説明

エチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステル

(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物と、(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとの縮合により、又は(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとの縮合により得られる少なくとも1種の高分岐ポリエステルとを、反応させることにより得られる、エチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の高分岐ポリエステルとを、
反応させることにより得られ、且つ
上記少なくとも1種の高分岐ポリエステルが、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを、
縮合させることにより得られるものである、エチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルに関する。
【0002】
さらに本発明は、不飽和基含有高分岐ポリエステルの製造方法、及びこのようにして得られた不飽和基含有高分岐ポリエステルを、バインダとして、例えば、放射線硬化性組成物(例、コーティング、塗料及び塗装系、接着剤、及び印刷インキ)において使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
変性された高官能性高分岐ポリエステル及びポリエステルベース・デンドリマー(dendrimer)は公知であり(例えば、WO96/19537参照)、さらに特定の用途では、例えば衝撃改質剤として使用されている。しかしながら、デンドリマーは、その合成には、積み上げ反応(buildup reaction)の収率及び中間体及び最終生成物の純度に対して厳格な要件が求められ、また大規模な工業的用途には高価すぎる試薬を必要とするので、多くの用途で使用するには余りにも高価である。
【0004】
特許文献1(WO93/17060)には、デンドリマー状(樹岐状)ポリエステルの製造方法が開示されている。ポリオールの出発分子、例えばトリメチロールプロパンは、第1世代のデンドリマーが得られるような量でジメチロールプロピオン酸と反応する。高度な世代のデンドリマーは、ジメチロールプロピオン酸の段階的添加により形成される。得られるポリエステルは、次いでさらに官能化される。開示された方法は極めて不便であり、顕著な柔軟性をもたらさない。
【0005】
特許文献2(WO00/64975)では、厳密にデンドリマー状のポリエステルBoltorn(登録商標)H20をアクリル酸及び2000g/モル以下の分子量の多官能アルコールと反応させ、これをコーティング処方で使用する。
【0006】
特許文献3(WO00/59982)では、高分岐と呼ばれるポリエステルと、例えばグリシジルメタクリレート(9頁参照)との反応が記載されている。しかしながら、この記載から、特許文献3では、高分岐ポリエステルはデンドリマー構築の第1世代オリゴマーを含むと考えられている(第1頁、31行以降)。
【0007】
デンドリマー状のポリエステルの合成は、上述のように、不便であり、柔軟性に欠ける。変性デンドリマーの性能についても、多くの場合、さらに改良の必要がある。
【0008】
【特許文献1】WO93/17060
【特許文献2】WO00/64975
【特許文献3】WO00/59982
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、新規な不飽和基含有ポリエステルを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、先行技術の不利を回避した不飽和基含有ポリエステルを製造する方法を提供することにある。別の目的は、不飽和基含有ポリエステルの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記目的は、冒頭で定義された不飽和基含有高分岐ポリエステルにより達成されることを見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の意味における高分岐ポリエステルは、分子的にも、構造的にも一様ではない。分子的にも、構造的にも一様ではないことから、これらは、分子的、構造的に一様であるデンドリマーとは異なっている。
【0013】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとの縮合により、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとの縮合により得られる少なくとも1種の高分岐ポリエステル自体と、
(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物とを、
反応させることにより得られる。
【0014】
上記バージョン(a)のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,β−ジカルボン酸、ドデカン−α,β−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、及びシス−及びトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸を挙げることができ、
上記ジカルボン酸は、無置換でも、以下の基より選択される1個以上の基により置換されていても良い:
即ち、C1〜C10アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソへプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル;
3〜C12シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、及びシクロドデシル;好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロへプチル;
メチレン又はエチリデン等のアルキレン基;又は
6〜C14アリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル及び9−フェナントリル、好ましくはフェニル、1−ナフチル及び2−ナフチル、特に好ましくはフェニル。
【0015】
置換ジカルボン酸の代表例としては、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸を挙げることができる。
【0016】
バージョン(a)のジカルボン酸の中に含まれるものとして、さらに、エチレン性不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸及びフマル酸、そして芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸を挙げることができる。
【0017】
2種以上の前述の代表例の混合物も使用することができる。
【0018】
ジカルボン酸は、それ自体で、或いは誘導体として使用することができる。
【0019】
好ましい誘導体としては、モノマー又はポリマー形態の対応する無水物、モノアルキル又はジアルキルエステル(好ましくはモノメチル又はジメチルエステル、又は対応するものエチル又はジエチルエステル)を挙げることができるが、高級アルコール(例、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びn−ヘキサノール)から誘導されるモノアルキル又はジアルキルエステル、そしてモノビニル又はジビニルエステル、さらに混合エステル(好ましくはメチルエチルエステル)も挙げることができる。
【0020】
本発明では、ジカルボン酸とその誘導体の1種以上との混合物を使用することも可能である。本発明では、同様に、1種以上のジカルボン酸の2種以上の異なる誘導体の混合物を使用することができる。
【0021】
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸又はそのモノメチル若しくはジメチルエステルを使用することが特に好ましい。アジピン酸の使用が特に好ましい。
【0022】
バージョン(a)の少なくとも3官能のアルコールとしては、グリセロール、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン又はジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトール;糖アルコール(例、メソエリスリトール、トレイトール、ソルビトール、及びマンニトール);或いは上記少なくとも3官能のアルコールの混合物を挙げることができる。グリセロールオリゴマーとしては、また式III:
【0023】
【化1】

【0024】
[例えば、上式において、xが1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、特に2〜3の整数である]で表されるものが好適である。異なるグリセロールオリゴマー及びグリセロールオリゴマーとグリセロールとの混合物も当然好適である。
【0025】
さらに、酸性の水素原子を含む基を少なくとも3個有する化合物を、エトキシル化及び/又はプロポキシル化することにより得られるポリエーテルポリオールが好適である。エトキシル化が好ましい。
【0026】
酸性の水素原子を含む基を少なくとも3個有する化合物の例としては、アルコール、特に少なくとも3個のOH基を含む飽和アルコール(例、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン又はペンタエリスリトール)を挙げることができる。しかしながら、好適なアミン又はアミノアルコール、例えばジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン又はジイソプロピルエタノールアミン)を使用することも可能である。
