に対する補充タンク119の装着が阻止され、流体収容袋201の外部空間OSに対する流体内容物104の誤った注ぎ込みを防止することができる。
【0043】
更に、図8に示すように、スプレー容器102の内部における流体収容袋201の外部空間OSには、ガスハイドレート110が分解することにより生成された水が溜まってしまう。図2ないし図7に示して説明した実施の形態のエアゾールスプレー101では、こうしてスプレー容器102に溜まる水を流体内容物104として利用していたのに対して、本実施の形態のエアゾールスプレー101では、そのような意味での水の利用価値はない。むしろ、スプレー容器102が金属製であるとするなら、錆の発生を抑制する面からすると、スプレー容器102の底部に溜まる水は積極的に排水した方が良い。そこで、スプレー容器102の下方には、排水用の排水栓210が着脱自在に取り付けられている。
【0044】
このような構成において、本実施の形態のエアゾールスプレー101によれば、収容室115に収容したガスハイドレート110の分解によって発生する圧力により、スプレー容器102の内部空間が高圧状態に維持されている。これにより、流体収容袋201がその外部空間OSから加圧され、流体収容袋201の内部空間ISに収容されている流体内容物104にも高圧がかけられている。そこで、押圧ボタン105を押圧すると噴霧機構103が内蔵する弁(図示せず)が開かれ、流体収容袋201の内部空間ISに配置された吸引管106が流体内容物104を吸引し、噴霧口107に導く。すると、噴霧口107では、供給された流体内容物104を霧状にして噴霧し、エアゾールスプレー101としての機能を果たすことができる。
【0045】
図11は、本発明の更に別の実施の一形態を示す全体の模式図である。この場合、図2ないし図7に基づいて説明した実施の一形態及び図8ないし図10に基づいて説明した別の実施の一形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。
【0046】
本実施の形態は、基本的には図8ないし図10に基づいて説明した実施の形態と多くの点で共通性を有している。相違する点は、スプレー容器102がフレーム202に対して着脱自在になっている点である。つまり、流体収容袋201と噴霧機構103とは共にフレーム202に取り付けられていることから、それらが一体的なユニット構造をなしている。便宜上、このようなユニット構造体を再充填パック301と呼ぶことにする。再充填パック301は、例えばネジ結合によってスプレー容器102に着脱自在となっている。したがって、流体内容物104の再充填作業は、補充タンク119を使用することなく、ユニット構造をなしている再充填パック301の着脱によって容易に行なうことができる。
【0047】
そして、流体内容物104の再充填作業に際して、補充タンク119からの補充が不要であるため、流体内容物導入機構203を設ける必要がない。ユーザは、再充填パック301を購入し、スプレー容器102に対して再充填パック301を付け替えるだけで、流体内容物104の再充填作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の概要を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の一例を示す全体の模式図である。
【図3】ガスハイドレート導入機構及び流体内容物導入機構を構成する導入機構を示す縦断正面図である。
【図4】加圧されて圧力弁が開かれている状態を示す導入機構の縦断正面図である。
【図5】補充タンクに設けられている補充機構を示す縦断正面図である。
【図6】図5に示す補充機構の分解斜視図である。
【図7】流体内容物の補充タンクが装着されることによって圧力弁が開かれている状態を示す導入機構の縦断正面図である。
【図8】本発明の別の実施の一形態を示す全体の模式図である。
【図9】流体内容物導入機構を示す縦断正面図である。
【図10】流体内容物の補充タンクが装着されることによって圧力弁が開かれている状態を示す流体内容物導入機構を示す縦断正面図である。
【図11】本発明の更に別の実施の一形態を示す全体の模式図である。
【符号の説明】
【0049】
102 スプレー容器
103 噴霧機構
104 流体内容物
105 押圧ボタン
106 吸引管
110 ガスハイドレート
111 導入機構(ガスハイドレート導入機構)
115 収容室
117 圧力弁
118 コイルスプリング(付勢部)
201 流体収容袋
203 流体内容物導入機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能なスプレー容器と、
前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記スプレー容器の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部に導入可能にする流体内容物導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項2】
密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能な柔軟性を有する流体収容袋を有し、内部空間が当該流体収容袋の内部空間と外部空間とに密閉的に仕切られたスプレー容器と、
前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の外部空間に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の内部空間に導入可能にする流体内容物導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項3】
密閉構造を備えるスプレー容器と、
前記スプレー容器に交換自在に取り付けられ、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容して前記スプレー容器の内部に配置される柔軟性を有する流体収容袋を有し、前記スプレー容器の外部に配置される押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項4】
前記ガスハイドレート導入機構は、
前記ガスハイドレートを密閉的に収容する収容室と、
当該収容室と前記スプレー容器の内部とを開閉する圧力弁と、
前記収容室内の内部圧力の上昇に伴い前記圧力弁を開くことができるように当該圧力弁を閉方向に付勢する付勢部と、
を備える、請求項1ないし3のいずれか一記載のエアゾールスプレー。
【請求項1】
密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能なスプレー容器と、
前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記スプレー容器の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部に導入可能にする流体内容物導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項2】
密閉構造を備え、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容可能な柔軟性を有する流体収容袋を有し、内部空間が当該流体収容袋の内部空間と外部空間とに密閉的に仕切られたスプレー容器と、
前記スプレー容器の外部に配置された押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の外部空間に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、前記流体内容物を前記スプレー容器の内部における前記流体収容袋の内部空間に導入可能にする流体内容物導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項3】
密閉構造を備えるスプレー容器と、
前記スプレー容器に交換自在に取り付けられ、内部に噴霧対象となる流体内容物を収容して前記スプレー容器の内部に配置される柔軟性を有する流体収容袋を有し、前記スプレー容器の外部に配置される押圧ボタンの押圧によって内蔵する弁を開き、前記流体収容袋の内部に前記流体内容物を吸引可能に配置された吸引管から供給された当該流体内容物を噴霧口から噴霧可能な噴霧機構と、
前記スプレー容器の一部を開閉し、水分子が構成するクラスター中に原料ガスをゲストガスとして取り込んだガスハイドレートを前記スプレー容器の内部に導入可能にするガスハイドレート導入機構と、
を備えるエアゾールスプレー。
【請求項4】
前記ガスハイドレート導入機構は、
前記ガスハイドレートを密閉的に収容する収容室と、
当該収容室と前記スプレー容器の内部とを開閉する圧力弁と、
前記収容室内の内部圧力の上昇に伴い前記圧力弁を開くことができるように当該圧力弁を閉方向に付勢する付勢部と、
を備える、請求項1ないし3のいずれか一記載のエアゾールスプレー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−320585(P2007−320585A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150332(P2006−150332)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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