説明

エゼクタ

【課題】 駆動流体の乱れを少なくして、吸引能力のバラツキを防止することのできるエゼクタを提供する。
【解決手段】 ノズル部1と吸込室2と直管部3及びディフューザ4を直線上に配置する。吸込室2の上部に吸込通路6を設ける。吸込室2内で、ノズル部1の外周側に、吸込通路6及び吸込室2からノズル部1への流れを、ノズル部1の駆動流体を中心とした旋回流にして、ノズル部1を流下する駆動流体の乱れを防止することができる平板状の流れ制御部材5を取り付ける。
吸込通路6から吸引される流体は、流れ制御部材5によって駆動流体の乱れを防止することができ、エゼクタとしての吸引能力のバラツキを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の駆動流体をノズルから高速で噴出させて、その流体の速度エネルギにより吸込室に吸引力を発生するエゼクタに関する。
【背景技術】
【0002】
エゼクタは、複数の細孔の一端側に細孔径より大きな幅を有した回転操作可能な板状部材を配置して、この板状部材を回転操作して細孔を開閉することによって、通過流体量を調節して、エゼクタとしての吸引能力を制御することができるものである。
【0003】
このエゼクタにおいては、吸引能力が安定せずにバラツク問題があった。特に、真空度が比較的低く、大気圧に近い真空度の場合に吸引能力が大きくバラツク問題があった。これは、真空度が低い場合に、ノズルから噴出される駆動流体の速度が十分ではなく、吸込室から例えば大気を吸引すると、その吸引大気によって駆動流体の流れが乱され、この乱れによって吸引能力が大きくバラツクものと考えられる。
【特許文献1】特開平5−223100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、真空度が低い場合であっても、駆動流体の乱れを少なくして、吸引能力のバラツキを防止することのできるエゼクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、流体を絞る細孔からなるノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及び上記ノズル部と直管部を介して連通したディフューザとからなるものにおいて、吸込室とノズル部の間に、吸込室からノズル部への流れを制御してノズル部を流下する駆動流体の乱れを防止することのできる流れ制御部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエゼクタは、吸込室とノズル部の間に、吸込室からノズル部への流れを制御してノズル部を流下する駆動流体の乱れを防止することのできる流れ制御部材を配置したことにより、真空度が低い場合であっても流れ制御部材で駆動流体の乱れを少なくして、吸引能力のバラツキを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、吸込室とノズル部の間に、流れ制御部材を配置するものであり、この流れ制御部材としては、吸込室からノズル部への流れを、ノズル部の駆動流体を中心とした旋回流とするものや、あるいは、ノズル部の駆動流体の全周にほぼ均等に流入する分散流とすることができる。
【実施例1】
【0008】
図1において、ノズル部1と吸込室2と直管部3とディフューザ4、及び、流れ制御部材5とでエゼクタを構成する。
【0009】
ノズル部1は、図示しない駆動流体としての水等の液体源と接続して、左端部の細孔から駆動流体を絞って噴出することができるものである。ノズル部1の周囲に吸込室2を形成して、吸込室2の上端に吸引する流体の流入する吸込通路6を設ける。
【0010】
吸込通路6とノズル部1の間、すなわち、吸込室2とノズル部1の間に、吸込通路6からノズル部1への流れを制御してノズル部1を流下する駆動流体の乱れを防止することのできる流れ制御部材5を配置する。
【0011】
流れ制御部材5は、図2に図1のA−A線断面図を示すように、吸込通路6からノズル部1の外周へ向けてほぼ連続的な曲率半径を有する断面略し字状の平板で、吸込通路6及び吸込室2からノズル部1への流れを、ノズル部1の駆動流体を中心とした旋回流にして、ノズル部1を流下する駆動流体の乱れを防止することができるものである。
【0012】
また、流れ制御部材5は、図2のものに替えて図3に示すものも用いることができる。図3において、ノズル部1と同心円上に円筒状の流れ制御部材7を配置して、円筒状流れ制御部材7の吸込通路6に近い上方箇所に小径孔8を、中央付近に中径孔9を、さらに、円筒状流れ制御部材7の下方箇所に大径孔10をそれぞれ貫通して配置することによって、吸込通路6及び吸込室2からノズル部1への流れを、ノズル部1の駆動流体の全周にほぼ均等に流入する分散流とすることができるものである。
【0013】
吸込室2の左方には、直管部3を介してディフューザ4を連通する。ノズル部1と吸込室2と直管部3及びディフューザ4の中心軸を合わせて配置する。また、ディフューザ4の出口側は、図示しない流体使用箇所あるいは流体回収箇所と接続する。
【0014】
ノズル部1へ供給された駆動流体は絞られて高速流となることによって、吸引力を発生して吸込通路6から流体を吸引する。この場合、吸込通路6から吸引された流体は、流れ制御部材5,7によって、吸込室2からノズル部1への流れが制御され、ノズル部1を流下する駆動流体に乱れを生じさせることが無く、従って、エゼクタとしての吸引能力にバラツキを生じることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のエゼクタの実施例を示す断面図。
【図2】図1におけるA−A線断面拡大図。
【図3】図2に替わる流れ制御部材7の断面拡大図。
【符号の説明】
【0016】
1 ノズル部
2 吸込室
3 直管部
4 ディフューザ
5 流れ制御部材
6 吸込通路
7 流れ制御部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を絞る細孔からなるノズル部と、当該ノズル部の周囲に形成した吸込室と、当該吸込室及び上記ノズル部と直管部を介して連通したディフューザとからなるものにおいて、吸込室とノズル部の間に、吸込室からノズル部への流れを制御してノズル部を流下する駆動流体の乱れを防止することのできる流れ制御部材を配置したことを特徴とするエゼクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−170051(P2006−170051A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362937(P2004−362937)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】