エアフィルタ
【課題】エアフィルタを収容する外箱の廃棄量を低減できると共に、製造コストを低減することができるエアフィルタを提供する。
【解決手段】本エアフィルタ1は、外箱2に収容されるエアフィルタであって、濾材3と、該濾材の側縁部(ひだ状側縁部3a)に取り付けられる端板4と、を備え、前記端板は、前記外箱の一部(側板2a)により構成されている。
【解決手段】本エアフィルタ1は、外箱2に収容されるエアフィルタであって、濾材3と、該濾材の側縁部(ひだ状側縁部3a)に取り付けられる端板4と、を備え、前記端板は、前記外箱の一部(側板2a)により構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタに関し、さらに詳しくは、エアフィルタを収容する外箱の廃棄量を低減できると共に、製造コストを低減することができるエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両の空調装置において、外気を取り込んで車室内に吹き出す経路中に外気に含まれる塵や埃等の異物を除去するエアフィルタが設けられている。この種のエアフィルタとしては、例えば、図11に示すように、助手席前のグローブボックスの奥側に収容され、その下方にブロア(図示省略)が配置されるものが知られている。このエアフィルタ100によると、ブロアの吸引作用によりエアフィルタ100の上方から下方に向かって外気が引き込まれ、エアフィルタ100を通過して塵や埃等の異物が捕集され、濾過後の空気が車室内に吹き出される。
ここで、上記エアフィルタ100としては、図12に示すように、プリーツ状に折り畳まれた不織布製の濾材101と、この濾材101の型崩れ防止等のために濾材101のひだ状側縁部101aに取り付けられる不織布製の端板102とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−124167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のエアフィルタ100は、通常、流通や販売の際には濾材が汚れないように外箱103に収容された状態で取り扱われる。しかし、上記従来のエアフィルタ100では、エアフィルタ100と外箱103とが別体であるため、エアフィルタ100を取り出した後の外箱103の全部を廃棄しており無駄が多い。また、エアフィルタ100の製造コストを低減させたいとの要望もあった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、エアフィルタを収容する外箱の廃棄量を低減できると共に、製造コストを低減することができるエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.外箱に収容されるエアフィルタであって、
濾材と、該濾材の側縁部に取り付けられる端板と、を備え、
前記端板は、前記外箱の一部により構成されていることを特徴とするエアフィルタ。
2.前記濾材の下流側に配置される整流板を更に備え、該整流板は、前記外箱の一部により構成されている上記1.記載のエアフィルタ。
3.前記外箱には、前記端板を構成する該外箱の一部の縁に沿って端板用切取り線が形成されている上記1.記載のエアフィルタ。
4.前記外箱には、前記整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用切取り線が形成されている上記2.記載のエアフィルタ。
5.前記整流板は、整流部と、該整流部と前記端板とを連絡する連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間には隙間が設けられている上記2.又は4.に記載のエアフィルタ。
6.前記外箱には、円弧縁を有する前記整流部を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する前記連絡部を構成する該外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)は、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい上記5.記載のエアフィルタ。
7.前記外箱は紙製である上記1.乃至6.のいずれか1項に記載のエアフィルタ。
8.前記外箱の表面には防水コーティング層が設けられている上記7.記載のエアフィル。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアフィルタによると、濾材の側縁部に取り付けられる端板を、外箱の一部を利用して構成したので、従来のように端板を外箱とは別部材として構成するものに比べて、外箱の廃棄量を低減することができる。また、端板の材料費、加工費等を抑えて製造コストを低減することができる。
また、整流板を更に備え、該整流板が、前記外箱の一部により構成されている場合は、端板に加えて整流板の分まで、外箱の廃棄量及び製造コストを更に低減することができる。また、エアフィルタの使用時に、濾過される空気が整流板により整流されて濾材の略全面域にわたって均一に流れるため、濾材の寿命を延ばすことができる。
また、前記外箱に端板用切取り線が形成されている場合は、エアフィルタを使用する際に、外箱の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
また、前記外箱に整流板用切取り線が形成されている場合は、エアフィルタを使用する際に、外箱の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
また、前記整流板が整流部と連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間に隙間が設けられている場合は、エアフィルタの使用時に、濾過される空気が適当な隙間を通って整流部により整流されて濾材の略全面域にわたってより均一に流れるため、濾材の寿命をより延ばすことができる。また、エアフィルタの未使用時に外箱内に取扱い説明書等を収容する場合、上記隙間を取扱い説明書等の収容スペースとして有効利用することができる。
また、前記外箱に整流部用切取り線及び連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)が、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい場合は、エアフィルタを使用する際に、整流板の整流部の外側の不要部分の切り取り作業性を高めることができると共に、エアフィルタの未使用時に、整流板の連絡部の直線縁側の強度を高めることができる。
