説明

エッジの抽出と強化方法

【課題】エッジの抽出と強化方法の提供。
【解決手段】本発明の開示する一種のエッジの抽出と強化方法は、特に、画素yijの輝度値を調整する為に用い、横方向、縦方向、斜方向においてラプラシアン演算(Laplacian)及びラプラシアンカット(Laplacian cut)を使う一種の低ノイズのエッジの抽出と強化方法に関するものである。該方法は、ハードウェア、組み込みシステム、またはエーシック(ASIC)により実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種のエッジの抽出と強化方法であり、特にハードウェアにより実現しラプラシアン演算(Laplacian)及びラプラシアンカット(Laplacian cut)を使う低ノイズエッジの抽出と強化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像システムにおいて、基本的且つ重要な画像処理技術は、先に画像エッジ抽出をし、画像エッジの輝度の強化を行い、不鮮明画像を強化して鮮明画像に改善する。公知の技術において、それは方向性であるばかりでなく画像エッジを強化する効果がある。
しかしながら、ただ単に前記の演算方法だけで画像中の物体エッジを取り出す方法にはやはり欠点が残る。この種の方法は、物体エッジを鮮明化することはできるが、これに対し画像中のノイズに対しても同等の効果を有する。しかも方向性を備えるエッジ強化法で処理した後のエッジデータの多くはばらばらで完全な物体エッジデータを提供することはできない。
【0003】
特許文献1は、等冪(idempotent)処理及びフィルタ演算によって構造誘導された(structure-guided)画像エイリアシングを低下させることができる。しかしながら、該案件は、コンピュータの使用により実現されるものであり、本発明のハードウェア使用での実現と比べると、その処理速度は遅く、且つ更に多くのソフトハードウェア資源を必要とし、これによりエッジの抽出と強化方法を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,463,175号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は一種のエッジの抽出と強化方法に関するものであり、ラプラシアン演算及びラプラシアンカットによりハードウェア使用の実現を可能にし、公知技術中のノイズが拡大される点を改善する目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例に基づいて、画素yijの輝度値を調整する為のエッジの抽出と強化方法を提供し、ハードウェアを使用して実現する。それは以下のステップを含む。
横方向、縦方向、斜方向において第一画像に対しラプラシアン演算を行った後、第一エッジ値を出力する。該ラプラシアン演算は、横方向ゲイン、縦方向ゲイン、斜方向ゲインを含む。該第一エッジ値に対してラプラシアンカットを行った後は第二エッジ値を出力し、該ラプラシアンカットは、正負方向の変数を含む。また該第二エッジ値に第一ゲインを掛け更に第一画像を加えた後、第二画像を出力する。
【0007】
その内、該第二エッジ値に第一ゲインを掛け更に第一画像を加えた後、第二画像を出力する方程式は、第二画像Y’=第一画像Yin+第二エッジ値LoY’* 第一ゲインgainに示す通りである。
【0008】
最良の実施例は、該第一画像を3掛ける3のマトリックスとし、該マトリックスはyijと表示する。
最良の実施例において、該ラプラシアン演算は横方向、縦方向、斜方向のゲインを調整可能とする。
最良の実施例において、該ラプラシアンカットは正方向の変数を調整可能とする。
最良の実施例において、該ラプラシアンカットは負方向の変数を調整可能とする。
該第一ゲインは調整可能である。
該第一ゲインは0から4である。
該第一画像は10ビットである。
該ハードウェアは組み込みシステムまたはエーシック(ASIC)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエッジの抽出と強化方法は、ハードウェアにより実現するもので、画像の高周波部分に対して強化作用を生じさせると低周波部分が弱まることにより、公知技術中の処理速度が遅く更に多くのソフトウェアやハードウェア資源を必要としノズルが拡大される現状を改善することができることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の入力画像マトリックス図である。本発明のエッジ抽出は、入力画像を横、縦、斜めの三つの方向に基づいてラプラシアン演算を行い画像エッジを検出する。並びに、同等もしくは異なるゲインを付与し三方向のエッジ強化程度をコントロールする。該画像中の画素yij(例えばy22)及びその周囲画素はYマトリックスを数1とする。
最良実施例は、Yマトリックスが3掛ける3のマトリックス103である。
【0011】
【数1】

【0012】
Y’は本発明の演算処理後に得られたマトリックスである。
【0013】
【数2】

【0014】
当該技術の熟知者ならわかる通り、Yマトリックスは(2×N+1)掛ける(2×N+1)のマトリックスとしても表示可能である。その内のNは自然数である。
【0015】
該画像中の画素yij(例えばy33)及びその周囲画素は5掛ける5のYマトリックス105を数3とする。
【0016】
【数3】

【0017】
本発明のエッジ抽出は、横、縦、斜めの三方向に基づきラプラシアン演算を行い画像エッジを抽出し、該画像中の画素yij(例えばy22)及びその周囲画素は3掛ける3のYマトリックスを例とし、第一のエッジ値201が表示される方程式は、
LoY=横方向ゲイン×(y22×2-y21-y23)+縦方向ゲイン×(y22×2-y12-y32)+斜方向ゲイン×(y22×4-y11-y13-y31-y33) である。
【0018】
当該技術の熟知者ならわかる通り、該画像中の画素yij(例えばy22)及びその周囲画素は、N掛けるNのYマトリックスを例とし、第一のエッジ値201の表示可能である。
LoY=横方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-ΣyI, j j=N+1)+縦方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-Σyi, j i=N+1)+斜方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-Σyi, j j=+/-i)
【0019】
入力画像にラプラシアン演算を行い、画像の頻出アイテムLoYを得る。これは即ち画像エッジの情報である。ここで使用者は、横方向ゲイン、縦方向ゲイン、斜方向ゲインを設定することにより、横方向、縦方向、斜方向の異なるゲインを与え、三方向のエッジ強化程度の差異をコントロールする。
【0020】
図2は、本発明のエッジ強化図である。本発明は得られた画像の頻出アイテムLoY即ち画像エッジの情報数値に対しラプラシアンカット演算を行い、個別の画像エッジに対し調整必要な数値の大きさLoY’即ち第二のエッジ値201を得、並びに、第二エッジ値を加え元の画像と同様位置に戻し、エッジ強化効果を達成する。ラプラシアンカット演算の方程式は図2に表示する通りである。
【0021】
使用者は、正・負方向ハイ/ローレベル(high/low_level, H/L)の設定により、エッジ部分と強化に必要な程度を調整する。正・負方向ハイ/ローレベルパラメータ設定の目的は、正に強化が必要な画像エッジを制限することにあり、ノイズ強化を回避する。
L<LoY<Hである時、LoY’=LoY-L、
-H<LoY<-Lである時、LoY’=LoY+L、
-L<LoY<Lである時、LoY’=0、
LoY≧H である時、LoY’=H-L、
LoY≦L である時、LoY’=-(H-L) 、
その内のH及びLはラプラシアンカット中のハイローレベルのパラメータである。
【0022】
図3の設計において、元来の入力画像の輝度(luminance)数値の大きさに基づき、我々は、与える予定の異なるエッジ強化ゲインEE_gainに対し、設計の便宜の為に、Yを10ビットの入力信号と仮定し、エッジ強化ゲイン301(EE_gain)の値を0から4間とすることも可能である。
【0023】
また、強化後の画像と原画像の関係は、
該第二エッジ値に第一ゲインを掛け更に第一画像を加えた後第二画像を出力する。
強化後の画像と原画像の関係に関する方程式はY’=Y+LoY’× EE_gainに示す通りである。
【0024】
本発明の方法により為されるエッジの抽出と強化方法は、特にラプラシアン演算及びラプラシアンカットを使った一種の低ノイズエッジの抽出と強化方法に関するものであり、ハードウェアでの実現が可能な他、組み込みシステム(Embedded system)またはエーシック(ASIC)により実現可能である。同様に、本発明のエッジの抽出と強化方法の応用領域もまたこれに制限されない、本領域の一般技術者が提出するその他の、例えば入力Yが9ビットの入力信号であるような変化は、特許登録請求の範囲に含まれるものとする。
【0025】
参照する図4は、本発明の一つに基づいたエッジの抽出と強化方法の実施例フローである。第一画像中の画素yij(例えばy22)及びその周囲画素はN掛けるNのYマトリックス401で表示し、マトリックス401はラプラシアン演算402を経た後、第一エッジ値LoYを得、第一エッジ値LoYはラプラシアンカット403を経て第二エッジ値LoY’を得、第二エッジ値LoY’は方程式404演算を経た後、第二画像を出力する。方程式404は、Y’=Y+LoY’× EE_gainである。
該第二エッジ値に第一ゲインを掛け更に第一画像を加えた後、第二画像を出力する。
【0026】
[実施例]
11個のマトリックスを例として前述の内容に基づき演算を行う。
その内のEE_gain=3.5、
また、横方向、縦方向、斜方向の三方向ゲインをそれぞれ4、2、0とし、実際の演算におけるラプラシアンカットもまた次の方程式の通り定義される。
EE_th <LOY<127+EE_thである時 LoY’=LOY ≡ EE_th 、
-128-EE_th <LOY<-EE_thである時LoY’=LOY + EE_th 、
-EE_th <=LOY<= EE_thである時LoY’=0 、
LOY>= 127+EE_thである時LoY’=127、
LOY<= -128-EE_th である時LoY’=-128、
その内のEE_thはラプラシアンカット中のハイローレベルのパラメータである。
【0027】
入力マトリックスは501Aに示した通りである(図5のA参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY=4×(20-10-10)+2*(20-10-10)+0*(40-10-10-10-10)=0、
LoY’=0、 y22’= y22=10。
【0028】
入力マトリックスは501Bに示した通りである(図5のB参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =0 、 LoY’=0 、 y22’= y22=12。
【0029】
入力マトリックスは501Cに示した通りである(図5のC参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =4 、 LoY’=0 、 y22’= y22=12。
【0030】
入力マトリックスは501Dに示した通りである(図5のD参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =8 、 LoY’=4 、 y22=14 、 y22’=28。
【0031】
入力マトリックスは501Eに示した通りである(図5のE参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =16 、 LoY’=12 、 y22=14 、 y22’=56。
【0032】
入力マトリックスは501Fに示した通りである(図5のF参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =8 、 LoY’=4 、 y22=14 、 y22’=28。
【0033】
入力マトリックスは501Gに示した通りである(図5のG参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =24 、 LoY’=20 、 y22=14 、 y22’=84。
【0034】
入力マトリックスは501Hに示した通りである(図5のH参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =16 、 LoY’=12 、 y22=14 、 y22’=56。
【0035】
入力マトリックスは501Iに示した通りである(図5のI参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =32 、 LoY’=28 、 y22=14 、 y22’=112。
【0036】
入力マトリックスは501Jに示した通りである(図5のJ参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =48 、 LoY’=44 、 y22=14 、 y22’=168。
【0037】
入力マトリックスは501Kに示した通りである(図5のK参照)。
画像中の画素yij(例えばy22)は次の本発明の演算を経過する。
LoY =8 、 LoY’=4 、 y22=896 、 y22’=903。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一つに基づいた入力マトリックスの図である。
【図2】ラプラシアンカットを本発明のエッジ強化方法に応用した図である。
【図3】本発明のエッジ強化方法に基づいたゲインの図である。
【図4】本発明のエッジの抽出と強化方法に基づいた実施例フローである。
【図5】本発明の入力マトリックス図である。
【符号の説明】
【0039】
103 マトリックス
105 マトリックス
201 エッジ値
301 エッジ強化ゲイン
401 マトリックス
402 ラプラシアン演算
403 ラプラシアンカット
404 方程式
501A、501B、501C 、501D、501E、501F、501G、501H、501I、501J、501K マトリックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素yijの輝度値を調整する為に用い、
横方向、縦方向、斜方向において第一画像に対しラプラシアン演算を行った後、第一エッジ値LoYを出力し、該ラプラシアン演算は、横方向ゲイン、縦方向ゲイン、斜方向ゲインを含み、
該第一エッジ値に対してラプラシアンカットを行った後は第二エッジ値LoY’を出力し、該ラプラシアンカットは、正負方向の変数H、Lを含み、
該第二エッジ値に第一ゲインを掛け更に第一画像を加えた後、第二画像を出力し、
該方法はハードウェアによって実現することを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項2】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記第一エッジ値LoY=
横方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-ΣyI, j j=N+1)+
縦方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-Σyi, j i=N+1)+
斜方向ゲイン×(yN+1,N+1×(2×N-1)-Σyi, j j=+/-i) 、
Nは自然数であることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項3】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記ラプラシアン演算は横方向のゲインを調整可能とすることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項4】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記ラプラシアン演算は縦方向のゲインを調整可能とすることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項5】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記ラプラシアン演算は斜方向のゲインを調整可能とすることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項6】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記ラプラシアンカットは正方向の変数H、Lを調整可能とすることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項7】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記ラプラシアンカットは負方向の変数-H、-Lを調整可能とすることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項8】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記の第一ゲインは調整可能であることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項9】
請求項8記載のエッジの抽出と強化方法において、前記の第一ゲインは0から4であることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項10】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記の第一画像は10ビットであることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項11】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記の第一画像は3X3のマトリックスで、該マトリックスはyijと表示することを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項12】
請求項11記載のエッジの抽出と強化方法において、前記のエッジ抽出方法のラプラシアン演算後、第一エッジ値は、
該横方向ゲイン×(y22×2-y21-y23)+
該縦方向ゲイン×(y22×2-y12-y32)+
該斜方向ゲイン×(y22×4-y11-y13-y31-y33) であることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項13】
請求項12記載のエッジの抽出と強化方法において、前記エッジ強化方法のラプラシアンカット後、第二エッジ値LoY’は、
L<LoY<Hである時、LoY’=LoY-L、
-H<LoY<-Lである時、LoY’=LoY+L、
-L<LoY<Lである時、LoY’=0、
LoY≧Hである時、LoY’=H-L、
LoY≦Lである時、LoY’=-(H-L)に基づき決定されることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項14】
請求項12記載のエッジの抽出と強化方法において、前記エッジ強化方法のラプラシアンカット後、第二エッジ値LoY’は、
EE_th <LOY<127+EE_thである時LoY’=LOY ≡ EE_th 、
-128-EE_th <LOY<-EE_thである時LoY’=LOY + EE_th 、
-EE_th <=LOY<= EE_thである時LoY’=0 、
LOY>= 127+EE_thである時LoY’=127、
LOY<= -128-EE_thである時LoY’=-128に基づき決定されることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項15】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記のハードウェアは組み込みシステムであることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。
【請求項16】
請求項1記載のエッジの抽出と強化方法において、前記のハードウェアはエーシックであることを特徴とするエッジの抽出と強化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−223867(P2009−223867A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96258(P2008−96258)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(599054802)盛群半導體股▲分▼有限公司 (8)
【Fターム(参考)】