説明

エアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法

【課題】クリーンルーム内へ搬入でき、破損等を防止し、作業効率および作業性のよいエアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法を提供する。
【解決手段】プラスチック製パレットと、このプラスチック製パレット上に濾材露出面が側部に位置するように並列載置した複数のエアフィルタと、並列載置した複数のエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの上下面および/または側面を囲繞してエアフィルタ集積体とするエアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材と、前記エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材によって集積されたエアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周とプラスチック製パレットの4側面外周を巻回被覆して一体化するストレッチフィルムからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体工場などのクリーンルームにおいて使用される複数のエアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームにおいては、捕集効率の高い高性能のエアフィルタが用いられている。このような高性能のエアフィルタは、下位グレードのエアフィルタと比較して外力からの影響による品質低下が大きい。このため、クリーンルームで使用されるエアフィルタは、従来、外力の影響や汚染を防止するために、例えば、1台ごとにポリ袋内に封入され、紙製の段ボール箱や木製の箱に梱包されていた。このように梱包されたエアフィルタをクリーンルーム内に搬入するには、先ず、エアフィルタを収納した段ボール箱等をクリーンルーム前室までパレットに載せて搬送し、このクリーンルーム前室でパレットから降ろした段ボール箱等を開封し、ポリ袋を破って、エアフィルタを取り出し、クリーンルーム内に搬入していた。
しかしながら、梱包されたエアフィルタを開封する際に、段ボールを構成するセルロール繊維が飛散して発塵の原因となり、クリーンルーム前室を汚染するという問題があった。
【0003】
段ボール箱等を開封する際の発塵を防止するために、例えば、特許文献1には、発塵のないプラスチック段ボール製梱包部材で、1台ごとにエアフィルタの空気の流入側面と流出側面を覆い、この周囲をストレッチフィルムで巻回被覆したエアフィルタの梱包構造が記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような梱包構造は、1台ごとにエアフィルタをプラスチック段ボール製梱包部材で梱包しているため、梱包時や開梱時の作業効率や作業性が低く、梱包資材の使用量が多くなり、コストが高くなると共に、廃棄物量が増す等の問題があった。
【0005】
このような問題点を解消するために、特許文献2には、シートの底面に足桁を設けた段ボールパレット上に、複数のエアフィルタを載置して略立方体状の集積体を形成し、これらのエアフィルタの濾材露出面を保護板で保護するとともに、前記集積体の4側面外周にストレッチフィルムを巻回被覆したエアフィルタの梱包方法が記載されている。
【特許文献1】特開平11−124167号公報
【特許文献2】特開平10−297632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された梱包方法であっても、梱包時や開梱時の作業効率などの問題は解消できても、段ボールパレットなどの梱包部材が紙製のものを意図しているため、開梱時に梱包部材を構成しているセルロース繊維が飛散等してクリーンルーム前室が汚染されるという問題は解消されていなかった。また、例えば、クリーンルームの天井全面にエアフィルタを取り付けるような場合、クリーンルーム前室で開梱された多数のエアフィルタを、1台ごとに壊さないように、クリーンルームに搬入するには、手間と時間がかかり、搬入作業が煩雑になるという問題があった。
そこで、本発明は、発塵等の問題を生じない部材を用いてエアフィルタを梱包し、複数のエアフィルタを一体としてクリーンルーム内へ搬入することができ、エアフィルタの破損等を防止し、作業効率および作業性のよいエアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアフィルタ梱包構造は、請求項1記載の通り、濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包構造であって、プラスチック製パレットと、このプラスチック製パレット上に濾材露出面が側部に位置するように並列載置した複数のエアフィルタと、並列載置した複数のエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの上下面および/または側面を囲繞してエアフィルタ集積体とするエアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材と、前記エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材によって集積されたエアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周とプラスチック製パレットの4側面外周を巻回被覆して一体化するストレッチフィルムからなることを特徴とする。
