説明

エチレンオキシドの精製方法

【課題】エチレンオキシド(EO)の精製プロセスにおいて、プロセス全体での省エネルギー化を図りつつ、エチレングリコールの副生量を可能な限り低減させうる手段の提供。
【解決手段】エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化させるエチレン酸化反応工程において生成したEOを含有する反応生成ガスをEO吸収塔へ供給し、前記EO吸収塔へ供給された吸収液と接触させ、前記EO吸収塔の塔頂部から排出される排出ガスの少なくとも一部を前記エチレン酸化反応工程へ循環し、EOを含有する前記EO吸収塔の塔底液をEO放散塔へ供給する工程。前記EO吸収塔へ供給される前記吸収液の温度が15℃以下であり、前記排出ガスの温度T[℃]が、下記数式1:


式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンオキシドの精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンオキシドは、今日ではエチレンを銀触媒の存在下で分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化して製造される。そして、エチレンオキシド(以下、「EO」とも称する)の製造プロセスにおける精製方法は大略以下のとおりである(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
エチレンと分子状酸素含有ガスとを銀触媒上で接触気相酸化して生成するエチレンオキシドを含む反応生成ガスをエチレンオキシド吸収塔へ導き水を主成分とする吸収液と接触させエチレンオキシド水溶液として回収し(EO吸収工程)、次いでエチレンオキシド放散塔へ送りエチレンオキシド放散塔の塔底部を加熱することによってエチレンオキシドを水溶液から放散させ(EO放散工程)、エチレンオキシド放散塔の塔底部より得られる実質的にエチレンオキシドを含まない水溶液は吸収液として循環使用し、一方でエチレンオキシド放散塔の塔頂部より得られるエチレンオキシド、水、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン等)の他にホルムアルデヒド等の低沸点不純物およびアセトアルデヒド、酢酸等の高沸点不純物を含む放散物を脱水工程、軽質分分離工程および重質分分離工程の各々を経て精製する(EO精留工程)ことで、高純度エチレンオキシドが得られる。なお、エチレンオキシド吸収塔の塔頂部から排出される未反応エチレン、副生した二酸化炭素や水、さらには不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン等)を含む排出ガスについては、そのままエチレン酸化工程に循環させるか、またはその一部を抜き出し、二酸化炭素吸収塔に導きアルカリ性吸収液により二酸化炭素を選択的に吸収させ、この吸収液から二酸化炭素を放散回収することが通常行われている。
【0004】
ここで、上述したエチレンオキシドの精製プロセスにおいては、EO吸収工程、EO放散工程、EO精留工程でエチレンオキシドが水と反応することにより、エチレングリコールが不可避的に副生する。そして、特許文献1等に開示されている従来のエチレンオキシドの吸収工程から精留工程までの精製プロセスにおけるエチレンオキシドの副生率は、3〜5質量%程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−103072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、3〜5質量%程度のエチレングリコールの副生は、それほど問題とはされていなかった。これは、エチレンオキシドとエチレングリコールとを併産することが従来は一般的であったことによる。すなわち、従来は、エチレンオキシド精製プロセスにおいて一定量のエチレングリコールが副生しても、これについては通常の蒸留精製処理によって回収し、工業用グレードのエチレングリコール製品へと混合して販売することができたことから、ある程度のエチレングリコールの副生は許容されたのである。
【0007】
これに対し、近年では、船舶輸送が可能なエチレングリコールの製造における国際競争の激化に伴って、工業用グレードのエチレングリコールをエチレンオキシドと併産する商業上のメリットが薄れつつある。このため、副生したエチレングリコールをそのまま工業用グレード製品として販売するのではなく、物理的処理または化学的処理を施して繊維グレード製品へと改質するなどの対応が必要となっている。この場合には、副生したエチレングリコールから不純物を除去するための精製処理が別途必要となるという問題がある。
【0008】
また、繊維グレード製品の国際競争も激化しつつあることに鑑みれば、エチレングリコールの副生量が可能な限り低減された(換言すれば、エチレングリコールの併産を前提としない)新規なエチレンオキシドの精製プロセスの開発が喫緊の課題である。