また、前記外箱が紙製である場合は、エアフィルタを構成する端板も紙製となり、従来のように端板が不織布製であるものに比べ、材料費、加工費等を抑えて製造コストをより低減することができる。
さらに、前記外箱の表面に防水コーティング層が設けられている場合は、エアフィルタを構成する端板の表面にも防水コーティング層が設けられることとなり、エアフィルタの使用時に濾材に湿った空気が流れても端板が水分で劣化することを防止できる。そのため、エアフィルタの寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.エアフィルタ
本実施形態1.に係るエアフィルタは、外箱に収容されるエアフィルタであって、以下に述べる濾材及び端板を備える。このエアフィルタは、例えば、後述の整流板を更に備えることができる。
【0009】
上記外箱は、エアフィルタを収容する限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この外箱の材質としては、例えば、紙、不織布、樹脂等を挙げることができる。これらのうち、より安価に作製できるといった観点から、紙であることが好ましい。また、外箱の表面には、例えば、防水コーティング層が設けられていることができる。この外箱は、例えば、濾材のひだ状側縁部に取り付けられる左右の側板と、この側板に濾材を覆うように取り付けられる本体部と、を有することができる。
【0010】
上記「濾材」は、空気中の塵や埃等の異物を除去する機能を有する限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この濾材の形状としては、プリーツ状、袋状、板状、異形状等を挙げることができる。これらのうち、設置面積を必要最小限として濾過面積を高め得るといった観点から、プリーツ状であることが好ましい。また、濾材の材質としては、例えば、不織布、紙等を挙げることができる。
【0011】
上記「端板」は、上記濾材の側縁部に取り付けられる限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この端板は、上記外箱の一部(例えば、外箱の左右の側板等)により構成されている。この端板の取付け形態としては、例えば、プリーツ状の濾材のひだ状側縁部に取り付けられている形態(図1参照)、プリーツ状の濾材の側縁部の全周に取り付けられている形態等を挙げることができる。
【0012】
上記端板を構成する外箱の一部(例えば、外箱の左右の側板等)は、例えば、平板状であってもよいが、縦断面形状が略C字状となる箱状であることが好ましい(図2参照)。エアフィルタを製造する際に、箱状端板の周縁部を接着代として利用できると共に、エアフィルタの使用時に端板として必要な強度を持たせ得るためである。
【0013】
ここで、例えば、上記エアフィルタの使用時には、上記端板を構成する外箱の一部の縁に沿ってハサミ、カッター等で切れ目を入れて外箱の不要部分を切り取るようにしてもよいが、上記外箱に、端板を構成する外箱の一部の縁に沿って端板用の切取り線(「ミシン目」とも称される。)が予め形成されていることが好ましい。
【0014】
上記「整流板」は、上記濾材の下流側に配置される限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この整流板は、上記外箱の一部(例えば、外箱の本体部の一部等)により構成されている。この整流板は、通常、濾過される空気を整流して濾材を通過する空気が一部に集中しないように拡散させる機能を有する。この整流板の形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形、異形等を挙げることができる。
【0015】
ここで、例えば、上記エアフィルタの使用時には、上記整流板を構成する外箱の一部の縁に沿ってハサミ、カッター等で切れ目を入れて外箱の不要部分を切り取るようにしてもよいが、上記外箱に、整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用の切取り線(「ミシン目」とも称される。)が予め形成されていることが好ましい。
【0016】
上記整流板は、例えば、濾材の下流側の表面部に取り付けられていることができるが、上記整流板が、整流部と、この整流部と上記端板とを連絡する連絡部とを有し、整流板と濾材の下流側の表面との間に隙間が設けられていることが好ましい(図7及び8参照)。この隙間により整流部の整流効果をより高め得るためである。この隙間の間隔は、5〜20mmであることが好ましい。
なお、上記「濾材の下流側」とは、濾材で濾過される空気の流れの下流側を意図する。
【0017】
上述のように整流板が整流部及び連絡部を有する場合、上記外箱には、円弧縁を有する整流部を構成する外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する連絡部を構成する外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、整流部用切取り線の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)が、前記連絡部用切取り線の切れ目q1と継ぎ目q2との比(q1/q2)より大きな値に設定されていることが好ましい(図8参照)。
また、上記整流部用切取り線の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)は、例えば、上記端板用切取り線の切れ目r1と継ぎ目r2との比(r1/r2)より大きな値に設定されていることができる(図8参照)。これにより、エアフィルタを使用する際に、整流板の整流部の外側の不要部分の切り取り作業性を高めることができると共に、エアフィルタの未使用時に、端板の直線縁側の強度を高めることができる。
【0018】
2.エアフィルタの製造方法
本実施形態2.に係るエアフィルタの製造方法は、上記実施形態1.のエアフィルタの製造方法であって、上記濾材の側縁部に上記端板を取り付け、次に、端板に濾材を覆うように本体部を取り付けて端板及び本体部により上記外箱を形成することを特徴とする(図4参照)。
【実施例】
【0019】
以下、図面を用いて実施例1及び2により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例1及び2では、本発明に係る「エアフィルタ」として自動車の空調装置に用いられるエアフィルタを例示する。
【0020】
(実施例1)
(1)エアフィルタの構成
本実施例1に係るエアフィルタ1は、図1に示すように、その表面に防水コーティング層が設けられた紙製の外箱2に収容される。この外箱2は、左右の側板2aと、この側板2aに接着されて濾材3を一周にわたって筒状に覆う本体部2bとを有している。
