エネルギー貯蔵デバイスにおける3次元銅含有電極の固体電解質界面のためのパッシベーション膜
3次元構造を形成する薄膜成膜方法を用いてリチウムイオン電池を製造するシステム及び方法が提供される。一実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスを形成するのに使用されるアノード構造が提供される。アノード構造は、導電性基板、基板上に形成される複数の導電性ミクロ構造、導電性ミクロ構造上に形成されるパッシベーション膜、及び導電性ミクロ構造上に形成される絶縁セパレータ層を含み、導電性ミクロ構造は柱状突起を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般にリチウムイオン電池に関し、より具体的には3次元構造を形成する薄膜成膜方法を用いてそのような電池を製造するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーキャパシタ及びリチウムイオン(Li+)電池などの、高速充電、高容量のエネルギー貯蔵デバイスは、携帯用電子機器、医療、運輸、グリッド接続の大量エネルギー貯蔵、再生可能エネルギーの貯蔵、及び無停電電源(UPS)を含めたますます多くの用途で使用されている。最新の再充電可能なエネルギー貯蔵デバイスでは、電流コレクタは導電体でできている。正の電流コレクタ(カソード)用材料の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルが挙げられる。負の電流コレクタ(アノード)用材料の例としては、銅(Cu)、ステンレス鋼、及びニッケル(Ni)が挙げられる。そのようなコレクタは、一般に厚みが約6〜50μmの範囲である、箔、フィルム、又は薄板の形態であってもよい。
【0003】
Liイオン電池の正電極における活性電極材料は、典型的にはLiMn2O4、LiCoO2及び/又はLiNiO2などのリチウム遷移金属酸化物から選択され、炭素又はグラファイトなどの導電性粒子、及びバインダー材料を含む。そのような正電極材料はリチウム層間化合物であると考えられ、その中で導電性材料の量は0.1重量%〜15重量%の範囲である。
【0004】
グラファイトは通常、負電極の活性電極材料として使用され、直径がおよそ10μmであるメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)から成るリチウムインターカレーションMCMB粉末の形態であってもよい。リチウムインターカレーションMCMB粉末は、ポリマーバインダーマトリックス中に分散されている。バインダーマトリックス用のポリマーは、ゴム弾性を有するポリマーを含めた熱可塑性ポリマーでできている。ポリマーバインダーは、MCMB材料粉末を互いに結び付けてクラックの生成を妨げ電流コレクタの表面上でMCMB粉末が崩壊するのを防ぐのに役立つ。ポリマーバインダーの量は2重量%〜30重量%の範囲である。
【0005】
Liイオン電池のセパレータは、典型的にはマイクロ多孔性ポリエチレン及びポリオレフィンからできており、別個の製造工程で取り付けられる。
【0006】
大部分のエネルギー貯蔵用途において、エネルギー貯蔵デバイスの充電時間及び容量が重要なパラメータである。加えて、そのようなエネルギー貯蔵デバイスのサイズ、重量、及び/又は費用は顕著な制約となり得る。
【0007】
したがって、より小型、軽量であり、より費用効率良く製造できる、より高速充電、高容量のエネルギー貯蔵デバイスが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、一般にリチウムイオン電池に関し、より具体的には3次元構造を形成する薄膜成膜方法を用いてそのような電池を製造するシステム及び方法に関する。一実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスを形成するのに使用されるアノード構造が提供される。アノード構造は、導電性基板、基板上に形成される複数の導電性ミクロ構造、導電性ミクロ構造上に形成されるパッシベーション膜、及び導電性ミクロ構造上に形成される絶縁セパレータ層を含み、導電性ミクロ構造は柱状突起を含む。
【0009】
別の実施形態において、アノード構造を形成する方法が提供される。この方法は、導電性基板上に複数の導電性ミクロ構造を成膜するステップと、導電性ミクロ構造上にパッシベーション膜を形成するステップとを含む。
【0010】
さらに別の実施形態において、可撓性基板を加工するための基板加工システムが提供される。加工システムは、第1の導電性材料を含む導電性ミクロ構造を可撓性基板の一部の上にめっきするように設計された第1のめっきチャンバーと、すすぎ液によって可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第1のめっきチャンバーに隣接して配置される第1のすすぎチャンバーと、第2の導電性材料を導電性ミクロ構造上に成膜するように設計された、第1のすすぎチャンバーに隣接して配置される第2のめっきチャンバーと、可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第2のめっきチャンバーに隣接して配置される第2のすすぎチャンバーと、パッシベーション膜を可撓性基板の一部の上に形成するように設計された表面改質チャンバーと、チャンバー間で可撓性基板を移動させるように設計された基板移動機構とを含み、基板移動機構は、可撓性基板の一部を保持するように設計された供給ロールと、可撓性基板の一部を保持するように設計された巻き取りロールとを含む。基板移動機構は、可撓性基板を各チャンバーから出し入れするために供給ロール及び巻き取りロールを作動させ、各チャンバーの加工容積中に可撓性基板をとどめておくように設計されている。
【0011】
さらに別の実施形態において、バッテリーセルの製造方法が提供される。この方法は、導電性ミクロ構造を基板の導電性表面上に形成するステップと、パッシベーション膜を導電性ミクロ構造上に形成するステップと、液体透過性の電気絶縁セパレータ層をパッシベーション膜上に成膜するステップと、活性カソード材料を電気絶縁セパレータ層上に成膜するステップと、金属薄膜成膜プロセスを用いて電流コレクタを活性カソード材料上に成膜するステップと、誘電体層を電流コレクタ上に成膜するステップとを含み、導電性ミクロ構造は電気めっきプロセスによって形成される柱状突起を含む。
【0012】
さらに別の実施形態において、バッテリーセルの製造方法が提供される。この方法は、第1の薄膜成膜プロセス(導電性ミクロ構造を第1の基板の導電性表面上に形成するステップと、パッシベーション膜を導電性ミクロ構造上に成膜するステップと、液体透過性の電気絶縁セパレータ層をパッシベーション膜上に成膜するステップと、活性カソード材料を電気絶縁セパレータ層上に成膜するステップとを含む)によってアノード構造を形成するステップと、第2の薄膜成膜プロセス(導電性ミクロ構造を基板の導電性表面上に形成するステップと、活性カソード材料を導電性ミクロ構造上に成膜するステップとを含む)によってカソード構造を形成するステップと、アノード構造及びカソード構造を共に接続するステップとを含む。
【0013】
本発明の上記で挙げた特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照することによって、上記で簡潔に要約される本発明をより具体的に説明することができ、その一部を添付の図面において例示する。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを例示し、したがって本発明の範囲を限定すると考えられるものではなく、なぜなら本発明が他の同様に有効な実施形態を認め得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書に記載の実施形態による、負荷と電気接続されたLiイオン電池の概略図である。
【図2A】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2B】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2C】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2D】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2E】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2F】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2G】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図3】本明細書に記載の実施形態による加工システムを概略的に示す図である。
【図4】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図5】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図6】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図7】エネルギー貯蔵デバイスの貯蔵容量に対する、本明細書に記載の実施形態に従って形成されるパッシベーション膜の効果を実証するプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の実施形態を実施できる特定の装置を限定しないが、Applied Materials,Inc.、Santa Clara、Califより販売されている、ウェブをベースとするロールツーロールシステムにおいて実施形態を実施するのが特に有益である。本明細書に記載の実施形態を実施できる、例となるロールツーロール及び不連続の基板システムは本明細書に記載されており、本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHODS FOR FORMING ENERGY STORAGE OR PV DEVICES IN A LINEAR SYSTEM」いうタイトルの米国仮特許出願第61/243,813号(Attorney Docket No.APPM/014044/ATG/ATG/ESONG)、及び本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHOD FOR FORMING 3D NANOSTRUCTURE ELECTRODE FOR ELECTROCHEMICAL BATTERY AND CAPACITOR」というタイトルの米国特許出願第12/620,788号(Lopatinら、2009年11月18日出願、現在はUS2010−0126849として公開されている)にさらに詳細に記載されており、その両方は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の製造業者から入手可能なものを含めた、他の加工チャンバー及びシステムも、本明細書に記載の実施形態を実施するのに使用してもよい。一例となる加工システムとしては、本明細書に記載のロールツーロール加工システムが挙げられる。
【0016】
本明細書に記載の実施形態は、薄膜成膜プロセス及び薄膜を形成する他の方法を用いて、電池又はスーパーキャパシタなどの電気化学デバイスを作ることを意図している。本明細書に記載の実施形態は、導電性の3次元アノード構造上へのパッシベーション膜の形成を含む。パッシベーション膜は、電気化学めっき法、無電解法、化学気相成長法、物理気相成長法、及びそれらの組合せによって形成してもよい。パッシベーション膜は固体電解質界面(SEI)の形成及び維持を助け、高容量及び電極の長いサイクル寿命をもたらす。一実施形態において、次いで多孔質誘電性セパレータ層をパッシベーション膜及び導電性3次元アノード構造の上に形成して、Liイオン電池のアノード構造などのエネルギー貯蔵デバイスの半電池、又はスーパーキャパシタの半分を形成する。一実施形態において、バッテリーの第2の半電池又はスーパーキャパシタの半分を別個に形成し、続いてセパレータ層に接合させる。別の実施形態において、さらなる薄膜をセパレータ層の上に成膜することによって、バッテリーの第2の半電池又はスーパーキャパシタの半分を形成する。
【0017】
図1は、本明細書に記載の実施形態による、負荷101に電気的に接続されたLiイオン電池100の概略図である。単層Liイオンバッテリーセルが図1に描かれているが、本明細書に記載の実施形態は単層Liイオンバッテリーセル構造に限定されず、例えば本明細書に記載の実施形態は、2層Liイオンバッテリーセルなどの多層Liイオンバッテリーセルにも適用できることも理解するべきである。Liイオン電池100の主な機能的部材には、アノード構造102、カソード構造103、セパレータ層104、及び対向する電流コレクタ111及び113の間の領域内に配置された電解質(図示せず)が含まれる。有機溶媒中のリチウム塩などの、様々な材料を電解質として使用してもよい。リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、又はLiClO4を挙げることができ、有機溶媒としては例えばエーテル及びエチレンオキシドを挙げることができる。電池が外部回路に電流を流す際に、電解質はアノード構造102及びカソード構造103の間でキャリアとして作用するリチウムイオンを伝導する。電解質はアノード構造102、カソード構造103、及び電流コレクタ111及び113の間に形成される領域中の液体透過性セパレータ層104に含有される。
【0018】
アノード構造102及びカソード構造103はそれぞれLiイオン電池100の半電池としての役割を果たし、Liイオン電池100の完全な実用セルを共に形成する。アノード構造102及びカソード構造103の両方は、リチウムイオンが移動して出入りできる材料を含む。アノード構造102は、電流コレクタ111、及びリチウムイオンを保持するためのインターカレーションホスト材料として作用する導電性ミクロ構造110を含む。同様にカソード構造103は、電流コレクタ113、及びリチウムイオンを保持するためのインターカレーションホスト材料、例えば金属酸化物などを含む。セパレータ層104は、アノード構造102及びカソード構造103中の成分間での直接的な電気接触を防ぐ、誘電性、多孔質、液体透過性の層である。Liイオン電池100、並びにLiイオン電池100の構成要素(すなわちアノード構造102、カソード構造103、及びセパレータ層104)を構成する材料を形成する方法は、図2A〜Gと関連して以下に記載される。
【0019】
従来の二次電池の伝統的な酸化還元のガルバニック作用よりもむしろ、Liイオン二次電池の化学は、インターカレーションホスト材料の結晶構造を変えずにリチウムイオンが各電極中のインターカレーションホスト材料の結晶格子中に挿入される、完全に可逆のインターカレーションメカニズムによって決まる。そのため、Liイオン電池の電極中のそのようなインターカレーションホスト材料が、リチウムイオンの挿入又は抽出を可能にする開かれた結晶構造を有し、同時に相殺の電子を受け取る能力を有することが必要である。Liイオン電池100において、アノード、すなわち負電極は、導電性ミクロ構造110に基づく。導電性ミクロ構造は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの合金、及びそれらの組合せを含む群から選択される金属であってもよい。
【0020】
カソード構造103、すなわち正電極は、二酸化コバルトリチウム(LiCoO2)又は二酸化マンガンリチウム(LiMnO2)などの金属酸化物からできている。カソード構造103は、リチウムコバルト酸化物などの層状酸化物、リン酸鉄リチウムなどのポリアニオン、リチウムマンガン酸化物などのスピネル、又はTiS2(二硫化チタン)からできていてもよい。例となる酸化物は、層状リチウムコバルト酸化物、又はLiNixCo1−2xMnO2、LiMn2O4などの混合金属酸化物であってもよい。例となるリン酸塩は、鉄カンラン石(LiFePO4)及びその変種(LiFe1−xMgPO4など)、LiMoPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、LiVOPO4、LiMP2O7、又はLiFe1.5P2O7であってもよい。例となるフルオロリン酸塩は、LiVPO4F、LiAlPO4F、Li5V(PO4)2F2、Li5Cr(PO4)2F2、Li2CoPO4F、Li2NiPO4F、又はNa5V2(PO4)2F3であってもよい。例となるケイ酸塩は、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、又はLi2VOSiO4であってもよい。
【0021】
セパレータ層104は、ショートを避けるためにアノード構造102をカソード構造103から物理的に分離しながら、アノード構造102及びカソード構造103の間で移動するためのイオンチャンネルを供給するように設計されている。一実施形態において、セパレータ層104は導電性ミクロ構造110の上層として形成してもよい。あるいは、導電性ミクロ構造110の表面上に成膜されるセパレータ層104は、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらの組合せなどの固体ポリマーであってもよい。
【0022】
作動中、図1に示すようにアノード構造102及びカソード構造103が負荷101に電気的に接続されている場合、Liイオン電池100は電気エネルギーを提供する、すなわちエネルギーが放出される。導電性ミクロ構造110から生じる電子は、アノード構造102の電流コレクタ111から負荷101及び電流コレクタ113を通り、カソード構造103のインターカレーションホスト材料112へと流れる。同時に、リチウムイオンはアノード構造102の導電性ミクロ構造110から解離、すなわち抽出され、セパレータ層104を通ってカソード構造103のインターカレーションホスト材料112の中へ移動し、インターカレーションホスト材料112の結晶構造中へ挿入される。導電性ミクロ構造110、インターカレーションホスト材料112、及びセパレータ層104中に存在する電解質は、リチウムイオンがイオン伝導によって導電性ミクロ構造110からインターカレーションホスト材料112へ移動するのを可能にする。Liイオン電池100は、負荷101の代わりに適切な極性の起電力をアノード構造102及びカソード構造103に電気的に接続することによって充電される。次いで電子はカソード構造103の電流コレクタ113からアノード構造102の電流コレクタ111へ流れ、リチウムイオンはカソード構造103中のインターカレーションホスト材料112からセパレータ層104を通ってアノード構造102の導電性ミクロ構造110中へ移動する。こうしてリチウムイオンは、Liイオン電池100が放電される場合はカソード構造103中へインターカレートされ、Liイオン電池100が充電状態にある場合はアノード構造102中へインターカレートされている。
【0023】
十分に高い電位がアノード構造102において確立され、適切な有機溶媒が電解質として使用される場合、最初の充電で溶媒は分解され固体電解質界面(SEI)と呼ばれる固体層を形成し、これは電気絶縁性であるがリチウムイオンに対しては十分に伝導性である。SEIは2回目の充電後に電解質が分解するのを防ぐ。SEIは2つの重要な界面を有する3層システムと考えることができる。従来の電気化学研究では、これは電気二重層と呼ばれることが多い。その最も単純な形態において、SEIによって被覆されたアノードは、充電されると3つの段階を経ることになる。すなわち、アノード(M)及びSEIの間の電子移動(M0−ne→Mn+M/SEI);アノード−SEI界面からSEI−電解質(E)界面へのカチオンマイグレーション(Mn+M/SEI→Mn+SEI/E);及びSEI/電解質界面でのSEI中から電解質へのカチオン移動(E(solv)+Mn+SEI/E→Mn+E(Solv))である。
【0024】
電池の出力密度及び再充電速度は、アノードがいかに迅速に電荷を放出及び獲得できるかによって決まる。これは同様に、アノードがいかに迅速にSEIを介してLi+を電解質とやりとりできるかによって決まる。SEIでのLi+のやりとりは前述のように多段階プロセスであり、大部分の多段階プロセスと同様に、プロセス全体のスピードは最も遅い段階によって決まる。大部分の系においてカチオンマイグレーションがボトルネックであることが研究によって分かっている。溶媒の拡散特性がアノード−SEI界面とSEI−電解質(E)界面との間のマイグレーションのスピードに影響することも分かった。したがって、最適な溶媒は拡散のスピードを最大限にするために小さい質量を有する。
【0025】
明確な特性及びSEIで起きる反応は良く理解されていないが、これらの特性及び反応がアノード構造の繰り返し可能性及び容量に対して強く影響を与え得ることが知られている。繰り返すとSEIは厚みを増す可能性があり、電極/SEI界面からSEI/電解質界面への拡散を長くすると考えられる。これは今度はバッテリーの出力密度の大幅な低下を引き起こす。さらに、SEIの厚みが増すと、ナノ材料のミクロ構造の広い表面積で脆弱なミクロ構造を損傷させる恐れがある。
【0026】
図2A〜2Gは本明細書に記載の実施形態に従って形成されたアノード構造の概略断面図である。図2Aにおいて、導電性ミクロ構造206及び不動態層又は膜210が形成される前の、電流コレクタ111が略図で示されている。電流コレクタ111は、金属、プラスチック、グラファイト、ポリマー、炭素含有ポリマー、複合材、又は他の適切な材料などの1つ又は複数の材料を含む、基板上に配置された比較的薄い導電層、又は単純には導電性基板(例えば箔、シート、又はプレート)を含んでいてもよい。電流コレクタ111を構成する金属の例としては、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、スズ(Sn)、ルテニウム(Ru)、ステンレス鋼、それらの合金、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、電流コレクタ111は金属箔であり、その上に配置された絶縁コーティングを有していてもよい。あるいは、電流コレクタ111はガラス、シリコン、プラスチック、又はポリマー基板などの非導電性であるホスト基板を含んでいてもよく、このホスト基板は物理気相成長(PVD)、電気化学めっき、無電解めっきなどを含めた、当技術分野で既知の手段によってその上に形成される導電層を有する。一実施形態において、電流コレクタ111は可撓性ホスト基板からできている。可撓性ホスト基板は、その上に形成される導電層を有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は他の適切なプラスチック又はポリマー材料などの軽量で安価なプラスチック材料であってもよい。そのような可撓性基板としての使用に適した材料としては、ポリイミド(例えばDuPont CorporationのKAPTON(商標))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアクリラート、ポリカルボナート、シリコーン、エポキシ樹脂、シリコーン官能性エポキシ樹脂、ポリエステル(例えばE.I.du Pont de Nemours&Co.社のMYLAR(商標))、Kanegaftigi Chemical Industry Company製のAPICAL AV、UBE Industries,Ltd.製のUPILEX;Sumitomo社製のポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(例えばGeneral Electric CompanyのULTEM)、及びポリエチレンナフタラート(PEN)が挙げられる。あるいは、可撓性基板はポリマーコーティングで補強された比較的薄いガラスで作られてもよい。
【0027】
図2Bに示すように、任意選択のバリア層202又は接着層を電流コレクタ111の上に成膜してもよい。バリア層202は、次にバリア層上に成膜される材料が下層の基板中に拡散するのを防ぐ又は阻害するために使用してもよい。一実施形態において、バリア層はバリア−接着層又は接着−剥離層などの多層を含む。バリア層材料の例としては、クロム、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaNx)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiNx)、タングステン(W)、窒化タングステン(WNx)、それらの合金、及びそれらの組合せなどの耐火性金属及び耐火性金属窒化物が挙げられる。バリア層材料の他の例としては、窒素でスタッフィングしたPVDチタン、ドープシリコン、アルミニウム、酸化アルミニウム、チタンケイ素窒化物、タングステンケイ素窒化物、及びそれらの組合せが挙げられる。例となるバリア層及びバリア層成膜法は、本願の譲受人に譲渡された「Method of Depositing A Catalytic Seed Layer」というタイトルの2002年1月28日出願の米国特許出願公開2003/0143837にさらに記載され、これは本明細書に記載の実施形態と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。バリア層は、CVD法、PVD法、無電解析出法、蒸着、又は分子線エピタキシーによって成膜してもよい。
【0028】
図2Cに示すように、柱状突起211の成膜を助けるため、場合により導電性シード層204を電流コレクタ111の上に成膜してもよい。導電性シード層204は、その上に次の材料が成膜されるのを助ける導電性金属を含む。導電性シード層204は銅シード層又はその合金を含んでいてもよい。他の金属、特に貴金属もシード層に使用してもよい。導電性シード層204を、物理気相成長法、化学気相成長法、及び無電解析出法を含めた当技術分野で従来から既知の方法によって、バリア層の上に成膜してもよい。あるいは、柱状突起211は電気化学めっきプロセスによって電流コレクタ111の上に直接、すなわち導電性シード層204を用いずに形成してもよい。
【0029】
図2D及び2Eに示すように、柱状突起211及び樹枝状構造208を含む導電性ミクロ構造206をシード層204の上に形成する。導電性ミクロ構造206の形成は、水素の発生が多孔質金属膜の形成をもたらすようなプロセス条件の確立を含む。一実施形態において、そのようなプロセス条件は、拡散境界層を減少させることによりカソード付近(例えばシード層表面)の金属イオンの濃度を増加させること、及び電解質浴中の金属イオン濃度を増加させることのうち、少なくとも1つを行うことによって実現される。拡散境界層は流体力学的境界層に強く関連することに注目すべきである。金属イオン濃度が低すぎる、及び/又は所望のめっき速度において拡散境界層が大きすぎる場合、限界電流(iL)に達することになる。限界電流に達した場合に引き起こされる拡散律速のめっきプロセスは、カソード(例えば金属化した基板表面)へより高い電力(例えば電圧)をかけることによるめっき速度の増加を妨げる。限界電流に達した場合、ガスの発生に起因して低密度の柱状突起211が生成し、物質輸送律速のプロセスに起因して起こる樹枝状タイプの膜成長を生じさせる。
