説明

エポキシ樹脂硬化剤の製造方法

【課題】エポキシ樹脂が有する優れた性能と高いガスバリア性能に加え、ポリエステルやアルミに対して良好な接着性を与えるエポキシ樹脂硬化剤の製造方法、該製造方法によって得られる硬化剤とエポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)、(B)及び(C)を反応させるに際し、(C)の水溶液を用いることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
(A)メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)二価以上の金属から形成される(メタ)アクリル酸金属塩

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高いガスバリア性、長いポットライフ、優れた接着性を与えるエポキシ樹脂硬化剤の製造方法、該製造方法によって得られる硬化剤とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装材料としてその強度、商品保護性、作業適性、印刷等による宣伝効果等の理由から、異種のポリマー材料を組み合わせた複合フレキシブルフィルムが主流になってきている。このような複合フィルムは一般には、商品保護の役割を有する外層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などとシーラント層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などからなり、これらの貼り合わせには、積層フィルム層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させるドライラミネート法や、必要に応じて積層フィルム層にアンカーコート剤を塗布し溶融したシーラント層となるプラスチックフィルムを圧着してフィルム状に積層させる押出しラミネート法が行なわれている。また、これらの方法で使用する接着剤は、接着性能が高い点から、一般には水酸基等の活性水素基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型ポリウレタン系接着剤が主流となっている(例えば特許文献1及び特許文献2等参照)。
【0003】
しかしながらこれらの2液型ポリウレタン系接着剤は、一般にその硬化反応がそれほど速いものではないことから、十分な接着性を確保するために張り合わせ後に1日〜5日間の長時間におよぶエージングによる硬化促進を行う必要があった。また、イソシアネート基を有する硬化剤を使用することから、硬化後に未反応のイソシアネート基が残存した場合、この残存イソシアネート基は大気中の水分と反応して二酸化炭素を発生することから積層フィルム内に気泡が発生する等の問題があった。
一方、これらの問題を解決する方法として、特許文献3にはポリウレタン系接着剤が、また、特許文献4ではエポキシ系ラミネート用接着剤が提案されている。
【0004】
しかし、上述の各ポリウレタン系接着剤や特許文献4で提案されたエポキシ系接着剤のガスバリア性は高いものではないことから、包装材料にガスバリア性が要求される場合にはPVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの各種ガスバリア層を別途積層させる必要があり、積層フィルムの製造コストやラミネートにおける作業工程で不利を被るものであった。
【0005】
一方、エポキシ樹脂は各種基材に対する接着性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性など、他の樹脂に比較して多くの優れた特性を有するため、土木、建築用接着剤など広い産業分野で利用されている。一般に接着剤分野で使用されるエポキシ樹脂組成物のガスバリア性は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などと比較すれば良好であるが、ガスバリア材料に分類されるポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどには及ばない。従って、エポキシ樹脂を利用する場合には、ガスバリア性能向上のために、塗膜の厚みを大きくする、他材料を重ねて被覆する、フィラーを併用するなど様々な工夫がなされている。
【0006】
ガスバリア性を有するエポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物が特許文献5で提案されている。しかし、上述のエポキシ樹脂組成物は、ガスバリア性は良好な性能を発現してはいるものの、さらなる向上が求められているばかりでなく、ポリエステルやアルミに対しての接着性が不十分であり、改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−51574号公報
【特許文献2】特開平9−316422号公報
【特許文献3】特開2000−154365号公報
【特許文献4】WO99/60068号
【特許文献5】特開2002−256208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、エポキシ樹脂が有する優れた性能と高いガスバリア性能に加え、ポリエステルやアルミに対して良好な接着性を与えるエポキシ樹脂硬化剤の製造方法、該製造方法によって得られる硬化剤とエポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と特定の方法で製造したエポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を主成分とする接着剤が、エポキシ樹脂の優れた性能、高いガスバリア性、ポリエステルに対する高い接着性を有することを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、つぎのとおりである。
1. 下記の (A)、(B)及び(C)を反応させるに際し、(C)の水溶液を用いることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
(A)メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)二価以上の金属から形成される(メタ)アクリル酸金属塩
2. 前記(A)が、メタキシリレンジアミンである第1項記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