【0021】
上記エアフィルタ1は、図3に示すように、濾材3及び端板4を備えている。この濾材3は、不織布をプリーツ状に折り畳んでなり、空気中の塵や埃等の異物を除去する機能を有している。この端板4は、濾材3の左右のひだ状側縁部3aに樹脂系の接着剤で取り付けられている。そして、この端板4により濾材3の形状が維持されるようになっている。
【0022】
上記端板4は、図2に示すように、外箱2の左右の側板2a(本発明に係る「外箱の一部」として例示する。)により構成されている。この端板4は、その縦断面形状が略C字状となる箱状に形成されている。この箱状の端板4の周縁部4aが本体部2bの接着代とされている。また、外箱2の本体部2bには、端板4を構成する部位の縁に沿って端板用切取り線5が形成されている。この端板用切取り線5の切れ目r1(例えば、3mm)と継ぎ目r2(例えば、3mm)との比(r1/r2)は「1」とされている。
【0023】
次に、上記エアフィルタ1の製造方法について説明する。
先ず、プリーツ状の濾材3を用意し(図4(a)参照)、次に、その濾材3の左右のひだ状側縁部3aに箱状の端板4を接着する(図4(b)参照)。次いで、平板状の本体部2bを、筒状にして濾材3を覆うように端板4の接着代に接着する(図4(c)参照)。
【0024】
(2)エアフィルタの作用
次に、上記エアフィルタ1の使用方法について説明する。
上記エアフィルタ1は、流通時や販売時には外箱2に収容された状態で取り扱われる(図1参照)。一方、エアフィルタ1の使用時には、外箱2の本体部2bの端板用切取り線5を切って、外箱2の側板2a及び側板2aに接着された部分を残して本体部2bが取り除かれる(図3参照)。そして、図5に示すように、濾材3の表面が露出された状態でエアフィルタ1が自動車の取り付け枠9に組み付けられる。その後、エアフィルタ1の下方のブロア10を作動させると、エアフィルタ1の上方から下方に向けて空気が通過して(図5中に矢印で示す。)、その空気が濾材3により濾過され、清浄な空気が車室内に吹き出されることとなる。
【0025】
(3)実施例の効果
本実施例1のエアフィルタ1によると、濾材3のひだ状側縁部3aに取り付けられる端板4を、外箱2の側板2aを利用して構成したので、従来のように端板を外箱とは別部材として構成するものに比べて、外箱2の廃棄量を低減することができる。また、端板4の材料費、加工費等を抑えて製造コストを低減することができる。
【0026】
また、本実施例1では、外箱2の本体部2bに端板用切取り線5を形成したので、エアフィルタ1を使用する際に、外箱2の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、本実施例1では、端板4を構成する外箱2の側板2aを、その縦断面形状が略C字状となる箱状としたので、エアフィルタ1を製造する際に、箱状の端板4の縁部を接着代として本体部2bを容易に接着することができると共に、エアフィルタ1の使用時に端板4として必要な強度を持たせることができる。
【0028】
また、本実施例1では、紙製の外箱2を採用したので、エアフィルタ1の端板4も紙製となり、従来のように端板が不織布製であるものに比べ、材料費、加工費等を抑えて製造コストをより低減することができる。
【0029】
さらに、本実施例1では、外箱2の表面に防水コーティング層を設けたので、エアフィルタ1の端板4の表面にも防水コーティング層が設けられることとなり、エアフィルタ1の使用時に濾材3に湿った空気が流れても端板4が水分で劣化することを防止できる。そのため、エアフィルタ1の寿命を延ばすことができる。
【0030】
(実施例2)
次に、実施例2に係るエアフィルタについて説明する。なお、本実施例2では、上記実施例1のエアフィルタ1と同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。主な相違点は、整流板を更に備える点である。
【0031】
(1)エアフィルタの構成
本実施例2に係るエアフィルタ11は、図6に示すように、濾材3、端板4及び整流板13を備えている。この整流板13は、濾材3の下流側に配置されている。この整流板13により、濾材3で濾過される空気を整流して濾材3を通過する空気が一部に集中しないように拡散されるようになっている。
【0032】
上記整流板13は、図8に示すように、外箱2の本体部2bの一部(本発明に係る「外箱の一部」として例示する。)により構成されている。また、この整流板13は、略円形の整流部13aと、この整流部13aと端板4とを連絡する帯状の複数の連絡部13bとを有している。この整流部13aは、濾材3の下流側の表面(ひだの稜線を結ぶ面)と所定間隔(例えば、10mm)の隙間14(図7及び図9参照)をもって対向している。
【0033】
上記外箱2の本体部2bには、図8に示すように、整流部13aを構成する部位の縁に沿って整流部用切取り線16が形成されていると共に、連絡部13bを構成する部位の縁に沿って連絡部用切取り線17が形成されている。この整流部用切取り線16の切れ目p1(例えば、20mm)と継ぎ目p2(例えば、2mm)との比(p1/p2)は「10」とされている。また、この連絡部用切取り線17の切れ目q1(例えば、3mm)と継ぎ目q2(例えば、3mm)との比(q1/q2)は「1」とされている。従って、整流部用切取り線16の比(p1/p2)は、連絡部用切取り線17の比(q1/q2)及び端板用切取り線5の比(r1/r2)より大きな値に設定されている。
ここで、上記実施例2では、上記整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17によって、本発明に係る「整流板用切取り線」が構成されている。
【0034】
(2)エアフィルタの作用
次に、上記エアフィルタ11の使用方法について説明する。
上記エアフィルタ11は、流通時や販売時には外箱2に収容された状態で取り扱われる(図6参照)。その際、整流板13と濾材3との間の隙間14には取扱い説明書等が収容されている。一方、エアフィルタ11の使用時には、外箱2の本体部2bの端板用切取り線5、整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17を切って、外箱2の側板2a、側板2aに接着された部分及び整流板13を残して本体部2bが取り除かれる。そして、図9に示すように、濾材3の表面が露出された状態でエアフィルタ11が自動車の取り付け枠9に組み付けられる。その後、エアフィルタ11の下方のブロア10を作動させると、エアフィルタ11の上方から下方に向けて空気が通過する(図9中に矢印で示す。)。その際、空気はブロア10に向かって流れるためエアフィルタ11の中央に集中しようとするが、濾材3の下方中央に整流板13があるため空気の流れは周囲に分散されて濾材3の全体を均一に通過するようになる。
