説明

エポキシド樹脂を含むゴム組成物

【課題】通例のゴム組成物と比較して、ヒステリシスにほとんど悪い影響を与えずに、低歪み剛性の大きいゴム組成物を得る。
【解決手段】少なくとも1つのジエンエラストマー、少なくとも1つの補強充填剤、少なくとも1つの架橋系、1と20phrの間のエポキシド樹脂および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤をベースとするゴム組成物をタイヤに使用し得る。エポキシド樹脂とアミンを含むキュアリング剤との対形成が、有利には、メチレン受容体であるフェノール/ホルムアルデヒド樹脂と、メチレン供与体であるキュアリング剤(1つ以上)HMTまたはH3Mとの対形成に置き換わる。さらに、メチレン受容体であるフェノール樹脂と、メチレン供与体であるHMTまたはH3Mとの組み合わせは、ゴム組成物の加硫の間にホルムアルデヒドを生成する。実際は、この化合物の環境影響のため、実は除外する長時間走行においてさえゴム組成物のホルムアルデヒドを減少させることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、特に、タイヤまたはタイヤ用の半仕上げ製品の製造を意図するゴム組成物、特に高い剛性を示すゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのある部分において、タイヤの微小変形の間にも高い剛性を示すゴム組成物を用いることが知られている(国際公開第02/10269号パンフレットを参照のこと)。微小変形に対する耐性は、タイヤにかかる応力に反応するために示されなければならない特性の1つである。
この剛性化は、補強充填剤のレベルを上げることによってまたはある補強樹脂をタイヤの部分の構成ゴム組成物に組み入れることによって得ることができる。
しかしながら、知られているように、充填剤のレベルを上げることによるゴム組成物の剛性の増加は、タイヤのヒステリシス特性、したがって転がり抵抗特性に不利になる。実際は、燃料の消費を減らすために、したがって環境を保護するために、転がり抵抗を低下させることが継続している目標である。
通例、この剛性の増加は、メチレン受容体/供与体系に基づき補強樹脂を組み入れることによって得られる。用語“メチレン受容体”および“メチレン供与体”は、当業者に周知であり、一緒に反応して、縮合により、一方では、補強充填剤/エラストマー網目構造によって、もう一方では(架橋剤が硫黄である場合には)、エラストマー/硫黄網目構造によって追加されかつ相互貫入される3次元補強樹脂を生成することができる化合物を示すために広く使われている。上記のメチレン受容体は、それを架橋またはキュアすることができる、“メチレン供与体”としても一般に知られているキュアリング剤と組み合わされる。そのとき、樹脂のフェノール核のオルト位とパラ位の炭素とメチレン供与体の間の架橋(-CH2-)の形成によってゴムマトリックスのキュアリング中に樹脂の架橋がもたらされ、3次元樹脂網目構造が生成される。
通例、メチレン受容体は、フェノール樹脂である。フェノールノボラック樹脂は、接着または補強のように多様な用途として、特にタイヤまたはタイヤトレッドを意図したゴム組成物にすでに記載されている: 例えば、欧州特許第0 649 446号明細書が参照される。
通例、メチレン供与体は、ヘキサメチレンテトラミン(HMTと略記される)またはヘキサメトキシメチルメラミン(HMMMまたはH3Mと略記される)またはヘキサエトキシメチルメラミンである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
予想外に、出願人である会社は、その研究中、エポキシド樹脂とアミンを含むキュアリング剤との対形成が、有利には、メチレン受容体であるフェノール/ホルムアルデヒド樹脂と、通例メチレン供与体であるキュアリング剤(1つ以上)HMTまたはH3Mとの対形成に置き換わることを発見した。この対の反応成分、エピキシド樹脂とアミンを含むキュアリング剤の使用は、通例のゴム組成物と比較して、ヒステリシスにほとんど悪い影響を与えずに、低歪み剛性の大きいゴム組成物を得ることを可能にする。
【0004】
さらに、メチレン受容体であるフェノール樹脂と、メチレン供与体であるHMTまたはH3Mとの組み合わせは、ゴム組成物の加硫の間にホルムアルデヒドを生成する。実際は、この化合物の環境影響のため、実は除外する長時間走行においてさえゴム組成物のホルムアルデヒドを減少させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の第1の主題は、少なくとも1つのジエンエラストマー、少なくとも1つの補強充填剤、少なくとも1つの架橋系、1と20phrの間のエポキシド樹脂および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤をベースとするゴム組成物である。
本発明の他の主題は、本発明のゴム組成物を含むタイヤまたはタイヤのための半仕上げ製品である。
本発明の他の主題は、本発明のゴム組成物を含む仕上げゴム製品または半仕上げゴム製品である。
【0006】
本発明のタイヤは、特に、二輪車(特にオートバイ、自転車)、バン、大型車、すなわち、地下鉄、バス、道路輸送大型車(トラック、トラクタ、トレーラー)、オフロード車、農業用車両、土木工事用車両、航空機、または他の運搬または作業用車両のように乗用車を意図する。
本発明およびその利点は、以下の説明および実施例に照らして容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
I-試験
以下に示されるようにゴム組成物を確認する。
I.1-動的特性
動的特性G*(10%)および40℃でのtan(δ)は、規格ASTM D 5992-96に従って粘度アナライザー(Metravib VA4000)により測定する。単純な交互正弦剪断応力に、10Hzの周波数で、規格ASTM D 1349-99に従って標準条件下(23℃)に、または場合に応じて異なる温度で供した加硫組成物の試料(厚さ4mmと400mm2の断面積を有する円筒状試験片)の応答を記録する。ひずみ振幅スウィープを0.1から50%まで(アウトワードサイクル)、次に50から1%まで(リターンサイクル)行う。使った結果は、複素動的剪断弾性率G*および損失係数tan(δ)である。リターンサイクルについて、tan(δ)maxを示す観測されたtan(δ)の最大値と、40℃における10%歪みの複素動的剪断弾性率G*(10%)を示す。
