説明

エレクトロルミネセンス物質およびデバイス

リチウムキノラートは、エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層を構成するための有機金属エレクトロルミネセンス物質のホスト物質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネセンス物質(electroluminescent material)と、エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通したときに発光する物質は、よく知られており、ディスプレイ用途に広く用いられている。無機半導体系(inorganic semiconductor systems)に基づいたデバイスが広く用いられている。しかしながら、これらはエネルギー消費が高いこと、生産コストが高いこと、量子効率が低いこと、および、フラットパネルディスプレイを生産することができないこと、という欠点を持っている。有機ポリマーは、エレクトロルミネセンスデバイスに用いるのに有用であるとして提案されているが、純色を得ることができず、生産コストが高い上に効率が比較的低い。提案されている他のエレクトロルミネセンス化合物には、アルミニウムキノラート(aluminium quinolate)があるが、色の範囲を得るために使用するにはドーパント(dopant)が必要である上、比較的効率が低い。
【0003】
特許出願「WO98/58037」には、改善された特質を有し、より優れた実験結果を与えるエレクトロルミネセンスデバイスに使用することが可能な、一連の遷移金属錯体およびランタニド錯体が記載されている。特許出願「PCT/GB98/01773」、「PCT/GB99/03619」、「PCT/GB99/04030」、「PCT/GB99/04024」、「PCT/GB99/04028」および「PCT/GB00/00268」には、希土類キレートを用いたエレクトロルミネセンス錯体、構造、およびデバイスが記載されている。「US Patent 5128587」には、仕事関数が高い透明電極と仕事関数が低い第二電極との間に挟まれたランタニド系列の希土類元素の有機金属錯体、エレクトロルミネセンス層と透明高仕事関数電極(transparent high work function electrode)との間に入れられた正孔伝導層(hole conducting layer)、およびエレクトロルミネセンス層と低仕事関数電子注入アノード(electron injecting low work function anode)との間に入れられた電子伝導層(electron conducting layer)とから成る、エレクトロルミネセンスデバイスが開示されている。正孔伝導層と電子伝導層はデバイスの仕事と効率を向上させるために必要である。正孔輸送層(hole transporting layer)は、正孔を輸送して電子を遮断する役割を果たす。その結果、電子が正孔と再結合(recombining)しないで電極中に移動するのを防ぐ。このキャリアーの再結合は主に発光層(emitter layer)で起こる。
【0004】
エレクトロルミネセンス有機金属錯体の性能を向上させるために、エレクトロルミネセンス有機金属錯体をホスト物質(host material)と混合することが可能である。そこで、我々は金属キノラートをホスト物質として用いて改良したエレクトロルミネセンス物質を考案した。
【0005】
本発明によれば、置換もしくは非置換の金属キノラート、ならびに、エレクトロルミネセンス有機金属錯体混合物で構成される、改良したエレクトロルミネセンス構成物(electroluminescent composition)が提供される。
【0006】
本発明は、(i) 第一電極、(ii) 置換もしくは非置換の金属キノラートとエレクトロルミネセンス有機金属錯体との混合物を含むエレクトロルミネセンス構成物の層、および、(iii) 第二電極を含むエレクトロルミネセンスデバイスも提供する
【0007】
金属キノラートを形成する金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム(caesium)、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅(I)、
銅(II)、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、異なる価数を有する遷移金属の第1族、第2族、第3族の金属、(例えば、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブモリブデン(niobium molybdenum)、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、イットリウム)から選択することができ、好ましい金属は、リチウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルであり、リチウムキノラートがもっとも好ましい金属である。
【0008】
何種類かの金属キノラートはエレクトロルミネセンス物質であり、特にリチウムキノラートは既知のエレクトロルミネセンス物質である。また、WO 00/32717は、n-ブチルリチウムと8-ヒドロキシキノリンのアセトニトリル溶媒中での反応で生成されたリチウムキノラート(青色領域のスペクトルの光を発する)を開示している。
【0009】
提供されるエレクトロルミネセンス有機金属錯体の発光バンドギャップは金属キノラートホスト物質の励起一重項の発光バンドギャップよりも大きい。また、エレクトロルミネセンス有機金属錯体の発光バンドギャップが、金属キノラートホスト物質の励起一重項の範囲内であると、金属キノラートはエレクトロルミネセンス有機金属錯体混合物とリチウムキノラートの混合物の発光の色に寄与しない。
【0010】
好ましくは、有機金属錯体のHOMO-LUMOギャップは、金属キノラートのHOMO-LUMOギャップの範囲内にある。
【0011】
好ましい有機金属錯体の一例としては、ルテニウム錯体、ロジウム錯体、パラジウム錯体、オスミウム錯体、イリジウム錯体、もしくは、白金イリジウム錯体(platinum iridium complexes)があり、特にイリジウム錯体が好ましい。
【0012】
【化7】

【0013】
ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2であり、R1〜R5は、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基またはカルボキシ
基、フルオロカルビル(fluorocarbyl)基、ハロゲン、ニトリル、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N-アルキルアミド基、N-アリールアミド基、スルホニル基、ならびに、チオフェニル基から選択され、R2およびR3は、さらにアルキルシリル基またはアリールシリル基である可能性があり、p、sおよびtは独立に、0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよく、qおよびrは独立して0、1、もしくは2で、qもしくはrが2であるという条件の下で、それらの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよく、またここで、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマー(例えば、スチレン)と共重合をすることができ、さらに、ここでR4およびR5は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択されてもよく、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合をすることもでき、あるいは、R5およびR6は以下の基を構成する可能性もある。
【0014】
【化8】

【0015】
Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、n+2はMの価数である。好ましくは、Mはイリジウムである。
【0016】
その他の好ましい有機金属錯体は、M(L)nおよびMO(L)n-2の構造であって、ここで、Mは
n価の金属であり(nは3より大きな数)、Lは有機配位子であり、Lは同じであっても良いし、例えばM(L1)(L2)(L3)(L4)...、もしくは、MO(L1)(L2)....のように、異なるものであっても良い。
【0017】
好ましくは、金属Mが4価のチタン、ジルコニウム、もしくはハフニウム、または、5価のバナジウム、ニオブ、もしくはタンタル等の遷移金属であり、特には金属Mはジルコニウムキノラートである。
【0018】
この参照により本開示に含まれる特許出願「WO 2004/058913」には本発明に用いることができる、ドープされたジルコニウムキノラート類が開示されている。
【0019】
好ましくは、エレクトロルミネセンス化合物に、少量のドーパントとしての蛍光物質がドープされており、このドーパントの量は好ましくはドープされた混合物の重さの5%〜15%である。
【0020】
この参照により本開示に含まれる「US4769292」で論じているように、蛍光物質が存在すると広い範囲から発光波長を選択することができる。
【0021】
有用な蛍光物質は有機金属錯体と混ぜて、本発明に係るELデバイスのルミネセンス領域(the luminescent zones)を構成する前述の厚みの範囲を満たす薄膜中に配合することができる物質である。結晶有機金属錯体(crystalline organo metallic complexes)が薄膜形成(thin film formation)に有用なものでなくても、有機金属錯体中に制限された量の蛍光物質を存在させて、単独では薄膜形成できない蛍光物質を使用することができる。好ましい蛍光物質は、有機金属錯体と共通相(common phase)を形成する化合物である。色素は有機金属錯体中に分子レベルで分散させやすいので、蛍光色素は好ましい種類の蛍光物質を構成する。有機金属錯体中に蛍光色素を分散させる任意の便利な技術を用いることができるが、好ましい蛍光色素は、その有機金属錯体物質とともに真空蒸着することができるものである。前述の想定したその他の判断基準を満たすならば、蛍光レーザー色素(fluorescent laser dyes)は本発明に係る有機ELデバイスに用いるのに特に有用な蛍光物質であることがわかる。用いることができるドーパントには、ジフェニルアクリジン、クマリン類、ペリレンおよびそれらの誘導体が含まれる。
【0022】
有用な蛍光物質は「US4769292」で開示されている。
【0023】
有機金属錯体は、ドーパントと混合でき、ドーパントと共蒸着(co-deposited)(好ましくは、ドーパントおよび有機金属錯体を溶媒に溶解させて混合溶液をスピンコーティングすることによって)させることができる。
【0024】
本発明のエレクトロルミネセンス物質として用いることができる他のエレクトロルミネセンス化合物は、一般構造式(Lα)nMで表される。ここで、Mは希土類、ランタニドもしくはアクチニドであり、Lαは有機錯体、nはMの価数(valence state)である。
【0025】
本発明で用いることができる、さらなる有機エレクトロルミネセンス化合物は、以下の構造式のものである。
【0026】
【化9】

