説明

エチレンガス吸着性無機組成物及びその製造方法

【課題】安価で、優れたエチレンガス吸着除去性能を発揮する新規な無機組成物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のエチレンガス吸着性無機組成物は、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とする無機組成物であって、平均細孔径の小径側と大径側とに、それぞれ1つ以上のピークが存在する細孔径分布を有し、かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有する。また本発明のエチレンガス吸着性無機組成物は、ケイ酸質原料と石灰質原料とを反応させることにより低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を得る工程と、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸ガスで炭酸化処理して炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物を得る工程と、組成物を、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物とともに粉砕する工程とを経て製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンガスに対して優れた吸着除去性能を示すエチレンガス吸着性無機組成物とその製造方法に関するものである。
なお、エチレンガスは生鮮品の成熟ホルモンとして知られており、生鮮品とは、食肉魚介類や野菜、花弁、果物などが挙げられるがそれらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
生鮮品を保管する際には、生鮮品から発生する成熟ホルモンであるエチレンガスにより、生鮮品自体の鮮度が低下するという現象が懸念される。エチレンガスによる生鮮品の鮮度低下を抑制するために、従来から、種々の方法が提案されている。
具体的には、貯蔵雰囲気を高二酸化炭素、低酸素状態に調節し、低温貯蔵することで、生鮮品からのエチレンガスの発生を抑制するCA貯蔵法や、ゼオライトに過マンガン酸カリウムを吸着させた物質でエチレンガスを分解することで、発生したエチレンガスを除去する方法(特許文献1を参照)などが提案されている。
また、上記以外のものとして、竹の抽出物を含むエチレン吸着材(例えば、特許文献2を参照)や、パラジウム触媒活性炭などが提案されている。
【特許文献1】特開昭54−117060号公報
【特許文献2】特開2002−263482公報
【非特許文献1】吉田弘之 監修、発行者 小野介嗣、「多孔質吸着材ハンドブック」、フジ・テクノシステム発行、2005年7月23日、p.190
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のCA貯蔵法は、設備が大掛かりで、かつ高コストであり、安価な生鮮品や、少量の保存には不向きである。
特許文献1に記載の発明において使用される、ゼオライトは、比表面積は大きいが細孔径が小さいため、初期のエチレン濃度低減効果の低さが懸念されるうえに、非常に高価な材料であるので高コストである。
そのうえ、ゼオライトに過マンガン酸カリウムを吸着させたものでは、エチレンガス分解能力を十分に引き出すことができず、その結果、エチレンガスを充分に除去できないという問題があった。
【0004】
さらに、竹の抽出物を含むシートや、パラジウム触媒活性炭などのエチレンガス除去性能について検討したところ、エチレンガスを充分に吸着除去するものではなかった。
このように、いずれの方法や材料にも一長一短があり、エチレンガス吸着除去材料に求められる様々な性質をバランスよく備えるものは未だ開発されていなかった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価で、優れたエチレンガス吸着除去性能を発揮する新規な無機組成物、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、上記課題を解決するものについて鋭意研究した結果、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とし、平均細孔径の小径側および大径側にそれぞれ1つ以上のピークが存在する細孔径分布を有し、かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有する無機組成物を用いると、安価で、優れたエチレンガス吸着除去性能を発揮できることを見出した。
【0006】
