説明

エレクトロルミネッセンス・デバイスのための有機素子

ホウ素錯体を含む発光層を含んでなるエレクトロルミネッセンス・デバイスであって、該ホウ素が、6員複素芳香族環基の窒素原子と、5員複素芳香族環基の窒素原子とに結合しており、その5員複素芳香族環基と6員複素芳香族環基はさらにイミン基によって連結されており、該5員複素芳香族環基は、二価または三価の少なくとも1つの追加ヘテロ原子を含有するエレクトロルミネッセンス・デバイスと、このデバイスを利用する方法またはデバイスが開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅広い色相を提供できる効率的なホウ素錯体を含む発光層を有するエレクトロルミネッセンス(EL)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスは20年以上前から知られているが、性能が限られているため、望ましい多くの用途にとっての障害となっていた。最も単純な形態の有機ELデバイスは、正孔を注入するためのアノードと、電子を注入するためのカソードと、これら電極に挟まれていて、電荷の再結合をサポートして光を発生させる有機媒体とで構成されている。このようなデバイスは、一般に有機発光ダイオード、またはOLEDとも呼ばれる。初期の代表的な有機ELデバイスは、1965年3月9日に付与されたGurneeらのアメリカ合衆国特許第3,172,862号;1965年3月9日に付与されたGurneeのアメリカ合衆国特許第3,173,050号;Dresner、「アントラセンにおける二重注入エレクトロルミネッセンス」、RCA Review、第30巻、322〜334ページ、1969年;1973年1月9日に付与されたDresnerのアメリカ合衆国特許第3,710,167号である。これらデバイスの有機層は、通常は多環芳香族炭化水素で構成されているために非常に厚かった(1μmよりもはるかに厚い)その結果、動作電圧が非常に大きくなり、100Vを超えることがしばしばあった。
【0003】
より最近の有機ELデバイスは、アノードとカソードに挟まれた極めて薄い層(例えば1.0μm未満)からなる有機EL素子を含んでいる。この明細書では、“有機EL素子”という用語に、アノードとカソードに挟まれたいろいろな層が含まれる。厚さを薄くして有機層の抵抗値を小さくすることで、デバイスがはるかに低電圧で動作できるようになった。アメリカ合衆国特許第4,356,429号に初めて記載された基本的な2層ELデバイス構造では、EL素子のアノードに隣接する一方の有機層は正孔を輸送するように特別に選択されているため、正孔輸送層と呼ばれ、他方の有機層は電子を輸送するように特別に選択されているため、電子輸送層と呼ばれる。注入された正孔と電子が有機EL素子の内部で再結合すると、効率的なエレクトロルミネッセンスが発生する。
【0004】
正孔輸送層と電子輸送層の間に有機発光層(LEL)を含む3層有機ELデバイスも提案されている。それは例えば、Tangら(J. Applied Physics、第65巻、3610〜3616ページ、1989年)によって開示されているものである。発光層は、一般に、ゲスト材料(ドーパントとも呼ばれる)をドープされたホスト材料からなる。さらに、アメリカ合衆国特許第4,769,292号には、正孔注入層(HIL)と、正孔輸送層(HTL)と、発光層(LEL)と、電子輸送/注入層(ETL)とを備える4層EL素子が提案されている。この構造により、デバイスの効率が向上した。
【0005】
こうした初期の発明以来、デバイスの材料をさらに改善することで、色彩、安定性、輝度効率、製造しやすさなどの面で性能が向上した。そのことが、特にアメリカ合衆国特許第5,061,569号、第5,409,783号、第5,554,450号、第5,593,788号、第5,683,823号、第5,908,581号、第5,928,802号、第6,020,078号、第6,208,077号に開示されている。
【0006】
こうした進歩にもかかわらず、高輝度効率であると同時に、色純度が高くて長寿命である有機ELデバイスの構成要素(例えば、時にドーパントと呼ばれることもある発光材料)が相変わらず必要とされている。特に、さまざまな用途のために発光材料の発光波長を調節できることが必要とされている。例えば青色発光材料、緑色発光材料、赤色発光材料が必要とされていることに加え、白色発光エレクトロルミネッセンス・デバイスを作るために青緑色発光材料、黄色発光材料、オレンジ色発光材料も必要とされている。例えば1つのデバイスは、発光色を組み合わせる(例えば、青緑色の光と赤色の光、青色の光とオレンジ色の光を組み合わせる)ことで白色光を出すことができる。
【0007】
白色ELデバイスは、フルカラー・ディスプレイ装置においてカラー・フィルタとともに用いることができる。白色ELデバイスは、他のマルチカラー・ディスプレイ装置や機能的カラー・ディスプレイ装置においてカラー・フィルタとともに用いることもできる。このようなディスプレイ装置で使用する白色ELデバイスは簡単に製造でき、しかもディスプレイ装置の各画素から出る白色光の信頼性がよい。この用途ではOLEDは白と呼ばれ、白色または灰白色に見える可能性があるが、それぞれのカラー・フィルタを通過するスペクトル成分がその光の中に十分な強度で存在せねばならないことのほうが、OLEDから出る光のCIE座標よりも重要である。このデバイスは、安定性が優れていて、長期間にわたって動作する必要もある。すなわちデバイスが長期間にわたって動作するとき、輝度の低下ができるだけ少ない必要がある。
【0008】
ホウ素錯体は、分析と生物学での用途において標識染料として以前から使用されてきた。例えばヨーロッパ特許第4,774,339号、第747,448号、第46,861号を参照のこと。しかしホウ素錯体は、エレクトロルミネッセンス・デバイスのドーパントとしては限られた用途しかないことがわかった。一例を挙げると、ドーパントの有用な1つのクラスは5,6,5-三環ピロメテン-BF2錯体に由来するものであり、アメリカ合衆国特許第5,683,823号、日本国特開平09-289,081、日本国特開平11-097,180に開示されている。この材料は、一般に発光スペクトルが狭いことを特徴とする。その結果、魅力的なほど高い色純度になる。しかし緑色の光を出す置換されていないピロメテン-BF2錯体、またはアルキル置換されたピロメテン-BF2錯体は、エレクトロルミネッセンスの量子効率が比較的低い。高効率のOLEDを実現するためには、置換基としてフェニル環を使用することで、共役したπ系を拡張する必要がある。その結果、発光波長が一般に赤側にシフトし、赤味がかった琥珀色の光が出る。これは、ピロメテン-BF2錯体が高効率で出すことのできる最短波長の光である。簡単に述べるならば、輝度効率の高い緑または青緑のOLEDは、ドーパントとしてピロメテン-BF2錯体を用いたのでは容易には得られないように見える。
【0009】
日本国特開2001-294851には、エレクトロルミネッセンス・デバイスで使用される複素環のホウ素錯体が記載されている。例えば、この材料の1つの環には、環式アミドまたはスルホンアミドが含まれている。しかしこの材料は発光スペクトルが狭いことが報告されているため、広いスペクトルの光を出さねばならないような白色発光デバイスで用いるには必ずしも望ましくなかろう。また、この材料は発光効率があまりよくない場合があった。
【0010】
アメリカ合衆国特許第6,661,023 B2号には、ビス(アジニル)メテンホウ素錯体を含有するホウ素ドーパント化合物が含まれたエレクトロルミネッセンス(EL)デバイスが記載されている。しかしこの化合物は、発光の量子効率が不十分である可能性がある。この材料は、例えば青緑色の光を得るために発光波長をチューニングすることが難しいことによっても使用が制限される。ホウ素錯体を含むいくつかのデバイスは、Benjamin P. Hoagらのアメリカ合衆国特許公開第2003-0198829 A1号にも記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決すべき課題は、輝度効率が優れていて、青または青緑の領域で発光が最大になるELデバイスの発光層のための材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、ホウ素錯体を含む発光層を含んでなるエレクトロルミネッセンス・デバイスであって、該ホウ素が、6員複素芳香族環基の窒素原子と、5員複素芳香族環基の窒素原子とに結合しており、その5員複素芳香族環基と6員複素芳香族環基はさらにイミン基によって連結されており、該5員複素芳香族環基は、二価または三価の少なくとも1つの追加ヘテロ原子を含有するエレクトロルミネッセンス・デバイスと、このデバイスを利用する方法またはデバイスが提供される。
【0013】
このデバイスにより、効率と色相が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のエレクトロルミネッセンス・デバイスは多層デバイスにすることができ、カソードと、アノードと、電荷注入層(必要な場合)と、電荷輸送層と、ホストおよび少なくとも1つの発光材料とを含む発光層(LEL)とを備えている。発光層は、次のようなホウ素錯体を含むことが望ましい。すなわちホウ素が、6員複素芳香族環基の炭素原子と、5員複素芳香族環基の窒素原子とに結合しており、その5員複素芳香族環基と6員複素芳香族環基はさらにイミン基によって連結されており、該5員複素芳香族環基は、二価または三価の少なくとも1つの追加ヘテロ原子を含有するホウ素錯体である。好ましい一実施態様では、追加ヘテロ原子は、N原子、O原子、S原子、Se原子、Te原子のいずれかである。好ましい別の一実施態様では、追加ヘテロ原子は、N原子、O原子、S原子のいずれかである。
【0015】
望ましい一実施態様では、5員環が追加の芳香族環基(例えばベンゼン環基)と縮合している。好ましいのは、5員環が追加の芳香族環基と縮合していて、6員環も、独立に選択した追加の芳香族環基と縮合していることである。
【0016】
望ましい一実施態様では、ホウ素錯体は、一般式(1)で表わされる。
【0017】
【化1】

