説明

エタノール生産用好熱性微生物

野生型と比較してアミラーゼ発現及びデンプン加水分解を増大させる改変を含む、好熱性微生物であって、前記改変が異種アミラーゼ遺伝子の挿入である、好熱性微生物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールの生産に好適な微生物の生産に関する。特に、本発明は、発酵基質としてデンプンを利用することを可能にする微生物の改変に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌の代謝は、細菌の種及び環境条件に応じて様々な異なるメカニズムを通じて起こり得る。すべての病原菌を含む従属栄養細菌は、有機化合物の酸化からエネルギーを得るが、糖質(特にグルコース)、脂質及びタンパク質が最も一般的に酸化される化合物である。細菌によるこれらの有機化合物の生物学的酸化の結果、化学エネルギー源であるATPが合成される。この過程により、細菌細胞の生合成反応に必要なより単純な有機化合物(前駆体分子)の生成も可能となる。
【0003】
デンプンは天然に豊富に存在する糖質であり、植物における主要なグルコース貯蔵複合体である。デンプン分子は、アミロース及びアミロペクチンと呼ばれる2つの多糖から構成される。アミロースは、互いにα−1,4グルコシド結合で結合してヘリックス構造を形成した500個〜20000個のD−グルコースサブユニットの直鎖ポリマーである。さらにα−1,6グルコシド結合が存在すると、分枝構造を有するアミロペクチンとなる。デンプンは、通常、20%〜30%のアミロースと70%〜80%のアミロペクチンとを含む。植物細胞において、不溶性デンプンは固体顆粒中に充填され、ここでは、アミロペクチンが結晶性領域でクラスター構造を形成し、アミロースが全体的に分布する。デンプンの溶解度は温度と共に増大し、アミロペクチン結晶はゼラチン状になり、顆粒は最終的に溶解する。
【0004】
アミラーゼは、カルシウム依存性のグリコシドヒドロラーゼ金属酵素である。加水分解する特異的結合によって異なる3つの形態のアミラーゼ(α、β及びγ)が存在する。α−アミラーゼは、内部のα−D−1,4グルコシド結合のランダムな加水分解を触媒して、単純な発酵糖、例えば、グルコース、マルトース(2つのグルコースユニットによって形成される二糖)を遊離する。アミロペクチンの加水分解によって、デキストリン(短く、低分子量のα−1,4−結合D−グルコースポリマー)が遊離し、アミラーゼの加水分解によって、マルトトリオース及びマルトースが遊離する。β−アミラーゼは、デンプン鎖の非還元末端から作用して、2番目のα−1,4グルコシド結合の加水分解を触媒して2つのグルコースユニット(マルトース)を切断する。γ−アミラーゼには、アミロペクチンにおけるα−1,6結合を切断する性能がある。α−アミラーゼは、多くの生物がデンプンを消化することができるため、自然界で広く合成されている。ヒトの生理では、α−アミラーゼは、唾液分泌物及び膵分泌物中に最も顕著に存在する。微生物のα−アミラーゼは、グルコースポリマー鎖の加水分解のポイントに応じて、液化するもの(多糖をランダムに切断してより短い鎖を形成する)又は糖化するもの(単糖ユニット、二糖ユニット又は三糖ユニットを生産する)に分類される。
【0005】
細菌が好適な基質を代謝する一般的な工程は、ATPの生成と共に、グルコースをピルビン酸に変換する一連の反応である解糖である。代謝エネルギーの生成におけるピルビン酸の運命は、微生物及び環境条件によって異なる。ピルビン酸の4つの主要反応を図1に示す。
【0006】
第1に、好気性条件下で、多くの微生物は、クエン酸サイクル、及びピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)によって触媒される、ピルビン酸からアセチル補酵素Aへの変換を用いてエネルギーを生成する。
【0007】
第2に、嫌気性条件下で、或る特定のエタノール生産生物は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)によって触媒される、ピルビン酸からアセトアルデヒドへの脱炭酸、及び引き続く、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)によって触媒される、NADHによるアセトアルデヒドからエタノールへの還元によってアルコール発酵を実行することができる。
【0008】
第3の反応は、これも嫌気性条件で起こり、ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)によって触媒される、ピルビン酸からアセチルCoAへの変換である。アセチルCoAは、引き続いて酵素であるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AcDH)によってアセトアルデヒドに変換され、ADHによって触媒されるアセトアルデヒドの還元によってエタノールが生産される。
【0009】
第4のプロセスは、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)による触媒を通じて起こる、ピルビン酸から乳酸への変換である。
【0010】
天然に嫌気性発酵する微生物を用いるか、又はピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を組み入れる組換え微生物の使用を通じてエタノールを生産する微生物の使用に多くの関心が向けられてきた。改変されて代謝基質としてのデンプンの利用が増強した、かかる微生物を用いることにより、安価で、豊富に存在し、未精製である植物材料からエタノールを効率的に生産することができる。
【0011】