さらに、上記の無機組成物を製造する際に、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化処理して得られる炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物を、エチレンガス分解除去性能を有する無機系酸化物とともに粉砕することで、得られる無機組成物のエチレンガス吸着除去性能を飛躍的に向上させ得ることを見出した。すなわち、粉砕装置の中に無機系酸化物と炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物とを投入し粉砕することで、その粉砕過程において混合が行われ、さらに、摩擦、剪断、圧縮等のエネルギーが加えられることにより相互の付着が強固となり、細部まで均等に分散された状態になる。その状態では、吸着捕集されたエチレンガスに対する無機系酸化物による化学分解反応が促進され、周辺雰囲気中のエチレンガス濃度の低減速度を著しく向上させ得る。さらに、低濃度域における吸着除去能力も著しく向上させ得る。
【0007】
また、本発明者のこれまでの研究により、ケイ酸カルシウム化合物を炭酸化処理することにより得られた炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とする組成物は、図1に示すように、平均細孔径の小径側と大径側とにそれぞれ1つ以上のピークが存在するという特徴的な細孔分布を有することがわかっている。
これに対して典型的なX型ゼオライトは、非特許文献1に記載されているように、直径約1nmにピークを有し、典型的なA型ゼオライトは直径約0.5nmにピークを有しており、直径5nm以上の領域にはピークを有していない。
【0008】
平均細孔径の小径側と大径側とにそれぞれ1つ以上のピークが存在するという特徴的な細孔分布を有する無機組成物では、エチレンガスなどの被処理物に対する物理的な吸着性能が著しく向上する。そのメカニズムは、以下のようであると考えられる。無機組成物をエチレンガスなどの被処理物を含む雰囲気中に置くと、まず、それらの被処理物が細孔内に進入して細孔内面に吸着される。ここで、細孔分布において平均細孔径よりも小径側と大径側のピークに対応する細孔のうち、大径側のメソ孔は、無機組成物表面における開口面を増大させ、被処理物の無機組成物の細孔内への速やかな取り込みに寄与する、という応答性向上の効果を有する。一方、小径側のミクロ孔は、無機組成物の比表面積を増大させ,被処理物との接触面積を増やすことによる被処理物の無機組成物への吸着量増大効果を有する。
【0009】
すなわち、メソ孔のみを有する無機組成物であると、表面の開口面積が大きいため被処理物を速やかに無機組成物の細孔内に取り込むことはできるが、ミクロ孔を含む無機組成物と比べて比表面積が小さいため、単位面積あたりの吸着可能な被処理物の量は相対的に少なくなる。一方、ゼオライトのように、ミクロ孔のみを有する無機組成物であると、比表面積が大きいため単位面積あたりの被処理物の吸着可能な量は理論的に大きいのであるが、現実的には開口面積が小さいため被処理物が無機組成物の細孔内までなかなか浸透せず、特に初期における物理吸着速度が低い。これに対し、メソ孔とミクロ孔との双方を有する無機組成物では、まず、メソ孔の存在によって表面の開口面積を確保できるため、被処理物が速やかに無機組成物の細孔内に取り込まれていく。そして、取り込まれることで捕集された被処理物は、速やかに無機系酸化物による被処理物の化学分解反応を受ける。
【0010】
このとき、メソ孔の内表面には、多数のミクロ孔が開口され、その比表面積が大きくなっているから、被処理物と複合されている無機系酸化物との接触面積が大きくなり、単位時間当たりの処理量の増大が期待できる。このようにメソ孔とミクロ孔による吸着面積増大との相乗効果によって、メソ孔のみ、あるいはミクロ孔のみを有する無機組成物に比べて被処理物との反応性を著しく向上させることができるのである。本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたものである。
【0011】
すなわち本発明は、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とする無機組成物であって、平均細孔径の小径側と大径側とに、それぞれ1つ以上のピークが存在する細孔径分布を有し、かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有することを特徴とするエチレンガス吸着性無機組成物である。
【0012】
ここで、「非晶質シリカ」とは、例えばケイ酸カルシウム化合物から炭酸化反応等によって得られる非晶質シリカであって、元のケイ酸カルシウム化合物の形状をほぼ維持しているものをいう。例えば、トバモライトを炭酸化することで得られる非晶質シリカは六角板状または笹の葉のような細長い板状をなし、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)から得られる非晶質シリカはアルミホイルをくしゃくしゃにしたような形状をなし、ゾノトライトから得られる非晶質シリカは針状をなす。非晶質シリカがケイ酸カルシウム化合物を起源とする場合には、得られた非晶質シリカを走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により観察して、元のケイ酸カルシウム化合物の形状を確認することができる。
【0013】