3. 前記(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのエステル、アミド、酸無水物若しくは酸塩化物である第1項記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
4. 前記(C)が、二価の金属から形成されるアクリル酸金属塩水溶液である第1項記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
5. 前記(A)と前記(C)との反応モル比((C)/(A))が、0.05〜0.35である第1項記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
6. エポキシ樹脂と第1項〜第5項のいずれかに記載の方法により得られたエポキシ樹脂硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
7. 前記エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対する前記硬化剤中の活性アミン水素数の比が1.0〜1000の範囲である第6項記載のエポキシ樹脂組成物。
8. 硬化させて得られる硬化物の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m・day・MPa(23℃60%RH)以下である第6項又は第7項記載のエポキシ樹脂組成物。
9. 第6項〜第8項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を主成分とするラミネート用接着剤。
10. 第9項記載のラミネート用接着剤を用いて作製したラミネートフィルム。
11. 第10項記載のラミネートフィルムを少なくとも1単位含む多層包装材料。
12. 第11項記載の多層包装材料のヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ更に、その外周周辺の端部をヒートシールしてシール部を形成して製袋することによって得られる包装用袋。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高ガスバリア性、長いポットライフ及び各種ポリマー、紙、金属などに対する優れた接着性を与えるエポキシ樹脂硬化剤、これを含有するエポキシ樹脂組成物、該組成物を主成分とするラミネート用接着剤、該接着剤を使用したラミネートフィルム、多層包装材料及び包装用袋を提供することが出来る。特に、本発明により得られるラミネート用接着剤はポリエステルやアルミに対する高い接着性を有する。
【0011】
本発明により得られるエポキシ樹脂組成物を主成分とする接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、ガスバリア性能と接着性能を1つの層に兼備させることが可能になる。その結果、従来の包装材料用ラミネートフィルムの場合、ガスバリア機能を有する層と、該層とシーラント層との接着のために塗工される接着層を別途使用する必要があったが、本発明によるラミネート用接着剤を使用することにより、ガスバリア層を別途設けることなく高いガスバリア性を有する包装材料用ラミネートフィルムを作製する事が可能となる。また、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの従来のガスバリア性フィルムとシーラント層との接着のための接着層として使用することも可能であり、その場合にはフィルムのガスバリア性を著しく向上させることができる。
【0012】
また、本発明により得られるラミネート用接着剤を使用して作製されるラミネートフィルム、及び該ラミネートフィルムを使用し、これを製袋して得られる包装用袋は酸素や水蒸気などのガスバリア性及びそのラミネート強度、ヒートシール強度等に優れ、機械的、化学的、あるいは、物理的強度において所定の強度等を有し、例えば、耐熱性、耐水性、保香性、耐光性、耐薬品性、耐突き刺し性、その他等の諸堅牢性に優れることから、菓子類、ステープル類、農産加工品、畜産加工品、水産加工品、果肉類、野菜類、冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、乳製品、液体調味料などの食品類や化粧品類、医薬品類などの充填包装される内容物等を充分に保護し、その貯蔵・保存安定性、充填包装適性等に優れた包装体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明により得られるエポキシ樹脂組成物は、各種ガス透過性基材、例えば食品や医薬品などの包装材料用途に使用されているポリオレフィンやポリエステル、ポリアミドなどのプラスチックフィルムの接着剤、プラスチック容器などへの塗布、金属やコンクリートなど従来のエポキシ樹脂組成物が使用されている被塗材料に同様に塗布され得る。さらに接着層を形成するエポキシ樹脂硬化物中に高い凝集力を有するアミド基が含有されることにより、より高いガスバリア性及び金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
【0014】
以下に、エポキシ樹脂硬化剤(以下、「アミン系硬化剤」ということがある)及びエポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。
アミン系硬化剤の製造方法は、下記の (A)、(B)及び(C)を反応させるに際し、(C)の水溶液を用いることを特徴とする。
(A)メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)二価以上の金属から形成される(メタ)アクリル酸金属塩
【0015】
前記(A)としては、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンが用いられる。該化合物は単独で用いても混合して用いてもよい。
【0016】
前記(B)多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、クロトン酸などのカルボン酸及びその誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸及びそれらの誘導体のように、アシル基と共役系にある炭素−炭素二重結合を有し、β位に置換基を有さないものが好ましい。
前記(B)多官能性化合物は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