好熱性細菌のエタノール生産に関する提案が為されており、好熱性細菌の使用には、高温で発酵を実行することができるため、生産されたエタノールを、50℃を上回る温度で蒸気として除去することができる可能性があり;これにより、高い基質濃度を用いて発酵を実行することも可能であるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、デンプン系の培養培地からエタノールを生産する微生物には改善の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面によれば、好熱性微生物を改変して、野生型と比較してアミラーゼ遺伝子発現を増大させるが、ここで、第1の改変は、好適なプロモータ又は一連の異なるプロモータの制御下での異種アミラーゼ遺伝子の挿入である。
【0014】
前記微生物は、天然ピルビン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の上方制御並びに天然ピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子及び天然乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の不活化によって、エタノール生産を増大させるよう、さらに改変されてもよい。
【0015】
本発明の微生物は、野生型と比較して、増大されたデンプン加水分解及び増大されたエタノール生産を示す。
【0016】
本発明の第2の側面によれば、エタノールを生産する方法は、デンプンが存在する好適な条件下で、上記で示した定義による微生物を培養することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】解糖の代謝経路を模式的に示す図である。
【図2】pGEM−T Easy(登録商標)ベクターを示す図である。
【図3】PDH複合体の仮想プロモータ領域及び遺伝子を示す図である。
【図4】アミラーゼ遺伝子であるamySの組込み用のpTMO111の使用を示す図である。
【図5】amySの核酸コード配列を示す図である。
【図6】5%(w/v)の可溶性デンプン培養中でのTM304株の回分発酵の結果を示すグラフである。
【図7】5%(w/v)の可溶性デンプン培養中でのTM333株の回分発酵の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を添付の図面を参照して説明する。本発明は、増強したアミラーゼ遺伝子発現を可能にする好熱性微生物の改変に基づく。
【0019】
アミラーゼ遺伝子の発現が増大すると、微生物は、デンプンをグルコースモノマーユニットに加水分解することが可能となり、これを次いで、ピルビン酸及び引き続いてエタノールを形成するための解糖基質として利用することができる。アミラーゼ発現及び酵素活性を増大させる方法は、好ましくは、強力な上流プロモータを用いて、遺伝子の転写、及び天然アミラーゼ遺伝子よりも高頻度で発現するさらなるアミラーゼ遺伝子の組入れを調節することを含む。
【0020】
本発明の好熱性微生物は、天然乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現を破壊し、PDH遺伝子を上方制御するよう、さらに改変してもよい。
【0021】
乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の不活化は、ピルビン酸の乳酸への分解の防止に役立つため、ピルビン酸デカルボキシラーゼ及びアルコールデヒドロゲナーゼを用いたピルビン酸のエタノールへの分解を(適切な条件下で)促進する。遺伝子内部の欠失又は遺伝子の欠失によって乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が破壊されるならば好ましい。
【0022】
PDH遺伝子の上方制御は、ピルビン酸のアセチルCoAへの変換を促進し、これは次いで、適切な条件下で、アセトアルデヒド及び最終的にアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いたエタノールの生産に用いることができる。PDHの上方制御のさらなる利点は、グルコース取込み及び解糖に対する阻害効果を有するピルビン酸レベルが低減されることである。これはさらにエタノール生産を促進する。
【0023】
「強力なプロモータ」という用語は、本明細書において、細胞中の可溶性タンパク質の0.5%を上回るレベルまで、対応するタンパク質を発現するプロモータと定義する。
【0024】
微生物は任意の好熱性微生物であり得るが、微生物がバチルス種であれば好ましい。特に、微生物がゲオバチルス種の野生型微生物、特に、ゲオバチルス・サーモグルコシダシウス(Geobacillus thermoglucosidasius)であれば好ましい。
【0025】
好ましい実施形態において、改変のために選択される微生物は「野生型」と言われ、すなわち、実験室で生産される変異体ではない。微生物は、好熱菌を含有することが予想される環境試料から単離してもよい。単離された野生型微生物は、制限されたアミラーゼ活性を有するかもしれないが、主な炭素源としてデンプンを含む培地中で培養された場合にエタノール生産を可能にするには不十分である。単離された野生型微生物は、ピルビン酸からエタノールを生産する能力を有するが、未改変では、乳酸が主要な発酵産物となる可能性が高い。
【0026】
本発明の微生物は、当該微生物を発酵プロセスで用いることを可能にする或る特定の望ましい特性を有することが好ましい。微生物は、好ましくは制限系を有さず、それにより、in vivoでのメチル化の必要性を回避する。微生物が高頻度で形質転換可能であれば好ましい。さらに、微生物は、少なくとも3%(w/v)のエタノール、好ましくは少なくとも5%(w/v)〜10%(w/v)のエタノールに対して安定であるべきである。微生物は、0.3h−1以上の希釈率を支持する連続培養における増殖速度を有するべきである。
