説明

エキスパンションジョイント床における目地部の安全装置

【課題】建物と建物とのエキスパンションジョイントにおいて、地震の揺れが収まった状態で、エキスパンション床の両側が形成する段差や、目地材が突起物となって歩行者や車の通行に障害となり、これを解消するエキスパンションジョイント床を提供する。
【解決手段】一対の凹部形状面上5aに敷設された金属製ベースプレート6a上にエキスパンションジョイント床10を架設し、エキスパンションジョイント床10の両端部にはゴム系からなる伸縮自在の目地用ベローズ11aを設け、目地用ベローズ11aは他端で丁番12を介して回動可能に設置され、目地用ベローズ11aの下部には金属製ベースプレート6aの立上がり部に沿って摺動し丁番12を回動させる摺動子15を有して、エキスパンション床10カバーと床面4a間の段差部分を目地用ベローズ11aが回転動傾斜して該ネジ用ベローズ弾性体がエキスパンション床10と床面間の段差を確実にカバーする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者用や車路として用いられる免震エキスパンションジョイント床における目地部の安全装置に関するものである。
【0002】
本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、エキスパンション床カバー材の片側先端部が床面上に突出しない目地装置を提供するものであり、また本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバー材と床面間の段差部分を目地部弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0003】
また、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合や、エキスパンションジョイント部分が拡がってエキスパンションジョイント床カバー部分に隙間が生じてしまった場合、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地安全装置を取り付けることでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地部の安全装置を提供するものである。
【背景技術】
【0004】
免震建物においては、建物が地震時に大変形を生じることに対する建築的な対応が最重要事項である。この大変形は地盤と建物の間に生じる変形で、この場合に生じる免震建造物と非免震建造物間の相互移動に対応したクリアランスを確保する必要がある。
【0005】
即ち、建物外部から免震建物への人や車の出入りに利用される動線上において免震エキスパンションジョイント床は、建物へのアプローチとして一番重要な部分であり、躯体間の相互移動に対応できる免震エキスパンションジョイント床が必要となる。
【0006】
斯して、最近の建造物においては、建物の高層化や免震構造の採用に伴い従来よりも免震建造物と非免震建造物との躯体間のクリアランスは広がる傾向にある。然しながら、クリアランスを大きく取るとクリアランス上に装架されるエキスパンション床カバー材は大型で幅広となり、且つ、エキスパンションジョイント床カバー材が免震建造物と非免震建造物との躯体間で摺動する間隙、即ち大きな可動範囲を有する構造のものが必要とされてきている。
【0007】
上述した大きな可動範囲を有する構造のエキスパンションジョイント床カバーとその目地部、並びにカバー材の摺動構造に関しては、例えば、特開2003−129576号公報(以下、特許文献1と称する)の発明が開示されている。
【0008】
そして、上記、特許文献1の発明は、エキスパンションジョイント床カバー材が免震建造物と非免震建造物との躯体間で摺動する間隙部を被覆面部(カバープレート)にて塞いだ構成のものが開示されている。
【0009】
然しながら、特許文献1の発明のように建造物と建造物との間隙をエキスパンションジョイント床カバー材と床面間に生じる可動スペースを被覆面部(カバープレート)にて塞ぐ構成では、被覆面のカバープレートが地震時の揺れによって図5(b)(引用文献1の符号)の如く被覆面部のカバープレートが床面から上部に跳ね上がったり、エキスパンション床カバー材の収納部5が図5(c)(引用文献1の符号)の如く段差を有する間隙となって現れるので、地震の揺れが続いている場合に歩行者や避難者に怪我をさせてしまうという構造上の大きな欠点があった。
【0010】
また、地震による揺れがおさまった場合においては、エキスパンションジョイント床カバー材が、図5(b)、(c)(引用文献1の符号)の如く被覆面部のカバープレートが床面から上部に跳ね上がった状態で停止して、床面上に突出してしまつたり、エキスパンション床カバー材の収納部が段差を有する間隙となって残ってしまい、当該部分を補修修理しなければ、歩行者や車の通行に支障をきたすことになる。
【0011】
この場合においても、免震建造物と非免震建造物自体は、エキスパンションジョイントの働きにより損傷を受けておらず、当該建物への重要なアプローチであるエキスパンションジョイント床は、速やかに修理修復する必要があり、エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明のような床目地装置を取り付けることでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地部安全装置の具現化が要求されるようになってきた。
【0012】
斯くして、この種のエキスパンションジョイント床の従来装置として、目地プレートの端部が床面上に突出しても、歩行者が目地プレートの端部に衝突することなく安全に使用することができる床目地装置を提供することを目的とした特開2000−328674号公報(以下、特許文献2と称する)の発明が開示されている。
