説明

エアフィルタの固定装置

【課題】固定受け部材に対するエアフィルタの押付け固定が、構成部材数を可能な限り少なくして実現できるエアフィルタの固定装置を提供する。
【解決手段】ボックス本体3の周壁に、メインエアフィルタ7の出し入れ口12と、この出し入れ口12を外部から開閉する扉部材13を設け、ボックス本体3の内部に、出し入れ口12から挿入したメインエアフィルタ7の一面側を支持する固定受け部材17と、前記メインエアフィルタ7の他面側に位置する可動当て金具18を設け、前記可動当て金具18は、メインエアフィルタ7の面方向に沿って長く、閉位置にある扉部材13で内側に押し込まれるように配置され、扉部材13で内側に押し込まれたとき、傾斜長孔19と固定ピン20で長さ方向に対して斜め移動することにより、メインエアフィルタ7を前記固定受け部材17に押圧固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルターボックスやダクト等の内部に組み込むエアフィルタの固定装置、更に詳しくは、フィルタ出し入れ口を開閉する扉部材を閉位置にすると、これと連動してエアフィルタを固定化することができるエアフィルタの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルや工場の空調や換気において用いられているエア清浄装置は、フィルタボックスやダクト等の内部エア通路にエアフィルタを組み込み、エアフィルタに対して流動するエアを通過させることにより、エアに含まれている異物をエアフィルタで捕捉し、エアの清浄化を図るようにしている。
【0003】
上記のようなエア清浄装置において、エアフィルタは異物の捕捉と共に濾過機能が低下するため、定期的に新たなものとの取換えが必要になり、これに対応するため、エアフィルタは、フィルタボックスやダクトに対して固定と取り外しができるように取付けられている。
【0004】
また、エアフィルタは、エア通路内に組み込んだ状態で、エア通路内の周囲に設けた固定受け部材に一面側を押付けた固定状態とし、エアフィルタと固定受け部材の間に隙間が生じないようにすることで、濾過機能が低下しないようにしなければならない。
【0005】
従来、フィルタボックスやダクトに対して、エアフィルタを抜き差し自在とすると共に、固定受け部材に一面側を押付けた固定状態とするエアフィルタの固定構造は、フィルタボックスやダクトの周壁に、エアフィルタの出し入れ口と、この出し入れ口を外部から開閉する扉部材を設け、前記フィルタボックスやダクトの内部に、エアフィルタの一面側を支持する固定受け部材と、この固定受け部材とエアフィルタを抜き差しできる間隔を設けた位置に配置され、エアフィルタの挿入方向と平行に移動可能な可動部材と、前記扉部材により前記出し入れ口を閉鎖して可動部材を押し込み移動させることにより、エアフィルタ側に押付けられる押付け部材を設けた構造になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−20095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のように、扉部材により可動部材をエアフィルタの挿入方向と平行に移動させ、更に、可動部材のエアフィルタの挿入方向と平行な移動によって押付け部材がエアフィルタ側へ押付け移動する構造は、長い杆状の可動部材と、二つ折りリンクによって形成された押付け部材が必要になり、構成部材の数が多くなって構造が複雑となるため、製作コストが高くつくという問題がある。
【0008】
また、二つ折りリンクによって形成された押付け部材の折れ曲がった先でエアフィルタを押圧する構造は、エアフィルタの一部分を線接触で押し込むため、エアフィルタに部分的な力が加わり、エアフィルタのフィルタ枠が紙製などの柔らかい材質であると、経時的にフィルタ枠の一部だけが部分的に変形するので、固定受け部材に対するエアフィルタの押付け力が弱まり、このため、固定受け部材との密着性が低下することで、エアフィルタを用いた濾過装置の濾過機能が低下するという問題がある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、エアフィルタの固定と解除が扉部材の開閉に連動して自動的に行えるだけでなく、固定受け部材に対するエアフィルタの押付け固定が、構成部材数を可能な限り少なくして実現でき、しかも、エアフィルタの幅方向全長を面で均一に押圧することで、固定受け部材との密着性を維持することができるエアフィルタの固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