【0027】
エトキシル化の程度は、通常、酸性水素含有基1個に対して0.1〜10個のエチレンオキシド単位の範囲である。1〜6単位、特に2〜5単位が好ましい。使用されるポリエーテルポリオールの数平均分子量Mnは、通常100〜1000g/モルである。エトキシル化トリメチロールプロパン、エトキシル化グリセロール又はエトキシル化ペンタエリスリトールの使用が好ましい。
【0028】
PPO−PEOブロックから形成される少なくとも3個のアームを有するも星形分子も好適である。
【0029】
グリセロール、トリグリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、及びペンタエリスリトールが好ましい。
【0030】
バージョン(b)のトリカルボン酸又はポリカルボン酸の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、及びメリティック(mellitic)酸を挙げることができる。
【0031】
トリカルボン酸又はポリカルボン酸は、そのまま、或いは誘導体の形で使用することができる。
【0032】
好ましい誘導体としては、モノマー又はポリマー形態の対応する無水物、モノアルキル、ジアルキル又はトリアルキルエステル(好ましくはモノメチル、ジメチル又はトリメチルエステル、又は対応するものエチル、ジエチル又はトリエチルエステル)、そして高級アルコール(例、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びn−ヘキサノール)から誘導されるモノエステル、ジエステル又はトリエステル、そしてモノビニル、ジビニル又はトリビニルエステル、そしてさらに混合のメチルエチルエステルを挙げることができる。
【0033】
本発明では、トリカルボン酸又はポリカルボン酸及び1種以上のその誘導体の混合物を使用することも可能である。同様に、本発明では、1種以上のトリカルボン酸又はポリカルボン酸の2種以上の異なる誘導体の混合物を使用することもできる。
【0034】
本発明のバージョン(b)におけるジオールの例としては、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、イノシトール及び誘導体、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2、4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2、5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール:HO(CH2CH2O)n−H、又はポリプロピレングリコール:HO(CH(CH3)CH2O)n−H、又は上述の化合物の代表例2種以上の混合物(但し、nが整数で、且つ100>n≧4である)を挙げることができる。上述のジオールの1個又は両方のヒドロキシル基は、SHで置換されていても良く、例えばメルカプトエタノールである。エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールが好ましい。
【0035】
バージョン(a)及び(b)におけるヒドロキシル基のカルボキシル基に対するモル比は、2:1〜1:2、特に1.5:1〜1:1.5の範囲にある。
【0036】
バージョン(a)の少なくとも3官能のアルコールは、それぞれが等しい反応性のヒドロキシル基を有していても良い。
【0037】
しかしながら、バージョン(a)の少なくとも3官能のアルコールは、少なくとも2個の化学的に異なる反応性を有するヒドロキシル基を有していても良い。
【0038】
ヒドロキシル基の反応性の相違の基礎は、化学的(例、1級/2級/3級のOH基)又は立体障害のいずれかであろう。酸性基とも反応し、そのOH基は初期は等しい反応性であるが、少なくとも1個の酸性基の反応により、残存OH基間において、立体的又は電子的影響による反応性の低下をもたらし得る。これは、例えば、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールを使用した場合に起こる。
【0039】
例えば、トリオールは、1級及び2級のヒドロキシル基を有するトリオールでも良く、好ましい例はグリセロールである。
【0040】
バージョン(a)において、少なくとも3官能のアルコールを、平均ヒドロキシル官能価が2を超えるアルコール混合物の形で使用することが可能である。
【0041】
バージョン(b)において、トリカルボン酸又はより高官能のカルボン酸を、平均COOH官能価が2を超えるカルボン酸混合物の形で使用することも可能である。
【0042】
少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する化合物は、末端エチレン性二重結合を有する化合物、即ち、C−C二重結合の2個の炭素原子の1個が置換基として水素原子のみ有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸、不飽和アルコール、不飽和アミン、そして特に不飽和カルボン酸エステルを挙げることができる。
【0043】
少なくとも1種のエチレン性二重結合を有する化合物の例としては、下記の式Ia又はIb:
【0044】
【化2】

で表される化合物を挙げることができる。
【0045】
上式において、
1が、
非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル)、好ましくはC1〜C4アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル);
及び水素から選択され、
水素とメチルが極めて好ましく;
2が、
非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル)、好ましくはC1〜C4アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル);
COOH、
2〜C6アルケニル(例、−CH=CH2、syn−CH=CH−CH3、及びanti−CH=CH−CH3)、
及び水素から選択され、
水素が極めて好ましく;
Xが、ハロゲン(例、F、Cl、Br、I)及びOR3から選択され、特にCl及びOR3
{R3が、水素又は、
非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル)、好ましくはC1〜C4アルキル(例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル)から選択される};
少なくとも1個の官能基(例、−OH、−SH、−NH2、−NH−C1〜C10アルキル、−NH−CO−C1〜C10アルキル)を有する非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル(特に、2−ヒドロキシエチル、2−アミノエチル、2−メルカプトメチル、3−ヒドロキシプロピル、3−アミノプロピル、ω−ヒドロキシ−n−ブチル及びω−アミノ−n−ブチル)、
式:−(CH2CH2O)n−H(nは2〜100の整数、好ましくは50まで、特に好ましくは10まで)で表されるポリエチレングリコール誘導体、
式:−[CH(CH3)−CH2−O]n−H(nは2〜100の整数、好ましくは50まで、特に好ましくは10まで)で表されるポリプロピレングリコール誘導体、
下式のグリシジル:
【0046】
【化3】

【0047】
H−CO(ホルミル)、又は
非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル−CO(例、アセチル、プロピオニル、n−ブチルイル、n−バレロイル)及び
6〜C10アリール−CO(例、α−ナフトイル、β−ナフトイル、特にベンゾイル)から選択される。
【0048】
少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する化合物の他の例としては、3〜30個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和カルボン酸、例えばリノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸(シス−CH3(CH27CH=CH−(CH211−COOH)、オレイン酸、エレオステアリン酸(シス、トランス、トランス−9,11,13−オクタデカトリエノ酸(octadecatrienoic))、
飽和カルボン酸との混合物である3〜30個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和カルボン酸、例えば天然油又は変性天然油(例、亜麻仁油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、ひまし油及び脱水素ひまし油;
3〜40個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、ヘキサ−1−エン−3−オル、ヘキサ−2−エン−1−オル;及び
3〜20個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和アミン、例えばアリルアミン及びヘキサ−1−エン−3−アミン;
を挙げることができる。
【0049】
また、少なくとも1個のヒドロキシル基が不飽和アルコールでエーテル化され、そして少なくとも1個のヒドロキシル基がエーテル化されていないジオール及びポリオールもまた、好適である。例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル及びヘキサンジオールモノビニルエーテルを挙げることができ、他のヒドロキシル基は飽和アルコールでエーテル化することができる。
【0050】
また、少なくとも1個のヒドロキシル基が不飽和アルコールでエステル化され、そして少なくとも1個のヒドロキシル基がエステル化されていない(他のヒドロキシル基は飽和アルコールでエーテル化することができる)ジオール及びポリオールもまた、好適である。例えば、ペンタエリスチリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びペンタエリスチリルジ(メタ)アクリレートモノステアレートを挙げることができる。
【0051】
例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステルも挙げることができる。
【0052】
例えば、ブタジエンモノエポキシド等のジエン及びトリエンモノエポキシドを挙げることができる。
【0053】
2〜20個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和ハライド、例えば塩化ビニル、塩化アリル及び臭化アリルを挙げることができる。
【0054】
例えば、DE−A10038617及びEP−A1110946に記載されているイソシアナト(メタ)アクリレート、特にジ−又はトリイソシアネート(例、トルエンイソシアネート、イソホロンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(下記式):
【0055】
【化4】

と、式II:
【0056】
【化5】

【0057】
[式IIにおいて、R1及びR2が前記と同義であり、
aが、2〜20の整数、好ましくは2〜4の整数であり、
1が、酸素、イオウ及びNHから選択され、
2が、−OH、−SH及びNH2から選択される。]
で表される化合物との反応生成物を挙げることができる。
【0058】
好ましいイソシアナト(メタ)アクリレートは、
【0059】
【化6】

【0060】
[但し、R1が前記と同義であり、特に水素又はメチルを表し、そしてbが、2〜6の整数、特に2〜4の整数である。]
である。
【0061】
不飽和ハロゲン化シラン、好ましくはClSi(CH2CH=CH23も挙げることができる。
【0062】
式R5−NH2及びR56−NH(但し、R5が1〜3個のC−C二重結合を有するC2〜C20アルケニル基を表し、そしてR6が前記で定義したC1〜C10アルキル基及びR5から選択される。)の不飽和アミンも挙げることができる。
【0063】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、一般に、600〜50000g/モル、好ましくは950〜20000g/モルの平均分子量Mnを有する。
【0064】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、一般に、1000〜100000g/モル、好ましくは1100〜50000g/モルの平均分子量Mwを有する。平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定される。
【0065】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、通常、異なる構造の異性体、オリゴマー及びポリマーの分離が困難な混合物の形態で得られる。
【0066】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、平均で、分子当たり少なくとも1個の不飽和基、好ましくは少なくとも2個の不飽和基、さらに、好ましくは少なくとも3個の不飽和基を有する。1分子当たりのエチレン性不飽和基の数は、通常の方法:例えばヨウ素価により、又はUV/可視(vis)分光法及び1H−NMR分光法により測定することができる。本発明では、平均で唯1個のエチレン性不飽和基を含有する高分岐ポリエステルでさえ、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルと考えることができる。
【0067】
本発明の一態様において、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルの多分散度は、1.05〜50の範囲、好ましくは1.1〜40の範囲、さらに好ましくは30以下、極めて好ましくは10以下の範囲にある。
【0068】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、通常、極めて良好な溶解性を示す;即ち、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルを50質量%以下、場合によっては80質量%以下でさえ含む溶剤溶液でも透明な状態で製造することができる。その溶剤の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸n−ブチル、エタノール及びその他の多数の溶剤を挙げることができ、ゲル粒子は裸眼では検出できない。
【0069】
本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルは、変色及び樹脂化のレベルが極めて低いことにより、識別することができる。高分岐ポリマーの定義については、P.J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74,2718及びA.Sunder et al., Chem. Eur. J. 2000,6, No. 1, 1-8を参照、
本発明は、さらに、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルの製造方法を提供する。
【0070】
一変法において、バージョンAとして以下に述べるように、本発明の方法は、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを、
縮合することにより、少なくとも1種の高分岐ポリエステルを合成する工程、及び
次いで、その合成生成物を、(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物と反応させる工程
を含むものである。
【0071】
別の変法において、バージョンBとして以下に述べるように、本発明の方法は、
(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物の存在下に、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを、
縮合することにより、少なくとも1種の高分岐ポリエステルを合成する工程を含むものである。
【0072】
ポリエステルの官能基と反応することができる、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(c)の官能基は、簡単にするために、化合物(c)の官能基として以下に定義する。対応する、(c)の各官能基と反応することができる高分岐ポリエステルのヒドロキシル基又はカルボキシル基も、簡単にするために、高分岐ポリエステルの官能基として以下に言及する。
【0073】
特に断らない限り、下記の注釈は、本発明の方法の両方のバージョンに関係している。
【0074】
物質(a)、(b)及び(c)の種類は前記で定義された。
【0075】
バージョンAに従い本発明の方法を行うために、二段階法が実施される。バージョンBに従い本発明の方法を行うために、一段階法が実施される。
【0076】
バージョンAに従い本発明の方法を行うには、
a)少なくとも1種のカルボン酸又はその誘導体と少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールと、又は
b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールと
の比を、カルボキシル基及び/又は誘導化カルボキシル基のヒドロキシル基に対する比が約2:1〜1:2、好ましくは3:2〜2:3となるように、
選択することが好ましい。
【0077】
バージョンAに従う本発明の方法を実施する際、次の工程は、少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物(c)の量を、高分岐ポリエステルの官能基の(c)の官能基に対するモル比が100:1〜1:10、好ましくは20:1〜1:2、さらに好ましくは1:1までとなるように加えることである。
【0078】
バージョンBに従い本発明の方法を行うには、
a)少なくとも1種のカルボン酸又はその誘導体と少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールと、又は
b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールと、及び
c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物
の比を、(a)又は(b)のカルボキシル基及び/又は誘導化カルボキシル基の(b)又は(a)のヒドロキシル基に対するそれぞれの比が、約3:1〜1:3となるように、選択することが好ましい。さらに、(c)の量は、その場で形成される高分岐ポリエステルの官能基の、(c)の官能基に対するモル比が、100:1〜1:10、好ましくは20:1〜1:1となるように選択される。
【0079】
本発明の方法は、酸性触媒の非存在下で実施することができる。酸性の有機、無機若しくは有機金属触媒、又は2種以上の、酸性の有機、無機若しくは有機金属触媒の混合物の存在下に、実施することが好ましい。
【0080】
本発明で使用される酸性の無機触媒の例としては、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH≦6、特にpH≦5)、及び酸性アルミナを挙げることができる。例えば、式:Al(OR43のアルミニウム化合物及び式:Ti(OR44のチタン酸塩(エステル):
[但し、R4が、それぞれ同一でも異なっていても良く、相互に独立して、
1〜C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソへプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル;
3〜C12シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル;好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロへプチル;
から選択される。]
を酸性の無機触媒として使用することも可能である。
【0081】
式:Al(OR43及び式:Ti(OR44のR4はそれぞれ、同一で、イソプロピル及び2−エチルヘキシルから選択されることが好ましい。
【0082】
好ましい酸性の有機金属触媒は、例えば、ジアルキルスズオキシド(R42SnO[但し、R4は前記と同義である]から選択される。酸性の有機金属触媒の特に好ましい1つの代表例は、オキソ−スズ形態で市販されているジ−n−ブチルスズオキシドである。ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、及びジ−n−ブチルスズジ−n−ブチレートも好ましい。
【0083】
好ましい酸性の有機触媒としては、例えば、リン酸塩(エステル)、スルホン酸、硫酸塩(エステル)又はホスホン酸グループを挙げることができる。例えば、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸が特に好ましい。酸性イオン交換体は、酸性の有機触媒として使用することができ、例えば約2モル%のジビニルベンゼンで架橋されたスルホ含有ポリスチレン樹脂を挙げることができる。
【0084】
前述の触媒の2種以上の組合せを使用することができる。また、固定形態の、離散分子の形で存在する有機、有機金属又は無機の触媒を用いることも可能である。
【0085】
酸性の有機、無機若しくは有機金属触媒を使用される場合、本発明で使用される触媒の量は0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜2質量%である。
【0086】
1種又は2種以上の酵素による分解生成物は、本発明で使用される酸性の有機触媒には含まれない。同様に、本発明に従い反応するジカルボン酸は、本発明で使用される酸性の有機触媒には含まれない。
【0087】
別の態様において、本発明の方法は、少なくとも1種の酵素の存在下に行われる。リパーゼ及びエステラーゼの使用が好ましい。極めて好適なリパーゼ及びエステラーゼとしては、カンジダ・シリンドラセア(Cnadida cylindracea)、カンジダ・リポリチカ(Cnadida lipolytica)、カンジダ・ルゴサ(Cnadida rugosa)、カンジダ・アンタルクチカ(Cnadida antarcitica)、カンジダ・ウチリス (Cnadida utilis)、クロモバクテリウム・ビスコスム(Chromobacterium viscosum)、ゲオトリクム・ビスコスム(Geotrichum viscosum)、ゲオトリクム・カンジズム(Geotrichum candidum)、ムコル・ヤバニクス(Mucor javanicus)、ムコル・ミエヘイ (Mucor miehei)、ピグ・パンクレアス(pig pancreas)、プソイドモナス・エスピピ(Pseudomonas spp.)、プソイドモナス・フルオレセンス(Pseidomonas fluorescens)、プソイドモナス・セパシア(Pseidomonas cepacia)、リヒゾプス・アルヒズス(Rhizopus arrhizus)、リヒゾプス・デレマル(Rhizopus delemar)、リヒゾプス・ニベウス (Rhizopus niveus)、リヒゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergilus niger)、ペニシリウム・ロケホルチ(Penicillium roquefortii)、ペニシリウム・カメンベルチ(Penicillium cmembertii)、又はバシルス・エスピピ(Bacillus spp.)及びバシルス・テルモグルコシダシウス(Bacillus thermoglucosidasius)からのエステラーゼを挙げることができる。特に、カンジダ・アンタルシチカ(Cnadida antarcitica)リパーゼBが好ましい。上記の酵素は、Novozymes Biotech Inc., Denmarkから市販されている。
【0088】
固定形態の酵素、例えばシリカゲル又はLewatit(登録商標)上の固定形態の酵素を用いることが好ましい。酵素を固定する方法は、例えば、Kurt Faber, "Biotransformations in Organic Chemistry", 第3版, 1997, Springer Verlag, Section 3.2 "Immobilization" 345-356頁に記載されており公知である。固定化酵素は、Novozymes Biotech Inc., Denmarkから市販されている。
【0089】
使用される酵素の量は、使用される反応出発材料の合計量に対して、1〜20質量%、特に10〜15質量%が好ましい。
【0090】
本発明の一態様において、本発明の方法は、不活性ガス雰囲気、例えば二酸化炭素、窒素又は貴ガス(特にアルゴン)の雰囲気下に行うことができる。
【0091】
酵素の非存在下に本発明を実施する場合、80〜200℃の温度で行うことが好ましい。130〜180℃、特に150℃以下の温度で行うのが好ましい。特に、145℃、さらに135℃までの最大温度が好ましい。
【0092】
酵素の存在下に本発明を実施する場合、40℃を超える、さらに60℃を超える温度で行うことが好ましい。100℃以下の温度で行うのが好ましい。特に、80℃以下の温度、さらに62〜75℃、とりわけ65〜75℃の温度が好ましい。
【0093】
本発明の方法の圧力条件は、それ自体臨界的ではない。かなりの減圧下、例えば10〜500ミリバールで実施することができる。本発明の方法は、500ミリバールを超える圧力で行うこともできる。簡単にするため、反応を大気圧下で行うことも好ましいが、少し高い圧力、例えば1200ミリバールで行うこともできる。かなり高圧下、例えば10バール以下、での作業も可能である。大気圧下での反応が好ましい。
【0094】
本発明の方法の反応時間は、通常、10分〜25時間、好ましくは30分〜10時間、さらに好ましくは1〜8時間である。
【0095】
反応終了後、所望の生成物を、例えばろ過により触媒を除去し、ろ液を濃縮する(通常減圧下)ことにより、容易に単離することができる。さらによ高度に好適な後処理法として、水添加の後の沈殿、そして続く洗浄及び乾燥を挙げることができる。透析法もさらなる精製に使用することもできる。特に好適な透析法は、ベンゾイル化セルロース膜を使用する方法である。透析法は、特に、低揮発性の未反応低分子反応剤、例えば脂肪酸、の分離に好適である。
【0096】
バージョンAに従う本発明の方法を行う場合、高分岐ポリエステルを分離する必要はなく、その代わり、即座に、(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物を添加することにより操作を続けることができる。
【0097】
バージョンAに従う本発明の方法を行う場合、2種の異なる触媒を2段階で使用することができる。例えば、第1の高分岐ポリエステルを酵素触媒で作製し、その後(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物を、例えば(R42SnOの触媒反応で縮合することができる。同様に、第1の高分岐ポリエステルを(R42SnOの触媒反応で作製し、その後(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物を、酵素触媒反応により縮合することができる。
【0098】
バージョンBに従う本発明の方法を行う場合、フリーラジカル・スカベンジャー(阻害剤)の存在下に行うことが好ましい。好適な阻害剤の例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、フェノール誘導体(例、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール及び6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール)、及びN−オキシル化合物(例、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPOL)、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)を挙げることができる。慣用の阻害剤の量は、使用される少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する化合物の合計量に対して50〜2000ppmの範囲である。
【0099】
バージョンAに従う本発明の方法を行う場合、少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物(c)の添加に続いて、フリーラジカルスカベンジャー(阻害剤)、上述の適当な阻害剤の存在下に行うことが好ましい。少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物(c)の添加の前に、阻害剤を添加することも可能であることが分かるであろう。
【0100】
本発明の方法は、反応の開始前に加えられた水分除去剤添加剤の存在下に行うことができる。適当な例として、分子篩い、特に4Å分子篩い、MgSO4及びNa2SO4を挙げることができる。さらに、水分除去剤添加剤は反応中に添加することも可能であり、或いは反応中に新しい水分除去剤添加剤と交換することも可能である。反応中に形成される水又はアルコールは、留去することができ、そして例えば、水分離器を使用することができる。
【0101】