また、本発明のエチレンガス吸着性無機組成物の製造方法は、ケイ酸質原料と石灰質原料とを反応させることにより低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を得る工程と、前記低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸ガスで炭酸化処理して炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物を得る工程と、前記組成物を、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物とともに粉砕する工程と、を経るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエチレンガス吸着性無機組成物は、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とし、平均細孔径の小径側と大径側とに、それぞれ1つ以上のピークが存在する細孔径分布を有し、かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有している。
【0015】
このような無機組成物によれば、大径側のピークに対応する細孔であるメソ孔の存在によって表面の開口面積を確保できるため、エチレンガスが速やかに無機組成物の細孔内に取り込まれていく。そして、取り込まれることで捕集されたエチレンガスは、すみやかに、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物による化学分解反応を受ける。
このとき、メソ孔の内表面には、多数のミクロ孔(小径側のピークに対応する細孔)が開口され、その比表面積が大きくなっているから、エチレンガスと前記無機系酸化物との接触面積が大きくなり、単位時間当たりの処理量の増大が期待できる。
【0016】
このようにメソ孔とミクロ孔による吸着面積増大との相乗効果によって、メソ孔のみ、あるいはミクロ孔のみを有する無機組成物に比べてエチレンガス吸着除去性能を著しく向上させることができる。
また、本発明の無機組成物に含まれる炭酸カルシウムと非晶質シリカは、例えば、ケイ酸カルシウムのような安価な材料から作製することができ、CA貯蔵法のように、大掛かりな設備も不要であるので、安価にエチレンガス吸着除去性能を有する無機組成物を提供できる。
以上より、本発明によれば、安価で、優れたエチレンガス吸着除去性能を発揮する新規な無機組成物、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とするとともに、平均細孔径の小径側および大径側にそれぞれ1つ以上のピークが存在する細孔系分布を有し、かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有することを特徴とするエチレンガス吸着性無機組成物である。
【0018】
本発明のエチレンガス吸着性無機組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)において、平均細孔径の小径側および大径側にそれぞれ存在するピークのうち、平均細孔径よりも小径側のピークの頂点が直径2nm以下の領域にあり、平均細孔径よりも大径側のピークの頂点が直径5nm以上の領域にあることが好ましい。直径5nm以上のメソ孔がエチレンガスを含む被処理物を速やかに無機組成物の細孔内に浸透させる役割を果たし、直径2nm以下のミクロ孔が被処理物の吸着面積増大の役割を果たすからである。
【0019】
本発明の組成物に主成分として含まれる炭酸カルシウムと非晶質シリカは、例えば、ケイ酸カルシウム化合物の炭酸化処理などにより得られる(詳細は製造方法において後述する)。
本発明の組成物に含まれる炭酸カルシウムには、微細な粒子であるバテライトが含まれていると、よりエチレンガス吸着性能が高まり好ましい。
【0020】
また、本発明の組成物に含まれる、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物としては、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物であれば特に制限はなく、例えば、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウム、塩素酸パリウム、および塩素酸カルシウムなどの塩素酸塩類、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、および過塩素酸アンモニウムなどの過塩素酸塩類 、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、および過酸化バリウムなどの無機過酸化物、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸銅などの亜塩素酸塩類、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、および臭素酸マグネシウムなどの臭素酸塩類、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸パリウム、および硝酸銀などの硝酸塩類、よう素酸カリウム、よう素酸ナトリウム、よう素酸カルシウムなどのよう素酸塩類、過マンガン酸カリウム、および過マンガン酸アンモニウムなどの過マンガン酸塩類、重クロム酸ナトリウム、および重クロム酸アンモニウムなどの重クロム酸塩類、過よう素酸ナトリウム、メタ過よう素酸、二酸化クロム、二酸化鉛、亜硝酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナトリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、ペルオキソほう酸カリウム、およびペルオキソほう酸アンモニウムなどが挙げられる。これらの無機系酸化物は、1種のみで使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても構わない。
これらの無機系酸化物のうち、安価で反応性が高いという観点から、過マンガン酸カリウムが好ましい。
【0021】
本発明の組成物中の無機系酸化物の含有量は、本発明の組成物の全重量に対して0.5重量%以上10.0重量%以下であることが好ましく、2.0重量%以上8.0重量%以下であることが、さらに好ましい。無機系酸化物の含有量が、0.5重量%以上では、物理的に吸着されたエチレンガスに対する限界処理量が最低限確保されるために好ましく、10.0重量%以下ではエチレンガスを物理的に吸着する最低限の速度が確保されうるため好ましい。さらに、無機系酸化物の含有量が2.0重量%以上8.0重量%以下だと、エチレンガスに対する限界処理量と初期段階での吸着速度のバランスが良いため、より好ましい。
【0022】
以下、本発明の組成物の製造方法について説明する。
まず、本発明の組成物の製造に用いる、ケイ酸カルシウム化合物を主成分とする原料を作製する。
このケイ酸カルシウム化合物としては、例えば、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物などが好ましい。低結晶質ケイ酸カルシウム水和物は、一般にCSHと呼ばれている。この低結晶質ケイ酸カルシウム水和物は、セメントの水和反応やトバモライトの製造過程で得ることができるが、純度や生産性などを考えると、ポゾラン反応性を有するケイ酸質原料と石灰質原料とを混合した原料に水を加え、60〜95℃に加熱しながら混合する方法が好ましい。一般的には、ケイ酸質原料と石灰質原料とを混合した原料に水を加えた後に100℃未満で合成すれば、トバモライトは生成せず、高純度の低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を得ることができる。
【0023】
低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の原料となるケイ酸質原料としては、アエロジル、シリカヒューム、シラスバルーン、フライアッシュ、ガラス粉末、シリカゲル、ホワイトカーボン、パーライトなどを使用することができる。また低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の原料となる石灰質原料としては、試薬特級消石灰、あるいはJIS−R−9001に規定される工業用消石灰などを使用することができる。
ケイ酸質原料と石灰質原料とのモル比(CaO/SiO)(以下、C/S比ともいう)が、0.4〜0.8の原料を用いると、比表面積の大きい低結晶質ケイ酸カルシウム水和物が得られるので、好ましい。
【0024】
次に、上述のケイ酸カルシウム化合物を主成分とする原料の炭酸化処理を行い、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを生成する。炭酸カルシウムと非晶質シリカの生成比率は、上述した低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の原料となるケイ酸質原料と石灰質原料とのC/S比により変えることができる。
【0025】
ケイ酸カルシウム化合物を主成分とする原料を炭酸化処理する方法について、具体的に説明すると、原料粉末に炭酸ガスを接触させるためには、原料粉末を養生用の釜内において炭酸ガスと接触させればよい。炭酸化処理工程で使用する炭酸ガスとしては、純度100%の二酸化炭素を用いてもよく、他の気体と混合された混合ガスを用いてもよい。具体的には、市販の液化炭酸ガスまたはドライアイスを気化したもの、燃焼ガス、排気ガス等を用いることができる。混合ガスを用いる場合には、炭酸ガス濃度が高いほど反応が早く進行するため、二酸化炭素濃度が高いほど好ましい。具体的には、二酸化炭素濃度が3%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。炭酸ガス濃度が3%以下では、反応速度が遅くなりすぎ、工業的には適切でない。
【0026】
また炭酸化処理工程の温度条件は特に限定しないが、原料粉末中の水分が炭酸化反応を促進することから、原料粉末中に水分が存在しうる状態、すなわち0℃以上100℃以下に設定するのが好ましい。特に炭酸化反応が促進される範囲は30℃〜80℃であるが、炭酸化反応は発熱反応を伴い、これにより雰囲気内の温度が上昇するため、反応開始時における雰囲気内の温度をおおよそ60℃以下に設定するのが好ましい。また、圧力が高いほど炭酸化反応は促進されるが、工業的には2MPa以下で本工程を実施するのが好ましい。
【0027】
さらに、炭酸化反応を効率的に実施するためには、釜内への炭酸ガスの流入に先立ち予め釜内を真空にする真空工程を設けることによって、原料粉末中の空気を抜き、この後に高濃度の炭酸ガスを釜内へ流入させるといった方法が適用できる。
次に、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む混合物と、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物とを混合することで本発明の組成物が得られる。
【0028】
具体的には、炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物を含水率1.0%以下になるように乾燥させた後、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を添加し、粉砕装置にかける。粉砕装置にかける前に、袋に入れて振り混ぜる程度の簡易な混合状態にあることが好ましい。粉砕装置は2種以上の物質を同時に粉砕できる構造を持つもので、例えば乳鉢や、ボールミルなどがあるが、それらに限定されない。
本発明の組成物は、公知の機械・器具などを用いて粉末状、顆粒状または錠剤状に成形して用いることができる。取り扱いが容易である点から顆粒状、錠剤状に成形するのが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はそれに限定されるものではない。
<実施例1>
ケイ酸質原料として、巴工業社製のシリカフューム(商品名:EFACO)を用い、石灰原料、和光社製の消石灰(商品名:和光特級消石灰)を用いた。
シリカフューム14.37g、消石灰10.63gを80℃の水溶液中(イオン交換水500ml)に添加し、それをスターラーで6時間攪拌混合することで水熱合成させた(ケイ酸質原料と石灰質原料とのモル比(CaO/SiOは0.6)。
常温まで冷却した後、ろ過し、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)を得た。得られた低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)を含水率20%となるように調製し、高濃度の炭酸ガスで加圧された密閉容器内に静置して炭酸化した。
【0030】
炭酸化後に、非晶質シリカと炭酸カルシウムの混合物質(物理吸着材[1]とする)を得た。なお、この物理吸着材[1]における非晶質シリカと炭酸カルシウムの重量比は50:50であると考えられる。
得られた物理吸着材[1]を乾燥機で絶乾状態にした後、米山薬品工業社製過マンガン酸カリウム試薬(99%以上)を5重量%添加し、乳鉢を用いて30分粉砕混合して試料Aを得た。
【0031】
<実施例2>
乳鉢を用いて30分粉砕混合する代わりに、ボールミルで3時間粉砕混合したこと以外は、実施例1と同様にして、試料Bを得た。
【0032】
<実施例3>
過マンガン酸カリウム試薬の添加量を0.5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、試料Cを得た。
【0033】
<実施例4>
過マンガン酸カリウム試薬の添加量を10重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、試料Dを得た。
【0034】
<実施例5>
実施例1に記載の低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の生成において、原料のシリカヒュームを16.74g、消石灰を8.26gに変更し、ケイ酸質原料と石灰質原料とのモル比(C/S比)を0.4とした以外は、実施例1と同様にして、試料Eを得た。なお、本実施例において、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化して得られた混合物(物理吸着材[2]とする)中の、非晶質シリカと炭酸カルシウムとの割合は60:40(重量比)であると考えられる。
【0035】
<実施例6>
実施例1に記載の低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の生成において、原料のシリカヒュームを12.42g、消石灰を12.58gに変更し、ケイ酸質原料と石灰質原料とのモル比(C/S比)を0.8とした以外は、実施例1と同様にして、試料Fを得た。なお、本実施例において、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化して得られた混合物(物理吸着材[3]とする)中の、非晶質シリカと炭酸カルシウムとの割合は43:57(重量比)であると考えられる。
【0036】
<比較例1>
過マンガン酸カリウム試薬を5重量%添加し、乳鉢を用いて30分粉砕混合せずに、物理吸着材[1]と過マンガン酸カリウム試薬とを別々に乳鉢で30分粉砕した後、物理吸着材[1]に過マンガン酸カリウムを5重量%添加し、袋を振り混ぜて混合したこと以外は、実施例1と同様にして、試料Gを得た。
【0037】
<比較例2>
米山薬品工業社製過マンガン酸カリウム試薬(99%以上)のみを、乳鉢で30分粉砕したものを試料Hとした。
【0038】
<比較例3>
実施例1において作製した物理吸着材[1]のみを用いた試料を、試料Iとした。
【0039】
<比較例4>
ゼオライトに過マンガン酸カリウムを吸着させた粒状物(エチレンコントロール社製、商品名「E.G.G」)を試料Jとした。
【0040】
<比較例5>
銀担持ゼオライト微粉末(シナネンゼオミック社製、商品名「ゼオミック」)を試料Kとした。
【0041】
<比較例6>
冷蔵庫消臭剤(小林製薬社製、商品名「Kimco野菜室用〜野菜がシャキッ!」)に入っている黒い袋内の粒状物(活性炭と鮮度保持つぶ)を試料Lとした。なお、鮮度保持つぶはパラジウム触媒活性炭である。
【0042】
<比較例7>
竹の抽出物を含む鮮度保持シート(白鳥ナノテクノロジー(SNT)社製、商品名「シャキっとシート」)一枚(外形210mm×148mm、厚さ2mm)を、試料Mとした。
【0043】
<試験例>
1.エチレンガス吸着除去率
上記試料A〜Mおよびブランクにおける、エチレンガスの吸着除去率測定試験を以下の方法により実施した。
(1)エチレンガス吸着除去率の測定
テドラーバッグを用いた検知管法により、エチレンガス吸着除去率を測定した。検知管としては、ガステック社製エチレンガス検知管型番No.172とNo.172Lとを用いた。エチレンガスとしては、ジーエルサイエンス株式会社製プッシュ缶標準エチレンガス(純度99.5%)を用いた。15〜20℃、20〜50%RH雰囲気の条件で測定を実施した。
【0044】
エチレンガス濃度が100ppmになるように調整したテドラーバッグ内に、試料A〜Lを各1g、試料Mを一枚入れ、試料を入れてから1時間後、2時間後、24時間後のエチレンガス濃度を測定し、試料A〜Fの測定結果を図2に示し、試料G〜Mの測定結果を図3に示した。
図2および図3には、テドラーバッグの内面吸着による影響を把握するため、テドラーバッグのみのエチレンガス濃度低減性能を測定したものを、ブランクとして示した。
さらに、試料を入れる前のエチレンガス濃度と、各試料を入れてから24時間後のエチレンガス濃度との差を算出し、その差分をエチレンガス除去率(%)として表1に示した。
【0045】
エチレンガス吸着除去性能の判定基準は、試料を入れてから24時間経過時点で、エチレンガス除去率が90%以上であれば「エチレンガス吸着除去性能が特に優れている=○」とし、80%以上、90%未満であれば「充分なエチレンガス吸着除去性能がある=△」、80%未満であれば「エチレンガス吸着除去性能が充分でない=×」として表1に併せて示した。
【0046】
【表1】

【0047】
(2)結果と考察
実施例1〜6の本発明の組成物(試料A〜F)を用いたものでは、試験開始直後から急激なエチレンガス濃度の低下が見られ、2時間経過時には30ppm以下となり、その後は緩やかに低下し、24時間後には約10ppm以下となった。いずれの組成物においても24時間後のエチレンガス除去率(以下、単に「ガス除去率」という)が88.8%以上であり、充分なエチレンガス吸着除去性能を有していた。
【0048】
実施例1〜6の組成物を用いたものによる、試験直後から2時間経過時までの急激なエチレンガス濃度の低下は、メソ孔の存在によりエチレンガスがすみやかに細孔中にとりこまれたからだと考えられる。そしてその後、細孔中にとりこまれたエチレンガスは、エチレンガスに対して分解除去性能を有する過マンガン酸カリウムにより化学分解反応を受けたと考えられる。
【0049】
実施例1〜6の組成物のうち、実施例1、2、5、6の組成物においては、1時間後、2時間後および24時間後のエチレンガス濃度が低く、かつ、ガス除去率が92.8%以上であり、エチレンガス吸着除去性能が特に優れていた。
【0050】
実施例1、2、5、6の組成物の過マンガン酸カリウムの含有量は、5重量%であることから、エチレンガスに対して吸着除去性能を有する無機系酸化物として過マンガン酸カリウムを用いる場合には、その含有量を5重量%とするのが好ましいと考えられる。
また、この結果から、過マンガン酸カリウムを5重量%という低濃度で含有していれば、充分なエチレンガス吸着除去性能が発揮できるともいえるので、実施例1、実施例2、実施例5および実施例6の組成物によれば、安全で、取り扱いの容易なエチレンガス除去剤が提供できる。
【0051】
比較例1の組成物は、実施例1、2と、物理吸着材[1]と過マンガン酸カリウムとの混合方法が相違するだけであるにもかかわらず、24時間経過してもエチレンガス濃度がほとんど低下せず、エチレンガス除去性能が低かった。
【0052】