【0018】
一般式(1)において、Ar1は、6員の複素芳香族環基を形成するのに必要な原子群を表わす。このような環基の具体例は、ピリジン環基、ピラジン環基、ピリダジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基である。
【0019】
Ar2は、一般式(1)に示した窒素原子に加えて2価または3価の少なくとも1個の追加ヘテロ原子を含む5員の複素芳香族環基を形成するのに必要な原子群を表わす。適切な環基の具体例は、チアゾール環基、セレナゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、ピラゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾセレナゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾオキサゾール環基である。
【0020】
Ar1とAr2によって形成される環は、追加の縮合環を含むことができる。例えばAr1とAr2は、独立に選択したベンゼン環基と縮合させることができる。適切な一実施態様では、一般式(1)の置換基は、少なくとも6個の環が存在するように選択する。
【0021】
L1とL2は、独立に選択した置換基を表わす。代表例として、L1とL2は、独立に、ハロゲン置換基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アセトアミド基、ジアリールアミノ基、アリールオキシ基を表わすことができる。望ましい一実施態様では、L1とL2は、独立に、フルオロ置換基またはカルボン酸アルキル基(例えばアセテート基やプロピオネート基)を表わす。望ましい一実施態様では、L1とL2は、両方ともフルオロ置換基を表わす。
【0022】
好ましい一実施態様では、一般式(1)の置換基は、エキシプレックスの形成を妨げる、あるいは制限するように選択する。すなわち置換基は、一般式(1)で表わされる1つ以上の化合物を含む励起状態の錯体が形成されるのを抑制するように選択する。特に有用な置換基(例えば1つ以上のt-ブチル基、s-ペンチル基、メシチル基)は、立体相互作用を導入する。
【0023】
望ましい一実施態様では、ホウ素錯体は、一般式(2)で表わされる。
【0024】
【化2】

【0025】
一般式(2)において、Wは、O、S、Se、Te、N-Raのいずれかを表わす(ただしRaは、メチル基やフェニル基などの置換基である)。V1とV2は、独立に、水素、または独立に選択した置換基(例えばアルキル基(メチル基など)やアリール基(フェニル基など))を表わす。V1とV2は、互いに結合して環基(例えばベンゼン環基)を形成することができる。Ar1、L1、L2についてはすでに説明した。
【0026】
望ましい一実施態様では、ホウ素錯体は、一般式(3)で表わされる。
【0027】
【化3】

【0028】
一般式(3)において、V3〜V10は、独立に、水素、または独立に選択した置換基(例えばフェニル基やメチル基)を表わす。隣接する置換基は、互いに結合して環基(例えばベンゼン環基)を形成することができる。W、L1、L2についてはすでに説明した。
【0029】
別の好ましい一実施態様では、一般式(1)の置換基は、発光が450〜500nmの範囲になるように選択する。望ましい一実施態様では、一般式(1)の置換基は、発光が460〜490nmの範囲になるように選択する。
【0030】
好ましい一実施態様では、一般式(1)の置換基は、発光が第1の極大と第2の極大を有するように選択する。望ましい一実施態様では、1つの極大が460〜470nmの領域にあり、別の極大が485〜495nmの領域にある。
【0031】
デバイスの発光層は、ホストと、1つ以上の発光材料とを含んでおり、発光材料は、ホストの10質量%以下の量、より一般にはホストの0.1〜5.0質量%の量が存在していることが好ましい。少なくとも1つの発光材料は、一般式(1)の環系を含むホウ素錯体であることが好ましい。
【0032】
望ましいホストとしては、キレート化オキシノイド化合物、またはアントラセン化合物がある。望ましい一実施態様では、ホストは一般式(4)で表わされる。
【0033】
【化4】