【0035】
(3)実施例の効果
本実施例2のエアフィルタ11によると、上記実施例1のエアフィルタ1と略同じ作用・効果を奏すると共に、濾材3の下流側に配置される整流板13を、外箱2の一部により構成したので、端板4に加えて整流板13の分まで、外箱2の廃棄量及び製造コストを更に低減することができる。また、エアフィルタ11の使用時に、濾過される空気が整流板13により整流されて濾材3の略全面域にわたって均一に流れるため、濾材3の寿命をより延ばすことができる。
【0036】
また、本実施例2では、整流板13が整流部13aと連絡部13bとを有し、整流板13と濾材3の下流側の表面との間に隙間14を設けるようにしたので、エアフィルタ11の使用時に、濾過される空気が適当な隙間14を介して整流部13aにより整流されて濾材3の略全面域にわたってより均一に流れるため、濾材3の寿命をより延ばすことができる。また、エアフィルタ11の未使用時には、上記隙間14を取扱い説明書等の収容スペースとして有効利用することができる。
【0037】
さらに、本実施例2では、外箱2に整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17を形成すると共に、整流部用切取り線16の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)を、連絡部用切取り線17の切れ目q1と継ぎ目q2との比(q1/q2)より大きな値に設定したので、エアフィルタ11を使用する際に、整流板13の整流部13aの外側の不要部分の切り取り作業性を高め得ると共に、エアフィルタ11の未使用時に、整流板13の連絡部13bの直線縁側の強度を高めて外力が加わっても容易に切れてしまうことを防止できる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例1及び2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1及び2では、濾材3の一対のひだ状側縁部3aのみに端板4を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、濾材3の側縁部の全周にわたって端板4を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施例1及び2では、箱状の端板4を例示したが、これに限定されず、例えば、平板状の端板4としてもよい。
【0040】
さらに、上記実施例2では、略円形の整流板13の中間部に連絡部13bを連ねるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、略円形の整流板13の頂点部に連絡部13bを連ねるようにしてもよい。これにより、切取り難い円弧状の切取り線を少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
空気を濾過する技術として広く利用される。特に、車両の空調装置に用いられるエアフィルタとして好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1に係るエアフィルタ(未使用状態)を示す斜視図である。
【図2】図1のII矢視部の拡大断面図である。
【図3】エアフィルタの使用状態を示す斜視図である。
【図4】エアフィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)は濾材を示し、(b)は濾材に端板を取り付けた状態を示し、(C)は濾材に端板及び本体部を取り付けた状態を示す。
【図5】エアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す縦断面図である。
【図6】実施例2に係るエアフィルタ(未使用状態)を示す斜視図である。
【図7】図6のVII矢視部の拡大断面図である。
【図8】エアフィルタの正面図である。
【図9】エアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す縦断面図である。
【図10】他の形態のエアフィルタの正面図である。
【図11】従来のエアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す斜視図である。
【図12】従来のエアフィルタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1,11;エアフィルタ、2;外箱、2a;側板、3;濾材、4;端板、5;端板用切取り線、13;整流板、13a;整流部、13b;連絡部、14;隙間、16;整流部用切取り線、17;連絡部用切取り線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタに関し、さらに詳しくは、エアフィルタを収容する外箱の廃棄量を低減できると共に、製造コストを低減することができるエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両の空調装置において、外気を取り込んで車室内に吹き出す経路中に外気に含まれる塵や埃等の異物を除去するエアフィルタが設けられている。この種のエアフィルタとしては、例えば、図11に示すように、助手席前のグローブボックスの奥側に収容され、その下方にブロア(図示省略)が配置されるものが知られている。このエアフィルタ100によると、ブロアの吸引作用によりエアフィルタ100の上方から下方に向かって外気が引き込まれ、エアフィルタ100を通過して塵や埃等の異物が捕集され、濾過後の空気が車室内に吹き出される。
ここで、上記エアフィルタ100としては、図12に示すように、プリーツ状に折り畳まれた不織布製の濾材101と、この濾材101の型崩れ防止等のために濾材101のひだ状側縁部101aに取り付けられる不織布製の端板102とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−124167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のエアフィルタ100は、通常、流通や販売の際には濾材が汚れないように外箱103に収容された状態で取り扱われる。しかし、上記従来のエアフィルタ100では、エアフィルタ100と外箱103とが別体であるため、エアフィルタ100を取り出した後の外箱103の全部を廃棄しており無駄が多い。また、エアフィルタ100の製造コストを低減させたいとの要望もあった。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、エアフィルタを収容する外箱の廃棄量を低減できると共に、製造コストを低減することができるエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.外箱に収容されるエアフィルタであって、