二価以上の金属から形成される(メタ)アクリル酸金属塩(前記(C))に使用される金属としては、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銅、ニッケル、パラジウム、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ルビジウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ハフニウム、マンガン、などの二価以上の金属が挙げられる。特に亜鉛、マグネシウム、カルシウムが好ましい。前記(C)は、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。(メタ)アクリル酸金属塩の水溶液を用いることで、粉体の(メタ)アクリル酸金属塩を用いた場合よりもヘイズの小さいラミネートフィルムを与えるエポキシ樹脂硬化剤が得られる。
なお、本明細書においては、「アクリル酸」と「メタクリル酸」を総称して(メタ)アクリル酸ということがある。
【0018】
前記(A)、(B)及び(C)の反応は、まず0〜100℃の条件下で(A)、(B)及び(C)を混合し、次いで100〜300℃、好ましくは120〜250℃の条件下で脱水、脱アルコール、脱アミンによるアミド基形成反応を行うことにより実施される。
また、混合の順番については任意でよいが、まず(A)と(B)を仕込み、次いで(C)の付加反応を行うことが好ましい。
【0019】
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更に脱水剤、脱アルコール剤として、亜リン酸エステル類などの触媒を添加することもできる。
【0020】
一方、(B)として酸無水物、酸塩化物を使用する場合には0〜150℃、好ましくは0〜100℃の条件下で混合後、アミド基形成反応を行うことにより実施される。
【0021】
アミド基形成反応の際には反応を完結させるために必要に応じて反応の最終段階において反応装置内を減圧処理することもできる。また、必要に応じて非反応性の溶剤を使用して希釈することもできる。更にピリジン、ピコリン、ルチジン、トリアルキルアミンなどの3級アミンを添加することもできる。
【0022】
上記反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、アミン系硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性及び金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
【0023】
また、(A)と(B)の反応比は、モル比((B)/(A))が0.3〜0.95の範囲、好ましくは0.5〜0.9の範囲、特に好ましくは0.6〜0.8の範囲である。上記範囲とすることにより、アミン系硬化剤中に十分な量のアミド基が生成するとともに、エポキシ樹脂との反応に必要なアミノ基の量が確保されるので、高いガスバリア性と優れた塗膜性能を発現し、作業性も良好なアミン系硬化剤を得ることができる。
【0024】
(A)と(C)との反応比は、モル比((C)/(A))が0.05〜0.35の範囲、好ましくは0.15〜0.30の範囲、特に好ましくは0.15〜0.25の範囲である。モル比が0.10よりも少ないと、良好な接着性は発現しない。また、モル比が0.35よりも多いと作業性が悪化する。さらに、(A)に対する(B)と(C)との反応比は、モル比(((B)+(C))/(A))が0.4〜0.97の範囲が好ましい。0.4より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性及び接着性が発現しない。また、エポキシ樹脂硬化剤中に残存する揮発性分子の割合が高くなり、得られる硬化物からの臭気発生の原因となる。また、エポキシ基とアミノ基の反応により生成する水酸基の硬化反応物中における割合が高くなるため、高湿度環境下での酸素バリア性が著しく低下する要因となる。一方、0.97より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり優れた耐衝撃性や耐熱性などが発現せず、また各種有機溶剤あるいは水に対する溶解性も低下する。得られる硬化物の高いガスバリア性、高い接着性、臭気発生の抑制及び高湿度環境下での高い酸素バリア性を特に考慮する場合には、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比(((B)+(C))/(A))が0.6〜0.97の範囲がより好ましい。
【0025】
本発明により得られるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と前記方法で得られるアミン系硬化剤を含むものである。該組成物は、該組成物を硬化させて得られる硬化物の酸素透過係数が2.0ml・mm/m・day・MPa(23℃60%RH)以下の酸素バリア性を有することが好ましい。
【0026】
本発明に用いるエポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましい。
【0027】
具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基及び/又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂が挙げられる。この中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0028】
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0029】
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類及びアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。メタキシリレンジアミンは4つのアミノ水素を有するので、モノ−、ジ−、トリ−及びテトラグリシジル化合物が生成する。グリシジル基の数はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主として4つのグリシジル基を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0030】
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類及びアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は、50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
【0031】
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類及びアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましい。