【0034】
一般式(4)において、W1〜W10は、独立に、水素、または独立に選択した置換基を表わし、隣接した2つの置換基は、合わさって環を形成することができる。好ましい一実施態様では、W9とW10は、独立に、ナフチル基を表わす。別の望ましい実施態様では、W9とW10は、ナフチル基とビフェニル基を表わす。
【0035】
ホストの特別な具体例は、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)、9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン、2-t-ブチル-9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン、9-(4-ビフェニル)-10-(2-ナフチル)アントラセン、9-(4-ビフェニル)-10-(1-ナフチル)アントラセンである。ホストが光をドーパントよりも短い波長で吸収するとともに、ホストの発光スペクトルがドーパントの吸収スペクトルと重なるようにホストを選択することが好ましい。
【0036】
本発明で有用なドーパントの実施態様は、幅広い色相を提供することができる。本発明で特に有用なドーパントの実施態様では、青または青緑の色相の光が出る。別の好ましい一実施態様では、本発明において有用なドーパントが、白色光を出すエレクトロルミネッセンス・デバイスで使用される。
【0037】
有用なホウ素錯体は、文献で知られている方法で合成することができる。適切なリガンドを調製した後、そのリガンドをホウ素と錯体化することが望ましい。ホウ素錯体化反応の具体例に関しては、G. Sathyamoorthi、M. Soong、T. Ross、J. Boyer、Heteroatom Chem.、第4巻、603ページ、1993年と、J. Douglass、P. Barelski、R. Blankenship、J. Heterocycl. Chem.、第10巻、255ページ、1973年を参照のこと。
【0038】
本発明で有用なホウ素錯体の代表例としては、以下の化合物がある。
【0039】
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
本発明の実施態様により、輝度効率が向上するだけでなく、望ましい青または青緑の色相も提供される。そのことは、発光曲線の位置と形状からわかる。発光が最大になる波長を調節するには、発光体構造を変更することになるが、変更は簡単にできる。
【0045】
特に断わらない限り、“置換された”または“置換基”という用語は、水素以外のあらゆる基または原子を意味する。さらに、“基”という用語を使用する場合、1つの置換基が置換可能な1つの水素を含んでいるとすると、その中には置換されていない形態が含まれるだけでなく、この明細書に記載した任意の1個または複数の置換基でさらに置換された形態も、デバイスが機能する上で必要な性質を失わせない限りは含まれるものとする。置換基は、ハロゲンにすること、または1個の原子(炭素、ケイ素、酸素、窒素、リン、イオウ、セレン、ホウ素)によって分子の残部と結合させることが好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン(クロロ、ブロモ、フルオロなど);ニトロ;ヒドロキシル;シアノ;カルボキシルや;さらに置換されていてもよい基が可能である。さらに置換されていてもよい基としては、アルキル(直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、環式アルキルが含まれ、例えばメチル、トリフルオロメチル、エチル、t-ブチル、3-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)プロピル、テトラデシルなどがある);アルケニル(例えばエチレン、2-ブテン);アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、2-メトキシエトキシ、s-ブトキシ、ヘキシルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、テトラデシルオキシ、2-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)エトキシ、2-ドデシルオキシエトキシ);アリール(例えばフェニル、4-t-ブチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、ナフチル);アリールオキシ(例えばフェノキシ、2-メチルフェノキシ、α-ナフチルオキシ、β-ナフチルオキシ、4-トリルオキシ);カーボンアミド(例えばアセトアミド、ベンズアミド、ブチルアミド、テトラデカンアミド、α-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)アセトアミド、α-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)ブチルアミド、α-(3-ペンタデシルフェノキシ)-ヘキサンアミド、α-(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェノキシ)-テトラデカンアミド、2-オキソ-ピロリジン-1-イル、2-オキソ-5-テトラデシルピロリン-1-イル、N-メチルテトラデカンアミド、N-スクシンイミド、N-フタルイミド、2,5-ジオキソ-1-オキサゾリジニル、3-ドデシル-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリル、N-アセチル-N-ドデシルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシカルボニルアミノ、ヘキサデシルオキシカルボニルアミノ、2,4-ジ-t-ブチルフェノキシカルボニルアミノ、フェニルカルボニルアミノ、2,5-(ジ-t-ペンチルフェニル)カルボニルアミノ、p-ドデシル-フェニルカルボニルアミノ、p-トリルカルボニルアミノ、N-メチルウレイド、N,N-ジメチルウレイド、N-メチル-N-ドデシルウレイド、N-ヘキサデシルウレイド、N,N-ジオクタデシルウレイド、N,N-ジオクチル-N'-エチルウレイド、N-フェニルウレイド、N,N-ジフェニルウレイド、N-フェニル-N-p-トリルウレイド、N-(m-ヘキサデシルフェニル)ウレイド、N,N-(2,5-ジ-t-ペンチルフェニル)-N'-エチルウレイド、t-ブチルカーボンアミド);スルホンアミド(例えばメチルスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p-トリルスルホンアミド、p-ドデシルベンゼンスルホンアミド、N-メチルテトラデシルスルホンアミド、N,N-ジプロピルスルファモイルアミノ、ヘキサデシルスルホンアミド);スルファモイル(例えばN-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N,N-ジプロピルスルファモイル、N-ヘキサデシルスルファモイル、N,N-ジメチルスルファモイル、N-[3-(ドデシルオキシ)プロピル]スルファモイル、N-[4-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)ブチル]スルファモイル、N-メチル-N-テトラデシルスルファモイル、N-ドデシルスルファモイル);カルバモイル(例えばN-メチルカルバモイル、N,N-ジブチルカルバモイル、N-オクタデシルカルバモイル、N-[4-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)ブチル]カルバモイル、N-メチル-N-テトラデシルカルバモイル、N,N-ジオクチルカルバモイル);アシル(例えばアセチル、(2,4-ジ-t-アミルフェノキシ)アセチル、フェノキシカルボニル、p-ドデシルオキシフェノキシカルボニル、メトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3-ペンタデシルオキシカルボニル、ドデシルオキシカルボニル);スルホニル(例えばメトキシスルホニル、オクチルオキシスルホニル、テトラデシルオキシスルホニル、2-エチルヘキシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシスルホニル、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、2-エチルヘキシルスルホニル、ドデシルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、フェニルスルホニル、4-ノニルフェニルスルホニル、p-トリルスルホニル);スルホニルオキシ(例えばドデシルスルホニルオキシ、ヘキサデシルスルホニルオキシ);スルフィニル(例えばメチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、2-エチルヘキシルスルフィニル、ドデシルスルフィニル、ヘキサデシルスルフィニル、フェニルスルフィニル、4-ノニルフェニルスルフィニル、p-トリルスルフィニル);チオ(例えばエチルチオ、オクチルチオ、ベンジルチオ、テトラデシルチオ、2-(2,4-ジ-t-ペンチルフェノキシ)エチルチオ、フェニルチオ、2-ブトキシ-5-t-オクチルフェニルチオ、p-トリルチオ);アシルオキシ(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、オクタデカノイルオキシ、p-ドデシルアミドベンゾイルオキシ、N-フェニルカルバモイルオキシ、N-エチルカルバモイルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ);アミン(例えばフェニルアニリノ、2-クロロアニリノ、ジエチルアミン、ドデシルアミン);イミノ(例えば1(N-フェニルイミド)エチル、N-スクシンイミド、3-ベンジルヒダントイニル);ホスフェート(例えばジメチルホスフェート、エチルブチルホスフェート);ホスフィト(例えばジエチルホスフィト、ジヘキシルホスフィト);複素環基(例えば複素環オキシ基や複素環チオ基で、どれも置換されていてよく、炭素原子と少なくとも1個のヘテロ原子(酸素、窒素、イオウ、リン、ホウ素からなるグループの中から選択する)からなる3〜7員の複素環を含んでいる)、具体例は、2-フリル、2-チエニル、2-ベンゾイミダゾリルオキシ、2-ベンゾチアゾリル);第四級アンモニウム(例えばトリエチルアンモニウム);第四級ホスホニウム(例えばトリフェニルホスホニウム);シリルオキシ(例えばトリメチルシリルオキシ)がある。
【0046】
望むのであれば、置換基それ自体がさらに上記の置換基で1回以上置換されていてもよい。使用する具体的な置換基は、当業者が、特定の用途にとって望ましい性質が実現されるように選択することができ、例えば、電子求引基、電子供与基、立体基などが挙げられる。1つの分子が2つ以上の置換基を持てる場合には、特に断わらない限り、その置換基を互いに結合させて環を形成して縮合環にすることができる。一般に、上記の基と、その基に対する置換基は、48個までの炭素原子(一般には1〜36個であり、通常は24個未満である)を含むことができるが、選択した具体的な置換基が何であるかにより、それよりも多くすることも可能である。