濾材と、該濾材の側縁部に取り付けられる端板と、を備え、
前記端板は、前記外箱の一部により構成されていることを特徴とするエアフィルタ。
2.前記濾材の下流側に配置される整流板を更に備え、該整流板は、前記外箱の一部により構成されている上記1.記載のエアフィルタ。
3.前記外箱には、前記端板を構成する該外箱の一部の縁に沿って端板用切取り線が形成されている上記1.記載のエアフィルタ。
4.前記外箱には、前記整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用切取り線が形成されている上記2.記載のエアフィルタ。
5.前記整流板は、整流部と、該整流部と前記端板とを連絡する連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間には隙間が設けられている上記2.又は4.に記載のエアフィルタ。
6.前記外箱には、円弧縁を有する前記整流部を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する前記連絡部を構成する該外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)は、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい上記5.記載のエアフィルタ。
7.前記外箱は紙製である上記1.乃至6.のいずれか1項に記載のエアフィルタ。
8.前記外箱の表面には防水コーティング層が設けられている上記7.記載のエアフィル。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアフィルタによると、濾材の側縁部に取り付けられる端板を、外箱の一部を利用して構成したので、従来のように端板を外箱とは別部材として構成するものに比べて、外箱の廃棄量を低減することができる。また、端板の材料費、加工費等を抑えて製造コストを低減することができる。
また、整流板を更に備え、該整流板が、前記外箱の一部により構成されている場合は、端板に加えて整流板の分まで、外箱の廃棄量及び製造コストを更に低減することができる。また、エアフィルタの使用時に、濾過される空気が整流板により整流されて濾材の略全面域にわたって均一に流れるため、濾材の寿命を延ばすことができる。
また、前記外箱に端板用切取り線が形成されている場合は、エアフィルタを使用する際に、外箱の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
また、前記外箱に整流板用切取り線が形成されている場合は、エアフィルタを使用する際に、外箱の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
また、前記整流板が整流部と連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間に隙間が設けられている場合は、エアフィルタの使用時に、濾過される空気が適当な隙間を通って整流部により整流されて濾材の略全面域にわたってより均一に流れるため、濾材の寿命をより延ばすことができる。また、エアフィルタの未使用時に外箱内に取扱い説明書等を収容する場合、上記隙間を取扱い説明書等の収容スペースとして有効利用することができる。
また、前記外箱に整流部用切取り線及び連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)が、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい場合は、エアフィルタを使用する際に、整流板の整流部の外側の不要部分の切り取り作業性を高めることができると共に、エアフィルタの未使用時に、整流板の連絡部の直線縁側の強度を高めることができる。
また、前記外箱が紙製である場合は、エアフィルタを構成する端板も紙製となり、従来のように端板が不織布製であるものに比べ、材料費、加工費等を抑えて製造コストをより低減することができる。
さらに、前記外箱の表面に防水コーティング層が設けられている場合は、エアフィルタを構成する端板の表面にも防水コーティング層が設けられることとなり、エアフィルタの使用時に濾材に湿った空気が流れても端板が水分で劣化することを防止できる。そのため、エアフィルタの寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.エアフィルタ
本実施形態1.に係るエアフィルタは、外箱に収容されるエアフィルタであって、以下に述べる濾材及び端板を備える。このエアフィルタは、例えば、後述の整流板を更に備えることができる。
【0009】
上記外箱は、エアフィルタを収容する限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この外箱の材質としては、例えば、紙、不織布、樹脂等を挙げることができる。これらのうち、より安価に作製できるといった観点から、紙であることが好ましい。また、外箱の表面には、例えば、防水コーティング層が設けられていることができる。この外箱は、例えば、濾材のひだ状側縁部に取り付けられる左右の側板と、この側板に濾材を覆うように取り付けられる本体部と、を有することができる。
【0010】
上記「濾材」は、空気中の塵や埃等の異物を除去する機能を有する限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この濾材の形状としては、プリーツ状、袋状、板状、異形状等を挙げることができる。これらのうち、設置面積を必要最小限として濾過面積を高め得るといった観点から、プリーツ状であることが好ましい。また、濾材の材質としては、例えば、不織布、紙等を挙げることができる。
【0011】
上記「端板」は、上記濾材の側縁部に取り付けられる限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この端板は、上記外箱の一部(例えば、外箱の左右の側板等)により構成されている。この端板の取付け形態としては、例えば、プリーツ状の濾材のひだ状側縁部に取り付けられている形態(図1参照)、プリーツ状の濾材の側縁部の全周に取り付けられている形態等を挙げることができる。
