説明

エゼクタ装置

【課題】 蒸気エゼクタに空気が吸引されることがなく、伝熱不良を発生することのないエゼクタ装置を提供する。
【解決手段】 蒸気供給管8を蒸気エゼクタ1の吸込室2と接続する。蒸気エゼクタ1の吸込室2は再蒸発タンク13と接続する。再蒸発タンク13の上部に空気溜部7を形成して、水エゼクタ3の吸込室16と接続する。水エゼクタ3と再蒸発タンク13の間には、気体排出手段10を介在する。
再蒸発タンク13の底部に溜まった復水が、液体圧送部材17によって水エゼクタ3へ供給され、水エゼクタ3の吸込室16に吸引力を発生して、再蒸発タンク13の空気溜部7に溜まっていた空気を、気体排出手段10を介して吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動蒸気をノズルから高速で噴出させて、その流体の速度エネルギにより吸込室に吸引力を発生する蒸気エゼクタを組み合わせたエゼクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エゼクタ装置は、ノズルを内蔵した吸込室の入口側に蒸気管を接続し、ディフューザの出口側に出口管を接続するとともに、蒸気エゼクタの吸込室を再蒸発タンクの上部と接続することによって、再蒸発タンクで再蒸発した蒸気を有効に活用することができるものである。
【0003】
このエゼクタ装置においては、再蒸発タンクに混入した空気が、蒸気エゼクタに再蒸発蒸気とともに吸引されて、出口管から別途の蒸気使用箇所へ供給されてしまい、この別途の蒸気使用箇所で伝熱不良を起こす問題があった。空気が蒸気の伝熱を阻害してしまうためである。
【特許文献1】特開2007−332859
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、蒸気エゼクタに空気が吸引されることがなく、伝熱不良を発生することのないエゼクタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体を絞る細孔からなるノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及び上記ノズル部と連通したディフューザとからなる蒸気エゼクタと、当該蒸気エゼクタの吸込室を再蒸発タンクと接続したものにおいて、再蒸発タンクの上部を水エゼクタの吸込室と接続したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエゼクタ装置は、再蒸発タンクの上部を水エゼクタの吸込室と接続したことにより、再蒸発タンク内へ混入した空気は、この水エゼクタに吸引されるために、蒸気エゼクタに吸引されることがなく、したがって、蒸気使用箇所で伝熱不良を発生することのないエゼクタ装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のエゼクタとしては従来から使用されているものを用いることができ、ノズルと、吸込口を設けた吸込室、及び、ディフューザ部とで構成されるエゼクタを用いることができ、駆動流体に蒸気を用いる蒸気エゼクタと、駆動流体に水を用いる水エゼクタを用いる。
【実施例1】
【0008】
図1において、蒸気エゼクタ1と、ノズル部を内蔵した吸込室2と、ディフューザ4と、ディフューザ4の出口側部に接続した出口管5と、再蒸発タンク13、及び、水エゼクタ3とでエゼクタ装置を構成する。
【0009】
蒸気エゼクタ1の吸込室2の入口側に駆動用の蒸気供給管8を接続する。蒸気供給管8には、供給する蒸気圧力を制御するための圧力制御弁6を介在する。蒸気エゼクタ1は、ノズル部を内蔵した吸込室2とディフューザ4とで構成する。吸込室2の下端には、吸込室2で吸引する再蒸発蒸気の流入する吸込通路12を設けて、再蒸発タンク13の上部と接続する。
【0010】
再蒸発タンク13は横長円筒状で、左側上部に高温復水流入管14を接続する。再蒸発タンク13の右側上部に空気溜部7を形成して、その空気溜部7の上端に空気吸込通路9の一端を接続する。空気吸込通路9の途中に、気体排出手段10を取り付ける。気体排出手段10は、従来より用いられている自動空気抜弁、あるいは、手動で開閉弁することによって気体を排除することのできる手動弁を取り付けることができる。この気体排出手段10は、通路9内を流下してきた流体中に混入している空気を、系外へ排出することができるものである。
【0011】
気体排出手段10の出口側を、水エゼクタ3の吸込室16と接続する。水エゼクタ3の吸込室16の入口側を、後述する液体圧送部材17の液体圧送管路18と接続する。また、再蒸発タンク13の下端中央部に復水排出管15を接続する。
【0012】
液体圧送部材17は、復水流入口19と復水流出口20、及び、高圧操作用蒸気導入口21と蒸気排出口22を有し、復水流入口19に逆止弁23を介して復水排出管15を接続する。逆止弁23は、復水排出管15から液体圧送部材17内への復水の流下を許容し、反対方向の流れは阻止するものである。
【0013】
同様に、復水流出口20に逆止弁24を介して液体圧送管路18を接続する。この逆止弁24は、液体圧送部材17内から液体圧送管路18への復水の流下を許容し、反対方向の流れは阻止する機能を有する。高圧操作用蒸気導入口21に蒸気供給管8を分岐した高圧蒸気管25を接続する。蒸気排出口22を再蒸発タンク13の左側面上部と連通する。
【0014】
液体圧送部材17は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧操作用蒸気導入口21を閉口し、一方、蒸気排出口22を開口して、再蒸発タンク13から復水を、復水排出管15と逆止弁23と復水流入口19を通して液体圧送部材17内に流下させる。
【0015】
液体圧送部材17内に復水が溜まって図示しないフロートが所定上方部に位置すると、蒸気排出口22を閉口すると共に、高圧操作用蒸気導入口21を開口して、高圧蒸気管25から高圧圧送用蒸気を内部に流入させることにより、内部に溜まった復水を、復水流出口20と逆止弁24と液体圧送管路18を通して、水エゼクタ3へ圧送供給する。
【0016】
復水が圧送されて液体圧送部材17内の液位が低下すると、再度、高圧操作用蒸気導入口21を閉口し、蒸気排出口22を開口することにより、再蒸発タンク13から復水を内部へ流下させる。このような作動サイクルを繰り返すことにより、液体圧送部材17は、再蒸発タンク13の復水を、水エゼクタ3へ断続的に供給することができる。
【0017】
再蒸発タンク13の内部で、高温復水流入管14から流入してきた高温復水が再蒸発して再び蒸気となり、吸込通路12から蒸気エゼクタ1の吸込室2へ吸引される。再蒸発してある程度温度の低下した復水は、再蒸発タンク13の底部に溜まる。
【0018】
再蒸発タンク13の底部に溜まった復水が、液体圧送部材17によって水エゼクタ3へ供給され、水エゼクタ3の吸込室16に吸引力を発生して、再蒸発タンク13の空気溜部7に溜まっていた空気を、気体排出手段10を介して吸引することにより、再蒸発タンク13内の空気が、蒸気エゼクタ1に吸引されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のエゼクタ装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0020】
1 蒸気エゼクタ
2 吸込室
3 水エゼクタ
4 ディフューザ
5 出口管
7 空気溜部
8 蒸気供給管
10 気体排出手段
12 吸込通路
13 再蒸発タンク
14 高温復水流入管
15 復水排出管
17 液体圧送部材
18 液体圧送管路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を絞る細孔からなるノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及び上記ノズル部と連通したディフューザとからなる蒸気エゼクタと、当該蒸気エゼクタの吸込室を再蒸発タンクと接続したものにおいて、再蒸発タンクの上部を水エゼクタの吸込室と接続したことを特徴とするエゼクタ装置。


【図1】
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【公開番号】特開2010−116898(P2010−116898A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292228(P2008−292228)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】