説明

エラーメッセージ出力方法

【課題】動作中にエラーを生じたとき、エラーメッセージの内容として出力される項目の数が上限値を超える場合でも、エラーメッセージを出力する。
【解決手段】エラーが生じると、エラーメッセージ登録処理部40がエラー情報をエラー情報保持テーブル10に登録する。エラーメッセージ対象取得処理部70が、エラー情報生成パラメタテーブル30から、該当するエラーメッセージ出力対象情報を取得する。エラーメッセージ生成処理部80が、エラーメッセージの生成を行ない一時記憶領域(メモリ)に記憶する。エラーメッセージ上限判定処理部110が、出力するエラーメッセージ数がエラーメッセージ上限数と一致するかを判定し、一致した場合、一時記憶領域に格納していたエラーメッセージを出力する。エラーメッセージ対象取得処理部70にて該当するエラーメッセージ出力対象情報が取得されなくなるまで、繰り返しを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置でプログラムを動作させエラーが発生したときに出力するエラーメッセージの出力方法に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置によって予め作成されているソフトウェア処理系において、動作中にエラーを生じたとき、外部表示装置へエラーメッセージを出力する。これに関係する技術として、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、エラー情報生成パラメタテーブルを具備し、予め利用者固有カスタマイズを定義しておくことにより、エラー情報生成パラメタテーブルより抽出した規定に従ったエラーメッセージを出力する方法が開示されている。エラー情報生成パラメタテーブルには、ソフトウェアが検出するエラー状態を利用者に通知するかしないかの判断およびエラー状態を通知する際のエラーメッセージ本文の形式について、利用者固有のカスタマイズが定義される。これにより、ソフトウェアの利用者のレベルに合わせた適切なエラーメッセージを出力する利用者対応のカスタマイズ処理を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-100911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、一度に出力可能なエラーメッセージ出力数の上限については、考慮がされていない。そのため、エラーメッセージ出力数が上限値を超えるようなエラー情報テーブルについては対応出来ない。
【0005】
ここで、エラーメッセージ出力数とは、エラーメッセージの内容として出力される項目の数を指す。
【0006】
また、エラー発生元の処理で使用しているファイルレイアウトと、エラーメッセージ用にファイルレイアウトを別で管理しているため、保守の際に双方のメンテナンスが必要となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、エラーメッセージ出力の上限数をエラーメッセージ上限テーブルに定義しておきエラーが発生した場合、この上限値を超える場合には上限数分のエラーメッセージ出力を実施した後、残りのエラーメッセージ出力を実施するよう制御を行なう。
【0008】
また、出力手段識別テーブルに利用者毎、かつエラーメッセージ毎の出力手段を定義する。
【0009】
また、ファイルレイアウトの管理を統一するためのテーブル内容と、参照方法を定義する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、エラーメッセージ数が上限を超える場合であっても、エラーメッセージを出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態におけるハードウエア構成図。
【図2】本発明の一実施形態におけるフローチャート。
【図3】本発明の一実施形態で用いられるエラー情報保持テーブルのデータ構成図。
【図4】本発明の一実施形態で用いられるエラーメッセージ上限テーブルのデータ構成図。
【図5】本発明の一実施形態で用いられるエラーメッセージ生成パラメタテーブルのデータ構成図。
【図6】本発明の一実施形態で用いられるエラー情報出力先プリンタ定義テーブルのデータ構成図。
【図7】。エラーメッセージ例(その1)
【図8】エラーメッセージ例(その2)。
【図9】エラーメッセージ生成パラメタテーブルのデータ構成図。
【図10】エラーメッセージ上限テーブルのデータ構成図。
【図11】エラーメッセージ例(その3)。