【0027】
微生物は好熱菌であり、40℃〜85℃の温度範囲で増殖する。好ましくは、微生物は50℃〜70℃の温度範囲内で増殖する。さらに、微生物はpH7.2以下、特にpH4.5〜pH6.9の条件で増殖することが望ましい。
【0028】
培養培地は、好ましくは、少なくとも1%(w/v)のデンプン、好ましくは少なくとも10%(w/v)のデンプン、最も好ましくは少なくとも20%(w/v)のデンプンを含み得る。デンプンは、可溶性又は不溶性(例えば、粒状デンプン)であり得る。培養培地の他の好ましい構成成分としては、限定するものではないが、表1に列記するものを挙げることができる。
【0029】
【表1】

【0030】
硫酸微量元素原液の構成成分を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
好ましい実施形態において、異種アミラーゼ遺伝子は、α−アミラーゼ(α−1,4−グルカン−4−グルカノヒドロラーゼ、EC 3.2.1.1)をコードする。アミラーゼ遺伝子は、ゲオバチルス種、特に、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)に由来することが好ましい。
【0033】
α−アミラーゼのコード配列は解明されており、遺伝子の単離及び増幅を可能にする技法は当該技術分野において既知である。本発明の微生物が野生型と比較してアミラーゼ発現の増大を示すことを可能にするためには、アミラーゼ遺伝子を、好熱性微生物によるエタノール生産に好ましい低通気条件又は嫌気性条件で機能する強力なプロモータの制御下に配置することが好ましい。プロモータは好ましくはldhプロモータであり、同種のものであってもよいが、好ましくは異種のものであり、最も好ましくはアミラーゼ遺伝子と同一種に由来する。好適なプロモータの例としては、限定するものではないが、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスNCA1503由来のP_ldh、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスDSM13240由来のP_ferrA及びバチルス・セレウス(B.cereus)ATCC14579由来のP_pflが挙げられる。
【0034】
本発明の別の実施形態において、発現をさらに増強するために、一連の異なる強力なプロモータをアミラーゼ遺伝子の上流に配置する。好適な強力なプロモータの例としては、限定するものではないが、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスNCA1503由来のグリセルアルデヒド−3−リン酸プロモータ(P_GAPDH)及びアミラーゼプロモータが挙げられる。
【0035】
P_ldhの核酸配列もまた既知であり、アミラーゼ遺伝子の上流のプロモータ配列をクローニング及びアセンブリングする技法は当業者に既知である。
【0036】
プロモータ/アミラーゼ配列は、複数の制限部位を含有する好適なプラスミド又は発現ベクターにクローニングすることができる。pGEM(登録商標)−T Easyベクター(図2)等、市販されている数多くの好適な発現ベクターが存在する。pUC19(New England Biolabs)等の温度感受性プラスミド中の対応する制限部位にライゲーションすることができる特異的フラグメントとしてP_ldh/アミラーゼ構築物を切り出すために制限酵素を使用することができる。ピルビン酸ギ酸リアーゼノックアウトプラスミドを用いることが好ましい。アミラーゼ遺伝子/ldhプロモータを含むプラスミド構築物は次いで、本発明の微生物にエレクトロポレーションすることができ、ゲノムDNAとの相同組換えを達成する。染色体組込み体は、アンピシリン又はカナマイシンといった抗菌剤に対する耐性に基づいて選択することができる。アミラーゼ活性は、例えば、プレートアッセイで、デンプンクリアリングゾーンとして可視化することもできる。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明の微生物は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の不活化によってさらに改変される。乳酸デヒドロゲナーゼに対する核酸配列は現在既知である。当業者は、この配列を用いることによって、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を標的として、異なるメカニズムを通じて遺伝子の不活化を達成することが可能である。トランスポゾンの挿入によって乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活化することが可能である。しかしながら、遺伝子配列又は遺伝子配列の一部を欠失させることによって乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活化することが好ましい。欠失が好ましいのは、これにより、トランスポゾン不活化を用いる場合にしばしば経験される遺伝子配列の再活性化という難題が回避されるためである。好ましい実施形態において、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、温度感受性プラスミド(例えば、国際出願PCT/GB06/01586号で開示されているプラスミドpUB190−ldh)の組込みによって不活化され、これにより、プラスミドと微生物の染色体との間での自然な相同組換え又は組込みが達成される。染色体組込み体は、抗菌剤に対する耐性に基づいて選択することができる。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子への組込みは、一重交叉型の組換え事象又は二重(若しくはそれ以上の)交叉型の組換え事象により起こり得る。