【0012】
上記端板を構成する外箱の一部(例えば、外箱の左右の側板等)は、例えば、平板状であってもよいが、縦断面形状が略C字状となる箱状であることが好ましい(図2参照)。エアフィルタを製造する際に、箱状端板の周縁部を接着代として利用できると共に、エアフィルタの使用時に端板として必要な強度を持たせ得るためである。
【0013】
ここで、例えば、上記エアフィルタの使用時には、上記端板を構成する外箱の一部の縁に沿ってハサミ、カッター等で切れ目を入れて外箱の不要部分を切り取るようにしてもよいが、上記外箱に、端板を構成する外箱の一部の縁に沿って端板用の切取り線(「ミシン目」とも称される。)が予め形成されていることが好ましい。
【0014】
上記「整流板」は、上記濾材の下流側に配置される限り、その構造、大きさ、形状、材質などは特に問わない。この整流板は、上記外箱の一部(例えば、外箱の本体部の一部等)により構成されている。この整流板は、通常、濾過される空気を整流して濾材を通過する空気が一部に集中しないように拡散させる機能を有する。この整流板の形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形、異形等を挙げることができる。
【0015】
ここで、例えば、上記エアフィルタの使用時には、上記整流板を構成する外箱の一部の縁に沿ってハサミ、カッター等で切れ目を入れて外箱の不要部分を切り取るようにしてもよいが、上記外箱に、整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用の切取り線(「ミシン目」とも称される。)が予め形成されていることが好ましい。
【0016】
上記整流板は、例えば、濾材の下流側の表面部に取り付けられていることができるが、上記整流板が、整流部と、この整流部と上記端板とを連絡する連絡部とを有し、整流板と濾材の下流側の表面との間に隙間が設けられていることが好ましい(図7及び8参照)。この隙間により整流部の整流効果をより高め得るためである。この隙間の間隔は、5〜20mmであることが好ましい。
なお、上記「濾材の下流側」とは、濾材で濾過される空気の流れの下流側を意図する。
【0017】
上述のように整流板が整流部及び連絡部を有する場合、上記外箱には、円弧縁を有する整流部を構成する外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する連絡部を構成する外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、整流部用切取り線の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)が、前記連絡部用切取り線の切れ目q1と継ぎ目q2との比(q1/q2)より大きな値に設定されていることが好ましい(図8参照)。
また、上記整流部用切取り線の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)は、例えば、上記端板用切取り線の切れ目r1と継ぎ目r2との比(r1/r2)より大きな値に設定されていることができる(図8参照)。これにより、エアフィルタを使用する際に、整流板の整流部の外側の不要部分の切り取り作業性を高めることができると共に、エアフィルタの未使用時に、端板の直線縁側の強度を高めることができる。
【0018】
2.エアフィルタの製造方法
本実施形態2.に係るエアフィルタの製造方法は、上記実施形態1.のエアフィルタの製造方法であって、上記濾材の側縁部に上記端板を取り付け、次に、端板に濾材を覆うように本体部を取り付けて端板及び本体部により上記外箱を形成することを特徴とする(図4参照)。
【実施例】
【0019】
以下、図面を用いて実施例1及び2により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例1及び2では、本発明に係る「エアフィルタ」として自動車の空調装置に用いられるエアフィルタを例示する。
【0020】
(実施例1)
(1)エアフィルタの構成
本実施例1に係るエアフィルタ1は、図1に示すように、その表面に防水コーティング層が設けられた紙製の外箱2に収容される。この外箱2は、左右の側板2aと、この側板2aに接着されて濾材3を一周にわたって筒状に覆う本体部2bとを有している。
【0021】
上記エアフィルタ1は、図3に示すように、濾材3及び端板4を備えている。この濾材3は、不織布をプリーツ状に折り畳んでなり、空気中の塵や埃等の異物を除去する機能を有している。この端板4は、濾材3の左右のひだ状側縁部3aに樹脂系の接着剤で取り付けられている。そして、この端板4により濾材3の形状が維持されるようになっている。
【0022】
上記端板4は、図2に示すように、外箱2の左右の側板2a(本発明に係る「外箱の一部」として例示する。)により構成されている。この端板4は、その縦断面形状が略C字状となる箱状に形成されている。この箱状の端板4の周縁部4aが本体部2bの接着代とされている。また、外箱2の本体部2bには、端板4を構成する部位の縁に沿って端板用切取り線5が形成されている。この端板用切取り線5の切れ目r1(例えば、3mm)と継ぎ目r2(例えば、3mm)との比(r1/r2)は「1」とされている。
【0023】
次に、上記エアフィルタ1の製造方法について説明する。
先ず、プリーツ状の濾材3を用意し(図4(a)参照)、次に、その濾材3の左右のひだ状側縁部3aに箱状の端板4を接着する(図4(b)参照)。次いで、平板状の本体部2bを、筒状にして濾材3を覆うように端板4の接着代に接着する(図4(c)参照)。
【0024】
(2)エアフィルタの作用
次に、上記エアフィルタ1の使用方法について説明する。
上記エアフィルタ1は、流通時や販売時には外箱2に収容された状態で取り扱われる(図1参照)。一方、エアフィルタ1の使用時には、外箱2の本体部2bの端板用切取り線5を切って、外箱2の側板2a及び側板2aに接着された部分を残して本体部2bが取り除かれる(図3参照)。そして、図5に示すように、濾材3の表面が露出された状態でエアフィルタ1が自動車の取り付け枠9に組み付けられる。その後、エアフィルタ1の下方のブロア10を作動させると、エアフィルタ1の上方から下方に向けて空気が通過して(図5中に矢印で示す。)、その空気が濾材3により濾過され、清浄な空気が車室内に吹き出されることとなる。
【0025】
(3)実施例の効果
本実施例1のエアフィルタ1によると、濾材3のひだ状側縁部3aに取り付けられる端板4を、外箱2の側板2aを利用して構成したので、従来のように端板を外箱とは別部材として構成するものに比べて、外箱2の廃棄量を低減することができる。また、端板4の材料費、加工費等を抑えて製造コストを低減することができる。