【図12】エラーメッセージ例(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明に関する実施の形態を説明する。
情報処理装置によって予め作成されているソフトウェア処理系において、動作中にエラーを生じたとき、外部表示装置へエラーメッセージを出力する。エラーメッセージ出力数が上限を超える場合であっても、エラー情報テーブルの定義のみで、出力されるエラーメッセージ数を制御する実施例を示す。
【0013】
ここで、エラーメッセージ出力数とは、エラーメッセージとして出力される項目の数を指す。
【0014】
図1に本実施の形態を構成するハードウエア構成図を示す。
図1は、端末1-1、ウェブウェブアプリケーションサーバ1-2、DBサーバ1-3、バッチサーバ1-4、およびプリンタ1-5、1-6を備える。
【0015】
本実施の形態では、オペレータが端末1-1を操作し、端末1-1により図9に示すエラー情報生成パラメタテーブルの定義及び図10に示すエラーメッセージ上限テーブルの定義のための入力を行なう。オペレータが操作する端末はすべてウェブアプリケーションサーバ1-2に接続されており、端末1-1により入力された情報はウェブアプリケーションサーバ1-2を経由してDBサーバ1-3の各テーブルへ登録される。ここで、DBサーバは、エラーメッセージを格納するエラー情報保持テーブル10と、エラーメッセージの上限値を保持するエラーメッセージ上限テーブル20と、エラーメッセージの作成に供する情報を格納するエラーメッセージ生成パラメタテーブル30と、エラー内容毎の出力先プリンタ情報を保持する出力プリンタ定義テーブル40を備える。
【0016】
DBサーバ1-3の各テーブルへ登録された情報は、バッチサーバ1-4により参照され、バッチサーバ1-4はDBサーバ1-3へ登録された情報に基づいてエラーメッセージを生成し、プリンタ1-5(又は1-6)により生成したエラーメッセージを出力する。
【0017】
次に、図2から図7を用いて、エラーメッセージの出力方法について具体的に説明する。処理の流れは、図2に示すフローチャートに示す。以下、これに従って説明する
まず、エラーメッセージ登録処理部40が、バッチサーバ1-4において異常を引き起こしたプログラムが入力情報として取り込んだ、ソフトウエア処理系の中間情報として作成された情報(入力情報)をプログラムID、エラーコードとともにエラー情報保持テーブル10に登録する(S100)。
【0018】
次に、エラーメッセージ上限数取得処理部60が、システムコードをキーに、一度に出力可能なエラーメッセージの上限数をエラーメッセージ上限テーブル20より取得する(S110)。ここで、システムコードとはシステムにおける共通コードを指す。
、また、エラーメッセージ対象取得処理部70が、エラー情報生成パラメタテーブル30から、エラーが発生したプログラムIDとエラーコードをキーに、該当するエラーメッセージ出力対象情報(項目名称、コピー句、レイアウトパターン)を取得する(S120)。このとき、該当するエラーメッセージ出力対象情報が複数存在する場合は、シーケンス番号の若い順に取得する。なお、この順序は逆であってもよい。さらに他の規則に従った順序であることを妨げない。
【0019】
エラーメッセージ取得判定処理部100が、エラーメッセージ出力対象情報の取得の有無を判定し(S130)、取得ができた場合は、エラーメッセージ対象コピー句取得処理部(S200)が、エラーメッセージの生成に必要な項目情報を、各種コピー句ファイル150より取得し、エラーメッセージ生成処理部80が、エラーメッセージ対象取得処理(S120)において取得したエラーメッセージ出力対象情報をもとに、エラーメッセージの生成を行なう(S140)。生成したエラーメッセージは一時記憶領域(メモリ)に記憶する。
【0020】
出力するエラーメッセージが複数存在する場合は、エラーメッセージ対象取得(S120)から出力(S160)までを繰り返し行なう。
【0021】
繰り返しの途中で、エラーメッセージ上限判定処理部110が、出力するエラーメッセージ数がエラーメッセージ上限数取得処理(S110)において取得したエラーメッセージ上限数と一致するかを判定する(S150)。この判定が一致した場合、一時記憶領域に格納していたエラーメッセージを出力する(S160)。
その後、エラーメッセージ対象取得処理(S120)にて該当するエラーメッセージ出力対象情報が取得されなくなるまで、繰り返しを実行する。
【0022】