【0038】
さらに好ましい実施形態において、微生物は、PDHを上方制御するようにさらに改変される。PDHは、3つのユニット−E1:ピルビン酸デカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.1ではなく、EC 1.2.4.1)、E2:ジヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ及びE3:ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼを含む大型の酵素複合体である。この複合体は、NAD、FAD、補酵素A、リポ酸及びチアミンピロリン酸(TPP)を含む幾つかの補助因子を必要とする。E1ユニットがαサブユニット及びβサブユニットのヘテロ二量体であるため、4つの遺伝子が複合体をコードしており、これらの遺伝子はpdhA、pdhB、pdhC及びpdhD(それぞれ、E1α、E1β、E2及びE3)と記述されることが多い。PDHのE1ユニットは、PDC(EC 4.1.1.1)がTPPを必要とするのと同様にTPPを必要とし、同様な脱炭酸反応を触媒するが、他の酵素ユニットが保有する補酵素A及びリポ酸が存在すると、産物はアセトアルデヒドよりむしろアセチルCoAとなる。しかしながら、E1ユニットのPDC活性が、PDH中の他のユニットと複合体を形成していない場合に測定されている(Lessard & Perham; The Journal of Biological Chemistry; 1994, 269:14, 10378-10383; Tomar et al; Applied Microbiology and Biotechnology; 2003, 62, 76-82; Frank et al; Science; 2004, 306: Oct 29, 872-876、補足データ)。したがって、EC 1.2.4.1のPDC活性は、アセトアルデヒドがアセチルCoAを上回って生産されるよう、PDHの上方制御によって増強することができる。増強されたPDH活性はまた、LDH不活化株で観察されるピルビン酸のボトルネックを除去して、副産物である酢酸及びギ酸をより少なくしつつ、より多くのエタノールの生産を可能にするためにも要求される。
【0039】
この目的のために、PDH遺伝子及び周辺配列を、標準的な「ゲノムウォーキング」技法を用いて単離した。およそ8.8kbのDNAを単離し、シークエンシングしたところ、以下の図3及び表3に示す遺伝子を含有することが判明した。
【0040】
【表3】

【0041】
仮想プロモータ領域を図3(矢印)に示す−1つはpdhAの始点から上流にあり、考えられる第2のプロモータはpdhBの手前にある。PDHクラスターにおける二次プロモータの例としてはこれまでに、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)に関するものが報告されている(Gao et al; Journal of Bacteriology, 2002, 184:10, 2780-2788)が、記載されているPDH遺伝子クラスターのほとんどは、クラスターの上流にプロモータを1つしか有しない(Neveling et al; Biochimica Acta; 1998 1385, 367-372)。上方制御は、当該技術分野において既知の技法を用いて実行することができる。特に、PDH複合体の上流に好適なプロモータ又はエンハンサ配列を導入することによって上方制御を実行することができる。
【0042】
酵素複合体は、好気性条件下及び嫌気性条件下のいずれにおいても作動することが既知である(Carlsson et al; Infection and Immunity; 1985, 49:3, 674-678)が、概して、その嫌気性対応物であるピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)を伴う好気性酵素であると考えられている(Ch 15; Principles of Biochemistry; Lehninger, Nelson & Cox; 2nd
Ed, Worth Publishers, New York, 1993, p447)。いずれの酵素も、解糖で形成されたピルビン酸をアセチルCoAに変換して、TCAサイクルに移送するが、このサイクルは、好気性条件下でしか完全には作働しない。しかしながら、嫌気性条件を用いることが望ましいため、嫌気性条件で機能するプロモータが本発明での使用には好ましい。したがって、嫌気性条件下で作動すると考えられる酵素に対するプロモータ、例えば、LDHプロモータ(ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスNCA1503由来のP_ldh)、PFLプロモータ(バチルス・セレウスATCC14579及びゲオバチルス・サーモグルコシダシウスNCIMB11955由来のP_pfl)並びにフェレドキシンプロモータ(ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスDSM13240由来のP_ferrA)を、参照により本明細書中に援用される国際出願PCT/GB2007/03699号の場合と同様に用いることができる。
【0043】
好ましい実施形態において、さらなる改変を導入してPDC活性を増強し、それにより、ピルビン酸からアセトアルデヒドへの変換を促進する。これは、E2;ジヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ(EC 2.3.1.12)を不活化することによって実行することができる。不活化は、破壊の標的としてE2遺伝子を用いる以外はLDHの不活化と同様に実行することができる。
【0044】