当業者に周知なように、40℃でのtan(δ)の値が材料のヒステリシス、従って転がり抵抗を表すことが思い出される: 40℃でのtan(δ)maxが小さいほど、転がり抵抗が小さい。
【0008】
II-本発明の実施態様のための条件
本発明のゴム組成物は、以下をベースとする:
- 少なくとも1つのジエンエラストマー;
- 少なくとも1つの補強充填剤;
- 少なくとも1つの架橋系;
- 1と20phrの間のエピキシド樹脂;
- 1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤。
【0009】
語句“をベースとする”組成物は、用いられる種々の成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味すると理解されなければならず、これらのベース成分の一部は、組成物の製造のさまざまな相の間に、特にその架橋または加硫の間に、少なくとも部分的に、相互に反応することができるかまたは相互に反応することを意図する。
【0010】
本説明において、特にことわらない限り、示されるすべてのパーセント(%)は質量%である。さらに、語句“aとbの間”によって示される値の範囲は、aよりも多くbよりも少ない値の範囲を表し(すなわち限度aとbを除く)、語句“aからbまで”によって示される値の範囲は、aからbまでの値の範囲を表す(すなわち厳密な限度aとbを含む)。
【0011】
II.1-ジエンエラストマー
本発明のゴム組成物は、ジエンエラストマーを含む。
用語“ジエン”エラストマーまたはゴムは、知られているように、少なくとも部分的に(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)ジエンモノマー(共役されていても共役されてなくてもよい2つの炭素-炭素二重結合をもつモノマー)から得られるエラストマーを意味すると理解されなければならない。
【0012】
ジエンエラストマーは、2つのカテゴリー: “本質的に不飽和の”エラストマーまたは“本質的に飽和のエラストマー”に分類され得る。用語“本質的に不飽和の”は、一般的には、少なくとも部分的に、15%(モル%)よりも多いレベルのジエン由来単位(共役ジエン)を有する共役ジエンモノマーから得られるジエンエラストマーを意味すると理解される; 従って、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエンとα-オレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上記の定義の中に入らず、特に、“本質的に飽和の”ジエンエラストマーとして記載され得る(低レベルまたは非常に低レベルのジエン由来単位、常に15%未満)のである。“本質的に不飽和の”ジエンエラストマーのカテゴリーにおいて、用語“高度に不飽和の”ジエンエラストマーは、特に、50%よりも多いレベルのジエン由来単位(共役ジエン)を有するジエンエラストマーを意味すると理解される。
【0013】
これらの定義を考えれば、本発明の組成物に用いることができる用語ジエンエラストマーは、より詳しくは、以下を意味すると理解される:
(a) - 炭素原子4から12個までを有する共役ジエンモノマーの重合によって得られるホモポリマー;
(b) - 1つ以上の共役ジエンの相互とまたは炭素原子8から20個までを有する1つ以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られるコポリマー;
(c) - エチレンと炭素原子3〜6個を有するα-オレフィンと炭素原子6から12個までを有する非共役ジエンモノマーとの共重合によって得られた三元コポリマー、例えば、エチレンとプロピレンと上述のタイプの非共役ジエンモノマー、例えば、特に、1,4-ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンとから得られたエラストマー;
(d) - イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにこのタイプのコポリマーのハロゲン化変形例、特に塩素化または臭素化変形例。
【0014】
いずれのタイプのジエンエラストマーもあてはまるが、本発明が、好ましくは本質的に不飽和のジエンエラストマー、特に上記のタイプ(a)または(b)と使われることをタイヤの当業者は理解するであろう。
共役ジエンとして特に以下のものが適している: 1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1-C5)アルキル-1,3-ブタジエン、例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエンまたは2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン。ビニル芳香族化合物として、例えば、以下のものが適している: スチレン、オルト-、メタ-またはパラ-メチルスチレン、市販の“ビニルトルエン”混合物、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロメシチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
【0015】
コポリマーは、99質量%と20質量%の間のジエン単位と1質量%と80質量%の間のビニル芳香族単位からなり得る。エラストマーは、用いられる重合条件、特に変性剤および/またはランダム化剤の有無および使われる変性剤および/またはランダム化剤の量に依存するミクロ構造を有することになる。エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、逐次またはミクロ逐次のブロックであることができ、分散液または溶液で調製され得る; これらは、カップリング剤および/または星状分岐剤または官能基剤でカップリングおよび/または星状分枝または官能基化され得る。