エラーメッセージ対象取得(S120)にて該当するエラーメッセージ出力対象情報が取得されなくなった場合、出力対象の有無を確認し(S170)、出力対象が有る場合はエラーメッセージのファイル出力を行なう。
【0023】
出力対象のエラーメッセージ分のファイル出力が済んだ後、出力先プリンタ情報取得処理部120が、出力先プリンタ定義テーブル40から、エラーが発生したプログラムIDとエラーコードをキーに、該当するエラーメッセージ出力先情報(出力先プリンタアドレス)を取得する(S180)
出力先プリンタ判定処理部130が、出力先プリンタ情報の取得の有無を判定し(S190)取得ができた場合は、出力先プリンタ情報取得処理(S180)において取得したエラーメッセージ出力先情報をもとに、該当するプリンタへの出力を行ない、処理を終了する。このとき、出力されたエラーメッセージは図7のようになる。
【0024】
次に、利用者毎かつエラーメッセージ毎に異なる出力手段でエラーメッセージ出力を制御する実施例を示す。例えば、エラーメッセージから読み取りたい情報は、運用担当者と保守担当者等、立場によって異なるため、出力先コードおよびエラーコードにより、出力手段を制御する。
【0025】
まず、本実施例で使用するハードウエアは図1に示す装置である。
【0026】
図8から図13を用いて、エラーメッセージの出力方法について具体的に説明する。なお、エラー情報保持テーブルは図3のテーブルを利用するものとする。
【0027】
まず、エラーメッセージ登録処理部40が、バッチサーバ1-4においてエラーを発生したプログラムが入力情報として取り込んだ、ソフトウエア処理系の中間情報として作成された情報をプログラムID、エラーコードとともにエラー情報保持テーブル10に登録する(S200)。
【0028】
次に、エラーメッセージ対象取得処理部60が、エラー情報生成パラメタテーブル30より、エラーを発生したプログラムIDとエラーコードより、該当するエラーメッセージ出力対象情報(項目名称、開始位置、バイト長、出力先コード)を取得する。このとき、該当するエラーメッセージ出力対象情報が複数存在する場合は、出力先コードの若い順かつシーケンス番号の若い順に取得する。次に、出力先コードが前回レコードと一致するかどうか判定を行なう(S230)が、初回レコードの場合は必ずYesとなる。さらに、エラーメッセージ上限数取得処理部50が、エラーメッセージ対象取得(S210)において取得した出力先コードをもとに、一度に出力可能なエラーメッセージの上限数をエラーメッセージ上限テーブル20より取得する(S260)。なお、ここで出力先コードをもとにエラーメッセージ上限テーブルを取得するのは、出力先毎にエラーメッセージ上限数が異なるケースに対応するためである。
【0029】
エラーメッセージ生成処理部70が、エラーメッセージ登録(S200)において登録した、エラーを引き起こした入力情報と、エラーメッセージ対象取得(S210)において取得したエラーメッセージ出力対象情報とに基づき、エラーメッセージの生成を行う(S270)。生成されたエラーメッセージは、一時記憶領域に記憶する。
【0030】
出力するエラーメッセージが複数存在する場合は、エラーメッセージ対象取得(S210)から出力処理(S290)まで繰り返し行なう。繰り返しの途中、エラーメッセージ対象取得(S210)において、取得した出力先コードが前回取得した出力先コードと一致するかどうか判定を行なう(S230)。判定の結果、一致する場合は、出力対象判定処理(S240)および出力処理(S250)は行なわない。また、繰り返しの途中で、エラーメッセージ上限判定処理部が、出力するエラーメッセージ数がエラーメッセージ上限数取得(S260)において取得したエラーメッセージ上限数と一致するかを判定する(S280)。判定の結果、一致した場合は一時記憶領域に格納していたエラーメッセージを出力する(S290)。出力処理部80が、出力先コードをもとに、呼び出しを行なう出力サブプログラムを制御する。呼び出された出力サブプログラムにより、出力先プリンタが制御される。たとえば、出力サブプログラム1が呼び出された場合、プリンタ1-5へ出力され、出力サブプログラム2が呼び出された場合、プリンタ1-6へ出力される等のように制御される。
【0031】
次に、エラーメッセージ対象取得(S210)において取得した出力先コードが前回取得した出力先コードと一致しなくなるまで、再度、エラーメッセージ対象取得(S210)、エラーメッセージ上限数取得(S260)およびエラーメッセージ生成(S270)を繰り返す。
【0032】