本発明の方法は、溶剤の存在下に行うことができる。好適な溶剤の例としては、炭化水素、例えば、パラフィン又は芳香族化合物を挙げることができる。特に好適なパラフィンとしては、n−ヘプタン及びシクロヘキサンを挙げることができる。特に好適な芳香族化合物は、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、キシレン異性体混合物、エチルベンゼン、クロロベンゼン、及びo−ジクロロベンゼン及びm−ジクロロベンゼンである。さらに、酸触媒の非存在下における好適な溶剤としては、エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン、及びケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンを挙げることができる。
【0102】
本発明によれば、溶剤の添加量は、使用される反応出発材料の質量に対して、少なくとも0.1質量%であり;少なくとも1質量%が好ましく、特に少なくとも10質量%が好ましい。使用される反応出発材料の質量に対して、過剰の溶剤を使用することもでき、例えば、1.01〜10倍である。使用される反応出発材料の質量に対して、100倍を超える溶剤の量は、不利である。なぜなら、反応剤の著しい濃度低下のため、反応速度が極端に小さくなり、非経済的な長い反応時間を要するためである。
【0103】
しかしながら、溶剤を使用することなく、実施することも可能である。
【0104】
本発明の方法は、少なくとも1種の飽和モノカルボン酸又はその誘導体、或いは少なくとも1種の飽和アルコールの存在下に行うことができ、そして得られる生成物の分子量は、この方法により影響され得る。好適な代表例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、カプリル酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、n−テトラデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソノナン酸、及び2−エチルヘキサン酸を挙げることができる。
【0105】
アルコールの好適な代表例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンゾイルアルコール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール及び1−オクタデカノールを挙げることができる。
【0106】
さらに本発明は、バインダとして、例えばコーティング、特にクリヤーコート材料のバインダとして、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルを使用する方法も提供する。
【0107】
さらに本発明は、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステル用いて放射線硬化性組成物を製造する方法も提供する。また、本発明の飽和基含有ポリエステルを含む放射線硬化性組成物も提供する。
【0108】
本発明の放射線硬化性組成物は、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルに加えて、反応性希釈剤、光重合開始剤、及び他の一般のコーティング添加剤を含むことができる。
【0109】
適当な反応性希釈剤の例としては、放射線硬化性、フリーラジカル重合希釈剤、例えばトリメチロールプロパンのトリアクリル酸エステル、ペンタエリスリトールのテトラアクリル酸エステル、及びこれらのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジプロピレングリコールのジアクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジアクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジアクリル酸エステル、1,2−エタンジオールのジアクリル酸エステル、1,3−又は1,4−ブタンジオールのジアクリル酸エステル、又は1,6−ヘキサンジオールのジアクリル酸エステルを挙げることができる。
【0110】
例えば、C1〜C20アルキル(メタ)アクリレート、及び炭素原子数20個以下のビニル芳香族化合物も挙げることができる。
【0111】
好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、C1〜C10アルキル基を有するもの、例えば、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートを挙げることができる。
【0112】
上述のアルキル(メタ)アクリレートの混合物が特に好適である。
【0113】
好適なビニル芳香族化合物の例としては、ビニルトルエン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンを挙げることができ、好ましくはスチレンである。
【0114】
本発明の放射線硬化性組成物は、光重合開始剤を、個別のコーティング材料に対して0.1〜5質量%含んでいることが好ましい。
【0115】
光重合開始剤としては、当該技術者に公知の光重合開始剤を使用することができ、その例としては、"Advanced in Polymer Science", 第14巻, Springer Berlin 1974又はK.K. Dietilker, Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings, Inks and Paints, 第3巻: Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P.K.T. Oldring (Ed), SITA Technology Ltd, Londonに規定されたものである。
【0116】
好適な例として、モノ−又はビス−アシルホスフィンオキシド、例えばIrgacure 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)、例えばEP−A0007508、EP−A0057474、DE−A19618720、EP−A0495751又はEP−A0615980に記載されているような、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸及びその誘導体、或いは上述の光重合開始剤の混合物を挙げることができる。好ましい例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、p−メトキシアセトフェノン、β−メチルアントラキノン、tert−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソ−プロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、7−H−ベンゾインメチルエーテル、ベンズ[de]アントラセン−7−オン、1−ナフタルデヒド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、o−メトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリス−o−トリホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール(例、ベンジルジメチルケタール)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン(例、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン)、及び2,3−ブタンジオンを挙げることができる。
【0117】
非黄変又は低黄変の光重合開始剤であるフェニルグリオキザル酸エステルタイプも好適であり、DE−A19826712、DE−A19913353又はWO98/33761に記載されている。
【0118】
上述の光重合開始剤の中で、ホスフィンオキシド(類)、α−ヒドロキシケトン(類)、及びベンゾフェノン(類)が特に好ましい。
【0119】
特に、異種の光重合開始剤の混合物の使用も可能である。
【0120】
光重合開始剤は、単独でも、光重合促進剤(例、安息香酸、アミン又は類似のもの)との組合せで使用することができる。
【0121】
別種の通常のコーティング添加剤として、例えば、酸化防止剤、酸化阻害剤、安定剤、活性化剤(促進剤)、フィラー、顔料、染料、液化剤、つや出し剤、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロピック剤、レベリング剤、バインダ、消泡剤、香料、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤、粘着付与剤(タッキファイヤー)、キレート剤又は相溶化剤を挙げることができる。
【0122】
1種以上の光活性化開始剤及び熱活性化開始剤、例えば、カリウムパーオキソジスルフェート、ジベンゾイルパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーカーボネート、tert−ブチルパーオクトエート、又はベンズピナコールを挙げることができ、さらに、80℃での半減期が100時間を超える熱活性化開始剤、例えばジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、シリル化ピナコール(商品名ADDID600、Wacker社製)、又はヒドロキシ含有アミンN−オキシド、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルを挙げることができる。
【0123】
好適な開始剤の別の例は、"Polymer Handbook", 第2版, Wiley & Sons, New Yorkに記載されている。
【0124】
フリーラジカル付加(共)重合体の他に、好適な増粘剤として、ヒドロキシメチルセルロース又はベントナイト等の有機又は無機増粘剤を挙げることができる。
【0125】
使用されるキレート剤として、例えば、エチレンジアミン酢酸及びその塩、及びβ−ジケトンを挙げることができる。
【0126】
好適なフィラーとしては、ケイ酸塩(silicate)、例えば4塩化ケイ素の加水分解によって得られるケイ酸塩(例えば、Degussa社製Aerosil(登録商標))、及びケイ素土(silicon earth)、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及び炭酸カルシウムを挙げることができる。
【0127】
適当な安定剤として、一般のUV吸収剤、例えばオキサニリド(oxanilide)、トリアジン、及びベンゾトリアゾール(後者はCiba-Spezialitaetenchemie社製のTinuvin(登録商標)グレード)及びベンゾフェノンを挙げることができる。これらの安定剤は、単独で、或いは適当なフリーラジカルスカベンジャー(例えば、立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−tert−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシネート)と共に使用することができる。安定剤は、処方中に存在する固体成分に対して0.1〜5.0質量%の量で通常使用される。
【0128】
好適な安定剤の例として、さらに、N−オキシル、例えば4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’、4”−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファィト、又は3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、フェノール及びナフトール、例えばp−アミノフェノール、p−ニトロソフェノール、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−tert−ブチルフェノール(2,6−tert−ブチル−p−クレゾール)又は4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノール、キノリン、例えばヒドロキノン又はヒドロキノンモノメチルエーテル、芳香族アミン、例えばN,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、フェニレンジアミン、例えばN,N’−ジアルキル−p−フェニレンジアミン(アルキル基は同一でも異なっていても良く、それぞれ1〜4個の炭素原子から構成され、直鎖でも分岐でも良い)、ヒドロキシルアミン、例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、尿素誘導体、例えば尿素又はチオ尿素、リン化合物、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト又はトリエチルホスファイト、又はイオウ化合物、例えばジフェニルスルファイド又はフェノチアジンを挙げることができる。
【0129】
本発明の放射線硬化性組成物は、一般に、例えば、
40〜100質量%、好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは60〜90質量%、特に好ましくは60〜80質量%の、1種以上の、本発明のエチレン性不飽和基含有ポリエステル、
0〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは6〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の、反応性希釈剤、
0〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%の、光重合開始剤、及び
0〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%の、一般のコーティング添加剤
から構成される(但し、構成成分は合わせて100質量%である)。
【0130】
本発明のエチレン性不飽和基含有ポリエステルは、高エネルギー放射線により硬化し得る組成物、本発明では放射線硬化性組成物とも呼ばれる組成物として、或いはその組成物中において使用することが特に好適である。
【0131】
本発明は、さらに、本発明のエチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステルを含む放射線硬化性組成物を基板にコーティング(塗布)するためにするために当該技術者にとって公知の技術を用い、そしてコーティング膜に化学線放射に曝す工程を含む基板をコーティングする方法を提供する。その基板の例としては、金属、木材、ガラス、プラスチック(例、ポリカーボネート)、織物、皮、紙又はボール紙を挙げることができる。好適な化学放射線の例としては、波長が100〜450nmの電磁波を挙げることができる。本発明の放射線硬化性組成物(例、塗料)でコーティングした基板を、80〜3000mJ/cm2のエネルギーの化学線放射に付すことができる。化学線放射は、例えば、連続的に、或いは瞬間的に展開することができる。好適な放射線源の例としては、低圧、中圧又は高圧の水銀ランプを挙げることができる。電子線ビーム(特に二次電子)による硬化は、0〜50eVのエネルギー範囲で同様に可能である。
【0132】
2種以上の放射線源の組合せも用いることができる。
【0133】
以下の実施例により本発明を記載する。
【実施例】
【0134】
一般的な初期注釈:
酸価(acid number)は、DIN53402に従い測定した。Mn及びMwは、THF中でゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した(ポリメチルメタクリレート較正)。OH価(OH number)は、DIN53240に従い測定した。少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する不飽和化合物の導入量は、1H−NMR分光法により測定した。
【0135】
反応は、特に断らない限り、窒素存在下に行った。溶剤は、通常の実験室法により乾燥した(例えば、THF及び1,4−ジオキサンを、Na/ベンゾフェノン上で蒸留により)。
【0136】
実施例のいくつかで使用した固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)について、以下の特性を得た:10000PLU/g(プロピルラウレート単位)、Novozym(登録商標)435・1g当たり1〜10質量%の酵素。
【0137】
バージョンA
[実施例A1.1]
1645g(11.3モル)のアジピン酸及び864g(9.4モル)のグリセロールを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた5Lのガラスフラスコに充填した。3.6gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度を140℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、150ミリバールの減圧にした。反応混合物を上記温度及び圧力にて3時間保持した。その後圧力を50ミリバールに低下させ、そのバッチを140℃にさらに7時間保持した。その後、室温に冷却した。
【0138】
これにより、透明の粘チョウ液として、2147gの高分岐ポリエステルA1.1を得た。分析データを表1にまとめる。
【0139】
[実施例A1.2]
460g(3.2モル)のアジピン酸及び240g(2.6モル)のグリセロールを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた1Lのガラスフラスコに充填した。1gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度を150℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、120ミリバールの減圧にした。反応混合物を上記温度及び圧力にて3時間保持した。その後圧力を50ミリバールに低下させ、そのバッチを150℃にさらに3時間保持した。その後、室温に冷却した。
【0140】
これにより、透明の粘チョウ液として、582gの高分岐ポリエステルA1.2を得た。分析データを表1にまとめる。
【0141】
[実施例A1.3]
1645g(11.3モル)のアジピン酸及び868g(9.4モル)のグリセロールを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた5Lのガラスフラスコに充填した。2.5gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度を135℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、100ミリバールの減圧にした。反応混合物を上記温度及び圧力にて9時間保持した。
【0142】
次いで、383g(4.1モル)のグリセロールを加え、圧力を、初期は50ミリバールに、その後20ミリバールに低下させ、そのバッチを135℃で10時間以上維持した。その後、室温に冷却した。
【0143】
これにより、透明の粘チョウ液として、2409gの高分岐ポリエステルA1.3を得た。分析データを表1にまとめる。
【0144】
[実施例A2.1]
521gの高分岐ポリエステルA1.1を、撹拌器、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び水分離器を備えた5Lのガラスフラスコに充填した。水分離器は真空ポンプに接続されていた。
【0145】
1.5Lのテトラヒドロフラン(THF)、52g(183ミリモル)の下記式:
【0146】
【化7】

の反応生成物(EP−A1110946による2−ヒドロキシエチルアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)及び0.055gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルを加えた。この反応混合物を撹拌しながら60℃に2時間保持した。その後テトラヒドロフランを減圧下に留去した。
【0147】