【0047】
デバイスの一般的構成
【0048】
本発明は、小分子材料、オリゴマー材料、ポリマー材料、あるいはこれらの組み合わせを用いた多数のELデバイス構造で使用することができる。ELデバイス構造には、単一のアノードと単一のカソードを備える非常に単純な構造から、より複雑なデバイス(複数のアノードとカソードが直交アレイをなして画素を形成するパッシブ・マトリックス・ディスプレイや、各画素が例えば薄膜トランジスタ(TFT)で独立に制御されるアクティブ・マトリックス・ディスプレイ)までが含まれる。
【0049】
本発明をうまく実現することのできる有機層の構造が多数ある。OLEDにとって非常に重要なのは、アノードと、カソードと、そのアノードとカソードに挟まれた位置にある有機発光層である。いろいろな追加層を使用できるが、それについては後でさらに詳しく説明する。
【0050】
小分子デバイスにとって特に有用な本発明による典型的な構造を図1に示してある。この構造は、基板101と、アノード103と、正孔注入層105と、正孔輸送層107と、発光層109と、電子輸送層111と、カソード113からなる。これらの層について以下に詳細に説明する。基板101をカソード113に隣接した位置にすることや、基板101が実際にアノード103またはカソード113を構成することも可能であることに注意されたい。アノード103とカソード113に挟まれた有機層は、便宜上、有機EL素子と呼ぶ。また、有機層を合計した厚さは、500nm未満であることが望ましい。デバイスにリン光材料が含まれている場合には、発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層を存在させるとよい。
【0051】
OLEDのアノード103とカソード113は、導電線を通じて電圧/電流源に接続する。OLEDは、アノード103とカソード113の間に、アノード103がカソード113に対してプラスの電位となるように電位を印加することによって動作する。正孔をアノード103から有機EL素子に注入し、電子をカソード113から有機EL素子に注入する。ACモードでOLEDを動作させると、ACサイクル中のある期間はバイアス電位が逆転して電流が流れないため、デバイスの安定性が向上することがある。AC駆動のOLEDの一例が、アメリカ合衆国特許第5,552,678号に記載されている。
【0052】
基板
【0053】
本発明のOLEDデバイスは、一般に、支持用基板101の上に形成され、カソード113とアノード103のいずれか一方を基板と接触させることができる。基板101と接触する電極は、便宜上、底部電極と呼ぶ。一般に底部電極はアノード103であるが、本発明がこの構成に限定されることはない。基板101は、どの方向に光を出したいかに応じ、透光性または不透明にすることができる。透光特性は、基板101を通してEL光を見る上で望ましい。その場合には、透明なガラスまたはプラスチックが一般に用いられる。基板101は、複数の材料層を含む複合構造にすることができる。これは、一般に、TFTがOLED層の下にあるアクティブ・マトリックス基板の場合である。それでも基板101は、少なくとも発光画素領域が、主として透明な材料(例えばガラスやポリマー)からなる必要がある。EL光を上部電極を通じて見るような用途では、底部支持体の透過特性は重要でないため、底部支持体は、透光性、光吸収性、光反射性のいずれでもよい。この場合に用いる基板としては、ガラス、プラスチック、半導体材料(例えばケイ素)、セラミック、回路板材料などがある。改めて指摘しておくが、基板101は、アクティブ・マトリックスTFTの設計に見られるような材料からなる複数の層を含む複合構造にすることができる。このような構成のデバイスでは、透光性のある上部電極を設ける必要がある。
【0054】
アノード
【0055】
望むエレクトロルミネッセンス光(EL)をアノードを通して見る場合、アノード103は、興味の対象となる光に対して透明か、実質的に透明である必要がある。本発明で用いられる透明なアノード用の一般的な材料は、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、スズ酸化物であるが、他の金属酸化物(例えばアルミニウムをドープした亜鉛酸化物、インジウムをドープした亜鉛酸化物、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物)も可能である。これら酸化物に加え、金属窒化物(例えば窒化ガリウム)、金属セレン化物(例えばセレン化亜鉛)、金属硫化物(例えば硫化亜鉛)をアノード103として用いることができる。EL光をカソード113だけを通して見るような用途では、アノード103の透過特性は重要でなく、あらゆる導電性材料(透明なもの、不透明なもの、反射性のもの)を使用することができる。この用途での具体的な導電性材料としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金などがある。典型的なアノード用材料は、透光性であろうとそうでなかろうと、仕事関数が4.1eV以上である。望ましいアノード用材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段)で堆積させることができる。アノードは、よく知られているフォトリソグラフィ法を利用してパターニングすることができる。場合によってはアノードを研磨した後に他の層を付着させて表面の粗さを減らすことで、短絡を最少にすること、または反射率を大きくすることができる。
【0056】
カソード
【0057】
アノード103を通した発光だけを見る場合には、本発明で使用するカソード113は、ほぼ任意の導電性材料で構成することができる。望ましい材料は優れたフィルム形成特性を有するため、下にある有機層との接触がよくなり、低電圧で電子の注入が促進され、優れた安定性を得ることができる。有用なカソード材料は、仕事関数が小さな(4.0eV未満)金属または合金を含んでいることがしばしばある。好ましい1つのカソード材料は、アメリカ合衆国特許第4,885,221号に記載されているように、銀が1〜20%の割合で含まれたMg:Ag合金からなる。適切なカソード材料の別のクラスとしては、カソードと、有機層(例えば電子輸送層(ETL))に接触している薄い電子注入層(EIL)とを備える二層があり、カソードには、より厚い導電性金属層が被せてある。この場合、EILは、仕事関数が小さな金属または金属塩を含むことが好ましく、そうなっている場合には、より厚い被覆層の仕事関数が小さい必要はない。このような1つのカソードは、アメリカ合衆国特許第5,677,572号に記載されているように、LiFからなる薄い層と、その上に載るより厚いAl層からなる。他の有用なカソード材料のセットとしては、アメリカ合衆国特許第5,059,961号、第5,059,862号、第6,140,763号に開示されているものがあるが、これだけに限定されるわけではない。
【0058】
カソードを通して発光を見る場合、カソード113は、透明であるか、ほぼ透明である必要がある。このような用途のためには、金属が薄いか、透明な導電性酸化物を使用するか、このような材料の組み合わせを使用する必要がある。光学的に透明なカソードは、アメリカ合衆国特許第4,885,211号、第5,247,190号、日本国特許第3,234,963号、アメリカ合衆国特許第5,703,436号、第5,608,287号、第5,837,391号、第5,677,572号、第5,776,622号、第5,776,623号、第5,714,838号、第5,969,474号、第5,739,545号、第5,981,306号、第6,137,223号、第6,140,763号、第6,172,459号、ヨーロッパ特許第1,076,368号、アメリカ合衆国特許第6,278,236号、第6,284,393号に、より詳細に記載されている。カソード材料は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着によって堆積させることができる。必要な場合には、よく知られた多数の方法でパターニングすることができる。方法としては、例えば、スルー・マスク蒸着、アメリカ合衆国特許第5,276,380号とヨーロッパ特許第0,732,868号に記載されている一体化シャドウ・マスキング、レーザー除去、選択的化学蒸着などがある。
【0059】
正孔注入層(HIL)
【0060】
正孔注入層105をアノード103と正孔輸送層107の間に設けることができる。正孔注入層は、後に続く有機層のフィルム形成能力を向上させ、正孔を正孔輸送層107に容易に注入できるようにする機能を持つことができる。正孔注入層105で使用するのに適した材料としては、アメリカ合衆国特許第4,720,432号に記載されているポルフィリン化合物、アメリカ合衆国特許第6,208,075号に記載されているプラズマ堆積させたフルオロカーボン・ポリマー、いくつかの芳香族アミン(例えばMTDATA(4,4',4"-トリス[(3-メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン))などがある。有機ELデバイスにおいて有用であることが報告されている別の正孔注入材料は、ヨーロッパ特許第0,891,121 A1号と第1,029,909 A1号に記載されている。本発明では正孔注入層を用いることが好ましく、正孔注入層は、プラズマ堆積させたフルオロカーボン・ポリマーであることが望ましい。プラズマ堆積させたフルオロカーボン・ポリマーを含む正孔注入層の厚さは、0.2nm〜15nmの範囲が可能であり、0.3〜1.5nmの範囲が適切である。
【0061】
正孔輸送層(HTL)
【0062】
必ずしも必要なわけではないが、OELDデバイスに正孔輸送層を含めると有用であることがしばしばある。有機ELデバイスの正孔輸送層107は、少なくとも1種類の正孔輸送化合物(例えば芳香族第三級アミン)を含んでいる。芳香族第三級アミンは、炭素原子(そのうちの少なくとも1つは芳香族環のメンバーである)だけに結合する少なくとも1つの3価窒素原子を含んでいる化合物であると理解されている。芳香族第三級アミンの1つの形態は、アリールアミン(例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ポリマー・アリールアミン)である。具体的なモノマー・トリアリールアミンは、Klupfelらによってアメリカ合衆国特許第3,180,730号に示されている。1個以上のビニル基で置換された他の適切なトリアリールアミン、および/または少なくとも1つの活性な水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミンは、Brantley他によってアメリカ合衆国特許第3,567,450号と第3,658,520号に開示されている。
【0063】
芳香族第三級アミンのより好ましいクラスは、アメリカ合衆国特許第4,720,432号と第5,061,569号に記載されているように、少なくとも2つの芳香族第三級アミン部分を含むものである。このような化合物としては、構造式(A):
【化10】

