説明

エネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法

【課題】 燃料電池を適切に制御することによって、電力とガス全体の価格を低減することを可能とするエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法を提供する。
【解決手段】 電力管理システム1は、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御する制御部540を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を備えるエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、需要家毎に設けられるエネルギー管理装置(例えば、HEMS;Home Energy Management System)によって、需要家に設けられる負荷や需要家に設けられる分散電源などを制御する技術が知られている。
【0003】
分散電源としては、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)などの燃料電池が考えられる。或いは、分散電源としては、太陽光、風力、地熱などのクリーンなエネルギーを利用する発電装置が考えられる。
【0004】
ここで、燃料電池から供給される電力は、一般的に、需要家に設けられる負荷の消費電力に追従するように制御される。
【0005】
また、各負荷に電力を供給する電源の種類及び各負荷の稼働時刻を変更することによって、ユーザが選択する価格や二酸化炭素の排出量を削減する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−104775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、燃料電池の出力が低下すると、燃料電池の発電効率が低下する。すなわち、燃料電池の出力が低い状態では、燃料電池の発電単価が上昇する。従って、系統から供給される電力及び燃料電池から供給される電力、もしくは他の発電装置による発電電力のいずれを用いる方が適切であるかについて検討すべきである。言い換えると、負荷の消費電力に追従して燃料電池を制御するだけでは、価格面で有利にならないケースが存在する。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、燃料電池を適切に制御することによって、電力とガス全体の価格を低減することを可能とするエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係るエネルギー管理システムは、燃料電池を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池を制御する制御部と、系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格と、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格とを取得する取得部とを備える。前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御する。
【0010】
第1の特徴において、前記エネルギー管理装置は、太陽電池に接続される。前記取得部は、前記太陽電池によって発電される単位電力の売電単位価格を取得する。前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記売電単位価格よりも高い場合に、前記抑制状態で前記燃料電池を制御する。
【0011】
第1の特徴において、前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、給湯ユニットによって水を温めるために用いられる。前記制御部は、前記排熱の利用効率に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いる。
【0012】
第1の特徴において、前記制御部は、前記売電単位価格が前記買電単位価格よりも低い場合に、前記太陽電池によって発電された電力を負荷で優先的に消費する制御を行う。
【0013】
第1の特徴において、前記取得部は、ネットワークを介して前記買電単位価格を受信する受信部である。
【0014】
第1の特徴において、前記取得部は、ネットワークを介して前記売電単位価格を受信する受信部である。
【0015】
第1の特徴において、前記抑制状態は、前記燃料電池の運転を停止した停止状態、或いは、前記燃料電池のアイドル状態である。
【0016】
第1の特徴において、前記抑制状態は、前記燃料電池の運転を停止した停止状態である。前記制御部は、前記燃料電池の運転停止及び燃料電池の運転再開に必要な価格に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いる。
【0017】
第1の特徴において、前記抑制状態は、前記燃料電池のアイドル状態である。前記制御部は、前記アイドル状態の維持に必要な価格に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いる。
【0018】
第2の特徴に係るエネルギー管理装置は、燃料電池に接続される。エネルギー管理装置は、前記燃料電池を制御する制御部と、系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格と、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格とを取得する取得部とを備える。前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御する。