【0013】
特許文献2の発明に開示されているエキスパンションジョイント50は、図8乃至図9(A)、(B)に示すように、目地部51を介して建てられた左右の建物52a、52bの床面53a、53bに、該目地部51に開口するように形成された一対の凹部54a、54bを設け、この一対の凹部54a、54bにそれぞれ固定された反目地部側が傾斜のガイド面55a、55bとなる一対の固定金具56a、56bを設けている。
【0014】
この一対の固定金具56a、56bのガイド面55a、55bを除く部位間を覆う目地プレート57と、この目地プレート57の両端部にそれぞれ固定的、あるいは下部側部位で蝶番58a、58b、58c・・・等で回動可能に取付けられた前記一対の固定金具56a、56bのガイド面55a、55bを覆うゴム等の弾性材で形成された保護体59a、59bと、前記一対の固定金具56a、56b、あるいは、前記左右の建物52a、52bの床部分の躯体に取付けられた中央枢支部に前記目地プレート57に前記目地プレートの中央部に取付けられた支持杆60がそれぞれ上下移動可能に枢支された少なくとも2個以上の中央維持装置61とで床目地装置を構成しているものである。
【0015】
そして、特許文献2の発明においては、通常時に図9に示すように目地プレート57及び両端部の保護体58a、58bによって目地部51及び一対の固定金具56a、56bの上部を覆い、上面が左右の床面53a、53bの上面とほぼ同一面となるように設置されている。
【0016】
而して、地震により左右の建物52a、52bが異なる方向に揺れ動き、図9(B)に示すように目地部51の寸法が狭くなった場合、目地プレート57は複数個の中央維持装置61によって常時中央部に位置した状態で両端部の下面が一対の固定金具56a、56bのガイド面55a、55bに沿って上方へスライド移動し、両端部が左右の建物52a、52bの床面53a、53b上に乗り上がる。この時、一対の保護体58a、58bは蝶番58a、58b、58c・・・の枢支ピンにより回動し、該一対の保護体59a、59bの先端部が左右の建物52a、52bの床面53a、53b上に支持された状態となる。
【0017】
また、左右の建物52a、52bが図9(C)に示すように目地部51の寸法が広くなった場合、目地プレート57は複数個の中央維持装置61によって通常中央部に位置した状態で両端部が一対の固定金具56a、56b上をスライド移動するとともに、両端部の一対の保護体59a、59bの先端部も一対の固定金具56a、56bのガイド面55a、55b等に接触した状態で回動しながらスライド移動する。
【0018】
斯くして、特許文献2における図9(B)、(C)の状態をみると、図9(B)の状態は、地震の揺れが収まった状態で目地プレート57が上方にスライド移動して両端部が左右の建物52a、52bの床面53a、53b上に乗り上がった状態であり、また、図9(C)の状態は、地震の揺れが収まった状態で目地プレート57が一対の凹部54a、54b内に収まり左右に凹部間隙を形成してしまい、更に目地プレート57の両側が形成する段差や、回動した一対の保護体59a、59bも夫々三角形状の突起物となってしまい歩行者や車の通行にとっては障害となるばかりでなく、大変に危険である。
【0019】
また、エキスパンションジョイント50を設置した建物は、大地震の直後でも左右の建物に損傷を与えることなく経済活動を営んでいる確率が高いとおもわれるが、当該建物へ重要なアプローチとなるエキスパンションジョイント50の部分がデコボコでは大変危険であるばかりでなく、大地震直後の数か月は繰り返し震度3〜4程度の余震が続くことを考慮すれば、図8(B)、や(C)の状態において余震が発生すると避難者にとってエキスパンションジョイント50部分は、図9(B)、(C)の状態で揺れ動くことになり大変危険な場所となり、結局建物の管理者は、歩行者や車の通行を遮断して復旧工事を急がなければならいものとなる。
【0020】
尚、特許文献2においては、上記図8及び図9の実施例の他に図10の様に目地プレート57の両端部の保護体59a、59bが固定的に取付けられているもの、或いは図10(A)、(B)の如く目地プレート57の片側が建物52aの目地部側の床面53aに形成された支持凹部62に上下移動可能に取付けられた目地プレート支持金具63に支持させたものが開示されているが、何れもその動作は、地震の揺れが収まった状態で目地プレート57が上方にスライド移動して両端部が左右の建物52a、52bの床面53a、53b上に乗り上がった状態を形成するものであり、余震が発生すると避難者にとってエキスパンションジョイント50部分は、図10、或いは図11(B)の状態で揺れ動くことになり、大変危険な場所となってしまうと云う大きな欠点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2003−129576号公報
【特許文献2】特開2000−328674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来のエキスパンションジョイント床の目地装置は、免震建造物と非免震建造物との躯体間のクリアランスが狭くなるように揺れ動いた場合に、地震の揺れが収まった状態で目地プレートが上方にスライド移動して両端部が左右の建物の床面上に乗り上がった状態を作出したり、また、地震の揺れが収まった状態で目地プレートが一対の凹部内に収まり左右に凹部間隙を形成してしまうので、目地プレートの両側が形成する段差や、回動した目地用の保護体が夫々突起物となってしまい歩行者や車の通行にとっては障害となるばかりでなく、大変に危険である。
【0023】