【0009】
その一方で、エチレンオキシドの精製プロセス全体における省エネルギーに対する要請も強く、上述した新規な精製プロセスの開発にあたっては、プロセス全体での消費エネルギーの大幅な増加を伴うものではないのは勿論のこと、可能であればプロセス全体での省エネルギー化が図られるような形での解決が望まれているのが現状である。
【0010】
そこで本発明は、上述したエチレンオキシドの吸収工程から精留工程までのプロセスにおいて、プロセス全体での省エネルギー化を図りつつ、エチレングリコールの副生量を可能な限り低減させうる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上述した課題の解決を図るべく、鋭意研究を行った。その結果、
(1)エチレンオキシド吸収塔へ供給される吸収液の温度を15℃以下とする;および、
(2)エチレンオキシド吸収塔の塔頂部から排出される排出ガスの温度T[℃]を、下記数式1:
【0012】
【数1】

【0013】
式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、
の関係を満足するように制御する、
という対処によって、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明の一形態に係るエチレンオキシドの精製方法は、
エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化させるエチレン酸化反応工程において生成したエチレンオキシドを含有する反応生成ガスをエチレンオキシド吸収塔へ供給し、前記エチレンオキシド吸収塔へ供給された吸収液と接触させ、前記エチレンオキシド吸収塔の塔頂部から排出される排出ガスの少なくとも一部を前記エチレン酸化反応工程へ循環し、エチレンオキシドを含有する前記エチレンオキシド吸収塔の塔底液をエチレンオキシド放散塔へ供給する工程を含む。そして、当該精製方法においては、前記エチレンオキシド吸収塔へ供給される前記吸収液の温度が15℃以下であり、前記排出ガスの温度T[℃]が、下記数式1:
【0015】
【数2】

【0016】
式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、
の関係を満足する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エチレンオキシドの精製プロセスにおいて、プロセス全体での省エネルギー化を図りつつ、エチレングリコールの副生量を可能な限り低減させうる手段が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るエチレンオキシドの精製方法を実施するためのプロセスの構成例を示すブロック図である。図1は、実施例1で採用された吸収、放散工程に対応している。
【図2】本発明の一実施形態に係るエチレンオキシドの精製方法を実施するためのプロセスの構成例を示すブロック図である。図2は、実施例2で採用された吸収、放散工程に対応している。
【図3】放散されたエチレンオキシドが最終的に精製されるまでの精留工程の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一形態は、エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化させるエチレン酸化反応工程において生成したエチレンオキシドを含有する反応生成ガスをエチレンオキシド吸収塔へ供給し、前記エチレンオキシド吸収塔へ供給された吸収液と接触させ、前記エチレンオキシド吸収塔の塔頂部から排出される排出ガスの少なくとも一部を前記エチレン酸化反応工程へ循環し、エチレンオキシドを含有する前記エチレンオキシド吸収塔の塔底液をエチレンオキシド放散塔へ供給する工程を含む、エチレンオキシドの精製方法であって、
前記エチレンオキシド吸収塔へ供給される前記吸収液の温度が15℃以下であり、前記排出ガスの温度T[℃]が、下記数式1:
【0020】
【数3】

【0021】
式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、
の関係を満足することを特徴とする、エチレンオキシドの精製方法である。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには限定されない。
【0023】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係るエチレンオキシドの精製方法(以下、単に「精製方法」とも称する)を実施するためのプロセスの構成例を示すブロック図であり、具体的には、吸収工程および放散工程に対応している(後述する実施例1および実施例2を参照)。
【0024】