【0019】
第3の特徴に係る電力管理方法は、燃料電池を備えるエネルギー管理システムに適用される。電力管理方法は、系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格を取得するステップAと、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格を取得するステップBと、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御するステップCとを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃料電池を適切に制御することによって、電力とガス全体の価格を低減することを可能とするエネルギー管理システム、エネルギー管理装置及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るHEMS500を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る発電効率及び排熱利用効率を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る給湯需要及び残湯量を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係るエネルギー管理方法を示すフロー図である。
【図6】図6は、変更例1に係る電力管理システム1を示す図である。
【図7】図7は、変更例1に係るエネルギー管理方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において、本発明の実施形態に係るエネルギー管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0023】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0024】
[実施形態の概要]
実施形態に係るエネルギー管理システムは、燃料電池を備える。エネルギー管理システムは、前記燃料電池を制御する制御部と、系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格と、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格とを取得する取得部とを備える。前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御する。
【0025】
実施形態では、制御部は、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、燃料電池の出力が抑制された抑制状態で燃料電池を制御する。従って、燃料電池から出力される電力を用いると、却って価格が高くなるケースが抑制される。
【0026】
[第1実施形態]
(エネルギー管理システム)
以下において、第1実施形態に係るエネルギー管理システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【0027】
図1に示すように、電力管理システム1は、SOFCユニット100と、貯湯ユニット200と、分電盤300と、負荷400と、HEMS500とを有する。
【0028】
SOFCユニット100は、天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応によって、電力(例えば、DC電力)を出力する装置(Solid Oxide Fuel Cell)を含むユニットである。
【0029】
詳細には、SOFCユニット100は、SOFC110と、SOFC PCS120と、熱交換器130と、SOFCコントローラ140とを有する。
【0030】
SOFC110は、ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応によって、電力(例えば、DC電力)を発電する装置(Solid Oxide Fuel Cell)である。SOFC110は、燃料電池の一例である。なお、SOFC110の発電量は、SOFC110に供給されるガス及び空気の量に応じて変化する。なお、SOFC110に供給されるガス及び空気の量は、SOFCコントローラ140によって制御される。
【0031】
SOFC PCS120は、SOFC110から出力されるDC電力をAC電力に変換する。SOFC PCS120は、電力ライン12を介してAC電力を分電盤300に出力する。
【0032】
熱交換器130は、貯湯槽210と連結されており、SOFC110の運転(発電)によって生じる排熱によって、貯湯槽210から供給される水を温める。詳細には、熱交換器130は、貯湯槽210から供給される水を温めて、温められた湯を貯湯槽210に還流する。このように、SOFC110の運転(発電)によって生じる排熱は、貯湯槽210から供給される水を温めるために用いられる。
【0033】
SOFCコントローラ140は、負荷追従運転を行うための制御を行う。具体的には、SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)から出力される電力が負荷400の消費電力に追従するように、SOFC110を制御する。
【0034】