また、請求項2記載のエアフィルタ梱包構造は、請求項1記載のエアフィルタ梱包構造において、前記エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材が、前記プラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの周囲を囲繞し結束してエアフィルタ集積体とする、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドであり、集積されたエアフィルタ集積体とプラスチック製パレットがパレット一体化用プラスチックバンドによって囲繞され結束されて一体化されていることを特徴とする。
また、請求項3記載のエアフィルタ梱包構造は、請求項1または2記載のエアフィルタ梱包構造において、前記エアフィルタ集積体が、更に、並列載置した複数のエアフィルタの上面と下面を保護する2枚の保護用プラスチック段ボールを備え、この保護用プラスチック段ボールが、プラスチック段ボール製梱包部材とともに、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで結束されていることを特徴とする。
また、請求項4記載のエアフィルタ梱包構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載のエアフィルタ梱包構造において、前記エアフィルタ集積体が、更に、並列載置した複数のエアフィルタの両側面を保護する2枚の側面用プラスチック段ボール製梱包部材を備えることを特徴とする。
また、請求項5記載のエアフィルタ梱包構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載のエアフィルタ梱包構造において、前記エアフィルタ集積体の上部と下部が、防汚用フィルムで被覆されていることを特徴とする。
また、本発明のエアフィルタの梱包方法は、請求項6記載の通り、濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と並列載置された複数のエアフィルタの少なくとも側面を、エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材で囲繞してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周とプラスチック製パレットの4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆して一体化することを特徴とする。
また、本発明のエアフィルタの梱包方法は、請求項7記載の通り、濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンドを敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド上に複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と並列載置された複数のエアフィルタの下面から上面を前記エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで囲繞し結束してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体とプラスチック製パレットを、パレット一体化用プラスチックバンドで囲繞し結束して一体化した後、前記エアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆することを特徴とする。
また、本発明のエアフィルタの梱包方法は、請求項8記載の通り、濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、防汚用フィルムを載置し、この防汚用フィルム上に複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンドを敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド上に、その上に並列載置する複数のエアフィルタの下面を保護する保護用プラスチック段ボールを載置し、この保護用プラスチック段ボール上に複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、これらの複数のエアフィルタの上面に、これらのエアフィルタの上面を保護する保護用プラスチック段ボールを載置し、複数のエアフィルタと、これらのエアフィルタの上面と下面を保護する2枚の保護用プラスチック段ボールと、2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで囲繞し結束してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体の上に、防汚用フィルムを載置し、エアフィルタ集積体と、2枚の防汚用フィルムと、プラスチック製パレットを、パレット一体化用プラスチックバンドで囲繞し結束して一体化した後、前記エアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆することを特徴とする。
本発明のエアフィルタの開梱方法は、請求項9記載の通り、請求項7記載のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造のストレッチフィルムをクリーンルーム前室で取り外し、パレット一体化用プラスチックバンドを開放して、エアフィルタ集積体をプラスチック製パレットから分離した後、前記エアフィルタ集積体をクリーンルーム内に搬入し、クリーンルーム内で前記エアフィルタ集積体を開封することを特徴とする。
また、本発明のエアフィルタの開梱方法は、請求項10記載の通り、請求項8記載のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造のストレッチフィルムをクリーンルーム前室で取り外し、パレット一体化用プラスチックバンドを開放して、少なくともエアフィルタ集積体の上に載置された防汚用フィルムを取り外し、エアフィルタ集積体をプラスチック製パレットから分離した後、前記エアフィルタ集積体をクリーンルーム内に搬入し、クリーンルーム内で前記エアフィルタ集積体を開封することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法によれば、発塵等の問題のないプラスチック製パレットやプラスチック段ボール製梱包部材やプラスチック製巻き締め部材等を用いて、複数のエアフィルタを梱包しているため、従来の紙製の段ボール等を用いた場合のように、開梱時に段ボール等を構成するセルロース繊維等が飛散して発塵等を生じる問題がない。また、本発明のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造によれば、複数のエアフィルタをエアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材によって集積体としているため、開梱時に集積体として一体化したままクリーンルーム内に搬入することができる。従って、クリーンルームへの搬入作業が容易になるとともに、1台ごとにクリーンルーム内に搬入する場合と比較して、外力からの影響に弱いエアフィルタの破損等を防止することができ、作業効率および作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造の一実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明のエアフィルタの梱包方法の各工程を示す図である。
図1(a)に示すように、プラスチック製パレット1上に、濾材露出面が側部に位置するように、所定数のエアフィルタ2を並列載置する。次に、図1(b)に示すように、並列載置した複数のエアフィルタ2の一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護するプラスチック段ボール製梱包部材3,3を配置する。そして、図1(c)に示すように、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材3,3と複数のエアフィルタ2の側面を、エアフィルタ集積体用巻き締め部材である第1のストレッチフィルム4で巻回被覆して、エアフィルタ集積体5とする。更に、図1(d)に示すように、集積されたエアフィルタ集積体5の4側面外周とプラスチック製パレット1の4側面外周に第2のストレッチフィルム6を張力をかけて巻回被覆して両者を一体化し、エアフィルタの梱包構造7を形成する。尚、ストレッチフィルムは、段階的に開梱できるように、少なくとも2回以上、エアフィルタ集積体5の周囲に巻き付けることが好ましい。また、図1(d)に示すように、エアフィルタ集積体5の上面を第2のストレッチフィルムで巻回被覆してもよく、この場合は、ストレッチフィルムをエアフィルタ集積体5の周囲を複数回、巻回被覆しつつ、エアフィルタ集積体5の上面にもストレッチフィルムを巻き付けるとよい。エアフィルタ集積体用巻き締め部材として使用する第1のストレッチフィルムは、プラスチック製パレット1上に敷設し、このストレッチフィルム上に複数のエアフィルタを並列載置し、ストレッチフィルムで2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの下面から上面の周囲を囲繞してエアフィルタ集積体としてもよい。
【0010】
図2は、本発明のエアフィルタの梱包構造の他の実施の形態を示す分解斜視図である。
