エレクトロスパン・アパタイト/ポリマー・ナノ複合骨格
人工の骨複合構造体が提供される。この構造体は、それ自身が複数の繊維を含む繊維状マトリクスを有する。また、この構造体は、複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子を有する。これらの粒子は、繊維状マトリクス内で分散している。また、HA粒子は、調整されたサイズ及びアスペクト比を有し、繊維の長軸に沿って配列している。場合によっては、繊維はポリL乳酸(PLLA)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2007年3月26日に出願された現在係属中の「エレクトロスパン・アパタイト/ポリマー・ナノ複合骨格」と題する米国特許仮出願60/907,207号の優先権を主張し、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、主として複合材料に関する。また、本発明は、主として複合材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野における現代科学研究の先端領域の1つは、人口的に複製された骨および他の種類の組織に焦点が当てられている。このような研究の目的の1つは、外科手術の間にヒト患者に埋め込まれる人工的に製造された材料を外科医に提供することである。
【0004】
現在、ある外科医は、患者の体の一部分から骨又は組織を取り出し、患者の体の他の部分に再び取り付けている。例えば、脊髄手術の間、ときどき尻から骨を取り出し、脊柱に組み込んでいる。他のある外科医は、自然の骨が破壊または劣化している場合、金属部品(金属の棒及び/又は板)を患者の体の部分に組み込むことを余儀なくされている。
【0005】
構造的に、自然の骨は、ヒドロキシアパタイト(HA)及び繊維状コラーゲンを含む複合材料である。自然の骨では、HA結晶がコラーゲン繊維マトリクスの中に埋め込まれ、繊維の長軸に沿って配列している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、自然の骨の精密な構造を人工的に複製する方法が存在しない。自然の骨構造を人工的に複製する最も進んだ方法でさえ、自然の骨の配列に似た態様でHA結晶を配列させることに少なくとも失敗している。このように、人工的に生成された骨は、自然に発生した骨と同じ機械的/生物学的/化学的な特性を有していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング法を用いて、アパタイト/繊維状ポリマー・ナノ複合骨格が製造される。エレクトロスピニング法は、直径約50nm〜数μmの繊維を製造する便利で使い道の多い製造技術である。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング法によって製造された構造は、互いにつながった細孔を有する高多孔質である。この繊維状構造は、一般に、細胞外基質(ECM)の構造に似ている。これらの繊維状構造は、人工的な骨の複合材として使用され得る。さらに、これらの繊維状構造は、生体適合性、機械的特性、及び繊維状構造及び組織の細胞付着及び成長に基づいて、他の組織とともに使用され得る。
【0008】
本発明の他の一実施形態によれば、約10nm〜約10μmの範囲のサイズを有し、約50以下の平均アスペクト比を有するHA粒子が合成される。HA粒子は、ポリマー・ナノ繊維を有する回転ドープ及びコエレクトロスパンの中でよく分散される。HA/PLLAナノ複合繊維状骨格は、PLLAナノ繊維の中で均一に分配されたHA粒子で製造され得る。
【0009】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、約20重量%以下のHAナノ粒子がPLLAナノ繊維に組み込まれる。これらのナノ粒子は、ポリマー繊維の長軸に沿ってよく配列されている。このようにして得られたマイクロ構造は、自然の骨のECM内の無機/有機の構成要素のマイクロ配列に酷似している。このようにして製造された骨格は、望ましい機械特性と良好な細胞シグナル伝達特性を有する。少なくとも上記の観点では、このような骨格は、細胞及び生理活性物質を搭載するのに適している。また、20重量%より多いHAナノ粒子の組み込みもまた、本発明の一実施形態の範囲内であることに留意すべきである。
【0010】
自然の骨の構造的、機械的及び生物学的な習性を模倣した骨移植材料を製造することが望ましい。この要求は、本発明の一実施形態、特に、骨格と、高度に結晶化され、よく分散されたHAナノ粒子とを含む構造が提供されることによって大いに満たされる。この構造では、HAナノ粒子は、約5〜約50の範囲内の制御可能なアスペクト比を有する。
【0011】
本発明の他の一実施形態によれば、自分自身が複数の繊維を含む繊維状マトリクスを含む構造が提供される。この構造もまた、繊維状マトリクスの中で分散された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子を含み、HA粒子が複数の繊維の長軸に沿って十分に配列している。
【0012】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、構造を形成する方法が提供される。この方法は、ヒドロキシアパタイト(HA)粒子をポリL乳酸(PLLA)溶液に加えて混合物を形成し、その混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成することを含んでいる。
【0013】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、複数の繊維を含む繊維状マトリクスを有する構造が提供される。この構造もまた、繊維状マトリクス内で分散された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子を含み、この構造は、ポリL乳酸(PLLA)溶液にHA粒子を加えて混合物を形成し、その混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成することによって繊維状マトリクスを形成し、製造される。
【0014】
以上、本発明の一実施形態を、その詳細な説明がよく理解できるように整理して、かつ、この技術の貢献がよく認識できるように整理して、やや広く概説してきた。当然のことながら、以下に説明される本発明の追加の実施形態があり、それらは、ここに添付される特許請求の範囲の主題を形成するであろう。
【0015】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前は、当然のことながら、本発明はその用途を、詳細な構成に、及び後述の又は示された図面の構成要素の編成に限定されない。本発明は、ここで述べたものに追加する実施形態が可能であり、種々の方法で実践及び実施することができる。また、当然のことながら、ここで使用された表現及ぶ用語は、要約と同様に、説明を目的とするものであって、制限として捉えられるべきではない。
【0016】
このように、この開示が基礎とする概念は、本発明のいくつかの目的を実行するために他の構成、方法及びシステムを設計する基礎として容易に利用されることを、当業者は認識するであろう。したがって、当業者が本発明の精神及び要旨を逸脱しない限りにおいて、このような等価的な構成を含むものとして特許請求の範囲を見なすことが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、エレクトロスパンPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図1b】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、HA/PLLA(重量比20:80)複合ナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図1c】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、HA/PLLA/HA(重量比20:80)複合ナノ繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【図2a】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、エレクトロスピニング・ドープ内のPLLA濃度の変化の効果を示す。
【図2b】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、複合繊維内のHA含有量(重量%)の変化の効果を示す。