本発明で用いられる「エチレンオキシドを含有する反応生成ガス」は、エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化させる工程(以下、「エチレン酸化反応工程」とも称する)で生成したものであればよい。この接触気相酸化反応の技術自体は広く知られたものであり、本発明の実施にあたっても、従来公知の知見が適宜参照されうる。なお、反応生成ガスの組成等の具体的な形態に特に制限はない。一例として、反応生成ガスは、通常0.5〜5容量%のエチレンオキシドの他、未反応酸素、未反応エチレン、生成水、二酸化炭素、窒素、アルゴン、メタン、エタン等のガスに加えて、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドのアルデヒド類、酢酸等の有機酸類を微量含有している。
【0025】
(エチレンオキシドの吸収操作)
反応生成ガスは、冷却された後、導管1を通じて、エチレンオキシド吸収塔(以下、単に「吸収塔」とも称する)2に供給される。具体的には、反応生成ガスは吸収塔2の塔底部から供給される。一方、吸収塔2の塔頂部からは、水を主成分とする吸収液が供給される。これにより、吸収塔の内部において気液の向流接触が行われ、反応生成ガスに含まれるエチレンオキシド(通常は99質量%以上)が吸収液に吸収される。また、エチレンオキシドの他にも、エチレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)並びにエチレン酸化反応工程で生成したホルムアルデヒド等の低沸点不純物、アセトアルデヒド、酢酸等の高沸点不純物もその実質量が同時に吸収される。
【0026】
吸収塔2に供給される反応生成ガスの温度は、好ましくは約20〜80℃である。一方、本実施形態の精製方法の特徴の1つは、吸収塔2へ供給される吸収液の温度が低めに設定されている点にある。具体的には、吸収塔2へ供給される吸収液の温度は、15℃以下である。また、吸収塔2へ供給される吸収液の温度は、好ましくは12℃以下であり、より好ましくは10℃以下であり、さらに好ましくは8℃以下であり、特に好ましくは5℃以下である。かような構成とすることにより、エチレングリコールの副生量を可能な限り低減させることができるという点で、好ましい。一方、エチレングリコールの副生量を低減させるという観点からは、吸収塔2へ供給される吸収液の温度の下限値について特に制限はないが、水を主成分とする吸収液の凍結の虞を考慮すると、吸収塔2へ供給される吸収液の温度は、好ましくは0℃以上である。
【0027】
ここで、上述した特許文献1等にも、吸収塔2へ供給される吸収液の温度に関して「5〜40℃」との開示があるが、特許文献1の実施例に記載の手法を用いてエチレンオキシドの吸収工程から精留工程を行った場合には、3〜5質量%程度のエチレングリコールが副生する(後述する比較例を参照)。かようなエチレングリコールの副生は、吸収液が当該吸収塔2の塔底液として排出され、放散塔11に供給されるまでの間に起こるのが一般的である。そして、このエチレングリコールの副生は、吸収塔2〜放散塔11の間の温度が高いほど、また、この間の滞留時間が長いほど、顕著に発生する。ここで、吸収塔2の操作圧は後述するように高圧条件とされることから、吸収塔2内部のガス成分が吸収塔2の塔底部から放散塔11に向けて流出するのを防止することを目的として、ある程度の吸収液を吸収塔2の塔底部に保持(ホールド)しておくのが通常である。そうすると、吸収塔2の塔底部に吸収液が保持されることで、吸収液の滞留時間はより一層長くなることになり、その結果、ある程度の量のエチレングリコールの副生は避けられないのである。
【0028】
そして、上述した特許文献1等に開示されている従来技術において、吸収塔2へ供給される吸収液の温度は、約30〜32℃程度となる。このように、特許文献1等の従来技術においては、一般的な開示として吸収液の温度を低めに設定してもよい旨の記載が存在しているものの、現実には15℃以下の低温で実施されていたことを示す実施例等の開示は存在しない。これに対し、本発明によれば、吸収塔2へ供給される吸収液の温度を15℃以下と設定することにより、エチレングリコールの副生量が1.5〜2質量%にまで低減されうる(後述する実施例を参照)。このことから、本発明によれば、従来技術における3質量%程度の副生量を基準にすると約3分の1〜半分の副生を抑制できることになる。年産数十万トン規模の生産量を誇るエチレンオキシドの製造プラントの精製プロセスにおいて、これほどのエチレングリコールの副生を抑制できるメリットは計り知れないものがある。
【0029】
また、本発明によれば、吸収塔2へ供給される吸収液の温度を15℃以下とすることにより、従来技術と比較した別の有利な効果も奏される。すなわち、吸収塔2においてエチレンオキシドを吸収するのに用いられる吸収液の量も大きく削減することができることが判明したのである。
【0030】
