エレクトロルミネセント・ディスプレイ装置、照明装置または表示装置、並びに、その製造プロセス
本発明は、エレクトロルミネセント・ディスプレイ、照明装置、または、表示装置に関し、また、それの製造プロセスに関する。この装置(1)は、少なくとも2つの電極、すなわち、内側電極(5)および外側電極(6)を有するエレクトロルミネセント・ユニット(3)によってコーティングされた基板(2)を備え、2つの電極間には、発光構造(4)が配置され、前記電極の少なくとも1つは、放射される光に対して透明であり、保護プレート(7)が、接着剤(7a)によってユニット上に組み立てられる。本発明によれば、前記接着剤は、ユニットに載せられた接着性促進層(10)を被覆し、前記接着性促進層は、前駆体からALD(原子層堆積)によって堆積され、また、前記接着性促進層は、接着剤と相溶性のある少なくとも1つの無機化合物に基づいたものであり、これらの前駆体の少なくとも1つと反応することのできる反応性金属副層(9)が、前記接着性促進層の下にかつ前記接着性促進層に接触した状態で挿入され、放射される光に対して透明な少なくとも1つの誘電中間層(8)が、外側電極と反応性副層との間に配置され、それによって、前記外側電極および前記反応性副層とともに、共振空洞を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光構造(light−emitting structure)が間に挿入された少なくとも2つの電極を備えたエレクトロルミネセント・ユニット(1つかまたは複数)を備えた電子ディスプレイ装置、照明装置、または、サイネージ装置(signage device)に関し、また、この装置を製造するためのプロセスに関する。本発明は、一般的には、限定するものではない例として、マイクロディスプレイまたはマイクロスクリーンのようなアクティブ・マトリックス装置またはパッシブ・マトリックス装置に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、例えば有機発光ダイオード(OLED)を使用するもののようなエレクトロルミネセント・ユニット・ディスプレイ装置は、半導体基板上に配置された次のものを備える。すなわち、
発光構造が、少なくとも1つの有機膜を備え、かつ、一方が内側にあり他方が外側にある2つの電極間に挿入され、これらの電極の少なくとも1つは、放射される光に対して透明かまたは半透明であり、外側電極は、放射が光放射領域(luminous emission region)の外面を経由するものであるかまたは基板を介するものであるかに依存してそれぞれ、薄いかまたは比較的に厚い、発光構造によって形成された光放射領域と、
電気的接触領域が、内側電極と接触する少なくとも1つの領域と、外側電極と接触する1つの領域とを備え、それぞれの領域は、場合によっては、アクセス抵抗を最小化するために、複数のコネクションから物理的に形成された、一般的にはこの放射領域に隣接して配置される電気的接触領域とを備える。
【0003】
OLEDユニットのエンキャプスレーション(encapsulation)は、重要な問題であり、多くの研究がなされる原因となってきた。これらのユニットは、通常、2つの異なる方法によって、周囲空気の湿気と酸素から保護される。すなわち、
例えばガラスから作られた保護キャップによって保護され、この保護キャップは、内側に突き出た周辺エッジを有するように成形され、かつ、このエッジによって装置の放射領域の周辺に結合され、それによって、組立品に関与する圧力は、OLEDスタックを変形させることがないか、あるいは、
放射領域上に配置された1つかまたはそれ以上の薄いエンキャプスレーション層によって保護され、このエンキャプスレーション層は、典型的には、要求される透過特性(permeability specification)を満たすように有機材料および無機材料を交互に備える。
【0004】
エンキャプスレーションの上述した第1の方法の1つの大きな欠点は、一方において、成形中にこのキャップの突き出たエッジを付形する(shape)必要があることに存在し、また、他方においては、得られる結合接触面(bonding interface)の小さい面積に存在し、これは、長期にわたる有効なエンキャプスレーションを必ずしも保証できるとは限らない。
【0005】
エンキャプスレーションの上述した第2の方法に関しては、外面(すなわち、上面)を経由して放射するOLEDユニットの場合、可視光線に対して透明な薄いキャッピング層を外側電極上に配置することが知られており、このキャッピング層は、OLEDユニットから光子を抽出するように、1.8よりも大きい屈折率を有する誘電体から一般的には作られる。このキャッピング層は、さらにまた、その下にある有機半導体の電気−光学特性を変えることがないように、真空蒸着のような「ソフトな」法を用いて(すなわち、わずかな酸化種とわずかな水の存在下において、低い温度およびきわめて低いエネルギー衝撃を用いて)、配置されなければならない。
【0006】
このようにして配置されたキャッピング層は、十分に濃密ではないという欠点および十分に「一様な厚さ(conformal)」ではないという欠点(すなわち、キャッピング層が被覆する表面のマイクロ凹凸(micro-relief)またはナノ凹凸(nano-relief)に十分に従わないという欠点)を有し、これは、エンキャプスレーションの有効性を減少させる。
【0007】
特許文献1は、放射領域上に重ね合わせられた2つのエンキャプスレーション層を有するOLED装置を提供し、この2つのエンキャプスレーション層は、それぞれ、例えばALD(原子層堆積)を用いて堆積された誘電酸化物層、および、例えばパリレンからなるポリマー層から作られる。また、エンキャプスレーション層をエレクトロルミネセント・ユニット上に堆積するためにALD技術を使用することを教示している特許文献2および特許文献3に言及することもできる。
【0008】
これらのALD堆積エンキャプスレーション層は、「一様な厚さ」であり、それと同時に、高い密度を有するという利点を有し、これは、周囲の湿気および酸素に対する比較的に満足できる遮断性をエンキャプスレーション層に提供する。それにもかかわらず、これらのALD堆積層の1つの欠点は、酸化剤および水を含むALD堆積前駆体を使用することにあり、これらのALD堆積層は、その下にあるOLEDユニットの特性を変える傾向を有する。ALD堆積は、低い温度で実行されるので、前駆体は、なおさら、反応性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第US−A−2002/0003403号明細書
【特許文献2】米国特許第US−A−2007/0099356号明細書
【特許文献3】米国特許第US−A−2007/0275181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、間に発光構造が挿入された一方が内側電極であり他方が外側電極である少なくとも2つの電極を備えたエレクトロルミネセント・ユニットによって少なくとも一方の面がコーティングされた基板を備えた電子ディスプレイ装置、照明装置、または、サイネージ装置を提供することであり、これらの電極の少なくとも一方は、放射される光に対して透明であり、保護キャップが、キャップの組立面(assembly face)を被覆する接着剤によってユニットに接合され、この装置は、エンキャプスレーションの上述した2つの方法に関してこれまでに説明した欠点を軽減するのを可能にするものである。
【0011】
このために、本発明による装置は、この接着剤が、ユニットに載せられた接着性促進層(adhesion promoting layer)も被覆するようなものであり、この接着性促進層は、前駆体ベースALD堆積を用いて堆積され、また、この接着性促進層は、接着剤と相溶性のある少なくとも1つの無機化合物に基づいたものであり、これらの前駆体の少なくとも1つと反応することのできる反応性金属副層が、この接着性促進層の下にかつこの接着性促進層に接触した状態で挿入され、放射される光に対して透明な少なくとも1つの誘電中間層が、外側電極とこの反応性副層との間に配置され、それによって、外側電極およびこの反応性副層とともに、共振空洞(resonant cavity)を形成する。
【0012】