カーボンブラックによるカップリングについては、例えば、C-Sn結合を含む官能基またはアミノ化官能基、例えばアミノベンゾフェノンを挙げることができる; 補強無機充填剤、例えばシリカによるカップリングについては、例えば、シラノール官能基またはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、仏国特許発明第2 740 778号明細書または米国特許第6 013 718号明細書、国際公開第2008/141702号パンフレットに記載されているもの)、アルコキシシラン基(例えば、仏国特許発明第2 765 882号明細書または米国特許第5 977 238号明細書に記載されているもの)、カルボキシル基(例えば、国際公開第01/92402号パンフレットまたは米国特許第6 815 473号明細書、国際公開第2004/096865号パンフレットまたは米国特許出願公開第2006/0089445号明細書に記載されているもの)またはポリエーテル基(例えば、欧州特許第1 127 909号明細書または米国特許第6 503 973号明細書、国際公開第2009/000750号パンフレット、同第2009/000752号パンフレットに記載されているもの)を挙げることができる。官能基化エラストマーの他の例として、エポキシ化されたタイプのエラストマー(例えば、SBR、BR、NRまたはIR)を挙げることもできる。
【0016】
以下のものが適している: ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2-単位の含量(モル%)を有するものまたは80%よりも多いシス-1,4-単位の含量(モル%)を有するもの、ポリイソプレン、ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、0℃と-70℃の間、より詳しくは-10℃と-60℃のTg(ガラス転移温度はASTM D3418に従って測定した)、5質量%と60質量%の間、より詳しくは20%と50%の間のスチレン含量、4%と75%の間のブタジエン部分の1,2-結合の含量(モル%)および10%と80%の間のトランス-1,4-結合の含量(モル%)を有するもの、ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレンおよび-40℃〜-80℃を有するもの、またはイソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含量および-5℃と-50℃の間のTgを有するもの。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合には、5質量%と50質量%の間、より詳しくは10%と40%の間のスチレン含量、15質量%と60質量%の間、より詳しくは20%と50%の間のイソプレン含量、5質量%と50質量%の間、より詳しくは20%と40%の間のブタジエン含量、4%と85%の間のブタジエン部分の1,2-単位の含量(モル%)、6%と80%の間のブタジエン部分のトランス-1,4-単位の含量(モル%)、5%と70%の間のイソプレン部分の1,2-単位プラス3,4-単位の含量(モル%)および10%と50%の間のイソプレン部分のトランス-1,4-単位の含量(モル%)を有するもの、より一般的には-5℃と-70℃の間のTgを有するブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが特に適している。
【0017】
まとめると、本発明の組成物のジエンエラストマーは、好ましくは、ポリブタジエン(“BR”と略記される)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる高度に不飽和のジエンエラストマーの群より選ばれる。そのコポリマーは、より好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群より選ばれる。
【0018】
個々の実施態様によれば、ジエンエラストマーは、主として(すなわち、50phrよりも多い場合)SBR、エマルジョン(“ESBR”)で調製されたSBRにしても溶液(“SSBR”)で調製されたSBRにしても、またはSBR/BR、SBR/NR(またはSBR/IR)、BR/NR(またはBR/IR)またはSBR/BR/NR(またはSBR/BR/IR)ブレンド(混合物)である。SBR(ESBRまたはSSBR)エラストマーの場合には、特に、例えば、20質量%と35質量%の間の中程度のスチレン含量または、例えば、35%〜45%の高スチレン含量、15%と70%の間のブタジエン部分のビニル結合の含量、15%と75%の間のトランス-1,4-結合の含量(モル%)および-10℃と-55℃の間のTgを有するSBRが使われる; そのSBRは、有利には、好ましくは90%よりも多い(モル%)シス-1,4-結合を有するBRとの混合物として使用し得る。
【0019】
用語“イソプレンエラストマー”は、知られているように、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、言い換えれば、可塑化または解膠され得る天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、イソプレンの種々のコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群より選ばれるジエンエラストマーを意味すると理解される。特に、イソプレンコポリマーの中でも、イソブテン/イソプレンコポリマー(ブチルゴム - IIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス-1,4-ポリイソプレンである。好ましくは、これらの合成ポリイソプレンの中で、90%よりも多い、より好ましくはさらに98%よりも多いレベル(モル%)のシス-1,4-結合を有するポリイソプレンが使われる。
【0020】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、ゴム組成物は、-70℃と0℃の間のTgを示す(1つ以上の)“高Tg”ジエンエラストマーと-110℃と-80℃の間、より好ましくは-105℃と-90℃の間のTgを示す(1つ以上の)“低Tg”ジエンエラストマーのブレンドを含む。高Tgエラストマーは、好ましくは、S-SBR、E-SBR、天然ゴム、合成ポリイソプレン(好ましくは95%よりも多いレベル(モル%)のシス-1,4-構造を示す)、BIR、SIR、SBIRおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群より選ばれる。低Tgエラストマーは、好ましくは少なくとも70%のレベル(モル%)のブタジエン単位を含む; 好ましくは90%よりも多いレベル(モル%)のシス-1,4-構造を示すポリブタジエン(BR)からなる。