【0032】
本発明により得られるエポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、又は複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物、又はカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、ラミネートフィルムの使用用途及びその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
【0033】
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン;メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環式アミン;ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。また、これらを原料とするエポキシ樹脂、ポリアミン類とモノグリシジル化合物との変性反応物、ポリアミン類とエピクロルヒドリンとの変性反応物、ポリアミン類と炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの変性反応物、ポリアミン類と少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応により得られたアミドオリゴマー、ポリアミン類、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物、及び一価のカルボン酸及び/又はその誘導体との反応により得られたアミドオリゴマーもエポキシ樹脂硬化剤として使用できる。
【0034】
高いバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましい。
【0035】
具体的にはメタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン、及びこれらを原料とするエポキシ樹脂又はモノグリシジル化合物との反応生成物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの反応生成物、エピクロロヒドリンとの反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物などを使用することがより好ましい。
【0036】
エポキシ樹脂組成物の硬化反応は、その硬化反応物を得るのに十分な組成物の濃度及び温度で実施されるが、これは開始材料の選択により変化し得る。すなわち、組成物の濃度は選択した材料の種類及びモル比などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤及び/又は水を用いて約5重量%程度の組成物濃度にする場合までの様々な状態をとり得る。同様に、硬化反応温度は室温から約140℃までの範囲で選択できる。
【0037】
適切な有機溶剤としては、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの非水溶性系溶剤などが挙げられるが、グリコールエーテル類、アルコール類などの水溶性系溶剤がより好ましい。
【0038】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂とアミン系硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とアミン系硬化剤との反応によりエポキシ樹脂反応物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するアミン系硬化剤中の活性アミン水素数の比が1.0〜1000、好ましくは2.0〜20.0の範囲である。
【0039】
また、本発明において前記エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
【0040】
エポキシ樹脂組成物を金属やコンクリート、プラスチックなど一般的な基材に塗布する場合においては、撹拌混合や塗布時に発生する泡の消失を助けるため、あるいは各種基材の表面の湿潤を助けるために、本発明によるガスバリア性エポキシ樹脂組成物の中に、シリコン系あるいはアクリル系化合物からなる消泡剤や湿潤剤を添加しても良い。
【0041】
適切な消泡剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK019、BYK052、BYK065、BYK066N、BYK067N、BYK070、BYK080、などがあげられるが、特にBYK065が好ましい。
【0042】
適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK340、BYK344、BYK347、BYK348、BYK378、BYK381などがある。これらを添加する場合には、硬化反応物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0043】
また、エポキシ樹脂組成物を主成分とするラミネート用接着剤には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0044】
また、ラミネート用接着剤には必要に応じ、低温硬化性を増大させるための例えば三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体などの三フッ化ホウ素のアミン錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテル錯体などの三フッ化ホウ素のエーテル錯体、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、安息香酸、サリチル酸、N-エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫などの硬化促進触媒、ベンジルアルコールなどの有機溶剤、リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料等の各成分を必要割合量添加しても良い。
【0045】
また、ラミネート用接着剤には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0046】