【0027】
ここで、LαとLpは有機配位子であり、Mは希土類、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、nは金属Mの価数である。配位子Lαは同じであっても、異なっていてもよく、同じもしくは異なっている複数の配位子Lpがあってもよい。
【0028】
例えば、(L1)(L2)(L3)(L・・・)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、(L1)(L2)(L3)(L・・・)が同じもしくは違う有機錯体であって、(Lp)は中性配位子である。その配位子(L1)(L2)(L3)(L・・・)の総電荷は金属Mの価数に等しい。3価のMに対応する3つの基Lαの場合は、錯体が構造式(L1)(L2)(L3)M(Lp)であり、その異なる基(L1)(L2)(L3)は同じであっても異なっていてもよい。
【0029】
Lpは単座配位子、二座配位子、もしくは、多座配位子であり、1つもしくは複数の配位子Lpがある可能性がある。
【0030】
好ましくは、Mは、不完全な内殻を有する金属イオンであり、好ましいとされる金属は、Sm(III)、Eu(II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III)
U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Yb(III)そして、さらに好ましくは、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Gd(III)、Er(III)、Yt(III)から選択される。
【0031】
さらに、本発明で用いられる可能性がある有機エレクトロルミネセンス化合物は、一般構造式(Lα)nM1M2であり、ここでM1は上述のMと同様であり、M2は非希土類金属であり、Lαは上述と同様であり、そしてnはMとMを組み合わせた価数(combined valence state)である。また、錯体は1つもしくは複数の中性配位子Lpを含むことで、錯体は一般構造式(Lα)nM1M2(Lp)となる可能性があり、ここでLpは上述と同様である。金属Mは、希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドではない任意の金属である。用いられる金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅(I)、銅(II)、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ(II)、スズ(IV)、アンチモン(II)、アンチモン(IV)、鉛(II)、鉛(IV)、および、異なる価数を有する遷移金属の第1族、第2族、第3族の金属(例えば、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(II)、白金(IV)、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、イットリウム)を含む。
【0032】
例えば、(L1)(L2)(L3)(L・・・)M(Lp)は、Mが希土類金属、遷移金属、ランタノイドもしくはアクチノイドで、(L1)(L2)(L3)(L)と(Lp)が同じもしくは違う有機錯体である。
【0033】
さらに、本発明で用いることができる有機金属錯体は、2核、3核、多核の有機金属錯体である。例えば、(Lm)xM1←M2(Ln)yの構造式の、例えば、以下のものである。
【0034】
【化10】

【0035】
ここでLは、架橋している配位子であり、M1は希土類金属であり、M2はM1もしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xはM1の価数であり、そしてyはM2の価数である。
【0036】
これらの錯体において、金属−金属結合があってもよく、もしくは、M1とM2との間で1つもしくは複数の架橋する配位子を有してもよく、そして、LmとLnの基が同じであっても、異なっていてもよい。
【0037】
3核とは、金属−金属結合によって結合されている3つの希土類金属があることを意味する。すなわち、以下の構造式のものである。
【0038】
【化11】

【0039】
ここで、M1、M2、およびM3は、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、xはM1の価数であり、yはM2の価数であり、zはM3の価数である。Lpは、LmおよびLnと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
希土類金属および非希土類金属は、金属−金属結合によって、および/もしくは、中間で架橋する原子、配位子、もしくは分子基(molecular group)を介することによって、ともに結合することができる。
【0041】
例えば、金属は架橋する配位子によって結合されてもよい。例えば、以下のものである。
【0042】
【化12】

【0043】
ここで、Lは架橋する配位子である。
【0044】
多核とは、金属−金属結合によって、および/もしくは、中間で配位子を介することによって、結合された金属が3つ以上あることを意味している。
【0045】
【化13】

【0046】
ここで、M1、M2、M3、およびM4は、希土類金属であり、Lは架橋する配位子である。
【0047】
好ましくは、Lαは以下の構造式のようなαジケトンから選択される。
【0048】
【化14】

【0049】
ここで、R1、R2、ならびにR3は、同じであっても異なっていても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl group)、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、または、チオフェニル基から選択される。また、R1、R2、ならびにR3は、置換および非置換の縮合した
芳香族、複素環および多環の環状構造を形成することができ、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。Xは、Se、S、もしくは、Oであり、Yは、水素、置換もしくは非置換の芳香族、複素環および多環などの環状構造をした基などの、置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、または、ニトリルである。
【0050】
βジケトンは、ポリマーで置換したβジケトンとすることができ、ポリマー、オリゴマー、もしくはデンドリマーで置換されたβジケトンの置換基は、直接、ジケトンに結合するか、または、1つもしくは複数の-CH基、すなわち、
【0051】
【化15】

【0052】
もしくは、フェニル基を介して、例えば以下の構造のように、結合することができる。
【0053】
【化16】

【0054】
ここで、「ポリマー」とは、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマー(1つもしくは2つの置換されたフェニル基、さらには、(IIIc)で示されるような3つの置換されたフェニル基を有する)とすることができる。さらにここでRは水素、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造をした基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。
【0055】
R1および/もしくはR2および/もしくはR3の例として、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン(phenanthrene)、アントラセン(anthracene)、ナフチル基、および、フルオレン基、t-ブチル基のようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0056】
また、様々なLα基のいくつかは、カルボキシラート基(carboxylate groups)のような同じであっても異なっても良い荷電をした基であってもよく、その結果、L1基は上述で定義されたようでな基である可能性があり、L2基、L3…基は、以下のような荷電された基であってもよい。
【0057】
【化17】

