説明

エアゾール及びエアゾール接着剤用のアクリル系ブロックコポリマー

アクリル系ブロックコポリマーを含む組成物と、溶媒と、噴射剤と、を含むエアゾールが記載される。弁を備える加圧収容容器内に収容されたエアゾールを含む物品が記載される。接着剤組成物の液滴を含むエアゾールミストもまた記載され、ここで、接着剤組成物は、アクリル系ブロックコポリマーと、ガラス転移温度変性剤と、所望により添加物と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エアゾール組成物及びそれを原料とした物品が記載される。いくつかの実施形態では、エアゾールは接着剤である。
【背景技術】
【0002】
接着剤組成物は、基材に、押出(例えば、接着剤は基材上に溶融押出されるか基材上に共押出される)、吹込(例えば、接着剤は超極細繊維内に吹込される)、溶媒コーティング(例えば、接着剤は溶媒中に溶解及び/又は分散され、基材に適用され、溶媒は蒸発させられる)、スプレー(例えば、接着剤は容器に収容され、二次圧力手段を使用して、容器から接着剤を推進する)又はエアゾールスプレー(例えば、接着剤及び噴射剤は共通の容器に封入され、噴射剤は容器から接着剤を推進するためのエネルギーの唯一の供給源である)を介して、適用され得る。
【0003】
接着剤のエアゾールスプレーは独特の問題点を呈しており、それゆえに、全ての接着剤組成物がエアゾールスプレーに使用できるものではない。例えば、エアゾール接着剤は、いったん分配されると適切な接着を提供するだけでなく、容器から使用可能なスプレーとして流出すべきでもあり、送達機構(弁又は作動装置など)の動きを悪化させるべきではなく、適用された基材の中への染み込みを引き起こすべきではない。
【0004】
エアゾール接着剤は、任意のガラス転移温度変性剤と共に接着剤になるポリマーと、接着剤を希釈又は懸濁するために作用する溶媒と、収容容器から接着剤組成物を噴射するために作用する噴射剤と、任意の追加的添加物と、を含み得る。エアゾール接着剤は、そのスプレーパターンに基づいて、(i)ミスト(若しくは粒子)スプレー、(ii)レース(若しくはウェブ)スプレー、又は、(iii)ミストスプレーとレーススプレーとの組み合わせとして、分類され得る。
【0005】
ミストスプレーは、スプレーパターン内に糸引き(又は糸)が最小限しか〜全く観察されず、可変量のスプレーしぶきを有する円形又は扇形パターンの接着剤の小粒子を送達する。ミストスプレーは、微細なミストスプレー又は粗いミストスプレーとして更に分類され得る。当業者であれば、粒径分布に基づいて、微細なミストスプレーから粗いミストスプレーを識別することができる。ミストスプレーは、紙などの薄い素材を通しての視認が不可能な接着剤の均一コーティングを堆積させる。従来、ミストスプレーは、エアゾール接着剤があまり基材中に染み込まないことから、レーススプレーよりも乾燥した接着剤適用を生じる。ミストスプレー接着剤は、典型的には、架橋ポリマーに基づいており、これは収容容器で溶解しない(すなわち、ポリマーは溶媒に可溶性ではない)。それゆえに、これらの架橋ポリマーは、溶液から沈殿し、収容容器は、多くの場合、使用前に振盪する必要がある。収容容器の振盪は、収容容器が数百ポンドの重量の大きな缶である場合には、実際的ではあり得ない。近年、ミストスプレーは、溶媒に可溶性である水素添加スチレン系ブロックコポリマーと配合されている。例えば、欧州特許第0 616 018号(Nguyen)を参照されたい。しかしながら、水素添加スチレン系ブロックコポリマーで作製されたミストスプレーは、典型的には、収容容器から送達される接着剤が少量であることに起因して、低強度の一時接着型又は取り外し可能型の接着剤を提供する。典型的には、ミストスプレーは、総重量に対して約5〜25重量%の接着剤の固形分含量を有する。
【0006】
レーススプレーは、スプレーしぶきをほとんど又は全く有さずに、制御された扇形パターンで糸(又は糸引き)パターンの接着剤を送達する。レーススプレーは、軽いレーススプレー又は重いレーススプレーとして更に分類され得る。当業者であれば、得られる接着剤の厚さに基づいて軽いレーススプレー又は重いレーススプレーを識別することができる。レーススプレーは、接着剤の非平坦な表面を与え、一般にミストスプレーよりも厚い接着線を与え、ミストスプレー接着剤よりも高い強度の接着剤であると考えられている。レーススプレーは、従来、例えば、スチレンブロックコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン−ブチレン(SEB)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP))、スチレン−ブタジエンゴム、エチレンビニルアセテート、ネオプレン及びニトリルなどの可溶性ポリマーに基づく。典型的には、レーススプレーは、総重量に対して25重量%未満の可溶性ポリマー濃度を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改善されたエアゾール組成物に対する必要が存在する。例えば、スプレー内により高い含有量の接着剤を含むエアゾール接着剤は、環境に親和的であり(すなわち、ノン−VOC(揮発性有機化合物)溶媒の使用)、使用が容易であり(例えば、使用前に振盪する必要がない)、並びに/又は、改善された接着性能を与える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、アクリル系ブロックコポリマーと、溶媒と、噴射剤と、を含むエアゾールが記載される。
【0009】
別の態様では、弁を備える加圧収容容器内に収容されたエアゾールを含む物品が記載され、ここで、エアゾールは、アクリル系ブロックコポリマーと、溶媒と、噴射剤と、を含む。
【0010】
別の態様では、接着剤組成物の液滴を含むエアゾールミストが記載され、ここで、液滴は、アクリル系ブロックコポリマーと、ガラス転移温度変性剤と、所望により添加物と、を含む。
【0011】
上記「課題を解決するための手段」は、本発明の開示された各実施形態、又は全ての実施を記載するものではない。以下の「発明を実施するための形態」は、例示的実施形態をより詳細に例証する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用するとき、
用語「1つの(a, an)」、「その(the)」、及び「少なくとも1つの」は、互換的に用いられ、1つ以上を意味する。
【0013】
用語「及び/又は」は、生じ得る述べられている場合の一方又は両方を指すために用いられ、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)並びに(A又はB)の両方を包含する。
【0014】
用語「共重合した」は、ポリマー主鎖を共に形成するように重合したモノマーを指す。
【0015】
用語「室温」は、20℃〜25℃の範囲の温度を指す。
【0016】
用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレート構造又はこれらの組み合わせのいずれかを含有する化合物を指す。
【0017】
用語「コポリマー」は、少なくとも2種の共重合したモノマー(すなわち、同一の化学構造を有さないモノマー)を含む高分子材料を指し、ターポリマー(3種の異なるモノマー)、テトラポリマー(4種の異なるモノマー)などを包含する。
【0018】
用語「ポリマー」は、同じモノマー(ホモポリマー)又は異なるモノマー(コポリマー)の共重合単位(interpolymerize)を含む高分子材料を指す。並びに、
用語「ガラス転移温度」又は「T」は、ポリマー材料がガラス状態からゴム状態へと遷移する温度を指す。ガラス状態は、典型的には、材料、すなわち、例えば、脆く、硬く、剛性の、又はこれらの組み合わせであるものを伴う。対照的に、ゴム状態は通常、材料、すなわち、例えば、可撓性及びエラストマー系のものを伴う。
【0019】
本明細書ではまた、端点による範囲の説明は、端点及びその範囲内に包含される全ての数を包含する(例えば、1〜10は、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などを包含する)。
【0020】
本明細書ではまた、端点による整数範囲の説明は、端点及びその範囲内に包含される全ての整数を包含する(例えば、1〜10は、1、2、3、4、5などを包含する)。
【0021】
本開示はエアゾールに関し、これは、加圧容器から分配されると、微細な固体粒子、液滴、又は、気体中の繊維ストランドの懸濁液として放出される液体物質である。本開示の目的のために、エアゾールは、ミスト型のパターン、レース型のパターン、又は、ミスト型のパターンとレース型のパターンとのいくつかの組み合わせとして、分配される。