この多層外側電極/中間層(1つかまたは複数)/反応性金属副層スタックは、したがって、共振空洞、より詳細にはブラッグ・ミラー(Bragg mirror)を生成するのを可能にし、外側電極と金属層との間にそのような中間層を備えない装置の比較的に狭い通過帯域特性と比較して、放射される光の通過帯域を実質的に広げることを可能にすることに留意されたい。
【0013】
また、反応性副層と接着性促進層とのこの相乗効果は、ユニットの下にある複数の層が、ALD堆積中に保護されること、および、接着性促進層が、この接着性促進層が被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、安定でありかつユニットによって放射される光に対して透明であることを保証することに留意されたい。外側電極と接着性促進層との間に挿入されるこの反応性副層は、接着性促進層と相互作用し、そのために、接着性促進層のALD堆積は、外側電極およびその下にある発光構造の部品に対する有害な結果を伴わない。
【0014】
さらにまた、反応性副層と、濃密で「一様な厚さ」の接着性促進層とを組み合わせることは、エレクトロルミネセント・ユニットの周囲においてキャップの周辺だけに結合した保護キャップと比較すれば、明らかに改善されたエンキャプスレーション品質を提供することに留意されたい。なぜなら、この組み合わせは、保護キャップの組立面の領域全体にわたって、また、保護キャップと向かい合ったユニットの領域全体にわたって、保護キャップを押しつけて結合するのを可能にするからであり、また、反応性副層によって提供される保護と組み合わせられたこの層の密度のために、その下にある様々な部品を損傷することがない。このことによって、外部酸素および外部湿気に対する不浸透性を改善する。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、上述のまたはそれぞれの中間層は、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物、および、透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づくものであり、この中間層は、5nmから35nmまでの厚さを有し、かつ、有利には、真空蒸着技術を用いて配置されてもよい。
【0016】
本発明のさらなる特徴によれば、この接着剤は、キャップの組立面のすべてを被覆してもよく、かつ、有利には、この組立面は、実質的に平坦である。
【0017】
接着性促進層をこのように結合接触面のほぼ全体に塗布することは、その後の結合処理をより容易なものにすることに留意されたい。なぜなら、この層を結合接触面上に選択的に配置する必要がないからであり、したがって、これは、最適なことである。
【0018】
この結果として、内側に突き出た周辺エッジをキャップに提供するようにキャップを成形する処理は、本発明のおかげでもはや必要ではなくなり、これは、両方の面が完全に平坦なキャップを使用するのを可能にするものである。
【0019】
好ましくは、接着性促進層の無機化合物は、酸化アルミニウム、酸化シリコン(例えば、化学式SiO2を有する)、化学式(ZnO)を有する酸化亜鉛、および、化学式(SixNy)を有する窒化シリコンからなる群から選択される。
【0020】
また、好ましくは、この反応性副層は、アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属元素から作られ、かつ、10nmかまたはそれよりも薄い厚さを有する。
【0021】
接着性促進層に関しては、とりわけ、外側電極材料および厚さに対して、また、規定された発光色に対して、とりわけ、色(すなわち、輝度および放射輝度(radiance))を向上させることが望ましいかあるいは得られる発光効率を向上させることが望ましいかに依存して、この接着性促進層は、有利には、10nmから100nmまでの厚さを有する。
【0022】
好ましくは、この接着性促進層は、20nmから80nmまでの厚さを有し、また、この反応性副層は、1nmから10nmまでの厚さを有する。
【0023】
有利には、接着性促進層は、化学式Al2O3を有する酸化アルミニウムから作られ、また、この反応性副層は、この場合、アルミニウムから作られてもよい。
【0024】
本発明のさらなる特徴によれば、外側電極は、放射される光に対して透明かまたは半透明な少なくとも1つの金属から作られ、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムから作られる。
【0025】
有利には、エレクトロルミネセント・ユニットに対する保護キャップのプレス組立品に使用される接着剤は、アクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤のような、紫外線によって硬化することができるように選択され、この保護キャップは、この紫外線に対して透明であるように選択される。
【0026】
この接着性促進層は、この接着剤とキャップおよびその下にあるエレクトロルミネセント・ユニットの層の両方との結合を改善すること、および、この接着性促進層は、とりわけアクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤と相溶性があるように、かつ、その下にあるこれらの層の成分と相溶性があるように、選択されることに留意されたい。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、装置は、接着剤の層を除けば、外側電極に載せられた有機エンキャプスレーション層(例えば、上述した特許文献1に開示されるようなポリマー層)を有していなくてもよい。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、このユニットは、有機発光ダイオード(OLED)を備えてもよく、これは、何らかのその他のエレクトロルミネセント部品が使用されることが条件となる。
【0029】
一般的には、本発明の装置の基板は、半導体であり、好ましくは、シリコンであり、また、このシートは、ガラスまたはプラスチックのような、エレクトロルミネセント・ユニットによって放射される光に対して透明である材料から作られる。
【0030】
カラー・マイクロディスプレイを備えたディスプレイ装置という特殊な場合においては、この保護シートは、光学的なカラー・フィルターまたは変色手段をその組立面上に備えてもよく、それによって、これらのフィルターまたはこれらの手段は、マイクロディスプレイの画素それぞれに対応するカラー・ドットに向かい合って配置されることに留意されたい。
【0031】
これまでに規定されたような本発明による装置を製造するためのプロセスは、
a)中間層が、エレクトロルミネセント・ユニットによって放射される光に対して透明なものであり、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物および透明導電酸化物とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいたものであり、この中間層は、外側電極およびステップb)の反応性副層とともに共振空洞を形成することを意図したものである、少なくとも1つの中間層を例えば真空蒸着によって外側電極上に配置するステップと、
b)アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属から作られた反応性副層を中間層上に配置するステップと、
c)接着性促進層が、接着剤と相溶性のある無機化合物に基づいたものであり、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、および、窒化シリコンからなる群から好ましくは選択され、その結果として、反応性副層が、接着性促進層の堆積の少なくとも1つの前駆体と反応し、それによって、その下にあるユニットの層をALD堆積によって悪影響を与えられることから保護し、それによって、接着性促進層が、それが被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、安定であり、かつ、放射される光に対して透明である、ALDを用いて接着性促進層を堆積するステップと、
d)接着剤が、この外側層およびこの実質的に平坦な組立面の実質的にすべてを被覆するように、接着剤を接着性促進層におよび/または保護キャップの組立面に塗布するステップと、
e)例えば、この接着剤の紫外線硬化によって、この接着性促進層でコーティングされたユニットにキャップを結合するステップと、