エラーメッセージ対象取得(S210)において取得した出力先コードが前回取得した出力先コードと一致しなくなった場合(S230)、出力処理を行なう(S250)。このとき、出力されているエラーメッセージは図12のようになる。このうち、運用レポートについては、図8ないし11のようになる。
【0033】
その後、エラーメッセージ対象取得(S210)にて該当するエラーメッセージ出力対象情報が取得されなくなるまで、同様に、エラーメッセージ対象取得(S210)、エラーメッセージ上限数取得(S260)およびエラーメッセージ情報生成(S270)を繰り返す。
【0034】
エラーメッセージ取得判定処理部が、エラーメッセージ出力対象情報が取得したかを判定し(S220)、取得できない場合は、出力対象の有無を確認し(S300)、その後エラーメッセージを出力する(S310)。このとき、出力されるエラーメッセージは図13のようになる。
【符号の説明】
【0035】
1-1:端末
1-2:ウェブアプリケーションサーバ
1-3:DBサーバ
1-4:バッチサーバ
1-5:プリンタ
1-6:プリンタ
10:エラー情報保持テーブル
20:エラーメッセージ上限テーブル
30:エラーメッセージ生成パラメタテーブル
40:エラーメッセージ出力先パラメタテーブル
50:エラーメッセージ登録処理部
60:エラーメッセージ上限取得処理部
70:エラーメッセージ対象取得処理部
80:エラーメッセージ生成処理部
90:出力処理部
100:エラーメッセージ取得判定処理部
110:エラーメッセージ上限判定処理部
120:出力先プリンタ情報取得処理部
130:出力先プリンタ判定処理部
140:エラーメッセージ対象コピー句取得処理部
150:各種コピー句ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置により発生するエラーに関するエラーメッセージを制御するエラーメッセージ出力制御方法において、
予め、前記エラーメッセージの出力数の上限値を定めたエラーメッセージ上限テーブルを記憶しておき、
前記情報処理装置でのエラーの発生を検知し、
検知された前記エラーにより出力すべきエラーメッセージの出力数を特定し、
特定されたエラーメッセージが、前記上限値を超えているかを判断し、
前記判断の結果、前記上限値を超えている場合、
(1)前記上限値分のエラーメッセージを出力し、
(2)前記(1)のエラーメッセージの出力の後に、前記上限値分以外のエラーメッセージを出力することを特徴とするエラーメッセージ出力制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のエラーメッセージ出力制御方法において、
予め、エラーメッセージ種類毎の出力先を定めたエラーメッセージ出力先テーブルを記憶しておき、
検知された前記エラーにより出力すべきエラーメッセージの種類を特定し、
前記(1)(2)の出力は、特定された前記エラーメッセージの種類および前記エラーメッセージ出力先テーブルにより特定される出力先に出力することを特徴とするエラーメッセージ出力制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載のエラーメッセージ出力制御方法において、
前記エラーメッセージ出力先テーブルは、
前記エラーの種類としてエラーコードと前記エラーメッセージの出力先として出力先コードを記録していることを特徴とするエラーメッセージ出力制御方法。
【請求項4】
請求項2または3のいずれかに記載のエラーメッセージ出力制御方法において、
前記エラーメッセージ出力先テーブルは、前記エラーを発生させるプログラムを識別するプログラムID毎に、前記エラーメッセージ種類毎の出力先を記録しており、
前記エラーの発生の検知は、エラーが発生したプログラムのプログラムIDから、当該プログラムIDに対応するメッセージの上限値を前記エラーメッセージ上限テーブルから取得し、
前記プログラムIDから当該プログラムに対応するエラーメッセージ生成パラメタを特定し、
特定した前記エラーメッセージ生成パラメタから前記エラーが発生したプログラムに対応するエラーメッセージを生成することを特徴とするエラーメッセージ出力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−173985(P2012−173985A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35307(P2011−35307)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】