これにより、透明の粘チョウ液として、539gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA2.1を得た。分析データを表1にまとめる。
【0148】
[実施例A2.2]
100gの高分岐ポリエステルA1.2を、撹拌器、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び水分離器を備えた250mlのガラスフラスコに充填した。水分離器は真空ポンプに接続されていた。12ml(12.13g、105ミリモル)の2−ヒドロキシエチルアクリレート、26gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)、0.33gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び90mlの1,4−ジオキサンを加えた。この反応混合物を撹拌しながら65℃に9.5時間保持した。
【0149】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、1,4−ジオキサンと反応中に形成した水を減圧下に留去した。
【0150】
これにより、透明の粘チョウ液として、103gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA2.2を得た。分析データを表1にまとめる。
【0151】
[実施例A3.2]
100gの高分岐ポリエステルA1.2を、撹拌器、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び水分離器を備えた250mlのガラスフラスコに充填した。水分離器は真空ポンプに接続されていた。13ml(13.6g、104ミリモル)の3−ヒドロキシプロピルアクリレート、26gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)、0.33gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び90mlの1,4−ジオキサンを加えた。圧力を400ミリバールとして、この反応混合物を撹拌しながら65℃に8時間保持した。
【0152】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、1,4−ジオキサンと反応中に形成した水を減圧下に留去した。
【0153】
これにより、透明の粘チョウ液として、102gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA3.2を得た。分析データを表1にまとめる。
【0154】
[実施例A2.3]
100gの高分岐ポリエステルA1.3を、撹拌器、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び水分離器を備えた250mlのガラスフラスコに充填した。水分離器は真空ポンプに接続されている。10g(69ミリモル)の4−ヒドロキシブチルアクリレート、7gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)、0.1gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び50mlのトルエンを加えた。圧力を350〜400ミリバールに設定し、この反応混合物を撹拌しながら60℃に8時間保持した。
【0155】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、トルエンと反応中に形成した水を減圧下に留去した。
【0156】
これにより、透明の粘チョウ液として、105gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA2.3を得た。分析データを表1にまとめる。
【0157】
[実施例A2.4]
300gの高分岐ポリエステルA1.1を、撹拌器、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び水分離器を備えた2Lのガラスフラスコに充填した。水分離器は真空ポンプに接続されていた。300gのメチルアクリレート、15gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)、0.18gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び500mlのトルエンを加えた。この反応混合物を撹拌しながら、400ミリバールの圧力下、70℃で8時間保持した。
【0158】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、トルエンと反応中に形成したメタノールを減圧下に留去した。
【0159】
これにより、透明の粘チョウ液として、331gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA2.4を得た。分析データを表1にまとめる。
【0160】
【表1】

導入量(incorporation):出発材料として使用された高分岐ポリエステル1g当たりの、エチレン性二重結合を有する不飽和化合物のミリモルで定義される。
【0161】
バージョンB
[実施例B1]
92g(0.63モル)のアジピン酸、48g(0.53モル)のグリセロール及び76g(0.53モル)の4−ヒドロキシブチルアクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.044gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び0.15gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度120℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、150ミリバールの減圧にした。反応混合物を120℃及び上記圧力にて90分間保持し、次いで120℃及び15ミリバールにてさらに6.5時間保持した。その後、室温に冷却した。
【0162】
これにより、透明の粘チョウ液として、111gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB1を得た。分析データを表2にまとめる。
【0163】
[実施例B2]
44g(0.3モル)のアジピン酸、23g(0.25モル)のグリセロール及び6.7g(47ミリモル)の4−ヒドロキシブチルアクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.06gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、50mlのトルエン及び7gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)を加え、そして得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度60℃にした。反応混合物を60℃の内部温度、200ミリバールで21時間保持し、その後、室温に冷却した。
【0164】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、トルエンと反応中に形成した水を減圧下に留去した。
【0165】
これにより、透明の粘チョウ液として、58gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB2を得た。分析データを表2にまとめる。
【0166】
[実施例B3]
60g(0.41モル)のアジピン酸、82g(0.34モル)のトリグリセロール及び4.9g(34ミルモル)の4−ヒドロキシブチルアクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.05gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び0.15gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度120℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、150ミリバールの減圧にした。反応混合物を120℃及び上記圧力にて90分間保持し、次いで120℃及び15ミリバールにてさらに6.5時間保持した。その後、室温に冷却した。
【0167】
これにより、透明の粘チョウ液として、120gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB3を得た。分析データを表2にまとめる。
【0168】
[実施例B4]
88g(0.60モル)のアジピン酸、37.7g(0.28モル)のトリメチロールプロパン、36.2g(0.25モル)の1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン・シス/トランス異性体混合物及び8.8g(61ミルモル)の4−ヒドロキシブチルアクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.05gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル及び0.17gのジ−n−ブチルスズオキシド(Fascat(登録商標)4201で市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度120℃にした。反応中に形成される水を分離除去するために、120ミリバールの減圧にした。反応混合物を120℃及び上記圧力にて7時間保持し、次いで120℃及び15ミリバールにてさらに1時間保持した。その後、室温に冷却した。
【0169】
これにより、透明の粘チョウ液として、131gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB4を得た。分析データを表2にまとめる。
【0170】
[実施例B5]