【図2c】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、電源電圧の変化の効果を示す。
【図2d】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、注入レートの変化の効果を示す。
【図2e】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、スピナレット(紡糸口金)の内径の変化の効果を示す。
【図2f】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、スピナレット・チップとエレクトロスパン・ナノ繊維の直径上のコレクタとの間の距離の変化の効果を示す。
【図3a】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、ポリエチレングリコール(PEG)コア・PLLAシェル・ナノ繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【図3b】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、高度に配列したPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図3c】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、高多孔性のPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図4】(a)〜(c)はエレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA骨格の機械的特性を示す図であり、(a)は繊維の平均直径が110±15nmであるHA/PLLAエレクトロスパン骨格の通常の応力対歪みの曲線を示し、(b)は繊維の平均直径が110±15nmであるHA/PLLAエレクトロスパン骨格のヤング率(E,斜線バー)及び引張応力(単色バー)を示し、(c)は繊維の平均直径が170±25nmである異なる構成要素のHA/PLLAエレクトロスパン骨格のヤング率(E)及び引張応力を示す。
【図5a】異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の機械的特性を示す図であり、異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の応力対歪みの曲線を示す。
【図5b】異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の機械的特性を示す図であり、異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の引張試験の結果を示す。
【図6】(a)〜(e)は本発明の一実施形態によるエレクトロスピニングから得られたPLLAナノ繊維を示す図であり、(a)は異なるPLLA濃度からの繊維エレクトロスパムの平均直径及び標準偏差を示し、(b)で使用された濃度はPLLA=4.0重量%であり、(c)で使用された濃度はPLLA=6.0重量%であり、(d)で使用された濃度はPLLA=8.0重量%であり、(e)で使用された濃度はPLLA=10.0重量%である。(b)〜(e)はすべて×20,000の倍率で撮られたものである。
【図7】(a)〜(d)はエレクトロスパムHA/PLLA複合物を示す図であり、(a)は100℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(b)は70℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(c)は95℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(d)は95℃における尿素分解を介して複合物内のHA粒子が合成されたものである。異なるサイズ及びアスペクト比を有するHA粒子が図示したポリマーナノ繊維内で均等に分布していることを当業者は認識するであろう。また、(a)〜(d)に示す複合物は、PLAナノ繊維の長軸に沿った良好な配列性を表している。これらの混合物におけるHA含有量は20重量%である。
【図8】(a)〜(b)は、それぞれ、PLLA及びHA/PLLA骨格の表面上における生体模倣アパタイトの薄い層の被覆を示す図である。
【図9】ナノサイズ(NHA)又はマイクロサイズ(MHA)の針状HA粒子、およびランダム又は配列された繊維状アセンブリを有するエレクトロスパムHA/PLLA繊維状骨格からのFITC−BSAの体外放出を示す図である。
【図10】3日、7日及び10日の培養後の異なる骨格上の相対細胞生存率を示す図であり、サンプルAはランダム・アセンブリのPLLA骨格であり、サンプルBはランダム・アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルCはランダム・アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルDはランダム・アセンブリの生体模倣のアパタイト被覆されたナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルEは配列アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルFは配列アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格である。
【図11】7日及び10日の培養後の異なる骨格上の相対アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性を示す図であり、サンプルAはランダム・アセンブリのPLLA骨格であり、サンプルBはランダム・アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルCはランダム・アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルDはランダム・アセンブリの生体模倣のアパタイト被覆されたナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルEは配列アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルFは配列アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、図面を参照してここで説明されるが、全体をとおして類似の参照番号は類似の部分を表すものである。本発明の一実施形態によれば、HA/PLLA複合骨格はエレクトロスパムである。しかし、HA及びPLLA以外の材料を使用する他の複合システムもまた、本発明の一実施形態の範囲内に含まれることを注意すべきである。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン(繊維素)、キトサン、アルギナート、他の動物又は植物から抽出されるポリマー、PLA、PCL、PGA、他の合成及び天然ポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、及びそれらの複合ポリマー及び組み合わせを使用することができる。また、例えば、カーボネートHA、及び他のリン酸カルシウム(例えば、カーボネート・ハイドロキシアパタイト、フッ素化ハイドロキシアパタイト、塩素化ハイドロキシアパタイト、シリコン含有ハイドロキシアパタイト、マグネシウム含有ハイドロキシアパタイト及び他のイオン置換HAのようなイオン置換アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸テトラカルシウム、モネタイト、第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、リン酸オクタカルシウム、又は硫酸カルシウム)もまた、使用できる。繊維直径上の処理パラメータの効果が注意深く調査され、ポリマー分子量及びドープ濃度が50nm〜500nmの範囲の繊維直径に大きく影響を与えた。
【0019】