また、エキスパンションジョイント床を設置した建物は、大地震の直後でも左右の建物に損傷を与えることなく経済活動を営んでいる確率が高いとおもわれるが、当該建物へ重要なアプローチとなるエキスパンションジョイント床部分がデコボコでは大変危険であるばかりでなく、大地震直後の数か月は繰り返し震度3〜4程度の余震が続くことを想定すれば、余震が発生した場合に避難者にとってエキスパンションジョイント部分は、目地プレートが上方にスライド移動して両端部が左右の建物の床面上に乗り上がった状態で揺れ動いたり、目地プレートが一対の凹部内に収まり左右に凹部間隙を形成した状態で揺れ動くことになり大変危険な場所となる。
【0024】
斯くして、本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出しない目地装置を提供するものであり、該エキスパンションジョイントの目地装置は地震による揺れが続いている場合においてもエキスパンションジョイント床カバー材と目地構造部材面をフラットに保つことができ、歩行者の安全な避難が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地部弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0026】
更に、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地安全装置を取り付けることでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地部装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には一対の凹部形状面を構成し、該一対の凹部形状面には夫々金属製のベースプレートを敷設し、該金属製のベースプレートはそれぞれ前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺動部を構成し、該一対の凹部形状面上に敷設された金属製ベースプレート上には前記クリアランスを塞ぐためのエキスパンションジョイント床を架設し、該エキスパンションジョイント床の両端部には前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該ネジ用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーすることが可能なエキスパンションジョイント床の目地部安全装置を提供するものである。
【0028】
また、本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には夫々形状の異なる凹部形状面を構成し、該片側の凹部形状面にはL字形金属製ベースプレートを敷設し他方の金属製ベースプレートには前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置し、該L字型金属製ベースプレートと立上がり斜部とベローズ受け部を有する金属製ベースプレート間にエキスパンション床を架設し、該架設されたエキスパンションジョイント床の片側はL字形金属製ベースプレート側で複数個ウイング用丁番やウイング用スプリング付きボルトで回動可能に固定されており、また該架設されたエキスパンションジョイント床の他方は立上がり斜部とベローズ受け部を設置されエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレート上に摺動可能に敷置され、該エキスパンションジョイント床の摺動可能側は前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該ネジ用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーすることが可能なエキスパンションジョイント床の目地部安全装置を提供するものである。
【0029】
更に本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイント用目地部材として既存のエキスパンションジョイントにも利用できるもので、該目地用部材は立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレートと、該エキスパンションジョイント床の端部に取付可能なベローズ固着用枠、並びに該エキスパンションジョイント床の端部に設けられるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在で、且つ丁番で回動可能にエキスパンション床端部に設置可能な目地用ベローズからなり、該部品構成をセットにして床用エキスパンション補修用目地部材を提供するものである。
【発明の効果】
【0030】
斯くして、本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出しない目地部の安全装置を提供可能とした。
【0031】
また、本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地用ベローズの弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0032】
更に、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地装置を取り付けることでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地部安全装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図2】(A)図1のa−a断面図である。 (B)図2(A)の動作を説明する断面図である。 (C)図2(C)の他の動作を説明する断面図である。