なお、吸収液の組成について特に制限はなく、水を主成分とするもののほか、特開平8−127573号公報に開示されているようなプロピレンカーボネートが吸収液として用いられてもよい。また、吸収液は、エチレングリコール(後述するように、エチレンオキシド放散塔(以下、単に「放散塔」とも称する)11の塔底液由来のもの)を含みうる。ここで、本実施形態における吸収液中のエチレングリコール濃度は、通常0〜15質量%程度であり、好ましくは2〜10質量%である。さらに、必要に応じて、吸収液には添加剤が添加されうる。吸収液に添加されうる添加剤としては、例えば、消泡剤やpH調整剤が挙げられる。消泡剤としては、エチレンオキシドおよび副生エチレングリコール等に対して不活性であり、吸収液の消泡効果を有するものであればいかなる消泡剤も使用されうるが、代表的な例としては、水溶性シリコンエマルションが吸収液への分散性、希釈安定性、熱安定性が優れているため、効果的である。また、pH調整剤としては、例えば、カリウム、ナトリウムといったアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩等の、吸収液に溶解しうる化合物が挙げられ、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましい。なお、吸収液のpHは、好ましくは5〜12であり、より好ましくは6〜11である。吸収液としては、後述する放散塔11の塔底液を循環使用することができるが、組成を調節する目的で、別途設けた導管21を通じて、新鮮な水や、必要に応じて上述した添加剤が、吸収塔2へと供給される。また、吸収塔2へ供給される吸収液中のエチレングリコール濃度を一定に保持することが好ましい。このため、吸収塔2と放散塔11との間を循環する吸収液の一部は放散塔11の塔底部から抜き出される。
【0031】
吸収塔2としては、通常、棚段塔形式または充填塔形式の吸収塔が用いられうる。吸収塔2の操作条件としては、反応生成ガス中のエチレンオキシド濃度が0.5〜5容量%、好ましくは1.0〜4容量%であり、吸収塔2の操作圧は0.2〜4.0MPa gauge、好ましくは1.0〜3.0MPa gaugeである。吸収操作は、高圧ほど有利であるが、その取り得る値は酸化反応器の運転圧力に応じて決定されうる。また、反応生成ガスに対する吸収液のモル流量比(L/V)は、通常0.30〜2.00である。また、反応生成ガスの標準状態における空間線速度(GHSV[NTP])は、通常400〜4000h−1である。
【0032】
吸収塔2において吸収されなかったエチレン、酸素、二酸化炭素、不活性ガス(窒素、アルゴン、メタン、エタン)、アルデヒド、酸性物質等を含有するガスは、吸収塔2の塔頂部から導管4を通じて排出される。そして、この排出ガスは、昇圧ブロワ29によって圧力を高められた後、図示しないエチレン酸化反応工程へと循環される。なお、エチレン酸化反応工程の詳細については上述したとおりである。ここで、エチレン酸化反応工程は通常、銀触媒が充填された反応管を多数備えた酸化反応器中で、加圧(1.0〜3.0MPa gauge程度の圧力)条件下にて行われる。このため、吸収塔2の塔頂部からの排出ガスをエチレン酸化反応工程へと循環する前に、昇圧ブロワ29等の昇圧手段を用いて昇圧する必要があるのである。
【0033】
本実施形態の精製方法のもう1つの特徴は、吸収塔2の塔頂部から排出される排出ガスの温度が低めに設定されている点にある。具体的には、当該排出ガスの温度T[℃]は、下記数式1:
【0034】
【数4】

【0035】
式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、
の関係を満足するように制御されている。例えば、吸収塔に供給される吸収液の温度(T)が、実施例1のように0℃である場合には、Tは0≦T[℃]≦2を満足するように制御されるのである。かような構成とすることにより、昇圧ブロワ29を駆動するための動力が低減され、精製プロセス全体における省エネルギー化が図られるという、従来技術と比較した有利な効果が発揮されうる(後述する実施例を参照)。これは、昇圧ブロワ29の駆動動力が、これにより昇圧されるガスの実体積および密度に依存して大きくなるところ、上述したように排出ガスの温度を低めに設定することで、昇圧ブロワ29において昇圧される当該排出ガスの実体積が小さくなる結果、昇圧ブロワ29の駆動動力が低減されるものと考えられる。なお、Tが上記数式1を満足するように制御するための具体的な手法について特に制限はなく、本願出願時における当業者にとっての技術常識を適宜参酌することにより実施可能であると考えられる。かような手法の一例としては、例えば、吸収塔に供給される吸収液の供給量および温度、並びに吸収塔に供給される反応生成ガスの供給量および温度を調節するという手法が例示される。また、これらのパラメータ以外にも、例えば吸収塔2の理論段数を調節することで、Tを制御することも可能である。すなわち、吸収塔2の理論段数を比較的大きくすれば、排出ガスの温度を比較的低くすることが可能である。一方、吸収塔の理論段数を大きくしすぎると、圧力損失の増加による昇圧ブロワの動力の不必要な増加を招く虞がある。実際にはこれらの事情を考慮した上で、吸収塔2の理論段数が決定されうるが、具体的な理論段数の値については一義的に決定することが困難である。ただし、一例として、吸収塔2の理論段数の値は、好ましくは20〜70段であり、より好ましくは40〜60段である。