で表わされるものがある。ただし、Q1とQ2は、独立に、芳香族第三級アミン部分の中から選択され、Gは、炭素-炭素結合の結合基(例えば、アリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレン基など)である。一実施態様では、Q1とQ2の少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。Gがアリール基である場合には、Q1とQ2の少なくとも一方は、フェニレン部分、ビフェニレン部分、ナフタレン部分であることが好ましい。
【0064】
構造式(A)に合致するとともに2つのトリアリールアミンを含むトリアリールアミンの有用な1つのクラスは、構造式(B):
【化11】

で表わされる。ただし、
R1とR2は、それぞれ独立に、水素原子、アリール基、アルキル基のいずれかを表わすか、R1とR2は、合わさって、シクロアルキル基を完成させる原子を表わし;
R3とR4は、それぞれ独立にアリール基を表わし、そのアリール基は、構造式(C):
【化12】

に示したように、ジアリール置換されたアミノ基によって置換されている。ただし、
R5とR6は、独立に、アリール基の中から選択される。一実施態様では、R5とR6のうちの少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。
【0065】
芳香族第三級アミンの別のクラスは、テトラアリールジアミンである。望ましいテトラアリールジアミンとして、構造式(C)に示したように、アリーレン基を通じて結合した2つのジアリールアミノ基が挙げられる。有用なテトラアリールジアミンとしては、一般式(D):
【化13】