【0022】
本開示のエアゾールは、アクリル系ブロックコポリマーを含む組成物を含む。本開示の「ブロックコポリマー」は、化学的に異なるブロック又は配列が互いに共有結合しているエラストマー成分である。ブロックコポリマーは、Aブロック及びBブロックと呼ばれる少なくとも2つの異なるポリマーブロックを含む。Aブロック及びBブロックは、異なる化学的組成及び異なるガラス転移温度を有し得る。
【0023】
本開示のブロックコポリマーは、4つの主な分類に分けることができる:ジブロック((A−B)構造)、トリブロック((A−B−A)構造)、マルチブロック(−(A−B)−構造)及び星形ブロックコポリマー((A−B)−構造)。ジブロック、トリブロック及びマルチブロック構造はまた、線状ブロックコポリマーとしても分類され得る。星形ブロックコポリマーは、分枝状構造を有するブロックコポリマー構造の一般部類に入る。星形ブロックコポリマーはまた、分枝が伸びる中心点を有することから、放射状又は椰子の木形コポリマーとも呼ばれる。本明細書では、ブロックコポリマーは、櫛形ポリマー構造及び他の分枝状コポリマーから識別することができる。これらの他の分枝状構造は、分枝が伸びる中心点を有さない。
【0024】
本開示のアクリル系ブロックコポリマーは、少なくとも1つのアクリル系モノマーである。代表的なアクリル系ブロックコポリマーは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート又はフェニルメタクリレートのようなアルキルエステルメタクリレート;例えば、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート又は2−オクチルアクリレートのようなアルキルエステルアクリレート;例えば、以下のエステル基を有するもの:メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、のような(メタ)アクリレートエステル;イソボルニル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせなどの、モノマー単位を含み得る。
【0025】
アクリル系ブロックコポリマーは、例として、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸又は(メタ)アクリルアミドのようなカルボキシル基を有するビニル基モノマー;例えば、スチレン、α−メチルスチレン又はp−メチルスチレンのような芳香族ビニル基モノマー;例えば、ブタジエン又はイソプレンのような共役ジエン基モノマー;例えば、エチレン又はプロピレンのようなオレフィン基モノマー;例えば、ε−カプロラクトン又はバレロラクトンのようなラクトン基モノマー;及びこれらの組み合わせが挙げられる追加のモノマー単位を含み得る。
【0026】
本開示の一実施形態では、アクリル系ブロックコポリマーは、(メタ)アクリレートモノマー、スチレン系モノマー又はこれらの組み合わせを含むモノエチレン性不飽和モノマーから各々独立して誘導される少なくとも2個のA末端部ブロックポリマー単位(ここで、各A末端部ブロックは少なくとも50℃のガラス転移温度を有する)と、(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエステルモノマー又はこれらの組み合わせを含むモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される少なくとも1個のB中間部ブロックポリマー単位(ここで、各B中間部ブロックは20℃以下のガラス転移温度を有する)と、を含み、但し、少なくとも1個のA末端部ブロックポリマー単位又は1個のB中間部ブロックポリマー単位は、(メタ)アクリレートを含むモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される。Aブロックは、少なくとも50℃のガラス転移温度を有し、Bブロックは、20℃以下のガラス転移温度を有する。多くの代表的なブロックコポリマーでは、Aブロックは、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも120℃、少なくとも140℃又は少なくとも150℃のガラス転移温度を有し、一方、Bブロックは、20℃以下、10℃以下、0℃以下、−10℃以下、−20℃以下、−40℃以下、−60℃以下、−80℃以下又は−100℃以下のガラス転移温度を有する。
【0027】
簡潔には、A末端部ブロックポリマー単位は、(メタ)アクリレートモノマー、スチレン系モノマー又はこれらの組み合わせを含む。Aブロックポリマー単位を形成するために使用されるモノマーの説明をするために本明細書で使用するとき、用語「これらの組み合わせ」は、2種以上のタイプのモノマー(例えば、メタクリレート及びスチレン)又は2種以上の同一タイプのモノマー(例えば、2種の異なったメタクリレート)を混合することができることを意味する。ブロックコポリマーのAブロックは、同一であるか又は異なることができる。多くのブロックコポリマーにおいて、Aブロックポリマー単位の全てが、同一のモノマー又はモノマー混合物から誘導される。
【0028】
末端部ブロックポリマー単位において、(メタ)アクリレートモノマーは、反応して、Aブロックを形成する。得られたAブロックのTが少なくとも50℃であるならば、任意の(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、式(I)の、アルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、又はアラルキルメタクリレートであることができる。
【0029】
【化1】

【0030】
式(I)において、Rはアルキル、アリール、又はアラルキル(すなわち、アリール基で置換されたアルキル)である。好適なアルキル基は、多くの場合、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。アルキル基が2個より多い炭素原子を有する場合、アルキル基は分枝状又は環状であることができる。好適なアリール基は、多くの場合、6〜12個の炭素原子を有する。好適なアラルキル基は、多くの場合、7〜18個の炭素原子を有する。
【0031】
式(I)の代表的なアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。式(I)のモノマーに加えて、イソボルニルメタクリレートを使用することができる。式(I)による代表的なアリールメタクリレートとしては、フェニルメタクリレートが挙げられる。式(I)による代表的なアラルキルメタクリレートとしては、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、A末端部ブロックポリマー単位は、スチレン系モノマーを含む。反応してAブロックを形成することができる代表的なスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、並びに、例えば、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレンなどの各種アルキル置換スチレン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
上記実施形態のB中間部ブロックポリマーは、(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエステルモノマー又はこれらの組み合わせから誘導され得る。すなわち、B中間部ブロックポリマー単位は、(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエステルモノマー又はこれらの組み合わせから選択される第二モノマーの反応生成物である。B中間部ブロックポリマー単位を形成するために使用されるモノマーの説明をするために本明細書で使用するとき、用語「これらの組み合わせ」とは、2種以上のタイプのモノマー(例えば、(メタ)アクリレート及びビニルエステル)又は2種以上の同一のモノマー(例えば、2種の異なったタイプの(メタ)アクリレート)を混ぜ合わせることができることを意味する。Bブロックは多くの場合、式(II)のアクリレートモノマーから誘導される。
【0034】
【化2】

【0035】