さらなる実施形態において、本発明の微生物は、ピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子を不活化する改変を含み、それにより、ピルビン酸のアセチルCoA及びギ酸への変換を防止/低減する。ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)の「嫌気性対応物」であり、ピルビン酸をアセチルCoA及びギ酸に変換する(図1参照)。アセチルCoAはアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(AcHD)によってエタノールに変換することができるが、ギ酸はエタノール生産生物において増殖を抑制する潜在能力を有する望ましくない副産物である。
【0045】
PFLは、エタノール生産に向かう代謝流束を促進すると共に、エタノール合成への残存経路の酸化還元バランスを改善するためにノックアウトする標的として選択した。そのさらなる利点は、ギ酸生産の排除であった。トランスポゾン挿入、遺伝子欠失又は部分的な遺伝子欠失によってPFL活性を不活化して、変化した表現型を継続させるための抗生物質の選択に依拠しない変異体を生産することができる。本実施形態において、微生物は、乳酸デヒドロゲナーゼの不活化と、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの上方制御との両方を含むことで、嫌気性条件下でエタノール生産を増大させることが好ましい。
【0046】
さらに好ましい実施形態において、微生物はまた、異種ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子及び異種アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む。これらの異種遺伝子の発現の結果、エタノールが一次発酵産物となるように代謝の向きを変える酵素が生産される。遺伝子は、典型的には嫌気性発酵する微生物、例えば、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)を含むザイモモナス種から得ることができる。
【0047】
遺伝子を調製し、微生物に組み入れる方法は、例えば、Ingram et al, Biotech & BioEng, 1998; 58(2+3): 204-214及び米国特許第5916787号(それぞれの内容は、参照により本明細書中に援用される)において既知である。当業者には理解されるように、遺伝子は、プラスミドに導入してもよく、又は染色体に組み込んでもよい。
【0048】
本発明の微生物は、供給原料の一部として可溶性デンプンを用いて培養される。温度、pH及び他の増殖条件は、既知の培養要件に基づいて選択することができる。
【0049】
ここで、本発明の実施形態を以下の実施例で添付の図面を参照して説明する。ゲオバチルス・サーモグルコシダシウスNCIMB 11955のゲノムにゲオバチルス・ステアロサーモフィルスDSM22 α−アミラーゼ遺伝子の組込み体を生成する2つのアプローチについて、以下に概略を示す。本発明は、これらの方法によって例示されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
[アミラーゼ遺伝子の組込み]
[アプローチ1:既存のクローンであるpGEM−LAに由来するNotIフラグメントを用いたファストトラック戦略]
当該技術分野において既知の技法を用いて、α−アミラーゼ配列(amyS)をPCRによって生成して、11955由来のldhプロモータ(P_ldh)に接合した。この構築物を、市販のpGEM−T Easy(登録商標)発現ベクターにクローニングして、pGEM−LAを得た。図2に示すように、pGEM−T Easyベクター中のライゲーション部位は複数の制限部位と隣接する。したがって、NotI/NotIフラグメント上に挿入されたP_ldh/アミラーゼ配列を切り出すことが可能である。
【0051】
pGEM−LA由来のNotIフラグメントをpflノックアウトプラスミド構築物pTMO111のNotI部位にライゲーションして、2つの同胞(sibling)プラスミド構築物、pTMO139及びpTMO140を生成した。これらを、エレクトロポレーションによって、安定なPFL陰性11955株であるTM242に導入した。推定的な組込み体を68℃で選択した。
【0052】
一次形質転換体(自己複製(autonomous)プラスミド)及び一次組込み体のアミラーゼ生産を、TGP+0.4%可溶性デンプンプレート上での60℃で3日間のパッチとしての増殖、その後のグラムヨウ素溶液でのフラッディング(flooding)によって試験した。大きなクリアリング(デンプン加水分解)ゾーンがこれらの株の周囲で観察され、DSM22対照と同等であった。TM242は、この試験において僅かな活性を与えたが、DSM22よりははるかに小さいことから、或る一定のバックグラウンド活性が示唆された。カナマイシンが存在しない液体培地中での一次組込み体の継代培養、その後のTGP_カナマイシンへのコロニーの複製を用いて、潜在的な二重交叉型変異体(DCO)を同定した。合計で32個のカナマイシン感受性コロニーのアミラーゼ活性を、TGP+0.4%可溶性デンプン上で試験した(12ウェルCostarプレートのウェルに3ml、60℃で3日)。陽性対照であるDSM22を除いて大きなゾーンを与えるものは無かった。大多数の株は、TM242対照と同様に僅かなクリアリングを与えたが、5つは中程度ではあるが有意なクリアリングゾーンを示した。これらの株のうち2つ、TM319及びTM320由来のゲノム調製物に対して、既知のバチルスPFL配列間の配列相同性に基づいて設計された縮重プライマーbamr66a及びbamr72を用いて診断PCR(diagnostic PCR)を実行した。両株について、およそ3.1kbの単一PCR産物が得られ、これは、NotIによる消化で、およそ0.6kbの二重のバンド及びおよそ2.0kbのバンドを与えた。これは予想された遺伝子置換/挿入と一致する。対照は予想通りの結果、すなわち、NotIで切断されなかった11955(野生型)由来のおよそ1.7kbの産物、及びNotIによる消化でおよそ0.6kbの二重のバンドを与えたTM242由来のおよそ1.3kbの産物を与えた。したがって、これらの株(TM319及びTM320)は、pfl遺伝子座でのアミラーゼ構築物の組込みを表していると考えられる。