【図3】図2の最大可動動作を説明する断面図である。
【図4】(A)図2に使用されたベローズ型目地部の拡大説明図である。 (B)図2に使用されたベローズ型目地部の動作説明図である。 (C)図2に使用されたベローズ型目地部の他の動作説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には一対の凹部形状面を構成し、該一対の凹部形状面には夫々金属製のベースプレートを敷設し、該金属製のベースプレートはそれぞれ前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺動部を構成し、該一対の凹部形状面上に敷設された金属製ベースプレート上には前記クリアランスを塞ぐためのエキスパンションジョイント床を架設し、該エキスパンションジョイント床の両端部には前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床が床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床と床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該目地用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーすることを特徴とするエキスパンションジョイント床の目地部安全装置。
【請求項2】
建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には夫々形状の異なる凹部形状面を構成し、該片側の凹部形状面にはL字形金属製ベースプレートを敷設し他方の金属製ベースプレートには前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置し、該L字型金属製ベースプレートと立上がり斜部とベローズ受け部を有する金属製ベースプレート間にエキスパンション床を架設し、該架設されたエキスパンションジョイント床の片側はL字形金属製ベースプレート側で複数個ウイング用丁番やウイング用スプリング付きボルトで回動可能に固定されており、また該架設されたエキスパンションジョイント床の他方は立上がり斜部とベローズ受け部を設置されエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレート上に摺動可能に敷置され、該エキスパンションジョイント床の摺動可能側は前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床が床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床と床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該目地用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーすることを特徴とするエキスパンションジョイント床の目地部安全装置。
【請求項3】
建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイント用目地機構として、該立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレートと、該エキスパンションジョイント床の端部に取付可能なベローズ固着用枠、並びに該エキスパンションジョイント床の端部に設けられるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在で、且つ丁番で回動可能にエキスパンション床端部に設置可能な目地用ベローズを部品構成のセットにして床用エキスパンション補修用目地部材としたことを特徴とするエキスパンションジョイント床の目地部安全装置。

【図4】(A)ベローズ型目地部の他の形状例を示す断面図である。 (B)ベローズ型目地部の他の形状例を示す断面図である。 (C)ベローズ型目地部の他の形状例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例を説明する実施形態図である。
【図6】(A)図5のb−b断面図である。 (B)図6(A)の動作を説明する断面図である。 (C)図6(A)の他の動作を説明する断面図である。
【図7】図6の最大可動動作を説明する断面図である。
【図8】従来例を説明する平面図である。
【図9】(A)図8のc−c断面図である。 (B)図9(A)の動作を説明する断面図である。 (C)図9(A)の他の動作を説明する断面図である。
【図10】動作の異なる従来例を説明する断面図である。
【図11】(A)動作の異なる従来例を説明する断面図である。 (B)図11(A)の動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
従来のエキスパンションジョイント床の目地装置は、免震建造物と非免震建造物との躯体間のクリアランスが狭くなるように揺れ動いた場合に、地震の揺れが収まった状態で目地プレートが上方にスライド移動して両端部が左右の建物の床面上に乗り上がった状態を作出したり、また、地震の揺れが収まった状態で目地プレートが一対の凹部内に収まり左右に凹部間隙を形成してしまうので、目地プレートの両側が形成する段差や、回動した目地用の保護体が夫々突起物となってしまい歩行者や車の通行にとっては障害となるばかりでなく、大変に危険である。
【0035】