式(II)において、Rは、1〜22個の炭素を有するアルキル又は2〜20個の炭素を有するヘテロアルキル及び酸素又はイオウから選択される1〜6個のヘテロ原子である。アルキル基又はヘテロアルキル基は、線状、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、アクリレートモノマーが反応して、Bブロックを形成する。Bブロックポリマー単位を形成するために使用することができる式(II)の代表的なアルキルアクリレートとしては、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソトリデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ドデシルアクリレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
ブロックポリマー単位を形成するために使用することができる、式(II)の代表的なヘテロアルキルアクリレートとしては、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
例えば、6個超〜20個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルメタクリレートなどのBブロックを調製するために、いくつかのアルキルメタクリレートを使用することができる。代表的なアルキルメタクリレートとしては、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート又はこれらの組み合わせが挙げられる。同様に、例えば、2−エトキシエチルメタクリレートなどのいくつかのヘテロアルキルメタクリレートもまた使用することができる。更にその他の実施形態では、Bブロックポリマー単位は、ビニルエステルモノマーから誘導される。代表的なビニルエステルとしては、ビニル2−エチル−ヘキサノエート、ビニルネオデカノエート又はこれらの組み合わせが挙げられる。1つの特定の実施形態では、アクリル系ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーであり、各A末端部ブロックはアルキルメタクリレートモノマーの反応生成物を含み、B中間部ブロックはアルキル(メタ)アクリレートモノマーの反応生成物を含む。これらのA及びBブロックコポリマー及びモノマーの選択の更なる詳細については、米国特許出願第61/057532号(Josephら)を参照されたい。
【0039】
本開示で使用されるアクリル系ブロックコポリマーの製造方法に関して、化学構造に基づいて本発明の条件を満たすポリマーを得ることができる限り、特定の制限はなく、本方法は、既知の方法に一致して適合化され得る。一般に、リビング重合方法は、狭い分子量分布を有するブロックコポリマーを得るために使用され得る。このようなリビング重合方法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として使用する重合、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ希土類金属塩などの鉱酸塩の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用するアニオン重合、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用するアニオン重合、あるいは、原子移動ラジカル重合(ATRP)が挙げられる。アクリル系ブロックコポリマーの製造方法に関する更なる情報は、例えば、米国特許第6,806,320号(Everaertsら)に見出し得る。
【0040】
本開示のアクリル系ブロックコポリマーは、少なくとも50,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトン、少なくとも300,000ダルトン、少なくとも1,000,000ダルトン又は更には1,500,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有し得る。一実施形態では、アクリル系ブロックコポリマーは、75,000〜150,000ダルトンの分子量を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、1つ超のブロックコポリマーが使用される。例えば、異なる重量平均分子量を有する複数のブロックコポリマー又は異なる濃度のブロックポリマー単位を有する複数のブロックコポリマーを使用することができる。異なる重量平均分子量を有する複数のブロックコポリマー又は異なる量のブロックポリマー単位を有する複数のブロックコポリマーを使用することで、例えば、組成物の接着特性を改善することができる。
【0042】
本開示の一実施形態では、エアゾールは接着剤である。1つ以上の粘着付与剤、1つ以上の可塑剤又はこれらの組み合わせなどのガラス転移温度変性剤は、組成物の接着特性を改善するために、組成物に添加され得る。可塑剤及び粘着付与剤は、基材に対する組成物の接着を改善すべく、組成物のガラス転移温度を調整するために、及び/又は、組成物の弾性率を調整するために、使用される。当業者に既知の可塑剤及び粘着付与剤が使用され得る。
【0043】
好適な可塑剤の例としては、炭化水素油(例えば、芳香族、パラフィン系又はナフテン系)、炭化水素樹脂、ポリテルペン、ロジンエステル、フタレート(例えば、テレフタレート)、リン酸エステル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエーテル(例えば、アルキルフェニルエーテル)、エポキシ樹脂、セバケート、アジパート、クエン酸塩、トリメリテート、ジベンゾエート又はこれらの組み合わせが挙げられる。可塑剤は、組成物中に、例えば、100重量部のアクリル系ブロックコポリマーに基づいて、最大約50重量部、70重量部又は更には最大約100重量部などの任意の好適な量で存在し得る。
【0044】
好適な粘着付与剤の例としては、ロジン及びその誘導体(例えば、ロジンエステル);ポリテルペン及び芳香族変性ポリテルペン樹脂;クマロン−インデン樹脂;炭化水素樹脂、例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族変性炭化水素系樹脂;又はこれらの組み合わせが挙げられる。水素不添加粘着付与剤樹脂は、典型的には、より色鮮やかであり、耐久性(すなわち、耐候性)に劣る。水素添加(部分又は完全のいずれか)粘着付与剤もまた使用され得る。水素添加粘着付与剤の例としては、例えば、水素化ロジンエステル、水素添加酸、水素添加芳香族炭化水素樹脂、水素添加芳香族変性炭化水素系樹脂、水素添加脂肪族炭化水素系樹脂又はこれらの組み合わせが挙げられる。合成粘着付与剤の例としては、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリt−ブチルスチレン、アクリル樹脂又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
任意の好適な量の粘着付与剤が使用され得る。いくつかの実施形態では、粘着付与剤は、組成物中に、100重量部のアクリル系ブロックコポリマーに基づき、約40重量部超の量で存在し得る。所望により、粘着付与剤は、アクリル系ブロックポリマーの重量に基づいて、約40重量部〜約400重量部、40重量部〜約200重量部、60重量部〜約140重量部、又は更には80重量部〜約120重量部の量で存在し得る。しかしながら、特に加熱活性化接着剤を配合する場合には、より多量の粘着付与剤が所望され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、粘着付与剤はまた、組成物の性能を改善するために、選択的に組み合わせられ得る。例えば、ロジン酸などのロジン粘着付与剤は、典型的には、化合物と異性体との混合物である。ロジン酸及びロジンエステルの各々は、3個の縮合炭素環と、0、1、2又は3個の炭素−炭素二重結合と、を有する。例えば、Cheng,N.H.,Adhesives Age,1988 p.37〜38を参照されたい。多くの場合、各粘着付与剤は、異なる不飽和度(すなわち、異なる飽和度)(1H NMR(核磁気共鳴)により測定され得る)を有するロジン酸及び/又はロジンエステルの混合物である。粘着付与剤の飽和又は水素添加の相異のために、様々な粘着付与剤は、アクリル系ブロックコポリマーにおいて及びアクリル系ブロックコポリマーの様々なポリマー単位において、異なる溶解度を有する。例えば、より高い飽和度を有する粘着付与剤は、より高い不飽和度を有する粘着付与剤よりも、アクリル系ブロックコポリマーのエラストマー領域と相溶性がより低く又は混和性がより低い。粘着付与剤に存在する不飽和度を知ることにより、望ましい効果を達成するために、様々な粘着付与剤を組み合わせることができる。次に、粘着付与剤混合物の2つの異なる実施形態を記載する。