【0053】
[アプローチ2:P_ldh(NCA)プロモータを用いたアミラーゼ構築物の生成]
P_ldh(NCA)の制御下でDSM22由来のアミラーゼコード配列を配置するために使用される戦略について図4に概略を示す。pTMO31は、pUC19(NEB)の複数のクローニング部位(mcs)に挿入したECOR1/SnaB1 pUB110フラグメントを含むプラスミドベクターである。
【0054】
pGEM−LA構築物を鋳型として用いて、PCRによってアミラーゼコード配列をNdeI/NotIフラグメントとして増幅した。pTMO49(P_ldh(NCA 1503)をpTM023にクローニングすることによって生産された)を鋳型として用いて、P_ldh(NCA)をNdeI/NotIフラグメントとして増幅し、pTMO23(NdeI部位が除去されたpUC19)にその産物をクローニング及びアセンブリングして、挿入(遺伝子置換)構築物pTMO146及びpTMO147(同胞プラスミド)を生成した。表4は、11955へ挿入するためのP_ldh(NCA)/amyS構築物を生成するPCR構成成分の詳細を示す。
【0055】
【表4】

【0056】
[アミラーゼクローンのシークエンシング]
bamr87オリゴ及びbamr88オリゴ(表4参照)を用いて生成したアミラーゼコード配列に対してクローニングしたPCR産物をシークエンシングして、完全性をチェックした。2つの独立クローンをシークエンシングした。それぞれ異なる単一塩基対変異を示し、これはPCRによって導入されたものと推定された。進行のために選択したクローンは、pTMO135(pTMO23のSmaI部位に平滑末端ライゲーションしたPCR産物)であった。このクローンにおけるPCR誘発変異は、サイレント変異を表し、ゲオバチルス・カウストフィルス(G.kaustophilus)に関して公開されているコドン使用頻度によって判断されるように、同一のアミノ酸及び同様のコドン使用頻度を与える。pTMO135由来のアミラーゼコード配列(開始コドンは無視する)を図5に示す。この配列と公開されているDSM22 amyS配列(アクセッション番号M57457)との間の相違に対応するヌクレオチドを下線で示す。pTMO135配列(15bpをカバーする)と公開されているDSM22 amyS配列(M57457)との間には9つの差異がある。1449での不一致は、pTMO135におけるPCR誘発変異を表す。
【0057】
pGEM−LA由来のNotIフラグメントを有する、pTMO139におけるアミラーゼ挿入のシークエンシングから、pTMO135(1449bp変異を除く)との完全な一致が示された。次いで、アミラーゼコード配列をゲオバチルス・ステアロサーモフィルスDSM22ゲノムDNA(この株は、DSMZ collectionから入手した)から直接PCRによって増幅した。前述のbamr87オリゴ及びbamr88オリゴを用いて得られたPCR産物をpTMO23にクローニングして(pTMO145が得られ)、シークエンシングした。配列は、bp904を除いて、pTMO135(1449変異を除く)及びpTMO139と一致した。pTMO135及びpTMO139の両方において、bp904は「A」であるが、pTMO145では「G」である。これは、この位置でアスパラギン酸からアスパラギンへの変異を導入する。このコドン(アスパラギン酸ではGAC)が、調査したすべてのゲオバチルスアミラーゼ配列において保存されていることが示されたため、おそらくは、DSM22由来のアミラーゼ配列のPCRクローニングによって導入された変異である。配列中の他の違いは、公開されている配列の誤りであると推測しなければならない;他のゲオバチルスアミラーゼ配列を含むアラインメントからは、この配列(すなわち、pTMO135及びpTMO145中で)が、公開されている配列(M57457)よりもコンセンサスにかなり近いことが示唆される。
【0058】
904変異にもかかわらず、pGEM−LA由来のクローニングしたNotIフラグメントは、デンプンプレートで実質的なアミラーゼ活性を確かに与えることが明らかであったため、pTMO145構築物及びpTMO146構築物に関して実験研究を継続した。
【0059】
[pTMO145及びpTMO146(P_ldh(NCA)/amyS)に対するDCOの生成及び特徴付け]
pTMO145及びpTMO146をエレクトロポレーションによってTM242に導入し、先に概略を示したような推定的な二重交叉(DCO)型変異体を選択した。合計で48個の推定的なDCO(カナマイシン感受性)のアミラーゼ活性を、プレートアッセイで試験した。18個が非常に強力なアミラーゼ活性を示した(それ以外はTM242対照と同様であるように見えた)。これらをより大きなセクタープレートにパッチすると、DSM22対照と少なくとも同程度の大きさのクリアリングゾーンを与えた。これらの株のうち4つ、TM304、TM305、TM311及びTM315をさらなる研究のために選択した。ゲノムDNAを調製して診断PCRに使用した。4つすべてが、pfl遺伝子座でのamyS遺伝子の挿入を示唆する結果を与えた。2つのアミラーゼ変異体株、TM304及びTM305を、まず炭素源としてのグルコース、次いで可溶性デンプンを含むASYE(0.5%)中でのエタノール生産に関して試験した。