【0058】
ここで、Rは上述で定義されたようなR1であるか、もしくは、L1基、L2基が上述で定義されたような基であり、そして、L3…基などが他の荷電された基である。
【0059】
また、R1、R2、R3は、以下のものである可能性もある。
【0060】
【化18】

ここでXは、O、S、SeもしくはNHである。
【0061】
好ましいR1部分は、トリフルオロメチル(CF3)であり、ジケトン等の例としては、ベンゾイルトリフルオロアセトン(banzoyltrifluoroacetone)、p-クロロベンゾイルトリフ
ルオロアセトン(p-chlorobenzoyltrifluoroacetone)、p-ブロモトリフロオロアセトン(p-bromotrifluoroacetone)、p-フェニルトリフルオロアセトン(p-naphthoyltrifluoroacetone)、1-ナフトイルトリフルオロアセトン(1-napthoyltrifluoroacetone)、2-ナフトイルトリフルオロアセトン(2-napthoyltrifluoroacetone)、2-フェナトイルトリフルオロアセトン(2-phenathoyltrifluoroacetone)、3-フェナントイルトリフルオロアセトン(3-phenanthoyltrifluoroacetone)、9-アントロイルトリフルオロアセトントリフルオロアセトン(9-anthroyltrifluoroacetonetrifluoroacetone)、、シンナモイルトリフルオロアセトン(cinnamoyltrifluoroacetone)、および、2-テノイルトリフルオロアセトン(2-thenoyltrifluoroacetone)がある。
【0062】
様々なLα基は、下記の構造式の同じ配位子であっても異なる配位子であってもよい。
【0063】
【化19】

【0064】
ここで、XはO、S、もしくは、Seであり、R1、R2、およびR3は上述と同様である。
【0065】
様々なLα基は、以下のようなキノラート誘導体(quinolate derivatives)で、同じで
あっても異なっていてもよい。
【0066】
【化20】

【0067】
ここで、Rは脂肪族、芳香族、もしくは、複素環であるヒドロカルビル基、カルボキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、あるいは、アルコキシ基であり、例えば、8-ヒドロキシキノラート誘導体もしくは、以下の構造のものである。
【0068】
【化21】

【0069】
ここで、R、R1、およびR2は上述と同様であるか、もしくは、HまたはFである。例えば、R1とR2は、アルキル基もしくはアルコキシ基である。
【0070】
【化22】

【0071】
上で述べたような様々なLα基は、同じカルボキシラート基であっても、異なるカルボキシラート基であってもよく、例えば、以下の構造のものである。
【0072】
【化23】

【0073】
ここで、R5は、置換もしくは非置換の芳香族、多環もしくは複素環、ポリピリジル基であり、また、R5を2-エチルヘキシル基とすることでLnは2-エチルヘキサン酸イオン(2-ethylhexanoate)とすることができ、または、R5をイス型構造とすることでLnは2-アセチルシクロヘキサン酸イオン(2-acetyl cyclohexanoate)とすることができ、あるいは、Lαは、以下の構造とすることができる。
【0074】
【化24】

【0075】
ここで、Rは上述と同様であり、例えば、アルキル基、アレニル基、アミノ基、または、環状もしくは多環のような縮合環である。
【0076】
また、様々なLα基は、以下のものでもよい。
【0077】
【化25】

【0078】
ここで、R、R1、R2は上述と同様である。
【0079】
Lp基は、以下の構造から選択することができる。
【0080】
【化26】

【0081】
ここで、それぞれのPhは同じであっても異なっていてもよく、フェニル基(OPNP)もしくは置換されたフェニル基、他の置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環基または多環基、ナフチル基、アントラセン、フェナントレン、もしくはピレン基のような置換もしくは非置換の縮合した芳香族基であってもよい。その置換基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、芳香族基、複素環基、多環基、フッ素のようなハロゲン基、シアノ基、アミノ基、置換されたアミノ基などであってもよい。例が、図1と図2の図に与えられており、R、R1、R2、R3、およびR4は、同じ基であっても異なった基であっても良く、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造の基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基から選択される。また、R、R1、R2、R3、およびR4は、置換および非置換の縮合芳香族、複素環および多環の環状構造の基を形成でき、モノマー(例えばスチレン)と共重合できる。R、R1、R2、R3、およびR4は、また、ビニル基や、以下の構造の基のような不飽和のアルキレン基であってもよい。
【0082】
【化27】

【0083】
ここでRは上述と同様である。
【0084】
また、Lpは、以下の構造式の化合物である可能性がある。
【0085】
【化28】

【0086】
R1、R2、およびR3は上述で述べたものであり、例えば、図3の図に示したバソフェン(bathophen)(ここでRは上述と同様である)であるか、もしくは、以下の構造である。
【0087】
【化29】

【0088】
ここで、R1、R2、およびR3は上述のものである。
【0089】
また、Lpは、以下の構造としてもよい。
【0090】
【化30】

【0091】
ここで、Phは上述と同様である。
【0092】
Lpのキレートの別の例としては、図4に示したもの、および、例えば図5で示されるフルオレンおよびフルオレン誘導体、ならびに、図6〜図8で示されている構造式の化合物である。
【0093】
LαおよびLpの具体例としては、トリピリジル(tripyridyl)およびTMHD、ならびにTMHD錯体、α,α’,α’’トリピリジル(α,α’,α’’tripyridyl)、クラウンエーテル類(crown ethers)、シクラン類(cyclans)、クリプタン類(cryptans)、フタロシアナン類(phthalocyanans)、ポルフォリン(porphoryins)、エチレンジアミンテトラミン(EDTA、ethylene diamine tetramine)、DCTA、DTPA、およびTTHAである。ここでTMHDは、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト(2,2,6,6-tetramethyl-3,5-heptanedionato)であり、OPNPはジフェニルホスホンイミドトリフェニルホスホラン(diphenylphosphonimidetriphenylphosphorane)である。ポリアミンの構造式は、図9で示している。
【0094】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、リチウムキノラートのような金属キノラート類(metal quinolates)、および、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体、ならびに、スカンジウム錯体のような非希土類金属錯体を含んでいる。ここで錯体は、例えば、トリス-(1,3-ジフェニル-1-3-プロパンジオン)(DBM、Tris -(1,3-diphenyl-1-3-propanedione))のようなβ-ジケトンの錯体であり、適した金属錯体は、Al(DBM)3、Zn(DBM)2およびMg(DBM)2、Sc(DBM)3などである。
【0095】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、下記の構造の金属錯体を含む。
【0096】
【化31】

【0097】
ここで、Mは希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドとは別の金属であり、nはMの価数であり、R1、R2およびR3は、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ヒドロカルビル基、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、またはニトリルから選択され、また、RとRは環状構造を形成してもよく、R1、R2およびR3は、モノマー(例えば、スチレン)と共重合する可能性がある。好ましくは、Mはアルミニウムであり、R3はフェニル基もしくは、置換したフェニル基である。
【0098】
用いることができる別の有機エレクトロルミネセンス物質は、下記の構造のエレクトロルミネセンスジイリジウム化合物を含む。
【0099】
【化32】