で表わされるものがある。ただし、
それぞれのAreは、独立に、アリーレン基(例えばフェニレン部分またはアントラセン部分)の中から選択され;
nは1〜4の整数であり;
Ar、R7、R8、R9は、独立に、アリール基の中から選択される。
【0066】
典型的な一実施態様では、Ar、R7、R8、R9のうちの少なくとも1つは多環縮合構造(例えばナフタレン)である。
【0067】
上記の構造式(A)、(B)、(C)、(D)のさまざまなアルキル部分、アルキレン部分、アリール部分、アリーレン部分は、それぞれ、置換されていてもよい。典型的な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン化物(例えばフッ化物、塩化物、臭化物)などがある。さまざまなアルキル部分とアルキレン部分は、一般に、1〜約6個の炭素原子を含んでいる。シクロアルキル部分は、3〜約10個の炭素原子を含むことができるが、一般には5個、または6個、または7個の炭素原子を含んでいる(例えばシクロペンチル環構造、シクロヘキシル環構造、シクロヘプチル環構造)。アリール部分とアリーレン部分は、通常は、フェニル部分とフェニレン部分である。
【0068】
正孔輸送層は、単一の芳香族第三級アミン化合物で、または芳香族第三級アミン化合物の混合物で形成することができる。特に、トリアリールアミン(例えば構造式(B)を満たすトリアリールアミン)をテトラアリールジアミン(例えば構造式(D)に示したもの)と組み合わせて使用することができる。有用な芳香族第三級アミンの具体例としては、以下のものがある。
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン(TAPC)
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-メチルシクロヘキサン
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルプロパン(TAPPP)
N,N,N',N'-テトラフェニル-4,4'"-ジアミノ-1,1':4',1":4",1'"-クアテルフェニル
ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン
1,4-ビス[2-[4-[N,N-ジ(p-トリ)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB)
N,N,N',N'-テトラ-p-トリル-4,4'-ジアミノビフェニル(TTB)
N,N,N',N'-テトラフェニル-4,4'-ジアミノビフェニル
N,N,N',N'-テトラ-1-ナフチル-4,4'-ジアミノビフェニル
N,N,N',N'-テトラ-2-ナフチル-4,4'-ジアミノビフェニル
N-フェニルカルバゾール
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ビフェニル(TNB)
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-p-テルフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(3-アセナフテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4'-ビス[N-(9-アントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(1-アントリル)-N-フェニルアミノ]-p-テルフェニル
4,4'-ビス[N-(2-フェナントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(8-フルオランテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ナフトアセニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4'-ビス[N-(1-コロネニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N',N'-テトラ(2-ナフチル)-4,4"-ジアミノ-p-テルフェニル
4,4'-ビス{N-フェニル-N-[4-(1-ナフチル)-フェニル]アミノ}ビフェニル
2,6-ビス[N,N-ジ(2-ナフチル)アミン]フルオレン
4,4',4"-トリス[(3-メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)
4,4'-ビス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)。
【0069】
有用な正孔輸送材料の別のクラスとして、ヨーロッパ特許第1,009,041号に記載されている多環式芳香族化合物がある。3つ以上のアミン基を有する第三級芳香族アミン(例えばオリゴマー材料)を使用できる。さらに、正孔輸送ポリマー材料を使用することができる。それは、例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、コポリマー(例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSSとも呼ばれる))などである。正孔輸送層は、組成が異なる2つ以上のサブ層を含むことも可能である。各サブ層の組成は、上に説明した通りである。正孔輸送層の厚さは10〜約500nmにできるが、50〜300nmであることが好ましい。
【0070】
発光層(LEL)
【0071】
本発明の発光材料に加え、追加の発光材料(例えば他の蛍光材料)をELデバイスで用いることができる。他の蛍光材料を、ホウ素錯体材料と同じ層、隣接する層、隣接する画素のいずれかで用いること、またはこれらの組み合わせで用いることができる。
【0072】
アメリカ合衆国特許第4,769,292号、第5,935,721号により詳しく説明されているように、有機EL素子の発光層は、ルミネッセンス材料を含んでおり、この領域で電子-正孔対の再結合が起こる結果としてエレクトロルミネッセンスが生じる。発光層は単一の材料で構成できるが、より一般的には、ゲスト発光材料をドープしたホスト材料からなる。光は主として発光材料から発生し、任意の色が可能である。発光層内のホスト材料は、以下に示す電子輸送材料、または上記の正孔輸送材料、または正孔-電子再結合をサポートする別の単一の材料または組み合わせた材料にすることができる。蛍光材料は、一般に、0.01〜10質量%の割合でホスト材料に組み込まれる。
【0073】
ホストと発光材料は、小さな非ポリマー分子またはポリマー材料(例えばポリフルオレン、ポリビニルアリーレン(例えばポリ(p-フェニレンビニレン、PPV)))にすることができる。ポリマーの場合、小分子発光材料をポリマーからなるホストに分子として分散させること、または発光材料を少量成分と共重合させてホスト・ポリマーに添加することができる。ホスト材料を互いに混合し、フィルム形成、電気的特性、発光効率、動作寿命、製造しやすさを改善することができる。ホストは、正孔輸送特性が優れた材料と、電子輸送特性が優れた材料を含むことができる。
【0074】
ゲスト発光材料として蛍光材料を選択する際の重要な関係は、ホストと蛍光材料の励起した一重項状態のエネルギーの比較である。蛍光材料の励起した一重項状態のエネルギーは、ホスト材料の励起した一重項状態のエネルギーよりも低いことが非常に望ましい。励起した一重項状態のエネルギーは、発光する一重項状態と基底状態のエネルギー差として定義される。発光しないホストでは、基底状態としての同じ電子スピンの最低励起状態は、発光状態と見なされる。
【0075】
有用であることが知られているホスト分子および発光分子としては、アメリカ合衆国特許第4,768,292号、第5,141,671号、第5,150,006号、第5,151,629号、第5,405,709号、第5,484,922号、第5,593,788号、第5,645,948号、第5,683,823号、第5,755,999号、第5,928,802号、第5,935,720号、第5,935,721号、第6,020,078号に開示されているものがある。
【0076】
8-ヒドロキシキノリンの金属錯体と、それと同様の誘導体は、金属キレート化オキシノイド(一般式E)としても知られており、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が500nmよりも長い光(例えば緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0077】
【化14】

ただし、Mは金属を表わし;
nは1〜4の整数であり;
Zは、各々独立に、縮合した少なくとも2つの芳香族環を有する核を完成させる原子を表わす。
【0078】
以上の説明から、金属は、一価、二価、三価、四価の金属が可能であることが明らかである。金属としては、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、三価の金属(アルミニウム、ガリウムなど);他の金属(亜鉛、ジルコニウムなど)が可能である。一般に、キレート化金属として有用であることが知られている任意の一価、二価、三価、四価の金属を使用することができる。
【0079】
Zは、縮合した少なくとも2つの芳香族環を持ち、そのうちの少なくとも一方はアゾール環またはアジン環である複素環の核を完成させる。必要な場合には、必要なその2つの環に追加の環(例えば脂肪族環と芳香族環の両方)を縮合させることができる。機能の向上なしに分子が大きくなることを避けるため、環の原子数は、通常は18個以下に維持する。
【0080】
キレート化オキシノイド系化合物の具体例としては、以下のものがある。
CO-1:アルミニウムトリスオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-2:マグネシウムビスオキシン[別名、ビス(8-キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO-3:ビス[ベンゾ{f}-8-キノリノラト]亜鉛(II)
CO-4:ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
CO-5:インジウムトリスオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)インジウム]
CO-6:アルミニウムトリス(5-メチルオキシン)[別名、トリス(5-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-7:リチウムオキシン[別名、(8-キノリノラト)リチウム(I)]
CO-8:ガリウムオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)ガリウム(III)]
CO-9:ジルコニウムオキシン[別名、テトラ(8-キノリノラト)ジルコニウム(IV)]
【0081】
9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンの誘導体(一般式F)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0082】
【化15】

ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれの環上の1個以上の置換基を表わす。この場合の各置換基は、以下に示すグループの中から個別に選択される。
グループ1:水素、または炭素原子が1〜24個のアルキル;
グループ2:炭素原子が5〜20個のアリールまたは置換されたアリール
グループ3:アントラセニル、ピレニル、ペリレニルの縮合芳香族環を完成させるのに必要な4〜24個の炭素原子;
グループ4:フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、または他の複素環系の縮合ヘテロ芳香族環を完成させるのに必要な、5〜24個の炭素原子からなるヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール;
グループ5:炭素原子が1〜24個のアルコキシアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ;
グループ6:フッ素、塩素、ホウ素、シアノ。
【0083】
代表的な具体例として、9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンと2-t-ブチル-9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンがある。他のアントラセン誘導体は、LELにおけるホストとして役に立つ可能性があり、具体例として9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセンがある。
【0084】
ベンズアゾール誘導体(一般式G)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0085】
【化16】