また、エキスパンションジョイント床を設置した建物は、大地震の直後でも左右の建物に損傷を与えることなく経済活動を営んでいる確率が高いとおもわれるが、当該建物へ重要なアプローチとなるエキスパンションジョイント床部分がデコボコでは大変危険であるばかりでなく、大地震直後の数か月は繰り返し震度3〜4程度の余震が続くことを想定すれば、余震が発生した場合に避難者にとってエキスパンションジョイント部分は、目地プレートが上方にスライド移動して両端部が左右の建物の床面上に乗り上がった状態で揺れ動いたり、目地プレートが一対の凹部内に収まり左右に凹部間隙を形成した状態で揺れ動くことになり大変危険な場所となる。
【0036】
尚、先の震災で出願人が調査したエキスパンションジョイント床の損壊事例では、約8割が目地プレートの上方にスライド移動して、両端部が左右の建物の床面上に乗り上がった状態や、片側が建物の床面上に乗り上がった状態で段差やデコボコを創り出していた。
【0037】
斯くして、本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出しない目地装置を提供するものであり、該エキスパンションジョイントの目地装置は地震による揺れが続いている場合においてもエキスパンションジョイント床カバー材と目地構造部材面をフラットに保つことができ、歩行者の安全な避難が確保できる目地装置を提供するものである。
【0038】
また、本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地部弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0039】
更に、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地装置を取り付けることでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地装置を提供するものである。
【0040】
本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には一対の凹部形状面を構成し、該一対の凹部形状面には夫々金属製のベースプレートを敷設し、該金属製のベースプレートはそれぞれ前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺動部を構成し、該一対の凹部形状面上に敷設された金属製ベースプレート上には前記クリアランスを塞ぐためのエキスパンションジョイント床を架設し、該エキスパンションジョイント床の両端部には前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該ネジ用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーできることが好ましい。
【0041】
本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイントにおいて、該建物と建物との躯体間上面には夫々形状の異なる凹部形状面を構成し、該片側の凹部形状面にはL字形金属製ベースプレートを敷設し他方の金属製ベースプレートには前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部とベローズ受け部を設置し、該L字型金属製ベースプレートと立上がり斜部とベローズ受け部を有する金属製ベースプレート間にエキスパンション床を架設し、該架設されたエキスパンションジョイント床の片側はL字形金属製ベースプレート側で複数個ウイング用丁番やウイング用スプリング付きボルトで回動可能に固定されており、また該架設されたエキスパンションジョイント床の他方は立上がり斜部とベローズ受け部を設置されエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレート上に摺動可能に敷置され、該エキスパンションジョイント床の摺動可能側は前記ベローズ受け部に当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズを配置し、該目地用ベローズの突出部はエキスパンション床と前記ベローズ受け部間で伸縮可能に構成して建物と建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番を回動させる摺動子を有しており地震による建物と建物間の変形が大きくエキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地用ベローズが回転動傾斜して該ネジ用ベローズ弾性体がエキスパンション床と床面間の段差を確実にカバーすることが好ましい。
【0042】
また、本発明は、建物と建物との躯体間に設けられたクリアランスを塞ぐための床用エキスパンションジョイント用目地機構として、該立上がり斜部とベローズ受け部を設置したエキスパンション床摺摺動部を有する金属製ベースプレートと、該エキスパンションジョイント床の端部に取付可能なベローズ固着用枠、並びに該エキスパンションジョイント床の端部に設けられるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在で、且つ丁番で回動可能にエキスパンション床端部に設置可能な目地用ベローズを部品構成のセットにして床用エキスパンション補修用目地部材とすることが好ましい。
【0043】
そして、前記エキスパンションジョイント床の両端部、または片側に使用される目地用ベローズはゴム系及び樹脂系素材からなる収縮自在のベローズは、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、塩化ビニールなどの素材を押出し成形して製造するものであり、該目地用ベローズの突出部は伸縮を可能にする長手方向に穿たれた一個又は複数個の収縮孔を有しており、該目地用ベローズはエキスパンションジョイント床面の表面にノンスリップ形状溝を設け、また目地用ベローズはエキスパンション床の端部に取付けるために形成したベローズ取付部を設けることにより本発明を実施可能にしている。