【0021】
本発明の個々の実施態様によれば、ゴム組成物は、例えば、0〜70phr、特に0から50phrまでの低Tgエラストマーとのブレンドとして30から100phrまで、特に50から100phrまでの高Tgエラストマーを含む; 他の例によれば、全体が100phrとして、溶液で調製された1つ以上のSBRを含む。
【0022】
本発明の他の個々の実施態様によれば、本発明の組成物のジエンエラストマーは、90%よりも多いレベル(モル%)のシス-1,4-構造を示すBR(低Tgエラストマーとして)と1つ以上のS-SBRまたはE-SBR(高Tgエラストマーとして)とのブレンドを含む。
【0023】
本発明の組成物は、単一のジエンエラストマーまたはいくつかのジエンエラストマーの混合物を含むことができ、ジエンエラストマーまたはジエンエラストマー以外の合成エラストマーのタイプと組み合わせて用いられるエラストマー、実にエラストマー以外のポリマー、例えば熱可塑性ポリマーとさえ可能である。
【0024】
II-2.-補強充填剤
タイヤの製造に使用し得るゴム組成物を補強するその能力が知られている補強充填剤のタイプ、例えばカーボンブラックのような有機充填剤、または補強無機充填剤、例えばシリカ、またはこれらの2つのタイプの充填剤のブレンド、特にカーボンブラックとシリカのブレンドを使うことができる。
【0025】
すべてのカーボンブラック、特に、通例タイヤに用いられるHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック(“タイヤ-グレード”ブラック)がカーボンブラックとして適している。後者の中でも、より詳しくは、100、200または300シリーズ(ASTMグレード)の補強カーボンブラック、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラック、あるいは目標にされる用途によっては、より高級シリーズ(例えば、N660、N683またはN772)が挙げられる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形でイソプレンエラストマーにすでに組み入れられていてもよい(例えば、国際公開第97/36724号パンフレットおよび同第99/16600号パンフレットを参照のこと)。
【0026】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例として、国際公開第2006/069792号パンフレット、同第2006/069793号パンフレット、同第2008/003434号パンフレットおよび同第2008/003435号パンフレットに記載されている官能基化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0027】
用語“補強無機充填剤”は、本特許出願において、定義により、それ自体単独で、中間のカップリング剤以外の手段を含まずに、タイヤの製造を意図とするゴム組成物を補強することができる、言い換えれば、その補強役割において、慣用のタイヤグレードカーボンブラックを置き換えることができる、カーボンブラックとは対照的に“白色充填剤”、“透明充填剤”、実際に“非ブラック充填剤”とさえも知られる、その色またはその由来(天然または合成)が何であれ、無機または鉱物充填剤を意味するとして理解されなければならない; その充填剤は、一般的には、既知のように、その表面のヒドロキシル(-OH)基の存在に特徴を有する。
【0028】
補強無機充填剤が供給される物理的状態は、それが粉末でも、ミクロビーズでも、顆粒でも、ボールでもまたは他の適切な高密度化の形でも、重要でない。もちろん、語句補強無機充填剤は、また、特に、後述される高度に分散可能なシリカ質および/またはアルミナの充填剤の、種々の補強無機充填剤の混合物を意味すると理解される。
【0029】
補強無機充填剤として、特にシリカ質タイプ、特にシリカ(SiO2)、またはアルミニウムタイプ、特にアルミナ(Al2O3)の鉱物充填剤が適切である。用いられるシリカは、当業者に知られている補強シリカ、特にBET表面積とCTAB比表面積がいずれも450m2/g未満、好ましくは30から400m2/gまでの沈降シリカまたはフュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)、例えば、Degussa製のUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ、Rhodia製のZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ、PPG製のHi-Sil EZ150Gシリカ、Huber製のZeopol 8715、8745および8755シリカまたは国際公開第03/16837号パンフレットに記載される高比表面積を有するシリカが挙げられる。
【0030】
用いられる補強無機充填剤は、特にそれがシリカである場合には、好ましくは45と400m2/gの間、より好ましくは60と300m2/gの間のBET表面積を有する。
【0031】
好ましくは、全補強充填剤(カーボンブラックおよび/または補強無機充填剤、例えばシリカ)のレベルは、20と200phrの間、より好ましくは30と150phrの間であり、最適は知られているように目標とされる個々の用途によって異なる: 例えば、自転車タイヤに関して予想される補強レベルは、もちろん、持続した方法で高速で走行できるタイヤ、例えば、オートバイタイヤ、乗用車用のタイヤまたは商品輸送車のタイヤ、例えば、重量車に関して必要とされるものより低い。
【0032】
本発明の好ましい実施態様によれば、30と150phrの間、より好ましくは50と120phrの間の無機充填剤、特にシリカおよび必要によりカーボンブラックを含む補強充填剤が使われる; カーボンブラックが存在する場合には、好ましくは20phr未満、より好ましくは10phr未満(例えば、0.1と10phrの間)のレベルで用いられる。
【0033】
補強無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングするために、知られているように、無機充填剤(その粒子の表面)とジエンエラストマーの間に、化学的および/または物理的性質の満足な結合を与えることを意図した少なくとも二官能性カップリング剤(または結合剤)、特に二官能性オルガノシランまたはポリオルガノシロキサンが使われる。