【0100】
ここで、R1、R2、R3およびR4は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、置換および非置換のヒドロカルビル基から選択され、好ましくはR1、R2、R3およびR4は、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択され、またR1、R2およびR3は、置換および非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合することができ、さらに、L1およびL2は、同じもしくは異なっている有機配位子であり、より好ましくは、L1およびL2は、フェニルピリジンおよび置換したフェニルピリジン類から選択される。
【0101】
用いることができる別のエレクトロルミネセンス化合物は以下の構造である。
【0102】
【化33】

【0103】
ここで、Phは非置換もしくは置換のフェニル基であり、その置換基は、同じ基であっても異なる基であってもよく、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、R、R1およびR2は、水素、または、置換および非置換の芳香族、複素環および多環のような環状構造を有する基などの置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、フッ素、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン基、もしくは、チオフェニル基、あるいは、ニトリルであってもよい。
【0104】
Rおよび/またはR1および/またはR2および/またはR3の例としては、脂肪族、芳香族および複素環のアルコキシ基、アリールオキシ基、およびカルボキシ基、置換および置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、フェナントレン基、アントラセン基、ナフチル基、ならびに、フルオレン基、t-ブチルのようなアルキル基、カルバゾールのような複素環基を含む。
【0105】
さらに、用いることができるエレクトロルミネセンス物質は、アルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラートなど、のような金属キノラート類、および、蛍光物質をドープした金属キノラート、もしくは、特許文献WO/2004/058913で開示されているような色素(dies)を含む。
【0106】
金属キノラートホスト物質およびエレクトロルミネセンス物質は異なった物質でなければならない。
【0107】
エレクトロルミネセンス物質の層の厚みは、好ましくは10〜250nm、さらに好ましくは20〜75nmである。
【0108】
第一電極はアノードとして機能する可能性があり、第二電極はカソードとして機能する可能性があり、好ましくは正孔輸送物質(hole transporting material)の層が、アノードとエレクトロルミネセンス化合物の層の間に存在する。
【0109】
正孔輸送物質は、エレクトロルミネセンスデバイスに用いられる任意の正孔輸送物質とすることができる。
【0110】
正孔輸送物質は、α-NBP、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、非置換もしくは置換のアミノ置換芳香族化合物のポリマー、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類ならびに置換ポリシラン類などのような、アミン錯体(amine complex)とすることができる。ポリアニリン類の例としては以下のポリマーがあり、
【0111】
【化34】

【0112】
ここでRはオルト位、もしくはメタ位にあり、水素、C1-18アルキル基、C1-6アルコキシ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシル基もしくは以下に示す基である。
【0113】
【化35】

【0114】
ここでRはアルキル基もしくはアリール基で、R'は水素、前述の構造式(II)に示した他のモノマーの少なくとも一つを含むC1-6アルキル基もしくはC1-6アリール基である。
【0115】
またあるいは、正孔輸送物質は、ポリアニリンとすることができる。本発明で用いることができるポリアニリン類は、以下の一般的構造を有している。
【0116】
【化36】

【0117】
ここでpは1〜10、nは1〜20、Rは先に定義したとおりであり、かつXがアニオンであり、好ましくは、Cl、Br、SO4、BF4、PF6、H2PO3、H2PO4、アリールスルホン酸イオン(arylsulphonate)、アレーンジカルボン酸イオン(arenedicarboxylate)、ポリスチレンスルホン酸イオン(polystyrenesulphonate)、ポリアクリル酸イオン(polyacrylate)、アルキルスルホン酸イオン(alkylsulphonate)、ビニルスルホン酸イオン(vinylsulphonate)、ビニルベンゼンスルホン酸イオン(vinylbenzene sulphonate)、セルローススルホン酸イオン(cellulose sulphonate)、ショウノウスルホン酸イオン(camphor sulphonate)、セルロース硫酸イオン(cellulose sulphate)、もしくは、全フッ素置換ポリアニオン(perfluorinated polyanion)から選択される。
【0118】
アリールスルホン酸類イオンの例としては、p-トルエンスルホン酸イオン(p-toluenesulphonate)、ベンゼンスルホン酸イオン(benzenesulphonate)、9,10-アントラキノン-スルホン酸イオン(9,10-anthraquinone-sulphonate)およびアントラセンスルホン酸イオン(anthracenesulphonate)がある。アレーンジカルボン酸イオンの例としてフタル酸イオン(phthalate)があり、アレーンカルボン酸の例として、安息香酸イオン(benzoate)がある。
【0119】
我々は、ポリアニリンなどの、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの、プロトン化されたポリマーは、蒸発(evaporate)しにくいか、または蒸発しないことを発見した。しかしながら、驚くべきことに、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーが脱プロトン化されると、簡単に蒸発できるようになること、すなわちポリマーが蒸発可能(evaporable)であることを、我々は見出した。
【0120】
好ましくは、蒸発可能な、アミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換ポリマーの脱プロトン化されたポリマーが用いられる。そのアミノ置換芳香族化合物の非置換もしくは置換の脱プロトン化されたポリマーは、水酸化アンモニウムのようなアルカリ、または水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物で、処理して脱プロトン化することにより生成できる。
【0121】
プロトン化の程度は、プロトン化したポリアニリンの形成と脱プロトン化で調節することができる。ポリアニリン類の調製方法は、「A. G. MacDiarmid and A. F. Epstein, Faraday Discussions, Chem Soc.88 P319, 1989」の文献に記載されている。
【0122】
ポリアニリンの伝導率はプロトン化の程度に依存し、伝導率が最大となるのは、例えば約50%のように、プロトン化の程度が40%と60%の間であるときである。
【0123】
好ましくは、ポリマーは実質的に完全に脱プロトン化されている。
【0124】
ポリアニリンは、例えば以下のようなオクタマー単位(octamer unit)、すなわちpが4であるようなもの、を形成する可能性がある。
【0125】
【化37】