【0044】
従って、本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出しない目地装置を提供可能とした。
【0045】
また、本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地部弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0046】
また、本発明は、エキスパンションジョイントの目地装置は地震による揺れが続いている場合においてもエキスパンションジョイント床カバー材と目地構造部材面をフラットに保つことができ、歩行者の安全な避難が確保できる目地装置を提供可能とした。
【0047】
そして、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地装置を取り付け交換することでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地装置を提供することが可能である。
【実施例1】
【0048】
図1乃至図4は、実施例1を説明するものであり、図1は平面図、図2(A)は図1のa−a断面図、図2(B)、(C)は動作説明図、図3は図2の最大可動動作を説明する断面図、図4はベローズ型目地部の動作説明図である。
【0049】
図1乃至図4において、エキスパンションジョイント1は、クリアランス2を介して建てられた左右の建物3a、3b間の床面4a、4bに、該クリアランス2を開口するように形成された一対の凹部形状面5a、5bを設け、この一対の凹部形状面5a、5b間にそれぞれ金属製のベースプレート6a、6bを敷設固定している。
【0050】
そして、この一対の金属製のベースプレート6a、6bはそれぞれ前記凹部形状面5a、5bの立ち上がり部分において、立上がり斜部7a、7bとベローズ受け部8a、8bを設置したエキスパンション床摺動部9a、9bを有し、該一対の凹部形状面5a、5b上に敷設された金属製ベースプレート6a、6b上には前記クリアランス2を塞ぐためのエキスパンションジョイント床10を架設し、該エキスパンションジョイント床10の両端部には前記ベローズ受け部8a、8bに当設されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズ11a、11bを丁番12(図1では12a、12b、12c・・・で示す)を介してそれぞれ回動可能に設けている。
【0051】
尚、13a、13b、13c・・・(図1に示す)は、エキスパンションジョイント床10の中央位置維持機構で、該中央位置維持機構13a、13b、13c・・・は例えば従来からよく使用されているパンタグラフ形式のものが採用されている。
【0052】
斯くして、実施例1においては、通常時に図2(A)に示すようにエキスパンションジョイント床10、及び目地用ベローズ11a、11bによってエキスパンションジョイント1の上部を覆い、該エキスパンションジョイント1のエキスパンションジョイント床10上面が左右の床面4a、4bの上面とほぼ同一面となるように設置されている。
【0053】
そして、地震により左右の建物3a、3bが異なる方向に揺れ動き、図2(B)に示すように目地2の寸法が狭くなった場合、目地用ベローズ11a、11bが前記ベローズ受け部8a、8bに当接して収縮するので、エキスパンションジョイント床10は、前記床面4a、4b上面に乗り上げて突出されることなく一対の凹部形状面5a、5b上に保持されるので、床面4a、4b、目地用ベローズ11a、11b、そして、エキスパンションジョイント床10は平面状、即ち、フラット形状に維持される。
【0054】
また、左右の建物3a、3bが図2(C)に示すようにエキスパンション1の寸法が広くなった場合、エキスパンションジョイント床10は複数個の中央位置維持機構12a、12b、12c・・・(図1に示す)によってクリアランス2中央部に位置した状態で両端部の目地用ベローズ11a、11bをスライド移動させ、ベローズ受け部8a、8bと目地用ベローズ11a、11b間に夫々隙間を形成するが、該隙間は夫々立上り斜部7a、7bを経て底部14a、14bと嵩上げされており、大きな段差とはなりえない。
【0055】
次に、図3は図2の最大可動動作を説明する断面図であり、万が一地震による建物3aと建物3b間の変形が大きく、エキスパンションジョイント床10が床面4a、4b上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンションジョイント床10と床面4a、4b間の段差部分を目地用ベローズ11a、11bの弾性体が図3の如く確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できるもので、前記目地用ベローズ11a、11bの回動は目地用ベローズ11a、11bを支持している丁番12、12と、目地用ベローズ11a、11bの下方に設けられた摺動子15がそれぞれ立上がり斜部7a、7b、ベローズ受け部8a、8bを摺動することにより動作される。
【0056】
図4(A)は、図2(A)の通常時の目地用ベローズ11aの形状を拡大したものであり、また、図4(B)は、図2(B)の収縮された目地用ベローズ11aを拡大したものであり、図4(A)(B)において、4aは床面、6aは金属製ベースプレート、7aは立上がり斜部、8aはベローズ受け部、14aは底部、16aは金属製ベースプレートの端部枠であり、該端部枠16aは前記床面4aと同一面上にある。
【0057】