【0034】
特に、例えば、国際公開第03/002648号パンフレット(または米国特許出願公開第2005/016651号明細書)や国際公開第03/002649号パンフレット(または米国特許出願公開第2005/016650号明細書)に記載されている、個々の構造によっては“対称”または“非対称”と呼ばれるシランポリスルフィドが使われる。
【0035】
下記の一般式(I)に対応する“対称”シランポリスルフィドは、以下の定義が特に適切であるが、これに限定されない:
(I) Z - A - Sx - A - Z、式中:
- xは、2から8まで(好ましくは2から5まで)の整数であり;
- Aは、二価の炭化水素基(好ましくは、C1-C18アルキレン基またはC6-C12アリーレン基、より詳しくはC1-C10、特にC1-C4アルキレン、特にプロピレン)であり;
- Zは、下記の式の1つに対応する:
【0036】
【化1】

【0037】
式中:
- R1基は、無置換または置換され、相互に同一かまたは異なり、C1-C18アルキル、C5-C18シクロアルキルまたはC6-C18アリール基(好ましくはC1-C6アルキル基、シクロヘキシル基またはフェニル基、特にC1-C4アルキル基、より詳しくはメチルおよび/またはエチル)を示し;
- R2基は、無置換または置換され、相互に同一かまたは異なり、C1-C18アルコキシル基またはC5-C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1-C8アルコキシルおよびC5-C8シクロアルコキシルより選ばれる基、より好ましくはC1-C4アルコキシルより選ばれる基、特にメトキシルおよびエトキシルより選ばれる基)を示す。
【0038】
上記の式(I)に対応するアルコキシシランポリスルフィドの混合物、特に市販の通常の混合物の場合には、“x”指数の平均値は、好ましくは2と5の間、より好ましくは4の近くの小数である。しかしながら、本発明は、有利には、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)で行うこともできる。
【0039】
より詳しくは、シランポリスルフィドの例として、ビス((C1-C4)アルコキシル(C1-C4)アルキルシリル(C1-C4)アルキル)ポリスルフィド(特に、ジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、例えば、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが挙げられる。特に、これらの化合物の中で、TESPTと略記されるビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S]2またはTESPDと略記されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、式[(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2が使われる。また、好適な例として、国際公開第02/083782号パンフレット(または米国特許出願公開第2004/132880号明細書)に記載されているように、ビス(モノ(C1-C4)アルコキシルジ(C1-C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド(特にジスルフィド、トリスルフィドまたはテトラスルフィド)、より詳しくはビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
【0040】
特に、アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤として、二官能性POS(ポリオルガノシロキサン)またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記の式IにおいてR2 = OH)、例えば国際公開第02/30939号パンフレット(または米国特許第6 774 255号明細書)や国際公開第02/31041号パンフレット(または米国特許出願公開第2004/051210号明細書)に記載されているもの、またはアゾジカルボニル官能基をもつシランまたはPOS、例えば、国際公開第2006/125532号パンフレット、同第2006/125533号パンフレット、同第2006/125534号パンフレットに記載されているものが挙げられる。
【0041】
本発明のゴム組成物において、カップリング剤の含量は、好ましくは4と12phrの間、より好ましくは4と8phrとの間である。
【0042】
他の種類、特に有機質の補強充填剤が、本項に記載される補強無機充填剤に等価な充填剤として用いられることを当業者は理解するであろう。但し、この補強充填剤が無機層、例えばシリカで覆われているか、あるいはその表面に官能部位、特にヒドロキシル部位を含み、充填剤とエラストマーの間の結合を形成するためにカップリング剤の使用を必要とする。
【0043】
II.3-エポキシド樹脂-アミンを含むキュアリング剤
本発明の組成物は、1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤と反応する1と20phrの間のエポキシド樹脂を含む。
II.3.a-エポキシド樹脂
本発明に用いられるエポキシド樹脂としては、すべてのポリエポキシド化合物、例えば、芳香族エポキシド化合物、脂環式エポキシド化合物および脂肪族エポキシド化合物が挙げられる。特に、芳香族エポキシド化合物の中で、ノボラックエポキシ樹脂、2,2-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン、ポリ[(o-クレシルグリシジルエーテル)-co-ホルムアルデヒド]、これらの化合物の混合物が好ましい。
【0044】
エポキシド樹脂の量は、1と20phrの間である; 示される最低限よりも少ないと、目標にされる技術的効果が不充分であり、示される最大限よりも多いと、剛性の極端に大きな増加のリスクが生じ、ヒステリシスのリスクは極端に不利になる。すべてのこれらの理由のために、好ましくは1と15phrの間の量が選ばれる。
【0045】
II.3.b-アミンを含むキュアリング剤
本発明の組成物のエポキシド樹脂は、樹脂の架橋を可能にするアミンを含むキュアリング剤と組み合わせて用いられる。