SOFCコントローラ140は、系統10から供給される電力が所定値(例えばゼロ)となるように、SOFCユニット100(SOFC110)の目標出力電力を決定する。SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力が目標出力電力となるように、SOFC110を制御する。
【0035】
なお、系統10から供給される電力は、負荷400の消費電力に応じて変化する。従って、系統10から供給される電力に応じて目標出力電力を決定するケースであっても、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力は、負荷400の消費電力に追従することに留意すべきである。
【0036】
或いは、SOFCコントローラ140は、負荷400の消費電力と等しい目標出力電力を決定する。SOFCコントローラ140は、SOFCユニット100(SOFC110)の出力電力が目標出力電力となるように、SOFC110を制御する。
【0037】
第1実施形態において、SOFCコントローラ140は、SOFC110の動作温度をHEMS500に通知する。SOFC110の動作温度は、例えば、SOFC110に併設された温度計によって計測可能である。
【0038】
貯湯ユニット200は、熱交換器130と連結された貯湯槽210を有する。貯湯槽210は、SOFC110の運転によって生じる排熱によって温められた湯を貯留する。また、貯湯ユニット200は、熱交換器130に供給する水量の調整などによって、貯湯槽210の貯湯量を制御する機能を有する。
【0039】
ここで、貯湯ユニット200は、SOFCコントローラ140を経由して、貯湯槽210の貯湯量をHEMS500に通知する。なお、「貯湯量」は、温度換算の値(すなわち、貯熱量)と考えてもよい。
【0040】
分電盤300は、電力ライン11を介して系統10と接続されており、電力ライン12を介してSOFCユニット100と接続されており、電力ライン13を介して負荷400と接続される。分電盤300は、電力ライン11を介して系統10から供給される電力及び電力ライン12を介してSOFCユニット100か供給される電力を、電力ライン13を介して負荷400に分配する。
【0041】
第1実施形態では、分電盤300は、計測部310を有する。計測部310は、系統10から供給される電力を計測する。また、計測部310は、負荷400の消費電力を計測する。
【0042】
なお、複数の負荷400が設けられている場合には、計測部310は、複数の負荷400の消費電力の合計を計測してもよく、各負荷400の消費電力を個別に計測してもよい。
【0043】
ここで、計測部310は、SOFCユニット100及びHEMS500に信号線を介して接続されており、SOFCユニット100及びHEMS500に計測値を送信する。
【0044】
負荷400は、電力ライン13を介して供給される電力を消費する装置である。例えば、負荷400は、冷蔵庫、照明、エアコン、テレビなどの装置を含む。なお、負荷400は、単数の装置であってもよく、複数の装置を含んでもよい。
【0045】
HEMS500は、需要家の電力を管理する装置(HEMS;Home Energy Management System)である。HEMS500は、SOFCユニット100、分電盤300(計測部310)及び負荷400に信号線を介して接続される。HEMS500は、負荷400の動作モードを制御する機能を有する。HEMS500は、エネルギー管理装置の一例である。
【0046】
具体的には、HEMS500は、図2に示すように、HEMS500は、受信部510と、送信部520と、記憶部530と、制御部540とを有する。
【0047】
受信部510は、SOFCコントローラ140、分電盤300(計測部310)及び負荷400から各種情報を受信する。例えば、受信部510は、貯湯槽210の貯湯量を示す情報をSOFCコントローラ140から受信する。受信部510は、系統10から供給される電力(計測値)又は負荷400の消費電力(計測値)を計測部310から受信してもよい。なお、受信部510は、負荷400の状態(電源ON/OFF、動作モード)を示す負荷状態情報を負荷400から受信してもよい。
【0048】
第1実施形態において、貯湯槽210の貯湯量を示す情報は、後述する記憶部530に蓄積されており、記憶部530において、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴として管理されることが好ましい。
【0049】
送信部520は、SOFCユニット100及び負荷400に各種情報を送信する。詳細には、送信部520は、SOFC110を制御するためのSOFC制御信号をSOFCユニット100(SOFCコントローラ140)に送信する。
【0050】
ここで、SOFC制御信号は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御するための信号である。ここで、抑制状態とは、SOFC110の運転を停止した状態(以下、停止状態)である。或いは、抑制状態とは、SOFC110の状態(アイドル状態)である。すなわち、SOFC制御信号は、SOFC110を停止状態に遷移させるための信号、又は、SOFC110をアイドル状態に遷移させるための信号である。
【0051】
なお、アイドル状態とは、SOFC110が外部出力可能な温度状態にあり、速やかに送電できる運転モードに切り換わり電気出力できる状態であるが、外部には電力を出力していない状態である。特に、SOFC110などの燃料電池の運転には、その構成上、ガスの供給などにおいて多少の電力を要することが知られている。このような運転に必要となる電力だけを自身で生成して賄うことが出来るよう、燃料電池が微弱に運転する状態のことを、アイドル状態と呼ぶ。このようなアイドル状態としておくことで、消費するガスが極力少なくしつつも、燃料電池を完全停止させた場合に比して負荷にて電力を必要としたときの追従性を非常に良好なものとすることが出来る、という利点を有する。