するため、この発明は、エア通路形成部材の周壁に、前記内部エア通路の途中に配置するエアフィルタの出し入れ口と、この出し入れ口を外部から開閉する扉部材を設け、前記エア通路形成部材の内部に、出し入れ口から挿入したエアフィルタの一面側を支持する固定受け部材と、前記エアフィルタの他面側に可動当て金具が配置され、前記可動当て金具は、エアフィルタの面方向に沿って長く、その一端側が前記出し入れ口からエア通路形成部材の内外に出没可能となり、閉位置にある扉部材で内側に押し込まれるように配置され、扉部材で内側に押し込まれたとき、長さ方向に対して斜め移動することにより、エアフィルタを前記固定受け部材に押圧固定するようにしたものである。
【0011】
上記可動当て金具は、エア通路形成部材に対する重なり片とエアフィルタの押圧片を有する断面形状に形成され、前記重なり片に傾斜長孔が長さ方向に対して傾斜するように設けられ、上記エア通路形成部材側に前記傾斜長孔が嵌る固定ピンを設け、可動当て金具が長さ方向に対して前記傾斜長孔と固定ピンによって斜め移動するようになっており、この可動当て金具にばねで上記出し入れ口からエア通路形成部材の外方に突出する方向の移動弾性が付勢した構造とすることができる。
【0012】
また、エア通路形成部材の周壁に、前記内部エア通路の途中に配置するエアフィルタの出し入れ口と、この出し入れ口を外部から開閉する扉部材を設け、前記エア通路形成部材の内部で上下の位置に、エアフィルタを抜き差しするための抜き差しケースを固定し、この抜き差しケースにおけるエアの流れ方向に対して、下流側の位置にエアフィルタの固定受け部材と上流側の位置に凸条を設け、この凸条に対して長さ方向と幅方向の移動が可能となる可動当て金具の取付け部を重ねて設け、上記可動当て金具は、凸条に対する重なり片とエアフィルタの押圧片を有する断面形状に形成され、前記凸条に傾斜長孔が長さ方向に対して傾斜するように設けられ、前記可動当て金具の重なり片に前記傾斜長孔を貫通するピンが設けられ、可動当て金具が長さ方向に対して前記傾斜長孔とピンによって斜め移動するようになっており、この可動当て金具にばねで上記出し入れ口からエア通路形成部材の外方に突出する方向の移動弾性を付勢した構造とすることができる。
【0013】
ここで、上記エアフィルタは、前後面が開口するフィルタ枠の内部に、プリーツ状に折り曲げ加工されたろ材を組み込み、フィルタ枠の一面側にパッキンを設けた構造を有し、上記フィルタボックスやダクトは、その内部がエア通路となり、周壁がこのエアフィルタが納まる角筒形に形成され、前記周壁の一方側面に設けた出し入れ口は、前記エアフィルタが出し入れできる大きさに形成されている。
【0014】
上記した扉部材は、フィルタボックスやダクトの周壁における外面に蝶番で取り付けられ、この蝶番を支点に回動することで出し入れ口を開閉し、出し入れ口を閉じることで上記可動当て金具を長さ方向に押し込み、可動当て金具は斜め移動によりエアフィルタに向けて接近動してこれを長さ方向の全長で押圧し、固定受け部材とでエアフィルタを挟んで固定することになる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、扉部材の開閉に連動してエアフィルタの固定と解除が自動的に行え、エアフィルタの取換え作業の省力化と能率向上が図れるだけでなく、可動当て金具で直接エアフィルタを押圧固定するので、構成部材は可動当て金具と固定ピンだけでよく、部材数の削減により構造の簡素化が図れ、製作コストの低減が可能になる。
【0016】
また、可動当て金具は、長さ方向に対して斜め移動することにより、その全長でエアフィルタを面で均一に押圧することができ、面による押圧によってエアフィルタに部分的な変形を生じさせることがなく、固定受け部材との圧接面における全面の密着性を維持することで、経時的に濾過機能が低下するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る第1の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を開いたメインエアフィルタ挿入前の状態の横断平面図
【図2】第1の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を一部切り欠いたメインエアフィルタ挿入前の状態の正面図
【図3】第1の実施の形態の固定装置の要部とメインエアフィルタを示す分解斜視図
【図4】第1の実施の形態の固定装置における可動当て金具の取り付け部分の構造を示す拡大した縦断正面図