既知のキュアリング剤は、(ポリ)アミン化合物、ポリフェノール化合物およびカチオン光開始剤、特に、ジシアンジアミド、ヒドラジド、イミダゾール化合物、スルホニウム塩、オニウム塩、ケトイミンまたは酸無水物、例えば、ポリ無水物、4,4'-(4,4'-イソプロピリデンジフェノキシル)ビス(フタル酸無水物)、ピロメリト酸二無水物である。
【0046】
ポリアミンが特に好ましい。ポリアミン化合物としては、脂肪族ポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、特に1,8-ジアミノオクタン、脂環式ポリアミン、例えば1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、芳香環を有する脂肪族アミン、例えば、m-キシリレンジアミンまたはp-キシリレンジアミン、および芳香族ポリアミン、例えば、m-フェニレンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、特に3,3'-ジアミノベンジジンが挙げられる。
アミンを含むキュアリング剤の量は、1と15phrの間である; 示される最低限よりも少ないと、技術的効果が不充分であり、示される最大限よりも多いと、組成物の生状態での加工のリスクが生じ、不利になる。
【0047】
本発明の好ましい実施態様によれば、アミンを含むキュアリング剤は、少なくとも2つのアミン官能基を含む; 好ましくは、例えば、p-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,8-ジアミノオクタンまたは3,3'-ジアミノベンジジンが使われる。
【0048】
II.4-各種の添加剤
本発明のトレッドのゴム組成物は、また、トレッドの製造を意図したエラストマーに一般的に用いられる通常の添加剤の全部または一部、例えば、色素、オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤、上述した以外の可塑剤、疲労防止剤、補強樹脂、硫黄または硫黄供与体および/または過酸化物および/またはビスマレイミドに基づく架橋系、加硫促進剤または加硫活性化剤を含む。
【0049】
これらの組成物は、また、カップリング剤に加えて、カップリング活性化剤、無機充填剤を被覆する物質またはより一般的には、ゴムマトリックス中での充填剤の分散の改善および組成物の粘度の低下によって、知られているように、生状態における組成物の加工特性を改善することができる加工助剤も含むことができ、これらの物質は、例えば、アルキルアルコキシシランのような加水分解性シラン、ポリオール、ポリエーテル、第一級、第二級または第三級アミン、またはヒドロキシル化または加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0050】
II.5-ゴム組成物の調製
本発明のゴム組成物は、適切なミキサー内で当業者に周知の2つの連続調製相を用いて製造することができる: 110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械的加工または混練する第1の相(“非生産”相)、続いて典型的には110℃よりも低い、例えば、40℃と100℃の間のより低い温度で機械的加工する第2の相(“生産”相)、仕上げ相の間に架橋系が組み入れられる。
その組成物の調製方法は、例えば、下記の段階を含む:
‐第1の段階(“非生産”段階)で補強充填剤をジエンエラストマーに組み入れる工程であって、全てを110℃と190℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する、前記工程;
‐合わせた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
‐引き続き、第2の段階(“生産”段階)で架橋系を組み入れる工程;
‐全てを110℃未満の最高温度まで混練する工程。
1と20phrの間のエポキシド樹脂と1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤が、非生産相の間または生産相の間に導入され得る。好ましくは、エポキシド樹脂が非生産相の間に、キュアリング剤が生産相の間に導入される。
【0051】
一例として、非生産相が単一の熱機械的段階において行われ、第1の工程において、すべての必要なベース成分(ジエンエラストマー、補強充填剤、および必要により1と20phrの間のエポキシド樹脂および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤)が適切なミキサー、例えば通常の内部ミキサーに導入され、続いて、第2の工程において1〜2分間混合した後、他の添加剤、選択できる追加の充填剤-被覆剤または加工助剤を、架橋系を除いて導入される。この非生産相における混合の全体の時間は、好ましくは1と15分の間である。
【0052】
このように得られた混合物を冷却した後に、架橋系が低温(例えば、40℃と100℃の間に)に維持された外部ミキサー、例えば開放形ロール機に取り入れられる。次に、合わせた混合物が数分間、例えば、2と15分の間混合される(生産相)。
【0053】
適切な架橋系は、好ましくは、イオウと一次加硫促進剤、特にスルフェンアミドタイプの促進剤に基づく。この加硫系に、既知の各種加硫活性化剤または二次促進剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)等が添加され、第1の非生産相および/または生産相中に組み入れられる。硫黄レベルは、好ましくは0.5と3.0phrの間であり、一次促進剤のレベルは、0.5と5.0phrの間である。
【0054】
イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用することができる化合物の促進剤(一次または二次)、特に、チアゾールタイプおよびその誘導体の促進剤、チウラムタイプの促進剤またはジチオカルバミン酸亜鉛を使うことができる。これらの促進剤は、より好ましくは、2-メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”と略記される)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記される)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記される)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記される)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記される)、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート(“ZBEC”と略記される)およびこれらの化合物の混合物からなる群より選ばれる。好ましくはスルフェンアミドタイプの一次促進剤が使われる。