を含む。
【0032】
このALD堆積は、低い温度で実施されてもよいこと、かつ、これは、大きく減少した浸透性を有する高密度層を得るのを可能にし、この高密度層は、それが向かい合う表面のマイクロ凹凸またはナノ凹凸にできる限り密接に従うことに留意されたい。また、このALD技術は、本発明による接着性促進層を堆積するのに使用することのできない「一様な厚さでない」方法であるCVD(化学気相成長法)または蒸着法と混同されるべきではない。
【0033】
さらに、この接着性促進層は、接着剤中の溶剤が接着性促進層の下にある層および必要に応じてキャップ上に提供されたフィルターまたは変色手段を浸食しないほど十分に不浸透性であるように選択されることに留意されたい。
【0034】
単なる例として提供された添付の図面を参照することによって、本発明のその他の利点、特徴、および詳細が、以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】結合された後に本発明による電子装置を形成することを意図した、エレクトロルミネセント・ユニットと保護シートとの分解概略断面図である。
【図2】本発明による第1の実施形態における輝度Lの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図3】本発明による第1の実施形態における放射輝度Meの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図4】本発明による第1の実施形態におけるCIEカラー座標xの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図5】本発明による第1の実施形態におけるCIEカラー座標yの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図6】本発明による第1の実施形態における発光効率Kの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図7】本発明による第2の実施形態における放射輝度Meの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図8】本発明による第2の実施形態における輝度Lの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図9】本発明による第2の実施形態におけるCIEカラー座標xの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図10】本発明による第2の実施形態におけるCIEカラー座標yの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図11】本発明による第2の実施形態における発光効率Kの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示される電子ディスプレイ装置1は、例えば、OLED装置であり、エレクトロルミネセント・ユニット3によってコーティングされた典型的にはシリコンから作られた基板2を公知の方法によって備え、このエレクトロルミネセント・ユニット3は、一方は内側電極5であり他方は外側電極6である2つの電極間に挿入された発光構造4を備え、この2つの電極の少なくとも一方(この例においては、外側電極6)は、構造4によって放射される光に対して透明かまたは半透明であり、そのために、放射された光を装置1の外へ透過する。(半)透明の外側電極6は、可視領域における金属の透明性を得るために、また、薄い厚さで電気伝導性を得るために(外側電極6の厚さは、例えば、10nmから30nmまでである)、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムのような金属から作られる。
【0037】
OLED発光構造は、例えば、有機膜の多層スタックからなり、この多層スタックは、電子および正孔を電極5および6から移送するように設計され、これらの電子および正孔は、再結合し、励起子を生成し、それによって、光を放射する。
【0038】
図1に示されるように、このエレクトロルミネセント・ユニット3は、それをエンキャプスレーションするために、接着剤を用いて、外側電極6上に連続的に配置された薄膜8、9、および、10からなる多層スタックを介して、例えばガラスまたはプラスチックから作られた保護キャップ7にしっかりと取り付けられる。図面をより分かりやすいものにするために、図1に示される様々な部品および層2〜10のそれぞれの厚さおよび長さは、断面図の平面において正確な縮尺率で示されていないことに留意されたい。
【0039】
使用される接着剤7aは、好ましくは、紫外線を用いて硬化することができるものであり(例えば、一液型アクリル酸系接着剤または二液型エポキシ系接着剤)、保護キャップ7は、この場合には、この紫外線に対して透明であるように選択される。この接着剤は、硬化していない状態で、それ自体が公知である方法によって、キャップ7の組立面7bのすべてに、および/または、上述した多層スタックを載せたエレクトロルミネセント・ユニット3のすべてに塗布され、そして、キャップ7は、接着剤でコーティングされた組立品接触面に押しつけることによって貼りつけられる(図1に示される矢印Aを参照)。
【0040】
本発明によれば、この多層スタックは、連続的に次のものを備える。すなわち、
必要に応じて、構造4によって放射される光に対して透明でありかつ例えば真空蒸着のような「ソフトな」法を用いて外側電極6上に配置された第1の中間キャッピング層8を備え、この中間層8は、例えばインジウムスズ酸化物のような種類かまたは化学式SiOx、ZnSe、ZnO、Sb2O3を有するその他の種類の誘電化合物に基づいたものであり、
例えばアルミニウムまたはカルシウムから作られた反応性金属副層9を備え、この副層9は、副層9が接触する次の層10のALD堆積の前駆体と反応することができ、それによって、この副層9の下にある層を、層10の堆積による悪影響から保護し、
酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、または、窒化シリコンのような無機化合物から作られた外側ALD堆積接着性促進層10を備え、その結果として、この外側層10は、それが被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、十分に濃密であり、かつ、放射される光に対して透明である。
【0041】
好ましくは、中間層8は、SiOxから作られ、このSiOxの屈折率は、可視領域において、2.6から2.4までであり、かつ、その下にある層に悪影響を与えることなく、容易に気化する。反応性副層9に関しては、これは、有利には、層10のALD堆積の前駆体と反応するアルミニウムから作られてもよく、それによって、透明な安定した酸化物を形成し、そのために、この層10は、Al2O3に基づいたものとなり、かつ、可視領域において1.6の屈折率を有する濃密で一様な厚さの層を形成する。
【0042】
様々な層8〜10の厚さは、装置1からの光抽出を最適化するために調整されてもよいことに留意されたい。より詳細には、反応性金属副層9の厚さは、場合によっては、この副層9の全体がALD堆積の前駆体と反応するほどに十分に薄いものであり、あるいは、より厚いものであってもよく、それによって、ある種の二重キャッピング層を形成してもよい。
【0043】
好ましくは、これらの前駆体と完全に反応する反応性副層9が使用され、そして、透過損を制限するために、5nmから30nmまでの厚さを有する中間キャッピング層8が使用され、それによって、ALD堆積がその下にある層に与える影響を制限する。
【0044】
本発明の第1の実施形態によるディスプレイ装置1が製造および検査され、それらのディスプレイ装置1の主な光学的パラメータおよび測色的(colorimetric)パラメータが、図2〜図6に示されるように、様々な厚さの外側層10に関して評価された。この第1の実施形態においては、緑色を放射するダイオードに関するものであり、
外側電極6は、銀から作られ,15nmの厚さを有し、
中間キャッピング層8は、SiOxから作られ、30nmの厚さを有し、
反応性副層9は、アルミニウムから作られ、2nmの厚さを有し、
外側ALD堆積層10は、Al2O3から作られ、様々な厚さを有する。
【0045】