この理由は以下のように考えられる。実施例1、2の組成物を作製する過程では、物理吸着材[1]と過マンガン酸カリウムとをともに粉砕することで、その粉砕過程において混合が行われており、摩擦、剪断、圧縮等のエネルギーが加えられることにより相互の付着が強固となり、細部まで均等に分散された状態になる。その状態では、吸着捕集されたエチレンガスに対する過マンガン酸カリウムによる化学分解反応が促進され、周辺雰囲気中のエチレンガス濃度の低減速度を著しく向上させることができるとともに、低濃度域における吸着除去能力も著しく向上させ得る。一方、比較例1の組成物では物理吸着材[1]と過マンガン酸カリウムを別々に粉砕してから混合して作製されているので、前述したような、粉砕過程において混合が行われることに起因する効果が得られなかったと考えられる。
【0053】
比較例2の試料H(過マンガン酸カリウムのみを使用)では、試験開始後1時間後までのエチレンガス濃度の低下は著しいが、その後はあまりエチレンガス濃度を低下させることができず、ガス除去率は61.9%にとどまった。過マンガン酸カリウムは、エチレンガスと反応するが、エチレンガスを吸着する化合物ではないため充分にエチレンガスを除去できなかったと考えられる。
【0054】
比較例3の試料I(物理吸着材[1]のみを使用)では、全くエチレンガス除去性能が発現しなかった。これは、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含んでいないからであると考えられる。
【0055】
ゼオライトと過マンガン酸カリウムとを含む比較例4の試料Jでは、実施例1〜6の組成物のような、試験開始直後におけるエチレンガス濃度の急激な低下は見られず、24時間経過時のエチレンガス濃度は20ppm以上であり、エチレンガス除去性能は充分でなかった。
【0056】
これは、ゼオライトのように、ミクロ孔のみを有する無機組成物であると、比表面積が大きいため単位面積あたりの被処理物の吸着可能な量は理論的に大きいが、現実的には開口面積が小さいため被処理物が無機組成物の細孔内までなかなか浸透しないことが理由ではないかと考えられる。
【0057】
ゼオライトと銀イオンを含む比較例5の試料Kでは、ほとんどエチレンガス除去性能が発現しなかった。これは、銀イオンは、エチレンガスに対する分解除去性能をほとんど有していないからであると考えられる。
【0058】
活性炭とパラジウム触媒を含む比較例6の試料Lでは、試験開始直後にエチレンガス濃度が若干低下したものの、充分なエチレンガス除去性能を有していなかった。
竹の抽出物を含む比較例7の試料Mでは、エチレンガス濃度の低下がほとんど認められず、エチレンガス除去性能はほとんど発現しなかった。
【0059】
2.C/S比の検討
C/S比について、以下の方法により検討した。
実施例1、実施例5、および実施例6において、CSHの炭酸化により得られた物理吸着材[1]〜[3]の比表面積を、BET比表面積測定法によって測定した。測定結果と、CSHの炭酸化により得られた炭酸カルシウムと非晶質シリカの生成比率、および上記エチレンガス吸着除去率試験の結果の順位とを併せて表2に示す。なお、表2中の炭酸カルシウムと非晶質シリカの生成比率は、実施例中で示した生成比率である。表2中、吸着性能順位とは、物理吸着材[1]〜[3]をそれぞれ含む実施例1、5、6の組成物のうちエチレンガス除去率(表1を参照)の高いものから順に並べた場合の順位のことをいう。
【0060】
【表2】

【0061】
表2からわかるように、CSHの炭酸化により得られる炭酸カルシウムと非晶質シリカとの混合物質の比表面積は、C/S比が0.6の場合に、最も大きくなり、C/S比が0.8のときが最も小さかった。また、前記混合物質と過マンガン酸カリウムとを混合して作製した組成物のエチレンガス吸着性能は、比表面積と同様、C/S比が0.6の場合に、最も高く、C/S比が0.8の場合に最も低かった。
【0062】
この理由は以下のように考えられる。
C/S比が大きいと、CSHに含まれるカルシウム量が多くなるので、それを炭酸化した場合、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の結晶格子内のカルシウムが溶出し、それにより、結晶格子に「欠け(ホール)」が発生し、細孔が形成される。そして、結晶格子内から溶出したカルシウムは二酸炭素と反応し、炭酸カルシウムとなって析出する。つまり、C/S比が大きい方が、より多くの細孔が形成されることになると考えられる。
しかし、C/S比が大きくなると、二酸炭素と反応して析出する炭酸カルシウムの量が増えるので、析出した炭酸カルシウムが、形成された細孔を塞ぐ現象が起きて、C/S比が0.8の場合には、C/S比が0.6、0.4の場合よりも比表面積が小さくなったのではないかと考えられる。
そして、炭酸カルシウムと非晶質シリカとの混合物質の比表面積が大きくなるに従い、より多くのエチレンガスを吸着することができるので、C/S比が0.6の場合に、最もエチレンガス吸着性能が高かったのではないかと考えられる。
【0063】
3.X線回折分析