引き続き、このようにして得られた最終組成物は、例えば、特に実験室での確認のためのシートまたはプラークの形にカレンダー加工されるか、或いは、例えば、タイヤの製造に用いられるゴム形状要素の形に押出され得る。
本発明は、生状態(即ち、キュアリング前)およびキュア状態(即ち、架橋または加硫後)双方での上記のタイヤおよびタイヤ用半仕上げ製品およびゴム製品に関する。
【0055】
II.6-本発明のタイヤ
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部分、特に、クラウン、ビード領域、サイドウォール領域に使用し得る。
本発明の好ましい実施態様によれば、上記のゴム組成物は、タイヤの少なくとも1つの部分に硬いエラストマー層としてタイヤに使用し得る。
【0056】
用語エラストマー“層”は、任意の形状と厚み、特にシート、細長片、任意の断面積、例えば、矩形または三角形の他の構成成分のゴム(または“エラストマー”、この2つは同義語と考えられている)から構成される、3次元成分を意味すると理解される。
【0057】
第一に、エラストマー層は、タイヤのクラウンに位置決めされるアンダーレイヤーとして、一方では、トレッド、すなわち、走行の間、道路と接触することを意図する部分と、もう一方では、前記クラウンを補強するベルトの間に使用し得る。このエラストマー層の厚みは、好ましくは0.5から10mmに及ぶ範囲に、特に1から5mmまでの範囲にある。
【0058】
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明のゴム組成物は、カーカスプライとビードトレッドとカーカスプライの折り返し部の間に放射状に、タイヤのビードの領域に位置決めされた、エラストマー層を形成するために使用し得る。
本発明の他の好ましい実施態様は、タイヤのサイドウォールに位置決めされるエラストマー層を形成するための本発明の組成物の使用であり得る。
【0059】
III-本発明の実施例
III.1-組成物の調製
以下の試験のための手順は、以下の通りである: ジエンエラストマー、補強充填剤、1と20phrの間のエポキシド樹脂、さらに種々の他の成分を、加硫系を除いて、出発容器温度が約60℃である内部ミキサー(最終充填度: 約70容積%)に連続して導入する。次に、熱機械的加工を一段で行い(非生産相)、165℃の最大“低下”温度に達するまで全体で約3から4分まで続ける。
【0060】
このようにして得られた混合物を回収し、冷却し、次に、硫黄、スルフェンアミドタイプの促進剤および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤を、30℃のミキサー(ホモフィニッシャ)に組み入れ、すべてが適切な時間(例えば、5と12分の間)混合される(生産相)。
このようにして得られた組成物を、引き続き、物理的性質または機械的性質の測定のために、プラーク(2〜3mmの厚さ)またはゴムの薄いシートの形でカレンダー加工するか、または形状要素の形で押出す。
【0061】
III.2-ゴム組成物についての試験
本試験は、特に、その領域が高い低歪み剛性を必要とする、アンダーレイヤーまたはタイヤの底部領域に特に使用し得るゴム組成物を例示する。これらの組成物は、キュアリングの間、ホルムアルデヒドを形成することがなく、同様のレベルのヒステリシスを保持しつつ、従来のゴム組成物より剛性が大きい(フェノール樹脂とメチレン供与体としてHMTを含む)。
【0062】
これのために、5つのゴム組成物、本発明の4つ(以下にC.2〜C.5と示される)と本発明でない1つ(対照組成物、以下にC.1と示される)を上記のように調製した。これらの配合(phrまたはエラストマーの100部当たりの質量部)とこれらの機械的性質が添付の表1および表2にまとめられている。
【0063】
本発明の組成物C.2〜C.5は、従来の対照組成物C.1に存在するフェノール/ホルムアルデヒド樹脂-HMTキュアリング剤(1つ以上)の対に対する置き換えとして、エポキシド樹脂とポリアミンキュアリング剤を含む。ポリアミンキュアリング剤は、本発明の組成物の各々について異なっている、C.2からC.5までの組成物についてそれぞれ3,3'-ジアミノベンジジン、p-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,8-ジアミノオクタン。
【0064】
フェノール/ホルムアルデヒド樹脂-HMTキュアリング剤対の本発明の組成物C.2〜C.5エポキシド樹脂とポリアミンキュアリング剤による交換は、40℃での損失係数(tan(δ)maxと示される)の増加、すなわち、特にタイヤのある領域において、特に底部領域およびアンダーレイヤーにおいて、依然として許容できるヒステリシスのわずかな増加を満足させつつ、本発明の組成物の低歪み剛性の増加を表す、対照組成物C.1よりも大きい40℃での複素動的剪断弾性率G*(10%)を得ることを可能にすることは留意すべきである。
【0065】
まとめると、これらの試験の結果は、本発明の組成物におけるエポキシド樹脂とポリアミンキュアリング剤の使用が、特にタイヤのある領域において、特に底部領域およびアンダーレイヤーにおいて許容できるヒステリシスを保持しつつ、ロード性能の改善と同じことを表す、従来の組成物(この場合には対照組成物)よりも大きな低歪み剛性を有するゴム組成物を得ることを可能にすることを示している。
【0066】
表1



(1) 天然ゴム;
(2) カーボンブラックN326(規格ASTM D-1765による名称);
(3) フェノール/ホルムアルデヒド樹脂(“Peracit 4536K”Perstorp製);
(4) エポキシド樹脂(“DEN 439”Uniqema製);
(5) 酸化亜鉛(工業グレード - Umicore);
(6) (“Pristerene 4931”Uniqema製);
(7) N-(1,3-ジメチルブチル)-N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン(Santoflex 6-PPD、Flexsys製);