【0036】
なお、図示はしていないが、本発明の好ましい実施形態において、吸収塔2の塔頂部から排出される排出ガスは、エチレン酸化反応工程へと循環される際、吸収塔2へ供給される前の反応生成ガスとの間で熱交換される。これにより、エチレン酸化反応工程へと循環される排出ガスの温度が高められるとともに、吸収塔2へ供給される反応生成ガスが冷却される。ここで、上述したように、本発明において排出ガスの温度は従来技術と比較して低めに設定されていることから、かような実施形態によれば、吸収塔2へ供給される反応生成ガスは排出ガスとの熱交換によってより一層冷却され、吸収塔2へ供給される当該ガスの温度は従来技術と比較してより低く制御されうる(後述する実施例を参照)。このこともまた、最終的に生成するエチレングリコールの副生量の低減に寄与しうるため、好ましい。
【0037】
一方、吸収塔2においてエチレンオキシドを吸収した吸収液は、当該吸収塔2の塔底液として、エチレンオキシド放散塔11の上部へ供給される。この吸収塔2の塔底液(吸収液)は、放散塔11へ供給される前に、通常は放散塔11における放散に適した温度にまで加熱される。具体的には、図1に示すように、吸収塔2の塔底液(吸収液)は導管5を通じて熱交換器6へ供給される。そして、この熱交換器6において、放散塔11の塔底液との間での熱交換が行われ、さらに必要であれば加熱器31によって加熱され、吸収塔2の塔底液(吸収液)は95〜106℃程度の温度まで加熱される。本実施形態において、放散塔11の塔底液との熱交換によって加熱された吸収塔2の塔底液(吸収液)は、導管7を通じて気液分離タンク8に供給される。気液分離タンク8においては、一部エチレンオキシドおよび水を含む不活性ガスの軽質分ガスが分離され、導管9を通じて排出される。一方、軽質分ガスをフラッシュした残部の吸収液は、導管10を通じて放散塔11の上部へ供給される。なお、導管10のように特に高温条件下でエチレンオキシドが水と共存する部位については、その配設距離を可能な限り短くするように配慮することで、吸収液の滞留時間を短くすることができ、その結果、エチレングリコールの副生の防止に資することができる。
【0038】
続いて、例えば、図1に示すように水蒸気またはサームエス(綜研化学株式会社製商品)等の加熱媒体を導管13から加熱器12へ供給し、当該加熱器12において加熱された加熱媒体を用いて放散塔11を加熱するか、または、放散塔11の底部へ直接水蒸気を供給することによって放散塔11を加熱する。このようにして放散塔11が加熱されることによって、放散塔11の上部から供給された吸収液に含まれるエチレンオキシド(通常は99質量%以上)が放散し、放散塔11の塔頂部から導管23を経て排出される。なお、放散塔11の操作条件は、塔頂圧力が通常0.01〜0.20MPa gauge、好ましくは0.02〜0.06MPa gaugeである。塔頂圧力は小さいほど塔内の温度が低下し、その結果として塔内におけるエチレンオキシドからのエチレングリコールの副生が抑制される傾向がある。しかしながら、エチレンオキシドは比較的着火しやすい物質であるため、系内への酸素の漏れ込みを防止するという観点から、大気圧以下での運転は通常行われず、上述したように大気圧よりもやや大きい圧力で運転されるのである。なお、放散塔11の温度条件としては、塔頂温度は通常85〜120℃であり、塔底温度は通常100〜130℃である。
【0039】
エチレンオキシドが放散された後の残部の吸収液は、放散塔11の塔底液として抜き出される。ここで、放散塔11の塔底液はエチレンオキシドを実質的に含まない。具体的には、当該塔底液中に含まれるエチレンオキシドの濃度は、好ましくは10質量ppm以下であり、より好ましくは0.5質量ppm以下である。本実施形態では、この塔底液は、エチレン酸化反応工程とエチレンオキシド放散工程との間で吸収液中に副生したエチレングリコールを含有しており、本発明によれば、当該塔底液中のエチレングリコール濃度は従来技術よりも低い。そして、この塔底液の一部は、導管14および導管22を通じて抜き出される。抜き出された液は、燃焼処理に供されるか、または、含有するエチレングリコールを濃縮して回収するためのエチレングリコール濃縮工程に供給される。さらに、場合によっては、抜き出された液に含まれるエチレングリコールをそのまま、またはエチレングリコール濃縮工程を経た後に、特公昭45−9926号公報や特公平4−28247号公報等に開示されているような化学的処理のほか、場合によっては物理的処理を施すことによって、繊維グレード製品として回収することも可能である。ただし、本発明によれば、副生するエチレングリコールの量が低減されうるため、このようなエチレングリコールを回収・精製するための処理を行うよりは、エチレングリコールを回収することなく燃焼処理に供する方が、精製プロセス全体の省エネルギー化および製造コストの削減といった観点からは好ましいこともありうる。