上述の骨格を製造するために、HA粒子がPLLA溶液に加えられ、HA/PLLA複合物が製造された。また、PLLA溶液内のHA量は、スピンドープ内のPLLAへのHA供給比率を変えることによって調節された。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、最大約20重量%のHAがPLLAナノ繊維の中に取り込まれる。これらのHA粒子は、一般に、ポリマー繊維の長軸に沿ってよく配列している。HA粒子のサイズは、少なくとも10nmの平均幅および約10nm〜約10μmの範囲の平均長を有し、平均アスペクト比は最大約50である。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング後、PLLAナノ繊維の中で、粒子が均一的に分散していた。その結果得られたマイクロ構造は、自然の骨のECM内の無機/有機的な構成物質の配列に酷似していた。純粋なPLLAで製造された繊維状骨格と比較して、HA/PLLA骨格は、機械的特性及び生体適合性が改善されている。
【0021】
図1(a)〜(c)に示されているように、長さ100〜200nm及びアスペクト比7〜10のHA粒子が、HA/PLLA繊維体の中で均等に分布していた。また、これらの粒子は、PLLAナノ繊維の長軸に沿った良好な配向性を示した。
【0022】
HA/PLLA複合繊維の直径に対するエレクトロスピニング処理パラメータの変化の影響を図2に示した。図に示すように、エレクトロスピング・ドープのポリマー濃度の変化およびHA/PLLA重量比の変化は、直径に対して最も明白な影響を有している。図2(a)に示すように、複合ナノ繊維の直径は、スピニング・ドープ内のPLLA濃度の増加とともに増加するが、これは、高PLLA濃度ドープが高い表面張力を有し、繊維スピニング処理の間、微小繊維にスピンすることが非常に困難であったことを示している。図2(b)は、HA重量比の増加とともに複合繊維の直径が減少していることを示している。これは、おそらく、複合物内のHA量が高いと、エレクトロスピニング・ド−プの粘性が減少し、その表面張力も同様に減少するという事実で説明される。
【0023】
図3に示すように、機能化されたナノ繊維骨格を製造するいくつかの修正したエレクトロスピニング技術が、本発明の種々の実施形態により実現される。第1に、図3(a)に示すように、共通軸の2つのスピナレット(紡糸口金)を用いて、PEG/PLLAコアシェル構造が、繊維状複合骨格の中にともにエレクトロスピニングされた。第2に、図3(b)に示すように、コレクタとして回転ドラムを用いて、高度に配列したナノ繊維が製造された。このようにして作成された骨格は、繊維の長軸に沿った良好な配向性および改善された機械的強度を有する。第3に、図3(c)に示すように、溶剤としてCH2Cl2(DCM)及びDMF(DCM/DMF=6/1(v/v))の混合物を用いて、多孔質表面を有するナノ繊維がエレクトロスピニングされた。
【0024】
図3に示すように、本発明の一実施形態による繊維の多孔度及び孔のサイズは、使用溶剤及びドープ濃度を変えることにより、調節することができる。例えば、成長因子の制御された送出のために、多孔質表面を使用することが可能である。さらに、図8(b)に示すように、多孔質表面は、ポリマー繊維と生体模倣アパタイト被覆との間の結合強度も高めるであろう。多孔質表面はまた、アパタイトのさらなる成長の核形成部位としても働くことが可能である。
【0025】
図4は、HA含有率の異なる種々のエレクトロスパン複合繊維の機械的特性の比較である。図4(a)〜(c)の分析により、HA含有率が増加するに従って、エレクトロスパン・マットのヤング率及び引張応力が連続的に増加することを当業者は認識するであろう。これは、良く分散しかつ繊維の長軸に沿って配列しているとき、HAが複合繊維状マットを強化する大きな役目を果たすという事実によって説明することができる。図4(b)及び図4(c)に含まれるデータ間の比較もまた、より太い複合ナノ繊維を有する繊維状マットが、より望ましい機械的特性を有していることを示している。
【0026】
図5(a)〜(b)は、引張試験を用いて、エレクトロスパムPLLAベース骨格の機械的特性を示している。骨格アセンブリの配列とナノサイズの針状HA粒子のナノ繊維への組み込みの両方が、複合骨格の弾性係数を顕著に改善することを当業者は認識するであろう。HA粒子を有する骨格は、HA粒子の無いものよりも堅く、前者の弾性係数は、後者のそれよりも2倍以上高い。また、引張試験(すなわち、常温で骨格を引き伸ばすこと)の間、HAナノ粒子は、スパン繊維内のPLLA分子鎖の展開及び配列を抑制し、それらの破断点伸びが減少することによって複合骨格の靱性を減らすこともまた、示されている。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、配列アセンブリを有する骨格の弾性係数は、ランダムな繊維状アセンブリの弾性係数よりも4〜5倍高い。さらに、配列アセンブリを有する純粋なPLLA骨格は、破断点伸びは低いものの、ランダムなアセンブリの靱性より高い靱性を有する。HA/PLLA骨格の場合、このような違いは、純粋PLLA骨格のものほど、顕著ではない。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、図8(a)〜(b)に示すように、PLLA及びHA/PLLAの両方の骨格の表面上に、均質なアパタイト被覆層も形成することができる。被覆の厚さは数ミクロンであり、これは、修正を加えた擬似体液(m−SBF)内における約4時間の浸漬の後に得られた。被覆の厚さは、SBF内のCa及びPイオン濃度、試料浸漬時間、及び溶液のpHを変えることにより、調節することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、浸漬時間を短く維持することは、ポリマー繊維の完全性を維持するために重要である。これらのいくつかの実施形態によれば、いくつかのポリマー繊維は水を吸収し、これは、それらの機械的特性の減少を招く。それにもかかわらず、被覆の厚さは、m−SBFのpH、浸漬時間、およびカルシウム及びリン濃度などの被覆条件を変えることによって調節することができる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、エレクトロスパン骨格の薬物放出の挙動を調査するために、イソチオシアン酸フルオレッセイン標識ウシ血清アルブミン(FITC−BSA)が、骨格の表面上に形成された生体模倣アパタイト被覆の中に取り込まれた。エレクトロスパンHA/PLLA繊維状骨格の薬物放出プロファイルが、図9に示されている。骨格上の生体模倣被覆からのFITC−BSAの放出について、8週間の期間、調査した。すべての骨格について、持続放出プロファイルが観察された。ナノサイズHA粒子(NHA)を有する骨格は、マイクロサイズHA粒子(MHA)が含まれるものよりも、より速い放出プロファイルを示した。また、配列アセンブリを有する骨格では、ランダム・アセンブリを有するものよりもわずかに速い放出が観察された。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスパン骨格上に形成された生体模倣被覆は、プロテイン及び/又は薬物の持続放出の効果的なキャリヤになり得る。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、異なるHA粒子を有するPLLAベース・エレクトロスパン骨格が、体外細胞培養の調査に使用された。ネズミ骨肉腫細胞株ROS17/2.8が使用された。図10は、異なる骨格上の相対細胞生存率を示す。本発明の一実施形態によれば、細胞培養時間の増加とともに、より多くの細胞が骨格の表面に付着した。特に、培養の7日後、ナノサイズ又はマイクロサイズのHA粒子を含む骨格上に、純粋なPLLA骨格上のものよりも多くの細胞が見られた。10日後、このような違いは、より顕著になった。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、異なる骨格上の細胞アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性、骨形成の初期マーカーが図11に示されている。本発明の一実施形態によれば、培養の10日後、ほとんどすべてのHA含有骨格は、実験対照の純粋なPLLA骨格よりも顕著に高いALP活性を示している。これらの結果は、ヒドロキシアパタイトが骨格の生体適合性及び細胞シグナリング特性を改善したことをまとめて示唆し、これにより、骨折修復のより良い材料の骨格を製作することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、同じSBF浸漬時間で、純粋なPLLA骨格よりも厚いHA/PLLA骨格のためのアパタイト被覆が得られた。これは、PLLA繊維内に装填されたHA粒子のいくつかは、それ自身をその繊維の表面上に置き、アパタイト被覆成長の核形成部位として働くという事実で説明できるであろう。また、本発明の一実施形態によれば、被覆は、純粋なPLLA及びHA/PLLA骨格の内部よりも表面上でより効果的に成長した。
【0034】
エレクトロスピニング法による骨格体全体にわたるマイクロスケールの孔を含むHA/PLLA複合繊維状骨格もまた、本発明の範囲に含まれる。本発明の一実施形態によれば、このような骨格は、高揮発性溶剤の蒸発処理による骨格内の繊維表面上のナノメーターサイズの孔を含んでいる。このような実施形態において、骨格内の複合繊維上のナノ孔面は、生体模倣被覆方法を通して加えられる繊維基板とHA被覆との間の結合力改善に寄与するばかりでなく、複合繊維の早い劣化を誘発する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、骨格全体にわたるより均質なアパタイト被覆を促進するため、m−SBFが骨格の中に侵入するのを補助するために、または骨格内に比較的大きな孔を作るためにポンプ装置が使用される。本発明の一実施形態によれば、数百マイクロメーターの範囲内の孔は、移植細胞への必要な栄養供給を提供するための血管の浸潤と骨形成の両方にとって望ましい。
【0036】
本発明の他の実施形態は、少なくとも1つの複合繊維表面と複合繊維表面上のHA被覆とを含むHA/PLLA複合繊維状骨格を有する。これらの実施形態のいくつかによれば、生体模倣被覆方法を使用することによって、被覆が形成される。また、これによって得られた繊維表面上のHA被覆層は、一般に、骨格内のHA構成要素を増加させて、骨格の機械的特性を改善するのに寄与するばかりでなく、生体内用途における周辺組織へのHAの露出も増加させるであろう。このような露出は、複合骨格の骨伝導性も生体適合性も改善させることができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態によれば、繊維の間に組み込まれた乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球を含むHA/PLLA複合繊維状骨格が提供される。これらの実施形態のいくつかによれば、微小球のサイズは、100μmを超えるように制御される。これは、一般に、繊維状骨格の機械的特性を増加させるばかりでなく、1つ以上の異なる薬物を放出するためのキャリヤとしても使用され得る。
【0038】
以上で説明したような骨格を使用して、マルチ・ドラッグ・デリバリの方法を実現することができる。例えば、複合繊維状骨格を形成するために、エレクトロスピニング複合ドープ及びPLGA微小球の異なる構成要素の中に、2つ以上の異なる薬物を予め装填してもよい。そして、その薬物は、その後、制御可能に放出されるであろう。
【0039】
本発明の多くの特徴及び利点が、詳細な本明細書から明らかであり、よって、添付した特許請求の範囲により、本発明の真の精神及び範囲内に含まれる本発明のすべてのそのような特徴及び利点をカバーすることを目的とする。さらに、数多くの修正及び変更を当業者が容易に行うであろうから、表示して説明した実際の構成及び動作に本発明を限定することを望まないものであり、したがって、本発明の範囲の範囲内で、すべての適当な修正及び等価物を用いることができる。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2007年3月26日に出願された現在係属中の「エレクトロスパン・アパタイト/ポリマー・ナノ複合骨格」と題する米国特許仮出願60/907,207号の優先権を主張し、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、主として複合材料に関する。また、本発明は、主として複合材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療分野における現代科学研究の先端領域の1つは、人口的に複製された骨および他の種類の組織に焦点が当てられている。このような研究の目的の1つは、外科手術の間にヒト患者に埋め込まれる人工的に製造された材料を外科医に提供することである。
【0004】
現在、ある外科医は、患者の体の一部分から骨又は組織を取り出し、患者の体の他の部分に再び取り付けている。例えば、脊髄手術の間、ときどき尻から骨を取り出し、脊柱に組み込んでいる。他のある外科医は、自然の骨が破壊または劣化している場合、金属部品(金属の棒及び/又は板)を患者の体の部分に組み込むことを余儀なくされている。
【0005】
構造的に、自然の骨は、ヒドロキシアパタイト(HA)及び繊維状コラーゲンを含む複合材料である。自然の骨では、HA結晶がコラーゲン繊維マトリクスの中に埋め込まれ、繊維の長軸に沿って配列している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、自然の骨の精密な構造を人工的に複製する方法が存在しない。自然の骨構造を人工的に複製する最も進んだ方法でさえ、自然の骨の配列に似た態様でHA結晶を配列させることに少なくとも失敗している。このように、人工的に生成された骨は、自然に発生した骨と同じ機械的/生物学的/化学的な特性を有していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング法を用いて、アパタイト/繊維状ポリマー・ナノ複合骨格が製造される。エレクトロスピニング法は、直径約50nm〜数μmの繊維を製造する便利で使い道の多い製造技術である。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング法によって製造された構造は、互いにつながった細孔を有する高多孔質である。この繊維状構造は、一般に、細胞外基質(ECM)の構造に似ている。これらの繊維状構造は、人工的な骨の複合材として使用され得る。さらに、これらの繊維状構造は、生体適合性、機械的特性、及び繊維状構造及び組織の細胞付着及び成長に基づいて、他の組織とともに使用され得る。
【0008】
本発明の他の一実施形態によれば、約10nm〜約10μmの範囲のサイズを有し、約50以下の平均アスペクト比を有するHA粒子が合成される。HA粒子は、ポリマー・ナノ繊維を有する回転ドープ及びコエレクトロスパンの中でよく分散される。HA/PLLAナノ複合繊維状骨格は、PLLAナノ繊維の中で均一に分配されたHA粒子で製造され得る。
【0009】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、約20重量%以下のHAナノ粒子がPLLAナノ繊維に組み込まれる。これらのナノ粒子は、ポリマー繊維の長軸に沿ってよく配列されている。このようにして得られたマイクロ構造は、自然の骨のECM内の無機/有機の構成要素のマイクロ配列に酷似している。このようにして製造された骨格は、望ましい機械特性と良好な細胞シグナル伝達特性を有する。少なくとも上記の観点では、このような骨格は、細胞及び生理活性物質を搭載するのに適している。また、20重量%より多いHAナノ粒子の組み込みもまた、本発明の一実施形態の範囲内であることに留意すべきである。
【0010】
自然の骨の構造的、機械的及び生物学的な習性を模倣した骨移植材料を製造することが望ましい。この要求は、本発明の一実施形態、特に、骨格と、高度に結晶化され、よく分散されたHAナノ粒子とを含む構造が提供されることによって大いに満たされる。この構造では、HAナノ粒子は、約5〜約50の範囲内の制御可能なアスペクト比を有する。
【0011】
本発明の他の一実施形態によれば、自分自身が複数の繊維を含む繊維状マトリクスを含む構造が提供される。この構造もまた、繊維状マトリクスの中で分散された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子を含み、HA粒子が複数の繊維の長軸に沿って十分に配列している。
【0012】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、構造を形成する方法が提供される。この方法は、ヒドロキシアパタイト(HA)粒子をポリL乳酸(PLLA)溶液に加えて混合物を形成し、その混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成することを含んでいる。
【0013】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、複数の繊維を含む繊維状マトリクスを有する構造が提供される。この構造もまた、繊維状マトリクス内で分散された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子を含み、この構造は、ポリL乳酸(PLLA)溶液にHA粒子を加えて混合物を形成し、その混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成することによって繊維状マトリクスを形成し、製造される。
