説明

エリスロポエチン受容体結合抗体

本発明はエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化する抗体及びその抗体フラグメントに関する。本発明は前記抗体を使用して哺乳動物におけるエリスロポエチン受容体の内因性活性を調節する方法と、前記抗体を含有する医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はその開示内容全体を参考資料として本明細書に組込む2002年10月14日付け米国予備出願第60/418,031号の優先権を主張する。
【0002】
本発明はエリスロポエチン受容体を認識し、これに結合し、好ましくはこれを活性化する抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
エリスロポエチン(「EPO」)は赤血球産生の主要なレギュレーターである糖蛋白質である。特に、EPOは赤血球前駆細胞の増殖、分化及び生存を促進し、成熟赤血球を産生するのに関与している。血液及び組織中の酸素濃度の変化に応答して、エリスロポエチンは未成熟赤芽球の増殖と分化を刺激すると思われる。更に増殖因子として機能し、赤血球バースト形成及びコロニー形成単位等の赤血球前駆細胞の分裂活性を刺激する。更に分化因子として機能し、赤血球コロニー形成単位から前赤芽球への変換を誘導する(Erslev,A.,New Eng.R Med.,316:101−103(1987)参照)。
【0004】
EPOは分子量約34,000ダルトンであり、α、β及びアシアロの3形態で存在することができる。妊娠中期〜後期にEPOは胎児肝で合成される。その後、EPOは腎臓で合成され、血漿中を循環し、尿中に排泄される。
【0005】
ヒト尿EPOは単離精製されている(Miyakeら,J Biol.Chem.,252:5558(1977)参照)。更に、EPOをコードする遺伝子の同定、クローニング及び発現方法(米国特許第4,703,008号参照)とEPOを細胞培地から精製する方法(米国特許第4,667,016号参照)も当分野で公知である。
【0006】
EPOの活性はエリスロポエチン受容体と呼ばれる細胞表面受容体の結合と活性化により媒介される。EPO受容体はサイトカイン受容体スーパーファミリーに属しており、少なくとも2種の異なるポリペプチド55〜72kDa種と85〜100kDa種を含むと考えられている(米国特許第6,319,499号,Mayeuxら,R Biol.Chem,266:23380(1991),McCafferyら,J.Biol.Chem.,264:10507(1991)参照)。110、130及び145kDa等の分子量をもつEPO受容体の他のポリペプチド複合体も報告されている(米国特許第6,319,499号参照)。
【0007】
マウス及びヒト両者のEPO受容体がクローニングされ、発現されている(D’Andreaら,Cell,57:277(1989);Jonesら,Blood,76:31(1990);Winkelmannら,Blood,76:24(1990);WO90/08822/米国特許第5,278,065号参照)。全長ヒトEPO受容体は483アミノ酸トランスメンブレン蛋白質であり、約25アミノ酸シグナルペブチドを含む(米国特許第6,319,499号参照)。ヒト受容体はマウス受容体と約82%のアミノ酸配列相同性を示す。前出参照。
【0008】
リガンドの不在下でEPO受容体は予備形成二量体として存在する。EPOがその受容体と結合すると細胞質ドメインを密接に接近させるようなコンホメーション変化が生じる。完全には解明されていないが、この「二量化」が受容体の活性化に関与すると考えられている。EPO受容体の活性化の結果として多数の生物学的効果が生じる。これらの活性としては増殖の刺激、分化の刺激及びアポトーシスの阻害が挙げられる(米国特許第6,319,499号,Liboiら,PNAS USA,90:11351(1993),Koury,Science,248:378(1990)参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
EPO受容体二量化と活性化の関係を利用し、(1)EPO受容体を二量化し;(2)この受容体を活性化することが可能なEPO以外の化合物(即ち抗体など)を同定することができる。これらの化合物は貧血の哺乳動物を治療し、機能不全EPO受容体をもつ哺乳動物を識別するのに有用であると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1態様では、本発明はエリスロポエチン受容体に結合する抗体に関する。1態様では、抗体は配列番号3、7、11、15、19、31、35、39、43、47、51、55及びそのフラグメントから構成される群から選択される重鎖可変領域を含む。別の態様では、抗体は配列番号5、9、13、17、21、23、25、27、29、33、37、41、45、49、53、57及びそのフラグメントから構成される群から選択される軽鎖可変領域を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能な単離抗体に関する。このような抗体はCDR1〜CDR3の連続配列を含む重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。CDR1〜CDR3の連続配列を含む重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61及びそのフラグメントから構成される群から選択される。CDR1〜CDR3の連続配列を含む軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68及びそのフラグメントから構成される群から選択される。
【0012】
別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化するが、PGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない抗体に関する。
【0013】
別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化することが可能な抗体に関し、前記抗体又はその抗体フラグメントはエリスロポエチン受容体に対する内因性ヒトエリスロポエチンの結合親和性の100倍以内の結合親和性を示す。
【0014】
更に別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメントに関する。抗体又はその抗体フラグメントは配列番号3又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域、及び/又は配列番号5又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、但し、抗体又はその抗体フラグメントはPGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0015】
更に別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメントに関する。抗体又はその抗体フラグメントは配列番号7又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域、及び/又は配列番号9又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、但し、抗体又はその抗体フラグメントはPGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0016】
本態様は更に配列番号11、15、19、31、35、39、43、47、51、及び55又は上記配列番号のいずれかの抗体フラグメントから構成される群から選択される他の重鎖可変領域を含み、前記抗体又はその抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。本態様に含まれる他の軽鎖可変領域は配列番号13、17、21、23、25、27、29、33、37、41、45、49、53及び57又は上記配列番号のいずれかの抗体フラグメントから構成される群から選択することができ、前記抗体又はその抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0017】
更に別の態様では、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメントを提供し、前記抗体は配列番号11/配列番号13、配列番号15/配列番号17、配列番号19/配列番号21、配列番号11/配列番号23、配列番号11/配列番号25、配列番号11/配列番号27、配列番号11/配列番号29、配列番号31/配列番号33、配列番号35/配列番号37、配列番号39/配列番号41、配列番号43/配列番号45、配列番号47/配列番号49、配列番号51/配列番号53及び配列番号55/配列番号57又はその抗体フラグメントから構成される群から選択される少なくとも1個の重鎖可変領域と少なくとも1個の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含み、前記抗体又はその抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0018】
更に別の態様では、本発明は哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の活性化方法に関する。本方法はEPO受容体を活性化するために治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む。抗体又はその抗体フラグメントはPGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0019】
更に別の態様では、本発明は哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の調節方法に関する。本方法は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の調節するために治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含み、前記抗体又はその抗体フラグメントはPGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0020】
更に別の態様では、本発明は抗エリスロポエチン中和抗体により誘導される純赤血球形成不全症の哺乳動物の治療方法に関する。本方法は治療を必要とする哺乳動物に前記受容体を活性化するために治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントを投与する段階を含み、前記抗体又は抗体フラグメントはPGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0021】
更に別の態様では、本発明は医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントと医薬的に許容可能な賦形剤を含有する。医薬組成物に含まれる抗体又は抗体フラグメントは哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化するが、PGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない。
【0022】
更に別の態様では、本発明はエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化するIgG2抗体又は抗体フラグメントに関する。本態様のIgG2抗体又は抗体フラグメントはEPO受容体の活性化に関与する任意エピトープと結合し、相互作用する。このような抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよいし、その任意抗体フラグメントでもよい。IgG2抗体はキメラ、ヒト化又はヒト抗体でもよい。
【0023】
更に別の態様では、本発明は受容体を活性化するために治療的に有効な量の本発明のIgG2抗体又は抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の活性化方法を提供する。
【0024】
更に別の態様では、本発明は受容体を調節するために治療的に有効な量の本発明のIgG2抗体又は抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の調節方法を提供する。
【0025】
更に別の態様では、本発明は形成不全症の哺乳動物の治療方法を提供し、本方法は治療を必要とする哺乳動物に受容体を活性化するために治療的に有効な量の本発明のIgG2抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む。
【0026】
更に別の態様では、本発明は形成不全症の哺乳動物の治療方法を提供し、本方法は治療を必要とする哺乳動物に受容体を調節するために治療的に有効な量の本発明のIgG2抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む。
【0027】
更に別の態様では、本発明は治療的に有効な量の本発明のIgG2抗体又は抗体フラグメントと医薬的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0028】
最後に、本発明は単離精製ポリヌクレオチド及びアミノ酸配列に関する。単離精製ポリヌクレオチド配列は配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56とそのフラグメント、相補配列、及び縮重コドン等価物から構成される群から選択することができる。
【0029】
本発明は更に配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68とそのフラグメント及び相補配列から構成される群から選択される単離精製アミノ酸配列に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
定義
本明細書で使用する「抗体」又は「免疫グロブリン」なる用語はポリクローナル、モノクローナル、キメラ及びヒト又はヒト化の類に属する1本鎖、2本鎖、及び3本鎖以上の蛋白質及び糖蛋白質を意味する。「抗体」なる用語はその合成及び遺伝子組換え変異体も含む。
【0031】
本明細書で使用する「抗体フラグメント」なる用語はFab、Fab’、F(ab’)及びFvフラグメントと、少なくとも1個の所望エピトープに対して特異性をもつ抗体の任意部分を意味する。
【0032】
本明細書で使用する「γ−2」、「γ−2アイソタイプ」又は「IgG2」なる用語は免疫グロブリンG(IgG)のサブクラス2とその任意抗体フラグメントを意味する。IgG分子の4種のサブクラスが十分に特性決定され、当業者に周知である(例えば、Bruce Albertsら著Molecular Biology of the Cell,第2版,1989参照)。ヒト免疫グロブリンの全ヒトアイソタイプ(IgA、IgG、IgD、IgE、及びIgM)及びサブアイソタイプ(IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)を認識する種々のモノクローナル抗体が入手可能である。
【0033】
本明細書で使用する「ヒト化抗体」なる用語は親抗体の抗原結合特性を維持又は実質的に維持するが、ヒトにおいて免疫原性が低い非ヒト抗体(即ちマウス)に由来する抗体を意味する。
【0034】
本明細書で使用する「ヒト抗体」なる用語はヒト免疫グロブリン遺伝子をもつトランスジェニックマウス(例えばXenoMouse(登録商標)マウス)、ヒトファージディスプレイライブラリー、又はヒトB細胞に由来する抗体等のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する配列をもつ抗体を意味する。
【0035】
本明細書で使用する「エピトープ」なる用語は抗体又はT細胞受容体と特異的に結合することが可能な任意蛋白質決定基を意味する。エピトープ決定基は一般にアミノ酸や糖側鎖等の化学的に活性な表面分子群から構成され、一般に特異的三次元構造特徴と特異的電荷特徴をもつ。
【0036】
本明細書で使用する「内因性」なる用語は外部からの物質又は活性に対して生体又は細胞内で生じる物質又は活性を意味する。
【0037】
本明細書で使用する指定配列「から誘導される」又は「に特異的な」ポリヌクレオチドなる用語は指定ヌクレオチド配列の領域に対応即ち一致するか又は相補的な少なくとも約6ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜12ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも約15〜20ヌクレオチドの連続配列を含むポリヌクレオチド配列を意味する。配列は当分野で公知の技術により決定した場合に特定ポリヌクレオチド配列に固有の配列に相補的でもよいし、一致していてもよい。配列を誘導することができる領域としては限定されないが、特異的エピトープをコードする領域と、非翻訳及び/非転写領域が挙げられる。
【0038】
誘導ポリヌクレオチドは必ずしも該当ヌクレオチド配列から物理的に誘導する必要はなく、限定されないが、ポリヌクレオチドが誘導される領域の塩基配列により提供される情報に基づく化学的合成、複製、逆転写又は転写等の任意方法で作製することができる。従って、元のポリヌクレオチドのセンス方向でもアンチセンス方向でもよい。更に、指定配列の領域に対応する複数の領域の組み合わせを当分野で公知の方法で所期用途に合わせて修飾してもよい。
【0039】
本明細書で使用する「〜によりコードされる」なる用語はポリペプチド配列をコードする核酸配列を意味し、ポリペプチド配列又はその一部はこの核酸配列によりコードされるポリペプチドに由来する少なくとも3〜5個のアミノ酸、好ましくは少なくとも8〜10個のアミノ酸、更に好ましくは少なくとも15〜20個のアミノ酸のアミノ酸配列を含む。この配列によりコードされるポリペプチドで免疫的に識別可能なポリペプチド配列も含まれる。即ち、「ポリペプチド」、「蛋白質」又は「アミノ酸」配列は本発明の抗体に対して少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上の一致度をもつ。更に、本発明の抗体は本発明の抗体のポリペプチド又はアミノ酸配列に対して少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の類似度をもつことができる。本発明の抗体のアミノ酸配列は配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55及び57から構成される群から選択することができる。本発明の抗体の好適アミノ酸配列は配列番号3、5、7、9、51及び53から構成される群から選択される。
【0040】
本明細書で使用する「組換えポリペプチド」、「組換え蛋白質」、又は「組換え技術により生産されたポリペプチド」なる用語は本明細書では同義に使用することができ、その起源又は操作により天然で会合しているポリペプチドの全部又は一部と会合していないか、及び/又は天然で結合している以外のポリペプチドと結合しているポリペプチドを意味する。組換え又はコード化ポリペプチド又は蛋白質は必ずしも指定核酸配列から翻訳されない。化学的合成や組換え発現システムの発現等の任意方法で作製することもできる。
【0041】
本明細書で使用する「合成ペブチド」なる用語は当分野で周知の方法により化学的に合成することができる任意長ポリマー形アミノ酸を意味する(米国特許第4,816,513号、5,854,389号、5,891,993号及び6,184,344号参照)。
【0042】
本明細書で使用する「ポリヌクレオチド」なる用語はリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドである任意長ポリマー形ヌクレオチドを意味する。この用語は分子の一次構造のみを意味する。即ち、この用語は2本鎖及び1本鎖DNAと2本鎖及び1本鎖RNAを含む。メチル化又はキャッピング等の修飾形と未修飾形のポリヌクレオチドも含む。「ポリヌクレオチド」、「オリゴマー」、「オリゴヌクレオチド」、及び「オリゴ」なる用語は本明細書では同義に使用する。
【0043】
本明細書で使用する「精製ポリヌクレオチド」なる用語は該当ポリヌクレオチドが天然に会合する蛋白質を実質的に含まず、例えば約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%未満である該当ポリヌクレオチド又はそのフラグメントを意味する。該当ポリヌクレオチドの精製技術は当分野で周知であり、例えばポリヌクレオチドを含む細胞をカオトロピック剤で破壊し、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー及び密度差による沈降によりポリヌクレオチドと蛋白質を分離する方法が挙げられる。
【0044】
本明細書で使用する「精製ポリペプチド」又は「精製蛋白質」なる用語は該当ポリペプチドが天然に会合する細胞成分を実質的に含まず、例えば約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%未満である該当ポリペプチド又はそのフラグメントを意味する。該当ポリペプチドの精製方法は当分野で公知である。
【0045】
本明細書で使用する「単離」なる用語はその本来の環境(例えば天然に存在する場合には天然環境)から取出された材料を意味する。例えば、生きた動物に存在する天然ポリヌクレオチド又はポリペプチドは単離されていないが、同一ポリヌクレオチド又はDNA又はポリペプチドが天然系の共存材料の一部又は全部から分離されている場合には単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部でもよいし、及び/又はこのようなポリヌクレオチド又はポリペプチドは組成物の一部でもよく、ベクター又は組成物はその天然環境を構成しないので単離されていると言える。
【0046】
本明細書で使用する「ポリペプチド」及び「蛋白質」なる用語は同義に使用され、共有及び/又は非共有結合を介して結合した少なくとも1個のアミノ酸分子鎖を意味する。この用語は物質の特定長を意味ない。即ち、ポリペプチドの定義にはペブチド、オリゴペブチド及び蛋白質が含まれる。この用語はポリペプチドの翻訳後修飾物も含み、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化等が挙げられる。更に、蛋白質フラグメント、類似体、突然変異又は変異体蛋白質、融合蛋白質等もポリペプチドの意味に含まれる。
【0047】
本明細書で使用する「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞株」、「細胞培養物」、及び単細胞体として培養された微生物又は高等真核細胞株を表す他の同様の用語は組換えベクター又は他の導入DNAのレシピエントとして使用することができるか又は使用された細胞を意味し、トランスフェクトされた初代細胞の初代子孫を含む。
【0048】
本明細書で使用する「レプリコン」なる用語は細胞内でポリヌクレオチド複製の自律単位として機能するプラスミド、染色体又はウイルス等の任意遺伝子エレメントを意味する。
【0049】
本明細書で使用する「機能的に連結」なる用語は指定成分がその所期方法で機能できるように配置されている状態を意味する。従って、例えばコーディング配列に「機能的に連結」した制御配列は制御配列と適合可能な条件下でコーディング配列を発現できるようにライゲーションされている。
【0050】
本明細書で使用する「ベクター」なる用語は例えば結合したセグメントの複製及び/又は発現を誘発するように別のポリヌクレオチドセグメントと結合したレプリコンを意味する。
【0051】
本明細書で使用する「制御配列」なる用語はライゲーションされているコーディング配列の発現を行うために必要なポリヌクレオチド配列を意味する。このような制御配列の種類は宿主生物によって異なる。原核生物では、このような制御配列としては一般にプロモーター、リボソーム結合部位及びターミネーターと、場合によりエンハンサーが挙げられる。従って、「制御配列」なる用語はその存在が発現に必要である全成分を少なくとも含むものであり、更に存在すると有利な付加成分(例えばリーダー配列)も含むことができる。
【0052】
「トランスフェクション」なる用語は導入に使用する方法に関係なく、原核又は真核宿主細胞への外来ポリヌクレオチドの導入を意味する。「トランスフェクション」なる用語はポリヌクレオチドの安定導入と一過的導入の両者を意味し、ポリヌクレオチドの直接取込み、形質転換、形質導入及びf交配を含む。一旦宿主細胞に導入したら、外来ポリヌクレオチドを非組込みレプリコン(例えばプラスミド)として維持することもできるし、あるいは宿主ゲノムに組込むこともできる。
【0053】
本明細書で使用する「治療」なる用語は予防及び/又は治療を意味する。
【0054】
本明細書で使用する「精製物質」なる用語は物質が通常会合している細胞成分及び該当試料中に存在する可能性のある他の型の細胞から単離された物質の調製物を意味する。
【0055】
本明細書で使用する「エリスロポエチン(EPO)受容体の活性化」なる用語はEPO受容体が受ける1種以上の分子プロセスであり、その結果として受容体をもつ細胞の内部にシグナル伝達を生じるものを意味する。最終的にこのシグナルは細胞生理機構に1種以上の変化をもたらす。EPO受容体の活性化は一般にEPO受容体をもつ細胞(限定されないが、赤血球前駆細胞など)の増殖又は分化をもたらす。EPO受容体の活性化には多数のイベントが関与しており、限定されないが、受容体の二量化が挙げられる。
【0056】
抗体の構造単位は四量体である。各四量体はポリペプチド鎖の2個の同一対から構成され、各対は1個の「軽」(25kDa)鎖と1個の「重」(約50〜70kDa)鎖をもつ。各鎖のアミノ末端部分は抗原認識に主に関与する可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は抗体のエフェクター機能に関与する定常領域を規定する。ヒト軽鎖はκ及びλ軽鎖として分類される。重鎖はμ、δ、γ、α、又はεとして分類され、抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして規定する。IgG免疫グロブリンは更に夫々γ−1、γ−2、γ−3及びγ−4重鎖をもつ4種のサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4)に分類される。市販の治療用ヒト、キメラ又はヒト化抗体の殆どはIgG1抗体型であり、乳癌用ハーセプチン、非ホジキンリンパ腫用リツキサン並びにリウマチ様関節炎用ヒュミラ及びレミケードが挙げられる(Glennie,M.J.ら,Drug Discovery Today,8:503(2003)参照)。
【0057】
軽鎖及び重鎖内で可変領域と定常領域は「J」領域により結合されており、重鎖は更に「D」領域も含む。各軽鎖/重鎖対の可変領域は抗原結合部位を形成する。従って、無傷の抗体は二機能性ないし二重特異性抗体の場合を除いて同一の2個の結合部位をもつ。二機能性ないし二重特異性抗体は2個の異なる重鎖/軽鎖対と2個の異なる結合部位をもつ人工ハイブリッド抗体である。二機能性ないし二重特異性抗体は当分野で公知の日常的技術を使用して作製することができる。
【0058】
抗体の鎖の構造は3個の超可変領域(相補性決定領域又はCDRとも言う)により結合された同一一般構造の比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を示す。各対の2本の鎖からのCDRはフレームワーク領域により連結され、特異的エピトープに結合することができる。N末端からC末端に向かって、軽鎖と重鎖はいずれもFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。
【0059】
米国特許第6,319,499号はエリスロポエチン受容体(EPO−R)と結合してこれを活性化する抗体を記載している。この特許に具体的に記載されている抗体はMab71及び73である。Mab71はアミノ酸配列PGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)をもつペブチド「SE−3」に結合する(実施例3参照)。SE−3はヒトEPO−Rのアミノ酸残基49−78に位置する。米国特許第6,319,499号によると、EPO−Rのこの領域(即ちアミノ酸残基49−79)をMab71等の架橋剤と結合させると、EPO受容体が活性化される。米国特許第6,319,499号の実施例6はMab71が試験した他のペブチドに比較して「有意量のSE−3」と結合すると記載している。同実施例は更に、このことは「Mab71が残基49−78を含むか又はこれとオーバーラップするヒトEPO−Rの領域に結合することを示す」と記載している。Mab71及び73はマウス抗体である。齧歯類抗体とヒト抗体はいずれもターゲット特異性の精度が高いが、ヒト抗体のほうが遥かに有効に生体の天然防御因子と相互作用し、齧歯類抗体と同程度まで抗体に対する応答を誘発しない(Winter,G.and Milstein,C.Nature349:293(1991))。更に、ヒトIgGサブクラスはフレキシビリティに差があり(Roux,K.H.ら,J.Immunol.159:3372(1997))、齧歯類IgGアイソタイプはその対応するヒトアイソタイプと異なるのでこの差は齧歯類IgGアイソタイプにも及ぶ。蛋白質フレキシビリティは抗体−抗原認識に影響を与える可能性があるので(Jimenez,R.,ら,Proc.Natl.Acad Sci.USA,100:92(2003))、ヒトIgG2アイソタイプはマウス抗体とは異なる抗原認識メカニズムになる可能性がある。マウスIgGアイソタイプは一般にヒトIgGアイソタイプと異なる。
【0060】
1態様では、本発明はエリスロポエチン受容体と結合する抗体又は抗体フラグメントに関する。エリスロポエチン受容体と結合する抗体又は抗体フラグメントは配列番号3、7、11、15、19、31、35、39、43、47、51、55及びそのフラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖を含む。第2の態様において、エリスロポエチン受容体と結合する抗体又は抗体フラグメントは配列番号5、9、13、17、21、23、25、27、29、33、37、41、45、49、53、57及びそのフラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖を含む。
【0061】
第3の態様において、本発明は哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体と結合することが可能な単離抗体に関する。より詳細には、抗体はCDR1〜CDR3の連続配列を含む重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。CDR1〜CDR3の連続配列を含む重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号58、配列番号59、配列番号60及び配列番号61とそのフラグメントから構成される群から選択される。CDR1〜CDR3の連続配列を含む軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、及び配列番号68とそのフラグメントから構成される群から選択される。更に、本発明は少なくとも1個のCDRを含む重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む単離抗体に関する。より詳細には、抗体は配列番号11のアミノ酸残基99−112、配列番号3の26−35、配列番号3の50−65、配列番号3の98−105、配列番号19の26−35、配列番号19の50−66、配列番号19の99−105、配列番号31の50−66、配列番号31の99−105、配列番号39の26−35、配列番号39の50−65、配列番号39の98−105、配列番号43の26−37、配列番号43の52−67、配列番号43の100−107、配列番号47の26−35、配列番号47の50−65、配列番号51の26−35、配列番号51の50−65、配列番号51の98−105、配列番号55の26−37及び配列番号55の52−67から構成される群から選択される少なくとも1個のCDRを含む重鎖可変領域又は配列番号13のアミノ酸残基24−34、配列番号13の50−56、配列番号5の89−97、配列番号27の24−34、配列番号9の50−56、配列番号33の24−39、配列番号33の55−61、配列番号41の24−34、配列番号41の89−97、配列番号45の24−34、配列番号45の50−56、配列番号45の89−97、配列番号49の89−97及び配列番号57の24−34から構成される群から選択される少なくとも1個のCDRを含む軽鎖可変領域を含む。
【0062】
第4の態様では、本発明はエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化する抗体又は抗体フラグメントに関する。本発明の抗体はEPO受容体の活性化に関与する少なくとも1個のエピトープと結合する(実施例4)。米国特許第6,319,499号に記載されている抗体のようにエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化するとして当分野で知られている抗体又は抗体フラグメントとは異なり、本発明の抗体はペブチドSE−3と相互作用しない。驚くべきことに、本発明の抗体は抗体がSE−3ペブチドと結合しないにも拘わらず赤血球産生性である。従って、本発明の抗体は米国特許第6,319,499号に記載されている抗体とは異なる少なくとも1種のエピトープとヒトEPO受容体上で相互作用する。
【0063】
第5の態様では、本発明はエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化するIgG2抗体又は抗体フラグメントに関する。本態様のIgG2抗体又は抗体フラグメントはEPO受容体の活性化に関与する任意エピトープと結合し、相互作用する。
【0064】
更に、実施例1に示すBIAcore結果により実証されるように、本発明の抗体はエリスロポエチン受容体に対する内因性ヒトエリスロポエチンの結合親和性の100倍以内の結合親和性を示す。EPOには2個の非等価受容体結合部位があるため、EPOに対するEPO受容体の親和性はして高値(〜1nM)と低値(〜1μM)が報告されている(Philo,J.S.ら,Biochemistry,35:1681(1996)参照)。
【0065】
本発明の抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体(米国特許第6,020,153号参照)又はヒトもしくはヒト化抗体又はそのフラグメントとすることができる。上記の任意のものの合成及び遺伝子組換え変異体(米国特許第6,331,415号参照)も本発明に含まれる。しかし、本発明の抗体はヒト又はヒト化抗体が好ましい。ヒト又はヒト化抗体の利点は宿主レシピエントで抗体の免疫原性を増減することにより、バイオアベイラビリティを増したり、不利な免疫反応の可能性を少なくすることができ、潜在的に多重抗体投与を可能にできる点である。
【0066】
ヒト化抗体としてはキメラ又はCDRグラフト抗体が挙げられる。また、動物の抗体遺伝子発現を抑圧し、ヒト抗体遺伝子発現で機能的に置き換えた遺伝子組換え動物株を使用してヒト抗体を生産することもできる。
【0067】
ヒト化及びヒト抗体の作製方法は当分野で公知である。ヒト抗体の作製方法の1例ではトランスジェニックマウス等のトランスジェニック動物を利用する。これらのトランスジェニック動物はそれ自体のゲノムに挿入されたヒト抗体産生ゲノムの実質的部分を含み、抗体産生において動物自体の内因性抗体産生を欠損させる。このようなトランスジェニック動物の作製方法は当分野で公知である。このようなトランスジェニック動物はXenoMouse(登録商標)技術又は「ミニローカス」アプローチを使用して作製することができる。Xenomice(登録商標)の作製方法は米国特許第6,162,963号、6,150,584号、6,114,598号及び6,075,181号に記載されている。「ミニローカス」アプローチを使用するトランスジェニック動物の作製は米国特許第5,545,807号、5,545,806号及び5,625,825号に記載されている。国際公開第WO93/12227号も参照。
【0068】
XenoMouse(登録商標)技術を使用してXenoMouset(登録商標)マウス(Abgenix,Fremont,California)に該当抗原を免疫することによりヒト抗体を獲得することができる。抗体を発現するマウスからリンパ細胞(例えばB細胞)を回収する。これらの回収細胞を骨髄型細胞株と融合すると、不死ハイブリドーマ細胞株を作製することができる。これらのハイブリドーマ細胞株をスクリーニング及び選択すると、該当抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定することができる。あるいは、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株で抗体を発現させてもよい。より詳細には、特定抗体をコードする配列を抗体産生細胞からクローニングし、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換に使用することができる。
【0069】
形質転換はポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する任意公知方法により実施することができ、例えばポリヌクレオチドをウイルス又はウイルスベクターにパッケージングし、宿主細胞にウイルス又はベクターを形質導入する方法や、米国特許第4,399,216号、4,912,040号、4,740,461号及び4,959,455号に記載されているようなトランスフェクション法が挙げられる。例えば、重鎖をコードする1個以上の遺伝子を細胞で発現させ、軽鎖をコードする1個以上の遺伝子を第2の細胞で発現させることができる。得られた重鎖と軽鎖を次に当分野で公知の技術により相互に融合に融合して本発明の抗体を形成することができる。あるいは、制限エンドヌクレアーゼを使用して重鎖と軽鎖の部分をコードする遺伝子をライゲーションし、各鎖をコードする遺伝子を再構築することもできる。その後、このような遺伝子を細胞で発現させ、本発明の抗体を生産することができる。
【0070】
使用する形質転換法は形質転換する宿主により異なる。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に導入する方法は当分野で周知であり、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソーム封入及びDNA分子の直接マイクロインジェクションが挙げられる。
【0071】
発現用宿主として使用することができる哺乳動物細胞株は当分野で周知であり、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞、細菌細胞(例えば大腸菌)、酵母細胞(例えばSaccharomyces cerevisiae)等が挙げられる。
【0072】
CDRグラフトアプローチを使用してヒト化抗体を作製することもできる。このようなヒト化抗体は当分野で周知である。一般に、ヒト化抗体はEPO受容体と結合する抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列をコードする核酸配列を獲得し、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列中に相補性決定領域ないし「CDR」を同定し、CDR核酸配列をヒトフレームワーク核酸配列にグラフトすることにより作製される(例えば、米国特許第4,816,567号及び5,225,539号参照)。
【0073】
選択されるヒトフレームワークはin vivo投与に適したもの、即ち免疫原性を示さないものとする。例えば、このような決定はこのような抗体のin vivo使用とアミノ酸類似性試験による予備実験で実施することができる。
【0074】
核酸のクローニング方法は当分野で公知である。これらの方法は適当なプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりクローニングする抗体配列を増幅する。抗体核酸配列と特にマウス重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列の増幅に適したプライマーは当分野で公知である。
【0075】
ヒト化しようとするクローン化抗体配列のCDRとFRが同定されたら、CDRをコードするアミノ酸配列を同定し、対応する核酸配列を選択したヒトFRにグラフトする。これは公知プライマー及びリンカーを使用して実施することができ、これらの選択は当分野で公知である。
【0076】
選択したヒトFRにCDRをグラフトした後、得られた「ヒト化」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列を発現させ、EPO受容体と結合するヒト化Fv又はヒト化抗体を生産する。一般に、ヒト化重鎖及び軽鎖可変領域配列はヒト定常領域配列をもつ融合蛋白質として発現されるので、EPO受容体と結合する無傷の抗体が得られる。他方、定常配列を含まないヒト化Fv抗体を生産することもできる。ヒト定常配列とヒト化可変領域の融合が好ましい。
【0077】
本発明の抗体を使用して結合され、好ましくは活性化されるEPO受容体は哺乳動物EPO受容体が好ましく、ヒトEPO受容体が最も好ましい。本発明は米国特許第5,292,654号に記載されているようなEPO受容体の類似体の使用も想定する。ヒトEPO受容体はR&D Systems(Minneapolis,Minnesota)から購入することができる。
【0078】
(1)EPO受容体に結合してこれを活性化し;(2)PGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHQAPTARGAV(配列番号1)のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用せず;(3)EPO受容体に対する内因性ヒトEPOの結合親和性の100倍以内の結合親和性を示す2種の抗体の1例はヒト抗体Ab12及びAb198である。Ab12及びAb198は本明細書に記載するXenoMouseg(登録商標)XenoMax技術(実施例1参照)を使用して作製されたヒト抗体である。
【0079】
別の態様では、本発明は本明細書に記載する抗体をコードするポリヌクレオチド及びポリペプチド配列に関する。このようなポリヌクレオチドは重鎖と軽鎖の各々の可変領域と定常領域をコードすることが好ましいが、本発明は他の組み合わせも想定する。
【0080】
本発明は開示するポリヌクレオチドから誘導されるオリゴヌクレオチドフラグメントとこれらのポリヌクレオチドに相補的な核酸配列も想定する。ポリヌクレオチドはRNA形でもDNA形でもよい。DNA、cDNA、ゲノムDNA、核酸類似体及び合成DNA形態のポリヌクレオチドが本発明の範囲に含まれる。DNAは2本鎖でも1本鎖でもよく、1本鎖の場合にはコーディング(センス)鎖でも非コーディング(アンチセンス)鎖でもよい。ポリペプチドをコードするコーディング配列は本明細書に記載するコーディング配列と同一でもよいし、遺伝コードの冗長又は縮重の結果として本明細書に記載するDNAと同一ポリペプチドをコードする別のコーディング配列でもよい。
【0081】
ポリヌクレオチドは本発明の少なくとも1個の重鎖可変領域と少なくとも1個の軽鎖可変領域をコードすることが好ましい。このようなポリヌクレオチド例は配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54及び56とそのフラグメント、相補配列及び縮重コドン等価物で示される。例えば、配列番号2はAb12の重鎖(可変領域)をコードし、配列番号4はAb12の軽鎖(可変領域)をコードする。配列番号6はAb198の重鎖(可変領域)をコードし、配列番号8はAb198の軽鎖(可変領域)をコードする。
【0082】
本発明はポリヌクレオチド欠失、置換又は付加等の修飾を含む変異体ポリヌクレオチドと、変異体ポリヌクレオチド配列に起因する任意ポリヌクレオチド修飾形も含む。本発明のポリヌクレオチドは本明細書に記載するコーディング配列の天然変異体であるコーディング配列をもつことできる。
【0083】
ポリヌクレオチドはポリヌクレオチドと本明細書に記載する配列との一致度が少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%である場合にこの配列とハイブリダイズするとみなされる。
【0084】
本発明は更に本発明の抗体をコードするポリペプチドと、このようなポリペプチドのフラグメント、類似体及び誘導体にも関する。本発明のポリペプチドは組換えポリペプチド、天然精製ポリペプチド又は合成ポリペプチドとすることができる。本発明のポリペプチドのフラグメント、誘導体又は類似体はアミノ酸残基の1個以上が保存又は非保存アミノ酸残基(好ましくは保存アミノ酸残基)で置換され、このような置換アミノ酸残基は遺伝コードによりコードされるものでもされないものでもよいし;アミノ酸残基の1個以上が置換基を含むものでもよいし;ポリペプチドの半減期を延ばすための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)等の別の化合物とポリペプチドを融合したものでもよいし;リーダーもしくは分泌配列又はポリペプチドの精製に使用される配列又はプロ蛋白質配列等の付加アミノ酸をポリペプチドと融合したものでもよい。このようなフラグメント、誘導体及び類似体も本発明の範囲に含まれる。
【0085】
本発明のポリペプチドは本明細書に記載する抗体と同一のアミノ酸配列でもよいし、1個以上のアミノ酸置換による小変異をもつアミノ酸配列でもよい。変異は一般に約1〜5アミノ酸の範囲の「保存置換」とすることができ、置換アミノ酸は類似の構造又は化学特性をもち、例えば、ロイシン→イソロイシン又はスレオニン→セリンの置換である。他方、変異は非保存置換でもよく、例えばグリシン→トリプトファンの置換である。同様の小変異としてはアミノ酸欠失又は挿入又はその両者が挙げられる。生物又は免疫活性を変化させずにどのアミノ酸残基を何個置換、挿入、又は欠失させればよいかを決定する指針は当分野で周知のコンピュータープログラムを使用して見いだすことができ、例えばDNASTARソフトウェア(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)を利用できる。
【0086】
ポリペプチドは本発明の抗体の少なくとも1個の重鎖可変領域又は少なくとも1個の軽鎖可変領域をコードすることが好ましい。ポリペプチドは本発明の抗体の少なくとも1個の重鎖可変領域と1個の軽鎖可変領域をコードすることがより好ましい。このようなポリペプチドの例は配列番号3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、46、47、49、51、53、55、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、及びそのフラグメントに示すアミノ酸配列をもつものである。特に、Ab12の重鎖は配列番号3に示すアミノ酸配列をもち、軽鎖は配列番号5に示すアミノ酸配列をもつ。Ab198の重鎖のアミノ酸配列は配列番号7に示され、軽鎖は配列番号9に示すアミノ酸配列をもつ。
【0087】
本発明は本発明のポリヌクレオチドを含むベクターと、本発明のベクターで遺伝子組換えされた宿主細胞と、組換え技術による本発明の抗体の生産も提供する。
【0088】
宿主細胞はクローニングベクター又は発現ベクター等のベクターで遺伝子組換え(トランスフェクト、形質導入又は形質変換)される。ベクターはプラスミド、ウイルス粒子、ファージ等の形態とすることができる。組換え宿主細胞はプロモーターの活性化、トランスフェクト細胞の選択等に合わせて適宜改変した慣用栄養培地で培養することができる。温度、pH等の培養条件は発現に選択する宿主細胞で従来使用されている条件であり、当業者に自明である。
【0089】
本発明のポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドとその結果として抗体を生産するために使用することができる。本発明のポリヌクレオチド配列は多様な発現媒体の任意1種、特にポリペプチド発現用ベクター又はプラスミドに挿入することができる。このようなベクターとしては染色体、非染色体及び合成DNA配列、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせから誘導されるベクター、ウイルスDNA(例えばワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス及び仮性狂犬病ウイルス)が挙げられる。しかし、宿主で複製可能且つ生存可能である限り、他の任意プラスミド又はベクターも使用することができる。
【0090】
適当なDNA配列を種々の方法によりベクターに挿入することができる。一般には、当分野で公知の方法により適当な制限エンドヌクレアーゼ部位にDNA配列を挿入する。発現ベクター中のポリヌクレオチド配列はmRNA合成を誘導するのに適した発現制御配列(即ちプロモーター)と機能的に連結する。このようなプロモーターの例としては限定されないが、LTR又はSV40プロモーター、大腸菌lac又はtrp、ファージλPプロモーター及び原核又は真核細胞又はそのウイルスで遺伝子発現を制御することが知られている他のプロモーターが挙げられる。発現ベクターは更に翻訳開始用リボソーム結合部位と転写ターミネーターも含む。ベクターは更に発現を増幅するのに適した配列も含むことができる。例えば、ベクターはSV40等のサルウイルス、ポリオーマウイルス、ウシパピローマウイルスもしくはモロニー肉腫ウイルス等に由来するウイルス起源、又はゲノム起源の転写刺激DNA配列であるエンハンサーを含むことができる。ベクターは更に複製起点を含むことが好ましい。ベクターは外来複製起点を含むように構築することもできるし、又はこのような複製起点はSV40もしくは別のウイルス源に由来するものでもよいし、宿主細胞染色体複製メカニズムによるものでもよい。
【0091】
更に、ベクターはトランスフェクトした宿主細胞の選択用マーカー遺伝子を含むことが好ましく、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ又はG−418(ネオマイシン誘導体であるゲネチシン)やハイグロマイシン等の抗生物質、又はチミジンキナーゼ、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ等の欠損等の宿主細胞の遺伝子損傷を相補する遺伝子が挙げられる。
【0092】
本発明で使用するのに適したベクターは当分野で公知である。宿主で複製可能且つ生存可能である限り、本発明では任意プラスミド又はベクターを使用することができる。使用可能なベクターの例としては哺乳動物宿主に適しており、サルウイルス40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルス(BPV)、パポバウイルスBK突然変異体(BKV)、又はマウス及びヒトサイトメガロウイルス(CVM)等のウイルス複製システムをベースとするものが挙げられる。
【0093】
別の態様では、本発明は上記構築物を含む宿主細胞に関する。宿主細胞は哺乳動物細胞等の高等真核細胞でもよいし、酵母細胞等の下等真核細胞でもよいし、宿主細胞は細菌細胞等の原核細胞でもよい。機能的四量体抗体分子の生合成には正確な初期ポリペプチド鎖フォールディング、グリコシル化及びアセンブリが必要であるので、宿主細胞は活性抗体の生産に適した環境を提供するものが好ましい。適切な宿主細胞の例としてはCOS−7細胞、ボーズメラノーマ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、胚性肺細胞L−132、及びリンパ由来哺乳動物細胞(例えばミエローマ又はリンパ腫細胞)等の哺乳動物細胞が挙げられる。(例えば従来記載されているような2種の異なるベクターを使用して)H鎖のみをコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターと軽鎖のみをコードする第2のベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることができる。宿主細胞に2種の異なるベクターをトランスフェクトすることが好ましい。
【0094】
ベクターの宿主細胞導入はリン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション又はエレクトロポレーションにより実施することができる(L.Davidら,Basic Methods in Molecular Biology 第2版,Appleton and Lang,Paramount Publishing,East Norwalk,Conn.(1994))。
【0095】
本発明の抗体を得るためには、本発明の抗体の軽鎖及び重鎖可変領域と軽鎖及び重鎖定常領域をコードする1種以上のポリヌクレオチド配列をベクターに組込む必要がある。本発明の抗体の軽鎖と重鎖をコードするポリヌクレオチド配列を1又は複数のベクターに組込んだ後に宿主細胞に組込むことができる。
【0096】
Ab12及びAb467抗体を発現する細胞株はブダペスト条約に基づき、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110に2003年9月30日付けで寄託され、アクセション番号PTA−5554及びPTA−5555を付与された。これらの寄託株は当業者の便宜のために記載するものであり、本発明を実施するためにこれらの寄託株が必要であるという意味ではなく、また、本明細書の開示に鑑みて等価態様が当業者に容易に想到されないという意味でもない。これらの寄託株は公共に入手可能であるが、寄託材料を本特許又は他の任意特許の下に製造、使用又は販売するための実施権を許諾するものではない。寄託材料の核酸配列は参考資料として本明細書の開示に組込み、本明細書に記載する配列と矛盾する場合にはこれらの核酸配列を基準にする。
【0097】
本発明の抗体には多数の用途がある。一般に、抗体はエリスロポエチン又はその生体活性変異体もしくは類似体により治療可能な任意病状を治療するために使用することができる。例えば、本発明の抗体は赤血球濃度の低下及び/又はヘモグロビン濃度の低下を特徴とする疾患(例えば貧血)の治療に有用である。更に、本発明の抗体は血液又は組織中の酸素濃度の低下又は正常値以下を特徴とする疾患(例えば、低酸素血症又は慢性組織低酸素症)及び/又は血液循環不全又は血流低下を特徴とする疾患の治療にも使用することができる。本発明の抗体は更に創傷治癒の促進又は脳/脊髄損傷、脳卒中等に起因する神経細胞及び/又は組織損傷に対する保護にも有用であると思われる。本発明の抗体により治療することができる病状の非限定的な例としては、化学療法に起因する貧血、癌関連貧血、慢性疾患の貧血、HIV関連貧血、骨髄異色関連貧血等の貧血症、心不全、虚血性心疾患及び腎不全が挙げられる。従って、本発明は治療的に有効な量の前記抗体を哺乳動物に投与する段階を含む上記疾患又は病状の任意のものの治療方法を含む。哺乳動物はヒトが好ましい。
【0098】
本発明の抗体は機能不全EPO受容体をもつ哺乳動物を識別及び診断するために使用することもできる。機能不全EPO受容体をもつ哺乳動物は貧血等の疾患により特徴付けられる。識別及び診断する哺乳動物はヒトが好ましい。更に、本発明の抗体は赤血球形成不全症の哺乳動物で貧血の治療に使用することができる。赤血球形成不全症は組換えエリスロポエチンによる治療中の患者に抗エリスロポエチン中和抗体が形成されることに起因すると考えられる(Casadevall,N.ら,n.Eng.J.Med.346:469(2002))。本方法は治療を必要とする前記形成不全症の哺乳動物に治療的に有効な量の本発明の抗体を投与する段階を含む。
【0099】
本発明の別の態様では、本発明のEPO受容体抗体及び抗体フラグメントは酵素免疫定量法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は組織免疫組織化学等の慣用イムノアッセイを使用して(例えば、組織検体、無傷細胞、又はその抽出物等の生体試料中で)EPO受容体を検出するために使用することもできる。本発明は生体試料を本発明の抗体又は抗体フラグメントと接触させる段階と、抗体(又は抗体部分)を検出することにより生体試料中のEPO受容体を検出する段階を含む生体試料中のEPO受容体の検出方法を提供する。結合又は未結合抗体又は抗体フラグメントを検出し易くするために、抗体又は抗体フラグメントを検出可能物質で直接又は間接的に標識する。種々のイムノアッセイフォーマット(例えば競合アッセイ、直接又は間接サンドイッチイムノアッセイ等)を実施することができ、これらは当業者に周知である。
【0100】
適切な検出可能物質としては種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質及び放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、B−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例としてはストレプトアビジン/ビオチンとアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としてはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としてはルミノールが挙げられ;適切な放射性物質の例としては125I、131I、35S又はHが挙げられる。
【0101】
更に別の態様では、本発明は治療的に有効な量の本発明の抗体と医薬的に許容可能なキャリヤー又は賦形剤を含有する医薬組成物に関する。本明細書で使用する「医薬的に許容可能なキャリヤー」又は「医薬的に許容可能な賦形剤」は生理的に適合可能な全溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等を含む。医薬的に許容可能なキャリヤー又は賦形剤の例としては水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等とその組み合わせが挙げられる。多くの場合には、例えば糖類、多価アルコール(例えばマンニトール、ソルビトール)、又は塩化ナトリウム等の等張剤を組成物に加えることが好ましい。抗体又は抗体部分の保存期間又は効力を増す湿潤量又は微量の助剤(例えば湿潤剤、乳化剤、防腐剤又は緩衝液)等の医薬的に許容可能な物質も加えることができる。場合により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩(例えばアルギン酸ナトリウム)等の崩壊剤を加えてもよい。賦形剤に加え、血清アルブミン等のキャリヤー蛋白質、緩衝液、結合剤、甘味剤及び他の矯味剤、着色剤及びポリエチレングリコールの1種以上も医薬組成物に添加することができる。
【0102】
本発明の組成物は種々の形態にすることができる。例えば、液体、半固体及び固体剤形が挙げられ、例えば溶液剤(例えば注射用溶液及び輸液用溶液)、分散液又は懸濁液、タブレット、ピル、散剤、リポソーム及び座剤が挙げられる。好適剤形は所期投与方法及び治療用途に依存する。典型的な好適組成物は注射用溶液及び輸液用溶液であり、他の抗体によるヒトの受動免疫に使用されているものに類似する組成物が挙げられる。好適投与方法は非経口(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。1好適態様では、静脈内輸液又は注射により抗体を投与する。別の好適態様では、筋肉内又は皮下注射により抗体又は抗体フラグメントを投与する。医薬組成物に適切な他の投与経路としては限定されないが、直腸、経皮、膣、経粘膜又は腸投与が挙げられる。
【0103】
治療用組成物は一般に製造及び保存条件下で無菌安定でなければならない。組成物は溶液、マイクロエマルション、分散液、リポソーム、又は高薬剤濃度に適した他の規定構造として製剤化することができる。滅菌注射溶液は必要量の活性化合物(即ち抗体又は抗体フラグメント)を必要に応じて上記成分の1種又は組み合わせと共に適当な溶媒に添加した後に濾過滅菌することにより製造することができる。一般に、分散液は塩基性分散媒と必要な他の上記成分を含有する滅菌ビークルに活性化合物を添加することにより製造される。滅菌注射溶液の調製用滅菌粉末の場合には、好適製造方法は真空乾燥と凍結乾燥であり、予め滅菌濾過したその溶液から活性成分と任意付加所望成分の粉末を形成する。溶液の適正な流動性は例えばレシチン等のコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒度の維持及び界面活性剤の使用により維持することができる。吸収を遅らせる物質(例えばモノステアリン酸塩及びゼラチン)を組成物に添加することにより注射用組成物の持続吸収が可能になる。
【0104】
本発明の抗体及び抗体フラグメントは当分野で公知の種々の方法により投与することができるが、多くの治療用途に好ましい投与経路/方法は静脈内注射又は輸液である。当業者に自明の通り、投与経路及び/又は方法は所望結果により異なる。所定態様では、化合物の迅速放出を防ぐキャリヤーを活性化合物に加え、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセルデリバリーシステム等の制御放出製剤とすることができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等の生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤の多数の製法が特許登録されており、又は当業者に一般に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978参照。
【0105】
所定態様では、本発明の抗体又は抗体部分は例えば不活性希釈剤又は同化性食用キャリヤーと配合して経口投与することができる。化合物(及び所望により他の成分)をハード又はソフトシェルゼラチンカプセルに封入してもよいし、タブレット、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース等に製剤化してもよい。本発明の抗体又は抗体フラグメントを非経口投与以外の方法で投与するためには、その不活化を防ぐための材料で化合物をコーティングするか又はこのような材料と化合物を同時投与することが必要であると思われる。
【0106】
補助活性化合物も組成物に添加することができる。所定態様では、本発明の抗体又は抗体フラグメントを1種以上の付加治療剤と同時製剤化及び/又は同時投与する。例えば、他のターゲットと結合する1種以上の付加抗体(例えば他のサイトカインと結合するか又は細胞表面分子と結合する抗体)又は1種以上のサイトカインと本発明のEPO受容体抗体又は抗体フラグメントを同時製剤化及び/又は同時投与することができる。更に、1種以上の本発明の抗体を上記治療剤の2種以上と併用することもできる。このような併用療法は治療剤の投与量を減らし、各種単独療法に伴うと予想される毒性又は合併症を避けることができるという利点がある。
【0107】
本明細書で使用する「治療的に有効な量」なる用語は投与により効果を生じる抗体又は抗体フラグメントの量を意味する。厳密な用量は当業者が確認することができる。当分野で公知の通り、年齢、体重、性別、食事、投与時間、薬剤相互作用及び病状の重篤度に基づく調節が必要であると思われ、このような調節は当業者が日常的実験で確認することができる。治療的に有効な量は抗体又は抗体フラグメントの治療的に有益な効果が毒性又は有害効果を上回るような量でもある。「予防的に有効な量」とは所望予防結果を達成するために必要な用量と時間で有効な量を意味する。一般に、初期疾患段階以前の対象には予防用量を使用するので、予防的に有効な量は治療的に有効な量よりも少量である。
【0108】
投与レジメンは最適所望応答(例えば治療又は予防応答)が得られるように調節することができる。例えば、単回ボーラスを投与してもよいし、用量を数回に分けて経時的に投与してもよいし、治療状況の緊急性に応じて用量を比例的に増減してもよい。投与し易くすると共に用量を均質にするために非経口組成物を用量単位形態に製剤化すると特に有利である。本明細書で使用する用量単位形態とは被験哺乳動物対象に単位用量として適した物理的不連続単位を意味し、各単位は必要な医薬キャリヤーと共に所望治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の用量単位形態の規格は(a)活性化合物の固有特徴と達成すべき特定治療又は予防効果及び(b)個体の過敏症治療に関するこのような活性化合物の配合分野で固有の制約により決定され、これらに直接依存する。
【0109】
本発明の抗体又は抗体部分の治療又は予防的に有効な量の典型的な非限定的範囲は0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。当然のことながら、用量値は緩和すべき病状の種類と重篤度により変動し得る。更に当然のことながら、任意特定対象の特定投与レジメンは個体の必要と組成物の投与者又は投与監督者の専門的判断により継時的に調節すべきであり、本明細書に記載する用量範囲は例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載する組成物の範囲又は実施を制限するものではない。
【0110】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例により本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0111】
ヒトエリスロポエチン受容体抗体の作製
抗原作製。XenoMouse(登録商標)動物の免疫に使用した抗原は2種の異なる方法を使用して万能T細胞エピトープ(TCE)(J.Immunol.,148(5):1499(1992))とカップリングした。各等量を含有する混合物を免疫原として使用した。
【0112】
1)ジチオスレイトール(DTT)2.3mgとシステイン結合TCE(J.Immunol.,148(5):1499(1992))200μgを室温で30分間混合した。DTTをSephadex G10(Pharmacia,Upsala,Sweden)クロマトグラフィーカラムで遠心除去した。還元したシステイン結合TCEをリン酸緩衝食塩水(PBS)(8.1mM NaHPO,1.6mM NaHPO,136mM NaCl,2.6mM KCl,pH7.4)に再懸濁したヒトEpoR(R&D Systems,Minneapolis,MN)の可溶性細胞外ドメイン200μgと4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボン酸スルホスクシンイミジル(スルホSMCC)33μgに加え、4℃で一晩混合した。未反応EpoRを10KDaカットオフCentriconカラム(Millipore,Bedford,MA)で遠心除去した。
【0113】
2)ヒトEpoR(R&D Systems,Minneapolis,MN)の可溶性細胞外ドメイン(200μg)をPBSに再懸濁し、TCE−BPA(p−ベンゾイルフェニルアラニン)4μgと混合し、UV光(362nM)下に室温で45分間インキュベートした。未反応EpoRを10KDaカットオフCentriconカラム(Millipore,Bedford,MA)で遠心除去した。
【0114】
動物の免疫。上記のようにTCEとカップリングした可溶性EpoRをXenoMouse(登録商標)マウス(XenoMouse(登録商標)XG2,Abgenix,Inc.,Fremont,CA及びVancouver,BC)に免疫することにより、Ab12及びAb198(本明細書では夫々AB−ABT2−XG2−012及びAB−ABT2−XG2−198とも言う)を含む本発明のモノクローナル抗体を産生させた。初期免疫はマウス1匹当たり抗原20μgを完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma,St Louis,MO)と1:1v/vに混合して使用した。後続免疫は抗原20μgを不完全フロイントアジュバント(IFA)と1:1v/vに混合して使用した。特に、0、14、28及び42日に尾基部及び腹腔内注射により各動物を免疫した。
【0115】
EpoRのビオチン化。EpoR(Abbott CHO細胞由来ref.#RB69084:4)300μgをPBS(pH8.6)990μLに再懸濁し、DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かしたビオチン−NHS(Pierce,Rockford,Ill)100μgに加え、40分間室温(RT)でインキュベートした。遊離ビオチンと緩衝液を5kDa Centriconカラムで遠心除去し、PBS(pH7.4)で数回洗浄し、終濃度600μg/mLとなるように適当な容量に再懸濁した。
【0116】
回収用動物の選択。抗EpoR抗体力価をELISAにより測定した。ビオチンEpoR(上記)0.7μg/mlをストレプトアビジンプレート(Sigma,St Louis,MO)に室温で1時間コーティングした。未結合ビオチンEpoRを含む溶液を除去し、全プレートをdHOで5回洗浄した。EpoR免疫動物又はナイーブXenMouse(登録商標)動物からのXenoMouse(登録商標)血清を100倍初期希釈液から2個ずつ2%ミルク/PBSで2倍希釈により滴定した。最後のウェルはブランクとし、プレートをdHOで5回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)(Pierce,Rockford,IL)で標識した抗体を終濃度1μg/mLとなるように1時間室温で加えた。プレートをdHOで5回洗浄した。TMB発色基質(KPL,Gaithersburg,MD)を30分間加えてプレートを展開させ、1Mリン酸を加えることによりELISAを停止した。XenoMouse(登録商標)動物から得られた特異的力価を450nmの光学密度から決定し、表1に示す。力価は血清の希釈倍率の逆数であり、従って、値が大きいほどEpoRに対する体液免疫応答が大きい。
【0117】
【表1】

表1の血清分析データに基づいてXenoMouse(登録商標)動物14を回収用に選択した。
【0118】
B細胞の培養と選択。Babcookら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:7843−7848(1996)に記載の手順にほぼ従い、回収動物からのB細胞を培養し、EpoR特異的抗体を分泌する細胞を単離した。血清力価について上述したように実施したELISAを使用してEpoR特異的ウェルを同定した。細胞500個/ウェルの密度で培養したプレート50枚をビオチンEpoRでスクリーニングし、抗原特異的ウェルを同定した。表2に示すデータから明らかなように、バックグラウンド(0.05)を有意に上回るODを示す701個のウェルの存在が判明した。
【0119】
【表2】

これらのデータによると、ヒット頻度は非常に低く、ウェルが抗原特異性に関してモノクローナルであることを示した。これらの701個の陽性ウェルをビオチンEpoRで再スクリーニングした処、(下表3に太字で示す)137個のウェルがバックグラウンド(0.05)を有意に上回るODを示す真の抗原特異的ウェルであることが判明した。
【0120】
【表3】

【0121】
アゴニスト活性アッセイ。Epo応答性細胞株の増殖をアゴニストスクリーンの基準として使用した。ヒト赤白血病細胞株UT−7/Epo(Abbott ref#.RB29454−174)を使用してこれらの137個のウェルをアゴニスト活性についてスクリーニングした。ハーフエリア96ウェルプレートで最終容量50μLとなるように上清12.5μLをRPMI1640(10%FCS)中細胞1×10個/ウェルに加えた。ウェルサイズは典型的96ウェルプレートの面積の2分の1である。増殖を目視確認し、基線対照として滴定量のヒトEpoを含むか又はEpoを含まない培地中の細胞と比較した。増殖活性を示す11個のウェルが同定された。
【0122】
EpoR特異的溶血プラークアッセイ。このアッセイを実施するためには多数の特殊試薬が必要である。これらの試薬は以下のように調製した。
【0123】
ヒツジ赤血球(SRBC)のビオチン化:SRBCをRPMI培地に25%ストックとして保存した。ストック1.0mlを15mlファルコンチューブに分注し、細胞をスピンダウンさせ、上清を除去することにより、250μlSRBCパック細胞ペレットを得た。次に細胞ペレットを50ml試験管でPBS(pH8.6)4.75mlに再懸濁した。別の50ml試験管でスルホNHSビオチン2.5mgをPBS(pH8.6)45mlに加えた。ビオチンが完全に溶解したら、SRBC5mlを加え、試験管を室温で1時間回転させた。SRBCを3000gで5分間遠心し、上清を吸引除去し、PBS(pH7.4)25mlで洗浄した。洗浄サイクルを3回繰返した後、免疫細胞培地(10%FCS添加RPMI1640)4.75mlを250μlビオチン化SRBC(B−SRBC)ペレットに加え、B−SRBC(5%B−SRBCストック)を温和に再懸濁した。ストックを必要時まで4℃で保存した。
【0124】
B−SRBCのストレプトアビジン(SA)コーティング:5%B−SRBCストック1mlを別のエッペンドルフチューブに移した。B−SRBC細胞をマイクロ遠心機で8000rpm(6800rcf)のパルススピンでペレット化し、上清を吸引除去し、ペレットをPBS(pH7.4)1.0mlに再懸濁し、遠心を繰返した。洗浄サイクルを2回繰返した後、B−SRBCペレットを終濃度5%(v/v)となるようにPBS(pH7.4)1.0mlに再懸濁した。10mg/mlストレプトアビジン(CalBiochem,San Diego,CA)ストック溶液10μlを加え、試験管を混合し、室温で20分間回転させた。洗浄段階を繰返し、SA−SRBCをPBS(pH7.4)1mlに再懸濁した(5%(v/v))。
【0125】
SA−SRBCのEpoRコーティング:SA−SRBCに10μg/mlビオチン化EpoRをコーティングし、混合し、室温で20分間回転させた。SRBCを上記と同様にPBS(pH7.4)1.0mlで2回洗浄した。EpoRをコーティングしたSRBCを終濃度5%(v/v)となるようにRPMI(+10%FCS)に再懸濁した。
【0126】
免疫蛍光(IF)によるEpoR−SRBCの品質測定:PBS40μlを入れた夫々別の1.5mlエッペンドルフチューブに5%SA−SRBC10μlと5%PTHコートSRBC10μlを各々加えた。マウス抗EpoR抗体(R&D Systems Cat.# MAB307)20μg/mlをSRBCの各試料に加えた。試験管を室温で25分間回転させた後、細胞をPBS100μlで3回洗浄した。細胞をPBS50μlに再懸濁し、Alexa488(Molecular Probes,Eugene,OR)で標識したヤギ抗マウスIgG Fc抗体40μg/mLと共にインキュベートした。試験管を室温で25分間回転させた後、PBS100μlで洗浄し、細胞をPBS10μlに再懸濁した。染色細胞10μlを透明ガラス顕微鏡スライドにスポットし、ガラスカバースリップをかぶせ、蛍光下に観察し、0〜4の任意スケールでスコアした。
【0127】
血漿細胞の作製:先のアッセイにより該当免疫グロブリンを分泌するB細胞クローンを含むと同定された単一微量培養ウェルの内容物を回収した。100−1000μlピペットマンを使用し、37C RPMI(+10%FCS)を加えることによりウェルの内容物を回収した。細胞をピペッティングにより再懸濁した後に別の1.5mlエッペンドルフチューブに移した(最終容量500〜700μl)。細胞をマイクロ遠心機で1500rpm(240rcf)にて2分間室温で遠心した後、試験管を180°反転させ、再び2分間1500rpmで遠心した。凍結培地を吸引除去し、免疫細胞をRPMI(10%FCS)100μlに再懸濁した後、遠心した。RPMI(10%FCS)によるこの洗浄を繰返し、細胞をRPMI(FCS)60μlに再懸濁し、使用時まで氷上保存した。
【0128】
プラークアッセイ:ガラススライド(2×3インチ)に予めシリコンエッジを付着し、一晩室温で硬化させた。使用前にスライドをSigmaCoat(Sigma,Oakville,ON)約5μlで処理し、ガラス表面を均等に拭き取り、乾燥させた後、強く拭き取った。EpoRコートSRBC(5%v/vストック)、10%FCS添加RPMI中で調製した4×モルモット補体(Sigma,Oakville,ON)ストック、及び4×濃化用血清ストック(10%FCS添加RPMI中1:900)各60μlを細胞試料60μlに加えた。予備処理したスライドに混合物(3〜5μl)をスポットし、スポットを未希釈パラフィン油で覆った。スライドを37℃で最低45分間インキュベートした。
【0129】
プラークアッセイ結果:二次検出試薬単独(0/4)に比較してコーティングを検出するためにMAB307を使用して免疫蛍光顕微鏡測定によりコーティングを定性測定した処、非常に高品質(4/4)であることが判明した。ストレプトアビジンのみをコーティングした赤血球でMAB307抗体を使用した場合にはシグナルは検出されなかった(0/4)。次にこれらの赤血球を使用して表4に示す14個のウェルから抗原特異的血漿細胞を同定した。抗原特異的血漿細胞を回収する顕微操作後に、可変領域遺伝子をコードする遺伝子を単一血漿細胞でRT−PCRにより回収した。
【0130】
【表4】

【0131】
発現。単一血漿細胞の単離後に、mRNAを抽出し、逆転写PCRを実施してcDNAを作製した。ポリメラーゼ連鎖反応を使用して重鎖及び軽鎖可変領域をコードするcDNAを特異的に増幅した。重鎖可変領域はIgG2発現ベクターにクローニングした。このベクターはヒトIgG2の定常領域をpcDNA3.1+/Hygro(Invitrogen,Burlington,ON)のマルチクローニング部位にクローニングすることにより作製した。軽鎖可変領域はIgK発現ベクターにクローニングした。このベクターはヒトIgKの定常領域をpcDNA3.1+/Neo(Invitrogen,Burlington,ON)のマルチクローニング部位にクローニングすることにより作製した。次に重鎖及び軽鎖発現ベクターの適当な対を70%コンフルエントヒト胚性腎293細胞の60mm皿にコリポフェクションし、トランスフェクト細胞に組換え抗体を24時間分泌させた。上清(3mL)をHEK293細胞から回収し、ヒトIgGを特異的に検出するサンドイッチELISAで無傷抗体(AB−ABT2−XG2−012及びAB−ABT2−XG2−198)の分泌を確認した(表5,第4列)。ELISAを使用して組換え抗体とビオチン化とEpoRの結合によりAB−ABT2−XG2−012とAB−ABT2−XG2−198の特異性を確認した(表5,第5列)。
【0132】
【表5】

【0133】
抗原特異的抗体のELISAは以下のように実施した。対照プレートには2mg/mLヤギ抗ヒトIgG H+L O/Nをコーティングした。結合プレートには、ビオチン−EpoR(0.7μg/mL)をストレプトアビジン96ウェルプレート(Sigma,St Louis,MO)に1時間室温でコーティングした。プレートをdHOで5回洗浄した。7個のウェルについて組換え抗体を未希釈ミニリポフェクション上清から2倍希釈により滴定した。プレートをdHOで5回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的HRP標識抗体を終濃度1μg/mLとなるように1時間室温で加え、分泌及び結合試験用ELISAを実施した。プレートをdHOで5回洗浄した。TMB発色基質(KPL,Gaithersburg,MD)を30分間加えてプレートを展開させ、1Mリン酸を加えることによりELISAを停止した。各ELISAプレートを分析し、各ウェルの450nmの光学密度を測定した。
【0134】
AB−ABT2−XG2−012及びAB−ABT2−XG2−198の精製。大規模生産のために、HEK293細胞を70%コンフルエントまで培養した100mm皿10枚に重鎖及び軽鎖発現ベクター(各鎖2.5μg/皿)をリポフェクションした。トランスフェクト細胞を37℃で4日間インキュベートし、上清(6mL)を回収し、新鮮な培地6mLと交換した。7日目に上清を取出し、初期回収液(プレート10枚から合計120mL)と共にプールした。Protein−A Sepharose(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ)アフィニティクロマトグラフィー(1mL)を使用してABT2−XG2−012及びABT2−XG2−198抗体を上清から精製した。0.1Mグリシン(pH2.5)500μLを使用して抗体をProtein−Aカラムから溶出させた。溶出液をPBS(pH7.4)で透析し、濾過滅菌した。抗体を非還元SDS−PAGEにより分析し、純度と収率を測定した。
【0135】
組換え抗体のアゴニスト活性。上記アゴニスト活性アッセイの項に記載したようにUT−7/Epo細胞を使用してこれらの組換え抗体がEpo応答性細胞の増殖を刺激する能力を試験し、MTS試薬(Promega,Madison,WI)により増殖を定量し、490nmで測定した。ABT2−SCX−012及びABT2−SCX−198は下記のように抗体を含まない培地中の細胞に比較して増殖を誘導した(夫々図14及び15)。
【0136】
抗ヒトFcの効果。ABT2−SCX−012及びABT2−SCX−198のアゴニスト活性は自己凝集に起因する可能性がある。この問題を検討するために、抗ヒトFc二次抗体の添加により凝集を誘導し、UT−7/Epo細胞を使用してABT2−SCX−012及びABT2−SCX−198のアゴニスト活性に及ぼす効果を調べた。下記のように、二次抗体の添加はABT2−SCX−198の活性には効果がなく(図16)、ABT2−SCX−012の活性を阻害した。(図4 17)。
【0137】
二次Abの添加はABT2−SCX−012の活性を阻害したので、この抗体の凝集がその活性を妨害し、従って、ABT2−SCX−012は凝集に起因するアゴニスト活性をもつとは思われないと結論した。他方、ABT2SCX−198の結果は解釈しにくい。効果がないのはABT2−SCX−198が完全に凝集し、従って、二次Abを添加してもその活性にそれ以上効果がないためであると考えられる。あるいは、効果がないのはABT2−SCX−198の活性が二次抗体によるコンホメーション制限により変化しないためであるとも考えられる。
【0138】
ABT2−SCX−012及びABT2−SCX−198の配列分析。抗体ABT2−SCX−012及びABT2−SCX−198の重鎖可変領域と軽鎖可変領域をシーケンシングし、そのDNA配列を決定した。抗EpoR抗体の完全配列情報とγ重鎖及びκ軽鎖の各可変領域のヌクレオチド及びアミノ酸配列を図1、2、及び18〜30に示す。図1及び2は定常領域を含む全長配列を示す。
【0139】
重鎖可変領域配列を分析し、VHファミリー、D領域配列及びJ領域配列を決定した。次に配列を翻訳し、一次アミノ酸配列を決定し(図29)、生殖細胞系列VH、D及びJ領域配列と比較し、体細胞超変異を調べた。抗EpoR抗体γ鎖全体の一次アミノ酸配列は図16に示す。生殖細胞系列配列を上段に示し、突然変異を新規アミノ酸配列で示す。未変異アミノ酸はダッシュ(−)で示す。軽鎖を同様に分析し、V及びJ領域を決定し、生殖細胞系列κ配列からの体細胞突然変異を同定した(図30)。ABT2−SCX−012の重鎖はVH4−59(DP−71)、DIR4rc及びJH4a遺伝子セグメントを使用することが判明し、軽鎖はVkI(A30)及びJkl遺伝子セグメントを使用することが判明した。ABT2−SCX−198の重鎖はVH3−30(V3−30)、D4−23及びJH6b遺伝子セグメントを使用することが判明し、軽鎖はVkI(L5)及びJk3遺伝子セグメントを使用することが判明した。
【実施例2】
【0140】
組換えEPO受容体を発現するCHO細胞との結合に関するAb12と125I標識EPOの競合
全長組換えヒトEPO受容体を発現するCHO細胞をアッセイ前の72時間24ウェルプレートに5×10個/ウェルでプレーティングした。アッセイ当日にRPMI1640,0.5%BSA,1mM NaNで希釈した指定濃度(図5に示す)のAb12、Ab198、又はEPO95μlと、125I−EPO(Amersham Cat.#IM178,Arlington Heights,IL 486ci/mM)5μl(6ng)をウェルに加えた。37℃で1.5時間インキュベーション後にウェルを冷HBSSで3回洗浄し、0.1N NaOH0.5mlを使用して回収した。試料をMicromedic ME Plusγカウンターで計数した。結果を図5に示す。特に、結果はAb12及び198がエリスロポエチン受容体との結合に関してEPOと競合することを示す。
【実施例3】
【0141】
Biacore試験
Biacontrolソフトウェアバージョン3.1.(Biacore,Uppsala,Sweden)を使用してBiacore 2000で以下の試験を実施した。チップ表面に直接固相化した抗体で結合分析を実施した後に、種々の濃度の受容体を注入した。
【0142】
抗体の固相化
抗体の固相化はBiacoreソフトウェアパッケージでデフォルト固相化プログラムを使用して実施した。抗体を同梱酢酸緩衝液で10μg/mLまで希釈し、固相化を実施するのに適したpHをプレスクリーニングした。固相化のために抗体を適当な酢酸緩衝液(10mM酢酸塩,pH4.0)で希釈し、3種の異なる蛋白質濃度(500、1000、及び1500RU)で標準EDC化学を使用してチップ表面に直接カップリングした。4番目のフローセルはモックであり、EDCとカップリングしてカルボキシル基をキャッピングし、陰性対照としてのバックグラウンド表面とした。
【0143】
結合試験
結合試験は種々の濃度の可溶性ヒトEPO受容体をチップ表面に連続注入することにより実施した(500RU固相化蛋白質)。結合分析はランニング緩衝液(HBS−EP)で所望濃度(10〜200nM)まで希釈した受容体を使用して同梱HBS−EP緩衝液[HBS緩衝液−10mM HEPES,pH=7.4,150mM NaCl,3mM EDTA,0.005%ポリソルベート20(v/v),Biacore]中で実施した。実験は流速30μL/分で実施した。受容体を3分間注入した後に15分間解離させた。陰性対照として作製したフローセルにも同時注入を行った。全注入は3回ずつ実施した。
【0144】
モデルフィッティング
BiaEvaluation 3.0.2ソフトウェアパッケージ(Biacore)で提供されるモデルにデータをフィットさせた。陰性対照表面への同時注入からのデータ点を差し引くことにより実験注入からのデータ点を補正した。補正データを使用してBiaEvaluationソフトウェアパッケージで提供される1:1(ラングミュア)結合モデルと2価分析物モデルにフィットさせた。ラングミュア結合モデルとのフィッティングから解離定数を直接計算した。2価分析物モデルでは、解離速度定数と会合速度定数k及びkの計算値を使用して間接的に解離定数を計算した。
【0145】
【表6】

【実施例4】
【0146】
EPO依存的ヒト細胞増殖アッセイ
10%ウシ胎仔血清と組換えヒトエリスロポエチン1単位/mLを加えたRPMI1640培地にヒト赤白血病細胞株F36E細胞のストック培養液を保存した。アッセイの前に、EPOを含まない増殖培地に密度4.0〜5.0×10個/mLで細胞を一晩培養した。細胞を回収し、洗浄し、アッセイ培地(RPMI1640+10%FBS)に密度1.0×10個/mLで再懸濁し、細胞50μLを96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに加えた。アッセイ培地中Ab12、Ab390、Ab412、Ab467、Ab484、Ab430/432及びAb198又はEPO標準(組換えヒトEPO(rHuEPO))各50μLをウェルに加え、プレートを5%CO雰囲気下に37℃の加湿インキュベーターでインキュベートした。72時間後に、Promega Cell Titer 96 Aqueous(登録商標)試薬(製造業者の指示に従って調製,Madison,Wisconin)20μLを全ウェルに加えた。プレートを5%CO雰囲気下に37℃で4時間インキュベートし、マイクロプレートリーダー(Wallac Victor 1420 Multilabel Counter,Wallac Company,Boston,MA)を使用して490nmの光学密度を測定した。結果を図6に示す。全AbはF36E細胞株の増殖を刺激した。最大増殖活性はEPO対照で観察される活性と同等であり、濃度増加としてベル形曲線により示される。図7の結果から明らかなように、Ab12は4℃で20日間まで保存後にF36E細胞の増殖の誘導に活性である。増殖活性はEPO対照で観察される活性と同等であり、最大応答はモル当量基準で約10倍の差がある。
【実施例5】
【0147】
ヒトCD36+CFUeアッセイ
Poietics(Biowhittaker(Walkersville,MD))から入手した凍結ヒトCD36+赤血球前駆細胞を融解し、IMDM−2%FBS中細胞10個/mlとした。Methocult(StemCell Technologies,Vancouver,Canada,Cat.#04230)2.4ml、幹細胞増殖因子(Sigma,St.Louis,Missouri Cat.#S7901,100μg/ml)0.3ml、及びEPO(R&D Systems)、Ab12、又はIMDM−2%FBS0.3mlを入れた0.3ml試験管に細胞(0.3ml)を加えた。混合後、Methocult懸濁液1.1mlを35mm非組織培養液処理滅菌ペトリ皿に加え、37℃、5%COで2週間インキュベートした。コロニーを顕微鏡で確認した。結果を図8に示す。特に、Ab12はヒトCD36+前駆細胞からCFU−Eコロニーの形成を誘導した。顕微鏡で確認されたコロニーを赤で示した。コロニーのサイズと個数は恐らく増殖シグナルの低下によりEPO対照で観察されるよりも減少している。
【実施例6】
【0148】
培養液中の赤血球産生活性の実証
Direct CD34+ Progenitor Cell Isolation Kit(Miltenyi,Auburn,CA)を使用してCD34+細胞をヒト末梢血から集積させた。回収した細胞をα培地で2回洗浄し、懸濁培養培地(α培地に30%FCS,1%脱イオンBSA,10−5Mβ−メルカプトエタノール,10−6Mデキサメタゾン,0.3mg/mLヒトホロトランスフェリン及び10ng/mLヒト組換え幹細胞因子を補充)に再懸濁した。濃度0.1〜100ng/mLの試験抗体を加えた6ウェルマイクロプレート2枚に細胞を密度1×10個/mLでプレーティングした。プレートを37℃、5%COで2週間インキュベートした。細胞計数及びベンジジン染色用に各ウェルから2個ずつ試料を回収した(Reference Fibach,E.,1998 Hemoglobin,22:5−6,445−458)。
【0149】
結果を図9に示す。特に、Ab198は前駆細胞から誘導されるヒト赤血球産生細胞の増殖を用量依存的に誘導した。ベンジジン染色により測定した増殖細胞数とヘモグロビン発現百分率はこの場合も恐らく増殖シグナルの低下によりEPO処理対照に比較して減少した。
【実施例7】
【0150】
カニクイザル骨髄CFUeアッセイ
カニクイザルから骨髄を抽出し、PBSで2倍に希釈した。希釈した骨髄3mlをLymphoprep(Gibco(Invitrogen),Carlsbad,CA Cat.#1001967)6mlに重層し、2700rpmで20分間遠心し、バフィーコートを回収し、IMDM−2%FBS10mlで希釈した。細胞を遠心し、IMDM−2%FBSに10個/mlで再懸濁した。Methocult(StemCell Technologies,Vancouver,Canada,Cat.#04230)2.4ml,幹細胞増殖因子(Sigma,Cat.#S7901,100μg/ml)0.3ml、及びEPO(R&D Systems,Minneapolis,Minnesota)、試験抗体(Ab198)、又はIMDM−2%FBS0.3mlを入れた試験管に細胞(0.3ml)を加えた。混合後、Methocult懸濁液1.1mlを35mm非組織培養液処理滅菌ペトリ皿に加え、37℃、5%COで2週間インキュベートした。コロニーが顕微鏡で確認された。このアッセイの結果を図10に示すように、(コロニー数はEPO対照で観察されるよりも少ないが)Ab198はCFU−Eコロニーの形成を誘導することが立証された。
【実施例8】
【0151】
SE−3ペブチドの結合を測定するためのELISA
0.015M NaCO,0.035M NaHCO,pH9.4で希釈した5μg/ml可溶性EPO受容体(sEPOR)(R&D Systems(Minneapolis,MN)Cat.#307−ER/LF)、又はペブチドSE−3(PGNYSFSYQLEDEPWKLCRLHWAPTARGAV)(米国特許第6,319,499号に記載)80μlを96ウェルポリスチレンプレート(Dynatec(Elk Grove Village,IL)Immunolon 4)に2時間室温及び一晩4℃でコーティングした。プレートを30分間室温にてPBS(Gibco(Invitrogen(Carlsbad,CA))Cat.#10010)中5%BSA100μlでブロックした。ブロッキング溶液の除去後、1%BSA添加PBS中5μg/mlAb12 50μlをウェルに加え、プレートを室温で2時間インキュベートした。Skatron 400 Plate Washerを使用してプレートをPBS/0.05%Tween 20で3回洗浄し、PBS/0.25%BSA/0.05%Tween 20で希釈した二次抗体50μlをウェルに加えた。Ab12には1000倍に希釈したヤギ抗ヒトIgG(Fc)−HRP(Caltag(Burlingame,CA)Cat.#H10507)を使用し、Ab71A(American Type Culture Collection HB11689から入手可能、米国特許第6,319,499号にも記載)には5000倍に希釈したヤギ抗マウスIgG(Fc)−HRP(Jackson Laboratories(West Grove,PA)Cat.#115−035−164)を使用した。1時間室温でインキュベーション後、プレートを上記と同様に3回洗浄し、OPD Developing Reagent(Sigma #P9187)50μlを各ウェルに加えた。1N HCl 50μlを加えて発色を停止し、Victor 1420 Multi−Label Counterで490nmの光学密度を測定した。
【0152】
図11に示すように、Ab12はSE−3ペブチドと相互作用(即ち結合)しない。Ab71AはSE−3ペブチドと相互作用(即ち結合)する。Ab12及び71Aはいずれも固相化エリスロポエチン受容体と相互作用した。
【実施例9】
【0153】
EPO依存的増殖アッセイ
初代ハイブリドーマ上清を実施例5に記載したようにアッセイ培地で希釈し、F36Eヒト赤白血病細胞の増殖刺激能を試験した。5個の初代上清の結果を図12に示す。これらの試料はF36E細胞の増殖を刺激した。
【実施例10】
【0154】
ハイブリドーマ上清とSE−3ペブチドの結合を測定するためのELISA
42個の初代ハイブリドーマ上清が固相化EPO受容体又はペブチドSE−3と結合する能力を実施例10に記載したように試験した。図13に示すように、試験した全ハイブリドーマ上清は固相化EPO受容体と相互作用したが、バックグラウンドを上回るレベルでSE−3ペブチドと結合したのは試料16のみであった。
【実施例11】
【0155】
γ−1 Ab12とγ−2 Ab12の赤血球産生活性の比較
F36eヒト赤白血病細胞でγ−1 Ab12とγ−2 Ab12の赤血球産生活性を比較するために(実施例4に記載したような)増殖アッセイを実施した。結果を図31に示す。図31に示すように、γ−2 Ab12はγ−1 Ab12よりもF36E細胞株の増殖の刺激に有効であった。
【実施例12】
【0156】
in vivo赤血球産生に及ぼすAb12の効果
(a)mEpoR−/−,hEopR+トランスジェニックマウスの作製:ヒトEpoRのみを産生し(hEpoR+,単一対立遺伝子)、内因性マウスEpoRを産生しない(mEpoR−/−,二重対立遺伝子突然変異)トランスジェニックマウスをLiu,C.ら,Jounal of Biological Chemistry,272:32395(1997)とYu,X.ら,Blood,98(2):475(2001)に記載されているように作製した。繁殖コロニーを樹立し、in vivo赤血球産生試験用マウスを作製した。
【0157】
(b)多回投与レジメン:初期実験では、動物にAb12の多回投与レジメンを実施し、抗体が網状赤血球数及び/又はヘマトクリット%を増加させるか否かを試験した。5匹のトランスジェニックマウス(mEpoR−/−,hEpoR+)にビークル(0.1%ウシ血清アルブミン([BSA]を添加したリン酸緩衝食塩水[PBS])0.2mL中5μg又は50μgのAb12を皮下注射した。対照動物にも同様に等容量のビークル単独又はEpogen(登録商標)(Amgene(登録商標),Thousand Oaks,CA)5Uを添加したビークルを注射した。全動物に以下のスケジュールに従って3週間投与した。
【0158】
【表7】

【0159】
4日目(第1週の木曜日)に網状赤血球数と19日目(第3週の金曜日)ヘマトクリットを測定するために採血した。当分野で周知の方法を使用して網状赤血球数及びヘマトクリット測定を実施した。図32に示すように、Ab12はAb12抗体5又は50μgを投与した動物に網状赤血球数とヘマトクリット%の(対照に対して)統計的に有意な増加を生じた。
【0160】
(c)週1回投与レジメン:多回投与レジメンで検出された結果がAb12の投与回数を減らした動物でも観察されるか否かを調べるために、トランスジェニックマウスに(上記(b)に記載したように)各種濃度(0.5、2.5、5.0、50及び250μg)のAb12又は対照としてEpogen(登録商標)の高活性変異体であるAranesp(Arngeno,Thousand Oaks,CA)を1、8及び15日目に注射し、4日目と19日目に採血し、夫々網状赤血球数とヘマトクリットを測定した。対照動物にはビークル単独又はヒトIgG2アイソタイプ対照を単回投与した。図33に示すように、Ab12は最低濃度を除く全試験濃度でヘマトクリット百分率を(ビークル及びアイソタイプ対照に対して)統計的に有意に増加した。
【0161】
(d)単回と週1回投与レジメンの比較:Ab12の単回投与が3週間後の赤血球産生に効果があるか否かを調べるために、トランスジェニックマウスにAb12(50μg)を1週間おきに3週間又はAb12(150μg)を単回投与し、19日目に採血し、ヘマトクリット百分率を測定した。対照動物にはビークル単独、Aranesp(登録商標)(900ng)単回投与又はAranesp(登録商標)を1週間おきに合計3回(300ng×3)投与した。図34に示すようにAb12はどちらの投与レジメンでもヘマトクリット百分率をビークル対照に対して統計的に有意に増加した。他方、Aranesp(登録商標)の単回投与レジメンはこの効果がなかった。
【0162】
本明細書に引用する全抄録、文献、特許及び公開特許出願は参考資料として本明細書に組込む。
【0163】
以上、説明と実施例により本発明を例証した。以上の記載は非限定的な例証を目的とし、以上の記載に鑑みて多数の変形が当業者に自明である。
【0164】
本発明の概念と範囲から逸脱することなく本明細書に記載する本発明の方法の組成物、操作及び構成に変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1−1】ヒト抗体Ab12の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号69及び配列番号70)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号71〜74を含む。定常領域のみの配列を配列番号75として示す。可変鎖はヌクレオチド1283までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1284−1289である。定常領域はヌクレオチド1290−2826である。
【図1−2】ヒト抗体Ab12の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号69及び配列番号70)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号71〜74を含む。定常領域のみの配列を配列番号75として示す。可変鎖はヌクレオチド1283までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1284−1289である。定常領域はヌクレオチド1290−2826である。
【図1−3】ヒト抗体Ab12の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号69及び配列番号70)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号71〜74を含む。定常領域のみの配列を配列番号75として示す。可変鎖はヌクレオチド1283までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1284−1289である。定常領域はヌクレオチド1290−2826である。
【図1−4】ヒト抗体Ab12の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号69及び配列番号70)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号71〜74を含む。定常領域のみの配列を配列番号75として示す。可変鎖はヌクレオチド1283までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1284−1289である。定常領域はヌクレオチド1290−2826である。
【図2】ヒト抗体Ab12の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号76及び配列番号77)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号78を含む。定常領域のみの配列を配列番号79として示す。可変鎖はヌクレオチド1363までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1364−1369である。定常領域はヌクレオチド1370−1618である。
【図3−1】ヒト抗体Ab198の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号80及び配列番号81)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号82と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド1304までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1305−1310である。定常領域はヌクレオチド1311−2847である。
【図3−2】ヒト抗体Ab198の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号80及び配列番号81)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号82と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド1304までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1305−1310である。定常領域はヌクレオチド1311−2847である。
【図3−3】ヒト抗体Ab198の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号80及び配列番号81)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号82と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド1304までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1305−1310である。定常領域はヌクレオチド1311−2847である。
【図3−4】ヒト抗体Ab198の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号80及び配列番号81)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号82と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド1304までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1305−1310である。定常領域はヌクレオチド1311−2847である。
【図4−1】ヒト抗体Ab198の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号83及び配列番号84)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号78を含む。可変鎖はヌクレオチド1351までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1352−1357である。定常領域はヌクレオチド1358−1606である。
【図4−2】ヒト抗体Ab198の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号83及び配列番号84)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号78を含む。可変鎖はヌクレオチド1351までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド1352−1357である。定常領域はヌクレオチド1358−1606である。
【図5】組換えEPO受容体を発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞との結合に関するAb12と125I標識EPOの競合を示す。
【図6】Ab12とAb198を使用したEPO依存的ヒト細胞増殖アッセイの結果を示す。
【図7】Ab12が4℃で20日間まで保存後にF36E細胞増殖の誘導に活性であることを示す。
【図8】Ab12がヒト36前駆細胞からCFU−E(赤血球コロニー形成単位)の形成を誘導することを示す。
【図9】Ab198によるヒト赤血球産生細胞増殖の誘導を示す。
【図10】Ab198がカニクイザル骨髄由来赤血球前駆細胞からCFU−Eコロニーの形成を誘導することを示す。
【図11】Ab12がペブチドSE−3と相互作用しないことを示す。Ab71AはSE−3ペブチドと相互作用する。
【図12】初代ハイブリドーマにより分泌されるヒトAbがF36E細胞の増殖を誘導することを示す。
【図13】初代ハイブリドーマにより分泌されるヒトAb上清は無傷EPO受容体と相互作用するが、ペブチドSE−3とは相互作用しないことを示す。
【図14】UT7/EPO細胞の増殖に対する各種濃度のAb12の活性を示す。
【図15】UT7/EPO細胞の増殖に対する各種濃度のAb198の活性を示す。
【図16】UT7/EPO細胞の成長と増殖に対する各種濃度のAb198の活性(二次ヤギ抗ヒトFC抗体添加時と非添加時)を示す。
【図17】UT7/EPO細胞の成長と増殖に対する各種濃度のAb12の活性(二次ヤギ抗ヒトFC抗体添加時と非添加時)を示す。
【図18】本発明の細胞株ABT2−SCX−003により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図18A(配列番号10)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図18B(配列番号11)は図18Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図18C(配列番号12)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図18D(配列番号13)は図18Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図19】本発明の細胞株ABT2−SCX−012(本明細書ではAb12とも言う)により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図19A(配列番号2)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図19B(配列番号3)は図19Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図19C(配列番号4)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図19D(配列番号5)は図19Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図20】本発明の細胞株ABT2−SCX−022により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図20A(配列番号14)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図20B(配列番号15)は図20Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図20C(配列番号16)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図20D(配列番号17)は図20Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図21】本発明の細胞株ABT2−SCX−054により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図21A(配列番号18)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図21B(配列番号19)は図21Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図21C(配列番号20)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図21D(配列番号21)は図21Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図22】本発明の細胞株ABT2−SCX−060により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図22A(配列番号10)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図22B(配列番号11)は図22Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図22C(配列番号22)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図22D(配列番号23)は図22Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図23】本発明の細胞株ABT2−SCX−102により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図23A(配列番号10)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図23B(配列番号11)は図23Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図23C(配列番号24)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図23D(配列番号25)は図23Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図24】本発明の細胞株ABT2−SCX−135により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図24A(配列番号10)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図24B(配列番号11)は図24Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図24C(配列番号26)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図24D(配列番号27)は図24Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図25】本発明の細胞株ABT2−SCX−145により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図25A(配列番号10)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図25B(配列番号11)は図25Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図25C(配列番号28)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図25D(配列番号29)は図25Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図26】本発明の細胞株ABT2−SCX−198(本明細書ではAb198とも言う)により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図26A(配列番号6)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図26B(配列番号7)は図26Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図26C(配列番号8)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図26D(配列番号9)は図26Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図27】本発明の細胞株ABT2−SCX−254により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図27A(配列番号30)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図27B(配列番号31)は図27Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図27C(配列番号32)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図27D(配列番号33)は図27Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図28】本発明の細胞株ABT2−SCX−267により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図28A(配列番号34)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図28B(配列番号35)は図28Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図28C(配列番号36)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図28D(配列番号37)は図28Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図29】本発明により作製された抗EPOrmAbの重鎖可変領域とその関連生殖細胞系列可変領域配列のアミノ酸配列アラインメントを示し、フレームワーク領域と相補性決定領域を同定する表である。
【図30】本発明により作製された抗EPOrmAbの軽鎖可変領域とその関連生殖細胞系列可変領域配列のアミノ酸配列アラインメントを示し、フレームワーク領域と相補性決定領域を同定する表である。
【図31】F36eヒト赤白血病細胞株に対する各種濃度のγ−1 Ab12モノクローナル抗体(Mab)とγ−2 Ab12 Mabの赤血球産生活性を比較したグラフである。
【図32】ビークル、Epogen(5U)又はAb12抗体(5又は50μg)の多回投与レジメン下のトランスジェニックマウスにおける網状赤血球百分率とヘマトクリット百分率の増加を示すグラフである。
【図33】各種濃度のAranesp(登録商標)又はAb12の週1回投与レジメン(3週間)下のトランスジェニックマウスにおけるヘマトクリット百分率の増加を示すグラフである。
【図34】各種濃度のAranesp(登録商標)又はAb12の単回投与と週1回投与レジメン下のトランスジェニックマウスにおけるヘマトクリット百分率の増加を比較したグラフである。
【図35】本発明の細胞株ABT2−SCX−390により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図35A(配列番号38)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図35B(配列番号39)は図35Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図35C(配列番号40)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図35D(配列番号41)は図35Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図36】本発明の細胞株ABT2−SCX−412により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図36A(配列番号42)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図36B(配列番号43)は図36Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図36C(配列番号44)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図36D(配列番号45)は図36Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図37】本発明の細胞株ABT2−SCX−430/432により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図37A(配列番号46)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図37B(配列番号47)は図37Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図37C(配列番号48)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図37D(配列番号49)は図37Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図38】本発明の細胞株ABT2−SCX−467により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図38A(配列番号50)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図38B(配列番号51)は図38Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図38C(配列番号52)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図38D(配列番号53)は図38Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図39】本発明の細胞株ABT2−SCX−484により発現されるヒト抗EPO−R抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ヌクレオチド及びアミノ酸配列の一覧であり、図39A(配列番号54)は重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図39B(配列番号55)は図39Aに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示し、図39C(配列番号56)は軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を示し、図39D(配列番号57)は図39Cに示すヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を示す。
【図40】本発明により作製された抗EPOrmAbの重鎖可変領域とその関連生殖細胞系列可変領域配列のアミノ酸配列アラインメントを示し、フレームワーク領域と相補性決定領域を同定する表である。
【図41】本発明により作製された抗EPOrmAbの軽鎖可変領域とその関連生殖細胞系列可変領域配列のアミノ酸配列アラインメントを示し、フレームワーク領域と相補性決定領域を同定する表である。
【図42−1】ヒト抗体Ab390の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号86及び配列番号87)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号88と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図42−2】ヒト抗体Ab390の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号86及び配列番号87)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号88と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図42−3】ヒト抗体Ab390の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号86及び配列番号87)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号88と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図42−4】ヒト抗体Ab390の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号86及び配列番号87)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号88と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図43−1】ヒト抗体Ab390の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号89及び配列番号90)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号91を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図43−2】ヒト抗体Ab390の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号89及び配列番号90)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号91を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図44−1】ヒト抗体Ab412の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号92及び配列番号93)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号94と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド476−2012である。
【図44−2】ヒト抗体Ab412の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号92及び配列番号93)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号94と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド476−2012である。
【図44−3】ヒト抗体Ab412の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号92及び配列番号93)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号94と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド476−2012である。
【図44−4】ヒト抗体Ab412の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号92及び配列番号93)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号94と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド476−2012である。
【図45−1】ヒト抗体Ab412の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号95及び配列番号96)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号97を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図45−2】ヒト抗体Ab412の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号95及び配列番号96)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号97を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図46−1】ヒト抗体Ab432の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号98及び配列番号99)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号100と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図46−2】ヒト抗体Ab432の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号98及び配列番号99)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号100と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である
【図46−3】ヒト抗体Ab432の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号98及び配列番号99)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号100と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である
【図46−4】ヒト抗体Ab432の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号98及び配列番号99)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号100と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である
【図47−1】ヒト抗体Ab430の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号101及び配列番号102)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号103を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図47−2】ヒト抗体Ab430の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号101及び配列番号102)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号103を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図48−1】ヒト抗体Ab467の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号104及び配列番号105)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号106と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図48−2】ヒト抗体Ab467の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号104及び配列番号105)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号106と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図48−3】ヒト抗体Ab467の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号104及び配列番号105)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号106と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図48−4】ヒト抗体Ab467の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号104及び配列番号105)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号106と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−2006である。
【図49−1】ヒト抗体Ab467の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号107及び配列番号108)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号109を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図49−2】ヒト抗体Ab467の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号107及び配列番号108)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号109を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図50−1】ヒト抗体Ab484の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号110及び配列番号111)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号112と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド470−2012である。
【図50−2】ヒト抗体Ab484の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号110及び配列番号111)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号112と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド470−2012である。
【図50−3】ヒト抗体Ab484の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号110及び配列番号111)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号112と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド470−2012である。
【図50−4】ヒト抗体Ab484の重鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号110及び配列番号111)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号112と配列番号72〜74を含む。可変鎖はヌクレオチド469までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド470−475である。定常領域はヌクレオチド470−2012である。
【図51−1】ヒト抗体Ab484の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号113及び配列番号114)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号115を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【図51−2】ヒト抗体Ab484の軽鎖の単離精製ポリヌクレオチド(上段及び下段夫々配列番号113及び配列番号114)とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は配列番号115を含む。可変鎖はヌクレオチド463までである。可変/定常結合領域(下線部)はヌクレオチド464−469である。定常領域はヌクレオチド470−718である。
【配列表】













