【0040】
なお、放散塔11の塔底液は、ホルムアルデヒド等の低沸点不純物、アセトアルデヒドおよび酢酸等の高沸点不純物をも含有していることから、上述したようにその一部を系外に抜き出すことで、吸収塔2に循環される吸収液中へのこれらの不純物の蓄積を防止することができるという利点も得られる。
【0041】
一方、本実施形態において、放散塔11の塔底液の実質量は、吸収塔2の上部へと循環される。ここで、本発明においては、吸収塔2へ供給される吸収液の温度は15℃以下である。このため、放散塔11の塔底液を吸収塔2へと循環させる際には、吸収塔2へ供給される前に冷却される必要がある。図1に示す実施形態において、放散塔11の塔底液は、まず、導管14および導管15を通じて上述の熱交換器6へ供給される。そして、この熱交換器6において、吸収塔2の塔底液との間での熱交換が行われ、放散塔11の塔底液は40〜80℃程度の温度まで冷却される。そして、この塔底液は、さらに導管16を通じて冷却器17へと供給される。この冷却器17には導管18および導管19を通じて20〜32℃程度の冷却水が流通しており、この冷却水との熱交換によって、上記塔底液はさらに22〜34℃程度の温度まで冷却される。そして、この塔底液には上述したように導管21を通じて新鮮な水(および必要に応じて添加剤)が添加され、液中のエチレングリコール濃度が常にほぼ一定の値となるように制御されている。
【0042】
本実施形態における最大の特徴は、冷却・加水を経た放散塔11の塔底液を吸収塔2の上部へ供給(循環)するための導管3の途上に、冷凍機30が設けられている点にある。冷却・加水を経た放散塔11の塔底液(吸収液)をこの冷凍機30に通すことで、当該塔底液(吸収液)の温度は15℃以下(図1に対応した実施例1では0℃)とされるのである。ただし、場合によっては、冷凍機30へ供給される前の時点において、15℃以下の温度にまで冷却されていてもよいことは勿論である。このように、放散塔11の塔底液を吸収塔2へ供給する前に、当該塔底液を冷却する冷却工程を2回以上(図1に示す実施形態では、3回である)行うことは、本発明における好ましい実施形態である。かような形態によれば、放散塔11の塔底液の冷却をより確実に行うことができる。
【0043】
本実施形態において用いられる冷凍機30の具体的な形態について特に制限はなく、塔底液(吸収液)の温度を上述した程度にまで低下させることができるものであればよい。図1に示す実施形態において用いられうる冷凍機30としては、例えば圧縮式冷凍機(蒸気圧縮式冷凍機)が挙げられる。蒸気圧縮式冷凍機は、気体の冷媒を圧縮機で圧縮し、凝縮器で冷却して圧力が高い液体を作り、膨張弁で圧力を下げ、これを蒸発器において低温で気化させる際の気化熱で熱を奪い取るものである。蒸気圧縮式冷凍機は、設備の小型化が可能であり、容量あたりの質量・体積が小さく、安価であるという利点がある。また、成績係数が良好であり、凝縮機からの放熱が少ないという利点もある。
【0044】
他の好ましい実施形態としては、図2に示すように、放散塔11の塔底液を冷却するための冷凍機として、放散塔11の塔底液自身を熱源として用いるものが採用されてもよい。この場合には、放散塔11の塔底液は、冷凍機32において冷却水(温度7℃程度)を作るための熱源として用いられ、その後、今度は当該冷却水によって塔底液自身が冷却される(図2を参照して、導管21を通じて水および必要に応じて添加剤が添加された後の導管3の前段部)。したがって、かような構成とすることにより、塔底液の有する熱エネルギーが有効利用されるため、精製プロセス全体における省エネルギー化の観点から非常に好ましい。ここで、図2に示す実施形態において用いられうる(つまり、放散塔11の塔底液を熱源として利用することができる)冷凍機32としては、例えば、吸収式冷凍機または吸着式冷凍機が挙げられる。これらの具体的な形態について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。吸収式冷凍機は、冷媒とその蒸気を吸収する吸収剤とを作動媒体とする冷凍機であり、冷媒として水を用い、吸収剤として臭化リチウム(LiBr)を用いる水−臭化リチウム系のほか、冷媒としてアンモニアを用い、吸収剤として水を用いるアンモニア−水系が実用化されている。本実施形態においてはいずれも使用可能であるが、廃熱の有効利用という観点からは、水−臭化リチウム系の吸収式冷凍機が好ましく用いられ、特に好ましくは温水吸収式冷凍機が用いられる。一方、吸着式冷凍機としては、例えば、ゼオライト系吸着材であるAQSOA(商品名)を用いた低温水を利用できるAQSOA吸着式冷凍機(株式会社前川製作所製)などが利用可能である。なかでも、図2に示す実施形態においては、好ましくは吸着式冷凍機が用いられる。
【0045】