【0052】
記憶部530は、各種情報を記憶する。第1に、記憶部530は、系統10から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格を記憶する。例えば、買電単位価格は、1kWhの電力の供給を受けるための価格である。
【0053】
第2に、記憶部530は、SOFC110が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格を記憶する。例えば、1kWhの電力をSOFC110が発電するために必要な価格である。
【0054】
なお、記憶部530は、燃料電池単位価格を算出するために必要な情報を記憶していることが好ましい。例えば、記憶部530は、SOFC110に供給されるガス単位価格を記憶する。ガス単位価格は、例えば、1立方メートルのガスの価格である。
【0055】
ここで、燃料電池単位価格は、SOFC110の発電効率に応じて異なる。例えば、図3に示すように、SOFC110の発電効率は、SOFC110の出力が小さいほど悪い。言い換えると、SOFC110の出力が小さいほど、燃料電池単位価格が上昇する。
【0056】
第3に、記憶部530は、SOFC110の排熱利用効率を所定条件毎に記憶する。所定条件は、例えば、時間帯、季節などである。SOFC110の排熱利用効率は、図3に示すように、SOFC110の出力に依存せずに略一定である。
【0057】
しかしながら、湯の需要(以下、給湯需要)が貯湯槽210に貯留される湯の量(残湯量)よりも少なく、残湯量が所定閾値(例えば、貯湯槽210に貯留可能な上限量)に達している場合には、SOFC110の排熱が必要とされないことに留意すべきである。
【0058】
例えば、図4に示すように、19:00〜23:00、7:00〜9:00の時間帯においては、給湯需要が存在するが、他の時間帯においては、給湯需要が存在しない。従って、17:00〜18:00の時間帯では、残湯量が所定閾値に達しているため、SOFC110の排熱が必要とされない。言い換えると、17:00〜18:00の時間帯では、SOFC110の排熱利用効率は、“0”である。
【0059】
なお、給湯需要は、貯湯槽210に貯留される湯の使用履歴によって予測可能であることに留意すべきである。
【0060】
制御部540は、HEMS500を制御する。具体的には、制御部540は、SOFC110の出力を制御する。例えば、制御部540は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御する。
【0061】
第1実施形態において、制御部540は、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、抑制状態でSOFC110を制御する。但し、燃料電池単位価格は、以下に示すように、他のパラメータによって補正されてもよい。
【0062】
(a)制御部540は、排熱利用効率に基づいて、記憶部530に記憶された燃料電池単位価格を補正して、補正された燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、抑制状態でSOFC110を制御する。例えば、制御部540は、排熱利用効率が高い程、燃料電池単位価格を低い価格に補正する。
【0063】
(b)抑制状態が停止状態であるケースにおいて、制御部540は、SOFC110の運転停止及びSOFC110の運転再開に必要な価格に基づいて、記憶部530に記憶された燃料電池単位価格を補正して、補正された燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、抑制状態でSOFC110を制御する。例えば、制御部540は、SOFC110の運転停止及びSOFC110の運転再開に必要な価格が高い程、燃料電池単位価格を低い価格に補正する。
【0064】
ここで、SOFC110の運転停止及びSOFC110の運転再開に必要な価格は、例えば、運転停止及び運転再開に必要な電力の価格である。
【0065】
(c)抑制状態がアイドル状態であるケースにおいて、制御部540は、SOFC110のアイドル状態の維持に必要な価格に基づいて、記憶部530に記憶された燃料電池単位価格を補正して、補正された燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、抑制状態でSOFC110を制御する。例えば、制御部540は、アイドル状態の維持に必要な価格が高い程、燃料電池単位価格を低い価格に補正する。
【0066】
ここで、アイドル状態の維持に必要な価格は、例えば、アイドル状態においてSOFC110に供給されるガスの価格である。
【0067】
なお、制御部540は、買電単位価格、燃料電池単位価格、排熱利用効率などの各種情報を記憶部530から取得する。
【0068】
(エネルギー管理方法)
以下において、第1実施形態に係るエネルギー管理方法について説明する。図5は、第1実施形態に係るエネルギー管理方法を示すフロー図である。
【0069】
図5に示すように、ステップ10において、HEMS500は、買電単位価格を取得する。
【0070】
ステップ20において、HEMS500は、燃料電池単位価格を取得する。
【0071】