【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化するが、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項2】
エリスロポエチン受容体に対する内因性ヒトエリスロポエチンの結合親和性の100倍以内の結合親和性を示す、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化することが可能な抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項3】
配列番号3又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項4】
配列番号5又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項5】
配列番号3又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域と、配列番号5又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項6】
配列番号7又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項7】
配列番号9又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項8】
配列番号7又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域と、配列番号9又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項9】
配列番号11、15、19、31、35、39、43、47、51及び55又はその抗体フラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項10】
配列番号13、17、21、23、25、27、29、33、37、41、45、49、53及び57又はその抗体フラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項11】
配列番号11/配列番号13、配列番号15/配列番号17、配列番号19/配列番号21、配列番号11/配列番号23、配列番号11/配列番号25、配列番号11/配列番号27、配列番号11/配列番号29、配列番号31/配列番号33、配列番号35/配列番号37、配列番号39/配列番号41、配列番号43/配列番号45、配列番号47/配列番号49、配列番号51/配列番号53及び配列番号55/配列番号57又はその抗体フラグメントから構成される群から選択される少なくとも1個の重鎖可変領域と少なくとも1個の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項12】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号3又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項13】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号5又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項14】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号7又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項15】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号9又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項16】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号11又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項17】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号13又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項18】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号15又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項19】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号17又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項20】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号19又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項21】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号21又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項22】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号23又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項23】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号25又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項24】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号27又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項25】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号29又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項26】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号31又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項27】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号33又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項28】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号35又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項29】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号37又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項30】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号39又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項31】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号41又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項32】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号43又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項33】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号45又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項34】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号47又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項35】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号49又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項36】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号51又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項37】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号53又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項38】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号55又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の重鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項39】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体に結合することが可能であり、配列番号57又はその抗体フラグメントのアミノ酸配列をもつ少なくとも1個の軽鎖可変領域を含む単離抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項40】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体と結合することが可能であり、配列番号58、配列番号59、配列番号60、及び配列番号61とそのフラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつCDR1〜CDR3の連続配列を含む重鎖可変領域を含む単離抗体。
【請求項41】
哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体と結合することが可能であり、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78及びそのフラグメントから構成される群から選択されるアミノ酸配列をもつCDR1〜CDR3の連続配列を含む軽鎖可変領域を含む単離抗体。
【請求項42】
ヒトエリスロポエチン受容体を活性化するために治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含み、抗体又は抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の活性化方法。
【請求項43】
受容体の活性を調節するために治療的に有効な量の請求項1に記載の抗体又は抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の調節方法。
【請求項44】
治療を必要とする哺乳動物に受容体を活性化するために治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントを投与する段階を含み、前記抗体又は抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、形成不全症の哺乳動物の治療方法。
【請求項45】
治療を必要とする哺乳動物に受容体の活性を調節するために治療的に有効な量の請求項1に記載の抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む、形成不全症の哺乳動物の治療方法。
【請求項46】
抗体又はその抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない、治療的に有効な量の抗体又はその抗体フラグメントと医薬的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物前記医薬組成物。
【請求項47】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、そのフラグメント、相補配列、及び縮重コドン等価物から構成される群から選択される単離精製ポリヌクレオチド配列。
【請求項48】
配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68及びそのフラグメントから構成される群から選択される単離精製アミノ酸配列。
【請求項49】
γ−2アイソタイプである、哺乳動物においてヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性を活性化する抗体又はその抗体フラグメント。
【請求項50】
前記抗体又は抗体フラグメントがモノクローナル抗体である請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項51】
前記抗体又は抗体フラグメントがヒト化抗体である請求項50に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項52】
前記抗体又は抗体フラグメントがヒト抗体である請求項50に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項53】
前記抗体又は抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列をもつペブチドと相互作用しない請求項50に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項54】
前記抗体又は抗体フラグメントがAb3、Ab12、Ab22、Ab54、Ab60、Ab102、Ab135、Ab145、Ab198、Ab254、Ab267、Ab390、Ab412、Ab430/432、Ab467及びAb484から構成される群から選択される請求項50に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項55】
ヒトエリスロポエチン受容体を活性化するために治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の活性化方法。
【請求項56】
受容体の活性を調節するために治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントを哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物におけるヒトエリスロポエチン受容体の内因性活性の調節方法。
【請求項57】
治療を必要とする哺乳動物に受容体を活性化するために治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む、形成不全症の哺乳動物の治療方法。
【請求項58】
治療を必要とする哺乳動物に受容体の活性を調節するために治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む、形成不全症の哺乳動物の治療方法。
【請求項59】
治療を必要とする哺乳動物に受容体の活性を調節するために治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントを投与する段階を含む、貧血症の哺乳動物の治療方法。
【請求項60】
治療的に有効な量の請求項49に記載の抗体又は抗体フラグメントと医薬的に許容可能な賦形剤を含有する医薬組成物。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図1−4】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図3−4】
image rotate

【図4−1】
image rotate

【図4−2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42−1】
image rotate

【図42−2】
image rotate

【図42−3】
image rotate

【図42−4】
image rotate

【図43−1】
image rotate

【図43−2】
image rotate

【図44−1】
image rotate

【図44−2】
image rotate

【図44−3】
image rotate

【図44−4】
image rotate

【図45−1】
image rotate

【図45−2】
image rotate

【図46−1】
image rotate

【図46−2】
image rotate

【図46−3】
image rotate

【図46−4】
image rotate

【図47−1】
image rotate

【図47−2】
image rotate

【図48−1】
image rotate

【図48−2】
image rotate

【図48−3】
image rotate

【図48−4】
image rotate

【図49−1】
image rotate

【図49−2】
image rotate

【図50−1】
image rotate

【図50−2】
image rotate

【図50−3】
image rotate

【図50−4】
image rotate

【図51−1】
image rotate

【図51−2】
image rotate


【公表番号】特表2006−523083(P2006−523083A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544846(P2004−544846)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032243
【国際公開番号】WO2004/035603
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】