ただし、nは3〜8の整数であり;
Zは、O、NR、Sのいずれかであり;
RとR'は、個別に、水素、炭素原子が1〜24個のアルキル(例えばプロピル、t-ブチル、ヘプチルなど)、アリール、またはヘテロ原子で置換されたアリールで炭素原子が5〜20個のもの(例えばフェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニルや、これら以外の複素環系)、ハロ(例えばクロロ、フルオロ)、縮合芳香族環を完成させるのに必要な原子のいずれかであり;
Lは、アルキル、アリール、置換されたアルキル、置換されたアリールなどからなる結合単位であり、複数のベンズアゾールを互いに結合させる。Lは、複数のベンズアゾールと共役していてもよいし、共役していなくてもよい。有用なベンズアゾールの一例は、2,2',2"-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]である。
【0086】
アメリカ合衆国特許第5,121,029号と日本国特開平08-333569に記載されているように、スチリルアリーレン誘導体も、青色発光のための有用なホストである。例えば9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルエテニル)フェニル]アントラセンと4,4'-ビス(2,2-ジフェニルエテニル)-1,1'-ビフェニル(DPVBi)は、青色発光のための有用なホストである。
【0087】
有用な蛍光発光材料としては、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クーマリン、ローダミン、キナクリドンの誘導体や、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物などがある。有用な材料の代表例としては、以下のものがある。
【0088】
【化17】