低通気条件及び高通気条件の両方で試験を行った。結果を表5に示す。高通気モデル及び低通気モデルの両方で、TM304及びTM305の可溶性デンプンからのエタノール生産量は、グルコースからのエタノール生産量とほぼ同じである。TM242はデンプンでのエタノールの生産レベルがグルコースと比較して顕著に低いが、より高い通気条件ではこの効果はかなり低く現れる。グルコースで培養した場合、TM304及びTM305のエタノール生産量はTM242と同様であるが、3つの株をデンプンの存在下でインキュベートする場合、TM304及びTM305のより優れたアミラーゼ機能により、微生物が実質的にすべてのデンプンをエタノールに変換することができることが明らかである。低通気条件において、これはグルコースとほぼ同程度のレベルであるが、TM242がデンプンからエタノールを生産する能力は、グルコースをエタノールに変換する能力のおよそ3分の1である。
【0060】
【表5】

【0061】
5%(w/v)の可溶性デンプン中で培養したTM304株の回分発酵結果を図6に示す。グラムヨウ素を用いた簡単な試験により、DCOは、TM242と異なり、すべてのデンプンを加水分解することが示された。この結果から、低通気条件でデンプン利用をするためにP_ldh(NCA)プロモータ下での異種アミラーゼの挿入が有用であることが明らかに裏付けられる。
【0062】
[pTMO150及びpTMO151(P_ldh(NCA)/amyS−変異なし)に対するDCOの生成及び特徴付け]
DSM22ゲノムDNA由来の新たなamyS PCR産物を用いて、pTMO150及びpTMO151と呼ばれる「クリーンな」DCO構築物を生成した。これらの2つのプラスミドにおいては、P_ldh(NCA)が逆の向きにpfl遺伝子に挿入されている。pTMO150は、pflと同一の転写方向にある。pTMO151は、pTMO146及びpTMO147におけるP_ldh(NCA)と同様に、反対方向にある。DCOを、両プラスミドから生成し、それぞれからの2つの変異体をPCR(pTMO150からのTM328及び329並びにpTMO151からのTM333及び335)で検証した。2つのアミラーゼ変異体株、TM304及びTM305を試験した。TM304、TM305及びTM242と共に、すべての4つの変異体株を、まず2%(w/v)の炭素源としてのグルコース、次いで2%(w/v)の可溶性デンプン、最後に3%(w/v)の可溶性デンプンを含むASYE(0.5%)中で低通気条件でのエタノール生産に関して試験した。
【0063】
表6に示す結果から、すべての変異体株が2%(w/v)の可溶性デンプン中でほぼ同様に良好に機能し、親株であるTM242の2倍を上回る量のエタノールを生産したことが示される。3%(w/v)のデンプンにおいて、TM333は、より多くのエタノールを生産し、デンプンプレート上で、他の変異体よりも大きなクリアリング面積を生じることから、TM333がTM304よりも優れたエタノール生産菌であることが示唆される。
【0064】
【表6】

【0065】
これらの結果は、TM304株(図6)の発酵と同一条件下で実行されたTM333の回分発酵の結果によって裏付けられ、これは、図7に示され、TM333がデンプンから遊離したすべてのグルコースを利用可能であることが示唆される。
【0066】
変異株TM304及び変異株TM333が親株TM242と同様の機能を果たし、いかなる予期せぬ変異も起こさなかったことを確認するために、比較試験を実行した。結果を表7A及び表7Bに示す。
【0067】
【表7A】

【0068】
【表7B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型と比較してアミラーゼ遺伝子発現を増大させる改変を含む、好熱性微生物。
【請求項2】
前記改変が、前記好熱性微生物のゲノムへの、好適なプロモータの制御下での異種アミラーゼ遺伝子の挿入である、請求項1に記載の微生物。
【請求項3】
前記プロモータが嫌気性条件で機能する、請求項2に記載の微生物。
【請求項4】
前記プロモータがldhプロモータである、請求項3に記載の微生物。
【請求項5】
前記ldhプロモータが同種のものである、請求項4に記載の微生物。
【請求項6】
前記ldhプロモータが異種のものである、請求項4に記載の微生物。
【請求項7】
前記ldhプロモータがゲオバチルス・ステアロサーモフィルスに由来する、請求項6に記載の微生物。
【請求項8】
前記アミラーゼ遺伝子が一連の強力なプロモータの制御下にある、請求項2に記載の微生物。
【請求項9】
前記強力なプロモータが異種のものである、請求項8に記載の微生物。
【請求項10】
前記強力なプロモータがグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモータを含む、請求項9に記載の微生物。
【請求項11】
前記強力なプロモータがアミラーゼプロモータを含む、請求項9に記載の微生物。
【請求項12】
前記プロモータがゲオバチルス・ステアロサーモフィルスに由来する、請求項10又は11に記載の微生物。
【請求項13】
天然乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を不活化する改変をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項14】
前記乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子又はその一部が欠失している、請求項13に記載の微生物。
【請求項15】
前記微生物が前記乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の組込み要素を含まない、請求項13又は14に記載の微生物。
【請求項16】