図2に示すように、このエアフィルタの梱包構造は、次のような構造となっている。プラスチック製パレット1上に、エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材として、エアフィルタ集積体用プラスチックバンド9を敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド3上に、濾材露出面が側部に位置するように、所定数のエアフィルタ2を並列載置する。並列載置した複数のエアフィルタ2の一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護するプラスチック段ボール製梱包部材3,3を配置する。そして、このプラスチック段ボール製梱包部材3,3と並列載置した複数のエアフィルタ2を下面から上面にかけて、エアフィルタ集積体用プラスチックバンド9で囲繞して結束し、エアフィルタ集積体とする。集積されたエアフィルタ集積体とプラスチック製パレット1を、パレット一体化用プラスチックバンド10で囲繞し結束して一体化する。更に、エアフィルタ集積体の4側面外周と、プラスチック製パレット1の4側面外周をストレッチフィルム8で巻回被覆して、エアフィルタの梱包構造としている。
尚、プラスチック製パレット1としては、例えば、ポリプロピレン製やポリエチレン製のものを用いることができる。また、プラスチック段ボール製梱包部材3は、例えば、厚さ3〜8mm、目付400〜500g/m2のポリオレフィン製、例えば、ポリプロピレン製やポリエチレン製の気泡ボード(川上産業社製 商品名:プレパラール)を用いることができる。また、エアフィルタ集積体用プラスチックバンド9やパレット一体化用プラスチックバンド10としては、幅15.5mmのポリプロピレン製のバンド(平成ポリマー社製商品名:PPバンド)を用いることができる。
【0011】
次に、図3に基づいて、エアフィルタの梱包方法と開梱方法の実施の形態について説明する。
図3(a),(b)に示すように、プラスチック製パレット1上に、複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9を敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9上に、濾材露出面が側部に位置するようにエアフィルタ2を端部から順次並列に載置する。尚、図示を省略したが、エアフィルタ2は、可能な限り空気が残存しないような状態で、1台ずつポリ袋内に収容されている。プラスチック製パレット1上に並列載置された複数のエアフィルタ2の一端側と他端側の濾材露出面には、この濾材露出面を保護するプラスチック段ボール製梱包部材3,3を配置する。次に、図3(c)に示すように、この濾材露出面を保護するプラスチック段ボール製梱包部材3,3とともに、並列載置した複数のエアフィルタ2を下面から上面にかけてエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9で囲繞し結束して一体化し、エアフィルタ集積体5とする。尚、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドを、プラスチック製パレット1上に載置し、複数のエアフィルタ2の下面から上面に掛け渡し、更に、上面から下面に掛け渡して、複数のエアフィルタ2を囲繞し、プラスチック製パレット1の近傍で端部同士を結束することでエアフィルタ集積体としてもよい。そして、図3(d)に示すように、プラスチック製パレット1の足桁部分のフォークリフトの爪挿入用の孔部に、パレット一体化用プラスチックバンド10を挿通し、プラスチック製パレット1とエアフィルタ集積体5を、パレット一体化用プラスチックバンド10で囲繞し、結束して一体化する。最後に、図3(e)に示すように、エアフィルタ集積体5の4側面外周とプラスチック製パレット1の4側面外周にストレッチフィルム8を張力をかけて巻回被覆し、エアフィルタの梱包構造11を形成する。尚、図3(e)に示すように、エアフィルタ集積体5の上面をストレッチフィルムで巻回被覆してもよく、この場合は、ストレッチフィルムをエアフィルタ集積体5の周囲を複数回、巻回被覆しつつ、エアフィルタ集積体5の上面にもストレッチフィルムを巻き付けるとよい。
【0012】
上記エアフィルタの梱包構造11を開梱する場合は、先ず、エアフィルタの梱包構造11のストレッチフィルム8をクリーンルーム前室で取り外し、次に、パレット一体化用プラスチックバンド10を開放して、エアフィルタ集積体5をプラスチック製パレット1から分離する。そして、図3(f)に示すように、複数のエアフィルタ2をエアフィルタ集積体5のままクリーンルーム内に搬入する。
最後に、クリーンルーム内で、エアフィルタ集積体5のエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9を開放して、プラスチック段ボール製梱包部材3,3を取り外すことで、エアフィルタ集積体5を開封して、エアフィルタ2を一台ずつに開梱する。そして、一台ずつポリ袋内に収容されたエアフィルタ2を取り出し、ポリ袋を破って、エアフィルタ2を取付可能な状態とする。このように、本発明によれば、複数のエアフィルタ2をエアフィルタ集積体5として一体化したまま、クリーンルーム内に搬入することが可能であるため、搬入作業、取付作業が容易となる。また、エアフィルタ集積体5のままクリーンルーム内に搬入するため、1台ごとにエアフィルタ2を搬入する場合と比較して、外力からの影響に弱いエアフィルタ2の破損等を防止することができる。また、発塵等を生じない部材を用いてエアフィルタを梱包しているため、クリーンルーム内で開梱した場合であっても、発塵等の問題がない。