なお、図2に示す実施形態においては、放散塔11の塔底液が熱交換器6における吸収塔2の塔底液との熱交換を経た後に冷凍機32に供給され、当該冷凍機32において熱源として用いられている。ただし、放散塔11の塔底液は、熱交換器6を経ずに直接、冷凍機32に供給されて熱源として利用されてもよい。また、図2に示す実施形態においては、導管3の後段部に、別途冷凍機30が設置されており、この冷凍機30により、放散塔11の塔底液は最終的に15℃以下の温度(図2に対応した実施例2では10℃)とされ、吸収液として吸収塔2の上部に循環される。この結果、図2に示す実施形態では、放散塔11の塔底液の冷却工程は、都合4回行われていることになる。
【0046】
なお、放散塔11の塔頂部から放散されたエチレンオキシドは、さらに精留工程にて精製されて、高純度エチレンオキシドとされる。ここで、放散エチレンオキシドをさらに精製するための具体的な形態について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。参考までに、図1〜図3を参照しつつ、放散エチレンオキシドをさらに精製するためのプロセスについて、簡単に説明する。図3は、放散されたエチレンオキシドが最終的に精製されるまでの精製プロセスの構成例を示すブロック図である。
【0047】
放散塔11の塔頂部から放散された、エチレンオキシドを含む放散物は、導管23を通じて、導管25および導管26に冷却水が通る凝縮器24へ送り、凝縮液は導管27を通じて放散塔11の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管28を通じて脱水塔29へ供給される。
【0048】
脱水塔29に供給されたエチレンオキシドを含む蒸気は、導管37を通して還流される液と接触されてよりエチレンオキシド濃度の高い蒸気となり、塔底から抜き出されるエチレンオキシド濃度の低い液は導管32を通して凝縮器24へ送られる。
【0049】
脱水塔29の塔頂部よりエチレンオキシドを含む蒸気は導管33を通じて、導管35および導管36に冷却水が通る凝縮器34へ送り、凝縮液の一部は導管37を通して脱水塔29の塔頂部へ還流し、凝縮器34の未凝縮蒸気は導管39を通して再エチレンオキシド吸収塔(図示せず)へ供給される。
【0050】
凝縮器34の凝縮液の他部は導管38を通して軽質分分離塔40へ供給される。軽質分分離塔40の加熱器41により水蒸気またはサームエス(綜研化学株式会社商品)等の加熱媒体で導管42を通じて加熱する方式により加熱し、軽質分分離塔40の塔頂部より軽質分を含むエチレンオキシド蒸気は導管43を通じて凝縮器44へ送り、凝縮液は導管47を通じて軽質分分離塔40の塔頂部へ還流し、未凝縮蒸気は導管48を通してエチレンオキシドを回収するため再エチレンオキシド吸収塔(図示せず)へ供給される。
【0051】
軽質分分離塔40の塔底液は導管49を通してエチレンオキシド精留塔50へ供拾される。エチレンオキシド精留塔50の加熱器51へ導管52より圧力0.05〜0.10MPa gauge程度の水蒸気を供給し、エチレンオキシド精留塔50の塔底温度35〜80℃、エチレンオキシド精留塔50の塔底圧力0.10〜0.80MPa gaugeで精留を行い、精留塔50の塔頂部から、塔頂温度35〜75℃、塔頂部圧力0.10〜0.80MPa gaugeのエチレンオキシド蒸気を、導管51を通じてエチレンオキシド凝縮器52へ送り、エチレンオキシドを液化させ、一部は導管56を通してエチレンオキシド精留塔50の塔頂部へ還流液として供給し、他部は導管57を通してエチレンオキシド製品として抜き出す。
【0052】
エチレンオキシド精留塔50の塔底液は、アセトアルデヒド、水、および酢酸等の高沸点不純物の重質分分離のため、必要により導管67を通して抜き出される。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の形態のみには限定されない。
【0054】
[比較例]
冷凍機30を設置しなかったこと以外は、図1から図3に至る吸収工程から放散工程、精留工程を含むプロセスにより、エチレンオキシドの精製方法を実施した。なお、具体的なプロセスフローについては「発明を実施するための形態」の欄において説明したとおりである。本比較例における連続操作条件を、下記の表1に一括して示す(組成の単位は「質量%」である)。また、本比較例において、吸収塔2に供給される吸収液の温度は、32℃であった。そして、本比較例の精製プロセスにおけるエチレングリコールの副生率を算出したところ、エチレンオキシド100質量%を基準として、3.0質量%(なお、工程中機器の個別副生率を下記の表4に示す)であった。さらに、本比較例における昇圧ブロワ29の駆動動力は、1878kWであった。
【0055】
【表1】

【0056】
[実施例1]