ステップ30において、HEMS500は、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高いか否かを判定する。HEMS500は、判定結果が“YES”である場合には、ステップ40の処理に移る。一方で、HEMS500は、判定結果が“NO”である場合には、一連の処理を終了する。
【0072】
なお、HEMS500は、買電単位価格と比較される燃料電池単位価格として、各種パラメータによって補正された燃料電池単位価格を用いてもよい。
【0073】
ステップ40において、HEMS500は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御する。なお、抑制状態は、停止状態又はアイドル状態である。
【0074】
(作用及び効果)
第1実施形態では、HEMS500は、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高い場合に、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御する。従って、SOFC110から出力される電力を用いると、却って価格が高くなるケースが抑制される。
【0075】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0076】
具体的には、変更例1において、電力管理システム1は、図6に示すように、PVユニット600を備える。PVユニット600は、PV610及びPV PCS620とを有する。
【0077】
PV610は、太陽光の受光に応じて発電を行う。PV610は、発電されたDC電力を出力する。PV610の発電量は、PV610に照射される日射量に応じて変化する。
【0078】
PV PCS620は、PV610から出力されたDC電力をAC電力に変換する。PV PCS620は、電力ライン14を介してAC電力を分電盤300に出力する。
【0079】
ここで、上述した記憶部530は、PV610によって発電される単位電力の売電単位価格を記憶する。例えば、売電単位価格は、1kWhの電力の売電に対する価格である。
【0080】
また、上述したHEMS500(制御部540)は、燃料電池単位価格が売電単位価格よりも高い場合に、抑制状態でSOFC110を制御する。但し、燃料電池単位価格は、第1実施形態と同様に、他のパラメータによって補正されてもよい。他のパラメータは、上述したように、排熱利用効率、SOFC110の運転停止及びSOFC110の運転再開に必要な価格、アイドル状態の維持に必要な価格などである。
【0081】
なお、HEMS500(制御部540)は、売電単位価格、燃料電池単位価格、排熱利用効率などの各種情報を記憶部530から取得する。
【0082】
(エネルギー管理方法)
以下において、変更例1に係るエネルギー管理方法について説明する。図7は、変更例1に係るエネルギー管理方法を示すフロー図である。
【0083】
図7に示すように、ステップ110において、HEMS500は、売電単位価格を取得する。
【0084】
ステップ120において、HEMS500は、燃料電池単位価格を取得する。
【0085】
ステップ130において、HEMS500は、燃料電池単位価格が売電単位価格よりも高いか否かを判定する。HEMS500は、判定結果が“YES”である場合には、ステップ140の処理に移る。一方で、HEMS500は、判定結果が“NO”である場合には、一連の処理を終了する。
【0086】
なお、HEMS500は、売電単位価格と比較される燃料電池単位価格として、各種パラメータによって補正された燃料電池単位価格を用いてもよい。
【0087】
ステップ140において、HEMS500は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御する。なお、抑制状態は、停止状態又はアイドル状態である。
【0088】
なお、変更例1においては、PV610によって電力が発電されていることを前提としていることに留意すべきである。
【0089】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0090】
実施形態では、エネルギー管理装置として、HEMS500を例示した。しかしながら、エネルギー管理装置は、例えば、BEMS(Building and Energy Manegement System)であってもよく、FEMS(Factory Energy Manegement System)であってもよい。
【0091】
実施形態では、買電単位価格、売電単位価格、燃料電池単位価格、排熱利用効率などの各種情報は、記憶部530に記憶されており、HEMS500(制御部540)は、記憶部530に記憶された各種情報を取得する。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。買電単位価格、売電単位価格、燃料電池単位価格、排熱利用効率などの各種情報は、ネットワーク(移動体通信網、無線LAN、インターネットなど)を介して、受信部510によって受信されてもよい。言い換えると、受信部510は、買電単位価格、売電単位価格、燃料電池単位価格、排熱利用効率などの各種情報を取得する取得部を構成する。
【0092】
実施形態では特に触れていないが、HEMS500(制御部540)は、売電単位価格が買電単位価格よりも低い場合に、PV610によって発電された電力を負荷400で優先的に消費する。すなわち、PV610によって発電された電力を売電せずに負荷400で消費する。
【0093】