【0013】
本発明の他の実施の形態を図面に基づき説明する。図4は、本発明のエアフィルタの梱包構造を示す分解斜視図である。
図4に示すように、このエアフィルタの梱包構造は、プラスチック製パレット1と、このプラスチック製パレット上に敷設するエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9と、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9上に、並列載置する複数のエアフィルタ2と、これらの複数のエアフィルタ2の一端側と他端側の濾材露出面を保護するプラスチック段ボール製梱包部材3,3と、複数のエアフィルタ2をエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9で結束することで構成されるエアフィルタ集積体5とプラスチック製パレット1を結束するパレット一体化用プラスチックバンド10と、ストレッチフィルム8の他に、次の部材を備えている。すなわち、並列載置された複数のエアフィルタ2の荷崩れを防止し、並列載置された複数のエアフィルタ2の下面を保護するトレイ型の保護用プラスチック段ボール14と、並列載置された複数のエアフィルタ2の上面に、これらのエアフィルタ2の上面を保護するトレイ型の保護用プラスチック段ボール15を備える。この保護用プラスチック段ボール14,15は、プラスチック段ボール製梱包部材3,3とともに、エアフィルタ集積体用プラスチックバンド9で結束される。また、更に、並列載置された複数のエアフィルタ2の両側面にエアフィルタ2の側面を保護する2枚の側面用プラスチック段ボール製梱包部材12,12を備える。更に、エアフィルタ集積体5の上部と下部を被覆するための、防汚用フィルム13,16を備える。
前記防汚用フィルムとしては、例えば、ポリエチレン製、ポリエステル製、ポリプロピレン製、ポリビニルアルコール製、ポリ塩化ビニル製のフィルムを用いることができる。
【0014】
次に、図5に基づいて、エアフィルタの梱包方法と開梱方法の他の実施の形態について説明する。
図5(a)に示すように、プラスチック製パレット1上に、防汚用フィルム13を載置し、この防汚用フィルム13上に複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9を敷設する。次に、図5(b)に示すように、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9上に、トレイ型の保護用プラスチック段ボール14を載置し、このトレイ型の保護用プラスチック段ボール14の一端部に、プラスチック段ボール製梱包部材3を配置し、このプラスチック段ボール製梱包部材3で濾材露出面が保護されるように、トレイ型の保護用プラスチック段ボール14内に、エアフィルタ2を端部から順次並列に載置する。
次に、図5(c)に示すように、所定数のエアフィルタ2をトレイ型の保護用プラスチック段ボール14内に並列載置した後、これらのエアフィルタ2の他端部の濾材露出面にプラスチック段ボール製梱包部材3を配置し、これらのエアフィルタ2の両側面に側面用プラスチック段ボール製梱包部材12,12を配置する。尚、側面用プラスチック段ボール製梱包部材12,12やプラスチック段ボール製梱包部材3,3は、例えば、プラスチック製の粘着テープ等で、トレイ型の保護用プラスチック段ボール14に接着することで容易に外れないようにしておくとよい。
次に、図5(d)に示すように、並列載置した複数エアフィルタ2の上面に、トレイ型の保護用プラスチック段ボール15を載置する。これにより、この複数のエアフィルタ2の上面と下面に位置するトレイ型の保護用プラスチック段ボール14,15で、複数のエアフィルタ2の一端側と他端側の濾材露出面に配置したプラスチック段ボール製梱包部材3,3と、両側面に配置した2枚の側面用プラスチック段ボール製梱包部材12,12を上下面から挟持するようにしている。そして、複数のエアフィルタ2の上面と下面に位置する保護用プラスチック段ボール14,15と、プラスチック段ボール製梱包部材3,3と、複数のエアフィルタ2をエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9で囲繞し結束して一体化し、エアフィルタ集積体5とする。そして、エアフィルタ集積体5の上に、エアフィルタ集積体5の上部を保護する防汚用フィルム16を載置する。
次に、図5(e)に示すように、例えば、エアフィルタ集積体5の上部と下部に位置する防汚用フィルム13,16の四隅をエアフィルタ集積体5の上部または下部を被覆するように粘着テープ等で接着する。そして、図5(f)に示すように、エアフィルタ集積体5と、エアフィルタ集積体5の上下に設けた2枚の防汚用フィルム13,16と、プラスチック製パレット1を、プラスチック製パレット1の足桁部分のフォークリフトの爪挿入用の孔部に挿通したパレット一体化用プラスチックバンド10で、囲繞し結束して一体化する。
最後に、図5(g)に示すように、エアフィルタ集積体5の4側面外周とプラスチック製パレット1の4側面外周にストレッチフィルム8を適度な張力をかけて巻回被覆し、エアフィルタの梱包構造17を形成する。尚、図5(g)に示すように、エアフィルタ集積体5の上面をストレッチフィルムで巻回被覆してもよく、この場合は、ストレッチフィルムをエアフィルタ集積体5の周囲を複数回、巻回被覆しつつ、エアフィルタ集積体5の上面にもストレッチフィルムを巻き付けるとよい。
【0015】
上記エアフィルタの梱包構造17を開梱する場合は、先ず、エアフィルタの梱包構造17のストレッチフィルム8をクリーンルーム前室で取り外し、次に、パレット一体化用プラスチックバンド10を開放し、エアフィルタ集積体5の上部に設けられた防汚用フィルム16を取り外して、エアフィルタ集積体5をプラスチック製パレット1から分離する。そして、図5(h)に示すように、複数のエアフィルタ2をエアフィルタ集積体5のままクリーンルーム内に搬入する。
最後に、クリーンルーム内で、エアフィルタ集積体5を形成しているエアフィルタ集積体用プラスチックバンド9を開放し、プラスチック段ボール製梱包部材3,3と、側面用プラスチック段ボール製梱包部材12,12と、複数のエアフィルタ2の上面に設けた保護用プラスチック段ボール15を取り外すことで、エアフィルタ集積体5を開封する。そして、開梱後、下面のトレイ型の保護用プラスチック段ボール14に複数のエアフィルタ2を並列載置させたまま、1台ずつエアフィルタ2をトレイ型の保護用プラスチック段ボール14から取り出し、ポリ袋内に収容されたエアフィルタ2をポリ袋を破って取り出して、取付可能な状態とする。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、発塵等の問題を生じない部材を用いて梱包し、複数のエアフィルタを一体としてクリーンルーム内へ搬入することができ、エアフィルタの破損等を防止し、作業効率および作業性のよいエアフィルタの梱包構造、梱包方法および開梱方法を提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のエアフィルタの梱包方法を示す工程図
【図2】本発明のエアフィルタの梱包構造の分解斜視図
【図3】本発明のエアフィルタの梱包方法と開梱方法を示す工程図
【図4】本発明のエアフィルタの梱包構造の分解斜視図
【図5】本発明のエアフィルタの梱包方法と開梱方法を示す工程図
【符号の説明】
【0018】
1 プラスチック製パレット
2 エアフィルタ
3 プラスチック段ボール製梱包部材
4 第1のストレッチフィルム
5 エアフィルタ集積体
6 第2のストレッチフィルム
7 エアフィルタの梱包構造
8 ストレッチフィルム
9 エアフィルタ集積体用プラスチックバンド
10 パレット一体化用プラスチックバンド
11 エアフィルタの梱包構造
12 側面用プラスチック段ボール製梱包部材
13 防汚用フィルム
14 保護用プラスチック段ボール
15 保護用プラスチック段ボール
16 防汚用フィルム
17 エアフィルタの梱包構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包構造であって、プラスチック製パレットと、このプラスチック製パレット上に濾材露出面が側部に位置するように並列載置した複数のエアフィルタと、並列載置した複数のエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの上下面および/または側面を囲繞してエアフィルタ集積体とするエアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材と、前記エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材によって集積されたエアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周とプラスチック製パレットの4側面外周を巻回被覆して一体化するストレッチフィルムからなることを特徴とするエアフィルタの梱包構造。
【請求項2】
前記エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材が、前記プラスチック段ボール製梱包部材と複数のエアフィルタの周囲を囲繞し結束してエアフィルタ集積体とする、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドであり、集積されたエアフィルタ集積体とプラスチック製パレットがパレット一体化用プラスチックバンドによって囲繞され結束されて一体化されていることを特徴とする請求項1記載のエアフィルタの梱包構造。
【請求項3】
前記エアフィルタ集積体が、更に、並列載置した複数のエアフィルタの上面と下面を保護する2枚の保護用プラスチック段ボールを備え、この保護用プラスチック段ボールが、プラスチック段ボール製梱包部材とともに、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで結束されていることを特徴とする請求項1または2記載のエアフィルタの梱包構造。
【請求項4】
前記エアフィルタ集積体が、更に、並列載置した複数のエアフィルタの両側面を保護する2枚の側面用プラスチック段ボール製梱包部材を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエアフィルタの梱包構造。
【請求項5】
前記エアフィルタ集積体の上部と下部が、防汚用フィルムで被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエアフィルタの梱包構造。
【請求項6】
濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と並列載置された複数のエアフィルタの少なくとも側面を、エアフィルタ集積体用プラスチック製巻き締め部材で囲繞してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周とプラスチック製パレットの4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆して一体化することを特徴とするエアフィルタの梱包方法。
【請求項7】
濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンドを敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド上に複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、この2枚のプラスチック段ボール製梱包部材と並列載置された複数のエアフィルタの下面から上面を前記エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで囲繞し結束してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体とプラスチック製パレットを、パレット一体化用プラスチックバンドで囲繞し結束して一体化した後、前記エアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆することを特徴とするエアフィルタの梱包方法。
【請求項8】
濾材を枠体内に収容してなるエアフィルタの梱包方法であって、プラスチック製パレット上に、防汚用フィルムを載置し、この防汚用フィルム上に複数のエアフィルタを下面から上面にかけて囲繞して結束するエアフィルタ集積体用プラスチックバンドを敷設し、このエアフィルタ集積体用プラスチックバンド上に、その上に並列載置する複数のエアフィルタの下面を保護する保護用プラスチック段ボールを載置し、この保護用プラスチック段ボール上に複数のエアフィルタを濾材露出面が側部に位置するように並列載置し、これらのエアフィルタの一端側と他端側の濾材露出面に、この濾材露出面を保護する2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を配置し、これらの複数のエアフィルタの上面に、これらのエアフィルタの上面を保護する保護用プラスチック段ボールを載置し、複数のエアフィルタと、これらのエアフィルタの上面と下面を保護する2枚の保護用プラスチック段ボールと、2枚のプラスチック段ボール製梱包部材を、エアフィルタ集積体用プラスチックバンドで囲繞し結束してエアフィルタ集積体とし、このエアフィルタ集積体の上に、防汚用フィルムを載置し、エアフィルタ集積体と、2枚の防汚用フィルムと、プラスチック製パレットを、パレット一体化用プラスチックバンドで囲繞し結束して一体化した後、前記エアフィルタ集積体の少なくとも4側面外周をストレッチフィルムで巻回被覆することを特徴とするエアフィルタの梱包方法。
【請求項9】
請求項7記載のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造のストレッチフィルムをクリーンルーム前室で取り外し、パレット一体化用プラスチックバンドを開放して、エアフィルタ集積体をプラスチック製パレットから分離した後、前記エアフィルタ集積体をクリーンルーム内に搬入し、クリーンルーム内で前記エアフィルタ集積体を開封することを特徴とするエアフィルタの開梱方法。
【請求項10】
請求項8記載のエアフィルタの梱包方法で梱包されたエアフィルタの梱包構造のストレッチフィルムをクリーンルーム前室で取り外し、パレット一体化用プラスチックバンドを開放して、少なくともエアフィルタ集積体の上に載置された防汚用フィルムを取り外し、エアフィルタ集積体をプラスチック製パレットから分離した後、前記エアフィルタ集積体をクリーンルーム内に搬入し、クリーンルーム内で前記エアフィルタ集積体を開封することを特徴とするエアフィルタの開梱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−45455(P2007−45455A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231417(P2005−231417)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】