【図5】第1の実施の形態の固定装置における可動当て金具と扉部材の関係を示すメインエアフィルタ挿入前の横断平面図
【図6】第1の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を閉じたメインエアフィルタ挿入状態の横断平面図
【図7】第1の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を一部切り欠いたメインエアフィルタ挿入状態の正面図
【図8】第1の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す一部切り欠いたメインエアフィルタ挿入状態の縦断側面図
【図9】この発明に係る第2の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を開いたメインエアフィルタ挿入状態の正面図
【図10】第2の実施の形態の固定装置の要部とメインエアフィルタを示す分解斜視図
【図11】第2の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を開いたメインエアフィルタ挿入前の状態を示す要部の拡大縦断正面図
【図12】同上の平面図
【図13】第2の実施の形態のエアフィルタの固定装置を示す扉部材を閉じたメインエアフィルタ挿入時の状態を示す要部の拡大縦断正面図
【図14】同上の平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0019】
図1乃至図8は、エア濾過装置1とその内部に組み込み使用する、この発明に係るエアフィルタの固定装置2の第1の実施の形態を示している。
【0020】
エア濾過装置1のエア通路形成部材であるボックス本体3は、内部中空の箱形に形成され、図1の右側にエアの流入筒4と、左側にエアの流出筒5が内部と連通するように設けられ、前記流入筒4と流出筒5にはそれぞれエア供給側と流出側の蛇腹状のホースが接続される。
【0021】
上記ボックス本体3の内部が、流入筒4から流出筒5に向けてエアが流れるエア通路6となり、このエア通路6内で流入筒4と流出筒5間の位置にエアフィルタ(以下メインエアフィルタという)7と、その上流側にプレフィルタ8が所定の間隔を設けて組み込まれている。
【0022】
上記メインエアフィルタ7は、図3や図7のように、前後面が開口するフィルタ枠9の内部に、プリーツ状に折り曲げ加工されたろ材10を組み、フィルタ枠9の下流側となる一面側の周囲にパッキン11を設けた構造を有し、また、プレフィルタ8は、メインエアフィルタ7の上流側で大きな異物を捕捉する周知の構造を有している。
【0023】
なお、上記パッキン11は、フィルタ枠9の下流側に取付けるのが一般的であるが、これとは別に固定受け部材17の上流側に取付ける場合もある。
【0024】
上記ボックス本体3の周壁はこのメインエアフィルタ7及びプレフィルタ8が丁度納まる角筒形になり、メインエアフィルタ7とプレフィルタ8の組み込により、内部のエア通路5は上流側と下流側に仕切られることになる。
【0025】
ボックス本体3の周壁における一方側面に、メインエアフィルタ7とプレフィルタ8を出し入れすることができる大きさの出し入れ口12が設けられ、前記周壁における一方側面の外側に、出し入れ口12を開閉するための扉部材13が取り付けられている。
【0026】
この扉部材13は、出し入れ口12を閉鎖することができる大きさを有し、一方端部の上下位置をボックス本体3に蝶番14で取付け、蝶番14を支点にして水平に回動することにより出し入れ口12を開閉することができ、他端側に設けたリブボルトやクレセント15又は他の周知固定手段を操作することにより、出し入れ口12を閉じた状態を固定化できるようになっており、その内面には断熱材16が貼設され、出し入れ口12を閉じたとき、この出し入れ口12の周縁面に断熱材16が圧接することで、出し入れ口12を密閉することができるようになっている。
【0027】
上記ボックス本体3の内部は、出し入れ口12からメインエアフィルタ7を挿入する部分の上下間隔が、メインエアフィルタ7の上下寸法が丁度納まるように設定されていると共に、このメインエアフィルタ7を挿入する部分を挟んで下流側の位置に、メインエアフィルタ7の一面側を支持する固定受け部材17と、同じく上流側の位置に、メインエアフィルタ7を前記固定受け部材17に押圧固定するための固定装置2が設けられている。
【0028】
上記固定受け部材17は、ボックス本体3の周壁の内周に沿って、メインエアフィルタ7におけるフィルタ枠9の一面側周囲に配置するパッキン11受けることができる枠状に形成されている。