ラミネート用接着剤によりラミネートされ得るフィルム材料としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミド(N−MXD6)などのポリアミド系フィルム、ポリ乳酸などの生分解性フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、及びこれらの材料にポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂やポリビニルアルコール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物系樹脂、アクリル系樹脂などの各種ポリマーによるコーティングを施したフィルム、シリカ、アルミナ、アルミなどの各種無機化合物あるいは金属を蒸着させたフィルム、無機フィラーなどを分散させたフィルム、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。また、コーティングする各種ポリマーについても無機フィラーを分散させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどが挙げられるが、モンモリロナイトなどの層状珪酸塩が好ましく、またその分散方法としては例えば押出混錬法や樹脂溶液への混合分散法など従来公知の方法が使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
【0047】
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0048】
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。
【0049】
また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0050】
これらのフィルム材料の中で、シーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層については、良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
【0051】
接着剤塗布面はプライマー(メジウム)層を形成していてもよい。その場合、基材との密着性を有している限り1液系、2液系とも様々な化学構造のプライマーが使用可能であり、好ましくは接着剤の主溶剤として好適に用いられるメタノールなどのアルコールの浸透性が低いポリエステル系プライマーが実用的である。またプライマー層の厚さは0.01〜20μm、好ましくは0.1〜5μmが実用的である。0.01μm未満では十分な密着性が発揮し難く、一方、20μmを超えると均一な厚みのプライマー層を形成することが困難になる。
【0052】
ラミネートフィルムは、熱可塑性樹脂からなる外層やヒートシール性を有する熱可塑性樹脂層などを積層したものであり、積層フィルムを構成する各層を積層するに際し、少なくとも1層の接着層が、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を主成分とする接着剤で接着される。該接着剤を使用する接着層以外の接着層については、ポリウレタン系接着剤等、他の接着剤を使用してもよいし、樹脂同士を溶着させてもよい。
【0053】
前記ラミネートフィルムは、前記硬化物からなるバリア層を少なくとも1層含むものであればよく、他の層は前記基材として使用される各種材料から選択することができる。例えば、エポキシ樹脂硬化物を接着剤層としたポリオレフィン/エポキシ樹脂硬化物/ポリオレフィンからなる3層構成などが挙げられるが、これに限定はされない。
【0054】
エポキシ樹脂組成物を主成分とする接着剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能であるが、本発明においては、ドライラミネートが好ましい。
【0055】
前記接着剤を各種材料に塗布し、ラミネートする場合には、接着剤層となるエポキシ樹脂硬化物を得るのに十分なエポキシ樹脂組成物の濃度及び温度で実施されるが、これは開始材料及びラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、エポキシ樹脂組成物の濃度は選択した材料の種類及びモル比、ラミネート方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶剤及び/又は水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈して塗布液を調製する場合までの様々な状態をとり得る。
【0056】
使用される有機溶剤としては、接着剤との溶解性を有するあらゆる溶剤が使用し得る。例えばトルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの非水溶性系溶剤、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。
【0057】
溶剤で希釈した接着剤(塗布液)は、そのザーンカップ(No.3)粘度が5〜30秒(25℃)の範囲となるような濃度で希釈され得る。ザーンカップ(No.3)粘度が5秒未満では接着剤が被塗物に十分塗布されず、ロールの汚染などの原因となる。またザーンカップ(No.3)粘度が30秒を超えると、接着剤がロールに十分移行せず、均一な接着剤層を形成するのは困難となる。たとえばドライラミネートではザーンカップ(No.3)粘度はその使用中に10〜20秒(25℃)であることが好ましい。
【0058】
また、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂組成物にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0059】
さらに、エポキシ樹脂硬化物層の各種材料に対する接着性を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。
【0060】
カップリング剤としては、一般に市販されているものが使用できるが、中でもチッソ(株)、東レ・ダウコーニング(株)、信越化学工業(株)等から入手しうるN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N、N‘−ビス[3−トリメトキシシリル]プロピル]エチレンジアミン等のアミノ系シランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリロキシ系シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤、東レ・ダウコーニング(株)製のSH−6026、Z−6050などのアミノシラン系カップリング剤、信越化学工業(株)製のKP−390、KC−223、などのアミノ基含有アルコキシシラン等の本発明によるガスバリア性樹脂組成物と反応しうる有機官能基を有するものが望ましい。
【0061】