【0030】
めっきプロセスとして論じているが、柱状突起は他のプロセス、例えばエンボス加工プロセスを用いて形成してもよいことも理解するべきである。
【0031】
次に、3次元多孔質金属構造又は樹枝状構造208を、図2Eに示すように柱状突起211上に形成してもよい。樹枝状構造208は、柱状ミクロ構造206の成膜よりも電圧及び対応する電流密度を増加させることによって、柱状突起211上に形成してもよい。一実施形態において、樹枝状構造は、過電圧、すなわち樹枝状構造208を形成するのに使用される印可電圧が柱状突起211を形成するのに使用される印可電圧よりも著しく高い電気化学めっきプロセスによって形成され、それにより柱状突起211上に3次低密度金属樹枝状構造208が得られる。一実施形態において、樹枝状構造208は無電解プロセスを用いて形成される。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は一般に約10A/cm2以下である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は一般に約5A/cm2以下である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約1A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.5A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約1A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。一実施形態において、樹枝状構造208の空隙率は全表面積の30%〜70%、例えば約50%である。
【0032】
一実施形態において、導電性ミクロ構造206は多孔性の様々な形態のうち1つ又は複数を含んでいてもよい。一実施形態において、導電性ミクロ構造206は直径が約100ミクロン以下であるマクロ細孔を有するマクロ多孔性構造を含む。一実施形態において、マクロ細孔213Aは約5〜約100ミクロン(μm)の範囲の大きさである。別の実施形態において、マクロ細孔の平均サイズは約30ミクロンのサイズである。導電性ミクロ構造206は、柱状突起211及び/又は樹枝状物208の本体中央部の間に形成される、第2のタイプ又はクラスの細孔構造も含んでいてもよく、これはメソ多孔性構造として知られている。メソ多孔性構造は、サイズ又は直径が約1ミクロン未満である複数のメソ細孔を有していてもよい。別の実施形態において、メソ多孔性構造はサイズ又は直径が約100nm〜約1,000nmである複数のメソ細孔213Bを有していてもよい。一実施形態において、メソ細孔は直径が約2nm〜約50nmである。さらに導電性ミクロ構造206は、樹枝状物間に形成される第3のタイプ又はクラスの細孔構造も含んでいてもよく、これはナノ多孔性構造として知られている。一実施形態において、ナノ多孔性構造は直径が約100nm未満のサイズである複数のナノ細孔を有していてもよい。別の実施形態において、ナノ多孔性構造はサイズ又は直径が約20nm未満である複数のナノ細孔を有していてもよい。ミクロ多孔性、メソ多孔性、及びナノ多孔性構造の組合せは、導電性ミクロ構造206の表面積の著しい増加をもたらす。
【0033】
一実施形態において、樹枝状構造208は銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、及び他の適切な材料などの、単一の材料から形成されていてもよい。別の実施形態において、樹枝状構造208は銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの組合せ、それらの合金、又は他の適切な材料の合金を含んでいてもよい。
【0034】
図2Fに示すように、パッシベーション膜210は導電性ミクロ構造206の上に形成される。パッシベーション膜210は、電気化学めっきプロセス(ECP)、化学気相成長プロセス(CVD)、物理気相成長プロセス(PVD)、無電解プロセス、及びそれらの組合せを含む群から選択されるプロセスによって形成できる。パッシベーション膜210は、固体電解質界面(SEI)の形成を助け、形成しようとする電極において高容量及び長いサイクル寿命をもたらすと考えられている。一実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約1nm〜約1,000nmである。別の実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約200nm〜約800nmである。さらに別の実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約400nm〜約600nmである。
【0035】
一実施形態において、パッシベーション膜210は、酸化銅(Cu2O、CuO、Cu2O−CuO)、塩化銅(CuCl)、硫化銅(Cu2S、CuS、Cu2S−CuS)、銅ニトリル、炭酸銅、リン化銅、銅−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−ケイ素酸化物、銅−ニッケル酸化物、銅−コバルト酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、銅−チタン酸化物、銅−マンガン酸化物、及び銅−鉄リン酸塩を含む群から選択される銅含有膜である。一実施形態において、パッシベーション膜210は、アルミニウム−ケイ素膜などのアルミニウム含有膜である。一実施形態において、パッシベーション膜210は、リチウム−銅−リン−オキシ窒化物(P−O−N)、リチウム−銅−ホウ素−オキシ窒化物(B−O−N)、リチウム−銅酸化物、リチウム−銅−ケイ素酸化物、リチウム−銅−ニッケル酸化物、リチウム−銅−スズ酸化物、リチウム−銅−コバルト酸化物、リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、リチウム−銅−チタン酸化物、リチウム−アルミニウム−ケイ素、リチウム−銅−マンガン酸化物、及びリチウム−銅−鉄リン化物を含む群から選択される、リチウム含有膜である。一実施形態において、リチウムは最初の充電後にリチウム含有膜中に挿入される。
【0036】
別の実施形態において、リチウム含有膜は、パッシベーション膜をリチウム含有溶液にさらすことによってリチウムをパッシベーション膜中に挿入する「予備リチウム化(pre−lithiated)」が行われる。一実施形態において、予備リチウム化プロセスは前述のめっき溶液にリチウム源を加えることによって行ってもよい。適切なリチウム源としては、限定はされないが、LiH2PO4、LiOH、LiNO3、LiCH3COO、LiCl、Li2SO4、Li3PO4、Li(C5H8O2)、Li2CO3、リチウムの表面安定化粒子(例えば炭素コーティングしたリチウム粒子)、及びそれらの組合せが挙げられる。予備リチウム化プロセスはさらに、錯化剤、例えばクエン酸及びその塩をめっき溶液に加えるステップを含んでいてもよい。一実施形態において、予備リチウム化プロセスの結果として約1〜40%のリチウム原子濃度を含む電極が得られる。別の実施形態において、予備リチウム化プロセスの結果として約10〜25%のリチウム原子濃度を含む電極が得られる。
【0037】
特定の実施形態において、予備リチウム化プロセスは、粉末塗布技術を用いてリチウムを粒子状態で電極に塗布することによって行ってもよく、粉末塗布技術としては、限定はされないが、ふるい法、静電スプレー法、溶射又はフレーム溶射法、流動床コーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、及びそれらの組合せが挙げられ、その全てが当業者に既知である。一実施形態において、リチウムはプラズマ溶射法を用いて成膜される。一実施形態において、パッシベーション膜210は、パッシベーション膜210をめっきするための新しいめっき浴に基板を浸すことによって形成してもよい。
【0038】
一実施形態において、すすぎステップは基板を新しいめっき浴に浸す前に行われる。一実施形態において、パッシベーション膜210を成膜後アニールプロセスに供する。
【0039】
一実施形態において、不動態層は、Applied Materials, Inc.of Santa Clara,Californiaより入手可能な電気めっきチャンバーSLIMCELL(登録商標)などの、本明細書に記載の加工ステップのうち1つ又は複数を実行するように適合させることができる加工チャンバー中で、電気めっきプロセスによって形成される。
【0040】
加工チャンバーは適切なめっき溶液を含む。本明細書に記載のプロセスで使用することができる適切なめっき溶液としては、金属イオン源、酸性溶液、及び任意選択の添加剤を含有する電解質溶液が挙げられる。
【0041】
めっき溶液:
一実施形態において、めっき溶液は金属イオン源及び少なくとも1つ又は複数の酸性溶液を含有する。適切な酸性溶液としては、例えば硫酸、リン酸、ピロリン酸、過塩素酸、酢酸、クエン酸、それらの組合せなどの無機酸、並びにそれらのアンモニウム塩及びカリウム塩を含めた酸電解質誘導体が挙げられる。
【0042】
一実施形態において、パッシベーション膜210を形成するのに使用されるめっき溶液中の金属イオン源は、銅イオン源である。有用な銅源としては、硫酸銅(CuSO4)、硫化銅(I)(Cu2S)、硫化銅(II)(CuS)、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl2)、酢酸銅(Cu(CO2CH3)2)、ピロリン酸銅(Cu2P2O7)、フルオロホウ酸銅(Cu(BF4)2)、酢酸銅((CH3CO2)2Cu)、銅アセチルアセトナート((C5H7O2)2Cu)、リン酸銅、硝酸銅、炭酸銅、スルファミン酸銅、スルホン酸銅、ピロリン酸銅、シアン化銅、それらの誘導体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。一部の銅源はCuSO45H2O、CuCl22H2O、及び(CH3CO2)2CuH2Oなどの水和物誘導体として一般に入手可能である。電解質組成物もまたアルカリ性銅めっき浴(例えばシアン化物、グリセリン、アンモニアなど)に基づいていてもよい。一実施形態において、電解質中の銅イオンの濃度は約0.1M〜約1.1Mの範囲であってもよい。一実施形態において、電解質中の銅イオンの濃度は約0.4M〜約0.9Mの範囲であってもよい。
【0043】
場合により、めっき溶液は1つ又は複数の添加剤化合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、めっき溶液は酸化剤を含有する。本明細書で使用する場合、酸化剤は金属層を対応する酸化物に(例えば銅から酸化銅へ)酸化するのに使用してもよい。適切な酸化剤の例としては、ペルオキシ化合物、例えば、過酸化水素及びその付加物などの、ヒドロキシラジカルを経て解離し得る化合物が挙げられ、それらとしては過酸化尿素、過炭酸塩、及び有機過酸化物(例えばアルキルペルオキシド、環状ペルオキシド又はアリールペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過酢酸、及びジ−t−ブチルペルオキシドが挙げられる)が挙げられる。例えばペルオキシ二硫酸アンモニウム、ペルオキシ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウムを含めた、モノ過硫酸塩及びジ過硫酸塩などの硫酸塩及び硫酸塩誘導体も使用してもよい。過炭酸ナトリウム及び過酸化ナトリウムなどのペルオキシ化合物の塩も使用してもよい。一実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.001%〜約90%の範囲の量で存在してもよい。別の実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.01%〜約20%の範囲の量で存在してもよい。さらに別の実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.1%〜約15%の範囲の量で存在してもよい。
【0044】
特定の実施形態において、エネルギーデバイスを作るのに必要な所有コストを削減するために、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)などの低コストのpH調整剤を加えて所望のpHを有する安価な電解質を作るのが望ましい。場合によっては、pHを調整するのにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を使用するのが望ましい。
【0045】
一実施形態において、成長する電気化学析出層中又は電気化学析出層の粒界上に析出するか又は取り込まれることになる第2の金属イオンを、主要な金属イオンを含有する電解質浴(例えば銅イオン含有浴)に加えることが望ましい場合がある。ある割合の第2の元素を含有する金属層の形成は、形成される層の内在性応力を低減する、及び/又はその電気特性及びエレクトロマイグレーション特性を改善するのに有用となり得る。一例では、電解質溶液中の金属イオン源は、銀、スズ、亜鉛、コバルト、ニッケルイオン源、及びそれらの組合せを含む群からから選択される。一実施形態において、電解質中の銀(Ag)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、又はニッケル(Ni)イオンの濃度は、約0.1M〜約0.4Mの範囲であってもよい。
【0046】
適切なニッケル源の例としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、リン酸ニッケル、それらの誘導体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0047】
適切なスズ源の例としては、可溶性スズ化合物が挙げられる。可溶性スズ化合物は第2スズ塩又は第1スズ塩であってもよい。第2スズ塩又は第1スズ塩は硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、又はアルカノールスルホン酸塩であってもよい。例えば、浴可溶性のスズ化合物は式:
(RSO3)2Sn
の1つ又は複数のアルカンスルホン酸第1スズであってもよく、式中、Rは1〜12個の炭素原子を含むアルキル基である。アルカンスルホン酸第1スズは、式:
【化1】
を有するメタンスルホン酸第1スズであってもよく、浴可溶性スズ化合物はまた式:
SnSO4
の硫酸第1スズであってもよい。
【0048】
可溶性スズ化合物の例としてはまた、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸のスズ(II)塩、ホウフッ化スズ(II)、スルホコハク酸スズ(II)、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、塩化スズ(II)などを挙げることができる。可溶性スズ(II)化合物は、単独で又は2つ若しくはそれを超える種類の組合せで使用してもよい。
【0049】
適切なコバルト源の例としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、エチレンジアミン四酢酸コバルト、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、グリシンコバルト(III)、ピロリン酸コバルト、及びそれらの組合せから選択されるコバルト塩を挙げることができる。
【0050】
めっき溶液はまた、マンガン又は鉄を約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で含有してもよい。別の実施形態において、めっき溶液はマンガン又は鉄を約100ppm〜約400ppmの範囲の濃度で含有してもよい。考えられる鉄源としては、水和物を含めた塩化鉄(II)(FeCl2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(II,III)(Fe3O4)、及び酸化鉄(III)(Fe2O3)が挙げられる。考えられるマンガン源としては、酸化マンガン(IV)(MnO2)、硫酸マンガン(II)一水和物(MnSO4・H2O)、塩化マンガン(II)(MnCl2)、塩化マンガン(III)(MnCl3)、フッ化マンガン(MnF4)、及びリン酸マンガン(Mn3(PO4)2)が挙げられる。
【0051】
一実施形態において、めっき溶液は銅源化合物及び錯化銅イオンの代わりに遊離銅イオンを含有する。
【0052】
特定の実施形態において、めっき溶液は、成膜プロセス中の安定性及び制御を実現しながら銅イオンとの錯体を形成するための少なくとも1つの錯化剤又はキレート剤も含んでいてもよい。錯化剤は無電解銅溶液における緩衝特性も提供する。錯化剤は一般に、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノ酸、アミン、ジアミン、又はポリアミンなどの官能基を有する。無電解銅溶液に有用な錯化剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン(EDA)、クエン酸、クエン酸塩、グリオキシル酸塩、グリシン、アミノ酸、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約50mM〜約500mMの範囲の濃度で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約75mM〜約400mMの範囲の濃度で含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約100mM〜約300mMの範囲の濃度(約200mMなど)で含んでいてもよい。一実施形態において、EDTA源はめっき溶液中で好ましい錯化剤である。一例では、めっき溶液は約205 mMのEDTA源を含有する。EDTA源としては、EDTA、エチレンジアミン四酢酸塩、それらの塩、それらの誘導体、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0053】
特定の実施形態において、めっき溶液は少なくとも1つの還元剤を含有する。還元剤は、本明細書に記載のように銅材料を形成及び成膜させる際に、銅イオンの化学的還元を誘発する電子を提供する。還元剤としては、有機還元剤(例えばグリオキシル酸又はホルムアルデヒド)、ヒドラジン、有機ヒドラジン(例えばメチルヒドラジン)、次亜リン酸塩源(例えば次亜リン酸(H3PO2)、次亜リン酸アンモニウム((NH4)4−xHxPO2)又はそれらの塩)、ボラン源(例えばジメチルアミンボラン錯体((CH3)2NHBH3)、DMAB)、トリメチルアミンボラン錯体((CH3)3NBH3)、TMAB)、tert−ブチルアミンボラン錯体(tBuNH2BH3)、テトラヒドロフランボラン錯体(THFBH3)、ピリジンボラン錯体(C5H5NBH3)、アンモニアボラン錯体(NH3BH3)、ボラン(BH3)、ジボラン(B2H6)、それらの誘導体、それらの錯体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は還元剤を約20mM〜約500mMの範囲で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は還元剤を約100mM〜約400mMの範囲で含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液還元剤を約150mM〜約300mMの範囲(約220mMなど)で含んでいてもよい。好ましくは、グリオキシル酸又はグリオキシル酸源などの、有機還元剤又は有機物含有還元剤をめっき溶液中で利用する。グリオキシル酸源としては、グリオキシル酸、グリオキシラート、それらの塩、それらの錯体、それらの誘導体、又はそれらの組合せを挙げることができる。好ましい例において、グリオキシル酸一水和物(HCOCO2H・H2O)は無電解銅溶液中に約217mMの濃度で含有されている。
【0054】
他の添加剤化合物としては電解質添加剤が挙げられ、限定はされないが、金属、すなわち銅の基板表面への成膜におけるめっき溶液の有効性を改善するための、阻害剤、向上剤、レベリング剤、光沢剤、及び安定化剤が挙げられる。有用な抑制剤としては、典型的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル、又はポリプロピレンオキシドなどの他のポリマーが挙げられ、これらは基板表面上に吸着し、吸着した領域における銅の成膜の速度を遅らせる。
【0055】
めっき溶液中の阻害剤は、最初に下層の表面(例えば基板表面)上に吸着し、その結果表面への接近をブロックすることによって、銅の成膜を抑制するのに使用される。めっき溶液中の阻害剤(1つ又は複数)の好ましい濃度を変化させてブロックされる下層の表面の量を制御し、その結果銅材料の成膜のさらなる制御を実現してもよい。
【0056】
めっき溶液のための有用な阻害剤の具体例としては、2,2’−ジピリジル、ジメチルジピリジル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(POCP)、ベンゾトリアゾール(BTA)、安息香酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、それらの誘導体、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は約100ppb〜約200ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液は約10ppm〜約100ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。一例では、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンの混合物として80:20、50:50、又は20:80などの異なる重量比で使用される。別の例では、PEG−PPG溶液は、PEG及びPPGの混合物を80:20、50:50 PATENT、又は20:80などの異なる重量比で含有してもよい。一実施形態において、PEG、PPG、又は2,2’−ジピリジルは単独で又は組み合わせて無電解銅溶液中の阻害剤源として使用してもよい。一実施形態において、無電解銅溶液はPEG又はPPGを約0.1g/L〜約1.0g/Lの範囲の濃度で含有する。別の実施形態において、無電解銅溶液はPEG又はPPGを約0.5g/Lの濃度で含有する。一実施形態において、めっき溶液は2,2’−ジピリジルを約10ppm〜約100ppmの範囲の濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液は2,2’−ジピリジルを約25ppmの濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液はPEG又はPPGを約0.1g/L〜約1.0g/Lの範囲(例えば約0.5g/L)の濃度で含有し、2,2’−ジピリジルを約10ppm〜約100ppmの範囲(例えば約25ppm)の濃度で含有する。
【0057】
めっき溶液は、成膜プロセスの促進を助けるための他の添加剤を含有してもよい。有用な促進剤としては、典型的には硫化物又は二硫化物、例えばビス(3-スルホプロピル)ジスルフィドなどが挙げられ、これら吸着部位をめぐって抑制剤と競合し、吸着された領域において銅の成膜を促進する。
【0058】
めっき溶液中のレベリング剤は、銅材料を成膜させる際に、レベリング剤濃度及び外観形状の関数として異なる成膜厚みを得るのに使用される。一実施形態において、めっき溶液は約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度でレベリング剤を含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は約100ppb〜約100ppmの濃度でレベリング剤を含んでいてもよい。めっき溶液において採用することができるレベリング剤の例としては、限定はされないが、アルキルポリイミン及び有機スルホン酸塩、例えば1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジンチオン(HIT)、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン、エチレンチオ尿素、チオ尿素、チアジアゾール、イミダゾールなど、及び他の窒素含有有機物、有機酸アミド及びアミン化合物、例えばアセトアミド、プロピルアミド、ベンズアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸アミドの加水分解生成物、チオフラビン、サフラニン、及びそれらの組合せなどが挙げられる。
【0059】
光沢剤は、成膜プロセスのさらなる制御をもたらすための添加剤として無電解銅溶液中に含まれていてもよい。光沢剤の役割は、成膜された銅材料の滑らかな表面を得ることである。一実施形態において、めっき溶液は添加剤(例えば光沢剤)を約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は添加剤を約100ppb〜約100ppmの範囲の濃度で含んでいてもよい。銅材料を成膜させるためのめっき溶液中で有用な添加剤としては、硫黄系化合物、例えばビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(MPSA)、アミノエタンスルホン酸、チオ尿素、それらの誘導体又はそれらの組合せなどを挙げることができる。
【0060】
めっき溶液は界面活性剤も含んでいてもよい。界面活性剤は、無電解銅溶液と基板表面との間の表面張力を低下させるための湿潤剤として作用する。一実施形態において、めっき溶液は一般に界面活性剤を約1,000ppm以下の濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液は一般に界面活性剤を約500ppm以下の濃度、例えば約100ppm〜約300ppmの範囲内などで含有する。界面活性剤はイオン性又は非イオン性の特性を有していてもよい。好ましい界面活性剤としては、グリコールエーテル系界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などが挙げられる。有益な特性に起因して、PEG及びPPGを界面活性剤、阻害剤、及び/又は抑制剤として使用してもよい。一例では、Dow Chemical Companyより入手可能なTRITON(登録商標)100などのグリコールエーテル系界面活性剤は、ポリオキシエチレン単位を含有する場合がある。無電解銅溶液中で使用することができる他の界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのドデシル硫酸塩が挙げられる。界面活性剤は単一の化合物、又は様々な長さの炭化水素鎖を含有する分子を有する化合物の混合物であってもよい。
【0061】
上記のめっき溶液の残余又は残りは溶媒、例えば水(脱イオン水など)を含めた極性溶媒、及び/又は有機溶媒、例えばアルコール又はグリコールなどであってもよい。
【0062】
ケイ素成膜:
パッシベーション膜210がケイ素を含む特定の実施形態において、ケイ素は化学気相成長又はプラズマ化学気相成長法を用いて成膜させてもよい。一実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約5sccm〜約500sccmの範囲の速度で提供される。別の実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約10sccm〜約300sccmの範囲の速度で提供される。さらに別の実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約50sccm〜約200sccmの範囲、例えば約100sccmの速度で提供される。ケイ素含有化合物を成膜するための成膜ガスにおいて有用なケイ素源としては、シラン、ハロゲン化シラン、及び有機シランが挙げられる。シランとしてはシラン(SiH4)、及び経験式SixH(2X+2)を有する高級シラン、例えばジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、及びテトラシラン(Si4H10)など、並びにその他が挙げられる。ハロゲン化シランとしては、経験式X’ySixH(2x+2−y)を有する化合物(式中、X’=F、Cl、Br、又はI)、例えばヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、テトラクロロシラン(SiCl4)、ジクロロシラン(Cl2SiH2)、及びトリクロロシラン(Cl3SiH)などが挙げられる。有機シランとしては、経験式RySixH(2x+2−y)を有する化合物(式中、R=メチル、エチル、プロピル、又はブチル)、例えばメチルシラン((CH3)SiH3)、ジメチルシラン((CH3)2SiH2)、エチルシラン((CH3CH2)SiH3)、メチルジシラン((CH3)Si2H5)、ジメチルジシラン((CH3)2Si2H4)、及びヘキサメチルジシラン((CH3)6Si2)などが挙げられる。有機シラン化合物は、成膜されるケイ素含有化合物中に炭素を取り込む実施形態において、有利なケイ素源であるだけなく炭素源でもあることが分かっている。
【0063】
アルミニウム成膜:
パッシベーション膜210がアルミニウムを含む特定の実施形態において、アルミニウムは既知のPVD法を用いて成膜されてもよい。
【0064】
図2Gは、セパレータ層を任意選択の炭素含有材料114上に形成した後のアノード構造102を例示している。一実施形態において、炭素含有材料114はメソ多孔性炭素材料114を含む。一実施形態において、メソ多孔性炭素含有材料114は、パッシベーション膜210上に成膜された、カーボンナノチューブ(CNT)によって3次元、高表面積の格子状に結合されたCVD成膜炭素フラーレンオニオンから成る。メソ多孔性炭素含有材料は、本願の譲受人に譲渡された、2009年6月30日出願の「THIN FILM ELECTROCHEMICAL ENERGY STORAGE DEVICE WITH THREE−DIMENSIONAL ANODIC STRUCTURE」というタイトルの米国特許出願第12/459,313号にさらに記載され、これは本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。一実施形態において、炭素含有材料を予備リチウム化してもよい。一実施形態において、パッシベーション膜をリチウム含有溶液又は粒子、例えば水酸化リチウム(LiOH)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(Li2SO4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、LiH2PO4、硝酸リチウム(LiNO3)、LiCH3COO、リン酸リチウム(Li3PO4)、Li(C5H8O2)、リチウム表面安定化粒子(例えば炭素コーティングしたリチウム粒子)、又はそれらの組合せにさらすことによって、リチウムは活性炭素含有材料中に挿入される。
【0065】
重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114の高密度化した層を含み、その上に誘電体層104Bを成膜又は取り付けてもよい。重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114よりも大幅に高い密度を有し、それによって、アノード構造102を形成するように次の層を成膜又は取り付ける構造的に堅固な表面が得られる。一実施形態において、重合炭素層104Aの密度はメソ多孔性炭素材料114の密度よりもおよそ2〜5倍大きい。一実施形態において、メソ多孔性炭素材料114の表面は、メソ多孔性炭素材料114上に重合炭素層104Aを形成するための重合プロセスによって処理される。そのような実施形態において、重合炭素層104Aを形成するのに、メソ多孔性炭素材料114の表面へ向けた紫外線及び/又は赤外線放射を含めた、任意の既知の重合法を用いてもよい。別の実施形態において、重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114の形成における最終ステップとしてin−situで成膜される。そのような実施形態において、1つ又は複数のプロセスパラメータ、例えば炭化水素前駆体ガス温度は、メソ多孔性炭素材料114の成膜の最終段階で変更され、その結果図示されるように重合炭素層104Aがメソ多孔性炭素材料114上に形成される。
【0066】
誘電体層104Bはポリマー材料を含み、重合炭素層104A上にさらなるポリマー層として成膜されてもよい。誘電体層104Bを形成するように重合炭素層104A上に成膜することができる誘電体ポリマーは、図1と関連して上記で論じている。あるいは、一実施形態において、重合炭素層104Aはセパレータ層104の誘電性部分としても機能することができ、この場合セパレータ層104は本質的に単一のポリマー材料、すなわち重合炭素層104Aから成る。
【0067】
加工システム:
図3は、本明細書に記載のパッシベーション膜210を成膜するのに使用することができる表面改質チャンバー307を含む加工システム300を概略的に例示している。加工システム300は一般に一列に配置された複数の加工チャンバーを含み、各々は連続的な可撓性基板310の一部に形成される基板に対して1つの加工ステップを行うように設計されている。
【0068】
一実施形態において、加工システム300は可撓性基板310の一部をあらかじめ濡らすように設計された予備湿潤チャンバー301を含む。
【0069】
加工システム300はさらに、第1のめっきプロセスを可撓性基板310の一部に行うように設計された、第1のめっきチャンバー302を含む。一実施形態において、第1のめっきチャンバー302は一般に洗浄予備湿潤ステーションに隣接して配置されている。一実施形態において、第1のめっきプロセスは可撓性基板310の一部に形成されたシード層上への柱状銅層のめっきであってもよい。
【0070】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第2のめっきプロセスを行うように設計された第2のめっきチャンバー303を含む。一実施形態において、第2のめっきチャンバー303は第1のめっきチャンバー302に隣接して配置されている。一実施形態において、第2のめっきプロセスは、柱状銅層上の銅又は合金の多孔性層の形成である。
【0071】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第2のめっきチャンバー303によって処理された可撓性基板310の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、すすぎステーション304を含む。一実施形態において、すすぎステーション304は第2のめっきチャンバー303に隣接して配置されている。
【0072】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第3のめっきプロセスを行うように設計された第3のめっきチャンバー305を含む。一実施形態において、第3のめっきチャンバー305はすすぎステーション304に隣接して配置されている。一実施形態において、第3のめっきプロセスは多孔性層上への薄膜の形成である。一実施形態において、第3のめっきチャンバー305で成膜される薄膜は、本明細書に記載のパッシベーション膜210を含む。別の実施形態において、第3のめっきチャンバー305で成膜される薄膜は、多孔性構造208の上に形成されるスズ膜などのさらなる導電性膜を含んでいてもよい。
【0073】
一実施形態において、加工システム300はさらに、めっきプロセス後の可撓性基板310の一部をすすぎ及び乾燥するように設計されたすすぎ−乾燥ステーション306を含む。一実施形態において、すすぎ−乾燥ステーション306は第3のめっきチャンバー305に隣接して配置されている。一実施形態において、すすぎ−乾燥ステーション306は、可撓性基板310がすすぎ−乾燥ステーション306を出る際に、可撓性基板310へ乾燥用蒸気を向けるように設計された1つ又は複数の蒸気ジェットを含んでいてもよい。
【0074】
めっきシステムはさらに、本明細書に記載の実施形態に従って可撓性基板310の一部にパッシベーション膜210を形成するように設計された、表面改質チャンバー307を含む。一実施形態において、表面改質チャンバー307はすすぎ−乾燥ステーション306に隣接して配置されている。表面改質チャンバー307はめっきチャンバーとして示されているが、表面改質チャンバー307は電気化学めっきチャンバー、無電解析出チャンバー、化学気相成長チャンバー、プラズマ化学気相成長チャンバー、原子層成長チャンバー、すすぎチャンバー、アニールチャンバー、及びそれらの組合せを含む群から選択される、別の加工チャンバーを含んでいてもよいことを理解するべきである。さらなる表面改質チャンバーが一列になった加工システム中に含まれていてもよいことも理解するべきである。例えば特定の実施形態において、電気めっき法を用いてパッシベーション膜210の一部を成膜し、次いでCVD又はPVDプロセスを用いて膜の残りを成膜するのが望ましい場合がある。他の実施形態では、最初にCVD又はPVDプロセスを用いてパッシベーション膜210の一部を成膜し、電気めっき法を用いてパッシベーション膜210の残りを成膜するのが望ましい場合がある。特定の実施形態において、パッシベーション膜210の一部を形成するのにPVDプロセスを使用し、パッシベーション膜210の残りを形成するのにCVDプロセスを使用するのが望ましい場合がある。特定の実施形態において、パッシベーション膜210を形成した後に成膜後アニール処理を行うのが望ましい場合がある。
【0075】
加工チャンバー301〜307は、一般に直線に沿って配置されており、その結果、各チャンバーの供給ロール3091〜7及び巻き取りロール3081〜7を介して、可撓性基板310の一部を各チャンバーを通る流れに乗せることができる。一実施形態において、供給ロール3091〜7及び巻き取りロール3081〜7は、可撓性基板310の各部分を1つ先のチャンバーへ移動させるために、基板の移送ステップの間に同時に作動させることができる。本明細書に記載の実施形態で使用することができる加工システムの詳細は、本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHOD FOR FORMING 3D NANOSTRUCTURE ELECTRODE FOR ELECTROCHEMICAL BATTERY AND CAPACITOR」というタイトルの、Lopatinら、2009年11月18日出願の米国特許出願第12/620,788号に記載されており、現在はUS2010−0126849として公開され、そのうち図5A〜5C、6A〜6E、7A〜7C、及び8A〜8D、並びに前述の図に対応する文章は、参照により本明細書に組み込まれる。水平の基板を処理するための加工システムとして論じてはいるが、異なる方向を有する基板、例えば垂直の方向を有する基板に対して同じ処理を行ってもよいことを理解するべきである。特定の実施形態において、加工チャンバー301〜307は可撓性基板の両面に本明細書に記載の構造を同時に形成するように配置されていてもよい。
【0076】
図4は、本明細書に記載の実施形態に従って、図1及び2A〜2Gに例示されるようなアノード構造102と同様のアノード構造を形成するための方法400をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック402において、図1の電流コレクタ111と実質的に同様の基板が提供される。上記で詳しく述べたように、基板は、金属箔などの導電性基板、又は金属コーティングを有する可撓性ポリマー又はプラスチックなどの、上部に導電層が形成された非導電性基板であってもよい。
【0077】
ブロック404において、図2Dの柱状突起211と実質的に同様の導電性柱状突起が、基板111の導電性表面上に形成される。一実施形態において、柱状突起211は高さが5〜10ミクロンであってもよく、及び/又は実測の表面粗さが約10ミクロンであってもよい。別の実施形態において、柱状突起211は高さが15〜30ミクロンであってもよく、及び/又は実測される表面粗さが約20ミクロンであってもよい。拡散律速の電気化学めっき法が柱状突起211の形成に使用される。一実施形態において、柱状突起211の3次元成長は、限界電流(iL)を超える電流密度にて行われる高いめっき速度の電気めっきプロセスを用いて行われる。柱状突起211の形成は、水素の発生が生じ、それによって多孔質金属膜が形成されるようなプロセス条件の確立を含む。一実施形態において、そのようなプロセス条件は、めっきプロセスの表面付近の金属イオンの濃度を減少させること、拡散境界層を増加させること、及び電解質浴中の有機添加剤濃度を低減させることのうち、少なくとも1つを行うことによって実現される。拡散境界層は流体力学条件に強く関連することに注目すべきである。
【0078】
柱状突起211の形成は加工チャンバー中で行ってもよい。本明細書に記載の加工ステップのうち1つ又は複数を実行するように適合させることができる加工チャンバーとしては、Applied Materials, Inc.of Santa Clara,Californiaより入手可能な電気めっきチャンバーSLIMCELL(登録商標)などの、電気めっきチャンバーを挙げることができる。柱状突起211を形成する1つのアプローチは、上記の加工システム300を用いたロールツーロールめっきである。柱状突起211を形成する別のアプローチは、めっきチャンバーの1つがエンボス加工チャンバーで置き換えられた上記の加工システム300を用いたロールツーロールエンボス加工である。他の製造業者から入手可能なものを含めた他の加工チャンバー及びシステムもまた、本明細書に記載の実施形態を実施するのに使用してもよい。
【0079】
加工チャンバーは適切なめっき溶液を含む。本明細書に記載のプロセスで使用できる適切なめっき溶液としては、金属イオン源、酸溶液、及び任意選択の添加剤を含有する電解質溶液が挙げられる。適切なめっき溶液は、「POROUS THREE DIMENSIONAL COPPER,TIN,COPPER−TIN,COPPER−TIN−COBALT,AND COPPER−TIN−COBALT−TITANIUM ELECTRODES FOR BATTERIES AND ULTRACAPACITORS」というタイトルの、2010年1月29日出願の米国特許出願第12/696,422号に記載されており、これは本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
柱状突起211は拡散律速の成膜プロセスを用いて形成される。成膜バイアスの電流密度は、電流密度が限界電流(iL)を超えるように選択される。柱状金属膜は、水素ガスの発生及びその結果生じる樹枝状膜成長に起因して形成され、樹枝状膜成長は物質輸送律速プロセスに起因して起こる。一実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約10A/cm2以下である。別の実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約5A/cm2以下である。さらに別の実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.1A/cm2〜約0.5A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.3A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。一実施形態において、これは約1ミクロン〜約300ミクロンの厚みの柱状突起が銅のシード層上に形成される結果をもたらす。別の実施形態において、これは約10ミクロン〜約30ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約30ミクロン〜約100ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約1ミクロン〜約10ミクロン、例えば約5ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。
【0081】
ブロック406において、図2E〜Gの樹枝状構造208と実質的に同様の導電性樹枝状構造が基板又は電流コレクタ111の上に形成される。導電性樹枝状構造はブロック404の柱状突起上に形成されるか、又は基板若しくは電流コレクタ111の平坦な導電性の表面上に直接形成されてもよい。一実施形態において、導電性樹枝状構造を形成するのに電気化学めっきプロセスを用いてもよく、別の実施形態において、無電解めっきプロセスを用いてもよい。
【0082】
樹枝状構造208と同様の導電性樹枝状構造を形成するための電気化学めっきプロセスは、ブロック404で形成される柱状突起211よりもさらに低密度の樹枝状構造を生成させるために、めっきの間、電気めっき限界電流を超えることを伴う。そうでない場合、このプロセスは実質的にブロック404の電気めっきプロセスと同様であり、in−situで行ってもよく、そのため同じチャンバー中でブロック404に続いて直ちに行ってもよい。このステップの間、カソードでの電位スパイクは一般に還元反応が起きるのに十分な大きさであり、水素の気泡がカソードでの還元反応の副生成物として生成し、一方樹枝状構造は露出面上に絶えず形成されている。形成される樹枝状物は生成する水素の気泡周辺で成長するが、なぜなら水素の気泡の下では電解質−電極の接触がないからである。ある意味で、これらの微視的な気泡は樹枝状成長の「テンプレート」として機能する。したがって、本明細書に記載の実施形態に従って成膜される場合、これらのアノードは多くの細孔を有する。
【0083】
一実施形態において、発生する気泡のサイズを最小化することによって、より小さい細孔が樹枝状構造208において生成する。気泡が上昇すると、それらは近くの気泡と結合、すなわち合体してより大きい樹枝状物テンプレートを形成する場合がある。この全体のプロセスから残る人工物は、樹枝状成長における比較的大きい細孔である。樹枝状構造208の表面積を最大化するために、そのような細孔のサイズを最小化することが好ましい。これは有機酸などの有機添加剤を添加することで実現することができる。
【0084】
つまり、柱状突起211上に樹枝状構造208を形成するのに電気化学めっき法を用いる場合、拡散律速成膜プロセスによって柱状ミクロ構造を第1の電流密度において形成することができ、その後第1の電流密度又は第1の印可電圧よりも大きい第2の電流密度又は第2の印可電圧において、樹枝状構造208の3次元成長が続く。
【0085】
あるいは、樹枝状構造208を形成するのに無電解析出法を使用してもよい。そのような実施形態において、樹枝状構造208は触媒金属ナノ粒子の鎖で構成される。カーボンナノチューブを形成するための触媒として作用することが知られている金属ナノ粒子としては、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及び銀(Ag)が挙げられ、本発明の実施形態は樹枝状構造208を形成する触媒ナノ粒子としてそのような触媒材料を挙げることができることを意図している。一実施形態によれば、無電解析出プロセスは基板を硝酸銀(AgNO3)溶液又は他の銀塩溶液に浸けることによって実現される。
【0086】
ブロック408において、図2F〜Gのパッシベーション膜210と実質的に同様のパッシベーション膜が基板又は電流コレクタ111の上に形成される。パッシベーション膜は柱状突起及び/又はブロック406の樹枝状構造の上に形成してもよい。パッシベーション膜は、電気化学めっき法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、物理気相成長法、無電解法、及びそれらの組合せを含む群から選択されるプロセスによって形成できる。特定の実施形態において、パッシベーション膜210は多段階プロセスを用いて形成されてもよい。パッシベーション膜210は固体電解質界面(SEI)の形成を助け、形成しようとする電極に高容量及び長いサイクル寿命をもたらす。
【0087】
一実施形態において、ブロック408のパッシベーション膜はブロック406の樹枝状構造と同じめっきチャンバーで形成される。別の実施形態において、ブロック408のパッシベーション膜は別個のチャンバーで形成される。特定の実施形態において、ブロック406の樹枝状構造の形成後、及びブロック408のパッシベーション膜の形成前に、任意選択のすすぎステップが行われる。
【0088】
ブロック408のパッシベーション膜が電気めっき法を用いて形成される実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約10A/cm2以下、約6A/cm2以下、約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.005A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.1A/cm2〜約0.5A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。一実施形態において、これは約1nm〜約1,000nmの厚みのパッシベーション膜が樹枝状構造上に形成される結果をもたらす。別の実施形態において、これは約50nm〜約600nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約100nm〜約300nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約150nm〜約200nm、例えば約160nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。一実施形態において、不動態層の形成の間、約0.1〜1ボルトの電圧が印可される。一実施形態において、不動態層の形成の間、約0.3〜0.4ボルトの電圧が印可される。あるいは、化学気相成長法(例えば熱化学気相成長、プラズマ化学気相成長、ホットワイヤー化学気相成長、及び開始化学気相成長)を電気めっき法の代わりに、又は電気めっき法と併せて使用してもよい。そのような実施形態において、パッシベーション膜はCVD法を用いて成膜されたケイ素含有材料を含んでいてもよい。
【0089】
ブロック408のパッシベーション膜がリチウム含有パッシベーション膜である、特定の実施形態において、1回目の充電の間に、又はパッシベーション膜をリチウム含有溶液にさらすことによってリチウムをパッシベーション膜に挿入する予備リチウム化プロセスによって、リチウムを膜に加えてもよい。リチウム含有溶液としては、限定はされないが、水酸化リチウム(LiOH)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(Li2SO4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0090】
ブロック408のパッシベーション膜がケイ素含有パッシベーション膜である実施形態において、パッシベーション膜はプロセスガス混合物を用いて形成してもよく、プロセスガス混合物としては、限定はされないが、シラン(SiH4)、ジシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリメチルシラン、及びテトラメチルシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリエトキシフルオロシラン(TEFS)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDE)、オクトメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、及びそれらの組合せを含む群から選択されるケイ素含有ガスが挙げられる。ケイ素含有ガスを含むプロセスガス混合物の流量は、2,000cm3のチャンバー容積あたり30sccm〜3,000sccmであってもよい。熱CVDプロセスでは、約0.3〜3Torr、例えば約0.5Torrのチャンバー圧力をチャンバー中で維持してもよく、150℃〜450℃の温度をチャンバー中で維持してもよい。場合により、キャリアガスが約0sccm〜約20,000sccmの流量でチャンバーに導入される。キャリアガスは窒素ガス又は不活性ガスであってもよい。
【0091】
PECVD法を用いて形成されるケイ素含有パッシベーション膜では、約0.3〜3Torr、例えば約0.5Torrのチャンバー圧力をチャンバー中で維持してもよく、150℃〜450℃の温度をチャンバー中で維持してもよく、30mW/cm2〜200mW/cm2、例えば約60mW/cm2のRF電力強度を13.56MHzの周波数にてチャンバーの電極にかけてプラズマを発生させてもよい。あるいは、低周波数(例えば400kHz)のRF電力を代わりに電極にかけてもよい。
【0092】
あるいは、スパッタリングなどの物理気相成長法(PVD)、又は蒸着プロセスを、パッシベーション膜又はパッシベーション膜の一部を成膜するための前述の電気めっき法及び化学気相成長法の代わりに又はそれらと併せて使用してもよい。
【0093】
場合により、パッシベーション膜の形成後に基板をアニールしてもよい。アニールプロセスの間、基板を約100℃〜約250℃、例えば約150℃〜約190℃の範囲の温度まで加熱してもよい。一般に、少なくとも1つのアニールガス、例えばO2、N2、NH3、N2H4、NO、N2O、又はそれらの組合せなどを含有する雰囲気中で基板をアニールしてもよい。一実施形態において、基板を周囲雰囲気中でアニールしてもよい。約5Torr〜約100Torr、例えば約50Torrの圧力で基板をアニールしてもよい。特定の実施形態において、アニールプロセスは細孔構造から水分を追い出すのに役立つ。特定の実施形態において、アニールプロセスは原子を銅のベース中に拡散させるのに役立つ。例えば、基板のアニールはスズ原子が銅のベース中に拡散するのを可能にし、銅−スズ層の接着を大幅に強くする。
【0094】
ブロック410において、セパレータ層が形成される。一実施形態において、セパレータ層はアノード構造及びカソード構造中の成分間の直接的な電気接触を防ぐ、誘電性、多孔性、液体透過性の層である。あるいは、セパレータ層は樹枝状構造の表面上に成膜され、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらの組合せなどの固体ポリマーであってもよい。一実施形態において、セパレータ層はメソ多孔性炭素材料の高密度化した層を含む重合炭素層を含み、その上に誘電体層を成膜するか又は取り付けてもよい。
【0095】
図5は、本明細書に記載の実施形態によるアノード構造を形成するための別の方法500をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック508のパッシベーション膜の形成後及びブロック512のセパレータ層の形成前に、ブロック510において黒鉛材料が成膜される以外は、ブロック402〜410において、方法500は上記の方法400と実質的に同様である。
【0096】
ブロック512において、セパレータ層の形成前にハイブリッド層を形成するために、黒鉛材料を樹枝状構造の細孔中に成膜してもよい。グラファイトは通常、負の電極の活性電極材料として使用され、およそ直径が10μmであるMCMBで構成されたリチウムインターカレーションメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)粉末の形態であってもよい。リチウムインターカレーションMCMB粉末は、ポリマーのバインダーマトリックス中に分散している。バインダーマトリックス用ポリマーは、ゴム弾性を有するポリマーを含めた熱可塑性ポリマーでできている。ポリマーバインダーは、MCMB材料粉末を互いに結び付けてクラックの生成を妨げ電流コレクタの表面上でMCMB粉末が崩壊するのを防ぐのに役立つ。一実施形態において、ポリマーバインダーの量は2重量%〜30重量%の範囲である。
【0097】
特定の実施形態において、黒鉛材料又はメソ多孔性構造はパッシベーション膜の形成前に形成されてもよい。
【0098】
図6は、本明細書に記載の実施形態によるアノード構造を形成するための方法600をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック608のパッシベーション膜の形成後及びブロック612のセパレータの形成前に、ブロック610においてメソ多孔性構造が成膜される以外は、ブロック402〜410において、方法600は上記の方法400と実質的に同様である。メソ多孔性構造は上記のように成膜してもよい。
【実施例】
【0099】
本明細書に記載の実施形態をさらに説明するために、以下の仮想的で非制限的な実施例を提供する。しかし、この実施例は包括的であることを意図しておらず、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0100】
銅含有パッシベーション膜:
酸化銅パッシベーション膜
酸化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、酸化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.45体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0101】
塩化銅パッシベーション膜
塩化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.32M塩化銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、塩化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0102】
硫化銅パッシベーション膜
硫化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.5A/cm2の電流密度で、硫化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0103】
銅ニトリルパッシベーション膜
銅ニトリルパッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.1M銅シアニド、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅ニトリルパッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0104】
炭酸銅パッシベーション膜
炭酸銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.30M炭酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、炭酸銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0105】
リン化銅パッシベーション膜
リン化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、ピロリン酸銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0106】
銅−スズ酸化物パッシベーション膜
銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.5A/cm2の電流密度で、銅スズ酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.50体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0107】
銅−コバルト酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.30体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0108】
銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1.5A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.90体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0109】
銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜
銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.8A/cm2の電流密度で酸化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで酸化銅パッシベーション膜を化学気相成長チャンバーに移動し、流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持して銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0110】
リチウム含有パッシベーション膜:
リチウム−銅−P−O−Nパッシベーション膜
リンオキシ窒化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む、約5cm2の表面積の基板を、化学気相成長(CVD)チャンバー中に置いた。既知のCVD法を用いて、オキシ窒化物膜を3次元多孔性銅ニトリド上に成膜した。CVDプロセスの間、リンのドーパントを流した。次いでリンオキシ窒化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウムリンオキシ窒化物パッシベーション膜を形成した。
【0111】
リチウム−銅−B−O−Nパッシベーション膜
ホウ素オキシ窒化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む、約10cm2の表面積の基板を、化学気相成長(CVD)チャンバー中に置いた。既知のCVD法を用いて、オキシ窒化物膜を3次元多孔性銅ニトリド上に成膜した。CVDプロセスの間、ホウ素のドーパントを流した。次いでホウ素オキシ窒化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウムホウ素オキシ窒化物パッシベーション膜を形成した。
【0112】
リチウム−銅酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約0.5A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで酸化銅膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム銅酸化物パッシベーション膜を形成した。一実施形態において、めっき溶液は0.70体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0113】
リチウム銅酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約2A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び酸化銅膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが酸化銅膜に挿入されてリチウム−銅酸化物パッシベーション膜を得た。一実施形態において、めっき溶液は0.45体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0114】
リチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで酸化銅パッシベーション膜を化学気相成長チャンバーに移動し、流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持して銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅−ケイ素酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−ケイ素酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を得た。
【0115】
リチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約1A/cm2の電流密度で、銅−ニッケル酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで銅−ニッケル酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0116】
リチウム−銅−ニッケル酸化物を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約0.5A/cm2の電流密度で、銅−ニッケル酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅−ニッケル酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−ニッケル酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を得た。
【0117】
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−スズ酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−スズ酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−スズ酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を得た。
【0118】
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−スズ酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−スズ酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0119】
リチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト酸化物膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を得た。
【0120】
銅−コバルト酸化物膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−コバルト酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0121】
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1.5A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を得た。
【0122】
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約6A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−スズ酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0123】
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0124】
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を得た。
【0125】
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−チタン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−チタン酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を得た。
【0126】
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−チタン酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0127】
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、化学気相成長チャンバー中に置いた。アルミニウム層を有する3次元多孔性電極を流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持してアルミニウム−ケイ素膜を形成した。次いでアルミニウム−ケイ素膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を形成した。
【0128】
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、化学気相成長チャンバー中に置いた。アルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性電極を流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持してアルミニウムケイ素膜を形成した。3次元多孔性アノード構造及びアルミニウムケイ素膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムがアルミニウムケイ素膜に挿入されてリチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を得た。
【0129】
リチウム−銅−マンガン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−マンガン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmのマンガンを含んでいた。このプロセスを室温で行った。約1.5A/cm2の電流密度で、銅マンガン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで銅マンガン酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム銅−マンガン−酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0130】
リチウム銅−マンガン−酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmの酸化マンガンを含んでいた。このプロセスを室温で行った。約3A/cm2の電流密度で、銅マンガン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅マンガン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが酸化銅膜に挿入されてリチウム−銅−酸化物パッシベーション膜を得た。
【0131】
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmの酸化鉄を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−鉄−リン化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−鉄−リン化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を形成した。
【0132】
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、200ppmのクエン酸、及び200ppmの酸化鉄を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−鉄−リン化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−鉄−リン化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−鉄−リン化物膜に挿入されてリチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を得た。
【0133】
図7は、本明細書に記載の実施形態に従って形成されたパッシベーション膜の、エネルギー貯蔵デバイスの貯蔵容量に対する効果を実証するプロット700を例示している。Y軸は測定された電流をアンペア(A)で表し、X軸は測定された銅に対する電位をボルト(V)で表す。結果はサイクリックボルタンメトリー法を用いて得られた。銅箔基板上に成膜された銅の柱状構造について試験を行った。典型的なサイクリックボルタンメトリー法は、本願の譲受人に譲渡された、「METROLOGY METHODS AND APPARATUS FOR NANOMATERIAL CHARACTERIZATION OF ENERGY STORAGE ELECTRODE STRUCTURES」というタイトルの、2009年2月29日出願の米国特許出願第12/368,105号に記載され、これは本明細書に記載の実施形態と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。プロット700の結果は、酸化方向の初期の電圧掃引によって、銅のパッシベーション膜が銅の柱状構造の表面に形成されることを実証している。銅のパッシベーション膜は、710の線で表される銅箔の電荷貯蔵容量と比較して、電極の電荷貯蔵容量を20倍に増加させると考えられる。しかし、初期の電圧掃引が、パッシベーション膜が形成されない還元方向である場合、電極の電荷貯蔵容量は銅箔単独の貯蔵容量と比較して10倍しか増加しない。したがって、電極上のパッシベーション膜の形成が、より大きい電荷貯蔵容量を電極にもたらすと考えられる。さらに、3次元樹枝状構造及び柱状層上に銅膜が成膜されると、銅箔単独の少なくとも50倍、場合によって250倍の電荷貯蔵容量がもたらされ得ることになると考えられる。
【0134】
前述の内容は本発明の実施形態に向けられたものであるが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般にリチウムイオン電池に関し、より具体的には3次元構造を形成する薄膜成膜方法を用いてそのような電池を製造するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーキャパシタ及びリチウムイオン(Li+)電池などの、高速充電、高容量のエネルギー貯蔵デバイスは、携帯用電子機器、医療、運輸、グリッド接続の大量エネルギー貯蔵、再生可能エネルギーの貯蔵、及び無停電電源(UPS)を含めたますます多くの用途で使用されている。最新の再充電可能なエネルギー貯蔵デバイスでは、電流コレクタは導電体でできている。正の電流コレクタ(カソード)用材料の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルが挙げられる。負の電流コレクタ(アノード)用材料の例としては、銅(Cu)、ステンレス鋼、及びニッケル(Ni)が挙げられる。そのようなコレクタは、一般に厚みが約6〜50μmの範囲である、箔、フィルム、又は薄板の形態であってもよい。
【0003】
Liイオン電池の正電極における活性電極材料は、典型的にはLiMn2O4、LiCoO2及び/又はLiNiO2などのリチウム遷移金属酸化物から選択され、炭素又はグラファイトなどの導電性粒子、及びバインダー材料を含む。そのような正電極材料はリチウム層間化合物であると考えられ、その中で導電性材料の量は0.1重量%〜15重量%の範囲である。
【0004】
グラファイトは通常、負電極の活性電極材料として使用され、直径がおよそ10μmであるメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)から成るリチウムインターカレーションMCMB粉末の形態であってもよい。リチウムインターカレーションMCMB粉末は、ポリマーバインダーマトリックス中に分散されている。バインダーマトリックス用のポリマーは、ゴム弾性を有するポリマーを含めた熱可塑性ポリマーでできている。ポリマーバインダーは、MCMB材料粉末を互いに結び付けてクラックの生成を妨げ電流コレクタの表面上でMCMB粉末が崩壊するのを防ぐのに役立つ。ポリマーバインダーの量は2重量%〜30重量%の範囲である。
【0005】
Liイオン電池のセパレータは、典型的にはマイクロ多孔性ポリエチレン及びポリオレフィンからできており、別個の製造工程で取り付けられる。
【0006】
大部分のエネルギー貯蔵用途において、エネルギー貯蔵デバイスの充電時間及び容量が重要なパラメータである。加えて、そのようなエネルギー貯蔵デバイスのサイズ、重量、及び/又は費用は顕著な制約となり得る。
【0007】
したがって、より小型、軽量であり、より費用効率良く製造できる、より高速充電、高容量のエネルギー貯蔵デバイスが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、一般にリチウムイオン電池に関し、より具体的には3次元構造を形成する薄膜成膜方法を用いてそのような電池を製造するシステム及び方法に関する。一実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスを形成するのに使用されるアノード構造が提供される。アノード構造は、導電性基板、基板上に形成される複数の導電性ミクロ構造、導電性ミクロ構造上に形成されるパッシベーション膜、及び導電性ミクロ構造上に形成される絶縁セパレータ層を含み、導電性ミクロ構造は柱状突起を含む。
【0009】
別の実施形態において、アノード構造を形成する方法が提供される。この方法は、導電性基板上に複数の導電性ミクロ構造を成膜するステップと、導電性ミクロ構造上にパッシベーション膜を形成するステップとを含む。
【0010】
さらに別の実施形態において、可撓性基板を加工するための基板加工システムが提供される。加工システムは、第1の導電性材料を含む導電性ミクロ構造を可撓性基板の一部の上にめっきするように設計された第1のめっきチャンバーと、すすぎ液によって可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第1のめっきチャンバーに隣接して配置される第1のすすぎチャンバーと、第2の導電性材料を導電性ミクロ構造上に成膜するように設計された、第1のすすぎチャンバーに隣接して配置される第2のめっきチャンバーと、可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第2のめっきチャンバーに隣接して配置される第2のすすぎチャンバーと、パッシベーション膜を可撓性基板の一部の上に形成するように設計された表面改質チャンバーと、チャンバー間で可撓性基板を移動させるように設計された基板移動機構とを含み、基板移動機構は、可撓性基板の一部を保持するように設計された供給ロールと、可撓性基板の一部を保持するように設計された巻き取りロールとを含む。基板移動機構は、可撓性基板を各チャンバーから出し入れするために供給ロール及び巻き取りロールを作動させ、各チャンバーの加工容積中に可撓性基板をとどめておくように設計されている。
【0011】
さらに別の実施形態において、バッテリーセルの製造方法が提供される。この方法は、導電性ミクロ構造を基板の導電性表面上に形成するステップと、パッシベーション膜を導電性ミクロ構造上に形成するステップと、液体透過性の電気絶縁セパレータ層をパッシベーション膜上に成膜するステップと、活性カソード材料を電気絶縁セパレータ層上に成膜するステップと、金属薄膜成膜プロセスを用いて電流コレクタを活性カソード材料上に成膜するステップと、誘電体層を電流コレクタ上に成膜するステップとを含み、導電性ミクロ構造は電気めっきプロセスによって形成される柱状突起を含む。
【0012】
さらに別の実施形態において、バッテリーセルの製造方法が提供される。この方法は、第1の薄膜成膜プロセス(導電性ミクロ構造を第1の基板の導電性表面上に形成するステップと、パッシベーション膜を導電性ミクロ構造上に成膜するステップと、液体透過性の電気絶縁セパレータ層をパッシベーション膜上に成膜するステップと、活性カソード材料を電気絶縁セパレータ層上に成膜するステップとを含む)によってアノード構造を形成するステップと、第2の薄膜成膜プロセス(導電性ミクロ構造を基板の導電性表面上に形成するステップと、活性カソード材料を導電性ミクロ構造上に成膜するステップとを含む)によってカソード構造を形成するステップと、アノード構造及びカソード構造を共に接続するステップとを含む。
【0013】
本発明の上記で挙げた特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照することによって、上記で簡潔に要約される本発明をより具体的に説明することができ、その一部を添付の図面において例示する。しかし、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを例示し、したがって本発明の範囲を限定すると考えられるものではなく、なぜなら本発明が他の同様に有効な実施形態を認め得るからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書に記載の実施形態による、負荷と電気接続されたLiイオン電池の概略図である。
【図2A】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2B】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2C】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2D】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2E】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2F】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図2G】本明細書に記載の実施形態に従って形成される、アノード構造の概略断面図である。
【図3】本明細書に記載の実施形態による加工システムを概略的に示す図である。
【図4】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図5】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図6】本明細書に記載の実施形態による、アノード構造の形成方法をまとめたプロセスフローチャートの図である。
【図7】エネルギー貯蔵デバイスの貯蔵容量に対する、本明細書に記載の実施形態に従って形成されるパッシベーション膜の効果を実証するプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載の実施形態を実施できる特定の装置を限定しないが、Applied Materials,Inc.、Santa Clara、Califより販売されている、ウェブをベースとするロールツーロールシステムにおいて実施形態を実施するのが特に有益である。本明細書に記載の実施形態を実施できる、例となるロールツーロール及び不連続の基板システムは本明細書に記載されており、本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHODS FOR FORMING ENERGY STORAGE OR PV DEVICES IN A LINEAR SYSTEM」いうタイトルの米国仮特許出願第61/243,813号(Attorney Docket No.APPM/014044/ATG/ATG/ESONG)、及び本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHOD FOR FORMING 3D NANOSTRUCTURE ELECTRODE FOR ELECTROCHEMICAL BATTERY AND CAPACITOR」というタイトルの米国特許出願第12/620,788号(Lopatinら、2009年11月18日出願、現在はUS2010−0126849として公開されている)にさらに詳細に記載されており、その両方は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の製造業者から入手可能なものを含めた、他の加工チャンバー及びシステムも、本明細書に記載の実施形態を実施するのに使用してもよい。一例となる加工システムとしては、本明細書に記載のロールツーロール加工システムが挙げられる。
【0016】
本明細書に記載の実施形態は、薄膜成膜プロセス及び薄膜を形成する他の方法を用いて、電池又はスーパーキャパシタなどの電気化学デバイスを作ることを意図している。本明細書に記載の実施形態は、導電性の3次元アノード構造上へのパッシベーション膜の形成を含む。パッシベーション膜は、電気化学めっき法、無電解法、化学気相成長法、物理気相成長法、及びそれらの組合せによって形成してもよい。パッシベーション膜は固体電解質界面(SEI)の形成及び維持を助け、高容量及び電極の長いサイクル寿命をもたらす。一実施形態において、次いで多孔質誘電性セパレータ層をパッシベーション膜及び導電性3次元アノード構造の上に形成して、Liイオン電池のアノード構造などのエネルギー貯蔵デバイスの半電池、又はスーパーキャパシタの半分を形成する。一実施形態において、バッテリーの第2の半電池又はスーパーキャパシタの半分を別個に形成し、続いてセパレータ層に接合させる。別の実施形態において、さらなる薄膜をセパレータ層の上に成膜することによって、バッテリーの第2の半電池又はスーパーキャパシタの半分を形成する。
【0017】
図1は、本明細書に記載の実施形態による、負荷101に電気的に接続されたLiイオン電池100の概略図である。単層Liイオンバッテリーセルが図1に描かれているが、本明細書に記載の実施形態は単層Liイオンバッテリーセル構造に限定されず、例えば本明細書に記載の実施形態は、2層Liイオンバッテリーセルなどの多層Liイオンバッテリーセルにも適用できることも理解するべきである。Liイオン電池100の主な機能的部材には、アノード構造102、カソード構造103、セパレータ層104、及び対向する電流コレクタ111及び113の間の領域内に配置された電解質(図示せず)が含まれる。有機溶媒中のリチウム塩などの、様々な材料を電解質として使用してもよい。リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、又はLiClO4を挙げることができ、有機溶媒としては例えばエーテル及びエチレンオキシドを挙げることができる。電池が外部回路に電流を流す際に、電解質はアノード構造102及びカソード構造103の間でキャリアとして作用するリチウムイオンを伝導する。電解質はアノード構造102、カソード構造103、及び電流コレクタ111及び113の間に形成される領域中の液体透過性セパレータ層104に含有される。
【0018】
アノード構造102及びカソード構造103はそれぞれLiイオン電池100の半電池としての役割を果たし、Liイオン電池100の完全な実用セルを共に形成する。アノード構造102及びカソード構造103の両方は、リチウムイオンが移動して出入りできる材料を含む。アノード構造102は、電流コレクタ111、及びリチウムイオンを保持するためのインターカレーションホスト材料として作用する導電性ミクロ構造110を含む。同様にカソード構造103は、電流コレクタ113、及びリチウムイオンを保持するためのインターカレーションホスト材料、例えば金属酸化物などを含む。セパレータ層104は、アノード構造102及びカソード構造103中の成分間での直接的な電気接触を防ぐ、誘電性、多孔質、液体透過性の層である。Liイオン電池100、並びにLiイオン電池100の構成要素(すなわちアノード構造102、カソード構造103、及びセパレータ層104)を構成する材料を形成する方法は、図2A〜Gと関連して以下に記載される。
【0019】
従来の二次電池の伝統的な酸化還元のガルバニック作用よりもむしろ、Liイオン二次電池の化学は、インターカレーションホスト材料の結晶構造を変えずにリチウムイオンが各電極中のインターカレーションホスト材料の結晶格子中に挿入される、完全に可逆のインターカレーションメカニズムによって決まる。そのため、Liイオン電池の電極中のそのようなインターカレーションホスト材料が、リチウムイオンの挿入又は抽出を可能にする開かれた結晶構造を有し、同時に相殺の電子を受け取る能力を有することが必要である。Liイオン電池100において、アノード、すなわち負電極は、導電性ミクロ構造110に基づく。導電性ミクロ構造は、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの合金、及びそれらの組合せを含む群から選択される金属であってもよい。
【0020】
カソード構造103、すなわち正電極は、二酸化コバルトリチウム(LiCoO2)又は二酸化マンガンリチウム(LiMnO2)などの金属酸化物からできている。カソード構造103は、リチウムコバルト酸化物などの層状酸化物、リン酸鉄リチウムなどのポリアニオン、リチウムマンガン酸化物などのスピネル、又はTiS2(二硫化チタン)からできていてもよい。例となる酸化物は、層状リチウムコバルト酸化物、又はLiNixCo1−2xMnO2、LiMn2O4などの混合金属酸化物であってもよい。例となるリン酸塩は、鉄カンラン石(LiFePO4)及びその変種(LiFe1−xMgPO4など)、LiMoPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、LiVOPO4、LiMP2O7、又はLiFe1.5P2O7であってもよい。例となるフルオロリン酸塩は、LiVPO4F、LiAlPO4F、Li5V(PO4)2F2、Li5Cr(PO4)2F2、Li2CoPO4F、Li2NiPO4F、又はNa5V2(PO4)2F3であってもよい。例となるケイ酸塩は、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、又はLi2VOSiO4であってもよい。
【0021】
セパレータ層104は、ショートを避けるためにアノード構造102をカソード構造103から物理的に分離しながら、アノード構造102及びカソード構造103の間で移動するためのイオンチャンネルを供給するように設計されている。一実施形態において、セパレータ層104は導電性ミクロ構造110の上層として形成してもよい。あるいは、導電性ミクロ構造110の表面上に成膜されるセパレータ層104は、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらの組合せなどの固体ポリマーであってもよい。
【0022】
作動中、図1に示すようにアノード構造102及びカソード構造103が負荷101に電気的に接続されている場合、Liイオン電池100は電気エネルギーを提供する、すなわちエネルギーが放出される。導電性ミクロ構造110から生じる電子は、アノード構造102の電流コレクタ111から負荷101及び電流コレクタ113を通り、カソード構造103のインターカレーションホスト材料112へと流れる。同時に、リチウムイオンはアノード構造102の導電性ミクロ構造110から解離、すなわち抽出され、セパレータ層104を通ってカソード構造103のインターカレーションホスト材料112の中へ移動し、インターカレーションホスト材料112の結晶構造中へ挿入される。導電性ミクロ構造110、インターカレーションホスト材料112、及びセパレータ層104中に存在する電解質は、リチウムイオンがイオン伝導によって導電性ミクロ構造110からインターカレーションホスト材料112へ移動するのを可能にする。Liイオン電池100は、負荷101の代わりに適切な極性の起電力をアノード構造102及びカソード構造103に電気的に接続することによって充電される。次いで電子はカソード構造103の電流コレクタ113からアノード構造102の電流コレクタ111へ流れ、リチウムイオンはカソード構造103中のインターカレーションホスト材料112からセパレータ層104を通ってアノード構造102の導電性ミクロ構造110中へ移動する。こうしてリチウムイオンは、Liイオン電池100が放電される場合はカソード構造103中へインターカレートされ、Liイオン電池100が充電状態にある場合はアノード構造102中へインターカレートされている。
【0023】
十分に高い電位がアノード構造102において確立され、適切な有機溶媒が電解質として使用される場合、最初の充電で溶媒は分解され固体電解質界面(SEI)と呼ばれる固体層を形成し、これは電気絶縁性であるがリチウムイオンに対しては十分に伝導性である。SEIは2回目の充電後に電解質が分解するのを防ぐ。SEIは2つの重要な界面を有する3層システムと考えることができる。従来の電気化学研究では、これは電気二重層と呼ばれることが多い。その最も単純な形態において、SEIによって被覆されたアノードは、充電されると3つの段階を経ることになる。すなわち、アノード(M)及びSEIの間の電子移動(M0−ne→Mn+M/SEI);アノード−SEI界面からSEI−電解質(E)界面へのカチオンマイグレーション(Mn+M/SEI→Mn+SEI/E);及びSEI/電解質界面でのSEI中から電解質へのカチオン移動(E(solv)+Mn+SEI/E→Mn+E(Solv))である。
【0024】
電池の出力密度及び再充電速度は、アノードがいかに迅速に電荷を放出及び獲得できるかによって決まる。これは同様に、アノードがいかに迅速にSEIを介してLi+を電解質とやりとりできるかによって決まる。SEIでのLi+のやりとりは前述のように多段階プロセスであり、大部分の多段階プロセスと同様に、プロセス全体のスピードは最も遅い段階によって決まる。大部分の系においてカチオンマイグレーションがボトルネックであることが研究によって分かっている。溶媒の拡散特性がアノード−SEI界面とSEI−電解質(E)界面との間のマイグレーションのスピードに影響することも分かった。したがって、最適な溶媒は拡散のスピードを最大限にするために小さい質量を有する。
【0025】
明確な特性及びSEIで起きる反応は良く理解されていないが、これらの特性及び反応がアノード構造の繰り返し可能性及び容量に対して強く影響を与え得ることが知られている。繰り返すとSEIは厚みを増す可能性があり、電極/SEI界面からSEI/電解質界面への拡散を長くすると考えられる。これは今度はバッテリーの出力密度の大幅な低下を引き起こす。さらに、SEIの厚みが増すと、ナノ材料のミクロ構造の広い表面積で脆弱なミクロ構造を損傷させる恐れがある。
【0026】
図2A〜2Gは本明細書に記載の実施形態に従って形成されたアノード構造の概略断面図である。図2Aにおいて、導電性ミクロ構造206及び不動態層又は膜210が形成される前の、電流コレクタ111が略図で示されている。電流コレクタ111は、金属、プラスチック、グラファイト、ポリマー、炭素含有ポリマー、複合材、又は他の適切な材料などの1つ又は複数の材料を含む、基板上に配置された比較的薄い導電層、又は単純には導電性基板(例えば箔、シート、又はプレート)を含んでいてもよい。電流コレクタ111を構成する金属の例としては、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、スズ(Sn)、ルテニウム(Ru)、ステンレス鋼、それらの合金、及びそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、電流コレクタ111は金属箔であり、その上に配置された絶縁コーティングを有していてもよい。あるいは、電流コレクタ111はガラス、シリコン、プラスチック、又はポリマー基板などの非導電性であるホスト基板を含んでいてもよく、このホスト基板は物理気相成長(PVD)、電気化学めっき、無電解めっきなどを含めた、当技術分野で既知の手段によってその上に形成される導電層を有する。一実施形態において、電流コレクタ111は可撓性ホスト基板からできている。可撓性ホスト基板は、その上に形成される導電層を有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は他の適切なプラスチック又はポリマー材料などの軽量で安価なプラスチック材料であってもよい。そのような可撓性基板としての使用に適した材料としては、ポリイミド(例えばDuPont CorporationのKAPTON(商標))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリアクリラート、ポリカルボナート、シリコーン、エポキシ樹脂、シリコーン官能性エポキシ樹脂、ポリエステル(例えばE.I.du Pont de Nemours&Co.社のMYLAR(商標))、Kanegaftigi Chemical Industry Company製のAPICAL AV、UBE Industries,Ltd.製のUPILEX;Sumitomo社製のポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(例えばGeneral Electric CompanyのULTEM)、及びポリエチレンナフタラート(PEN)が挙げられる。あるいは、可撓性基板はポリマーコーティングで補強された比較的薄いガラスで作られてもよい。
【0027】
図2Bに示すように、任意選択のバリア層202又は接着層を電流コレクタ111の上に成膜してもよい。バリア層202は、次にバリア層上に成膜される材料が下層の基板中に拡散するのを防ぐ又は阻害するために使用してもよい。一実施形態において、バリア層はバリア−接着層又は接着−剥離層などの多層を含む。バリア層材料の例としては、クロム、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaNx)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiNx)、タングステン(W)、窒化タングステン(WNx)、それらの合金、及びそれらの組合せなどの耐火性金属及び耐火性金属窒化物が挙げられる。バリア層材料の他の例としては、窒素でスタッフィングしたPVDチタン、ドープシリコン、アルミニウム、酸化アルミニウム、チタンケイ素窒化物、タングステンケイ素窒化物、及びそれらの組合せが挙げられる。例となるバリア層及びバリア層成膜法は、本願の譲受人に譲渡された「Method of Depositing A Catalytic Seed Layer」というタイトルの2002年1月28日出願の米国特許出願公開2003/0143837にさらに記載され、これは本明細書に記載の実施形態と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。バリア層は、CVD法、PVD法、無電解析出法、蒸着、又は分子線エピタキシーによって成膜してもよい。
【0028】
図2Cに示すように、柱状突起211の成膜を助けるため、場合により導電性シード層204を電流コレクタ111の上に成膜してもよい。導電性シード層204は、その上に次の材料が成膜されるのを助ける導電性金属を含む。導電性シード層204は銅シード層又はその合金を含んでいてもよい。他の金属、特に貴金属もシード層に使用してもよい。導電性シード層204を、物理気相成長法、化学気相成長法、及び無電解析出法を含めた当技術分野で従来から既知の方法によって、バリア層の上に成膜してもよい。あるいは、柱状突起211は電気化学めっきプロセスによって電流コレクタ111の上に直接、すなわち導電性シード層204を用いずに形成してもよい。
【0029】
図2D及び2Eに示すように、柱状突起211及び樹枝状構造208を含む導電性ミクロ構造206をシード層204の上に形成する。導電性ミクロ構造206の形成は、水素の発生が多孔質金属膜の形成をもたらすようなプロセス条件の確立を含む。一実施形態において、そのようなプロセス条件は、拡散境界層を減少させることによりカソード付近(例えばシード層表面)の金属イオンの濃度を増加させること、及び電解質浴中の金属イオン濃度を増加させることのうち、少なくとも1つを行うことによって実現される。拡散境界層は流体力学的境界層に強く関連することに注目すべきである。金属イオン濃度が低すぎる、及び/又は所望のめっき速度において拡散境界層が大きすぎる場合、限界電流(iL)に達することになる。限界電流に達した場合に引き起こされる拡散律速のめっきプロセスは、カソード(例えば金属化した基板表面)へより高い電力(例えば電圧)をかけることによるめっき速度の増加を妨げる。限界電流に達した場合、ガスの発生に起因して低密度の柱状突起211が生成し、物質輸送律速のプロセスに起因して起こる樹枝状タイプの膜成長を生じさせる。
【0030】
めっきプロセスとして論じているが、柱状突起は他のプロセス、例えばエンボス加工プロセスを用いて形成してもよいことも理解するべきである。
【0031】
次に、3次元多孔質金属構造又は樹枝状構造208を、図2Eに示すように柱状突起211上に形成してもよい。樹枝状構造208は、柱状ミクロ構造206の成膜よりも電圧及び対応する電流密度を増加させることによって、柱状突起211上に形成してもよい。一実施形態において、樹枝状構造は、過電圧、すなわち樹枝状構造208を形成するのに使用される印可電圧が柱状突起211を形成するのに使用される印可電圧よりも著しく高い電気化学めっきプロセスによって形成され、それにより柱状突起211上に3次低密度金属樹枝状構造208が得られる。一実施形態において、樹枝状構造208は無電解プロセスを用いて形成される。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は一般に約10A/cm2以下である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は一般に約5A/cm2以下である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約1A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.5A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約1A/cm2の範囲である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.3A/cm2〜約2A/cm2の範囲である。一実施形態において、樹枝状構造208の空隙率は全表面積の30%〜70%、例えば約50%である。
【0032】
一実施形態において、導電性ミクロ構造206は多孔性の様々な形態のうち1つ又は複数を含んでいてもよい。一実施形態において、導電性ミクロ構造206は直径が約100ミクロン以下であるマクロ細孔を有するマクロ多孔性構造を含む。一実施形態において、マクロ細孔213Aは約5〜約100ミクロン(μm)の範囲の大きさである。別の実施形態において、マクロ細孔の平均サイズは約30ミクロンのサイズである。導電性ミクロ構造206は、柱状突起211及び/又は樹枝状物208の本体中央部の間に形成される、第2のタイプ又はクラスの細孔構造も含んでいてもよく、これはメソ多孔性構造として知られている。メソ多孔性構造は、サイズ又は直径が約1ミクロン未満である複数のメソ細孔を有していてもよい。別の実施形態において、メソ多孔性構造はサイズ又は直径が約100nm〜約1,000nmである複数のメソ細孔213Bを有していてもよい。一実施形態において、メソ細孔は直径が約2nm〜約50nmである。さらに導電性ミクロ構造206は、樹枝状物間に形成される第3のタイプ又はクラスの細孔構造も含んでいてもよく、これはナノ多孔性構造として知られている。一実施形態において、ナノ多孔性構造は直径が約100nm未満のサイズである複数のナノ細孔を有していてもよい。別の実施形態において、ナノ多孔性構造はサイズ又は直径が約20nm未満である複数のナノ細孔を有していてもよい。ミクロ多孔性、メソ多孔性、及びナノ多孔性構造の組合せは、導電性ミクロ構造206の表面積の著しい増加をもたらす。
【0033】
一実施形態において、樹枝状構造208は銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、及び他の適切な材料などの、単一の材料から形成されていてもよい。別の実施形態において、樹枝状構造208は銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの組合せ、それらの合金、又は他の適切な材料の合金を含んでいてもよい。
【0034】
図2Fに示すように、パッシベーション膜210は導電性ミクロ構造206の上に形成される。パッシベーション膜210は、電気化学めっきプロセス(ECP)、化学気相成長プロセス(CVD)、物理気相成長プロセス(PVD)、無電解プロセス、及びそれらの組合せを含む群から選択されるプロセスによって形成できる。パッシベーション膜210は、固体電解質界面(SEI)の形成を助け、形成しようとする電極において高容量及び長いサイクル寿命をもたらすと考えられている。一実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約1nm〜約1,000nmである。別の実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約200nm〜約800nmである。さらに別の実施形態において、パッシベーション膜210の厚みは約400nm〜約600nmである。
【0035】
一実施形態において、パッシベーション膜210は、酸化銅(Cu2O、CuO、Cu2O−CuO)、塩化銅(CuCl)、硫化銅(Cu2S、CuS、Cu2S−CuS)、銅ニトリル、炭酸銅、リン化銅、銅−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−ケイ素酸化物、銅−ニッケル酸化物、銅−コバルト酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、銅−チタン酸化物、銅−マンガン酸化物、及び銅−鉄リン酸塩を含む群から選択される銅含有膜である。一実施形態において、パッシベーション膜210は、アルミニウム−ケイ素膜などのアルミニウム含有膜である。一実施形態において、パッシベーション膜210は、リチウム−銅−リン−オキシ窒化物(P−O−N)、リチウム−銅−ホウ素−オキシ窒化物(B−O−N)、リチウム−銅酸化物、リチウム−銅−ケイ素酸化物、リチウム−銅−ニッケル酸化物、リチウム−銅−スズ酸化物、リチウム−銅−コバルト酸化物、リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、リチウム−銅−チタン酸化物、リチウム−アルミニウム−ケイ素、リチウム−銅−マンガン酸化物、及びリチウム−銅−鉄リン化物を含む群から選択される、リチウム含有膜である。一実施形態において、リチウムは最初の充電後にリチウム含有膜中に挿入される。
【0036】
別の実施形態において、リチウム含有膜は、パッシベーション膜をリチウム含有溶液にさらすことによってリチウムをパッシベーション膜中に挿入する「予備リチウム化(pre−lithiated)」が行われる。一実施形態において、予備リチウム化プロセスは前述のめっき溶液にリチウム源を加えることによって行ってもよい。適切なリチウム源としては、限定はされないが、LiH2PO4、LiOH、LiNO3、LiCH3COO、LiCl、Li2SO4、Li3PO4、Li(C5H8O2)、Li2CO3、リチウムの表面安定化粒子(例えば炭素コーティングしたリチウム粒子)、及びそれらの組合せが挙げられる。予備リチウム化プロセスはさらに、錯化剤、例えばクエン酸及びその塩をめっき溶液に加えるステップを含んでいてもよい。一実施形態において、予備リチウム化プロセスの結果として約1〜40%のリチウム原子濃度を含む電極が得られる。別の実施形態において、予備リチウム化プロセスの結果として約10〜25%のリチウム原子濃度を含む電極が得られる。
【0037】
特定の実施形態において、予備リチウム化プロセスは、粉末塗布技術を用いてリチウムを粒子状態で電極に塗布することによって行ってもよく、粉末塗布技術としては、限定はされないが、ふるい法、静電スプレー法、溶射又はフレーム溶射法、流動床コーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、及びそれらの組合せが挙げられ、その全てが当業者に既知である。一実施形態において、リチウムはプラズマ溶射法を用いて成膜される。一実施形態において、パッシベーション膜210は、パッシベーション膜210をめっきするための新しいめっき浴に基板を浸すことによって形成してもよい。
【0038】
一実施形態において、すすぎステップは基板を新しいめっき浴に浸す前に行われる。一実施形態において、パッシベーション膜210を成膜後アニールプロセスに供する。
【0039】
一実施形態において、不動態層は、Applied Materials, Inc.of Santa Clara,Californiaより入手可能な電気めっきチャンバーSLIMCELL(登録商標)などの、本明細書に記載の加工ステップのうち1つ又は複数を実行するように適合させることができる加工チャンバー中で、電気めっきプロセスによって形成される。
【0040】
加工チャンバーは適切なめっき溶液を含む。本明細書に記載のプロセスで使用することができる適切なめっき溶液としては、金属イオン源、酸性溶液、及び任意選択の添加剤を含有する電解質溶液が挙げられる。
【0041】
めっき溶液:
一実施形態において、めっき溶液は金属イオン源及び少なくとも1つ又は複数の酸性溶液を含有する。適切な酸性溶液としては、例えば硫酸、リン酸、ピロリン酸、過塩素酸、酢酸、クエン酸、それらの組合せなどの無機酸、並びにそれらのアンモニウム塩及びカリウム塩を含めた酸電解質誘導体が挙げられる。
【0042】
一実施形態において、パッシベーション膜210を形成するのに使用されるめっき溶液中の金属イオン源は、銅イオン源である。有用な銅源としては、硫酸銅(CuSO4)、硫化銅(I)(Cu2S)、硫化銅(II)(CuS)、塩化銅(I)(CuCl)、塩化銅(II)(CuCl2)、酢酸銅(Cu(CO2CH3)2)、ピロリン酸銅(Cu2P2O7)、フルオロホウ酸銅(Cu(BF4)2)、酢酸銅((CH3CO2)2Cu)、銅アセチルアセトナート((C5H7O2)2Cu)、リン酸銅、硝酸銅、炭酸銅、スルファミン酸銅、スルホン酸銅、ピロリン酸銅、シアン化銅、それらの誘導体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。一部の銅源はCuSO45H2O、CuCl22H2O、及び(CH3CO2)2CuH2Oなどの水和物誘導体として一般に入手可能である。電解質組成物もまたアルカリ性銅めっき浴(例えばシアン化物、グリセリン、アンモニアなど)に基づいていてもよい。一実施形態において、電解質中の銅イオンの濃度は約0.1M〜約1.1Mの範囲であってもよい。一実施形態において、電解質中の銅イオンの濃度は約0.4M〜約0.9Mの範囲であってもよい。
【0043】
場合により、めっき溶液は1つ又は複数の添加剤化合物を含んでいてもよい。特定の実施形態において、めっき溶液は酸化剤を含有する。本明細書で使用する場合、酸化剤は金属層を対応する酸化物に(例えば銅から酸化銅へ)酸化するのに使用してもよい。適切な酸化剤の例としては、ペルオキシ化合物、例えば、過酸化水素及びその付加物などの、ヒドロキシラジカルを経て解離し得る化合物が挙げられ、それらとしては過酸化尿素、過炭酸塩、及び有機過酸化物(例えばアルキルペルオキシド、環状ペルオキシド又はアリールペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過酢酸、及びジ−t−ブチルペルオキシドが挙げられる)が挙げられる。例えばペルオキシ二硫酸アンモニウム、ペルオキシ二硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過硫酸カリウムを含めた、モノ過硫酸塩及びジ過硫酸塩などの硫酸塩及び硫酸塩誘導体も使用してもよい。過炭酸ナトリウム及び過酸化ナトリウムなどのペルオキシ化合物の塩も使用してもよい。一実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.001%〜約90%の範囲の量で存在してもよい。別の実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.01%〜約20%の範囲の量で存在してもよい。さらに別の実施形態において、酸化剤はめっき溶液中に体積又は重量で約0.1%〜約15%の範囲の量で存在してもよい。
【0044】
特定の実施形態において、エネルギーデバイスを作るのに必要な所有コストを削減するために、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)などの低コストのpH調整剤を加えて所望のpHを有する安価な電解質を作るのが望ましい。場合によっては、pHを調整するのにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を使用するのが望ましい。
【0045】
一実施形態において、成長する電気化学析出層中又は電気化学析出層の粒界上に析出するか又は取り込まれることになる第2の金属イオンを、主要な金属イオンを含有する電解質浴(例えば銅イオン含有浴)に加えることが望ましい場合がある。ある割合の第2の元素を含有する金属層の形成は、形成される層の内在性応力を低減する、及び/又はその電気特性及びエレクトロマイグレーション特性を改善するのに有用となり得る。一例では、電解質溶液中の金属イオン源は、銀、スズ、亜鉛、コバルト、ニッケルイオン源、及びそれらの組合せを含む群からから選択される。一実施形態において、電解質中の銀(Ag)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、コバルト(Co)、又はニッケル(Ni)イオンの濃度は、約0.1M〜約0.4Mの範囲であってもよい。
【0046】
適切なニッケル源の例としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、リン酸ニッケル、それらの誘導体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0047】
適切なスズ源の例としては、可溶性スズ化合物が挙げられる。可溶性スズ化合物は第2スズ塩又は第1スズ塩であってもよい。第2スズ塩又は第1スズ塩は硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、又はアルカノールスルホン酸塩であってもよい。例えば、浴可溶性のスズ化合物は式:
(RSO3)2Sn
の1つ又は複数のアルカンスルホン酸第1スズであってもよく、式中、Rは1〜12個の炭素原子を含むアルキル基である。アルカンスルホン酸第1スズは、式:
【化1】
を有するメタンスルホン酸第1スズであってもよく、浴可溶性スズ化合物はまた式:
SnSO4
の硫酸第1スズであってもよい。
【0048】
可溶性スズ化合物の例としてはまた、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−プロパンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などの有機スルホン酸のスズ(II)塩、ホウフッ化スズ(II)、スルホコハク酸スズ(II)、硫酸スズ(II)、酸化スズ(II)、塩化スズ(II)などを挙げることができる。可溶性スズ(II)化合物は、単独で又は2つ若しくはそれを超える種類の組合せで使用してもよい。
【0049】
適切なコバルト源の例としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、エチレンジアミン四酢酸コバルト、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、グリシンコバルト(III)、ピロリン酸コバルト、及びそれらの組合せから選択されるコバルト塩を挙げることができる。
【0050】
めっき溶液はまた、マンガン又は鉄を約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で含有してもよい。別の実施形態において、めっき溶液はマンガン又は鉄を約100ppm〜約400ppmの範囲の濃度で含有してもよい。考えられる鉄源としては、水和物を含めた塩化鉄(II)(FeCl2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(II,III)(Fe3O4)、及び酸化鉄(III)(Fe2O3)が挙げられる。考えられるマンガン源としては、酸化マンガン(IV)(MnO2)、硫酸マンガン(II)一水和物(MnSO4・H2O)、塩化マンガン(II)(MnCl2)、塩化マンガン(III)(MnCl3)、フッ化マンガン(MnF4)、及びリン酸マンガン(Mn3(PO4)2)が挙げられる。
【0051】
一実施形態において、めっき溶液は銅源化合物及び錯化銅イオンの代わりに遊離銅イオンを含有する。
【0052】
特定の実施形態において、めっき溶液は、成膜プロセス中の安定性及び制御を実現しながら銅イオンとの錯体を形成するための少なくとも1つの錯化剤又はキレート剤も含んでいてもよい。錯化剤は無電解銅溶液における緩衝特性も提供する。錯化剤は一般に、カルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノ酸、アミン、ジアミン、又はポリアミンなどの官能基を有する。無電解銅溶液に有用な錯化剤の具体例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン(EDA)、クエン酸、クエン酸塩、グリオキシル酸塩、グリシン、アミノ酸、それらの誘導体、それらの塩、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約50mM〜約500mMの範囲の濃度で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約75mM〜約400mMの範囲の濃度で含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液は錯化剤を約100mM〜約300mMの範囲の濃度(約200mMなど)で含んでいてもよい。一実施形態において、EDTA源はめっき溶液中で好ましい錯化剤である。一例では、めっき溶液は約205 mMのEDTA源を含有する。EDTA源としては、EDTA、エチレンジアミン四酢酸塩、それらの塩、それらの誘導体、又はそれらの組合せを挙げることができる。
【0053】
特定の実施形態において、めっき溶液は少なくとも1つの還元剤を含有する。還元剤は、本明細書に記載のように銅材料を形成及び成膜させる際に、銅イオンの化学的還元を誘発する電子を提供する。還元剤としては、有機還元剤(例えばグリオキシル酸又はホルムアルデヒド)、ヒドラジン、有機ヒドラジン(例えばメチルヒドラジン)、次亜リン酸塩源(例えば次亜リン酸(H3PO2)、次亜リン酸アンモニウム((NH4)4−xHxPO2)又はそれらの塩)、ボラン源(例えばジメチルアミンボラン錯体((CH3)2NHBH3)、DMAB)、トリメチルアミンボラン錯体((CH3)3NBH3)、TMAB)、tert−ブチルアミンボラン錯体(tBuNH2BH3)、テトラヒドロフランボラン錯体(THFBH3)、ピリジンボラン錯体(C5H5NBH3)、アンモニアボラン錯体(NH3BH3)、ボラン(BH3)、ジボラン(B2H6)、それらの誘導体、それらの錯体、それらの水和物、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は還元剤を約20mM〜約500mMの範囲で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は還元剤を約100mM〜約400mMの範囲で含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液還元剤を約150mM〜約300mMの範囲(約220mMなど)で含んでいてもよい。好ましくは、グリオキシル酸又はグリオキシル酸源などの、有機還元剤又は有機物含有還元剤をめっき溶液中で利用する。グリオキシル酸源としては、グリオキシル酸、グリオキシラート、それらの塩、それらの錯体、それらの誘導体、又はそれらの組合せを挙げることができる。好ましい例において、グリオキシル酸一水和物(HCOCO2H・H2O)は無電解銅溶液中に約217mMの濃度で含有されている。
【0054】
他の添加剤化合物としては電解質添加剤が挙げられ、限定はされないが、金属、すなわち銅の基板表面への成膜におけるめっき溶液の有効性を改善するための、阻害剤、向上剤、レベリング剤、光沢剤、及び安定化剤が挙げられる。有用な抑制剤としては、典型的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル、又はポリプロピレンオキシドなどの他のポリマーが挙げられ、これらは基板表面上に吸着し、吸着した領域における銅の成膜の速度を遅らせる。
【0055】
めっき溶液中の阻害剤は、最初に下層の表面(例えば基板表面)上に吸着し、その結果表面への接近をブロックすることによって、銅の成膜を抑制するのに使用される。めっき溶液中の阻害剤(1つ又は複数)の好ましい濃度を変化させてブロックされる下層の表面の量を制御し、その結果銅材料の成膜のさらなる制御を実現してもよい。
【0056】
めっき溶液のための有用な阻害剤の具体例としては、2,2’−ジピリジル、ジメチルジピリジル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(POCP)、ベンゾトリアゾール(BTA)、安息香酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、それらの誘導体、又はそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、めっき溶液は約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は約100ppb〜約200ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。さらに別の実施形態において、めっき溶液は約10ppm〜約100ppmの範囲の濃度で阻害剤を含んでいてもよい。一例では、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーは、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンの混合物として80:20、50:50、又は20:80などの異なる重量比で使用される。別の例では、PEG−PPG溶液は、PEG及びPPGの混合物を80:20、50:50 PATENT、又は20:80などの異なる重量比で含有してもよい。一実施形態において、PEG、PPG、又は2,2’−ジピリジルは単独で又は組み合わせて無電解銅溶液中の阻害剤源として使用してもよい。一実施形態において、無電解銅溶液はPEG又はPPGを約0.1g/L〜約1.0g/Lの範囲の濃度で含有する。別の実施形態において、無電解銅溶液はPEG又はPPGを約0.5g/Lの濃度で含有する。一実施形態において、めっき溶液は2,2’−ジピリジルを約10ppm〜約100ppmの範囲の濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液は2,2’−ジピリジルを約25ppmの濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液はPEG又はPPGを約0.1g/L〜約1.0g/Lの範囲(例えば約0.5g/L)の濃度で含有し、2,2’−ジピリジルを約10ppm〜約100ppmの範囲(例えば約25ppm)の濃度で含有する。
【0057】
めっき溶液は、成膜プロセスの促進を助けるための他の添加剤を含有してもよい。有用な促進剤としては、典型的には硫化物又は二硫化物、例えばビス(3-スルホプロピル)ジスルフィドなどが挙げられ、これら吸着部位をめぐって抑制剤と競合し、吸着された領域において銅の成膜を促進する。
【0058】
めっき溶液中のレベリング剤は、銅材料を成膜させる際に、レベリング剤濃度及び外観形状の関数として異なる成膜厚みを得るのに使用される。一実施形態において、めっき溶液は約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度でレベリング剤を含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は約100ppb〜約100ppmの濃度でレベリング剤を含んでいてもよい。めっき溶液において採用することができるレベリング剤の例としては、限定はされないが、アルキルポリイミン及び有機スルホン酸塩、例えば1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジンチオン(HIT)、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン、エチレンチオ尿素、チオ尿素、チアジアゾール、イミダゾールなど、及び他の窒素含有有機物、有機酸アミド及びアミン化合物、例えばアセトアミド、プロピルアミド、ベンズアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸アミドの加水分解生成物、チオフラビン、サフラニン、及びそれらの組合せなどが挙げられる。
【0059】
光沢剤は、成膜プロセスのさらなる制御をもたらすための添加剤として無電解銅溶液中に含まれていてもよい。光沢剤の役割は、成膜された銅材料の滑らかな表面を得ることである。一実施形態において、めっき溶液は添加剤(例えば光沢剤)を約20ppb〜約600ppmの範囲の濃度で含んでいてもよい。別の実施形態において、めっき溶液は添加剤を約100ppb〜約100ppmの範囲の濃度で含んでいてもよい。銅材料を成膜させるためのめっき溶液中で有用な添加剤としては、硫黄系化合物、例えばビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(MPSA)、アミノエタンスルホン酸、チオ尿素、それらの誘導体又はそれらの組合せなどを挙げることができる。
【0060】
めっき溶液は界面活性剤も含んでいてもよい。界面活性剤は、無電解銅溶液と基板表面との間の表面張力を低下させるための湿潤剤として作用する。一実施形態において、めっき溶液は一般に界面活性剤を約1,000ppm以下の濃度で含有する。別の実施形態において、めっき溶液は一般に界面活性剤を約500ppm以下の濃度、例えば約100ppm〜約300ppmの範囲内などで含有する。界面活性剤はイオン性又は非イオン性の特性を有していてもよい。好ましい界面活性剤としては、グリコールエーテル系界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などが挙げられる。有益な特性に起因して、PEG及びPPGを界面活性剤、阻害剤、及び/又は抑制剤として使用してもよい。一例では、Dow Chemical Companyより入手可能なTRITON(登録商標)100などのグリコールエーテル系界面活性剤は、ポリオキシエチレン単位を含有する場合がある。無電解銅溶液中で使用することができる他の界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのドデシル硫酸塩が挙げられる。界面活性剤は単一の化合物、又は様々な長さの炭化水素鎖を含有する分子を有する化合物の混合物であってもよい。
【0061】
上記のめっき溶液の残余又は残りは溶媒、例えば水(脱イオン水など)を含めた極性溶媒、及び/又は有機溶媒、例えばアルコール又はグリコールなどであってもよい。
【0062】
ケイ素成膜:
パッシベーション膜210がケイ素を含む特定の実施形態において、ケイ素は化学気相成長又はプラズマ化学気相成長法を用いて成膜させてもよい。一実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約5sccm〜約500sccmの範囲の速度で提供される。別の実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約10sccm〜約300sccmの範囲の速度で提供される。さらに別の実施形態において、ケイ素源はプロセスチャンバー中に約50sccm〜約200sccmの範囲、例えば約100sccmの速度で提供される。ケイ素含有化合物を成膜するための成膜ガスにおいて有用なケイ素源としては、シラン、ハロゲン化シラン、及び有機シランが挙げられる。シランとしてはシラン(SiH4)、及び経験式SixH(2X+2)を有する高級シラン、例えばジシラン(Si2H6)、トリシラン(Si3H8)、及びテトラシラン(Si4H10)など、並びにその他が挙げられる。ハロゲン化シランとしては、経験式X’ySixH(2x+2−y)を有する化合物(式中、X’=F、Cl、Br、又はI)、例えばヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、テトラクロロシラン(SiCl4)、ジクロロシラン(Cl2SiH2)、及びトリクロロシラン(Cl3SiH)などが挙げられる。有機シランとしては、経験式RySixH(2x+2−y)を有する化合物(式中、R=メチル、エチル、プロピル、又はブチル)、例えばメチルシラン((CH3)SiH3)、ジメチルシラン((CH3)2SiH2)、エチルシラン((CH3CH2)SiH3)、メチルジシラン((CH3)Si2H5)、ジメチルジシラン((CH3)2Si2H4)、及びヘキサメチルジシラン((CH3)6Si2)などが挙げられる。有機シラン化合物は、成膜されるケイ素含有化合物中に炭素を取り込む実施形態において、有利なケイ素源であるだけなく炭素源でもあることが分かっている。
【0063】
アルミニウム成膜:
パッシベーション膜210がアルミニウムを含む特定の実施形態において、アルミニウムは既知のPVD法を用いて成膜されてもよい。
【0064】
図2Gは、セパレータ層を任意選択の炭素含有材料114上に形成した後のアノード構造102を例示している。一実施形態において、炭素含有材料114はメソ多孔性炭素材料114を含む。一実施形態において、メソ多孔性炭素含有材料114は、パッシベーション膜210上に成膜された、カーボンナノチューブ(CNT)によって3次元、高表面積の格子状に結合されたCVD成膜炭素フラーレンオニオンから成る。メソ多孔性炭素含有材料は、本願の譲受人に譲渡された、2009年6月30日出願の「THIN FILM ELECTROCHEMICAL ENERGY STORAGE DEVICE WITH THREE−DIMENSIONAL ANODIC STRUCTURE」というタイトルの米国特許出願第12/459,313号にさらに記載され、これは本明細書に参照によりその全体が組み込まれる。一実施形態において、炭素含有材料を予備リチウム化してもよい。一実施形態において、パッシベーション膜をリチウム含有溶液又は粒子、例えば水酸化リチウム(LiOH)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(Li2SO4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、LiH2PO4、硝酸リチウム(LiNO3)、LiCH3COO、リン酸リチウム(Li3PO4)、Li(C5H8O2)、リチウム表面安定化粒子(例えば炭素コーティングしたリチウム粒子)、又はそれらの組合せにさらすことによって、リチウムは活性炭素含有材料中に挿入される。
【0065】
重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114の高密度化した層を含み、その上に誘電体層104Bを成膜又は取り付けてもよい。重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114よりも大幅に高い密度を有し、それによって、アノード構造102を形成するように次の層を成膜又は取り付ける構造的に堅固な表面が得られる。一実施形態において、重合炭素層104Aの密度はメソ多孔性炭素材料114の密度よりもおよそ2〜5倍大きい。一実施形態において、メソ多孔性炭素材料114の表面は、メソ多孔性炭素材料114上に重合炭素層104Aを形成するための重合プロセスによって処理される。そのような実施形態において、重合炭素層104Aを形成するのに、メソ多孔性炭素材料114の表面へ向けた紫外線及び/又は赤外線放射を含めた、任意の既知の重合法を用いてもよい。別の実施形態において、重合炭素層104Aはメソ多孔性炭素材料114の形成における最終ステップとしてin−situで成膜される。そのような実施形態において、1つ又は複数のプロセスパラメータ、例えば炭化水素前駆体ガス温度は、メソ多孔性炭素材料114の成膜の最終段階で変更され、その結果図示されるように重合炭素層104Aがメソ多孔性炭素材料114上に形成される。
【0066】
誘電体層104Bはポリマー材料を含み、重合炭素層104A上にさらなるポリマー層として成膜されてもよい。誘電体層104Bを形成するように重合炭素層104A上に成膜することができる誘電体ポリマーは、図1と関連して上記で論じている。あるいは、一実施形態において、重合炭素層104Aはセパレータ層104の誘電性部分としても機能することができ、この場合セパレータ層104は本質的に単一のポリマー材料、すなわち重合炭素層104Aから成る。
【0067】
加工システム:
図3は、本明細書に記載のパッシベーション膜210を成膜するのに使用することができる表面改質チャンバー307を含む加工システム300を概略的に例示している。加工システム300は一般に一列に配置された複数の加工チャンバーを含み、各々は連続的な可撓性基板310の一部に形成される基板に対して1つの加工ステップを行うように設計されている。
【0068】
一実施形態において、加工システム300は可撓性基板310の一部をあらかじめ濡らすように設計された予備湿潤チャンバー301を含む。
【0069】
加工システム300はさらに、第1のめっきプロセスを可撓性基板310の一部に行うように設計された、第1のめっきチャンバー302を含む。一実施形態において、第1のめっきチャンバー302は一般に洗浄予備湿潤ステーションに隣接して配置されている。一実施形態において、第1のめっきプロセスは可撓性基板310の一部に形成されたシード層上への柱状銅層のめっきであってもよい。
【0070】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第2のめっきプロセスを行うように設計された第2のめっきチャンバー303を含む。一実施形態において、第2のめっきチャンバー303は第1のめっきチャンバー302に隣接して配置されている。一実施形態において、第2のめっきプロセスは、柱状銅層上の銅又は合金の多孔性層の形成である。
【0071】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第2のめっきチャンバー303によって処理された可撓性基板310の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、すすぎステーション304を含む。一実施形態において、すすぎステーション304は第2のめっきチャンバー303に隣接して配置されている。
【0072】
一実施形態において、加工システム300はさらに、第3のめっきプロセスを行うように設計された第3のめっきチャンバー305を含む。一実施形態において、第3のめっきチャンバー305はすすぎステーション304に隣接して配置されている。一実施形態において、第3のめっきプロセスは多孔性層上への薄膜の形成である。一実施形態において、第3のめっきチャンバー305で成膜される薄膜は、本明細書に記載のパッシベーション膜210を含む。別の実施形態において、第3のめっきチャンバー305で成膜される薄膜は、多孔性構造208の上に形成されるスズ膜などのさらなる導電性膜を含んでいてもよい。
【0073】
一実施形態において、加工システム300はさらに、めっきプロセス後の可撓性基板310の一部をすすぎ及び乾燥するように設計されたすすぎ−乾燥ステーション306を含む。一実施形態において、すすぎ−乾燥ステーション306は第3のめっきチャンバー305に隣接して配置されている。一実施形態において、すすぎ−乾燥ステーション306は、可撓性基板310がすすぎ−乾燥ステーション306を出る際に、可撓性基板310へ乾燥用蒸気を向けるように設計された1つ又は複数の蒸気ジェットを含んでいてもよい。
【0074】
めっきシステムはさらに、本明細書に記載の実施形態に従って可撓性基板310の一部にパッシベーション膜210を形成するように設計された、表面改質チャンバー307を含む。一実施形態において、表面改質チャンバー307はすすぎ−乾燥ステーション306に隣接して配置されている。表面改質チャンバー307はめっきチャンバーとして示されているが、表面改質チャンバー307は電気化学めっきチャンバー、無電解析出チャンバー、化学気相成長チャンバー、プラズマ化学気相成長チャンバー、原子層成長チャンバー、すすぎチャンバー、アニールチャンバー、及びそれらの組合せを含む群から選択される、別の加工チャンバーを含んでいてもよいことを理解するべきである。さらなる表面改質チャンバーが一列になった加工システム中に含まれていてもよいことも理解するべきである。例えば特定の実施形態において、電気めっき法を用いてパッシベーション膜210の一部を成膜し、次いでCVD又はPVDプロセスを用いて膜の残りを成膜するのが望ましい場合がある。他の実施形態では、最初にCVD又はPVDプロセスを用いてパッシベーション膜210の一部を成膜し、電気めっき法を用いてパッシベーション膜210の残りを成膜するのが望ましい場合がある。特定の実施形態において、パッシベーション膜210の一部を形成するのにPVDプロセスを使用し、パッシベーション膜210の残りを形成するのにCVDプロセスを使用するのが望ましい場合がある。特定の実施形態において、パッシベーション膜210を形成した後に成膜後アニール処理を行うのが望ましい場合がある。
【0075】
加工チャンバー301〜307は、一般に直線に沿って配置されており、その結果、各チャンバーの供給ロール3091〜7及び巻き取りロール3081〜7を介して、可撓性基板310の一部を各チャンバーを通る流れに乗せることができる。一実施形態において、供給ロール3091〜7及び巻き取りロール3081〜7は、可撓性基板310の各部分を1つ先のチャンバーへ移動させるために、基板の移送ステップの間に同時に作動させることができる。本明細書に記載の実施形態で使用することができる加工システムの詳細は、本願の譲受人に譲渡された「APPARATUS AND METHOD FOR FORMING 3D NANOSTRUCTURE ELECTRODE FOR ELECTROCHEMICAL BATTERY AND CAPACITOR」というタイトルの、Lopatinら、2009年11月18日出願の米国特許出願第12/620,788号に記載されており、現在はUS2010−0126849として公開され、そのうち図5A〜5C、6A〜6E、7A〜7C、及び8A〜8D、並びに前述の図に対応する文章は、参照により本明細書に組み込まれる。水平の基板を処理するための加工システムとして論じてはいるが、異なる方向を有する基板、例えば垂直の方向を有する基板に対して同じ処理を行ってもよいことを理解するべきである。特定の実施形態において、加工チャンバー301〜307は可撓性基板の両面に本明細書に記載の構造を同時に形成するように配置されていてもよい。
【0076】
図4は、本明細書に記載の実施形態に従って、図1及び2A〜2Gに例示されるようなアノード構造102と同様のアノード構造を形成するための方法400をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック402において、図1の電流コレクタ111と実質的に同様の基板が提供される。上記で詳しく述べたように、基板は、金属箔などの導電性基板、又は金属コーティングを有する可撓性ポリマー又はプラスチックなどの、上部に導電層が形成された非導電性基板であってもよい。
【0077】
ブロック404において、図2Dの柱状突起211と実質的に同様の導電性柱状突起が、基板111の導電性表面上に形成される。一実施形態において、柱状突起211は高さが5〜10ミクロンであってもよく、及び/又は実測の表面粗さが約10ミクロンであってもよい。別の実施形態において、柱状突起211は高さが15〜30ミクロンであってもよく、及び/又は実測される表面粗さが約20ミクロンであってもよい。拡散律速の電気化学めっき法が柱状突起211の形成に使用される。一実施形態において、柱状突起211の3次元成長は、限界電流(iL)を超える電流密度にて行われる高いめっき速度の電気めっきプロセスを用いて行われる。柱状突起211の形成は、水素の発生が生じ、それによって多孔質金属膜が形成されるようなプロセス条件の確立を含む。一実施形態において、そのようなプロセス条件は、めっきプロセスの表面付近の金属イオンの濃度を減少させること、拡散境界層を増加させること、及び電解質浴中の有機添加剤濃度を低減させることのうち、少なくとも1つを行うことによって実現される。拡散境界層は流体力学条件に強く関連することに注目すべきである。
【0078】
柱状突起211の形成は加工チャンバー中で行ってもよい。本明細書に記載の加工ステップのうち1つ又は複数を実行するように適合させることができる加工チャンバーとしては、Applied Materials, Inc.of Santa Clara,Californiaより入手可能な電気めっきチャンバーSLIMCELL(登録商標)などの、電気めっきチャンバーを挙げることができる。柱状突起211を形成する1つのアプローチは、上記の加工システム300を用いたロールツーロールめっきである。柱状突起211を形成する別のアプローチは、めっきチャンバーの1つがエンボス加工チャンバーで置き換えられた上記の加工システム300を用いたロールツーロールエンボス加工である。他の製造業者から入手可能なものを含めた他の加工チャンバー及びシステムもまた、本明細書に記載の実施形態を実施するのに使用してもよい。
【0079】
加工チャンバーは適切なめっき溶液を含む。本明細書に記載のプロセスで使用できる適切なめっき溶液としては、金属イオン源、酸溶液、及び任意選択の添加剤を含有する電解質溶液が挙げられる。適切なめっき溶液は、「POROUS THREE DIMENSIONAL COPPER,TIN,COPPER−TIN,COPPER−TIN−COBALT,AND COPPER−TIN−COBALT−TITANIUM ELECTRODES FOR BATTERIES AND ULTRACAPACITORS」というタイトルの、2010年1月29日出願の米国特許出願第12/696,422号に記載されており、これは本開示と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
柱状突起211は拡散律速の成膜プロセスを用いて形成される。成膜バイアスの電流密度は、電流密度が限界電流(iL)を超えるように選択される。柱状金属膜は、水素ガスの発生及びその結果生じる樹枝状膜成長に起因して形成され、樹枝状膜成長は物質輸送律速プロセスに起因して起こる。一実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約10A/cm2以下である。別の実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約5A/cm2以下である。さらに別の実施形態において、柱状突起211を形成する間、一般に成膜バイアスの電流密度は約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.1A/cm2〜約0.5A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.3A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。一実施形態において、これは約1ミクロン〜約300ミクロンの厚みの柱状突起が銅のシード層上に形成される結果をもたらす。別の実施形態において、これは約10ミクロン〜約30ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約30ミクロン〜約100ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約1ミクロン〜約10ミクロン、例えば約5ミクロンの柱状突起が形成される結果をもたらす。
【0081】
ブロック406において、図2E〜Gの樹枝状構造208と実質的に同様の導電性樹枝状構造が基板又は電流コレクタ111の上に形成される。導電性樹枝状構造はブロック404の柱状突起上に形成されるか、又は基板若しくは電流コレクタ111の平坦な導電性の表面上に直接形成されてもよい。一実施形態において、導電性樹枝状構造を形成するのに電気化学めっきプロセスを用いてもよく、別の実施形態において、無電解めっきプロセスを用いてもよい。
【0082】
樹枝状構造208と同様の導電性樹枝状構造を形成するための電気化学めっきプロセスは、ブロック404で形成される柱状突起211よりもさらに低密度の樹枝状構造を生成させるために、めっきの間、電気めっき限界電流を超えることを伴う。そうでない場合、このプロセスは実質的にブロック404の電気めっきプロセスと同様であり、in−situで行ってもよく、そのため同じチャンバー中でブロック404に続いて直ちに行ってもよい。このステップの間、カソードでの電位スパイクは一般に還元反応が起きるのに十分な大きさであり、水素の気泡がカソードでの還元反応の副生成物として生成し、一方樹枝状構造は露出面上に絶えず形成されている。形成される樹枝状物は生成する水素の気泡周辺で成長するが、なぜなら水素の気泡の下では電解質−電極の接触がないからである。ある意味で、これらの微視的な気泡は樹枝状成長の「テンプレート」として機能する。したがって、本明細書に記載の実施形態に従って成膜される場合、これらのアノードは多くの細孔を有する。
【0083】
一実施形態において、発生する気泡のサイズを最小化することによって、より小さい細孔が樹枝状構造208において生成する。気泡が上昇すると、それらは近くの気泡と結合、すなわち合体してより大きい樹枝状物テンプレートを形成する場合がある。この全体のプロセスから残る人工物は、樹枝状成長における比較的大きい細孔である。樹枝状構造208の表面積を最大化するために、そのような細孔のサイズを最小化することが好ましい。これは有機酸などの有機添加剤を添加することで実現することができる。
【0084】
つまり、柱状突起211上に樹枝状構造208を形成するのに電気化学めっき法を用いる場合、拡散律速成膜プロセスによって柱状ミクロ構造を第1の電流密度において形成することができ、その後第1の電流密度又は第1の印可電圧よりも大きい第2の電流密度又は第2の印可電圧において、樹枝状構造208の3次元成長が続く。
【0085】
あるいは、樹枝状構造208を形成するのに無電解析出法を使用してもよい。そのような実施形態において、樹枝状構造208は触媒金属ナノ粒子の鎖で構成される。カーボンナノチューブを形成するための触媒として作用することが知られている金属ナノ粒子としては、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、及び銀(Ag)が挙げられ、本発明の実施形態は樹枝状構造208を形成する触媒ナノ粒子としてそのような触媒材料を挙げることができることを意図している。一実施形態によれば、無電解析出プロセスは基板を硝酸銀(AgNO3)溶液又は他の銀塩溶液に浸けることによって実現される。
【0086】
ブロック408において、図2F〜Gのパッシベーション膜210と実質的に同様のパッシベーション膜が基板又は電流コレクタ111の上に形成される。パッシベーション膜は柱状突起及び/又はブロック406の樹枝状構造の上に形成してもよい。パッシベーション膜は、電気化学めっき法、化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法、物理気相成長法、無電解法、及びそれらの組合せを含む群から選択されるプロセスによって形成できる。特定の実施形態において、パッシベーション膜210は多段階プロセスを用いて形成されてもよい。パッシベーション膜210は固体電解質界面(SEI)の形成を助け、形成しようとする電極に高容量及び長いサイクル寿命をもたらす。
【0087】
一実施形態において、ブロック408のパッシベーション膜はブロック406の樹枝状構造と同じめっきチャンバーで形成される。別の実施形態において、ブロック408のパッシベーション膜は別個のチャンバーで形成される。特定の実施形態において、ブロック406の樹枝状構造の形成後、及びブロック408のパッシベーション膜の形成前に、任意選択のすすぎステップが行われる。
【0088】
ブロック408のパッシベーション膜が電気めっき法を用いて形成される実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約10A/cm2以下、約6A/cm2以下、約3A/cm2以下である。一実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.005A/cm2〜約3.0A/cm2の範囲である。別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.1A/cm2〜約0.5A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。さらに別の実施形態において、成膜バイアスの電流密度は約0.05A/cm2〜約0.2A/cm2である。一実施形態において、これは約1nm〜約1,000nmの厚みのパッシベーション膜が樹枝状構造上に形成される結果をもたらす。別の実施形態において、これは約50nm〜約600nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約100nm〜約300nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。さらに別の実施形態において、これは約150nm〜約200nm、例えば約160nmのパッシベーション膜が形成される結果をもたらす。一実施形態において、不動態層の形成の間、約0.1〜1ボルトの電圧が印可される。一実施形態において、不動態層の形成の間、約0.3〜0.4ボルトの電圧が印可される。あるいは、化学気相成長法(例えば熱化学気相成長、プラズマ化学気相成長、ホットワイヤー化学気相成長、及び開始化学気相成長)を電気めっき法の代わりに、又は電気めっき法と併せて使用してもよい。そのような実施形態において、パッシベーション膜はCVD法を用いて成膜されたケイ素含有材料を含んでいてもよい。
【0089】
ブロック408のパッシベーション膜がリチウム含有パッシベーション膜である、特定の実施形態において、1回目の充電の間に、又はパッシベーション膜をリチウム含有溶液にさらすことによってリチウムをパッシベーション膜に挿入する予備リチウム化プロセスによって、リチウムを膜に加えてもよい。リチウム含有溶液としては、限定はされないが、水酸化リチウム(LiOH)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸リチウム(Li2SO4)、炭酸リチウム(Li2CO3)、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0090】
ブロック408のパッシベーション膜がケイ素含有パッシベーション膜である実施形態において、パッシベーション膜はプロセスガス混合物を用いて形成してもよく、プロセスガス混合物としては、限定はされないが、シラン(SiH4)、ジシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリメチルシラン、及びテトラメチルシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、トリエトキシフルオロシラン(TEFS)、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDE)、オクトメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、及びそれらの組合せを含む群から選択されるケイ素含有ガスが挙げられる。ケイ素含有ガスを含むプロセスガス混合物の流量は、2,000cm3のチャンバー容積あたり30sccm〜3,000sccmであってもよい。熱CVDプロセスでは、約0.3〜3Torr、例えば約0.5Torrのチャンバー圧力をチャンバー中で維持してもよく、150℃〜450℃の温度をチャンバー中で維持してもよい。場合により、キャリアガスが約0sccm〜約20,000sccmの流量でチャンバーに導入される。キャリアガスは窒素ガス又は不活性ガスであってもよい。
【0091】
PECVD法を用いて形成されるケイ素含有パッシベーション膜では、約0.3〜3Torr、例えば約0.5Torrのチャンバー圧力をチャンバー中で維持してもよく、150℃〜450℃の温度をチャンバー中で維持してもよく、30mW/cm2〜200mW/cm2、例えば約60mW/cm2のRF電力強度を13.56MHzの周波数にてチャンバーの電極にかけてプラズマを発生させてもよい。あるいは、低周波数(例えば400kHz)のRF電力を代わりに電極にかけてもよい。
【0092】
あるいは、スパッタリングなどの物理気相成長法(PVD)、又は蒸着プロセスを、パッシベーション膜又はパッシベーション膜の一部を成膜するための前述の電気めっき法及び化学気相成長法の代わりに又はそれらと併せて使用してもよい。
【0093】
場合により、パッシベーション膜の形成後に基板をアニールしてもよい。アニールプロセスの間、基板を約100℃〜約250℃、例えば約150℃〜約190℃の範囲の温度まで加熱してもよい。一般に、少なくとも1つのアニールガス、例えばO2、N2、NH3、N2H4、NO、N2O、又はそれらの組合せなどを含有する雰囲気中で基板をアニールしてもよい。一実施形態において、基板を周囲雰囲気中でアニールしてもよい。約5Torr〜約100Torr、例えば約50Torrの圧力で基板をアニールしてもよい。特定の実施形態において、アニールプロセスは細孔構造から水分を追い出すのに役立つ。特定の実施形態において、アニールプロセスは原子を銅のベース中に拡散させるのに役立つ。例えば、基板のアニールはスズ原子が銅のベース中に拡散するのを可能にし、銅−スズ層の接着を大幅に強くする。
【0094】
ブロック410において、セパレータ層が形成される。一実施形態において、セパレータ層はアノード構造及びカソード構造中の成分間の直接的な電気接触を防ぐ、誘電性、多孔性、液体透過性の層である。あるいは、セパレータ層は樹枝状構造の表面上に成膜され、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びそれらの組合せなどの固体ポリマーであってもよい。一実施形態において、セパレータ層はメソ多孔性炭素材料の高密度化した層を含む重合炭素層を含み、その上に誘電体層を成膜するか又は取り付けてもよい。
【0095】
図5は、本明細書に記載の実施形態によるアノード構造を形成するための別の方法500をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック508のパッシベーション膜の形成後及びブロック512のセパレータ層の形成前に、ブロック510において黒鉛材料が成膜される以外は、ブロック402〜410において、方法500は上記の方法400と実質的に同様である。
【0096】
ブロック512において、セパレータ層の形成前にハイブリッド層を形成するために、黒鉛材料を樹枝状構造の細孔中に成膜してもよい。グラファイトは通常、負の電極の活性電極材料として使用され、およそ直径が10μmであるMCMBで構成されたリチウムインターカレーションメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)粉末の形態であってもよい。リチウムインターカレーションMCMB粉末は、ポリマーのバインダーマトリックス中に分散している。バインダーマトリックス用ポリマーは、ゴム弾性を有するポリマーを含めた熱可塑性ポリマーでできている。ポリマーバインダーは、MCMB材料粉末を互いに結び付けてクラックの生成を妨げ電流コレクタの表面上でMCMB粉末が崩壊するのを防ぐのに役立つ。一実施形態において、ポリマーバインダーの量は2重量%〜30重量%の範囲である。
【0097】
特定の実施形態において、黒鉛材料又はメソ多孔性構造はパッシベーション膜の形成前に形成されてもよい。
【0098】
図6は、本明細書に記載の実施形態によるアノード構造を形成するための方法600をまとめたプロセスフローチャートである。ブロック608のパッシベーション膜の形成後及びブロック612のセパレータの形成前に、ブロック610においてメソ多孔性構造が成膜される以外は、ブロック402〜410において、方法600は上記の方法400と実質的に同様である。メソ多孔性構造は上記のように成膜してもよい。
【実施例】
【0099】
本明細書に記載の実施形態をさらに説明するために、以下の仮想的で非制限的な実施例を提供する。しかし、この実施例は包括的であることを意図しておらず、本明細書に記載の実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0100】
銅含有パッシベーション膜:
酸化銅パッシベーション膜
酸化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、酸化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.45体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0101】
塩化銅パッシベーション膜
塩化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.32M塩化銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、塩化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0102】
硫化銅パッシベーション膜
硫化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.5A/cm2の電流密度で、硫化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0103】
銅ニトリルパッシベーション膜
銅ニトリルパッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.1M銅シアニド、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅ニトリルパッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0104】
炭酸銅パッシベーション膜
炭酸銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.30M炭酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、炭酸銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0105】
リン化銅パッシベーション膜
リン化銅パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、ピロリン酸銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。
【0106】
銅−スズ酸化物パッシベーション膜
銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.5A/cm2の電流密度で、銅スズ酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.50体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0107】
銅−コバルト酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.30体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0108】
銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1.5A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。一実施形態において、めっき溶液は0.90体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0109】
銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜
銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約0.8A/cm2の電流密度で酸化銅パッシベーション膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで酸化銅パッシベーション膜を化学気相成長チャンバーに移動し、流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持して銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0110】
リチウム含有パッシベーション膜:
リチウム−銅−P−O−Nパッシベーション膜
リンオキシ窒化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む、約5cm2の表面積の基板を、化学気相成長(CVD)チャンバー中に置いた。既知のCVD法を用いて、オキシ窒化物膜を3次元多孔性銅ニトリド上に成膜した。CVDプロセスの間、リンのドーパントを流した。次いでリンオキシ窒化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウムリンオキシ窒化物パッシベーション膜を形成した。
【0111】
リチウム−銅−B−O−Nパッシベーション膜
ホウ素オキシ窒化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む、約10cm2の表面積の基板を、化学気相成長(CVD)チャンバー中に置いた。既知のCVD法を用いて、オキシ窒化物膜を3次元多孔性銅ニトリド上に成膜した。CVDプロセスの間、ホウ素のドーパントを流した。次いでホウ素オキシ窒化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウムホウ素オキシ窒化物パッシベーション膜を形成した。
【0112】
リチウム−銅酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約0.5A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで酸化銅膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム銅酸化物パッシベーション膜を形成した。一実施形態において、めっき溶液は0.70体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0113】
リチウム銅酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約2A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び酸化銅膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが酸化銅膜に挿入されてリチウム−銅酸化物パッシベーション膜を得た。一実施形態において、めっき溶液は0.45体積%の過酸化水素などの酸化剤も含む。
【0114】
リチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで酸化銅パッシベーション膜を化学気相成長チャンバーに移動し、流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持して銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅−ケイ素酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−ケイ素酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−ケイ素酸化物パッシベーション膜を得た。
【0115】
リチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約1A/cm2の電流密度で、銅−ニッケル酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで銅−ニッケル酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0116】
リチウム−銅−ニッケル酸化物を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。このプロセスを室温で行った。約0.5A/cm2の電流密度で、銅−ニッケル酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅−ニッケル酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルはLiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有した。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−ニッケル酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−ニッケル酸化物パッシベーション膜を得た。
【0117】
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−スズ酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−スズ酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−スズ酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を得た。
【0118】
リチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸第1スズ、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−スズ酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−スズ酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−スズ酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0119】
リチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜
銅−コバルト酸化物膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を得た。
【0120】
銅−コバルト酸化物膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−コバルト酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−コバルト酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0121】
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約1.5A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を得た。
【0122】
リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.17M硫酸第1スズ、0.15M硫酸コバルト、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約6A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−スズ酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0123】
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0124】
リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、0.15M硫酸コバルト、0.3M硫酸ニッケル、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物パッシベーション膜を得た。
【0125】
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−チタン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルを、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質で満たした。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−チタン酸化物膜に挿入されてリチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を得た。
【0126】
リチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:チタン層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、及び200ppmのクエン酸を含んでいた。約3A/cm2の電流密度で、酸化銅膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−チタン酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−チタン酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0127】
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、化学気相成長チャンバー中に置いた。アルミニウム層を有する3次元多孔性電極を流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持してアルミニウム−ケイ素膜を形成した。次いでアルミニウム−ケイ素膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を形成した。
【0128】
リチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を以下のように調製した:スパッタリング法を用いてアルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、化学気相成長チャンバー中に置いた。アルミニウム層が上に成膜された3次元多孔性電極を流量が1,000sccmのシランガスにさらし、熱CVDプロセスの間約0.5Torrのチャンバー圧力、250℃の温度を維持してアルミニウムケイ素膜を形成した。3次元多孔性アノード構造及びアルミニウムケイ素膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムがアルミニウムケイ素膜に挿入されてリチウム−アルミニウム−ケイ素パッシベーション膜を得た。
【0129】
リチウム−銅−マンガン酸化物パッシベーション膜
リチウム−銅−マンガン酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約3cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmのマンガンを含んでいた。このプロセスを室温で行った。約1.5A/cm2の電流密度で、銅マンガン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。次いで銅マンガン酸化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム銅−マンガン−酸化物パッシベーション膜を形成した。
【0130】
リチウム銅−マンガン−酸化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28M硫酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmの酸化マンガンを含んでいた。このプロセスを室温で行った。約3A/cm2の電流密度で、銅マンガン酸化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。3次元多孔性アノード構造及び銅マンガン酸化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが酸化銅膜に挿入されてリチウム−銅−酸化物パッシベーション膜を得た。
【0131】
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約25cm2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、200ppmのクエン酸、及び300ppmの酸化鉄を含んでいた。約2A/cm2の電流密度で、銅−鉄−リン化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。次いで銅−鉄−リン化物膜を0.1M LiOH又はLiCl水溶液にさらしてリチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を形成した。
【0132】
リチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を以下のように調製した:3次元多孔性銅アノード構造を含む基板を、約1m2の表面積を有するPt(Ti)アノードを含む電気めっきチャンバー中でめっき溶液に浸した。めっき溶液は最初に1.0M硫酸、0.28Mピロリン酸銅、200ppmのクエン酸、及び200ppmの酸化鉄を含んでいた。約1A/cm2の電流密度で、銅−鉄−リン化物膜を3次元多孔性アノード構造上に形成した。このプロセスを室温で行った。3次元多孔性アノード構造及び銅−鉄−リン化物膜をセパレータ及びカソード構造と連結させてバッテリーの実用セルを形成した。実用セルは、LiPF6及びエチレンオキシド溶媒を含む電解質を含有していた。実用セルの1回目の充電後にリチウム電解質由来のリチウムが銅−鉄−リン化物膜に挿入されてリチウム−銅−鉄−リン化物パッシベーション膜を得た。
【0133】
図7は、本明細書に記載の実施形態に従って形成されたパッシベーション膜の、エネルギー貯蔵デバイスの貯蔵容量に対する効果を実証するプロット700を例示している。Y軸は測定された電流をアンペア(A)で表し、X軸は測定された銅に対する電位をボルト(V)で表す。結果はサイクリックボルタンメトリー法を用いて得られた。銅箔基板上に成膜された銅の柱状構造について試験を行った。典型的なサイクリックボルタンメトリー法は、本願の譲受人に譲渡された、「METROLOGY METHODS AND APPARATUS FOR NANOMATERIAL CHARACTERIZATION OF ENERGY STORAGE ELECTRODE STRUCTURES」というタイトルの、2009年2月29日出願の米国特許出願第12/368,105号に記載され、これは本明細書に記載の実施形態と矛盾しない程度に参照により本明細書に組み込まれる。プロット700の結果は、酸化方向の初期の電圧掃引によって、銅のパッシベーション膜が銅の柱状構造の表面に形成されることを実証している。銅のパッシベーション膜は、710の線で表される銅箔の電荷貯蔵容量と比較して、電極の電荷貯蔵容量を20倍に増加させると考えられる。しかし、初期の電圧掃引が、パッシベーション膜が形成されない還元方向である場合、電極の電荷貯蔵容量は銅箔単独の貯蔵容量と比較して10倍しか増加しない。したがって、電極上のパッシベーション膜の形成が、より大きい電荷貯蔵容量を電極にもたらすと考えられる。さらに、3次元樹枝状構造及び柱状層上に銅膜が成膜されると、銅箔単独の少なくとも50倍、場合によって250倍の電荷貯蔵容量がもたらされ得ることになると考えられる。
【0134】
前述の内容は本発明の実施形態に向けられたものであるが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵デバイスを形成するのに使用されるアノード構造であって、
導電性基板と、
基板上に形成された複数の導電性ミクロ構造と、
導電性ミクロ構造上に形成されたパッシベーション膜と、
導電性ミクロ構造上に形成された絶縁セパレータ層と
を含み、導電性ミクロ構造が柱状突起を含む、アノード構造。
【請求項2】
パッシベーション膜が、酸化銅、塩化銅、硫化銅、銅ニトリル、炭酸銅、リン化銅、銅−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−ケイ素酸化物、銅−ニッケル酸化物、銅−コバルト酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、銅−チタン酸化物、銅マンガン酸化物、銅鉄リン酸塩、リチウム−銅−P−O−N、リチウム−銅−B−O−N、リチウム−銅酸化物、リチウム−銅−ケイ素酸化物、リチウム−銅−ニッケル酸化物、リチウム−銅−スズ酸化物、リチウム−銅−コバルト酸化物、リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、リチウム−銅−チタン酸化物、リチウム−アルミニウム−ケイ素、リチウム−銅−マンガン酸化物、リチウム−銅−鉄リン化物、アルミニウム−ケイ素、及びそれらの組合せを含む群から選択される材料を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項3】
導電性ミクロ構造が、電気めっきプロセス又は無電解プロセスによって形成される樹枝状構造をさらに含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項4】
導電性ミクロ構造が、直径が約5〜約100ミクロン(μm)であるマクロ細孔を有するマクロ多孔性構造を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項5】
導電性ミクロ構造が、直径が約100nm〜約1,000nmである複数のメソ細孔を有するメソ多孔性構造をさらに含む、請求項4に記載のアノード構造。
【請求項6】
導電性ミクロ構造が、直径が約100nm未満である複数のナノ細孔を有するナノ多孔性構造をさらに含む、請求項5に記載のアノード構造。
【請求項7】
導電性ミクロ構造が、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの合金、及びそれらの組合せを含む群から選択される材料を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項8】
パッシベーション膜の厚みが約1nm〜約1,000nmである、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項9】
導電性基板が金属箔を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項10】
パッシベーション膜と絶縁セパレータ層との間に形成されるメソ多孔性の炭素含有材料をさらに含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項11】
可撓性基板を加工するための基板加工システムであって、
第1の導電性材料を含む導電性ミクロ構造を可撓性基板の一部の上にめっきするように設計された第1のめっきチャンバーと、
すすぎ液によって可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第1のめっきチャンバーに隣接して配置される第1のすすぎチャンバーと、
第2の導電性材料を導電性ミクロ構造上に成膜するように設計された、第1のすすぎチャンバーに隣接して配置される第2のめっきチャンバーと、
可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第2のめっきチャンバーに隣接して配置される第2のすすぎチャンバーと、
パッシベーション膜を可撓性基板の一部の上に形成するように設計された表面改質チャンバーと、
チャンバー間で可撓性基板を移動させるように設計された基板移動機構であって、
可撓性基板の一部を保持するように設計された供給ロールと、
可撓性基板の一部を保持するように設計された巻き取りロールと
を含む基板移動機構と
を含み、基板移動機構が、可撓性基板を各チャンバーから出し入れするために供給ロール及び巻き取りロールを作動させ、各チャンバーの加工容積中に可撓性基板をとどめておくように設計されている、基板加工システム。
【請求項12】
表面改質チャンバーが、電気化学めっきチャンバー、無電解析出チャンバー、化学気相成長チャンバー、プラズマ化学気相成長チャンバー、原子層成膜チャンバー、すすぎチャンバー、アニールチャンバー、及びそれらの組合せを含む群から選択される、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項13】
第1の導電性材料が柱状金属層を含み、柱状金属層の上に3次元金属多孔性樹枝状構造が成膜されている、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項14】
第1の導電性材料が銅を含み、第2の導電性材料がスズを含む、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項15】
第1のめっきチャンバー、第1のすすぎチャンバー、第2のめっきチャンバー、第2のすすぎチャンバー、及び表面改質チャンバーがそれぞれ、可撓性導電性基板の一部の両面を同時に加工するように設計されている、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項1】
エネルギー貯蔵デバイスを形成するのに使用されるアノード構造であって、
導電性基板と、
基板上に形成された複数の導電性ミクロ構造と、
導電性ミクロ構造上に形成されたパッシベーション膜と、
導電性ミクロ構造上に形成された絶縁セパレータ層と
を含み、導電性ミクロ構造が柱状突起を含む、アノード構造。
【請求項2】
パッシベーション膜が、酸化銅、塩化銅、硫化銅、銅ニトリル、炭酸銅、リン化銅、銅−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−ケイ素酸化物、銅−ニッケル酸化物、銅−コバルト酸化物、銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、銅−チタン酸化物、銅マンガン酸化物、銅鉄リン酸塩、リチウム−銅−P−O−N、リチウム−銅−B−O−N、リチウム−銅酸化物、リチウム−銅−ケイ素酸化物、リチウム−銅−ニッケル酸化物、リチウム−銅−スズ酸化物、リチウム−銅−コバルト酸化物、リチウム−銅−コバルト−スズ−チタン酸化物、リチウム−銅−コバルト−ニッケル−アルミニウム酸化物、リチウム−銅−チタン酸化物、リチウム−アルミニウム−ケイ素、リチウム−銅−マンガン酸化物、リチウム−銅−鉄リン化物、アルミニウム−ケイ素、及びそれらの組合せを含む群から選択される材料を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項3】
導電性ミクロ構造が、電気めっきプロセス又は無電解プロセスによって形成される樹枝状構造をさらに含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項4】
導電性ミクロ構造が、直径が約5〜約100ミクロン(μm)であるマクロ細孔を有するマクロ多孔性構造を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項5】
導電性ミクロ構造が、直径が約100nm〜約1,000nmである複数のメソ細孔を有するメソ多孔性構造をさらに含む、請求項4に記載のアノード構造。
【請求項6】
導電性ミクロ構造が、直径が約100nm未満である複数のナノ細孔を有するナノ多孔性構造をさらに含む、請求項5に記載のアノード構造。
【請求項7】
導電性ミクロ構造が、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金、スズ、ルテニウム、それらの合金、及びそれらの組合せを含む群から選択される材料を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項8】
パッシベーション膜の厚みが約1nm〜約1,000nmである、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項9】
導電性基板が金属箔を含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項10】
パッシベーション膜と絶縁セパレータ層との間に形成されるメソ多孔性の炭素含有材料をさらに含む、請求項1に記載のアノード構造。
【請求項11】
可撓性基板を加工するための基板加工システムであって、
第1の導電性材料を含む導電性ミクロ構造を可撓性基板の一部の上にめっきするように設計された第1のめっきチャンバーと、
すすぎ液によって可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第1のめっきチャンバーに隣接して配置される第1のすすぎチャンバーと、
第2の導電性材料を導電性ミクロ構造上に成膜するように設計された、第1のすすぎチャンバーに隣接して配置される第2のめっきチャンバーと、
可撓性基板の一部から残留するめっき溶液をすべてすすぎ及び除去するように設計された、第2のめっきチャンバーに隣接して配置される第2のすすぎチャンバーと、
パッシベーション膜を可撓性基板の一部の上に形成するように設計された表面改質チャンバーと、
チャンバー間で可撓性基板を移動させるように設計された基板移動機構であって、
可撓性基板の一部を保持するように設計された供給ロールと、
可撓性基板の一部を保持するように設計された巻き取りロールと
を含む基板移動機構と
を含み、基板移動機構が、可撓性基板を各チャンバーから出し入れするために供給ロール及び巻き取りロールを作動させ、各チャンバーの加工容積中に可撓性基板をとどめておくように設計されている、基板加工システム。
【請求項12】
表面改質チャンバーが、電気化学めっきチャンバー、無電解析出チャンバー、化学気相成長チャンバー、プラズマ化学気相成長チャンバー、原子層成膜チャンバー、すすぎチャンバー、アニールチャンバー、及びそれらの組合せを含む群から選択される、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項13】
第1の導電性材料が柱状金属層を含み、柱状金属層の上に3次元金属多孔性樹枝状構造が成膜されている、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項14】
第1の導電性材料が銅を含み、第2の導電性材料がスズを含む、請求項11に記載の基板加工システム。
【請求項15】
第1のめっきチャンバー、第1のすすぎチャンバー、第2のめっきチャンバー、第2のすすぎチャンバー、及び表面改質チャンバーがそれぞれ、可撓性導電性基板の一部の両面を同時に加工するように設計されている、請求項11に記載の基板加工システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2012−532419(P2012−532419A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517856(P2012−517856)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040385
【国際公開番号】WO2011/008539
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040385
【国際公開番号】WO2011/008539
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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