【0029】
また、上記固定装置2は、ボックス本体3の周壁における上面と下面に設けられ、固定受け部材17との間にメインエアフィルタ7の抜き差しできる間隔を形成するように配置され、メインエアフィルタ7の抜き差し方向に沿って平行する配置になっている。
【0030】
この固定装置2は、メインエアフィルタ7の抜き差し方向に沿う長い可動当て金具18を用い、この可動当て金具18は、後端側が前記出し入れ口12からボックス本体3の内外に出没可能となり、閉位置にある扉部材13で内側に押し込まれるようになっている。ここで、可動当て金具18は、出し入れ口12側の端部を後端、それと反対側の端部を先端という。
【0031】
上記可動当て金具18は、図3乃至図5のように、ボックス本体3の周壁に対する水平の長い重なり片18aと、この重なり片18aの下流側縁から直角に屈曲する押圧片18bを備えた断面L形の杆状に形成され、前記ボックス本体3の幅方向に納まる程度の長さを有している。
【0032】
上記可動当て金具18は、重なり片18aの複数箇所に傾斜長孔19が設けられ、この傾斜長孔19は図1の横断平面図において、出し入れ口12の側から見て左上がりの傾斜になり、前記傾斜長孔19を貫通する固定ピン20が前記ボックス本体3の側に固定され、可動当て金具18を長さ方向に押し込むと、傾斜長孔19の長さの範囲だけ移動可能となり、傾斜長孔19と固定ピン20の作用で斜め移動することになる。
【0033】
上記可動当て金具18をボックス本体3内にむけて押し込むと、固定受け部材17の側に接近する斜め移動をすることになり、メインエアフィルタ7を押圧片18bで押圧することで固定し、また、可動当て金具18をボックス本体3の出し入れ口12側に移動させると固定受け部材17から離反する斜め移動をし、メインエアフィルタ7の固定を解除するようになっている。
【0034】
上記可動当て金具18は、メインエアフィルタ7の抜き差し方向に沿う幅寸法に見合う長さを有するので、メインエアフィルタ7を押圧固定したとき、押圧片18bはメインエアフィルタ7の抜き差し方向に沿う幅寸法の全長を、垂直の面で均等に押圧することになり、このような押圧はメインエアフィルタ7のフィルタ枠9に部分的な変形を発生させることがなく、固定受け部材17に対してパッキン11を密着させることで濾過機能の低下発生を防ぐことができる。
【0035】
上記可動当て金具18は、先端にこの可動当て金具18と一体に移動するように抱持して突出するように設けたコイル状のばね21がボックス本体3の内面に当接し、この可動当て金具18に常時出し入れ口12からボックス本体3の外部に突出する方向の弾性が付勢されている。
【0036】
この可動当て金具18は、図5のように、扉部材13を開くとその押し込みが解かれ、ばね21によって出し入れ口12側に押し戻された可動当て金具18は、傾斜長孔19の先端側が固定ピン20に当接して停止し、可動当て金具18の後端が出し入れ口12から外部に所定長さ突出した位相となり、この状態で、固定受け部材17と押圧片18bの間隔がメインエアフィルタ7の厚みよりも広くなっている。
【0037】
また、扉部材13を閉じて可動当て金具18を押し込むと、図6のように、可動当て金具18は先端側に移動するとき固定ピン20に沿って傾斜長孔19により傾斜移動することで、メインエアフィルタ7に向けて接近し、押圧片18bがメインエアフィルタ7の上下においてフィルタ枠9を固定受け部材17に向けて面で押圧し、固定受け部材17とでメインエアフィルタ7を挟み込んで固定する。
【0038】
なお、上記した扉部材13の内面には、上下の可動当て金具18と対応する位置に、可動当て金具18の押し込み金具22が固定してある。
【0039】
次に、図9乃至図14は、この発明に係るエアフィルタの固定装置の第2の実施の形態を示している。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付すことにより説明に代える。
【0040】
図9と図10のように、ボックス本体3の内部で、出し入れ口12からメインエアフィルタ7を挿入する部分の上下位置に、メインエアフィルタ7を横差しするための抜き差しケース23が固定され、この抜き差しケース23におけるエアの流れ方向に対して、下流側の位置にメインエアフィルタ7の固定受け部材17と上流側の位置に固定装置2が、前記メインエアフィルタ7の挿入できる間隔を形成した状態で設けられている。
【0041】