これらを添加する場合には、エポキシ樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。なお、基材がシリカ、アルミナなどの各種無機化合物を蒸着させたフィルムの場合は、シランカップリング剤がより好ましい。
【0062】
また、溶剤を使用した場合には、接着剤を塗布後の溶剤乾燥温度は20℃から140℃までの様々なものであってよいが、溶剤の沸点に近く、被塗物への影響が及ばない温度が望ましい。乾燥温度が20℃未満ではラミネートフィルム中に溶剤が残存し、接着不良や臭気の原因となる。また乾燥温度が140℃を超えると、ポリマーフィルムの軟化などにより、良好な外観のラミネートフィルムを得るのが困難となる。例えば接着剤を延伸ポリプロピレンフィルムに塗布する際は、40℃〜120℃が望ましい。
【0063】
接着剤を塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布又はスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術及び設備が適用され得る。
【0064】
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。ドライラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に前記塗布液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料をニップロールにより貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。
【0065】
接着剤を調製する際の溶剤としては、溶解性が良く、比較的沸点が低い、炭素数3以下のアルコールを含む溶剤であることが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn−プロパノールからなる群から選ばれる1種以上を主成分とする溶剤が例示される。さらに、エポキシ樹脂とポリアミンとの反応を遅延し接着剤の増粘を抑え作業時間を長くする効果があるエステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液であることが好ましい。エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤を混合した混合液としては、比較的沸点が低い、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上を混合した混合液が例示される。
【0066】
得られるラミネートフィルムに残留する溶剤量が少ないフィルムを得るために、エステル基、ケトン基、アルデヒド基のいずれかの官能基を有する溶剤の含有量は、全溶剤中の20重量%以下が好ましい。ここで、ラミネートフィルムに残留する溶剤が多い場合、悪臭の原因となるため、残留する溶剤量は7mg/m以下が実用的であり、7mg/mより多い場合は、フィルムから異臭が感じられる原因となる。フィルムの臭気を厳密に管理する場合には5mg/m以下が好ましく、3mg/m以下が特に好ましい。
【0067】
ドライラミネート法において、接着剤は、シーラント層に塗布することも可能であり、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムに塗布、乾燥後、延伸ポリプロピレン、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材を貼りあわせる事により、ラミネートフィルムを製造することができる。
【0068】
ニップロールにより貼り合せる場合、ニップロールは20℃〜120℃に加熱して貼り合せることができるが、40〜100℃が望ましい。
【0069】
この場合、ラミネート後に必要に応じて20℃〜60℃で一定時間のエージングを行ない、硬化反応を完了することが望ましい。一定時間のエージングを行なうことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化物が形成され、高いガスバリア性が発現する。エージングが20℃以下もしくはエージングなしでは、エポキシ樹脂組成物の反応率が低く、十分なガスバリア性及び接着力が得られない。また60℃以上のエージングはポリマーフィルムのブロッキングや添加剤の溶出などの問題が起こり得る。
【0070】
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた前記接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行うことが望ましい。
【0071】
押出しラミネート法の場合には、基材を含むフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として前記接着剤の主成分であるエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の有機溶剤及び/又は水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、20℃〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0072】
これらのラミネート法及びその他の一般的に使用されうるラミネート法は必要に応じて組み合わせることも可能であり、用途や形態に応じてラミネートフィルムの層構成は変化し得る。
【0073】
前記接着剤を各種材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着剤層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性及び接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着剤層を形成することが困難になる。
【0074】
本発明によるラミネートフィルムは優れたラミネート強度を有する。熱処理後の300mm/minの剥離速度でのラミネート強度は、基材やシーラント層の材質により異なるが、例えば、基材が延伸ポリプロピレンの場合は、80g/15mm以上が好ましく、100g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは120g/15mm以上である。一方、基材が延伸ナイロンやポリエチレンテレフタレートの場合は、シーラント層が低密度ポリエチレンや無延伸ポリプロピレンであれば150g/15mm以上が好ましく、200g/15mm以上がより好ましく、特に好ましくは300g/15mm以上である。
【0075】