実施例1で用いた低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(炭酸化前)と、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化した後に得られた炭酸カルシウムと非晶質シリカのとの混合物についてX線回折分析を行い、結果を図4および図5にそれぞれ示した。
X線回折分析装置としてRigaku社製「Multiflex」を用い、Cu/40kv/30mAの条件で測定を行った。
【0064】
図4のX線回折パターンにおいては、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の存在を示すピーク(図中のCSH)と、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物の原料に含まれる消石灰の残存を示すポルトランダイトのピーク(図中のP)が確認された。
図5のX線回折パターンにおいては、炭酸カルシウムであるカルサイトのピーク(図中のC)、バテライトのピーク(図中のV)およびアラゴナイトのピーク(図中のA)、非晶質シリカのブロードなピーク(図中点線で囲んだ部分)が確認された。なお、非晶質なものは結晶格子を持たないので、シャープなピークを示さない。
図4と図5より、低結晶質ケイ酸カルシウム化合物の炭酸化処理により、炭酸カルシウムと非晶質シリカとが生成されることが確認された。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では過マンガン酸カリウムを0.5重量%、5重量%、10重量%含有するものを示したが、過マンガン酸カリウムの量は3重量%、7重量%などであってもよいし、過マンガン酸カリウムに代えて他のエチレンガス吸着除去性能を有する無機系酸化物を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の無機組成物と典型的なA型ゼオライトおよびX型ゼオライトの細孔直径と微分細孔容積との関係を示す図である。
【図2】性能試験の結果を示す図であり、縦軸はエチレンガス濃度(ppm)、横軸は経過時間(h)を示している。
【図3】性能試験の結果を示す図であり、縦軸はエチレンガス濃度(ppm)、横軸は経過時間(h)を示している。
【図4】炭酸化処理前の低結晶質ケイ酸カルシウム水和物のX線回折パターンである。
【図5】低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化処理した後の炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物のX線回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸カルシウムと非晶質シリカとを主成分とする無機組成物であって、平均細孔径の小径側と大径側とに、それぞれ1つ以上のピークが存在する細孔径分布を有し、
かつ、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物を含有することを特徴とするエチレンガス吸着性無機組成物。
【請求項2】
前記ピークのうち平均細孔径よりも小径側のピークの頂点が直径2nm以下の領域にあり、平均細孔径よりも大径側のピークの頂点が直径5nm以上の領域に少なくとも1つあることを特徴とする請求項1に記載のエチレンガス吸着性無機組成物。
【請求項3】
前記炭酸カルシウムにはバテライトが含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエチレンガス吸着性無機組成物。
【請求項4】
前記無機系酸化物の含有量が、前記エチレンガス吸着性無機組成物の全重量に対して0.5重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のエチレンガス吸着性無機組成物。
【請求項5】
前記無機系酸化物が、過マンガン酸カリウムであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のエチレンガス吸着性無機組成物。
【請求項6】
ケイ酸質原料と石灰質原料とを反応させることにより低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を得る工程と、
前記低結晶質ケイ酸カルシウム水和物を炭酸ガスで炭酸化処理して炭酸カルシウムと非晶質シリカとを含む組成物を得る工程と、
前記組成物を、エチレンガスに対して分解除去性能を有する無機系酸化物とともに粉砕する工程と、
を経るエチレンガス吸着性無機組成物の製造方法。
【請求項7】
前記ケイ酸質原料と前記石灰質原料とのモル比(CaO/SiO)が、0.4〜0.8であることを特徴とする請求項6に記載のエチレンガス吸着性無機組成物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−72669(P2009−72669A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242517(P2007−242517)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】