実施形態では特に触れていないが、第1実施形態と変更例1とを組み合わせてもよい。例えば、燃料電池単位価格が買電単位価格よりも高いという条件(a)及び燃料電池単位価格が売電単位価格よりも高いという条件(b)の双方が満たされた場合に、HEMS500は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御してもよい。或いは、条件(a)及び条件(b)のいずれかが満たされた場合に、HEMS500は、SOFC110の出力が抑制された抑制状態でSOFC110を制御してもよい。
【0094】
実施形態では特に触れていないが、制御部540の機能は、HEMS500以外の装置が有していてもよい。例えば、SOFCコントローラ140が制御部540の機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…電力管理システム、10…系統、11…電力ライン、12…電力ライン、13…電力ライン、14…電力ライン、100…SOFCユニット、110…SOFC、120…SOFC PCS、130…熱交換器、140…SOFCコントローラ、200…貯湯ユニット、210…貯湯槽、300…分電盤、310…計測部、400…負荷、500…HEMS、510…受信部、520…送信部、530…記憶部、540…制御部、600…PVユニット、610…PV、620…PV PCS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を備えるエネルギー管理システムであって、
前記燃料電池を制御する制御部と、
系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格と、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格とを取得する取得部とを備え、
前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御することを特徴とするエネルギー管理システム。
【請求項2】
前記エネルギー管理装置は、太陽電池に接続されており、
前記取得部は、前記太陽電池によって発電される単位電力の売電単位価格を取得し、
前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記売電単位価格よりも高い場合に、前記抑制状態で前記燃料電池を制御することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項3】
前記燃料電池の運転によって生じる排熱は、給湯ユニットによって水を温めるために用いられており、
前記制御部は、前記排熱の利用効率に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記売電単位価格が前記買電単位価格よりも低い場合に、前記太陽電池によって発電された電力を負荷で優先的に消費する制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項5】
前記取得部は、ネットワークを介して前記買電単位価格を受信する受信部であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項6】
前記取得部は、ネットワークを介して前記売電単位価格を受信する受信部であることを特徴とする請求項2に記載のエネルギー管理システム。
【請求項7】
前記抑制状態は、前記燃料電池の運転を停止した停止状態、或いは、前記燃料電池のアイドル状態であることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項8】
前記抑制状態は、前記燃料電池の運転を停止した停止状態であり、
前記制御部は、前記燃料電池の運転停止及び燃料電池の運転再開に必要な価格に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項9】
前記抑制状態は、前記燃料電池のアイドル状態であり、
前記制御部は、前記アイドル状態の維持に必要な価格に基づいて、前記燃料電池単位価格を補正し、補正された燃料電池単位価格を前記燃料電池単位価格として用いることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理システム。
【請求項10】
燃料電池に接続されたエネルギー管理装置であって、
前記燃料電池を制御する制御部と、
系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格と、前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格とを取得する取得部とを備え、
前記制御部は、前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御することを特徴とするエネルギー管理装置。
【請求項11】
燃料電池を備えるエネルギー管理システムに適用される電力管理方法であって、
系統から単位電力の供給を受けるために必要な買電単位価格を取得するステップAと、
前記燃料電池が単位電力を発電するために必要な燃料電池単位価格を取得するステップBと、
前記燃料電池単位価格が前記買電単位価格よりも高い場合に、前記燃料電池の出力が抑制された抑制状態で前記燃料電池を制御するステップCとを備えることを特徴とする電力管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−74759(P2013−74759A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213566(P2011−213566)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】