【0014】
以上、本発明の一実施形態を、その詳細な説明がよく理解できるように整理して、かつ、この技術の貢献がよく認識できるように整理して、やや広く概説してきた。当然のことながら、以下に説明される本発明の追加の実施形態があり、それらは、ここに添付される特許請求の範囲の主題を形成するであろう。
【0015】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前は、当然のことながら、本発明はその用途を、詳細な構成に、及び後述の又は示された図面の構成要素の編成に限定されない。本発明は、ここで述べたものに追加する実施形態が可能であり、種々の方法で実践及び実施することができる。また、当然のことながら、ここで使用された表現及ぶ用語は、要約と同様に、説明を目的とするものであって、制限として捉えられるべきではない。
【0016】
このように、この開示が基礎とする概念は、本発明のいくつかの目的を実行するために他の構成、方法及びシステムを設計する基礎として容易に利用されることを、当業者は認識するであろう。したがって、当業者が本発明の精神及び要旨を逸脱しない限りにおいて、このような等価的な構成を含むものとして特許請求の範囲を見なすことが重要である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、エレクトロスパンPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図1b】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、HA/PLLA(重量比20:80)複合ナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図1c】エレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA複合ナノ繊維の組織を示す図であり、HA/PLLA/HA(重量比20:80)複合ナノ繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【図2a】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、エレクトロスピニング・ドープ内のPLLA濃度の変化の効果を示す。
【図2b】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、複合繊維内のHA含有量(重量%)の変化の効果を示す。
【図2c】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、電源電圧の変化の効果を示す。
【図2d】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、注入レートの変化の効果を示す。
【図2e】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、スピナレット(紡糸口金)の内径の変化の効果を示す。
【図2f】種々のエレクトロスピニング・パラメータの変化の効果を示す図であり、スピナレット・チップとエレクトロスパン・ナノ繊維の直径上のコレクタとの間の距離の変化の効果を示す。
【図3a】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、ポリエチレングリコール(PEG)コア・PLLAシェル・ナノ繊維の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【図3b】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、高度に配列したPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図3c】機能化されたPLLA繊維を示す図であり、高多孔性のPLLAナノ繊維の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)画像を示す。
【図4】(a)〜(c)はエレクトロスパンPLLA及びHA/PLLA骨格の機械的特性を示す図であり、(a)は繊維の平均直径が110±15nmであるHA/PLLAエレクトロスパン骨格の通常の応力対歪みの曲線を示し、(b)は繊維の平均直径が110±15nmであるHA/PLLAエレクトロスパン骨格のヤング率(E,斜線バー)及び引張応力(単色バー)を示し、(c)は繊維の平均直径が170±25nmである異なる構成要素のHA/PLLAエレクトロスパン骨格のヤング率(E)及び引張応力を示す。
【図5a】異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の機械的特性を示す図であり、異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の応力対歪みの曲線を示す。
【図5b】異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の機械的特性を示す図であり、異なる組成及び繊維状アセンブリを有するエレクトロスパン繊維状骨格の引張試験の結果を示す。
【図6】(a)〜(e)は本発明の一実施形態によるエレクトロスピニングから得られたPLLAナノ繊維を示す図であり、(a)は異なるPLLA濃度からの繊維エレクトロスパムの平均直径及び標準偏差を示し、(b)で使用された濃度はPLLA=4.0重量%であり、(c)で使用された濃度はPLLA=6.0重量%であり、(d)で使用された濃度はPLLA=8.0重量%であり、(e)で使用された濃度はPLLA=10.0重量%である。(b)〜(e)はすべて×20,000の倍率で撮られたものである。
【図7】(a)〜(d)はエレクトロスパムHA/PLLA複合物を示す図であり、(a)は100℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(b)は70℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(c)は95℃における複分解反応を介して複合物内のHA粒子が合成されたものであり、(d)は95℃における尿素分解を介して複合物内のHA粒子が合成されたものである。異なるサイズ及びアスペクト比を有するHA粒子が図示したポリマーナノ繊維内で均等に分布していることを当業者は認識するであろう。また、(a)〜(d)に示す複合物は、PLAナノ繊維の長軸に沿った良好な配列性を表している。これらの混合物におけるHA含有量は20重量%である。
【図8】(a)〜(b)は、それぞれ、PLLA及びHA/PLLA骨格の表面上における生体模倣アパタイトの薄い層の被覆を示す図である。
【図9】ナノサイズ(NHA)又はマイクロサイズ(MHA)の針状HA粒子、およびランダム又は配列された繊維状アセンブリを有するエレクトロスパムHA/PLLA繊維状骨格からのFITC−BSAの体外放出を示す図である。
【図10】3日、7日及び10日の培養後の異なる骨格上の相対細胞生存率を示す図であり、サンプルAはランダム・アセンブリのPLLA骨格であり、サンプルBはランダム・アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルCはランダム・アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルDはランダム・アセンブリの生体模倣のアパタイト被覆されたナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルEは配列アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルFは配列アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格である。
【図11】7日及び10日の培養後の異なる骨格上の相対アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性を示す図であり、サンプルAはランダム・アセンブリのPLLA骨格であり、サンプルBはランダム・アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルCはランダム・アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルDはランダム・アセンブリの生体模倣のアパタイト被覆されたナノメーターサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルEは配列アセンブリのマイクロメータサイズのHA/PLLA骨格であり、サンプルFは配列アセンブリのナノメーターサイズのHA/PLLA骨格である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、図面を参照してここで説明されるが、全体をとおして類似の参照番号は類似の部分を表すものである。本発明の一実施形態によれば、HA/PLLA複合骨格はエレクトロスパムである。しかし、HA及びPLLA以外の材料を使用する他の複合システムもまた、本発明の一実施形態の範囲内に含まれることを注意すべきである。例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン(繊維素)、キトサン、アルギナート、他の動物又は植物から抽出されるポリマー、PLA、PCL、PGA、他の合成及び天然ポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、及びそれらの複合ポリマー及び組み合わせを使用することができる。また、例えば、カーボネートHA、及び他のリン酸カルシウム(例えば、カーボネート・ハイドロキシアパタイト、フッ素化ハイドロキシアパタイト、塩素化ハイドロキシアパタイト、シリコン含有ハイドロキシアパタイト、マグネシウム含有ハイドロキシアパタイト及び他のイオン置換HAのようなイオン置換アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸テトラカルシウム、モネタイト、第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、リン酸オクタカルシウム、又は硫酸カルシウム)もまた、使用できる。繊維直径上の処理パラメータの効果が注意深く調査され、ポリマー分子量及びドープ濃度が50nm〜500nmの範囲の繊維直径に大きく影響を与えた。
【0019】
上述の骨格を製造するために、HA粒子がPLLA溶液に加えられ、HA/PLLA複合物が製造された。また、PLLA溶液内のHA量は、スピンドープ内のPLLAへのHA供給比率を変えることによって調節された。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、最大約20重量%のHAがPLLAナノ繊維の中に取り込まれる。これらのHA粒子は、一般に、ポリマー繊維の長軸に沿ってよく配列している。HA粒子のサイズは、少なくとも10nmの平均幅および約10nm〜約10μmの範囲の平均長を有し、平均アスペクト比は最大約50である。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスピニング後、PLLAナノ繊維の中で、粒子が均一的に分散していた。その結果得られたマイクロ構造は、自然の骨のECM内の無機/有機的な構成物質の配列に酷似していた。純粋なPLLAで製造された繊維状骨格と比較して、HA/PLLA骨格は、機械的特性及び生体適合性が改善されている。
【0021】
図1(a)〜(c)に示されているように、長さ100〜200nm及びアスペクト比7〜10のHA粒子が、HA/PLLA繊維体の中で均等に分布していた。また、これらの粒子は、PLLAナノ繊維の長軸に沿った良好な配向性を示した。
【0022】
HA/PLLA複合繊維の直径に対するエレクトロスピニング処理パラメータの変化の影響を図2に示した。図に示すように、エレクトロスピング・ドープのポリマー濃度の変化およびHA/PLLA重量比の変化は、直径に対して最も明白な影響を有している。図2(a)に示すように、複合ナノ繊維の直径は、スピニング・ドープ内のPLLA濃度の増加とともに増加するが、これは、高PLLA濃度ドープが高い表面張力を有し、繊維スピニング処理の間、微小繊維にスピンすることが非常に困難であったことを示している。図2(b)は、HA重量比の増加とともに複合繊維の直径が減少していることを示している。これは、おそらく、複合物内のHA量が高いと、エレクトロスピニング・ド−プの粘性が減少し、その表面張力も同様に減少するという事実で説明される。
【0023】
図3に示すように、機能化されたナノ繊維骨格を製造するいくつかの修正したエレクトロスピニング技術が、本発明の種々の実施形態により実現される。第1に、図3(a)に示すように、共通軸の2つのスピナレット(紡糸口金)を用いて、PEG/PLLAコアシェル構造が、繊維状複合骨格の中にともにエレクトロスピニングされた。第2に、図3(b)に示すように、コレクタとして回転ドラムを用いて、高度に配列したナノ繊維が製造された。このようにして作成された骨格は、繊維の長軸に沿った良好な配向性および改善された機械的強度を有する。第3に、図3(c)に示すように、溶剤としてCH2Cl2(DCM)及びDMF(DCM/DMF=6/1(v/v))の混合物を用いて、多孔質表面を有するナノ繊維がエレクトロスピニングされた。
【0024】
図3に示すように、本発明の一実施形態による繊維の多孔度及び孔のサイズは、使用溶剤及びドープ濃度を変えることにより、調節することができる。例えば、成長因子の制御された送出のために、多孔質表面を使用することが可能である。さらに、図8(b)に示すように、多孔質表面は、ポリマー繊維と生体模倣アパタイト被覆との間の結合強度も高めるであろう。多孔質表面はまた、アパタイトのさらなる成長の核形成部位としても働くことが可能である。
【0025】
図4は、HA含有率の異なる種々のエレクトロスパン複合繊維の機械的特性の比較である。図4(a)〜(c)の分析により、HA含有率が増加するに従って、エレクトロスパン・マットのヤング率及び引張応力が連続的に増加することを当業者は認識するであろう。これは、良く分散しかつ繊維の長軸に沿って配列しているとき、HAが複合繊維状マットを強化する大きな役目を果たすという事実によって説明することができる。図4(b)及び図4(c)に含まれるデータ間の比較もまた、より太い複合ナノ繊維を有する繊維状マットが、より望ましい機械的特性を有していることを示している。
【0026】
図5(a)〜(b)は、引張試験を用いて、エレクトロスパムPLLAベース骨格の機械的特性を示している。骨格アセンブリの配列とナノサイズの針状HA粒子のナノ繊維への組み込みの両方が、複合骨格の弾性係数を顕著に改善することを当業者は認識するであろう。HA粒子を有する骨格は、HA粒子の無いものよりも堅く、前者の弾性係数は、後者のそれよりも2倍以上高い。また、引張試験(すなわち、常温で骨格を引き伸ばすこと)の間、HAナノ粒子は、スパン繊維内のPLLA分子鎖の展開及び配列を抑制し、それらの破断点伸びが減少することによって複合骨格の靱性を減らすこともまた、示されている。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、配列アセンブリを有する骨格の弾性係数は、ランダムな繊維状アセンブリの弾性係数よりも4〜5倍高い。さらに、配列アセンブリを有する純粋なPLLA骨格は、破断点伸びは低いものの、ランダムなアセンブリの靱性より高い靱性を有する。HA/PLLA骨格の場合、このような違いは、純粋PLLA骨格のものほど、顕著ではない。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、図8(a)〜(b)に示すように、PLLA及びHA/PLLAの両方の骨格の表面上に、均質なアパタイト被覆層も形成することができる。被覆の厚さは数ミクロンであり、これは、修正を加えた擬似体液(m−SBF)内における約4時間の浸漬の後に得られた。被覆の厚さは、SBF内のCa及びPイオン濃度、試料浸漬時間、及び溶液のpHを変えることにより、調節することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、浸漬時間を短く維持することは、ポリマー繊維の完全性を維持するために重要である。これらのいくつかの実施形態によれば、いくつかのポリマー繊維は水を吸収し、これは、それらの機械的特性の減少を招く。それにもかかわらず、被覆の厚さは、m−SBFのpH、浸漬時間、およびカルシウム及びリン濃度などの被覆条件を変えることによって調節することができる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、エレクトロスパン骨格の薬物放出の挙動を調査するために、イソチオシアン酸フルオレッセイン標識ウシ血清アルブミン(FITC−BSA)が、骨格の表面上に形成された生体模倣アパタイト被覆の中に取り込まれた。エレクトロスパンHA/PLLA繊維状骨格の薬物放出プロファイルが、図9に示されている。骨格上の生体模倣被覆からのFITC−BSAの放出について、8週間の期間、調査した。すべての骨格について、持続放出プロファイルが観察された。ナノサイズHA粒子(NHA)を有する骨格は、マイクロサイズHA粒子(MHA)が含まれるものよりも、より速い放出プロファイルを示した。また、配列アセンブリを有する骨格では、ランダム・アセンブリを有するものよりもわずかに速い放出が観察された。本発明の一実施形態によれば、エレクトロスパン骨格上に形成された生体模倣被覆は、プロテイン及び/又は薬物の持続放出の効果的なキャリヤになり得る。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、異なるHA粒子を有するPLLAベース・エレクトロスパン骨格が、体外細胞培養の調査に使用された。ネズミ骨肉腫細胞株ROS17/2.8が使用された。図10は、異なる骨格上の相対細胞生存率を示す。本発明の一実施形態によれば、細胞培養時間の増加とともに、より多くの細胞が骨格の表面に付着した。特に、培養の7日後、ナノサイズ又はマイクロサイズのHA粒子を含む骨格上に、純粋なPLLA骨格上のものよりも多くの細胞が見られた。10日後、このような違いは、より顕著になった。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、異なる骨格上の細胞アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性、骨形成の初期マーカーが図11に示されている。本発明の一実施形態によれば、培養の10日後、ほとんどすべてのHA含有骨格は、実験対照の純粋なPLLA骨格よりも顕著に高いALP活性を示している。これらの結果は、ヒドロキシアパタイトが骨格の生体適合性及び細胞シグナリング特性を改善したことをまとめて示唆し、これにより、骨折修復のより良い材料の骨格を製作することができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、同じSBF浸漬時間で、純粋なPLLA骨格よりも厚いHA/PLLA骨格のためのアパタイト被覆が得られた。これは、PLLA繊維内に装填されたHA粒子のいくつかは、それ自身をその繊維の表面上に置き、アパタイト被覆成長の核形成部位として働くという事実で説明できるであろう。また、本発明の一実施形態によれば、被覆は、純粋なPLLA及びHA/PLLA骨格の内部よりも表面上でより効果的に成長した。
【0034】
エレクトロスピニング法による骨格体全体にわたるマイクロスケールの孔を含むHA/PLLA複合繊維状骨格もまた、本発明の範囲に含まれる。本発明の一実施形態によれば、このような骨格は、高揮発性溶剤の蒸発処理による骨格内の繊維表面上のナノメーターサイズの孔を含んでいる。このような実施形態において、骨格内の複合繊維上のナノ孔面は、生体模倣被覆方法を通して加えられる繊維基板とHA被覆との間の結合力改善に寄与するばかりでなく、複合繊維の早い劣化を誘発する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、骨格全体にわたるより均質なアパタイト被覆を促進するため、m−SBFが骨格の中に侵入するのを補助するために、または骨格内に比較的大きな孔を作るためにポンプ装置が使用される。本発明の一実施形態によれば、数百マイクロメーターの範囲内の孔は、移植細胞への必要な栄養供給を提供するための血管の浸潤と骨形成の両方にとって望ましい。
【0036】
本発明の他の実施形態は、少なくとも1つの複合繊維表面と複合繊維表面上のHA被覆とを含むHA/PLLA複合繊維状骨格を有する。これらの実施形態のいくつかによれば、生体模倣被覆方法を使用することによって、被覆が形成される。また、これによって得られた繊維表面上のHA被覆層は、一般に、骨格内のHA構成要素を増加させて、骨格の機械的特性を改善するのに寄与するばかりでなく、生体内用途における周辺組織へのHAの露出も増加させるであろう。このような露出は、複合骨格の骨伝導性も生体適合性も改善させることができる。
【0037】
また、本発明の一実施形態によれば、繊維の間に組み込まれた乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球を含むHA/PLLA複合繊維状骨格が提供される。これらの実施形態のいくつかによれば、微小球のサイズは、100μmを超えるように制御される。これは、一般に、繊維状骨格の機械的特性を増加させるばかりでなく、1つ以上の異なる薬物を放出するためのキャリヤとしても使用され得る。
【0038】
以上で説明したような骨格を使用して、マルチ・ドラッグ・デリバリの方法を実現することができる。例えば、複合繊維状骨格を形成するために、エレクトロスピニング複合ドープ及びPLGA微小球の異なる構成要素の中に、2つ以上の異なる薬物を予め装填してもよい。そして、その薬物は、その後、制御可能に放出されるであろう。
【0039】
本発明の多くの特徴及び利点が、詳細な本明細書から明らかであり、よって、添付した特許請求の範囲により、本発明の真の精神及び範囲内に含まれる本発明のすべてのそのような特徴及び利点をカバーすることを目的とする。さらに、数多くの修正及び変更を当業者が容易に行うであろうから、表示して説明した実際の構成及び動作に本発明を限定することを望まないものであり、したがって、本発明の範囲の範囲内で、すべての適当な修正及び等価物を用いることができる。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維を含む繊維状マトリクスと、
前記繊維状マトリクス内で分散され、前記複数の繊維の長軸に沿って実質的に配列された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子と、を有することを特徴とする人工の複合構造体。
【請求項2】
前記複数の繊維は、約50nm〜数μmの平均直径を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
前記HA粒子は、少なくとも10nmの平均幅、および約10nm〜10μmの平均長を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項4】
前記複数の繊維は、ポリL乳酸(PLLA)、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、アルギナート、動物から抽出されたポリマー、植物から抽出されたポリマー、PLA、PCL、PGA、合成ポリマー、天然ポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、複合ポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項5】
前記繊維状マトリクスは、20重量%以下のHA粒子を含有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項6】
前記HA粒子は、約3〜約50のアスペクト比を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項7】
前記複数の繊維は、ポリエチレングリコール(PEG)コア・PLLAシェルを有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項8】
前記複数のHA粒子は、前記複数の繊維上に被覆層を形成することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項9】
前記複数の繊維の間に取り込まれた乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球をさらに有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項10】
ポリL乳酸(PLLA)溶液にヒドロキシアパタイト(HA)粒子を加えて混合物を形成する工程と、
前記混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成する工程と、を有することを特徴とする骨複合構造体を形成する方法。
【請求項11】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記HA/PLLA繊維は、約50nm〜数μmの直径を有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
約10nm〜約10μmのサイズのHA粒子を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