上記抜き差しケース23は、上下に対称状の配置となる同一構造を有し、ボックス本体3のメインエアフィルタ7を抜き差しする方向の幅の全長にわたる長さになっており、この抜き差しケース23に設けた固定受け部材17は、抜き差しケース23を形成する金属板の端部をボックス本体3の内側へ向けて直角に折り曲げることにより形成され、また、上下の抜き差しケース23間における固定受け部材17の上下端部間の位置に、金属板を用いた上下方向の固定受け部材が設けられ、パッキン11の四周面を受けることができるようになっている。
【0042】
第2の実施の形態の固定装置2は、図11乃至図14のように、抜き差しケース23における上流側の端部位置に、メインエアフィルタ7の面方向に沿って長い断面コ字形の凸条24をボックス本体3の内側に向けて突出するように、抜き差しケース23を形成する金属板から一体に折り曲げることにより設け、この凸条24に断面コ字形の可動当て金具18を被せ、前記凸条24のボックス本体3の内側に向く平坦面24aで長さ方向の複数箇所に、長さ方向に対して傾斜する傾斜長孔19を上記第1の実施形態と同様に設け、前記可動当て金具18に下面側へ突出するよう固定したピン20aを傾斜長孔19に嵌め合わせ、前記凸条24の内部空間に突出するピン20aにばね25を取付けた構造になっている。
【0043】
上記可動当て金具18は、メインエアフィルタ7の抜き差し方向に沿う幅と同程度の長さを有し、上記凸条24よりも少し広幅の断面形状となって長さ方向と幅方向に移動できる余裕をもって外嵌する断面コ字形となり、メインエアフィルタ7に向く垂直の長い板となる面が押圧片18bになっている。
【0044】
上記ばね25は、一本の線材を用い、コイル巻き部分25aの両端延長部25bを外開きの状態にした形状となり、コイル巻き部分25aをピン20aに固定すると共に、両端延長部25bを凸条24の下流側に位置する側面に当接させ、ピン20aを介して可動当て金具18をエア流れの上流側(図11の右側)に向けて幅方向に押圧している。
【0045】
従って、ばね25により弾性が付勢されたピン20aは傾斜長孔19の後端に戻る弾性が付勢され、このピン20aが固定された可動当て金具18は、図12のように、扉部材13を開くとその押し込みが解かれ、ばね25によって出し入れ口12側に斜め移動して図11の断面図のように押し戻され、傾斜長孔19の後端側にピン20aが当接して停止し、可動当て金具18の後端が出し入れ口12から外部に所定長さ突出した位相となり、この状態で、固定受け部材17と押圧片18bの間隔がメインエアフィルタ7の厚みよりも広くなっている。
【0046】
また、図14のように、扉部材13を閉じると、可動当て金具18は傾斜長孔19とピン20aの作用でボックス本体3内に向けて斜め移動しながら押し込まれ、図13の断面図のように固定受け部材17の側に接近し、メインエアフィルタ7を押圧片18bで押圧することで固定するようになっている。
【0047】
なお、エア濾過装置1として、何れの実施の形態においてもエア通路形成部材としてフィルタボックスを示したが、固定装置2の組み込みは、内部をエアが流れるダクトであってもよい。
【0048】
この発明のエアフィルタの固定装置は、上記のような構成であり、次に第1の実施の形態を主体に用いてその作用を説明する。
【0049】
図6と図7のように、ボックス本体3内にメインエアフィルタ7を挿入して扉部材13を閉じた状態に保持すると、扉部材13でばね21が圧縮するように押し込まれた可動当て金具18が、固定ピン20と傾斜長孔19の作用で斜め移動してメインエアフィルタ7に接近し、押圧片18bがメインエアフィルタ7の上下においてフィルタ枠9を押圧し、固定受け部材17とでメインエアフィルタ7を挟み込んで固定している。
【0050】
この状態で、流入筒4から流入したエアは、エア通路6内を流出筒5向けて流れるとき、メインエアフィルタ7のろ材10を通過することで濾過され、清浄になったエアが流出筒5から流出し、このとき、メインエアフィルタ7の一面側周囲に設けたパッキン11が固定受け部材17に押付けられて圧着しているので、メインエアフィルタ7の周囲からエアが漏れるようなことがなく、エアの濾過が確実に行える。
【0051】
次に、メインエアフィルタ7を取り換える場合は、図1のように扉部材13を開けばよく、扉部材13を開くと押し込みが解かれた可動当て金具18はばね21で押し戻され、後端側に移動してメインエアフィルタ7から斜め移動して離反し、その押圧を解くことでメインエアフィルタ7を出し入れ口12から取出すことができる。
【0052】
また、新たなメインエアフィルタ7を固定受け部材17と可動当て金具18の間に出し入れ口12から挿入すると、図7のように扉部材13を閉じるようにすればよく、可動当て金具18は扉部材13で押し込まれることにより、メインエアフィルタ7に接近する斜め移動することでメインエアフィルタ7を押圧して固定化する。