本発明によるラミネート用接着剤を使用して製造したラミネートフィルムは食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。すなわち、本発明によるラミネートフィルムをそのまま多層包装材料として使用することもできるし、必要に応じて酸素吸収層や熱可塑性樹脂フィルム層、紙層、金属箔層などを本発明によるラミネートフィルムにさらに積層させることもできる。この際、本発明によるラミネート用接着剤を用いて積層させても良いし、他の接着剤やアンカーコート剤を用いて積層させても良い。
【0076】
前記多層包装材料を使用して製造する軟包装用袋等からなる包装用袋について説明する。かかる軟包装用袋等からなる包装用袋は、前記多層包装材料を使用し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒートシールしてシール部を形成して製造することができる。その製袋方法としては、例えば、前記多層包装材料を折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他等のヒートシール形態によりヒートシールする方法が挙げられる。包装用袋は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0077】
前記包装用袋にその開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒートシールすることで、本発明による包装用袋を使用した包装製品を製造することができる。充填できる内容物としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。また、タバコ、使い捨てカイロ、医薬品、化粧品などの包装材料としても使用され得る。
【実施例】
【0078】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
アミン系硬化剤A〜C、塗料溶液A〜Eは以下の方法で製造した。
【0079】
アミン系硬化剤Aの製造方法
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下0.70molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。次いで、0.20molのアクリル酸亜鉛を含むアクリル酸亜鉛水溶液(濃度:29%)143gを1時間かけて滴下した。
水および生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、1.0時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、アミン系硬化剤Aを得た。
【0080】
アミン系硬化剤Bの製造方法
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下0.70molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。次いで、0.20molのアクリル酸マグネシウムを含むアクリル酸マグネシウム水溶液(濃度:31%)107gを1時間かけて滴下した。水および生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、1.0時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、アミン系硬化剤Bを得た。
【0081】
アミン系硬化剤Cの製造方法
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。生成するメタノールを留去しながら165℃に昇温し、2.5時間165℃を保持した。固形分濃度65%相当のメタノールを1.5時間かけて滴下し、アミン系硬化剤Cを得た。
【0082】
塗料溶液A
アミン系硬化剤Aを773重量部及びメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を105重量部、メタノール622重量部を含む溶液を調製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液Aを得た。
【0083】
塗料溶液B
アミン系硬化剤Aを831重量部及びメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を68重量部、メタノール601重量部を含む溶液を調製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液Bを得た。
【0084】
塗料溶液C
アミン系硬化剤Bを780重量部及びメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を124重量部、メタノール597重量部を含む溶液を調製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液Cを得た。
【0085】
塗料溶液D
アミン系硬化剤Bを595重量部及びメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を236重量部、メタノール668重量部を含む溶液を調製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液Dを得た。
【0086】
塗料溶液E
アミン系硬化剤Cを160重量部及びメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製;TETRAD−X)を50重量部、メタノール201重量部、酢酸エチルを29重量部を含む溶液を調製し、そこにシリコン系消泡剤(ビック・ケミー社製;BYK065)を0.1重量部加え、よく攪拌することにより、塗料溶液Eを得た。
【0087】
また、ガスバリア性、ラミネート強度の評価方法は以下の通りである。
<酸素透過係数 (ml・mm/m・day・MPa)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX-TRAN2/21)を使用して、塗料溶液(エポキシ樹脂組成物)を基材に塗布し、シーラントフィルムを貼り合わせて得たラミネートフィルム、及び基材、シーラントフィルムそのものの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定し、塗膜の酸素透過係数を以下の式を用いて計算した:
1/R1 = 1/R2 + DFT/P + 1/R3
ここで、
R1 = ラミネートフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