【0026】
また、本実施例1では、外箱2の本体部2bに端板用切取り線5を形成したので、エアフィルタ1を使用する際に、外箱2の不要部分の切り取り作業を容易に行うことができる。
【0027】
また、本実施例1では、端板4を構成する外箱2の側板2aを、その縦断面形状が略C字状となる箱状としたので、エアフィルタ1を製造する際に、箱状の端板4の縁部を接着代として本体部2bを容易に接着することができると共に、エアフィルタ1の使用時に端板4として必要な強度を持たせることができる。
【0028】
また、本実施例1では、紙製の外箱2を採用したので、エアフィルタ1の端板4も紙製となり、従来のように端板が不織布製であるものに比べ、材料費、加工費等を抑えて製造コストをより低減することができる。
【0029】
さらに、本実施例1では、外箱2の表面に防水コーティング層を設けたので、エアフィルタ1の端板4の表面にも防水コーティング層が設けられることとなり、エアフィルタ1の使用時に濾材3に湿った空気が流れても端板4が水分で劣化することを防止できる。そのため、エアフィルタ1の寿命を延ばすことができる。
【0030】
(実施例2)
次に、実施例2に係るエアフィルタについて説明する。なお、本実施例2では、上記実施例1のエアフィルタ1と同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略し、以下に相違点について詳説する。主な相違点は、整流板を更に備える点である。
【0031】
(1)エアフィルタの構成
本実施例2に係るエアフィルタ11は、図6に示すように、濾材3、端板4及び整流板13を備えている。この整流板13は、濾材3の下流側に配置されている。この整流板13により、濾材3で濾過される空気を整流して濾材3を通過する空気が一部に集中しないように拡散されるようになっている。
【0032】
上記整流板13は、図8に示すように、外箱2の本体部2bの一部(本発明に係る「外箱の一部」として例示する。)により構成されている。また、この整流板13は、略円形の整流部13aと、この整流部13aと端板4とを連絡する帯状の複数の連絡部13bとを有している。この整流部13aは、濾材3の下流側の表面(ひだの稜線を結ぶ面)と所定間隔(例えば、10mm)の隙間14(図7及び図9参照)をもって対向している。
【0033】
上記外箱2の本体部2bには、図8に示すように、整流部13aを構成する部位の縁に沿って整流部用切取り線16が形成されていると共に、連絡部13bを構成する部位の縁に沿って連絡部用切取り線17が形成されている。この整流部用切取り線16の切れ目p1(例えば、20mm)と継ぎ目p2(例えば、2mm)との比(p1/p2)は「10」とされている。また、この連絡部用切取り線17の切れ目q1(例えば、3mm)と継ぎ目q2(例えば、3mm)との比(q1/q2)は「1」とされている。従って、整流部用切取り線16の比(p1/p2)は、連絡部用切取り線17の比(q1/q2)及び端板用切取り線5の比(r1/r2)より大きな値に設定されている。
ここで、上記実施例2では、上記整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17によって、本発明に係る「整流板用切取り線」が構成されている。
【0034】
(2)エアフィルタの作用
次に、上記エアフィルタ11の使用方法について説明する。
上記エアフィルタ11は、流通時や販売時には外箱2に収容された状態で取り扱われる(図6参照)。その際、整流板13と濾材3との間の隙間14には取扱い説明書等が収容されている。一方、エアフィルタ11の使用時には、外箱2の本体部2bの端板用切取り線5、整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17を切って、外箱2の側板2a、側板2aに接着された部分及び整流板13を残して本体部2bが取り除かれる。そして、図9に示すように、濾材3の表面が露出された状態でエアフィルタ11が自動車の取り付け枠9に組み付けられる。その後、エアフィルタ11の下方のブロア10を作動させると、エアフィルタ11の上方から下方に向けて空気が通過する(図9中に矢印で示す。)。その際、空気はブロア10に向かって流れるためエアフィルタ11の中央に集中しようとするが、濾材3の下方中央に整流板13があるため空気の流れは周囲に分散されて濾材3の全体を均一に通過するようになる。
【0035】
(3)実施例の効果
本実施例2のエアフィルタ11によると、上記実施例1のエアフィルタ1と略同じ作用・効果を奏すると共に、濾材3の下流側に配置される整流板13を、外箱2の一部により構成したので、端板4に加えて整流板13の分まで、外箱2の廃棄量及び製造コストを更に低減することができる。また、エアフィルタ11の使用時に、濾過される空気が整流板13により整流されて濾材3の略全面域にわたって均一に流れるため、濾材3の寿命をより延ばすことができる。
【0036】
また、本実施例2では、整流板13が整流部13aと連絡部13bとを有し、整流板13と濾材3の下流側の表面との間に隙間14を設けるようにしたので、エアフィルタ11の使用時に、濾過される空気が適当な隙間14を介して整流部13aにより整流されて濾材3の略全面域にわたってより均一に流れるため、濾材3の寿命をより延ばすことができる。また、エアフィルタ11の未使用時には、上記隙間14を取扱い説明書等の収容スペースとして有効利用することができる。
【0037】
さらに、本実施例2では、外箱2に整流部用切取り線16及び連絡部用切取り線17を形成すると共に、整流部用切取り線16の切れ目p1と継ぎ目p2との比(p1/p2)を、連絡部用切取り線17の切れ目q1と継ぎ目q2との比(q1/q2)より大きな値に設定したので、エアフィルタ11を使用する際に、整流板13の整流部13aの外側の不要部分の切り取り作業性を高め得ると共に、エアフィルタ11の未使用時に、整流板13の連絡部13bの直線縁側の強度を高めて外力が加わっても容易に切れてしまうことを防止できる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例1及び2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1及び2では、濾材3の一対のひだ状側縁部3aのみに端板4を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、濾材3の側縁部の全周にわたって端板4を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施例1及び2では、箱状の端板4を例示したが、これに限定されず、例えば、平板状の端板4としてもよい。