【0047】
一実施形態では、アクリル系ブロックコポリマーを含む組成物は、少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共にオレフィン性水素を含有するロジン異性体を少なくとも35重量パーセント有するロジンを含む第一固体粘着付与剤と、少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共にオレフィン性水素を含有するロジン異性体を35重量パーセント以下で有するロジンを含む第二固体粘着付与剤と、を含み得る。
【0048】
これらの2種の粘着付与剤は、それらの飽和度が互いに異なる。第一固体粘着付与剤は、第二固体粘着付与剤よりも一層硬化されている。言い方を変えれば、第二固体粘着付与剤と比較して、第一固体粘着付与剤は、高飽和度かつ低不飽和度を有する。
【0049】
第一及び第二固体粘着付与剤の各々は、例えば、ロジン酸及び/又はその異性体及び/又はそのロジンエステルの混合物を含有することができる。しかしながら、第一固体粘着付与剤及び第二固体粘着付与剤中のこれらロジン酸及び/又はロジンエステルの分布は通常、異なる。第二固体粘着付与剤と比較して、第一固体粘着付与剤は、典型的には、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ピマル酸、イソピマル酸又は同様の異性体などの不飽和(典型的には2個の二重結合)からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を有する第一ロジン酸及び/又は第一ロジンエステルをより多量に含有する。これは、芳香族である芳香族デヒドロアビエチン酸異性体を含まない。第一固体粘着付与剤と比較して、第二固体粘着付与剤は、典型的には、不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を有する第一ロジン酸及び/又は第一ロジンエステルをより少量に含有する。
【0050】
典型的には、第一固体粘着付与剤の少なくとも30重量パーセントは、不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体である。いくつかの代表的な第一固体粘着付与剤は、不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を少なくとも35重量パーセント又は少なくとも40パーセント含有する。典型的には、第二固体粘着付与剤の35重量パーセント以下は、不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体である。いくつかの代表的な第二固体粘着付与剤は、不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を25重量パーセント未満又は15パーセント未満含有する。
【0051】
別の実施形態では、アクリル系ブロックコポリマー組成物は、少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共に0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジン酸、ロジンエステル又はこれらの組み合わせを少なくとも70重量パーセント含む第一固体粘着付与剤と、少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共に0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第二ロジン酸、ロジンエステル又はこれらの組み合わせを50重量パーセント以下含む第二固体粘着付与剤と、0℃以下のガラス転移温度を有する第三液体粘着付与剤と、を含み得る。
【0052】
接着剤組成物中の2種の固体粘着付与剤は、少なくとも20℃であるガラス転移温度を有する。これらの2種の粘着付与剤は、それらの飽和度が互いに異なる。第一固体粘着付与剤は、第二固体粘着付与剤よりも一層硬化されている。言い方を変えれば、第二固体粘着付与剤と比較して、第一固体粘着付与剤は、高飽和度かつ低不飽和度を有する。
【0053】
第一及び第二固体粘着付与剤の各々は、例えば、ロジン酸及び/又はその異性体及び/又はそのロジンエステルの混合物を含有することができる。しかしながら、第一固体粘着付与剤及び第二固体粘着付与剤中のこれらロジン酸及び/又はロジンエステルの分布は通常、異なる。第二固体粘着付与剤と比較して、第一固体粘着付与剤は通常、より多量の第一ロジン酸及び/又は0個若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジンエステルを含有する。更に、第一固体粘着付与剤と比較して、第二固体粘着付与剤は多くの場合、より多量の2個の炭素−炭素二重結合を有する第二ロジン酸及び/又は第二ロジンエステルを含有するが、必ずしも常に含有するわけではない。第一及び第二固体粘着付与剤は、3個の炭素−炭素二重結合を有する第三ロジン酸及び/又は第三ロジンエステルの量において、かつ0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジン酸及び/又は第一ロジンエステルの量において、最も異なる。
【0054】
第一固体粘着付与剤は多くの場合、第二固体粘着付与剤よりも更に水素化されたロジン酸及び/又はロジンエステルを含有する。通常は、少なくとも70重量%の第一固体粘着付与剤は、第一ロジン酸及び/又は0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジンエステルである。いくつかの代表的な第一固体粘着付与剤は、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも85重量%の第一ロジン酸及び/又は0個若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジンエステルを含有する。典型的には、第二固体粘着付与剤の50重量パーセント以下は、0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジン酸及び/又は第一ロジンエステルである。いくつかの代表的な第二固体粘着付与剤は、0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第二ロジン酸及び/又は第二ロジンエステルを45重量パーセント以下若しくは40重量パーセント以下含有する。
【0055】
第三粘着付与剤は、室温又は室温付近の温度にて、液体又は粘稠な液体である。この第三液体粘着付与剤は、0℃以下のガラス転移温度を有する。第一固体粘着付与剤及び第二固体粘着付与剤と同様に、第三液体粘着付与剤は、ロジン酸、ロジンエステル、又はこれらの混合物である。第三液体粘着付与剤は、単一のロジン酸又は単一のロジンエステルであることができる。あるいは、第三液体粘着付与剤は、ロジン酸及び/又はロジンエステルの混合物であることができる。この3種の粘着付与剤混合物に関する更なる詳細については、米国特許出願第61/057532号(Josephら)を参照されたい。
【0056】
光架橋剤もまた、紫外線照射による任意の後続硬化のために添加され得る。従来の架橋剤(物理的及び化学的架橋剤)を本開示にて利用することができる。架橋剤は任意であり、例えば、総組成物100重量部に基づいて最大約5重量部といった任意の好適な量で本開示の組成物中に存在し得る。
【0057】
他の任意の添加物としては、例えば、安定剤(例えば、抗酸化剤又は紫外線安定剤)、腐食防止剤、顔料、染料、医薬品、増粘剤(例えば、ポリアミド)又はこれらの組み合わせが挙げられる。このような添加剤の使用は、当業者に周知である。添加剤は、総エアゾール混合物の重量に基づき、0.5重量%〜5重量%の量で存在し得る。特定の添加物は、低い重量パーセントであり得、例えば、顔料は、0.05%重量未満又は更には0.005重量%未満であり得る。
【0058】