(8) ヘキサメチレンテトラミン(Degussa製);
(9) 3,3'-ジアミノベンジジン(Sigma-Aldrich製);
(10) p-キシリレンジアミン(Sigma-Aldrich製);
(11) 1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(Sigma-Aldrich製);
(12) 1,8-ジアミノオクタン(Sigma-Aldrich製);
(13) N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Santocure CBS、Flexsys製)。
【0067】
表2



【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つのジエンエラストマー;
- 少なくとも1つの補強充填剤;
- 少なくとも1つの架橋系;
- 1と20phrの間のエポキシド;
- 1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤
をベースとするゴム組成物。
【請求項2】
エラスマーが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群より選ばれる、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
エポキシド樹脂のレベルが、1と15phrの間である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
アミンを含むキュアリング剤が、少なくとも2つのアミン官能基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
アミンを含むキュアリング剤が、p-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、3,3'-ジアミノベンジジンおよびこれらの化合物の混合物からなる群より選ばれる、請求項4に記載のゴム組成物。
【請求項6】
補強充填剤が、カーボンブラック、シリカまたはカーボンブラックとシリカの混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
補強充填剤の量が、20と200phrの間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物を含む、タイヤ。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物を含む仕上げゴム製品または半仕上げゴム製品。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の調製方法であって、以下の段階:
- 第1の段階(“非生産”段階)で、補強充填剤、1と20phrの間のエポキシド樹脂および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤をジエンエラストマーに組み入れる工程であって、110℃と190℃の間の最高温度に達するまですべてが熱機械的に混練される、前記工程;
- 合わせた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
- 引き続き、第2の段階(“生産”段階)で、架橋系を組み入れる工程;
- すべてを110℃未満の最高温度まで混練する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の調製方法であって、以下の段階:
- 第1の段階(“非生産”段階)で、補強充填剤をジエンエラストマーに組み入れる工程であって、110℃と190℃の間の最高温度に達するまですべてが熱機械的に混練される、前記工程;
- 合わせた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
- 引き続き、第2の段階(“生産”段階)で、架橋系、1と20phrの間のエポキシド樹脂および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤を組み入れる工程;
- すべてを110℃未満の最高温度まで混練する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の調製方法であって、以下の段階:
- 第1の段階(“非生産”段階)で、補強充填剤および1と20phrの間のエポキシド樹脂をジエンエラストマーに組み入れる工程であって、110℃と190℃の間の最高温度に達するまですべてが熱機械的に混練される、前記工程;
- 合わせた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
- 引き続き、第2の段階(“生産”段階)で、架橋系および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤を組み入れる工程;
- すべてを110℃未満の最高温度まで混練する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の調製方法であって、以下の段階:
- 第1の段階(“非生産”段階)で、補強充填剤および1と15phrの間のアミンを含むキュアリング剤をジエンエラストマーに組み入れる工程であって、110℃と190℃の間の最高温度に達するまですべてが熱機械的に混練される、前記工程;
- 合わせた混合物を100℃未満の温度に冷却する工程;
- 引き続き、第2の段階(“生産”段階)で、架橋系および1と20phrの間のエポキシド樹脂を組み入れる工程;
- すべてを110℃未満の最高温度まで混練する工程
を含むことを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2013−507507(P2013−507507A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533620(P2012−533620)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065339
【国際公開番号】WO2011/045342
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】