【0040】
さらに、上記実施例2では、略円形の整流板13の中間部に連絡部13bを連ねるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、略円形の整流板13の頂点部に連絡部13bを連ねるようにしてもよい。これにより、切取り難い円弧状の切取り線を少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
空気を濾過する技術として広く利用される。特に、車両の空調装置に用いられるエアフィルタとして好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1に係るエアフィルタ(未使用状態)を示す斜視図である。
【図2】図1のII矢視部の拡大断面図である。
【図3】エアフィルタの使用状態を示す斜視図である。
【図4】エアフィルタの製造方法を説明するための説明図であり、(a)は濾材を示し、(b)は濾材に端板を取り付けた状態を示し、(C)は濾材に端板及び本体部を取り付けた状態を示す。
【図5】エアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す縦断面図である。
【図6】実施例2に係るエアフィルタ(未使用状態)を示す斜視図である。
【図7】図6のVII矢視部の拡大断面図である。
【図8】エアフィルタの正面図である。
【図9】エアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す縦断面図である。
【図10】他の形態のエアフィルタの正面図である。
【図11】従来のエアフィルタを空調装置に組み付けた状態を示す斜視図である。
【図12】従来のエアフィルタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1,11;エアフィルタ、2;外箱、2a;側板、3;濾材、4;端板、5;端板用切取り線、13;整流板、13a;整流部、13b;連絡部、14;隙間、16;整流部用切取り線、17;連絡部用切取り線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱に収容されるエアフィルタであって、
濾材と、該濾材の側縁部に取り付けられる端板と、を備え、
前記端板は、前記外箱の一部により構成されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記濾材の下流側に配置される整流板を更に備え、該整流板は、前記外箱の一部により構成されている請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記外箱には、前記端板を構成する該外箱の一部の縁に沿って端板用切取り線が形成されている請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記外箱には、前記整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用切取り線が形成されている請求項2記載のエアフィルタ。
【請求項5】
前記整流板は、整流部と、該整流部と前記端板とを連絡する連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間には隙間が設けられている請求項2又は4に記載のエアフィルタ。
【請求項6】
前記外箱には、円弧縁を有する前記整流部を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する前記連絡部を構成する該外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)は、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい請求項5記載のエアフィルタ。
【請求項7】
前記外箱は紙製である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエアフィルタ。
【請求項8】
前記外箱の表面には防水コーティング層が設けられている請求項7記載のエアフィルタ。
【請求項1】
外箱に収容されるエアフィルタであって、
濾材と、該濾材の側縁部に取り付けられる端板と、を備え、
前記端板は、前記外箱の一部により構成されていることを特徴とするエアフィルタ。
【請求項2】
前記濾材の下流側に配置される整流板を更に備え、該整流板は、前記外箱の一部により構成されている請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項3】
前記外箱には、前記端板を構成する該外箱の一部の縁に沿って端板用切取り線が形成されている請求項1記載のエアフィルタ。
【請求項4】
前記外箱には、前記整流板を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流板用切取り線が形成されている請求項2記載のエアフィルタ。
【請求項5】
前記整流板は、整流部と、該整流部と前記端板とを連絡する連絡部とを有し、該整流板と前記濾材の下流側の表面との間には隙間が設けられている請求項2又は4に記載のエアフィルタ。
【請求項6】
前記外箱には、円弧縁を有する前記整流部を構成する該外箱の一部の縁に沿って整流部用切取り線、及び直線縁を有する前記連絡部を構成する該外箱の一部の縁に沿って連絡部用切取り線が形成されており、前記整流部用切取り線の切れ目(p1)と継ぎ目(p2)との比(p1/p2)は、前記連絡部用切取り線の切れ目(q1)と継ぎ目(q2)との比(q1/q2)より大きい請求項5記載のエアフィルタ。
【請求項7】
前記外箱は紙製である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエアフィルタ。
【請求項8】
前記外箱の表面には防水コーティング層が設けられている請求項7記載のエアフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−297604(P2009−297604A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152164(P2008−152164)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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