図1から図3に至る吸収工程から放散工程、精留工程を含むプロセスにより、本発明に係るエチレンオキシドの精製方法を実施した。なお、具体的なプロセスフローについては「発明を実施するための形態」の欄において説明したとおりであるが、冷凍機30としては、荏原冷熱システム株式会社製の蒸気圧縮式冷凍機(RTVF型)を用いた。また、加熱器31としては、熱交換器を用いた。本実施例における連続操作条件を、下記の表2に一括して示す(組成の単位は「質量%」である)。また、本実施例において、吸収塔2に供給される吸収液の温度(T)は0℃であり、吸収塔2の塔頂部から排出される排出ガスの温度(T)は0.2℃であった。そして、本実施例の精製プロセスにおけるエチレングリコールの副生率を算出したところ、エチレンオキシド100質量%を基準として、1.5質量%(なお、工程中機器の個別副生率を下記の表4に示す)であった(比較例に対して1.5質量%の低減;割合にして50%の低減)。さらに、本実施例における昇圧ブロワ29の駆動動力は、1694kWであった(比較例に対して9.8%の低減)。
【0057】
【表2】

【0058】
[実施例2]
図2に示す吸収工程から放散工程を含むプロセスにより、本発明に係るエチレンオキシドの精製方法を実施した。なお、具体的なプロセスフローについては「発明を実施するための形態」の欄において説明したとおりであるが、冷凍機30としては、荏原冷熱システム株式会社製の吸収式冷凍機(RFW型)を用いた。また、加熱器31としては、熱交換器を用いた。さらに、冷凍機32としては、株式会社前川製作所社製の吸着式冷凍機(AdRef−Noa)を用いた。本実施例における連続操作条件を、下記の表3に一括して示す(組成の単位は「質量%」である)。また、本実施例において、吸収塔2に供給される吸収液の温度(T)は10℃であり、吸収塔2の塔頂部から排出される排出ガスの温度(T)は10.2℃であった。そして、本実施例の精製プロセスにおけるエチレングリコールの副生率を算出したところ、エチレンオキシド100質量%を基準として、2.0質量%(なお、工程中機器の個別副生率を下記の表4に示す)であった(比較例に対して1.0質量%の低減;割合にして33%の低減)。さらに、本実施例における昇圧ブロワ29の駆動動力は、1755kWであった(比較例に対して6.5%の低減)。
【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
上述した実施例と比較例との対比から、本発明に係るエチレンオキシドの精製方法によれば、プロセス全体での省エネルギー化を図りつつ、エチレングリコールの副生量を可能な限り低減させることが可能となる。年産数十万トン規模というエチレンオキシド生産量に鑑みれば、本発明が果たす産業上の貢献には計り知れないものがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンを銀触媒の存在下、分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化させるエチレン酸化反応工程において生成したエチレンオキシドを含有する反応生成ガスをエチレンオキシド吸収塔へ供給し、前記エチレンオキシド吸収塔へ供給された吸収液と接触させ、前記エチレンオキシド吸収塔の塔頂部から排出される排出ガスの少なくとも一部を前記エチレン酸化反応工程へ循環し、エチレンオキシドを含有する前記エチレンオキシド吸収塔の塔底液をエチレンオキシド放散塔へ供給する工程を含む、エチレンオキシドの精製方法であって、
前記エチレンオキシド吸収塔へ供給される前記吸収液の温度が15℃以下であり、前記排出ガスの温度T[℃]が、下記数式1:
【数1】

式中、Tは、吸収塔に供給される吸収液の温度[℃]である、
の関係を満足することを特徴とする、エチレンオキシドの精製方法。
【請求項2】
前記エチレンオキシド放散塔の塔底液の少なくとも一部を、前記吸収液として前記エチレンオキシド吸収塔へ供給する工程を含み、前記エチレンオキシド放散塔の塔底液を前記エチレンオキシド吸収塔へ供給する前に、当該塔底液を冷却する冷却工程を行う、請求項1に記載の精製方法。
【請求項3】
前記エチレンオキシド放散塔の塔底液を前記エチレンオキシド吸収塔へ供給する前に、前記冷却工程を2回以上行う、請求項2に記載の精製方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記冷却工程が冷凍機を用いて行われる、請求項2または3に記載の精製方法。
【請求項5】
前記冷凍機が温水吸収式冷凍機または吸着式冷凍機であり、前記冷凍機の熱源として前記エチレンオキシド放散塔の塔底液が用いられる、請求項4に記載の精製方法。
【請求項6】
前記エチレンオキシド吸収塔へ供給される前記吸収液の温度が0〜15℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項7】
前記排出ガスを前記エチレン酸化反応工程へ循環する前に、当該排出ガスを昇圧手段により昇圧する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の精製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate