エネルギ吸収体、当該エネルギ吸収体を備えた衝突エネルギ吸収構造、及び当該衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両
【課題】小さい体積で大きな衝突エネルギを吸収できるエネルギ吸収体を提供する。
【解決手段】金属製の中空形材110を筒状の構造とする。中空形材110は押出加工等を用いた一体成形によって作製されており、外板210の一部を中空形材110の半径方向に対して内側にずらした構造となっている。これにより、内側にずらした外板210’がリブ230,230を支える構造となるため、リブ230の座屈荷重が増加する。中空形材110は、内側にずらしたことによって外板210の座屈荷重は減少するが、リブ230,230の座屈荷重の増加分が外板210の座屈荷重の減少分を上回り、蛇腹状に連続して変形する際の荷重を高く維持することができるため、小さな体積で大きな衝突エネルギを効率的に吸収することが可能となる。
【解決手段】金属製の中空形材110を筒状の構造とする。中空形材110は押出加工等を用いた一体成形によって作製されており、外板210の一部を中空形材110の半径方向に対して内側にずらした構造となっている。これにより、内側にずらした外板210’がリブ230,230を支える構造となるため、リブ230の座屈荷重が増加する。中空形材110は、内側にずらしたことによって外板210の座屈荷重は減少するが、リブ230,230の座屈荷重の増加分が外板210の座屈荷重の減少分を上回り、蛇腹状に連続して変形する際の荷重を高く維持することができるため、小さな体積で大きな衝突エネルギを効率的に吸収することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形することによってエネルギを吸収するエネルギ吸収体に係り、当該エネルギ吸収体を備えた衝突エネルギ吸収構造、及び当該衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、予期せぬ衝突が発生することがある。このような予期せぬ衝突に対して、鉄道車両に搭乗している乗員・乗客の安全を保つために、非特許文献1に記載されているように、乗員・乗客が搭乗している空間の前後に衝突エネルギを吸収する構造が取り付けられている。
【0003】
衝突エネルギを吸収する部材としては、部材側面に一定の周期で折りたたまれる変形、すなわち蛇腹状の変形を生じさせることによって、衝突エネルギを吸収するものが知られている。
【0004】
特許文献1には、部材に予めねじり変形を与えることによって、上記の蛇腹状の変形が生じる際の荷重を増加させることにより、エネルギ吸収量を増加させるエネルギ吸収部材が開示されている。
【0005】
一方、特許文献2には、加工もしくは端部の溶接によって、断面積の異なる2つの筒型形状の部材を同軸的に一体化した構造とするが、当該構造に上記の蛇腹状の変形を生じさせるのではなく、当該構造の一方の部材を他方の部材の内側に押し込むことにより、部材変形開始時のピーク荷重を低減しつつ、部材変形進行時の荷重変化を減少させるエネルギ吸収構造が開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、押出加工によって作製された2枚の面板と面板を接続するリブから構成されるエネルギ吸収部材、および前記エネルギ吸収部材を押出方向と車両長手方向が一致するように配置した衝突崩壊構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−109920号公報
【特許文献2】特開2001−241478号公報
【特許文献3】特開2008−260531号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A. Sutton, THE DEVELOPMENT OF RAIL VEHICLE CRASHWORTHINESS, Proceedings of Institution of Mechanical Engineers Part F, Vol.216,pp.97-108 (2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の蛇腹状の変形によって衝突エネルギを吸収する場合、部材の最初の折りたたみ発生時の荷重(以後、初期ピーク荷重と呼ぶ)が、引き続く折りたたみ発生時の荷重(以後、平均荷重と呼ぶ)と比較して高い。このため、ある長さのエネルギ吸収体において、断面積を大きくすることによってエネルギ吸収量を増加させようとすると、必然的に初期ピーク荷重が高くなる。その結果、衝突エネルギ吸収構造に隣接する客車スペースに変形・損傷が発生する可能性が高くなる。逆に、エネルギ吸収体の断面積を小さくすることによって初期ピーク荷重を低減させようとすると、単位長さ当たりのエネルギ吸収量が減少する。そのため、必要なエネルギ吸収量を確保するためには、エネルギ吸収体の長さを増加させることが必要となる場合がある。
【0010】
上記特許文献1に係る技術は、平均荷重を増加させるものではあるが、初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を開示するものではない。
【0011】
上記特許文献1に係る技術では、部材にねじり変形を与えているため、単位体積当たりの部材に対して必要な設置面積が増加する場合がある。
【0012】
上記特許文献2に係る技術では、初期ピーク荷重と平均荷重の差は低減されるが、エネルギ吸収体の信頼性を確保するには高精度の加工や溶接を要し、作製が困難になる場合がある。
【0013】
上記特許文献3に係る技術は、多くの衝突エネルギを吸収させるものではあるが、初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を開示するものではない。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、初期ピーク荷重と平均荷重の差を低減することが可能であり、押出加工等の一体成形によって作製することを可能にすることにより小さな体積で大きな衝突エネルギを吸収でき、作製が容易であり、かつ、信頼性の高いエネルギ吸収体、およびこのようなエネルギ吸収体を配置した衝突エネルギ吸収構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、押出加工等を用いた一体成形によって作製された金属製の部材であり、前記部材が複数枚の面板と面板を接続するリブで構成されているエネルギ吸収体であって、前記面板を周方向に配置し、かつ、前記リブを中央から放射状に配置した筒状の中空構造に形成されており、前記面板の一部は、周方向に隣り合う前記リブを、当該リブの半径方向に分割した位置において接続していることを特徴とするエネルギ吸収体によって達成できる。
エネルギ吸収体は、面板およびリブからなる中空構造がその全周を構成した筒型の形状に形成されており、かつ、リブを筒の半径方向に分割する分割位置において面板の一部が接続しており、かつ、押出加工等を用いた一体成形によって作製されている金属製の部材である。金属製の部材は、押出方向と衝突方向が一致するように配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エネルギ吸収体をなす外板の一部を半径方向内側にずらしたことによる外板の座屈荷重の減少に伴い、初期ピーク荷重は同程度もしくは低くなるが、リブの座屈荷重の増加が外板の座屈荷重の減少を上回るため、平均荷重は高くなり、その結果、初期ピーク荷重と平均荷重の差を低減することができる。また、押出加工等の一体成形によって作製されているので、小さな体積の衝突エネルギ吸収構造によって大きな衝突エネルギを効率的に吸収することが可能となる。更に、エネルギ吸収体、およびこのようなエネルギ吸収体を配置した衝突エネルギ吸収構造は、作製が容易であり、かつ、信頼性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両の例を示した模式図である。
【図2】図1に示した鉄道車両を車端側から車両長手方向に見た模式図である。
【図3】従来発明に係るエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図4】本発明に係る実施例1のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図5】初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を説明する図である。
【図6】平均荷重およびエネルギ吸収量の増加について示した表である。
【図7】実施例2のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図8】実施例3のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図9】実施例4のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図10】実施例5の衝突エネルギ吸収構造の模式図である。
【図11】実施例6の衝突エネルギ吸収構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明によるエネルギ吸収体、当該エネルギ吸収体を備えた衝突エネルギ吸収構造、及び当該衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両の実施例を説明する。
【0019】
図1および図2に示すように、鉄道車両構体1は、床を構成する台枠2、屋根を構成する屋根構体3、車両長手方向に対して左右の側壁を構成する側構体4、車両長手方向に対して車両両端を閉鎖する端壁を構成する妻構体5から形成されている。側構体4には、窓や出入口の開口があり、妻構体5には出入口の開口がある。
【0020】
図1に示すように、上記構造を持つ鉄道車両構体1は、衝突時に乗員・乗客の生命を保護するサバイバルスペース10と、衝突時に発生するエネルギを塑性変形エネルギに変換することによって吸収する衝突エネルギ吸収構造100を備えたクラッシャブルゾーン20から構成される。サバイバルスペース10は、車両長手方向の中央部に配置され、その両端にクラッシャブルゾーン20(図1には一方のクラッシャブルゾーン20のみを図示する)が配置される。
【0021】
図1および図2に示すように、衝突エネルギ吸収構造100は、クラッシャブルゾーン20の下方の領域に配置され且つサバイバルスペース10の台枠2の端部に片持ち状に取り付けられている複数のエネルギ吸収体110から構成されている。各エネルギ吸収体110は、その押出方向と車両長手方向が一致するように配置した構造となっている。また、台枠2の端部に取り付けられた各エネルギ吸収体110A,110Bは、車体幅中心に対して車体幅方向に対称に配置されており、かつエネルギ吸収体110A,110Bの先端が妻構体5の端面よりも車端外側に突出量を違えて(突出差d)配置されている。
【実施例1】
【0022】
本発明による衝突エネルギ吸収構造の第1実施例は、上記特許文献3に開示され図3に示すエネルギ吸収体110において、その一部の構造を変更することで構成されている。即ち、図3に示すエネルギ吸収体110は、外板210及び内板220と、半径方向に延びてそれら外板210及び内板220の対応する角部間を接続する複数のリブ230とから構成されている。本衝突エネルギ吸収構造は、図4に示すように外板210の一部をエネルギ吸収体110の半径方向内側にずらすことにより、筒型の周方向に隣り合うリブ230,230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割された中間位置にて一体的に接続した構造を特徴としている。図4に示す実施例では、断面(八角形のような偶数)多角形状のエネルギ吸収体110において、筒型の周方向の辺を構成する外板210が半径方向内側と外側に交互にずらされている。なお、図3において、D1,D2,D3は、それぞれ、対向する外板210,210間の距離、対向する内板220,220間の距離、外板210−内板220間の距離である。エネルギ吸収体110は、周方向に隣り合う二つのリブ230,230を筒状の半径方向外側の外板210と筒状の半径方向内側の内板220とで接続することで形成される比較的大形の中空構造を備えている。また、一部の外板210’が周方向に隣り合うリブ230,230の半径方向に分割された中間位置において接続することでも、内板220と共に比較的小形の中空構造が形成される。外板210’を有する中空構造は、リブ230,230の半径方向の最外側の位置において接続する外板210を有する少なくとも一つの中空構造を周方向に間に挟んで配置されている。
【0023】
上記構造のエネルギ吸収体110においては、外板210の一部を半径方向内側にずらしたことによって外板210の座屈荷重は減少するが、その反面、内側にずらした外板210’がリブ230,230をそれらの中間位置で支えているために、リブ230,230の座屈荷重が増加する。
【0024】
ここで、異なる板幅の板で構成される筒状の部材においては、最初の座屈変形は最も板幅が大きく座屈荷重が低い板で発生する。すなわち、上記エネルギ吸収体100においては、半径方向の最も外側に配置されている外板210において最初の座屈変形が発生する。したがって、初期ピーク荷重は外板210の座屈荷重によって決定される。しかし、平均荷重はエネルギ吸収体100を構成する全ての板の座屈荷重によって決定される。
【0025】
上記理由により、本発明に係るエネルギ吸収体100においては、従来発明に係るエネルギ吸収体と比較して、内側にずらしたことによる外板210’の座屈荷重の減少に伴い、初期ピーク荷重は同程度もしくは低くなるが、リブ230,230の座屈荷重の増加が外板210’の座屈荷重の減少を上回るため、平均荷重は高くなる。
【0026】
その結果、図5において平均圧潰荷重/最大荷重の上昇として示すように、従来技術に係るエネルギ吸収体と比較して、本発明に係るエネルギ吸収体100においては、初期ピーク荷重と平均圧潰荷重の差が低減される。
【0027】
図5に示した荷重−変位線図において、荷重−変位線図に囲まれた面積がエネルギ吸収体の吸収するエネルギ量である。したがって、従来発明に係るエネルギ吸収体と本発明のエネルギ吸収体を比較すると、初期ピーク荷重が同一の場合には、明らかに本発明のエネルギ吸収体の方が多くのエネルギを吸収することができる。
【0028】
例えば図6に示すように、外板210を外板210’にまでずらした量Δ0と外板210−内板220間の距離の比(Δ0/D3)が0.5の場合においては、従来発明に係るエネルギ吸収体と比較して、本発明に係るエネルギ吸収体は平均荷重/初期ピーク荷重の値が18.2%増加し、エネルギ吸収体全体の長さの60%を圧潰した際に吸収されるエネルギ量は10.9%増加する。
【実施例2】
【0029】
図7に示す断面形状は、周方向に隣り合うリブ230,230を、当該リブ230,230のエネルギ吸収体110の半径方向に分割する複数の位置において、複数の板210’によって接続した実施形態である(請求項1に対応)。複数の板210’は、衝撃吸収のバランス上、内板220に対しておよび互いに対して平行に配置するのが好ましい。リブ230,230を複数の板210’によって接続すると、図4に示した断面形状のエネルギ吸収体と比較して、外板210の座屈荷重が増加するため初期ピーク荷重は高くなるが、その反面、リブ230の座屈荷重が増加するため、平均荷重と初期ピーク荷重の差は小さく保たれ、より多くのエネルギを効率的に吸収できる。したがって、使用者は許容される初期ピーク荷重と必要なエネルギ吸収量を基に、リブ230,230の分割点と当該分割点で接続する板の枚数とを選定すれば良い。
【実施例3】
【0030】
図8に示す断面形状は、全ての外板を半径方向内側にずらすことにより、全てのリブ230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割された位置において板210’で接続することで、板210’の枚数を増やした実施形態である(請求項1に対応)。全ての外板をずらすことにより、エネルギ吸収体110は、あらゆる方向に対して曲げ剛性の高い断面形状となるため、あらゆる方向から曲げモーメントが作用する場合においても、効率的にエネルギを吸収することが可能となる。
【実施例4】
【0031】
図9に示す断面形状は、エネルギ吸収体110の全周に亘って半径方向外側に外板210を備えるとともに半径方向内側に内板220を備え、かつエネルギ吸収体110の全周に亘って、全てのリブ230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割し、当該全てのリブ230を分割された位置で中板240によって接続することにより、トリプルスキン構造とした実施形態である(請求項1に対応)。トリプルスキン構造とされたエネルギ吸収体110は、図4に示した断面形状のエネルギ吸収体と比較して、押出加工性に優れるため、効率的にエネルギを吸収できる部材をより容易に作製することが可能となる。
【実施例5】
【0032】
図10には、上記実施例1から実施例4のいずれかに記載のエネルギ吸収体110を長手軸方向に複数個連結して形成した衝突エネルギ吸収構造100の実施形態(請求項6に対応)が示されている。衝突エネルギ吸収構造100は、先端側の端部塞ぎ板300Aと基端側の端部塞ぎ板300Bとの間において、複数のエネルギ吸収体110を端板310を介在させつつ長手軸方向に直列に連結して構成されている。衝突エネルギ吸収構造100は、端部塞ぎ板300Bを、台枠2の端部6に対して締結具(ボルト、ナット)320によって締結することで、台枠2に対して固定されている。衝突エネルギ吸収構造100は、エネルギ吸収体110を長手軸方向に複数個連結した構造とすることで、同一長さの単一のエネルギ吸収体と比較して、全体座屈(オイラー座屈)強度が増加するため、衝突エネルギをより確実に吸収することが可能となる。
【実施例6】
【0033】
図11には、上記実施例1から実施例4のいずれかに記載のエネルギ吸収体110を押出方向が揃うように複数個並べて形成した衝突エネルギ吸収構造100の実施形態(請求項7に対応)が示されている。衝突エネルギ吸収構造100は、図10に示す構造100を台枠2の端部6に対して並列に並べて構成されたものである。衝突エネルギ吸収構造100は、エネルギ吸収体110を複数個並べた構造とすることで、構造の広範囲な部分において衝突エネルギを吸収することができるため、鉄道車両において予期せぬ方向からの衝突に対しても、衝突エネルギを確実に吸収することが可能となる。
【0034】
上記実施例6に記載の衝突エネルギ吸収構造においては、図1、図2に示したように複数のエネルギ吸収体110の各先端部を長手方向にずらして配置することが望ましい。このように各先端部をずらした配置にすることにより、各エネルギ吸収体110の圧潰が開始されるタイミングがずれるため、衝突エネルギ吸収構造100全体のピーク荷重を低減することが可能となる。
【0035】
上記の各実施例では、中空部材に囲まれた空間には他の部材が入っていないが、エネルギを吸収する部材を配置してもよい。例えば、発泡アルミニウムやハニカムパネルなどを配置すると、さらなるエネルギ吸収量の増加を実現できる。
【0036】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、断面形状が八角形もしくは八角形を形成する面板の一部をずらした形状を形成しているが、他の多角形もしくは多角形を形成する面板の一部をずらした形状や、円もしくは円を形成する面板の一部をずらした形状であっても良い。
【0037】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、例えばアルミニウム合金等の金属素材の押出加工(一体成型)によって作製できることを特徴としているため、作製が容易である、信頼性が高いといった利点を持つ。
【0038】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、曲げ剛性の高い断面形状となっているため、エネルギ吸収体全体に曲げモーメントが作用した場合においても倒壊が防止される。したがって、例えば鉄道車両がカーブを走行するような場合においては、エネルギ吸収体に曲げモーメントが作用するが、このような状況下での衝突においても、確実に衝突エネルギを吸収することが出来る。
【符号の説明】
【0039】
1…鉄道車両構体 2…台枠
3…屋根構体 4…側構体
5…妻構体 6…台枠の端部
10…サバイバルスペース 20…クラッシャブルゾーン
100…衝突エネルギ吸収構造 110、110A、110B…エネルギ吸収体
210…外板 210’…内側にずらした外板
220…内板 230…リブ
240…中板
300A、300B…端部塞ぎ板 310…端板
320…締結具(ボルト、ナット)
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形することによってエネルギを吸収するエネルギ吸収体に係り、当該エネルギ吸収体を備えた衝突エネルギ吸収構造、及び当該衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両では、予期せぬ衝突が発生することがある。このような予期せぬ衝突に対して、鉄道車両に搭乗している乗員・乗客の安全を保つために、非特許文献1に記載されているように、乗員・乗客が搭乗している空間の前後に衝突エネルギを吸収する構造が取り付けられている。
【0003】
衝突エネルギを吸収する部材としては、部材側面に一定の周期で折りたたまれる変形、すなわち蛇腹状の変形を生じさせることによって、衝突エネルギを吸収するものが知られている。
【0004】
特許文献1には、部材に予めねじり変形を与えることによって、上記の蛇腹状の変形が生じる際の荷重を増加させることにより、エネルギ吸収量を増加させるエネルギ吸収部材が開示されている。
【0005】
一方、特許文献2には、加工もしくは端部の溶接によって、断面積の異なる2つの筒型形状の部材を同軸的に一体化した構造とするが、当該構造に上記の蛇腹状の変形を生じさせるのではなく、当該構造の一方の部材を他方の部材の内側に押し込むことにより、部材変形開始時のピーク荷重を低減しつつ、部材変形進行時の荷重変化を減少させるエネルギ吸収構造が開示されている。
【0006】
更に、特許文献3には、押出加工によって作製された2枚の面板と面板を接続するリブから構成されるエネルギ吸収部材、および前記エネルギ吸収部材を押出方向と車両長手方向が一致するように配置した衝突崩壊構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−109920号公報
【特許文献2】特開2001−241478号公報
【特許文献3】特開2008−260531号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A. Sutton, THE DEVELOPMENT OF RAIL VEHICLE CRASHWORTHINESS, Proceedings of Institution of Mechanical Engineers Part F, Vol.216,pp.97-108 (2002).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の蛇腹状の変形によって衝突エネルギを吸収する場合、部材の最初の折りたたみ発生時の荷重(以後、初期ピーク荷重と呼ぶ)が、引き続く折りたたみ発生時の荷重(以後、平均荷重と呼ぶ)と比較して高い。このため、ある長さのエネルギ吸収体において、断面積を大きくすることによってエネルギ吸収量を増加させようとすると、必然的に初期ピーク荷重が高くなる。その結果、衝突エネルギ吸収構造に隣接する客車スペースに変形・損傷が発生する可能性が高くなる。逆に、エネルギ吸収体の断面積を小さくすることによって初期ピーク荷重を低減させようとすると、単位長さ当たりのエネルギ吸収量が減少する。そのため、必要なエネルギ吸収量を確保するためには、エネルギ吸収体の長さを増加させることが必要となる場合がある。
【0010】
上記特許文献1に係る技術は、平均荷重を増加させるものではあるが、初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を開示するものではない。
【0011】
上記特許文献1に係る技術では、部材にねじり変形を与えているため、単位体積当たりの部材に対して必要な設置面積が増加する場合がある。
【0012】
上記特許文献2に係る技術では、初期ピーク荷重と平均荷重の差は低減されるが、エネルギ吸収体の信頼性を確保するには高精度の加工や溶接を要し、作製が困難になる場合がある。
【0013】
上記特許文献3に係る技術は、多くの衝突エネルギを吸収させるものではあるが、初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を開示するものではない。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、初期ピーク荷重と平均荷重の差を低減することが可能であり、押出加工等の一体成形によって作製することを可能にすることにより小さな体積で大きな衝突エネルギを吸収でき、作製が容易であり、かつ、信頼性の高いエネルギ吸収体、およびこのようなエネルギ吸収体を配置した衝突エネルギ吸収構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、押出加工等を用いた一体成形によって作製された金属製の部材であり、前記部材が複数枚の面板と面板を接続するリブで構成されているエネルギ吸収体であって、前記面板を周方向に配置し、かつ、前記リブを中央から放射状に配置した筒状の中空構造に形成されており、前記面板の一部は、周方向に隣り合う前記リブを、当該リブの半径方向に分割した位置において接続していることを特徴とするエネルギ吸収体によって達成できる。
エネルギ吸収体は、面板およびリブからなる中空構造がその全周を構成した筒型の形状に形成されており、かつ、リブを筒の半径方向に分割する分割位置において面板の一部が接続しており、かつ、押出加工等を用いた一体成形によって作製されている金属製の部材である。金属製の部材は、押出方向と衝突方向が一致するように配置されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エネルギ吸収体をなす外板の一部を半径方向内側にずらしたことによる外板の座屈荷重の減少に伴い、初期ピーク荷重は同程度もしくは低くなるが、リブの座屈荷重の増加が外板の座屈荷重の減少を上回るため、平均荷重は高くなり、その結果、初期ピーク荷重と平均荷重の差を低減することができる。また、押出加工等の一体成形によって作製されているので、小さな体積の衝突エネルギ吸収構造によって大きな衝突エネルギを効率的に吸収することが可能となる。更に、エネルギ吸収体、およびこのようなエネルギ吸収体を配置した衝突エネルギ吸収構造は、作製が容易であり、かつ、信頼性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両の例を示した模式図である。
【図2】図1に示した鉄道車両を車端側から車両長手方向に見た模式図である。
【図3】従来発明に係るエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図4】本発明に係る実施例1のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図5】初期ピーク荷重と平均荷重の差の低減を説明する図である。
【図6】平均荷重およびエネルギ吸収量の増加について示した表である。
【図7】実施例2のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図8】実施例3のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図9】実施例4のエネルギ吸収体の形状を説明する断面図である。
【図10】実施例5の衝突エネルギ吸収構造の模式図である。
【図11】実施例6の衝突エネルギ吸収構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明によるエネルギ吸収体、当該エネルギ吸収体を備えた衝突エネルギ吸収構造、及び当該衝突エネルギ吸収構造を備えた鉄道車両の実施例を説明する。
【0019】
図1および図2に示すように、鉄道車両構体1は、床を構成する台枠2、屋根を構成する屋根構体3、車両長手方向に対して左右の側壁を構成する側構体4、車両長手方向に対して車両両端を閉鎖する端壁を構成する妻構体5から形成されている。側構体4には、窓や出入口の開口があり、妻構体5には出入口の開口がある。
【0020】
図1に示すように、上記構造を持つ鉄道車両構体1は、衝突時に乗員・乗客の生命を保護するサバイバルスペース10と、衝突時に発生するエネルギを塑性変形エネルギに変換することによって吸収する衝突エネルギ吸収構造100を備えたクラッシャブルゾーン20から構成される。サバイバルスペース10は、車両長手方向の中央部に配置され、その両端にクラッシャブルゾーン20(図1には一方のクラッシャブルゾーン20のみを図示する)が配置される。
【0021】
図1および図2に示すように、衝突エネルギ吸収構造100は、クラッシャブルゾーン20の下方の領域に配置され且つサバイバルスペース10の台枠2の端部に片持ち状に取り付けられている複数のエネルギ吸収体110から構成されている。各エネルギ吸収体110は、その押出方向と車両長手方向が一致するように配置した構造となっている。また、台枠2の端部に取り付けられた各エネルギ吸収体110A,110Bは、車体幅中心に対して車体幅方向に対称に配置されており、かつエネルギ吸収体110A,110Bの先端が妻構体5の端面よりも車端外側に突出量を違えて(突出差d)配置されている。
【実施例1】
【0022】
本発明による衝突エネルギ吸収構造の第1実施例は、上記特許文献3に開示され図3に示すエネルギ吸収体110において、その一部の構造を変更することで構成されている。即ち、図3に示すエネルギ吸収体110は、外板210及び内板220と、半径方向に延びてそれら外板210及び内板220の対応する角部間を接続する複数のリブ230とから構成されている。本衝突エネルギ吸収構造は、図4に示すように外板210の一部をエネルギ吸収体110の半径方向内側にずらすことにより、筒型の周方向に隣り合うリブ230,230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割された中間位置にて一体的に接続した構造を特徴としている。図4に示す実施例では、断面(八角形のような偶数)多角形状のエネルギ吸収体110において、筒型の周方向の辺を構成する外板210が半径方向内側と外側に交互にずらされている。なお、図3において、D1,D2,D3は、それぞれ、対向する外板210,210間の距離、対向する内板220,220間の距離、外板210−内板220間の距離である。エネルギ吸収体110は、周方向に隣り合う二つのリブ230,230を筒状の半径方向外側の外板210と筒状の半径方向内側の内板220とで接続することで形成される比較的大形の中空構造を備えている。また、一部の外板210’が周方向に隣り合うリブ230,230の半径方向に分割された中間位置において接続することでも、内板220と共に比較的小形の中空構造が形成される。外板210’を有する中空構造は、リブ230,230の半径方向の最外側の位置において接続する外板210を有する少なくとも一つの中空構造を周方向に間に挟んで配置されている。
【0023】
上記構造のエネルギ吸収体110においては、外板210の一部を半径方向内側にずらしたことによって外板210の座屈荷重は減少するが、その反面、内側にずらした外板210’がリブ230,230をそれらの中間位置で支えているために、リブ230,230の座屈荷重が増加する。
【0024】
ここで、異なる板幅の板で構成される筒状の部材においては、最初の座屈変形は最も板幅が大きく座屈荷重が低い板で発生する。すなわち、上記エネルギ吸収体100においては、半径方向の最も外側に配置されている外板210において最初の座屈変形が発生する。したがって、初期ピーク荷重は外板210の座屈荷重によって決定される。しかし、平均荷重はエネルギ吸収体100を構成する全ての板の座屈荷重によって決定される。
【0025】
上記理由により、本発明に係るエネルギ吸収体100においては、従来発明に係るエネルギ吸収体と比較して、内側にずらしたことによる外板210’の座屈荷重の減少に伴い、初期ピーク荷重は同程度もしくは低くなるが、リブ230,230の座屈荷重の増加が外板210’の座屈荷重の減少を上回るため、平均荷重は高くなる。
【0026】
その結果、図5において平均圧潰荷重/最大荷重の上昇として示すように、従来技術に係るエネルギ吸収体と比較して、本発明に係るエネルギ吸収体100においては、初期ピーク荷重と平均圧潰荷重の差が低減される。
【0027】
図5に示した荷重−変位線図において、荷重−変位線図に囲まれた面積がエネルギ吸収体の吸収するエネルギ量である。したがって、従来発明に係るエネルギ吸収体と本発明のエネルギ吸収体を比較すると、初期ピーク荷重が同一の場合には、明らかに本発明のエネルギ吸収体の方が多くのエネルギを吸収することができる。
【0028】
例えば図6に示すように、外板210を外板210’にまでずらした量Δ0と外板210−内板220間の距離の比(Δ0/D3)が0.5の場合においては、従来発明に係るエネルギ吸収体と比較して、本発明に係るエネルギ吸収体は平均荷重/初期ピーク荷重の値が18.2%増加し、エネルギ吸収体全体の長さの60%を圧潰した際に吸収されるエネルギ量は10.9%増加する。
【実施例2】
【0029】
図7に示す断面形状は、周方向に隣り合うリブ230,230を、当該リブ230,230のエネルギ吸収体110の半径方向に分割する複数の位置において、複数の板210’によって接続した実施形態である(請求項1に対応)。複数の板210’は、衝撃吸収のバランス上、内板220に対しておよび互いに対して平行に配置するのが好ましい。リブ230,230を複数の板210’によって接続すると、図4に示した断面形状のエネルギ吸収体と比較して、外板210の座屈荷重が増加するため初期ピーク荷重は高くなるが、その反面、リブ230の座屈荷重が増加するため、平均荷重と初期ピーク荷重の差は小さく保たれ、より多くのエネルギを効率的に吸収できる。したがって、使用者は許容される初期ピーク荷重と必要なエネルギ吸収量を基に、リブ230,230の分割点と当該分割点で接続する板の枚数とを選定すれば良い。
【実施例3】
【0030】
図8に示す断面形状は、全ての外板を半径方向内側にずらすことにより、全てのリブ230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割された位置において板210’で接続することで、板210’の枚数を増やした実施形態である(請求項1に対応)。全ての外板をずらすことにより、エネルギ吸収体110は、あらゆる方向に対して曲げ剛性の高い断面形状となるため、あらゆる方向から曲げモーメントが作用する場合においても、効率的にエネルギを吸収することが可能となる。
【実施例4】
【0031】
図9に示す断面形状は、エネルギ吸収体110の全周に亘って半径方向外側に外板210を備えるとともに半径方向内側に内板220を備え、かつエネルギ吸収体110の全周に亘って、全てのリブ230をエネルギ吸収体110の半径方向に分割し、当該全てのリブ230を分割された位置で中板240によって接続することにより、トリプルスキン構造とした実施形態である(請求項1に対応)。トリプルスキン構造とされたエネルギ吸収体110は、図4に示した断面形状のエネルギ吸収体と比較して、押出加工性に優れるため、効率的にエネルギを吸収できる部材をより容易に作製することが可能となる。
【実施例5】
【0032】
図10には、上記実施例1から実施例4のいずれかに記載のエネルギ吸収体110を長手軸方向に複数個連結して形成した衝突エネルギ吸収構造100の実施形態(請求項6に対応)が示されている。衝突エネルギ吸収構造100は、先端側の端部塞ぎ板300Aと基端側の端部塞ぎ板300Bとの間において、複数のエネルギ吸収体110を端板310を介在させつつ長手軸方向に直列に連結して構成されている。衝突エネルギ吸収構造100は、端部塞ぎ板300Bを、台枠2の端部6に対して締結具(ボルト、ナット)320によって締結することで、台枠2に対して固定されている。衝突エネルギ吸収構造100は、エネルギ吸収体110を長手軸方向に複数個連結した構造とすることで、同一長さの単一のエネルギ吸収体と比較して、全体座屈(オイラー座屈)強度が増加するため、衝突エネルギをより確実に吸収することが可能となる。
【実施例6】
【0033】
図11には、上記実施例1から実施例4のいずれかに記載のエネルギ吸収体110を押出方向が揃うように複数個並べて形成した衝突エネルギ吸収構造100の実施形態(請求項7に対応)が示されている。衝突エネルギ吸収構造100は、図10に示す構造100を台枠2の端部6に対して並列に並べて構成されたものである。衝突エネルギ吸収構造100は、エネルギ吸収体110を複数個並べた構造とすることで、構造の広範囲な部分において衝突エネルギを吸収することができるため、鉄道車両において予期せぬ方向からの衝突に対しても、衝突エネルギを確実に吸収することが可能となる。
【0034】
上記実施例6に記載の衝突エネルギ吸収構造においては、図1、図2に示したように複数のエネルギ吸収体110の各先端部を長手方向にずらして配置することが望ましい。このように各先端部をずらした配置にすることにより、各エネルギ吸収体110の圧潰が開始されるタイミングがずれるため、衝突エネルギ吸収構造100全体のピーク荷重を低減することが可能となる。
【0035】
上記の各実施例では、中空部材に囲まれた空間には他の部材が入っていないが、エネルギを吸収する部材を配置してもよい。例えば、発泡アルミニウムやハニカムパネルなどを配置すると、さらなるエネルギ吸収量の増加を実現できる。
【0036】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、断面形状が八角形もしくは八角形を形成する面板の一部をずらした形状を形成しているが、他の多角形もしくは多角形を形成する面板の一部をずらした形状や、円もしくは円を形成する面板の一部をずらした形状であっても良い。
【0037】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、例えばアルミニウム合金等の金属素材の押出加工(一体成型)によって作製できることを特徴としているため、作製が容易である、信頼性が高いといった利点を持つ。
【0038】
上記に記載されたエネルギ吸収体は、曲げ剛性の高い断面形状となっているため、エネルギ吸収体全体に曲げモーメントが作用した場合においても倒壊が防止される。したがって、例えば鉄道車両がカーブを走行するような場合においては、エネルギ吸収体に曲げモーメントが作用するが、このような状況下での衝突においても、確実に衝突エネルギを吸収することが出来る。
【符号の説明】
【0039】
1…鉄道車両構体 2…台枠
3…屋根構体 4…側構体
5…妻構体 6…台枠の端部
10…サバイバルスペース 20…クラッシャブルゾーン
100…衝突エネルギ吸収構造 110、110A、110B…エネルギ吸収体
210…外板 210’…内側にずらした外板
220…内板 230…リブ
240…中板
300A、300B…端部塞ぎ板 310…端板
320…締結具(ボルト、ナット)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体成形によって作製された金属製の部材であって、前記部材が複数枚の面板と面板を接続するリブで構成されているエネルギ吸収体において、
前記面板を周方向に配置し、かつ、前記リブを中央から放射状に配置した筒状の中空構造に形成されており、前記面板の一部は、周方向に隣り合う前記リブを、当該リブの半径方向に分割した位置において接続していること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
前記中空構造は、周方向に隣り合う二つの前記リブを筒状の半径方向外側の外板と筒状の半径方向内側の内板とで接続することで形成されており、
前記外板の一部が前記リブの半径方向に分割した位置において接続することで形成される前記中空構造は、前記外板が前記リブの半径方向の最外側の位置において接続することで形成される少なくとも一つの前記中空構造を周方向に間に挟んで配置されていること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエネルギ吸収体において、
前記リブの半径方向に分割された位置は、単一の分割位置又は複数の分割位置であり、前記分割位置で前記リブを接続する前記外板は前記内板と平行に配置されていること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項4】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
全ての前記外板を前記筒状の中空構造の半径方向内側にずらすことにより、全ての前記リブを前記分割した位置で接続すること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
全周に亘って半径方向外側と半径方向内側とにそれぞれ外板と内板を備え、かつ全周に亘って全てのリブについて半径方向に分割された前記分割した位置で中板によって接続することにより、トリプルスキン構造としたこと
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された前記エネルギ吸収体を、長手軸方向に複数個連結して構成されていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された前記エネルギ吸収体を、押出方向が揃うように複数個並べて配置していること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された衝突エネルギ吸収構造において、
前記衝突エネルギ吸収構造は鉄道車両に適用されており、
複数の前記エネルギ吸収体は、前記鉄道車両に備えられるクラッシャブルゾーンの下方の領域に配置され且つサバイバルスペースの台枠の端部に片持ち状に取り付けられていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項9】
請求項6又は7に記載された衝突エネルギ吸収構造において、
前記衝突エネルギ吸収構造は鉄道車両に適用されており、
複数の前記エネルギ吸収体は、前記鉄道車両の車体幅中心に対して車体幅方向に対称に配置されており、かつ各先端部が長手方向にずれて配置されていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載された衝突エネルギ吸収構造を、車両の長手方向の端部に備えた鉄道車両。
【請求項1】
一体成形によって作製された金属製の部材であって、前記部材が複数枚の面板と面板を接続するリブで構成されているエネルギ吸収体において、
前記面板を周方向に配置し、かつ、前記リブを中央から放射状に配置した筒状の中空構造に形成されており、前記面板の一部は、周方向に隣り合う前記リブを、当該リブの半径方向に分割した位置において接続していること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
前記中空構造は、周方向に隣り合う二つの前記リブを筒状の半径方向外側の外板と筒状の半径方向内側の内板とで接続することで形成されており、
前記外板の一部が前記リブの半径方向に分割した位置において接続することで形成される前記中空構造は、前記外板が前記リブの半径方向の最外側の位置において接続することで形成される少なくとも一つの前記中空構造を周方向に間に挟んで配置されていること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエネルギ吸収体において、
前記リブの半径方向に分割された位置は、単一の分割位置又は複数の分割位置であり、前記分割位置で前記リブを接続する前記外板は前記内板と平行に配置されていること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項4】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
全ての前記外板を前記筒状の中空構造の半径方向内側にずらすことにより、全ての前記リブを前記分割した位置で接続すること
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギ吸収体において、
全周に亘って半径方向外側と半径方向内側とにそれぞれ外板と内板を備え、かつ全周に亘って全てのリブについて半径方向に分割された前記分割した位置で中板によって接続することにより、トリプルスキン構造としたこと
を特徴とするエネルギ吸収体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された前記エネルギ吸収体を、長手軸方向に複数個連結して構成されていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載された前記エネルギ吸収体を、押出方向が揃うように複数個並べて配置していること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項8】
請求項6又は7に記載された衝突エネルギ吸収構造において、
前記衝突エネルギ吸収構造は鉄道車両に適用されており、
複数の前記エネルギ吸収体は、前記鉄道車両に備えられるクラッシャブルゾーンの下方の領域に配置され且つサバイバルスペースの台枠の端部に片持ち状に取り付けられていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項9】
請求項6又は7に記載された衝突エネルギ吸収構造において、
前記衝突エネルギ吸収構造は鉄道車両に適用されており、
複数の前記エネルギ吸収体は、前記鉄道車両の車体幅中心に対して車体幅方向に対称に配置されており、かつ各先端部が長手方向にずれて配置されていること
を特徴とする衝突エネルギ吸収構造。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載された衝突エネルギ吸収構造を、車両の長手方向の端部に備えた鉄道車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−107660(P2012−107660A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255464(P2010−255464)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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