約5〜約50のアスペクト比を有するHA粒子を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記混合物をエレクトロスピニングする際、実質的に共通軸の2つのスピナレットを用いることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記混合物をエレクトロスピニングする際、コレクタとして回転ドラムを用いることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
修正を加えた擬似体液(m−SBF)溶液内に前記繊維を浸漬する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項17】
前記浸漬する工程において、
ポンプ装置を介して前記m−SBFをポンピングすることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記骨複合構造体内の物質移動を増進するため、エレクトロスピニングにより大きな孔を作る工程をさらに有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
複数の前記HA/PLLA繊維の間に乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球を取り込む工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項20】
複数の繊維を含む繊維状マトリクスと、
前記繊維状マトリクス内で分散され、前記複数の繊維の長軸に沿って実質的に配列された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子と、を有する構造体であって、
前記構造体は、ポリL乳酸(PLLA)溶液にHA粒子を加えて混合物を形成し、前記繊維状マトリクスを形成するために前記混合物をエレクトロスピニングしてHA/PLLA繊維を形成することにより形成されることを特徴とする構造体。
【請求項21】
前記HA粒子は、約10nm〜10μmの平均サイズを有することを特徴とする請求項20記載の構造体。
【請求項1】
複数の繊維を含む繊維状マトリクスと、
前記繊維状マトリクス内で分散され、前記複数の繊維の長軸に沿って実質的に配列された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子と、を有することを特徴とする人工の複合構造体。
【請求項2】
前記複数の繊維は、約50nm〜数μmの平均直径を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項3】
前記HA粒子は、少なくとも10nmの平均幅、および約10nm〜10μmの平均長を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項4】
前記複数の繊維は、ポリL乳酸(PLLA)、コラーゲン、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン、アルギナート、動物から抽出されたポリマー、植物から抽出されたポリマー、PLA、PCL、PGA、合成ポリマー、天然ポリマー、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、複合ポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項5】
前記繊維状マトリクスは、20重量%以下のHA粒子を含有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項6】
前記HA粒子は、約3〜約50のアスペクト比を有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項7】
前記複数の繊維は、ポリエチレングリコール(PEG)コア・PLLAシェルを有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項8】
前記複数のHA粒子は、前記複数の繊維上に被覆層を形成することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項9】
前記複数の繊維の間に取り込まれた乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球をさらに有することを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
【請求項10】
ポリL乳酸(PLLA)溶液にヒドロキシアパタイト(HA)粒子を加えて混合物を形成する工程と、
前記混合物をエレクトロスピニングすることによってHA/PLLA繊維を形成する工程と、を有することを特徴とする骨複合構造体を形成する方法。
【請求項11】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記HA/PLLA繊維は、約50nm〜数μmの直径を有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
約10nm〜約10μmのサイズのHA粒子を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
約5〜約50のアスペクト比を有するHA粒子を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記混合物をエレクトロスピニングする際、実質的に共通軸の2つのスピナレットを用いることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
前記HA/PLLA繊維を形成する工程において、
前記混合物をエレクトロスピニングする際、コレクタとして回転ドラムを用いることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
修正を加えた擬似体液(m−SBF)溶液内に前記繊維を浸漬する工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項17】
前記浸漬する工程において、
ポンプ装置を介して前記m−SBFをポンピングすることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記骨複合構造体内の物質移動を増進するため、エレクトロスピニングにより大きな孔を作る工程をさらに有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
複数の前記HA/PLLA繊維の間に乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)微小球を取り込む工程をさらに有することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項20】
複数の繊維を含む繊維状マトリクスと、
前記繊維状マトリクス内で分散され、前記複数の繊維の長軸に沿って実質的に配列された複数のヒドロキシアパタイト(HA)粒子と、を有する構造体であって、
前記構造体は、ポリL乳酸(PLLA)溶液にHA粒子を加えて混合物を形成し、前記繊維状マトリクスを形成するために前記混合物をエレクトロスピニングしてHA/PLLA繊維を形成することにより形成されることを特徴とする構造体。
【請求項21】
前記HA粒子は、約10nm〜10μmの平均サイズを有することを特徴とする請求項20記載の構造体。
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−522620(P2010−522620A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501183(P2010−501183)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/058234
【国際公開番号】WO2008/118943
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502139046)ユニヴァーシティ オブ コネチカット (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/058234
【国際公開番号】WO2008/118943
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(502139046)ユニヴァーシティ オブ コネチカット (2)
【Fターム(参考)】
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