【0053】
なお、第2の実施の形態の固定装置2においても、扉部材13の開閉によって可動当て金具18は、傾斜長孔19とピン20aの作用で斜め移動することになり、扉部材13を閉めることによって図14に示すメインエアフィルタ7の押圧固定状態と、扉部材13を開けることによって図12に示すメインエアフィルタ7の押圧解除状態が得られることになる。
【0054】
上記ように、第1及び第2の実施の形態の固定装置2においては、ボックス本体3に対するメインエアフィルタ7の取り換えが、扉部材13による出し入れ口12の開閉と出し入れ口12からのメインエアフィルタ7の抜き差しだけで行え、扉部材13を閉じると自動的にメインエアフィルタ7を固定化できるので、取替え作業の能率向上と省力化が図れる。
【0055】
また、メインエアフィルタ7の押圧固定が、可動当て金具18と固定ピン20又はピン20a及びばね21又は25を用いた構造になっているので、構造の簡素化と構成部材数の削減により、製作コストを低減できるという利点がある。
【符号の説明】
【0056】
1 エア濾過装置
2 固定装置
3 ボックス本体
4 流入筒
5 流出筒
6 エア通路
7 メインエアフィルタ
8 プレフィルタ
9 フィルタ枠
10 ろ材
11 パッキン
12 出し入れ口
13 扉部材
14 蝶番
15 クレセント
16 断熱材
17 固定受け部材
18 可動当て金具
18a 重なり片
18b 押圧片
19 傾斜長孔
20 固定ピン
20a ピン
21 ばね
22 押し込み金具
23 抜き差しケース
24 凸条
25 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア通路形成部材の周壁に、エア通路の途中に配置するエアフィルタの出し入れ口と、この出し入れ口を外部から開閉する扉部材を設け、
前記エア通路形成部材の内部に、出し入れ口から挿入したエアフィルタの一面側を支持する固定受け部材と、前記エアフィルタの他面側に可動当て金具が配置され、
前記可動当て金具は、エアフィルタの面方向に沿って長く、その一端側が前記出し入れ口からエア通路形成部材の内外に出没可能となり、閉位置にある扉部材で内側に押し込まれるように配置され、扉部材で内側に押し込まれたとき、長さ方向に対して斜め移動することにより、エアフィルタを前記固定受け部材に押圧固定するようになっているエアフィルタの固定装置。
【請求項2】
上記可動当て金具は、エア通路形成部材に対する重なり片とエアフィルタの押圧片を有する断面形状に形成され、前記重なり片に傾斜長孔が長さ方向に対して傾斜するように設けられ、上記エア通路形成部材側に前記傾斜長孔が嵌る固定ピンを設け、可動当て金具が長さ方向に対して前記傾斜長孔と固定ピンによって斜め移動するようになっており、この可動当て金具にばねで上記出し入れ口からエア通路形成部材の外方に突出する方向の移動弾性を付勢した請求項1に記載のエアフィルタの固定装置。
【請求項3】
エア通路形成部材の周壁に、エア通路の途中に配置するエアフィルタの出し入れ口と、この出し入れ口を外部から開閉する扉部材を設け、
前記エア通路形成部材の内部で上下の位置に、エアフィルタを抜き差しするための抜き差しケースを固定し、
この抜き差しケースにおけるエアの流れ方向に対して、下流側の位置にエアフィルタの固定受け部材と上流側の位置に凸条を設け、この凸条に対して長さ方向と幅方向の移動が可能となる可動当て金具の取付け部を重ねて設け、
上記可動当て金具は、凸条に対する重なり片とエアフィルタの押圧片を有する断面形状に形成され、前記凸条に傾斜長孔が長さ方向に対して傾斜するように設けられ、前記可動当て金具の重なり片に前記傾斜長孔を貫通するピンが設けられ、可動当て金具が長さ方向に対して前記傾斜長孔とピンによって斜め移動するようになっており、この可動当て金具にばねで上記出し入れ口からエア通路形成部材の外方に突出する方向の移動弾性を付勢したエアフィルタの固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−220048(P2012−220048A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83469(P2011−83469)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(593107373)株式会社アクシー (10)
【Fターム(参考)】