88g(0.6モル)のアジピン酸、46g(0.5モル)のグリセロール及び7g(70ミリモル)のメチルメタクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.1gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、75mlのトルエン及び7gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)を加え;圧力を250ミリバールとした。そして得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度60℃にした。反応混合物を60℃、上記圧力で2時間保持し、そして60℃、15ミリバールにさらに6時間保持し、その後、室温に冷却した。
【0171】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、トルエンと反応中に形成した水及びメタノールを減圧下に留去した。
【0172】
これにより、透明の粘チョウ液として、117gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB5を得た。分析データを表2にまとめる。
【0173】
[実施例B6]
88g(0.60モル)のアジピン酸、168.2g(0.25モル)のエトキシル化トリメチロールプロパン(式:CH3CH2C[OCH2CH25OH)3)、36.2g(0.25モル)の1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン・シス/トランス異性体混合物及び8.8g(61ミルモル)の4−ヒドロキシブチルアクリレートを、撹拌器、内部温度計、ガス引き入れチューブ、還流冷却管及び冷却トラップ付き真空アタッチメントを備えた250mlのガラスフラスコに充填した。0.1gの4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、75mlのトルエン及び7gの固定化リパーゼCA(Novozym(登録商標)435として市販)を加え、得られた混合物を油浴で加熱し、内部温度60℃にした。反応混合物を60℃、200ミリバールで8時間保持し、次いで、室温に冷却した。
【0174】
その後固定化酵素をろ過により分離除去し、トルエンと反応中に形成した水及びメタノールを減圧下に留去した。
【0175】
これにより、透明の粘チョウ液として、241gの本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルB6を得た。分析データを表2にまとめる。
【0176】
【表2】

導入量(incorporation):出発材料として使用された高分岐ポリエステル1g当たりの、エチレン性二重結合を有する不飽和化合物のミリモルで定義される。
【0177】
3.性能試験
表1による本発明の不飽和基含有高分岐ポリエステルA2.4に、表3に従う50質量%の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び50質量%のベンゾフェノン(Ciba-Spezialitaetenchemie社製のIrgacure(登録商標)500、表3で"I 500"と呼ばれる)から構成される光重合開始剤を上記量で混合し、そして混合物を個別の基板(ガラス、金属)に塗布し、10m/分のベルト速度で、12cmのランプ・基板間距離で非ドープ高圧水銀ランプ(出力:120W/m)に曝露し、非粘着のコーティングを得た。
【0178】
振子硬度(PD)を、DIN53157に従い測定し、コーティングの硬度を測定した。その結果は、振子が停止するまでの振れ回数(Sg)で記録されている。高い値は高硬度を示す。振子硬度を測定するためのフィルムは、箱型コーティングバーを用いてガラスに塗布した。露光後のフィルムの厚さは約70μmであった。
【0179】
エリクセン・カップリング(ET)をDIN53156に従い測定した。これはコーティングの可撓性及び弾性の測定である。この結果は、ミリメータ(mm)で記録されている。高い値は高度な可撓性を示している。エリクセン・カップリングの測定フィルムは、螺旋状に巻かれたコーティングバーを用いて金属シート上に塗布された。露光後のフィルムの厚さは約40μmであった。
【0180】
【表3】

【0181】
A2.4光重合開始剤を混合した場合、UV放射線曝露(露光)による硬化は有効であった。光重合開始剤の使用では、フィルムは、その濃度に関係なくほぼ同じ特性を示した。このため、極めて少量の光重合開始剤の使用でコーティングを製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の高分岐ポリエステルとを、
反応させることにより得られ、且つ
上記少なくとも1種の高分岐ポリエステルが、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを、
縮合させることにより得られるものである、エチレン性不飽和基含有高分岐ポリエステル。
【請求項2】
少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物が末端二重結合を有する化合物である請求項1に記載の高分岐ポリエステル。
【請求項3】
少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物が、式Ia又はIb:
【化1】

[但し、R1が、非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル、及び水素から選択され、
2が、非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル、C2〜C6アルケニル、COOH及び水素から選択され、
Xが、ハロゲン及びOR3から選択され、そして
3が、非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル、少なくとも1個の官能基を有する非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、グリシジル、H−CO(ホルミル)、非分岐又は分岐のC1〜C10アルキル−CO及びC6〜C10アリール−COから選択される。]
で表される化合物である請求項1又は2に記載の高分岐ポリエステル。
【請求項4】
少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物が、
3〜30個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和カルボン酸、
3〜40個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和アルコール、
3〜20個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和アミン、
少なくとも1個のヒドロキシル基が不飽和アルコールでエーテル化され、且つ少なくとも1個のヒドロキシル基がエーテル化されていないジオール及びポリオールエーテル、
少なくとも1個のヒドロキシル基が不飽和酸でエステル化され、且つ少なくとも1個のヒドロキシル基がエステル化されていないジオール及びポリオールエステル、
ビニルエステル、ジエン及びトリエンのモノエポキシド、
2〜20個の炭素原子及び1〜5個のC−C二重結合を有する不飽和ハライド、
イソシアナト(メタ)アクリレート、及び
不飽和ハロゲン化シラン
から選択される請求項1又は2に記載の高分岐ポリエステル。
【請求項5】
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを
縮合することにより、少なくとも1種の高分岐ポリエステルを合成する工程、及び
次いで、その合成生成物を、(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物と反応させる工程
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不飽和基含有高分岐ポリエステルを製造する方法。
【請求項6】
(c)少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する少なくとも1種の化合物の存在下に、
(a)少なくとも1種のジカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種の少なくとも3官能のアルコールとを、又は
(b)少なくとも1種のトリカルボン酸又はより高官能のポリカルボン酸又はその誘導体と、少なくとも1種のジオールとを
縮合することにより、少なくとも1種の高分岐ポリエステルを合成する工程
を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不飽和基含有高分岐ポリエステルを製造する方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の不飽和基含有高分岐ポリエステルをバインダとして使用する方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の1種以上の不飽和基含有高分岐ポリエステルを用いて、放射線硬化性組成物を製造する方法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の1種以上の不飽和基含有高分岐ポリエステルを含む放射線硬化性組成物。

【公表番号】特表2007−508430(P2007−508430A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534650(P2006−534650)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011254
【国際公開番号】WO2005/037893
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】