好ましい抗酸化剤としては、フェノール、亜リン酸塩、チオエステル、アミン、高分子ヒンダードフェノール、4−エチルフェノールのコポリマー、ジシクロペンタジエンとブチレンとの反応生成物又はこれらの組み合わせが挙げられる。追加例としては、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチレン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三級ブチルフェノール)、Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から商品名「CIBA IRGANOX 1010」で販売されているフェノール系抗酸化剤又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
紫外線吸収剤などの紫外線安定剤は、光誘起劣化の物理的及び化学的プロセスに介在し得る化学化合物である。代表的な紫外線安定剤としては、ベンゾトリアゾール化合物、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール又はこれらの組み合わせが挙げられる。他の代表的なベンゾトリアゾールとしては、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾチアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール又はこれらの組み合わせが挙げられる。追加の代表的な紫外線吸収剤としては、2(−4,6−ジフェニル−1−3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、並びに、商品名「CIBA TINUVIN 1577」及び「CIBA TINUVIN 900」で販売されているCiba Specialty Chemicals Corp.から入手可能なものが挙げられる。更に、紫外線吸収剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び/又は抗酸化剤と組み合わせて使用することができる。代表的なHALSとしては、商品名「CIBA CHIMASSORB 944」及び「CIBA TINUVIN 123」で販売されているCiba Specialty Chemicals Corpから入手可能なものが挙げられる。
【0060】
腐食防止剤は、組成物と、例えば、貯蔵ドラム又は収容容器といったその周囲の金属との化学反応に介在することができる化学化合物である。代表的な腐食防止剤としては、スルホン酸塩、モルホリン、ベンゾトリアゾール、様々なアミン、安息香酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸四級アンモニウム、珪酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、アセチレン系誘導体、モリブデン酸ナトリウム、ホルムアミド又はこれらの組み合わせ、及び、「Corrosion Inhibitors,An Industrial Guide」(Ernest W.Flick,2nd ed.,Noyes Publications,Park Ridge,NJ,1993)に開示されているものなどの当業者に周知の他のものが挙げられる。
【0061】
本開示は溶媒を含む。溶媒は、アクリル系ブロックコポリマーを含む組成物を溶解又は分散するために使用される。アクリル系ブロックコポリマーは、溶媒に可溶性又は溶媒に不溶性であり得る。ガラス転移温度変性剤は、溶媒に可溶性又は溶媒に不溶性であり得る。添加物は、溶媒に可溶性又は溶媒に不溶性であり得る。本明細書で使用するとき、「可溶性」は、視覚的に観察される際に、溶液が、明瞭な微粒子又はゲル形成のない、実質的に均一で透明又は乳白色の溶液であることを意味する。例えば、遠心分離の結果、遠心分離管にわたっての組成物における相分離又は変化が生じない、あるいは、時効処理時に相分離が生じないことにより、可溶性を観察することができる。
【0062】
一実施形態では、溶媒の重量は、組成物と溶媒とを組み合わせた重量の90%未満、85%未満、75%未満、65%未満又は更には55%未満を構成する。
【0063】
代表的な溶媒としては、ハロゲン化溶媒、脂肪族、脂環式物質、芳香族、アルコール、エステル、水、ケトン又はこれらの混合物が挙げられる。例としては、酢酸メチル、アセトン、エタノール、ジアセトンアルコール、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ペンタン又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
一実施形態では、溶媒は、不揮発性有機化合物(ノンVOC)である。VOCは、通常条件下で気化して大気に入るように、十分な蒸気圧を有する有機化合物である。環境に関して懸念が増加していることから、VOCの環境中への放出を制限する規制が導入されている。多くの場所で、VOCは規制され、規制は場所によって異なり得る。それゆえに、ある場所でノンVOCであると考えられているものが別の場所ではVOCであり得る。本開示の目的のために、本明細書で使用するとき、ノンVOCは、出願時の日付けでの40CFR(米国連邦規制基準)§51.100(s)に従ってノンVOCであるとみなされる化合物を指す。代表的なノンVOC溶媒:アセトン、酢酸メチル、パラクロロベンゾトリフルオリド、塩化メチレン、メチル化シロキサン(例えば、メチルシロキサン)、いくつかのフッ素化溶媒材料(例えば、商品名「3M NOVEC ENGINEERED FLUID HFE−7100」で販売されている3M Company,St.Paul,MNから入手可能な1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロ−4−メトキシブタン)又はこれらの組み合わせ。ノンVOC溶媒の完全リストについては40CFR §51.100(s)を参照されたい。
【0065】
噴射剤は、収容されたエアゾールを収容容器の外に動かすために使用される。噴射剤は、液化ガス、圧縮ガス、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0066】
液化ガス噴射剤は、当業者に既知である。代表的な液化ガス噴射剤としては、ジメチルエーテル、C1〜C4アルカン(例えば、プロパン、イソブタン、ブタン、シクロブタン又はこれらの組み合わせ)、冷媒、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン又はこれらの組み合わせが挙げられる。例としては、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
一実施形態では、溶媒と液化ガスとを組み合わせた重量は、エアゾールの総重量の90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満又は更には65%未満を構成する。
【0068】
圧縮ガスは、当業者に周知である。代表的な圧縮ガスとしては、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、圧縮空気又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
エアゾールは、当業者に既知のエアゾール送達装置内に収容され得る。このような装置としては、弁及び/又は作動装置を備える収容容器が挙げられる。代表的な弁及び/又は作動装置は、SeaquistPerfect Dispensing(Cary,IL)、Lindal Valve Co Ltd(Bedfordshire England)、Newman−Green Inc.(Addison,IL)、Precision Valve Corp.(Yonkers,NY)及びSummit Packaging Systems,Inc.(Manchester,NH)から入手することができる。例えば、シリンダーなどの収容容器は、典型的には、弁と作動装置(例えば、スプレーガン)との間に取り付けられたホースを有する。シリンダーのための代表的な弁製造者、Grand Gas Equipment Inc.(Taichung,Taiwan)である。
【0070】
一実施形態では、エアゾールは、ミスト型のパターン、レース型のパターン又はこれらの組み合わせで加圧された収容容器内から分配される。ミスト型のパターンのエアゾールは、接着剤組成物の液滴を含み、ここで、接着剤組成物は、アクリル系ブロックコポリマーと、ガラス転移温度変性剤と、所望により添加物と、を含む。
【0071】
一実施形態では、本明細書に開示されるエアゾールは、接着剤である。接着剤のガラス転移温度は、DMA(動的機械分析)により測定されるとき、適用に依存して、例えば、−60℃〜100℃、−10℃〜20℃、10℃〜70℃又は更には10℃〜50℃といったように大きく変動する。アクリル系ブロックコポリマーで使用されるモノマー単位の型、ガラス転移変性剤の量及び/又は添加剤の量は、十分な粘着力及びレオロジー特性を有するエアゾール接着剤を得るために、調整され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、エアゾールスプレー中に可能な限り多くの接着剤を送達する(すなわち、ミストスプレーの場合には高固形分含量、又は、レーススプレーの場合には多量の可溶性ポリマー濃度で送達する)ことが望ましい。しかしながら、典型的には、送達される接着剤の量は、接着剤を分散させる又は溶解させるために必要とされる溶媒及び噴射体によって低減する。本開示の一実施形態では、スプレーされる接着剤の固形分含量は、総重量に対して10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超、30重量%超又は35重量%超である。典型的には、ミストスプレーは、総重量に対して約5〜25重量%の接着剤の固形分含量を有する。
【0073】
アクリル系ブロックコポリマーから作製されるエアゾール接着剤の利点は、アクリル系ブロックコポリマーが紫外線耐性であり、典型的には、酸化及び変色しやすいスチレンブタジエンゴム及びニトリルエアゾールと比較して、変色しないことである。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されているエアゾール接着剤は、木材、積層体、紙、ガラス、炭素フィルター、コンクリート、セラミックス、金属、鋼、布、複合体、プラスチック、ビニル、ゴム、厚紙、粒子板、合板、繊維板又はこれらの組み合わせなどの基材への適用に有用である。
【0075】
本開示の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本発明を不当に制限するものではないと解釈すべきである。全ての材料は、例えば、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から市販されているか、特に記載又は明示されない限り、当業者に既知である。
【実施例】
【0076】
これらの実施例では、全ての百分率、比率、部及び比は、特に断らない限り重量による。これらの略語が以下の実施例において使用される:g=グラム、oz.=オンス。
【0077】
実施例1:16.7部のジブロックPMMA/PnBAコポリマー(株式会社クラレ(日本、東京)からLA1114として入手可能、PMMAはポリメチルメタクリレートを指し、PnBAはポリn−ブチルアクリレートを指す)を、33.3部の水素添加樹脂のエチレングリコールエステル(商品名「SUPER ESTER A−75」でArakawa Chemical Inc.(Chicago,IL)から販売)、33.3部のアセトン及び16.7部のエタノールと共に容器の中に入れ、これを密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、プレミックス(PM)を調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である90gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、弁(AR−83、SeaquistPerfect Dispensing(Cary,IL))を用いて密封した。密封した収容容器中に液化プロパン(30g)を過給した。理論的なPM固形分=50.0%、理論的なPM VOC量=16.7%、理論的なエアゾール固形分=37.5%、理論的なエアゾールVOC量=37.5%。
【0078】
収容容器に作動装置(802−24−20/0890−20FS、SeaquistPerfect Dispensing(Cary,IL))を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーはわずかに粗いミストスプレーを示した。
【0079】
実施例2:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2140eとして入手可能)を、100部のロジンのエステル(商品名「SYLVALITE RE 80HP」でArizona Chemical(Jacksonville,FL)から販売)、15部のジオクチルセバケート(Hallstar Solutions Corp.(Bedford Park,IL))及び400部のアセトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である96gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、その後、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中に液化プロパン(24g)を過給した。理論的なPM固形分=35.0%、理論的なPM VOC量=0%、理論的なエアゾール固形分=28.0%、理論的なエアゾールVOC量=20.0%。
【0080】
収容容器に802−24−20/0890−20FS作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0081】
実施例3:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2140eとして入手可能)を、100部のSYLVALITE RE 80HP、15部のジオクチルセバケート、300部のアセトン及び100部のペンタンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である96gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、その後、AR−83弁を用いて密封した。密封したエアゾール缶中に液化プロパン(24g)を過給した。理論的なPM固形分=35.0%、理論的なPM VOC量=16.3%、理論的なエアゾール固形分=28.0%、理論的なエアゾールVOC量=33.0%。
【0082】
収容容器に802−24−20/0890−20FS作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温にて試験すると、スプレーは、多量の糸引きを有する粗いミストスプレーを示した。
【0083】
実施例4:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2250として入手可能)を、50部のポリテルペン樹脂(商品名「PICCOLYTE A135」でHercules Inc.(Wilmington,DE)から販売)、50部の水素添加ロジンのエステル(商品名「FORAL 85」でEastman Chemicals(Kingsport,TN)から販売)、400部のアセトン、100部のシクロヘキサン及び40部のメチルアミルケトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である91gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中にジメチルエーテル(33.6g)と8.4gの液化プロパンを過給した。理論的なPM固形分=27.0%、理論的なPM VOC量=18.9%、理論的なエアゾール固形分=18.9%、理論的なエアゾールVOC量=43.2%。
【0084】
収容容器に802−24−20/0890−20FS作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0085】
実施例5:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2250として入手可能)を、50部のPICCOLYTE A135、50部のFORAL 85、300部のアセトン、200部のシクロヘキサン及び40部のメチルアミルケトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である91gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中にジメチルエーテル(33.6g)と8.4gの液化プロパンを過給した。理論的なPM固形分=27.0%、理論的なPM VOC量=32.4%、理論的なエアゾール固形分=18.9%、理論的なエアゾールVOC量=52.7%。
【0086】