また、目地用ベローズ11aは、上部表面にノンスリップ形状溝19を設けており、該目地用ベローズ11aはエキスパンション床10の端部に丁番12a、12b、12c・・・を介して着脱自在に取付られている。そして、目地用ベローズ11aには押出成形時に各10mm幅の圧縮孔18を例えば五個穿つと、該目地用ベローズ11aは、図4(B)の如く伸縮可能で、片側で25mm、目地用ベローズ11a、11b両側では、50mmの可動を許容できる。
【0058】
また、図4(C)は建物3aと建物3cとの可変量が大きく動いてエキスパンション床10が床面4aに乗り上げてしまった場合を示すもので、この場合には、目地用ベローズ11aが回動してエキスパンションジョイント床10と床面4a間の段差をカバーできる。
【0059】
斯くして、実施例1は、建物3と建物3bとの躯体間に設けられたクリアランス2を塞ぐための床用エキスパンションジョイント1において、該建物3aと建物3bとの躯体間上面には一対の凹部形状面5a、5bを構成し、該一対の凹部形状面5a、5bには夫々金属製のベースプレート6a、6bを敷設し、該金属製のベースプレート6a、6bはそれぞれ前記凹部形状面5a、5bの立ち上がり部分において立上がり斜部7a、7bとベローズ受け部8a、8bを設置したエキスパンション床10の摺動部9a、9bを構成し、該一対の凹部形状面5a、5b上に敷設された金属製ベースプレート6a、6b上には前記クリアランス2を塞ぐためのエキスパンションジョイント床10を架設し、該エキスパンションジョイント床10の両端部には前記ベローズ受け部8a、8bに当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズ11a、11bを配置し、該目地用ベローズ11a、11bの突出部はエキスパンション床10と前記ベローズ受け部8a、8b間で伸縮可能に構成して建物3a、3bと建物間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズ11a、11bは他端で丁番12a、12b、12c・・・を介してエキスパンションジョイント床10の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズ11a11bの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり斜部7a7bに沿って摺動し前記丁番12a、12b、12c・・・を回動させる摺動子15を有しており地震による建物3aと建物3b間の変形が大きくエキスパンション床10が床面4a、4b上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面4a上に突出した場合にあっても、エキスパンション床10と床面4a間の段差部分を目地用ベローズ11aが回動傾斜して、該目地用ベローズ11a、11bの弾性体がエキスパンション床10と床面4a、4b間の段差を確実にカバーすることが可能なエキスパンションジョイント床の目地部安全装置を提供するものである。
【実施例2】
【0060】
図5乃至図7は実施例2を説明するものであり、図5は、実施例2を説明する実施形態図、図6(A)は図5のb−b断面図、図6(B)、(C)は夫々動作を説明する断面図である。図5乃至図7において、エキスパンションジョイント1は、クリアランス2を介して建てられた左右の建物3a、3b間の床面4a、4bに、該クリアランス2を開口するように形成された凹部形状面5a、5bを設け、この凹部形状面5a、5b間にそれぞれ金属製のベースプレート20とL字形ベースプレート21を敷設固定している。
【0061】
そして、前記建物3aと建物3bとの躯体間に設けられたクリアランス2を塞ぐための床用エキスパンションジョイント1において、該建物3aと建物3bとの躯体間上面には夫々形状の異なる凹部形状面5a、5bを構成し、該片側の凹部形状面5bにはL字形ベースプレート21を敷設し他方の金属製ベースプレート20には前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを設置し、該L字ベースプレート21と立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを有する凹部形状面5a、5b間にエキスパンション床10を架設し、該架設されたエキスパンションジョイント床10の片側はL字形ベースプレート21側で複数個ウイング用丁番22(図5、図6の記載例は丁番)やウイング用スプリング付きボルトで回動可能に固定されており、また該架設されたエキスパンションジョイント床の他方は立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを設置されエキスパンション床摺摺動部9aを有する金属製ベースプレート20上に摺動可能に敷置され、該エキスパンションジョイント床10の摺動可能側は前記ベローズ受け部8aに当設されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズ11aを設けている。
【0062】
従って、地震により左右の建物3a、3bが異なる方向に揺れ動き、図6(B)に示すように目地2の寸法が狭くなった場合、目地用ベローズ11aが前記ベローズ受け部8aに当接して収縮するので、エキスパンションジョイント床10は、前記床面4a上面に乗り上げて突出されることなく凹部形状面5a、5b上に保持されるので、床面4a、4b、目地用ベローズ11a、そして、エキスパンションジョイント床10は平面状、即ち、フラット形状に維持される。
【0063】
また、左右の建物3a、3bが図6(C)に示すようにエキスパンション1の寸法が広くなった場合、エキスパンションジョイント床10は片側が固定されているのでクリアランス2中央部に位置した状態で片側の目地用ベローズ11aをスライド移動させ、ベローズ受け部8aと目地用ベローズ11a間に夫々隙間を形成するが、該隙間は夫々立上り斜部7aを経て底部13aと嵩上げされており、大きな段差とはなりえない。
【0064】
また、図7は建物3aと建物3cとの可変量が大きく動いてエキスパンション床10が床面4aに乗り上げてしまった場合を示すもので、この場合には、目地用ベローズ11aが回動してエキスパンションジョイント床10と床面4a間の段差をカバーできる。
【0065】
斯くして、実施例2は、建物3aと建物3bとの躯体間に設けられたクリアランス2を塞ぐための床用エキスパンションジョイント1において、該建物3aと建物3bとの躯体間上面には夫々形状の異なる凹部形状面5a、5bを構成し、該片側の凹部形状面5bにはL字形金属製ベースプレート21を敷設し他方の金属製ベースプレート6aには前記凹部形状面の立ち上がり部分において立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを設置し、該L字型金属製ベースプレート21と立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを有する金属製ベースプレート6a間にエキスパンション床10を架設し、該架設されたエキスパンションジョイント床10の片側はL字形金属製ベースプレート21側で複数個ウイング用丁番22やウイング用スプリング付きボルトで回動可能に固定されており、また該架設されたエキスパンションジョイント床10の他方は立上がり斜部7aとベローズ受け部8aを設置されエキスパンション床摺摺動部9aを有する金属製ベースプレート6a上に摺動可能に敷置され、該エキスパンションジョイント床10の摺動可能側は前記ベローズ受け部8aに当接されるゴム系及び樹脂系素材からなる伸縮自在の目地用ベローズ11aを配置し、該目地用ベローズ11aの突出部19aはエキスパンション床10と前記ベローズ受け部11a間で伸縮可能に構成して建物3aと建物3b間の揺れを吸収可能であり、また前記目地用ベローズ11aは他端で丁番を介してエキスパンションジョイント床の両端部に対して回動可能に夫々設置されており、該目地用ベローズの下部には前記金属製ベースプレートの立上がり部に沿って摺動し前記丁番12を回動させる摺動子15を有しており地震による建物3aと建物3b間の変形が大きくエキスパンション床10が床面4a、4b上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床10と床面4a、4b間の段差部分を目地用ベローズ11aが回転動傾斜して該目地用ベローズ11aの弾性体がエキスパンション床10と床面4a、4b間の段差を確実にカバーすることが可能である。
【0066】
従って、本発明は、免震エキスパンションジョイント床の目地装置において、地震時における建物と建物間に生じる変形をエキスパンションジョイントの床目地部にて吸収してエキスパンション床カバー材が、地震による建物と建物間の変形によりの床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出しない目地装置を提供可能とした。
【0067】
また、本発明は、万が一地震による建物と建物間の変形が大きく、エキスパンション床カバーが床面上に水平に乗上げたり、片側先端部が床面上に突出した場合にあっても、エキスパンション床カバーと床面間の段差部分を目地部弾性体が確実にカバーして歩行者や車の安全な通行が確保できる目地部の安全装置を提供するものである。
【0068】
また、本発明は、エキスパンションジョイントの目地装置は地震による揺れが続いている場合においてもエキスパンションジョイント床カバー材と目地構造部材面をフラットに保つことができ、歩行者の安全な避難が確保できる目地装置を提供可能とした。
【0069】
そして、本発明は、地震による建物間の変形によりエキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端が建物と建物間の床面上に乗り上げて大きな段差を作ってしまつた場合に、該エキスパンションジョイント床カバー材の片側や両端部に本発明の床目地装置を取り付け交換することでエキスパンションジョイント床カバー材を含めたエキスパンションジョイント部分をフラット形状に修復修理することが容易に行える免震エキスパンションジョイント床の目地装置を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 エキスパンションジョイント
2 クリアランス
3a、3b 建物
4a、4b 床面
5a、5b 凹部形状面
6a、6b 金属製のベースプレート
7a、7b 立上がり斜部
8a、8b ベローズ受け部
9a、9b エキスパンション床摺動部
10 エキスパンションジョイント床
11a、11b 目地用ベローズ
12、12a、12b、12c・・・ 丁番
13a、13b、13c・・・ 中央位置維持機構
14a、14b 底部
15 摺動子
16a、16b 金属製ベースプレートの端部枠
17 ベローズ固着枠
18 圧縮孔
19 ノンスリップ形状溝
19 L字形金属製ベースプレート
20 ベースプレート
21 L字型ベースプレート
22 ウイング用丁番
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−40440(P2013−40440A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175838(P2011−175838)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(390001317)
【Fターム(参考)】