天然ピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子を不活化する改変をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項17】
前記ピルビン酸ギ酸リアーゼ遺伝子又はその一部が欠失している、請求項16に記載の微生物。
【請求項18】
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を上方制御する改変をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項19】
遺伝子プロモータが前記ピルビン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の上流に挿入され、且つ前記プロモータが嫌気性条件下で機能する、請求項18に記載の微生物。
【請求項20】
ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を上方制御する改変をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項21】
前記改変が天然ジヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ遺伝子(EC 2.3.1.12)を不活化する、請求項20に記載の微生物。
【請求項22】
前記ジヒドロリポアミドトランスアセチラーゼ遺伝子又はその一部が欠失している、請求項20又は21に記載の微生物。
【請求項23】
前記アミラーゼ遺伝子がゲオバチルス種に由来する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項24】
前記アミラーゼ遺伝子がゲオバチルス・ステアロサーモフィルスに由来する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項25】
前記アミラーゼ遺伝子がα−アミラーゼ(EC 3.2.1.1)をコードする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項26】
前記微生物がゲオバチルス種である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項27】
前記微生物がゲオバチルス・サーモグルコシダシウスである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項28】
前記微生物が異種ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項29】
前記微生物が異種アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子を含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項30】
前記微生物が制限系を含まない、請求項1〜29のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項31】
前記微生物が、最大で10%(w/v)のエタノールを含む培養培地中で安定である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項32】
前記微生物が高頻度で形質転換可能である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項33】
前記微生物が40℃〜85℃、好ましくは50℃〜70℃の温度で増殖する、請求項1〜32のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項34】
デンプンが存在する好適な条件下で請求項1〜33のいずれか一項に記載の微生物を培養することを含む、エタノールを生産する方法。
【請求項35】
前記培養培地が少なくとも1%(w/v)のデンプンを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
培養培地が少なくとも10%(w/v)のデンプンを含む、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
培養培地が少なくとも20%(w/v)のデンプンを含む、請求項34〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
40℃〜70℃の間の温度で実行される、請求項34〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記温度が52℃〜65℃である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
pHが4〜7.5の間の培養中に前記微生物を維持する、請求項34〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項1〜33のいずれか一項に記載の微生物を含む、動物飼料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−536334(P2010−536334A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520629(P2010−520629)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002782
【国際公開番号】WO2009/022158
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(507364137)ティーエムオー リニューアブルズ リミティド (7)
【Fターム(参考)】