収容容器に802−24−20/0890−20FS作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0087】
実施例6:90部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2250として入手可能)及び10部のジブロックPMMA/PnBA(株式会社クラレからLA1114として入手可能)を、100部の水素添加ロジン(商品名「FORAL 105−E」でEastman Chemicals(Kingsport,TN)から販売)、60部の酢酸ブチル、400部のアセトン及び40部のイソブチルイソブチレートと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である59.5gのPMを計量して、20mmの口を有する4オンスのボストン丸型収容容器中に入れ、20mmスプレー弁を用いて密封した。密封した収容容器中に1,1−ジフルオロエタン(25.4g、商品名「DYMEL 152a」でE.I.du Pont de Nemours & Co.(Wilmington,DE)から販売)を過給した。DYMEL 152aの添加後、単相の透明溶液が得られた。理論的なPM固形分=28.6%、理論的なPM VOC量=14.3%、理論的なエアゾール固形分=20.0%、理論的なエアゾールVOC量=10.0%。
【0088】
収容容器に作動装置(XL−100、SeaquistPerfect Dispensing(Cary,IL))を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0089】
実施例7:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA410Lとして入手可能)を、75部のテルペンフェノール樹脂(商品名「SYLVARES TP 7042」でArizona Chemical(Jacksonville,FL)から販売)、300部の酢酸メチル及び30部のメチルアミルケトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である91gのPMを計量して、8オンスの流体収容容器中に入れ、変動弁(Lindal Valve Co.Ltd.(Bedfordshire,UK))を用いて密封した。密封した収容容器中にジメチルエーテル(31.2g)と7.8gの液化プロパンを過給した。理論的なPM固形分=34.7%、理論的なPM VOC量=5.9%、理論的なエアゾール固形分=24.3%、理論的なエアゾールVOC量=34.2%。
【0090】
収容容器に作動装置(576×115、Lindal Valve Co.Ltd.(Bedfordshire,UK))を取り付け、スプレー特性を試験した。室温にて試験すると、スプレーは、スプレーパターン中に少量の糸引きを有する幅およそ4.5インチ(11.4cm)のミストスプレーを示した。
【0091】
実施例8:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA410Lとして入手可能)を、75部のSYLVARES TP 7042、250部の酢酸メチル及び25部のメチルアミルケトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である91gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、変動弁を用いて密封した。密封した収容容器中にジメチルエーテル(31.2g)と7.8gの液化プロパンを過給した。理論的なPM固形分=38.9%、理論的なPM VOC量=5.6%、理論的なエアゾール固形分=27.2%、理論的なエアゾールVOC量=33.9%。
【0092】
収容容器に576×115作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温にて試験すると、スプレーは、少量のミストスプレーしぶきを有する幅およそ3.75インチ(9.53cm)のレーススプレーを示した。
【0093】
実施例9:100部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA410Lとして入手可能)を、75部のSYLVARES TP 7042、210部の酢酸メチル及び20部のメチルアミルケトンと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である91gのPMを計量して8オンスエアゾール缶中に入れ、変動弁を用いて密封した。密封した収容容器中にジメチルエーテル(31.2g)と7.8gの液化プロパンを過給した。理論的なPM固形分=43.2%、理論的なPM VOC量=4.9%、理論的なエアゾール固形分=30.2%、理論的なエアゾールVOC量=33.5%。
【0094】
収容容器に576×115作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温にて試験すると、スプレーは、幅およそ2.75インチ(6.99cm)のわずかに重いレーススプレーを示した。
【0095】
実施例10:16.7部のジブロックPMMA/PnBAコポリマー(株式会社クラレからLA1114として入手可能)を、33.3部のSUPER ESTER A−75、33.3部のアセトン及び16.7部のエタノールと共に容器の中に入れ、これを密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である90gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中に液化プロパン(30g)を過給した。理論的なPM固形分=50%、理論的なPM VOC量=16.7%、理論的なエアゾール固形分=37.5%、理論的なエアゾールVOC量=37.5%。
【0096】
収容容器に802−24−20/0890−20FS作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーはわずかに粗いミストスプレーを示した。
【0097】
実施例11:6.4部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2140eとして入手可能)を、4.3部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA410Lとして入手可能)、6.4部のSUPER ESTER A−75、4.3部のロジン酸のグリセロールエステル(商品名「SUPER ESTER W−100」でArakawa Chemical Inc.により販売)、2.2部の水、47.5部のアセトン、25.5部のシクロヘキサン及び3.3部のジアセトンアルコール及び0.1部の安息香酸ナトリウムと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である87gのPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中に液化プロパン(33g)を過給した。理論的なPM固形分=21.6%、理論的なPM VOC量=28.8%、理論的なエアゾール固形分=15.6%、理論的なエアゾールVOC量=48.3%。
【0098】
収容容器に作動装置(320−20−20、Lindal Valve Co.Ltd.)を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0099】
実施例12:6.9部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA2140eとして入手可能)を、4.6部のトリブロックPMMA/PnBA/PMMAコポリマー(株式会社クラレからLA410Lとして入手可能)、5.5部のSUPER ESTER A−75、3.7部のSUPER ESTER W−100、4.6部の水、46.4部のアセトン、25.1部のシクロヘキサン及び3.2部のジアセトンアルコール及び0.1部の安息香酸ナトリウムと共に容器の中に入れ、密封し、実験室用塗料ローラー上に一晩配置することにより、PMを調製した。ローラーから取り出した後、透明な薄い溶液である72.5%のPMを計量して8オンス流体収容容器中に入れ、AR−83弁を用いて密封した。密封した収容容器中に液化プロパン(27.5%)を過給した。理論的なPM固形分=20.7%、理論的なPM VOC量=28.3%、理論的なエアゾール固形分=15.0%、理論的なエアゾールVOC量=48.0%。
【0100】