最大放射輝度および最大輝度は、50nmから60nmまでの厚さを有する外側層10に位置することが図2〜図6からわかる。CIExが最も小さくかつCIEyが最も大きいこの層10の厚さの範囲は、20nmから30nmまでである。したがって、増強されるべきものが色または発光効率のいずれであるかに依存して、この層10を堆積するときに、厚さのこれらの2つの範囲のどちらかを都合良く選択することが可能である。
【0046】
本発明の第2の実施形態によるディスプレイ装置1が製造および検査され、それらのディスプレイ装置1の同じ光学的パラメータおよび測色的パラメータが、図7〜図11に示されるように、層10の厚さの関数として評価された。この第2の実施形態においては、この場合にも、緑色を放射するダイオードに関するものであり、
外側電極6は、同様に、銀から作られ,また、この場合にも、15nmの厚さを有し、
中間キャッピング層8は、厚さが0であり(したがって、この層8は、第1の例とは異なり、存在しない)、
反応性副層9は、アルミニウムから作られ、7nmの厚さを有し(すなわち、第1の例の場合よりも5nmだけ厚い)、
外側ALD堆積層10は、同様に、Al2O3から作られ、様々な厚さを有する。
【0047】
この外側層10の最適な厚さは、輝度およびCIE座標の両方の観点から、70nmから80nmまでであることが図7〜図11からわかる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光構造(light−emitting structure)が間に挿入された少なくとも2つの電極を備えたエレクトロルミネセント・ユニット(1つかまたは複数)を備えた電子ディスプレイ装置、照明装置、または、サイネージ装置(signage device)に関し、また、この装置を製造するためのプロセスに関する。本発明は、一般的には、限定するものではない例として、マイクロディスプレイまたはマイクロスクリーンのようなアクティブ・マトリックス装置またはパッシブ・マトリックス装置に利用することができる。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、例えば有機発光ダイオード(OLED)を使用するもののようなエレクトロルミネセント・ユニット・ディスプレイ装置は、半導体基板上に配置された次のものを備える。すなわち、
発光構造が、少なくとも1つの有機膜を備え、かつ、一方が内側にあり他方が外側にある2つの電極間に挿入され、これらの電極の少なくとも1つは、放射される光に対して透明かまたは半透明であり、外側電極は、放射が光放射領域(luminous emission region)の外面を経由するものであるかまたは基板を介するものであるかに依存してそれぞれ、薄いかまたは比較的に厚い、発光構造によって形成された光放射領域と、
電気的接触領域が、内側電極と接触する少なくとも1つの領域と、外側電極と接触する1つの領域とを備え、それぞれの領域は、場合によっては、アクセス抵抗を最小化するために、複数のコネクションから物理的に形成された、一般的にはこの放射領域に隣接して配置される電気的接触領域とを備える。
【0003】
OLEDユニットのエンキャプスレーション(encapsulation)は、重要な問題であり、多くの研究がなされる原因となってきた。これらのユニットは、通常、2つの異なる方法によって、周囲空気の湿気と酸素から保護される。すなわち、
例えばガラスから作られた保護キャップによって保護され、この保護キャップは、内側に突き出た周辺エッジを有するように成形され、かつ、このエッジによって装置の放射領域の周辺に結合され、それによって、組立品に関与する圧力は、OLEDスタックを変形させることがないか、あるいは、
放射領域上に配置された1つかまたはそれ以上の薄いエンキャプスレーション層によって保護され、このエンキャプスレーション層は、典型的には、要求される透過特性(permeability specification)を満たすように有機材料および無機材料を交互に備える。
【0004】
エンキャプスレーションの上述した第1の方法の1つの大きな欠点は、一方において、成形中にこのキャップの突き出たエッジを付形する(shape)必要があることに存在し、また、他方においては、得られる結合接触面(bonding interface)の小さい面積に存在し、これは、長期にわたる有効なエンキャプスレーションを必ずしも保証できるとは限らない。
【0005】
エンキャプスレーションの上述した第2の方法に関しては、外面(すなわち、上面)を経由して放射するOLEDユニットの場合、可視光線に対して透明な薄いキャッピング層を外側電極上に配置することが知られており、このキャッピング層は、OLEDユニットから光子を抽出するように、1.8よりも大きい屈折率を有する誘電体から一般的には作られる。このキャッピング層は、さらにまた、その下にある有機半導体の電気−光学特性を変えることがないように、真空蒸着のような「ソフトな」法を用いて(すなわち、わずかな酸化種とわずかな水の存在下において、低い温度およびきわめて低いエネルギー衝撃を用いて)、配置されなければならない。
【0006】
このようにして配置されたキャッピング層は、十分に濃密ではないという欠点および十分に「一様な厚さ(conformal)」ではないという欠点(すなわち、キャッピング層が被覆する表面のマイクロ凹凸(micro-relief)またはナノ凹凸(nano-relief)に十分に従わないという欠点)を有し、これは、エンキャプスレーションの有効性を減少させる。
【0007】
特許文献1は、放射領域上に重ね合わせられた2つのエンキャプスレーション層を有するOLED装置を提供し、この2つのエンキャプスレーション層は、それぞれ、例えばALD(原子層堆積)を用いて堆積された誘電酸化物層、および、例えばパリレンからなるポリマー層から作られる。また、エンキャプスレーション層をエレクトロルミネセント・ユニット上に堆積するためにALD技術を使用することを教示している特許文献2および特許文献3に言及することもできる。
【0008】
これらのALD堆積エンキャプスレーション層は、「一様な厚さ」であり、それと同時に、高い密度を有するという利点を有し、これは、周囲の湿気および酸素に対する比較的に満足できる遮断性をエンキャプスレーション層に提供する。それにもかかわらず、これらのALD堆積層の1つの欠点は、酸化剤および水を含むALD堆積前駆体を使用することにあり、これらのALD堆積層は、その下にあるOLEDユニットの特性を変える傾向を有する。ALD堆積は、低い温度で実行されるので、前駆体は、なおさら、反応性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第US−A−2002/0003403号明細書
【特許文献2】米国特許第US−A−2007/0099356号明細書
【特許文献3】米国特許第US−A−2007/0275181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の1つの目的は、間に発光構造が挿入された一方が内側電極であり他方が外側電極である少なくとも2つの電極を備えたエレクトロルミネセント・ユニットによって少なくとも一方の面がコーティングされた基板を備えた電子ディスプレイ装置、照明装置、または、サイネージ装置を提供することであり、これらの電極の少なくとも一方は、放射される光に対して透明であり、保護キャップが、キャップの組立面(assembly face)を被覆する接着剤によってユニットに接合され、この装置は、エンキャプスレーションの上述した2つの方法に関してこれまでに説明した欠点を軽減するのを可能にするものである。
【0011】
このために、本発明による装置は、この接着剤が、ユニットに載せられた接着性促進層(adhesion promoting layer)も被覆するようなものであり、この接着性促進層は、前駆体ベースALD堆積を用いて堆積され、また、この接着性促進層は、接着剤と相溶性のある少なくとも1つの無機化合物に基づいたものであり、これらの前駆体の少なくとも1つと反応することのできる反応性金属副層が、この接着性促進層の下にかつこの接着性促進層に接触した状態で挿入され、放射される光に対して透明な少なくとも1つの誘電中間層が、外側電極とこの反応性副層との間に配置され、それによって、外側電極およびこの反応性副層とともに、共振空洞(resonant cavity)を形成する。
【0012】