R2 = 基材の酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
R3 = シーラントフィルムの酸素透過率(ml/m2・day・MPa)
DFT = 塗膜の厚み(mm)
P = 塗膜の酸素透過係数
<ラミネート強度(g/15mm)>
JISK-6854に指定されている方法を用い、ラミネートフィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
【0088】
実施例1
<ラミネート強度>
厚み15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡(株)製;N1102)にポリウレタン系接着剤として、ポリエーテル成分(東洋モートン(株)製;TM−319)を50重量部、ポリイソシアネート成分(東洋モートン(株)製;CAT−19B)を50重量部含む酢酸エチル溶液(固形分濃度;30重量%)を塗布し、85℃で10秒乾燥させた後、厚み12μmの延伸エステルフィルム(東洋紡(株)製;E5200)をニップロールにより貼り合わせ、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムのエステルフィルム上に、塗料溶液AをバーコーターNo.4を使用して塗布し(塗布量:10 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製;TUX-MCS)をニップロールにより貼り合わせ、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルムを得、ラミネート強度を測定した。評価結果を表1に示す。
<酸素透過係数>
厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製;P2161)に塗料溶液AをバーコーターNo.4を使用して塗布し(塗布量:10 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製;TUX-MCS)をニップロールにより貼り合わせ、40℃で2日間エージングすることによりラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
【0089】
実施例2
塗料溶液Aの代わりに塗料溶液Bとした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
【0090】
実施例3
塗料溶液Aの代わりに塗料溶液Cとした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
【0091】
実施例4
塗料溶液Aの代わりに塗料溶液Dとし、基材にエステルフィルムの代わりに厚み8μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株);アルミニウム箔1N30)を用いた以外は実施例2と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
【0092】
比較例1
塗料溶液Aの代わりに塗料溶液Eとした以外は実施例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
【0093】
比較例2
基材にエステルフィルムの代わりに厚み8μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム(株);アルミニウム箔1N30)を用いた以外は比較例1と同様の方法で作製した。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の (A)、(B)及び(C)を反応させるに際し、(C)の水溶液を用いることを特徴とするエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
(A)メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成し、且つオリゴマーを形成し得る、1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)二価以上の金属から形成される(メタ)アクリル酸金属塩
【請求項2】
前記(A)が、メタキシリレンジアミンである請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
【請求項3】
前記(B)が、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのエステル、アミド、酸無水物若しくは酸塩化物である請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
【請求項4】
前記(C)が、二価の金属から形成されるアクリル酸金属塩である請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
【請求項5】
前記(A)と前記(C)との反応モル比((C)/(A))が、0.05〜0.35である請求項1記載のエポキシ樹脂硬化剤の製造方法。
【請求項6】
エポキシ樹脂と請求項1〜5のいずれかに記載の方法により得られたエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対する前記硬化剤中の活性アミン水素数の比が1.0〜1000の範囲である請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
硬化させて得られる硬化物の酸素透過係数が、2.0ml・mm/m・day・MPa(23℃60%RH)以下である請求項6又は7記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を主成分とするラミネート用接着剤。
【請求項10】
請求項9記載のラミネート用接着剤を用いて作製したラミネートフィルム。
【請求項11】
請求項10記載のラミネートフィルムを少なくとも1単位含む多層包装材料。
【請求項12】
請求項11記載の多層包装材料のヒートシール性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ更に、その外周周辺の端部をヒートシールしてシール部を形成して製袋することによって得られる包装用袋。




























【公開番号】特開2012−153857(P2012−153857A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16556(P2011−16556)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】