収容容器に320−20−20作動装置を取り付け、スプレー特性を試験した。室温で試験すると、スプレーは微細なミストスプレーを示した。
【0101】
上記実施例において示したように、アクリル系ブロックコポリマーを含むPMは、溶媒に可溶性であり、驚くべくことにスプレーされるとミストパターン、レースパターン又はこれらの組み合わせを達成する。更に、実施例1〜3は、ミストスプレーパターンが25%超の理論的なエアゾール固形分含量を有することを示し、一方、実施例8〜9は、レーススプレーパターンが27%超の理論的なエアゾール固形分含量を有することを示した。
【0102】
本発明の範囲及び趣旨から外れることなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、例証の目的のために本出願において説明された実施形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アクリル系ブロックコポリマーを含む組成物と、
b)溶媒と、
c)噴射剤と、を含むエアゾール。
【請求項2】
前記アクリル系ブロックコポリマーが前記溶媒に可溶性である、請求項1に記載のエアゾール。
【請求項3】
前記溶媒の重量が、前記組成物と前記溶媒とを組み合わせた重量の85%未満を構成する、請求項1又は2に記載のエアゾール。
【請求項4】
前記アクリル系ブロックコポリマーがジブロック、トリブロック、マルチブロック又は星形ブロックである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項5】
前記アクリル系ブロックコポリマーが、
a)(メタ)アクリレートモノマー、スチレン系モノマー又はこれらの組み合わせを含むモノエチレン性不飽和モノマーから各々独立して誘導される少なくとも2個のA末端部ブロックポリマー単位(ここで、各A末端部ブロックは少なくとも50℃のガラス転移温度を有する)と、
b)(メタ)アクリレートモノマー、ビニルエステルモノマー又はこれらの組み合わせを含むモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される少なくとも1個のB中間部ブロックポリマー単位(ここで、各B中間部ブロックは20℃以下のガラス転移温度を有する)と、を含み、
但し、少なくとも1個のA末端部ブロックポリマー単位又は1個のB中間部ブロックポリマー単位は、(メタ)アクリレートを含むモノエチレン性不飽和モノマーから誘導される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項6】
前記アクリル系ブロックコポリマーがトリブロックコポリマーであり、各A末端部ブロックがアルキルメタクリレートモノマーの反応生成物を含み、前記B中間部ブロックがアルキル(メタ)アクリレートモノマーの反応生成物を含む、請求項5に記載のエアゾール。
【請求項7】
前記アクリル系ブロックコポリマーが、メチルメタクリレートモノマーから誘導される高分子単位を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項8】
前記アクリル系ブロックコポリマーが、少なくとも50,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項9】
前記組成物がガラス転移温度変性剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項10】
前記ガラス転移温度変性剤が、
a)少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共に不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を少なくとも35重量パーセント含む第一固体粘着付与剤と、
b)20℃に等しいガラス転移温度を含むと共に不飽和からのオレフィン性水素を含むロジン異性体を35重量パーセント以下で有するロジンを含む第二固体粘着付与剤と、を含む、請求項9に記載のエアゾール。
【請求項11】
前記ガラス転移温度変性剤が、
a)少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共に0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第一ロジン酸、ロジンエステル又はこれらの組み合わせを少なくとも70重量パーセント含む第一固体粘着付与剤と、
b)少なくとも20℃のガラス転移温度を有すると共に0若しくは1個の炭素−炭素二重結合を有する第二ロジン酸、ロジンエステル又はこれらの組み合わせを50重量パーセント以下含む第二固体粘着付与剤と、
c)0℃以下のガラス転移温度を有する第三液体粘着付与剤と、を含む、請求項9又は10に記載のエアゾール。
【請求項12】
前記ガラス転移温度変性剤が、ロジン、ロジン誘導体、水素添加ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペンフェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリ−t−ブチルスチレン、炭化水素油、炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、フタレート、リン酸エステル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、セバケート、アジパート、クエン酸塩、トリメリテート、ジベンゾエート、テレフタレート、アルキルフェニルエーテル又はポリエーテルのうちの少なくとも1つを含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項13】
前記ガラス転移温度変性剤が前記溶媒に可溶性である、請求項9〜12のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項14】
前記噴射剤が液化ガスを含み、所望により前記液化ガスが、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項15】
前記噴射剤が圧縮ガスであり、所望により前記圧縮ガスが、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、圧縮空気又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項16】
前記噴射剤が液化ガスを更に含み、所望により前記液化ガスが、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のエアゾール。
【請求項17】
前記溶媒と前記噴射剤とを組み合わせた重量が前記エアゾールの総重量の90%未満である、請求項15又は16に記載のエアゾール。
【請求項18】
前記溶媒が、脂肪族、脂環式、エタノール、ジアセトンアルコール、芳香族、エステル又はケトンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項19】
前記溶媒がノンVOC溶媒である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項20】
前記ノンVOC溶媒がアセトン、酢酸メチル又はこれらの組み合わせを含む、請求項18に記載のエアゾール。
【請求項21】
添加物を更に含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項22】
前記添加物が前記溶媒に可溶性である、請求項21に記載のエアゾール。
【請求項23】
前記組成物が接着剤である、請求項1〜22のいずれか一項に記載のエアゾール。
【請求項24】
弁を備える加圧収容容器内に収容された請求項1〜23のいずれか一項に記載のエアゾールを含む物品。
【請求項25】
接着剤組成物の液滴を含むエアゾールミストであって、前記接着剤組成物が、アクリル系ブロックコポリマーと、ガラス転移温度変性剤と、所望により添加物と、を含む、エアゾール。

【公表番号】特表2012−514105(P2012−514105A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544451(P2011−544451)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/067276
【国際公開番号】WO2010/077720
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】