この多層外側電極/中間層(1つかまたは複数)/反応性金属副層スタックは、したがって、共振空洞、より詳細にはブラッグ・ミラー(Bragg mirror)を生成するのを可能にし、外側電極と金属層との間にそのような中間層を備えない装置の比較的に狭い通過帯域特性と比較して、放射される光の通過帯域を実質的に広げることを可能にすることに留意されたい。
【0013】
また、反応性副層と接着性促進層とのこの相乗効果は、ユニットの下にある複数の層が、ALD堆積中に保護されること、および、接着性促進層が、この接着性促進層が被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、安定でありかつユニットによって放射される光に対して透明であることを保証することに留意されたい。外側電極と接着性促進層との間に挿入されるこの反応性副層は、接着性促進層と相互作用し、そのために、接着性促進層のALD堆積は、外側電極およびその下にある発光構造の部品に対する有害な結果を伴わない。
【0014】
さらにまた、反応性副層と、濃密で「一様な厚さ」の接着性促進層とを組み合わせることは、エレクトロルミネセント・ユニットの周囲においてキャップの周辺だけに結合した保護キャップと比較すれば、明らかに改善されたエンキャプスレーション品質を提供することに留意されたい。なぜなら、この組み合わせは、保護キャップの組立面の領域全体にわたって、また、保護キャップと向かい合ったユニットの領域全体にわたって、保護キャップを押しつけて結合するのを可能にするからであり、また、反応性副層によって提供される保護と組み合わせられたこの層の密度のために、その下にある様々な部品を損傷することがない。このことによって、外部酸素および外部湿気に対する不浸透性を改善する。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、上述のまたはそれぞれの中間層は、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物、および、透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づくものであり、この中間層は、5nmから35nmまでの厚さを有し、かつ、有利には、真空蒸着技術を用いて配置されてもよい。
【0016】
本発明のさらなる特徴によれば、この接着剤は、キャップの組立面のすべてを被覆してもよく、かつ、有利には、この組立面は、実質的に平坦である。
【0017】
接着性促進層をこのように結合接触面のほぼ全体に塗布することは、その後の結合処理をより容易なものにすることに留意されたい。なぜなら、この層を結合接触面上に選択的に配置する必要がないからであり、したがって、これは、最適なことである。
【0018】
この結果として、内側に突き出た周辺エッジをキャップに提供するようにキャップを成形する処理は、本発明のおかげでもはや必要ではなくなり、これは、両方の面が完全に平坦なキャップを使用するのを可能にするものである。
【0019】
好ましくは、接着性促進層の無機化合物は、酸化アルミニウム、酸化シリコン(例えば、化学式SiO2を有する)、化学式(ZnO)を有する酸化亜鉛、および、化学式(SixNy)を有する窒化シリコンからなる群から選択される。
【0020】
また、好ましくは、この反応性副層は、アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属元素から作られ、かつ、10nmかまたはそれよりも薄い厚さを有する。
【0021】
接着性促進層に関しては、とりわけ、外側電極材料および厚さに対して、また、規定された発光色に対して、とりわけ、色(すなわち、輝度および放射輝度(radiance))を向上させることが望ましいかあるいは得られる発光効率を向上させることが望ましいかに依存して、この接着性促進層は、有利には、10nmから100nmまでの厚さを有する。
【0022】
好ましくは、この接着性促進層は、20nmから80nmまでの厚さを有し、また、この反応性副層は、1nmから10nmまでの厚さを有する。
【0023】
有利には、接着性促進層は、化学式Al2O3を有する酸化アルミニウムから作られ、また、この反応性副層は、この場合、アルミニウムから作られてもよい。
【0024】
本発明のさらなる特徴によれば、外側電極は、放射される光に対して透明かまたは半透明な少なくとも1つの金属から作られ、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムから作られる。
【0025】
有利には、エレクトロルミネセント・ユニットに対する保護キャップのプレス組立品に使用される接着剤は、アクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤のような、紫外線によって硬化することができるように選択され、この保護キャップは、この紫外線に対して透明であるように選択される。
【0026】
この接着性促進層は、この接着剤とキャップおよびその下にあるエレクトロルミネセント・ユニットの層の両方との結合を改善すること、および、この接着性促進層は、とりわけアクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤と相溶性があるように、かつ、その下にあるこれらの層の成分と相溶性があるように、選択されることに留意されたい。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、装置は、接着剤の層を除けば、外側電極に載せられた有機エンキャプスレーション層(例えば、上述した特許文献1に開示されるようなポリマー層)を有していなくてもよい。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、このユニットは、有機発光ダイオード(OLED)を備えてもよく、これは、何らかのその他のエレクトロルミネセント部品が使用されることが条件となる。
【0029】
一般的には、本発明の装置の基板は、半導体であり、好ましくは、シリコンであり、また、このシートは、ガラスまたはプラスチックのような、エレクトロルミネセント・ユニットによって放射される光に対して透明である材料から作られる。
【0030】
カラー・マイクロディスプレイを備えたディスプレイ装置という特殊な場合においては、この保護シートは、光学的なカラー・フィルターまたは変色手段をその組立面上に備えてもよく、それによって、これらのフィルターまたはこれらの手段は、マイクロディスプレイの画素それぞれに対応するカラー・ドットに向かい合って配置されることに留意されたい。
【0031】
これまでに規定されたような本発明による装置を製造するためのプロセスは、
a)中間層が、エレクトロルミネセント・ユニットによって放射される光に対して透明なものであり、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物および透明導電酸化物とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいたものであり、この中間層は、外側電極およびステップb)の反応性副層とともに共振空洞を形成することを意図したものである、少なくとも1つの中間層を例えば真空蒸着によって外側電極上に配置するステップと、
b)アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属から作られた反応性副層を中間層上に配置するステップと、
c)接着性促進層が、接着剤と相溶性のある無機化合物に基づいたものであり、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、および、窒化シリコンからなる群から好ましくは選択され、その結果として、反応性副層が、接着性促進層の堆積の少なくとも1つの前駆体と反応し、それによって、その下にあるユニットの層をALD堆積によって悪影響を与えられることから保護し、それによって、接着性促進層が、それが被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、安定であり、かつ、放射される光に対して透明である、ALDを用いて接着性促進層を堆積するステップと、
d)接着剤が、この外側層およびこの実質的に平坦な組立面の実質的にすべてを被覆するように、接着剤を接着性促進層におよび/または保護キャップの組立面に塗布するステップと、
e)例えば、この接着剤の紫外線硬化によって、この接着性促進層でコーティングされたユニットにキャップを結合するステップと、
を含む。
【0032】
このALD堆積は、低い温度で実施されてもよいこと、かつ、これは、大きく減少した浸透性を有する高密度層を得るのを可能にし、この高密度層は、それが向かい合う表面のマイクロ凹凸またはナノ凹凸にできる限り密接に従うことに留意されたい。また、このALD技術は、本発明による接着性促進層を堆積するのに使用することのできない「一様な厚さでない」方法であるCVD(化学気相成長法)または蒸着法と混同されるべきではない。
【0033】
さらに、この接着性促進層は、接着剤中の溶剤が接着性促進層の下にある層および必要に応じてキャップ上に提供されたフィルターまたは変色手段を浸食しないほど十分に不浸透性であるように選択されることに留意されたい。
【0034】
単なる例として提供された添付の図面を参照することによって、本発明のその他の利点、特徴、および詳細が、以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】結合された後に本発明による電子装置を形成することを意図した、エレクトロルミネセント・ユニットと保護シートとの分解概略断面図である。
【図2】本発明による第1の実施形態における輝度Lの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図3】本発明による第1の実施形態における放射輝度Meの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図4】本発明による第1の実施形態におけるCIEカラー座標xの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図5】本発明による第1の実施形態におけるCIEカラー座標yの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図6】本発明による第1の実施形態における発光効率Kの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図7】本発明による第2の実施形態における放射輝度Meの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図8】本発明による第2の実施形態における輝度Lの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図9】本発明による第2の実施形態におけるCIEカラー座標xの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図10】本発明による第2の実施形態におけるCIEカラー座標yの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【図11】本発明による第2の実施形態における発光効率Kの変化を外側接着性促進層の厚さの関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示される電子ディスプレイ装置1は、例えば、OLED装置であり、エレクトロルミネセント・ユニット3によってコーティングされた典型的にはシリコンから作られた基板2を公知の方法によって備え、このエレクトロルミネセント・ユニット3は、一方は内側電極5であり他方は外側電極6である2つの電極間に挿入された発光構造4を備え、この2つの電極の少なくとも一方(この例においては、外側電極6)は、構造4によって放射される光に対して透明かまたは半透明であり、そのために、放射された光を装置1の外へ透過する。(半)透明の外側電極6は、可視領域における金属の透明性を得るために、また、薄い厚さで電気伝導性を得るために(外側電極6の厚さは、例えば、10nmから30nmまでである)、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムのような金属から作られる。
【0037】
OLED発光構造は、例えば、有機膜の多層スタックからなり、この多層スタックは、電子および正孔を電極5および6から移送するように設計され、これらの電子および正孔は、再結合し、励起子を生成し、それによって、光を放射する。
【0038】
図1に示されるように、このエレクトロルミネセント・ユニット3は、それをエンキャプスレーションするために、接着剤を用いて、外側電極6上に連続的に配置された薄膜8、9、および、10からなる多層スタックを介して、例えばガラスまたはプラスチックから作られた保護キャップ7にしっかりと取り付けられる。図面をより分かりやすいものにするために、図1に示される様々な部品および層2〜10のそれぞれの厚さおよび長さは、断面図の平面において正確な縮尺率で示されていないことに留意されたい。
【0039】
使用される接着剤7aは、好ましくは、紫外線を用いて硬化することができるものであり(例えば、一液型アクリル酸系接着剤または二液型エポキシ系接着剤)、保護キャップ7は、この場合には、この紫外線に対して透明であるように選択される。この接着剤は、硬化していない状態で、それ自体が公知である方法によって、キャップ7の組立面7bのすべてに、および/または、上述した多層スタックを載せたエレクトロルミネセント・ユニット3のすべてに塗布され、そして、キャップ7は、接着剤でコーティングされた組立品接触面に押しつけることによって貼りつけられる(図1に示される矢印Aを参照)。
【0040】
本発明によれば、この多層スタックは、連続的に次のものを備える。すなわち、
必要に応じて、構造4によって放射される光に対して透明でありかつ例えば真空蒸着のような「ソフトな」法を用いて外側電極6上に配置された第1の中間キャッピング層8を備え、この中間層8は、例えばインジウムスズ酸化物のような種類かまたは化学式SiOx、ZnSe、ZnO、Sb2O3を有するその他の種類の誘電化合物に基づいたものであり、
例えばアルミニウムまたはカルシウムから作られた反応性金属副層9を備え、この副層9は、副層9が接触する次の層10のALD堆積の前駆体と反応することができ、それによって、この副層9の下にある層を、層10の堆積による悪影響から保護し、
酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、または、窒化シリコンのような無機化合物から作られた外側ALD堆積接着性促進層10を備え、その結果として、この外側層10は、それが被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなし、それと同時に、十分に濃密であり、かつ、放射される光に対して透明である。
【0041】
好ましくは、中間層8は、SiOxから作られ、このSiOxの屈折率は、可視領域において、2.6から2.4までであり、かつ、その下にある層に悪影響を与えることなく、容易に気化する。反応性副層9に関しては、これは、有利には、層10のALD堆積の前駆体と反応するアルミニウムから作られてもよく、それによって、透明な安定した酸化物を形成し、そのために、この層10は、Al2O3に基づいたものとなり、かつ、可視領域において1.6の屈折率を有する濃密で一様な厚さの層を形成する。
【0042】
様々な層8〜10の厚さは、装置1からの光抽出を最適化するために調整されてもよいことに留意されたい。より詳細には、反応性金属副層9の厚さは、場合によっては、この副層9の全体がALD堆積の前駆体と反応するほどに十分に薄いものであり、あるいは、より厚いものであってもよく、それによって、ある種の二重キャッピング層を形成してもよい。
【0043】
好ましくは、これらの前駆体と完全に反応する反応性副層9が使用され、そして、透過損を制限するために、5nmから30nmまでの厚さを有する中間キャッピング層8が使用され、それによって、ALD堆積がその下にある層に与える影響を制限する。
【0044】
本発明の第1の実施形態によるディスプレイ装置1が製造および検査され、それらのディスプレイ装置1の主な光学的パラメータおよび測色的(colorimetric)パラメータが、図2〜図6に示されるように、様々な厚さの外側層10に関して評価された。この第1の実施形態においては、緑色を放射するダイオードに関するものであり、
外側電極6は、銀から作られ,15nmの厚さを有し、
中間キャッピング層8は、SiOxから作られ、30nmの厚さを有し、
反応性副層9は、アルミニウムから作られ、2nmの厚さを有し、
外側ALD堆積層10は、Al2O3から作られ、様々な厚さを有する。
【0045】
最大放射輝度および最大輝度は、50nmから60nmまでの厚さを有する外側層10に位置することが図2〜図6からわかる。CIExが最も小さくかつCIEyが最も大きいこの層10の厚さの範囲は、20nmから30nmまでである。したがって、増強されるべきものが色または発光効率のいずれであるかに依存して、この層10を堆積するときに、厚さのこれらの2つの範囲のどちらかを都合良く選択することが可能である。
【0046】
本発明の第2の実施形態によるディスプレイ装置1が製造および検査され、それらのディスプレイ装置1の同じ光学的パラメータおよび測色的パラメータが、図7〜図11に示されるように、層10の厚さの関数として評価された。この第2の実施形態においては、この場合にも、緑色を放射するダイオードに関するものであり、
外側電極6は、同様に、銀から作られ,また、この場合にも、15nmの厚さを有し、
中間キャッピング層8は、厚さが0であり(したがって、この層8は、第1の例とは異なり、存在しない)、
反応性副層9は、アルミニウムから作られ、7nmの厚さを有し(すなわち、第1の例の場合よりも5nmだけ厚い)、
外側ALD堆積層10は、同様に、Al2O3から作られ、様々な厚さを有する。
【0047】
この外側層10の最適な厚さは、輝度およびCIE座標の両方の観点から、70nmから80nmまでであることが図7〜図11からわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロルミネセント・ユニット(3)によってその少なくとも1つの面上をコーティングされた基板(2)を備える、電子ディスプレイ装置、照明装置またはサイネージ装置(1)であって、前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)は、一方が内側電極(5)であり他方が外側電極(6)である少なくとも2つの電極(5、6)を備え、これらの電極間に発光構造(4)が挿入され、これらの電極の少なくとも1つは放射される光に対して透明であり、保護キャップ(7)が、前記キャップの組立面(7b)を被覆する接着剤(7a)によって、前記ユニット(3)に接合されており、
前記接着剤は前記ユニットに載せられた接着性促進層(10)も被覆し、前記接着性促進層は原子層堆積(ALD)を用いて前駆体から堆積され、また、前記接着性促進層は前記接着剤と相溶性のある少なくとも1つの無機化合物に基づいたものであり、これらの前記前駆体の少なくとも1つと反応することのできる反応性金属副層(9)は前記接着性促進層の下にかつ前記接着性促進層に接触した状態で挿入され、前記放射される光に対して透明な少なくとも1つの誘電中間層(8)は前記外側電極と前記反応性副層との間に配置され、それによって、前記外側電極および前記反応性副層とともに、共振空洞を形成する、
ことを特徴とする電子ディスプレイ装置、照明装置またはサイネージ装置(1)。
【請求項2】
前記中間層(8)が、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物、および、透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいたものであることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記中間層(8)が、真空蒸着技術を用いて堆積され、かつ、5nmから35nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記接着剤(7a)が、前記キャップ(7)の前記組立面(7b)のすべてを被覆し、前記組立面(7b)が、実質的に平坦であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記接着性促進層の前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、および、窒化シリコンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記反応性副層(9)が、アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属元素から作られ、かつ、10nmかまたはそれよりも薄い厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記接着性促進層(10)が、10nmから100nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記接着性促進層(10)が、20nmから80nmまでの厚さを有すること、および、前記反応性副層(9)が、1nmから10nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記接着性促進層(10)が、化学式Al2O3を有する酸化アルミニウムから作られること、および、前記反応性副層(9)が、アルミニウムから作られることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記外側電極(6)が、前記放射される光に対して(半)透明な少なくとも1つの金属から作られ、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムから作られることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記接着剤(7a)が、アクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤のような、紫外線によって硬化することができるように選択され、前記保護キャップ(7)が、この紫外線に対して透明であるように選択されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)が、有機発光ダイオード(OLED)を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記基板(2)が、半導体であり、好ましくは、シリコンであること、および、前記保護キャップ(7)が、前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)によって放射される光に対して透明であり、かつ、ガラスまたはプラスチックから作られていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の装置(1)を製造するためのプロセスであって、
a)前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)によって放射される光に対して透明であり、かつ、化学式SiOx、ZnSe、ZnOまたはSb2O3を有する化合物および透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいた中間層(8)であって、前記外側電極およびステップb)の前記反応性副層とともに共振空洞を形成することを意図した少なくとも1つの中間層(8)を、例えば真空蒸着によって前記外側電極(6)上に堆積するステップと、
b)アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属から作られた前記反応性副層(9)を前記中間層の上に堆積するステップと、
c)前記接着剤(7a)と相溶性のある無機化合物に基づいており、かつ、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛および窒化シリコンからなる群から選択された前記接着性促進層(10)を、ALDを用いて堆積するステップであって、その結果、ステップb)において堆積された前記反応性副層が前記接着性促進層(10)の堆積の少なくとも1つの前駆体と反応して、その下にある前記ユニットの層をALD堆積による悪影響から保護し、かつ、前記外側層(10)は、前記外側層が被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなすとともに、安定であり前記放射される光に対して透明である、ステップと、
d)前記接着剤が前記外側層(10)および前記組立面(7b)の実質的にすべてを被覆するように、前記接着性促進層(10)に、及び/又は、前記保護キャップ(7)の前記組立面(7b)に、前記接着剤を塗布するステップと、
e)例えば前記接着剤の紫外線硬化によって、前記接着性促進層でコーティングされた前記ユニットに前記キャップ(7)を結合するステップと、
を含むプロセス。
【請求項1】
エレクトロルミネセント・ユニット(3)によってその少なくとも1つの面上をコーティングされた基板(2)を備える、電子ディスプレイ装置、照明装置またはサイネージ装置(1)であって、前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)は、一方が内側電極(5)であり他方が外側電極(6)である少なくとも2つの電極(5、6)を備え、これらの電極間に発光構造(4)が挿入され、これらの電極の少なくとも1つは放射される光に対して透明であり、保護キャップ(7)が、前記キャップの組立面(7b)を被覆する接着剤(7a)によって、前記ユニット(3)に接合されており、
前記接着剤は前記ユニットに載せられた接着性促進層(10)も被覆し、前記接着性促進層は原子層堆積(ALD)を用いて前駆体から堆積され、また、前記接着性促進層は前記接着剤と相溶性のある少なくとも1つの無機化合物に基づいたものであり、これらの前記前駆体の少なくとも1つと反応することのできる反応性金属副層(9)は前記接着性促進層の下にかつ前記接着性促進層に接触した状態で挿入され、前記放射される光に対して透明な少なくとも1つの誘電中間層(8)は前記外側電極と前記反応性副層との間に配置され、それによって、前記外側電極および前記反応性副層とともに、共振空洞を形成する、
ことを特徴とする電子ディスプレイ装置、照明装置またはサイネージ装置(1)。
【請求項2】
前記中間層(8)が、化学式SiOx、ZnSe、ZnO、または、Sb2O3を有する化合物、および、透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいたものであることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記中間層(8)が、真空蒸着技術を用いて堆積され、かつ、5nmから35nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記接着剤(7a)が、前記キャップ(7)の前記組立面(7b)のすべてを被覆し、前記組立面(7b)が、実質的に平坦であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記接着性促進層の前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛、および、窒化シリコンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記反応性副層(9)が、アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属元素から作られ、かつ、10nmかまたはそれよりも薄い厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記接着性促進層(10)が、10nmから100nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記接着性促進層(10)が、20nmから80nmまでの厚さを有すること、および、前記反応性副層(9)が、1nmから10nmまでの厚さを有することを特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記接着性促進層(10)が、化学式Al2O3を有する酸化アルミニウムから作られること、および、前記反応性副層(9)が、アルミニウムから作られることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記外側電極(6)が、前記放射される光に対して(半)透明な少なくとも1つの金属から作られ、好ましくは、銀、アルミニウム、または、サマリウムから作られることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記接着剤(7a)が、アクリル酸系接着剤またはエポキシ系接着剤のような、紫外線によって硬化することができるように選択され、前記保護キャップ(7)が、この紫外線に対して透明であるように選択されることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)が、有機発光ダイオード(OLED)を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記基板(2)が、半導体であり、好ましくは、シリコンであること、および、前記保護キャップ(7)が、前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)によって放射される光に対して透明であり、かつ、ガラスまたはプラスチックから作られていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の装置(1)を製造するためのプロセスであって、
a)前記エレクトロルミネセント・ユニット(3)によって放射される光に対して透明であり、かつ、化学式SiOx、ZnSe、ZnOまたはSb2O3を有する化合物および透明導電酸化物(TCO)とりわけインジウムスズ酸化物からなる群から好ましくは選択された少なくとも1つの誘電化合物に基づいた中間層(8)であって、前記外側電極およびステップb)の前記反応性副層とともに共振空洞を形成することを意図した少なくとも1つの中間層(8)を、例えば真空蒸着によって前記外側電極(6)上に堆積するステップと、
b)アルミニウムまたはカルシウムのような少なくとも1つの金属から作られた前記反応性副層(9)を前記中間層の上に堆積するステップと、
c)前記接着剤(7a)と相溶性のある無機化合物に基づいており、かつ、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化亜鉛および窒化シリコンからなる群から選択された前記接着性促進層(10)を、ALDを用いて堆積するステップであって、その結果、ステップb)において堆積された前記反応性副層が前記接着性促進層(10)の堆積の少なくとも1つの前駆体と反応して、その下にある前記ユニットの層をALD堆積による悪影響から保護し、かつ、前記外側層(10)は、前記外側層が被覆する表面の凹凸に沿って一様な厚さをなすとともに、安定であり前記放射される光に対して透明である、ステップと、
d)前記接着剤が前記外側層(10)および前記組立面(7b)の実質的にすべてを被覆するように、前記接着性促進層(10)に、及び/又は、前記保護キャップ(7)の前記組立面(7b)に、前記接着剤を塗布するステップと、
e)例えば前記接着剤の紫外線硬化によって、前記接着性促進層でコーティングされた前記ユニットに前記キャップ(7)を結合するステップと、
を含むプロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−527499(P2011−527499A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517190(P2011−517190)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000798
【国際公開番号】WO2010/004124
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000798
【国際公開番号】WO2010/004124
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510225292)コミサリア ア レネルジー アトミック エ オ ゼネルジー アルテルナティブ (97)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】Batiment Le Ponant D,25 rue Leblanc,F−75015 Paris, FRANCE
【Fターム(参考)】
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