【0126】
ポリアニリン類は1 x 10-1 Siemen cm-1 の桁以上の導電率を有する可能性がある。
【0127】
芳香族環は非置換であるか、もしくは例えばエチル基のようなC1から20のアルキル基などで置換されている可能性がある。
【0128】
ポリアニリンはアニリンの共重合体である可能性があり、好ましい共重合体は、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジン(o-toluidine)とo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミン、もしくはアミノアントラセン類との共重合体である。
【0129】
使用することができるその他のアミノ置換芳香族化合物のポリマーには、置換もしくは非置換のポリアミノナフタレン類、ポリアミノアントラセン類、ポリアミノフェナントレン類など、さらには、任意の他の縮合ポリ芳香族化合物のポリマーが含まれる。ポリアミノアントラセン類、および、それらを作る方法は「US Patent 6153726」に開示されている。芳香族環は非置換であっても良いし、例えば先に定義したR基で置換されているものでも良い。
【0130】
その他の正孔輸送物質は共役高分子(conjugated polymer)で、用いることができる共役高分子は、「US 5807627」、「WO90/13148」、および「WO92/03490」に開示もしくは参照されている、任意の共役高分子とすることができる。
【0131】
好ましい共役高分子は、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)および、PPVを含む共重合体である。その他の好ましい高分子は、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)]、ポリ[(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)]、ポリ[(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)]などのポリ(2,5-ジアルコシキフェニレンビニレン)、ならびに、長鎖可溶化性アルコキシ基(long chain solubilising alkoxy group)であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)類 である。
【0132】
PPVのフェニレン環は、任意に1箇所以上置換することができ、例えば個々に、アルキル基(好ましくはメチル基)、またはアルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。
【0133】
ポリフルオレンでは、フルオレン環を任意に1箇所以上置換することができ、例えば個々に、アルキル基(好ましくはメチル基)、またはアルコキシ基(好ましくはメトキシ基もしくはエトキシ基)から独立に選択することができる。
【0134】
任意のポリ(アリーレンビニレン)(poly(arylenevinylene))には、用いることができるその置換誘導体も含まれ、ポリ(p-フェニレンビニレン) のフェニレン環は、アントラセン環もしくはナフタレン環のような縮合環系に置き換えることができ、それぞれのポリ(フェニレンビニレン)部分のビニレン基の数は例えば7つ以上のように増やすこともできる。
【0135】
共役高分子は「US 5807627」、「WO90/13148」、および「WO92/03490」に開示された方法で作ることができる。
【0136】
正孔輸送層(hole transporting layer)の厚さは20nm〜200nmが好ましい。
【0137】
前述のポリアニリン類などのアミノ置換芳香族化合物のポリマーは、他の正孔輸送物質とともに、もしくは組み合わせて、例えばアノードと正孔輸送層の間などの、緩衝層としても用いることができる。他の緩衝層は、フタロシアニン銅のようなフタロシアニン類から形成することができる。
【0138】
その他のいくつかの正孔輸送物質の構造式を図12、13、14、15および16の図に示した。ここで、R、R1、R2、R3およびR4は同じであっても異なっていても良く、水素、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族基、複素環基ならびに多環の環状構造のような置換および非置換のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)、トリフルオロ
メチル基のようなフルオロカーボン基(fluorocarbon group)、フッ素原子などのハロゲン類あるいはチオフェニル基から選択されるものであり、R、R1、R2、R3およびR4は置換および非置換の縮合芳香族環、複素環、および多環の環構造を形成する可能性もあり、スチレンなどのモノマーと共重合体を作る可能性がある。XはSe、SもしくはOであり、Yは水素、置換および非置換の芳香族基、複素環基、ならびに多環の環状構造のような、置換もしくは非置換のヒドロカルボキシル基(hydrocarboxyl group)、トリフルオロメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン類、チオフェニル基もしくはニトリル基である可能性がある。
【0139】
Rおよび/もしくはR1および/もしくはR2および/もしくはR3および/もしくはR4の例には、脂肪族基、芳香族基および複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基およびカルボキシ基、置換ならびに非置換のフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基(anthracenyl)およびフェナントレニル基(phenanthrenyl)、t-ブチル基のようなアルキル基、ならびにカルバゾール基のような複素環基が含まれる。
【0140】
オプションとして、電子注入物質(electron injecting material)の層が、アノードとエレクトロルミネセンス物質の層との間に存在する。電子注入物質は電流が通ったときに電子を輸送する物質である。電子注入物質には、例えばアルミニウムキノラート、リチウムキノラート、ジルコニウムキノラート(Zrq4)などの金属キノラート(metal quinolate)のような金属錯体、9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、シアノ置換芳香族化合物、テトラシアノキノジメタン(tetracyanoquinodimethane)、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、または、図10もしくは図11に示した構造式の化合物、あるいはMx(DBM)nが含まれる。ここでMxは金属であり、DBMはジベンゾイルメタンで、nはMxの価数である。例えばMxはアルミニウムもしくはクロムである。シッフ塩基をDBM部分の代わりに用いることもできる。
【0141】
別々の層とする代わりに、電子注入物質をエレクトロルミネセンス物質と混合して共蒸着(co-deposited)させることもできる。
【0142】
オプションとして、正孔輸送物質をエレクトロルミネセンス物質と混合して共蒸着させ、かつ、電子注入物質とエレクトロルミネセンス物質を混合することもできる。正孔輸送物質、エレクトロルミネセンス物質、および電子注入物質を一緒に混ぜて一つの層を形成することもでき、これによって構成を単純化することができる。
【0143】
第一電極は、好ましくはアノードとして作用する導電ガラス(conductive glass)もしくは導電性のプラスチック物質などの透明基板(transparent substrate)である。好ましい基板は、インジウム-スズ酸化物被覆ガラス(indium tin oxide coated glass)などの導電ガラスであるが、任意の導電性を有するガラス、または、金属もしくは導電性ポリマーなどの導電層を有するガラスを用いることができる。導電性ポリマー類、ならびに、導電性ポリマーで被覆されたガラスもしくはプラスチック物質も、基板として用いることができる。
【0144】
カソードは好ましくは、例えばアルミニウム、バリウム、カルシウム、リチウム、希土類金属、遷移金属、マグネシウム、および、銀/マグネシウム合金、希土類金属合金などのような、それらの合金などの仕事関数の低い金属で、アルミニウムが好ましい金属である。フッ化リチウムなどのアルカリ金属のフッ化物、または希土類金属のフッ化物、もしくはそれらの合金などの、金属フッ化物(metal fluoride)を第二電極として用いることができ、例えば金属フッ化物の層をその表面に有する金属を用いることができる。
【0145】
イリジウムもしくは他の金属錯体は、ホスト物質(host material)と混合することができる。
【0146】
本発明に係るデバイスはビデオディスプレイ、携帯電話、ポータブル・コンピュータ、および、電気的に制御されている視覚的イメージ(visual image)が用いられる任意の他の用途に用いられるディスプレイに用いることができる。本発明に係るデバイスは、このようなディスプレイのアクティブ用途(active applications)とパッシブ用途(passive
applications)の両方に用いることができる。
【0147】
既知のエレクトロルミネセンスデバイスでは、一方もしくは両方の電極をシリコン、および、エレクトロルミネセンス物質で形成することができ、正孔輸送物質および電子輸送物質(electron transporting material)の中間層(intervening layers)をピクセル(pixel)としてシリコン基板上に形成することができる。好ましくは、各ピクセルには、基板から離れたほうの端で有機層に接触している、少なくとも一つのエレクトロルミネセンス物質の層、および、透明電極(少なくとも半透明)が含まれる。
【0148】
好ましくは、基板がシリコン結晶(crystalline silicon)でできていて、電極もしくはエレクトロルミネセンス化合物を蒸着する(deposition)前に平らな表面を作るために、基板の表面は磨かれもしくは平らにされることがある。また、あるいは、平滑化していない(non-planarised)シリコン基板に、さらに物質を蒸着する前に、平滑な面を作るために、導電性ポリマーの層で被覆して平らな面を作ることができる。
【0149】
ある実施例では、各ピクセルは基板に接触している金属電極を含んでいる。金属電極と透明電極の相対的な仕事関数によって、一方がアノードとして機能し、他方がカソードとして機能することがある。
【0150】
シリコン基板がカソードの場合、インジウム-スズ酸化物被覆ガラスをアノードとして作用させることができ、光はアノードを通して発光する。シリコン基板がアノードとして作用するとき、カソードは、適切な仕事関数を有する透明電極で構成される可能性がある。例えばインジウム-亜鉛酸化物被覆ガラス(indium zinc oxide coated glass)は、インジウム-亜鉛酸化物が低い仕事関数を有するため、用いることができる。このアノードの上に金属の透明被覆(transparent coating of a metal)をして適切な仕事関数を与えるようにすることが可能である。これらのデバイスは、トップエミッティングデバイス(top emitting devices)もしくはバックエミッティングデバイス(back emitting devices)と呼ばれることがある。
【0151】
金属電極は多数の金属層から構成されることがある。例えば、アルミニウムのように高い仕事関数を有する金属を基板の上に蒸着して、カルシウムのように低い仕事関数を有する金属を、より高い仕事関数を有する金属の上に蒸着することがある。他の例としては、さらに導電性のポリマーの層が、アルミニウムなどの安定な金属の上に位置する。
【0152】
好ましくは、電極は各ピクセルの裏側が鏡としても機能し、電極が表面を平坦化された基板の上に蒸着され、もしくは表面を平坦化された基板中に沈められる。しかしながら、もう一つの方法として、吸光黒色層(light absorbing black layer)を基板に隣接させることができる。
【0153】
さらに他の実施例では、選択された範囲の下端の導電性ポリマー層を、適切な水溶液にさらして導電性をなくすことによって、ピクセル電極の下端接触部(the bottom contacts)として機能するピクセルパッド(pixel pads)の配列(arrays)を構成することが可能になる。
【0154】
〔デバイス構成〕
エレクトロルミネセンスデバイスは、ITO被覆ガラス基板に逐次的に構成要素の層を蒸着することにより調製した。
【0155】
デバイスを構成するために、あらかじめエッチングしたITO被覆ガラス片(pre-etched ITO coated glass piece)(10 x 10cm2)を用いた。デバイスはSolciet Machine(株式会社アルバック、茅ヶ崎、日本)を用いた真空蒸着により、逐次的に層をITO上に構成して作成した。個々のピクセルの活性領域(active area)は3mm x 3mmであった。
【0156】
混合物の層(the mixed layers)は、二種類の物質を基板の上に連続的に蒸着することによって構成した。実施例において、化合物X、YおよびZは以下のものである。
【0157】
【化38】

【発明を実施するための最良の形態】
【0158】
〔実施例1〕
2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン
【0159】
【化39】

【0160】
250mlの二頚丸底フラスコに還流冷却器(ガス流入口つき)およびゴム製のセプタム(rubber septum)をセットし、アルゴン置換してから、2-ブロモピリジン(2.57ml、27mmol)およびエチレングリコールジメチルエーテル(80mL、脱水し脱気したもの)を加えた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.0g、0.87mmol)をその溶液に加え、室温で10分間撹拌した。ベンゾチオフェン-2-ボロン酸(5.0g、28.1mmol)を加えて、無水炭酸水素ナトリウム(8.4g、100mmol)および水(50mL、脱気したもの)を加えた。セプタムをガラス栓と取り替え、反応混合物を16時間、80℃に加熱した。室温まで冷やして、揮発性の成分(volatiles)を減圧下で除去した。有機層を酢酸エチルで抽出し(3×100ml)、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水した。有機溶媒を除去して淡黄色の固体が得られた。エタノール中で再結晶し、無色の固体が得られた(3.9g、68%、two crops)、m.p. 124〜6℃。
【0161】
テトラキス[2-ベンゾ][b]チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N’](μ-クロロ)ジイリジウム
【0162】
【化40】

【0163】
三塩化イリジウム水和物(0.97g、3.24mmol)を2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン(2.05g、9.7mmol)と混合し、2-エトキシエタノール(70mL、MgSO4存在下で脱水・蒸留し、脱気したもの)と水(20mL、脱気したもの)との混合物中に溶かして24時間還流させた。溶液を室温まで冷却して、オレンジ色の沈殿を焼結ガラス(glass sinter)上で集めた。沈殿をエタノール(60mL、95%)、アセトン(60mL)、およびヘキサンで洗浄した。得られたものを乾燥させ、それ以上の精製は行わなかった。収率(1.5g、71%)。
【0164】
ビス チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N’]-2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾールイリジウム
【0165】
【化41】

【0166】
カリウム tert-ブトキシド(1.12g、10 mmol)および2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾール(1.95 g、10mmol)を200mLシュレンク管に、不活性雰囲気下で入れた。2-エトキシエタノール(MgSO4存在下で脱水・蒸留したもの、100mL)を得られた溶液に加え、室温で10分間攪拌した。テトラキス[2-ベンゾ][b]チオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N’](μ-クロロ)ジイリジウム(6.0g、4.62mmol)を加え、その混合物を不活性雰囲気下で16時間還流した。室温まで冷却し、オレンジ/赤色固体を分離した。固体を濾過して集め、エタノールで3回(3×100mL)洗浄し、ジエチルエーテル(100mL)で洗浄した。減圧乾燥した後、その物質を酢酸エチルで24時間、ソックスレー抽出することによって精製した。さらに真空昇華(high-vacuum sublimation)(3×10-7 Torr、400℃)によって精製した。収率(6.6g、89%、昇華前)。
【0167】
元素分析結果:
計算値:C, 56.56; H, 3.00, N, 8.68
実測値:C, 56.41; H, 2.91; N, 8.64。
【0168】
〔実施例2〕
デバイスは以下の構成で作られた。
ITO(110nm)/CuPc(10nm)/α-NPB(60nm)/Liq:化合物 X (30:2)nm /BCP(6nm) / Zrq4 (30nm)/LiF (0.5nm)/Al
ここで、化合物Xは、前述のとおり合成したチオフェン-2-イル-ピリジン-C2,N’]-2-(2-ピリジル)ベンズイミダゾールイリジウム、CuPcは銅フタロシアニン緩衝層、α-NPBは図16aに示したものであり、Liqはリチウムキノラートで、BCPはバソキュプロン(bathocupron)、Zrq4はジルコニウムキノラート、そしてLiFはフッ化リチウムである。
【0169】
被覆電極は、真空塗工機(vacuum coater)Solciet Machine(株式会社アルバック、茅ヶ崎、日本)に入れられるまでの間、減圧デシケーター(vacuum desiccator)中で、モレキュラーシーブと五酸化二リンの存在下で保管された。個々のピクセルの活性領域(active area)は3mm x 3mmで、アルミニウムトップコンタクト(aluminium top contacts)を形成した。デバイスはその後、エレクトロルミネセンスの研究に用いられるまでは減圧デシケーターの中に保管した。
【0170】
ITO電極は常に正極(positive terminal)に接続された。電流と電圧の関係についての研究はコンピュータ制御されたKeithly 2400 source meterで行われた。
【0171】
エレクトロルミネセンス特性を測定し、結果は図17、18および19に示すとおりである。
【0172】
〔実施例3〕
デバイスは実施例2と同様に形成され、その構成は以下のとおりである。
ITO(110nm)/化合物Y(10nm)/α-NPB(60nm)/Liq:化合物 X (30:2)nm / Zrq4 (30nm)/LiF (0.5nm)/Al
電流を、実施例2と同様にデバイスに加え、発光特性を測定した。結果は図20〜22に示すとおりである。
【0173】
〔実施例4〕
デバイスは実施例2と同様に形成され、その構成は以下のとおりである。
ITO(110nm)/ZnTpTP(10nm)/α-NPB(60nm)/Liq:化合物 X (30:2)nm / Zrq4 (30nm)/LiF (0.5nm)/Al
電流を、実施例1と同様にデバイスに加え、発光特性を測定した。結果は図23〜25に示すとおりである。
【0174】
〔実施例5〕
デバイスは実施例2と同様に形成され、その構成は以下のとおりである。
ITO(110nm)/化合物Y(10nm)/α-NPB(60nm)/Liq:化合物 X (30:2)nm/ 30nm) /LiF (0.5nm)/Al
電流を、実施例1と同様にデバイスに加え、発光特性を測定した。結果は図26〜28に示すとおりである。
【0175】
〔実施例6〕
デバイスは実施例2と同様に形成され、その構成は以下のとおりである。
ITO(110nm)/ZnTpTP(10nm)/α-NPB(60nm)/Liq:化合物X (30:2)nm / Liq (30nm)/LiF (0.5nm)/Al
電流を、実施例2と同様にデバイスに加え、発光特性を測定した。結果は図29〜31に示すとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0176】
本文中に図面の簡単な説明に該当する記載なし。
【図1】

【図2a】

【図2b】

【図3】

【図4a】

【図5a】

【図5b】

【図5c】

【図5d】

【図5f】

【図5g】

【図6a】

【図6b】

【図6c】

【図6d】

【図6e】

【図7a】

【図7b】

【図7c】

【図7d】

【図7e】

【図7f】

【図8a】

【図8b】

【図8c】

【図8d】

【図8e】

【図8f】

【図8g】

【図8h】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12a】

【図12b】

【図12c】

【図12d】

【図13a】

【図13b】

【図13c】

【図14a】

【図14b】

【図14d】

【図15a】

【図15b】

【図16a】

【図16b】

【図16c】

【図14c】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換もしくは非置換の金属キノラートの混合物、ならびに、エレクトロルミネセンス有機金属錯体の混合物で構成されることを特徴とする、エレクトロルミネセンス構成物(electroluminescent composition)。
【請求項2】
(i) 第一電極、(ii) 置換もしくは非置換のリチウムキノラートとエレクトロルミネセンス有機金属錯体との混合物を含むエレクトロルミネセンス構成物の層、および、(iii) 第二電極を含むことを特徴とする、エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項3】
前記金属がリチウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルであることを特徴とする、請求項1または2に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
発光波長が金属キノラートのみで得られる発光波長よりも長いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項5】
有機金属錯体のHOMO-LUMOギャップが、金属キノラートのHOMO-LUMOギャップの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項6】
前記金属キノラートは、n-ブチルリチウムと8-ヒドロキシキノリンのアセトニトリル溶媒中での反応で生成されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項7】
前記有機金属錯体が、ルテニウム錯体、ロジウム錯体、パラジウム錯体、オスミウム錯体、イリジウム錯体、もしくは、白金錯体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項8】
前記錯体が以下の構造であることを特徴とする、請求項7に記載のエレクトロルミネセンス構成物(electroluminescent composition)もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【化1】

ここで、Mはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、nは1もしくは2であり、R1〜R5は、同じ基であっても異なる基であってもよく、置換および非置換のヒドロカルビル基、置換および非置換の単環もしくは多環の複素環基、置換および非置換のヒドロカルビルオキシ(hydrocarbyloxy)基またはカルボキシ基、フルオロカルビル(fluorocarbyl)基、ハロゲン、ニトリル、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、N-アルキルアミド基、N-アリールアミド基、スルホニル基、ならびに、チオフェニル基から選択され、R2およびR3は、さらにアルキルシリル基またはアリールシリル基である可能性があり、p、sおよびtは独立に、0、1、2もしくは3であり、p、sおよびtのいずれかが2もしくは3であるという条件の下で、それらのうちの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしく
は、ハロゲン以外であってもよく、qおよびrは独立して0、1、もしくは2で、qもしくはrが2であるという条件の下で、それらの1つだけが飽和ヒドロカルビル基、もしくは、ハロゲン以外であってもよく、またここで、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基(trifluoryl methyl groups)のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基から選択され、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマー(例えば、スチレン)と共重合をすることができ、さらに、ここでR4およびR5は、同じ基であっても異なる基であっても良く、水素、ならびに、置換および非置換の脂肪族基、置換および非置換の芳香族、複素環および多環の環状構造を有する基のような置換および非置換のヒドロカルビル基、トリフルオリルメチル基のようなフルオロカーボン基、フッ素のようなハロゲン、もしくは、チオフェニル基、から選択されてもよく、また、R1、R2およびR3は、置換または非置換の縮合した芳香族、複素環および多環の環状構造を形成してもよく、モノマーと共重合をすることもでき、あるいは、R5およびR6は以下の基を構成する可能性もある。
【化2】

Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは、白金であり、n+2はMの価数である。
【請求項9】
前記金属がイリジウムであることを特徴とする、請求項8記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項10】
前記有機金属錯体はM(L)nおよびMO(L)n-2の構造であって、ここで、Mはn価の金属であり、ここでnは3より大きな数であり、Lは有機配位子であり、Lは同じであっても良く、例えばM(L1)(L2)(L3)(L4)...、もしくは、MO(L1)(L2)....のように、異なるものであっても良いことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項11】
金属Mが4価のチタン、ジルコニウム、もしくはハフニウム、または、5価のバナジウム、ニオブ、もしくはタンタルであることを特徴とする、請求項10記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項12】
前記有機金属錯体がジルコニウムキノラートであることを特徴とする、請求項11記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項13】
前記エレクトロルミネセンス物質が、以下の構造の有機金属錯体であって、
【化3】

ここで、LαおよびLpが有機配位子で、Mが希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドで、nが金属Mの価数であり、配位子Lαが同じであるか、もしくは異なっていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物(electroluminescent composition)もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項14】
同じであるか、もしくは異なっている可能性がある、複数の配位子Lpを有することを特徴とする、請求項13記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項15】
前記エレクトロルミネセンス物質が、構造式(Ln)nM1M2もしくは(Ln)nM1M2(Lp)の有機金属錯体であり、
ここで、LnはLα、Lpは中性配位子であり、M1は希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドであり、M2は非希土類金属であり、そして、nがM1とM2を組み合わせた価数であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項16】
前記エレクトロルミネセンス物質が、以下の構造式
【化4】

ここで、Lは架橋する配位子であり、M1は希土類金属であり、そして、M2はM1もしくは非希土類金属であり、LmおよびLnは上述で定義したような同じもしくは異なる有機配位子Lαであり、xがM1の価数であり、yがM2の価数である、
または、
【化5】

ここで、M1、M2およびM3は、同じもしくは異なる希土類金属であり、Lm、LnおよびLpは有機配位子Lαであり、そして、xがM1の価数であり、yがM2の価数であり、zがM3の価数であり、さらに、LpがLmとLnと同じもしくは異なっていてもよいか、
あるいは、
【化6】

ここで、M4はM1であり、Lは架橋する配位子であり、そして、希土類金属および非希土類
金属は、金属−金属結合すること、および/または、中間で架橋する原子、配位子もしくは分子基を介することによってともに結合することができ、あるいは、金属−金属結合すること、および/もしくは、中間の配位子を介することによって結合する3つ以上の金属を有する、
2核、3核、もしくは多核の有機金属錯体である、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項17】
前記非希土類金属M2が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモン、鉛、ならびに、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金、カドミウム、クロム、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、ロジウム、イリジウム、チタン、ニオブ、スカンジウム、およびイットリウムなどの遷移金属の第1、第2ならびに第3族の金属から選択される、
ことを特徴とする請求項15または請求項16記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項18】
前記Lαが本明細書中の構造式(VII)から(XXX)である、
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項19】
前記Lpが、添付の図の図1から図8における構造式、もしくは、本明細書中(XXXI)から(XXXVIII)の構造式である、
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項20】
前記希土類金属、遷移金属、ランタニドもしくはアクチニドが、Sm(III)、Eu (II)、Eu(III)、Tb(III)、Dy(III)、Yb(III)、Lu(III)、Gd(III)、Gd(III)U(III)、Tm(III)、Ce(III)、Pr(III)、Nd(III)、Pm(III)、Dy(III)、Ho(III)、およびEr(III)から選択される、
ことを特徴とする請求項5から17のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項21】
前記エレクトロルミネセンス物質は、構造式Mqnの金属キノラートであり、ここでMは金属であり、nが金属の価数であり、qが置換もしくは非置換のキノラートイオンであるが金属キノラートホストとは異なることを特徴とする、請求項1〜6記載のエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項22】
前記金属Mが、リチウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルである、
ことを特徴とする請求項21記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項23】
前記エレクトロルミネセンス物質が、エレクトロルミネセンス非希土類金属錯体である、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項24】
前記エレクトロルミネセンス物質が、アルミニウム錯体、マグネシウム錯体、亜鉛錯体もしくはスカンジウム錯体である、
ことを特徴とする請求項23記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項25】
前記エレクトロルミネセンス物質がβ-ジケトン錯体である、
ことを特徴とする請求項24記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項26】
前記エレクトロルミネセンス物質が、Al(DBM)3、Zn(DBM)2およびMg(DBM)2、Sc(DBM)3であり、(DBM)がトリス-(1,3-ジフェニル1-1-3-プロパンジオン)である、
ことを特徴とする請求項25記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項27】
前記エレクトロルミネセンス物質が、本明細書中の構造式(XXXIX) から (XXXXI)の化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項28】
前記エレクトロルミネセンス化合物が少量のドーパントとしての蛍光物質と共ドープされており、好ましくはドープされた混合物の重さの5%〜15%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項29】
前記第一電極と前記エレクトロルミネセンス層の間に正孔輸送物質の層があることを特徴とする、請求項1〜28のいずれか一項に記載のエレクトロルミネセンス構成物もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項30】
前記正孔輸送物質が芳香族アミン錯体(aromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項29記載のエレクトロルミネセンス構成物(electroluminescent composition)もしくはエレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項31】
前記正孔輸送物質がポリ芳香族アミン錯体(polyaromatic amine complex)であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項32】
前記正孔輸送物質が、α-NBP、ポリ(ビニルカルバゾール)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(TPD)、ポリアニリン、置換ポリアニリン類、ポリチオフェン類、置換ポリチオフェン類、ポリシラン類および置換ポリシラン類から選択された、ポリマーの膜であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項33】
前記正孔輸送物質が、本明細書の構造式(XXXXII)もしくは(XXXXIII)の化合物、または図14から16の図のような化合物の膜であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項34】
前記正孔輸送物質が、アニリンの共重合体、アニリンとo-アニシジン、m-スルファニル酸、もしくはo-アミノフェノールとの共重合体、またはo-トルイジンとo-アミノフェノール、o-エチルアニリン、o-フェニレンジアミンもしくはアミノアントラセンとの共重合体であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項35】
前記正孔輸送物質が、共役高分子であることを特徴とする、請求項29記載のデバイス。
【請求項36】
前記共役高分子がポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)、ならびに、PPV、ポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-メトキシペンチルオキシ-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシペンチルオキシ)-1,4-フェニレンビニレン)、ポリ(2-メトキシ-5-(2-ドデシルオキシ-1,4-フェニレンビニレン) および、長鎖可溶化性アルコキシ基であるアルコキシ基、ポリフルオレン類およびオリゴフルオレン類、ポリフェニレン類およびオリゴフェニレン類、ポリアントラセン類およびオリゴアントラセン類、ポリチオフェン類およびオリゴチオフェン類のうちの少なくとも一つを含む、他のポリ(2,5-ジアルコキシフェニレンビニレン) 類を含む共重合体とから選択された共役高分子であることを特徴とする、請求項34記載のデバイス。
【請求項37】
前記エレクトロルミネセンス化合物が前記正孔輸送物質に混合されていることを特徴とする、請求項29から36のいずれかに記載のデバイス。
【請求項38】
前記カソードと前記エレクトロルミネセンス化合物の層の間に、電子輸送物質の層があることを特徴とする、請求項14から23のいずれかに記載のデバイス。
【請求項39】
前記電子輸送物質が金属キノラートであることを特徴とする、請求項38記載のデバイス。
【請求項40】
前記金属キノラートがアルミニウムキノラート、ジルコニウムキノラート、もしくはリチウムキノラートであることを特徴とする、請求項39記載のデバイス。
【請求項41】
前記電子輸送物質の構造がMx(DBM)nであることを特徴とし、
ここでMxは金属で、DBMはジベンゾイルメタンであり、nはMxの価数である、
請求項38記載のデバイス。
【請求項42】
前記電子輸送物質が9,10-ジシアノアントラセンのようなシアノアントラセン、ポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulphonate)、または図10もしくは11の図で示された構造式の化合物であることを特徴とする、請求項31記載のデバイス。
【請求項43】
前記電子輸送物質が前記エレクトロルミネセンス化合物と混合されていることを特徴とする、請求項38から42のいずれかに記載のデバイス。
【請求項44】
前記第一電極が透明電気伝導ガラス電極であることを特徴とする、請求項28から43のいずれかに記載のデバイス。
【請求項45】
前記第二電極が、アルミニウム、バリウム、希土類金属、遷移金属、カルシウム、リチウム、マグネシウム、および、それらの合金、ならびに銀/マグネシウム合金から選択されたものであることを特徴とする、請求項28から44のいずれかに記載のデバイス。
【請求項46】
前記第二電極が、金属フッ化物の層をその表面に有する金属から選択されることを特徴とする、請求項28から45のいずれかに記載のデバイス。
【請求項47】
前記金属フッ化物がフッ化リチウム、もしくは希土類のフッ化物であることを特徴とする、請求項46記載のデバイス。

【公表番号】特表2008−530332(P2008−530332A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555686(P2007−555686)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000441
【国際公開番号】WO2006/087521
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(505347488)オーエルイーディー−ティー リミテッド (12)
【Fターム(参考)】