【0089】
【化18】

【0090】
【化19】

【0091】
【化20】

【0092】
本発明の発光材料に加え、リン光発光材料もELデバイスで用いることができる。便宜上、リン光錯体ゲスト材料を、この明細書ではリン光材料と呼ぶ。リン光材料は、一般に、1つ以上のリガンド(例えばsp2炭素とヘテロ原子を通じて金属と配位することができるモノアニオン・リガンド)を含んでいる。リガンドは、フェニルピリジン(ppy)、またはその誘導体、またはそのアナログにすることができる。有用なリン光有機金属材料のいくつかの具体例として、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2')イリジウム(III)、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2)イリジウム(III)(アセチルアセトネート)、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2')白金(II)などがある。好ましいことに、多数のリン光有機金属材料がスペクトルの緑色領域で発光する。すなわち510〜570nmの範囲で発光が最大になる。
【0093】
リン光材料は、単独で、または他のリン光材料と組み合わせて、同じ層または異なる層で使用することができる。リン光材料と適切なホストが記載されているのは、WO 00/57676、WO 00/70655、WO 01/41512 A1、WO 02/15645 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0017361 A1、WO 01/93642 A1、WO 01/39234 A2、アメリカ合衆国特許第6,458,475 B1号、WO 02/071813 A1、アメリカ合衆国特許第6,573,651 B2号、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0197511 A1、WO 02/074015 A2、アメリカ合衆国特許第6,451,455 B1号、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0072964 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0068528 A1、アメリカ合衆国特許第6,413,656 B1号、アメリカ合衆国特許第6,515,298 B2号、アメリカ合衆国特許第6,451,415 B1号、アメリカ合衆国特許第6,097,147号、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0124381 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0059646 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0054198 A1、ヨーロッパ特許第1,239,526 A2号、ヨーロッパ特許第1,238,981 A2号、ヨーロッパ特許第1,244,155 A2号、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0100906 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0068526 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0068535 A1、日本国特開2003-073387A、日本国特開2003-073388A、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0141809 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0040627 A1、日本国特開2003-059667A、日本国特開2003-073665A、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0121638A1である。
【0094】
IrL3タイプとIrL2L'タイプのシクロメタル化されたIr(III)錯体(例えば緑色の光を出すfac-トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2')イリジウム(III)、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2')イリジウム(III)(アセチルアセトネート))は、シクロメタル化リガンドL上の適切な位置における電子供与基または電子求引基の置換によってシフトさせること、またはシクロメタル化リガンドLのためにいろいろな複素環を選択することによってシフトさせることができる。発光波長は、補助リガンドL'を選択することによってシフトさせることもできる。赤色発光物質の具体例は、ビス(2-(2'-ベンゾチエニル)ピリジナト-N,C3')イリジウム(III)(アセチルアセトネート)と、トリス(2-フェニルイソキノリナト-N,C)イリジウム(III)である。青色発光物質の具体例は、ビス(2-(4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジナト-N,C2')イリジウム(III)(ピコリネート)である。
【0095】
リン光材料としてビス(2-(2'-ベンゾ[4,5-a]チエニル)ピリジナト-N,C3)イリジウム(アセチルアセトネート)[Btp2Ir(acac)]を用いた赤い電気リン光が報告されている(C. Adachi、S. Lamansky、M.A. Baldo、R.C. Kwong、M.E. Thompson、S.R. Forrest、App. Phys. Lett.、第78巻、1622〜1624ページ、2001年)。
【0096】
他の重要なリン光材料としては、シクロメタル化されたPt(II)錯体であるシス-ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2')白金(II)、シス-ビス(2-(2'-チエニル)ピリジナト-N,C3')白金(II)、シス-ビス(2-(2'-チエニル)キノリナト-N,C5')白金(II)、(2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2')白金(II)(アセチルアセトネート)などがある。Pt(II)ポルフィリン錯体(例えば2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィン白金(II))も有用なリン光材料である。
【0097】
有用なリン光材料のさらに別の具体例として、3価ランタノイド(例えばTb3+、Eu3+)の配位錯体がある(J. Kido他、Appl. Phys. Lett.、第65巻、2124ページ、1994年)。
【0098】
リン光材料に適したホスト材料は、三重項エキシトンの輸送がホスト材料からリン光材料へと効率的になされるが、リン光材料からホスト材料へは効率的に起こりえないようなものを選択すべきである。したがってリン光材料の三重項エネルギーはホストの三重項エネルギーよりも低いことが非常に望ましい。一般に、三重項エネルギーが大きいというのは、光学的バンドギャップが大きいことを意味する。しかしホストのバンドギャップは、電荷キャリアを発光層に注入する際の許容できない障壁を作り出したり、OLEDを駆動する電圧の許容できない上昇を引き起こしたりするほど大きくなるように選択してはならない。適切なホスト材料は、WO 00/70655 A2、WO 01/39234 A2、WO 01/93642 A1、WO 02/074015 A2、WO 02/15645 A1、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0117662に記載されている。適切なホストとしては、ある種のアリールアミン、トリアゾール、インドール、カルバゾール化合物などがある。望ましいホストの具体例は、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-ビフェニル(4,4'-ビス(カルバゾル-9-イル)ビフェニルまたはCBPとしても知られる)、4,4'-N,N'-ジカルバゾール-2,2'-ジメチル-ビフェニル(2,2'-ジメチル-4,4'-ビス(カルバゾル-9-イル)ビフェニルまたはCDBPとしても知られる)、1,3-ビス(N,N'-ジカルバゾール)ベンゼン(1,3-ビス(カルバゾル-9-イル)ベンゼンとしても知られる)、ポリ(N-ビニルカルバゾール)と、これらの誘導体である。
【0099】
望ましいホスト材料は、連続膜を形成することができる。
【0100】
正孔阻止層(HBL)
【0101】
リン光材料を使用しているOLEDデバイスは、励起イベントと再結合イベントがホスト材料とリン光材料を含む発光層だけで起こるようにするため、適切なホストに加え、電子輸送相111と発光層109の間に位置する少なくとも1つの正孔阻止層をしばしば必要とする。この場合、正孔がホストから正孔阻止層に移動する際にエネルギー障壁が存在せねばならない一方で、電子は、正孔阻止層を容易に通過してホスト材料とリン光材料を含む発光層へと移動できねばならない。第1の条件は、正孔阻止層のイオン化電位が発光層109のイオン化電位よりも望ましくは0.2eV以上大きいことを要請する。第2の条件は、正孔阻止層の電子親和力が発光層109の電子親和力を大幅に上回ることはなく、望ましくは発光層の電子親和力よりも小さいか、発光層の電子親和力よりも約0.2eV以上大きくはないことを要請する。
【0102】
特徴的な発光が緑である電子輸送層(例えば以下に説明するAlq含有電子輸送層)とともに用いる場合、正孔阻止層材料の最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギーに関する条件により、正孔阻止層の特徴的な発光は、電子輸送層の特徴的な発光よりも短い波長の発光(例えば青、紫、紫外)になる。したがって、正孔阻止層材料の特徴的な発光は、青、紫、紫外のいずれかであることが望ましい。さらに、絶対に必要というわけではないが、正孔阻止材料の三重項エネルギーは、リン光材料の三重項エネルギーよりも大きいことが望ましい。適切な正孔阻止材料は、WO 00/70655 A2とWO 01/93642 A1に記載されている。有用な正孔阻止材料の具体例を2つ挙げると、バトクプロイン(BCP)とビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)である。BCPの特徴的な発光は紫外領域であり、BAlqの特徴的な発光は青である。アメリカ合衆国特許出願公開2003/0068528に記載されているように、BAlq以外の金属錯体も正孔と励起を阻止することが知られている。さらに、アメリカ合衆国特許出願公開2003/0175553 A1には、この目的でfac-トリス(1-フェニルピラゾラと-N,C2')イリジウム(III)(Irppz)を用いることが記載されている。
【0103】
正孔阻止層を利用する場合、その厚さは2〜100nmにすることができる。この厚さは5〜10nmであることが好ましい。
【0104】
電子輸送層(ETL)
【0105】
本発明の有機ELデバイスの電子輸送層を形成する際に用いる望ましい薄膜形成材料は、金属キレート化オキシノイド化合物である。その中には、オキシンそのもの(一般に、8-キノリノールまたは8-ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)も含まれる。このような化合物は、電子を注入して輸送するのを助け、高レベルの性能を示し、薄膜の形態にするのが容易である。考慮するオキシノイド化合物の具体例は、すでに説明した構造式(E)を満たすものである。
【0106】
電子輸送層111で用いるのに適した他の電子輸送材料としては、アメリカ合衆国特許第4,356,429号に記載されているさまざまなブタジエン誘導体や、アメリカ合衆国特許第4,539,507号に記載されているさまざまな複素環式蛍光増白剤がある。構造式(G)を満たすベンズアゾールも、電子輸送材料として有用である。トリアジンも電子輸送材料として有用であることが知られている。
【0107】
正孔阻止層と電子輸送層111の両方を利用する場合、電子は電子輸送層111を容易に通過して正孔阻止層に入ることができねばならない。したがって電子輸送層111の電子親和力は、正孔阻止層の電子親和力を大幅に上回ってはならない。電子輸送層の電子親和力は、正孔阻止層の電子親和力よりも小さいか、それよりも0.2eV以上は大きくないことが望ましい。
【0108】
電子輸送層を利用する場合、その厚さは2〜100nmにすることができる。この厚さは5〜20nmであることが好ましい。
【0109】
他の有用な有機層とデバイスのアーキテクチャ
【0110】
発光層109〜電子輸送層111は、場合によっては単一の層にし、発光と電子輸送の両方をサポートする機能を担わせることができる場合がある。正孔阻止層(存在している場合)と電子輸送層111を単一の層にし、正孔またはエキシトンを阻止するとともに、電子輸送をサポートする機能を担わせることもできる。従来技術では、発光材料を正孔輸送層107に含めうることも知られている。この場合、正孔輸送材料はホストとして機能することができる。多くの材料を1つ以上の層に添加して白色発光OLEDを作ることができる。例えば青色発光材料と黄色発光材料の組み合わせ、シアン色発光材料と赤色発光材料の組み合わせ、赤色発光材料と緑色発光材料と青色発光材料の組み合わせがある。白色発光デバイスが記載されているのは、例えばヨーロッパ特許第1,187,235号、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0025419、ヨーロッパ特許第1,182,244号、アメリカ合衆国特許第5,683,823号、アメリカ合衆国特許第5,503,910号、アメリカ合衆国特許第5,405,709号、アメリカ合衆国特許第5,283,182号であり、白色発光デバイスに適切なフィルタを取り付けてカラー発光をさせることができる。
【0111】
本発明は、例えばアメリカ合衆国特許第5,703,436号と第6,337,492号に記載されているようないわゆる積層デバイス構造で使用することができる。
【0112】
有機層の堆積
【0113】
上記の有機材料は、その有機材料の形態に適した任意の方法で堆積させることが好ましい。小分子の場合、昇華または蒸発を通じてうまく堆積するが、他の手段(例えば溶媒からのコーティング。そのとき、場合によっては結合剤も用いてフィルムの形成を改善する)で堆積させることもできる。材料がポリマーである場合には、溶媒堆積が通常は好ましい。昇華または蒸発によって堆積させる材料は、タンタル材料からなることの多い昇華用“ボート”から気化させること(例えばアメリカ合衆国特許第6,237,529号に記載されている)や、まず最初にドナー・シートにコーティングし、次いで基板のより近くで昇華させることができる。混合材料からなる層では、別々の昇華用ボートを用いること、または材料をあらかじめ混合し、単一のボートまたはドナー・シートからコーティングすることができる。パターニングした堆積は、シャドウ・マスク、一体化シャドウ・マスク(アメリカ合衆国特許第5,294,870号)、ドナー・シートからの空間的に限定された染料熱移動(アメリカ合衆国特許第5,688,551号、第5,851,709号、第6,066,357号)、インクジェット法(アメリカ合衆国特許第6,066,357号)を利用して実現することができる。
【0114】
封入
【0115】
たいていのOLEDデバイスは、水分と酸素の一方または両方に敏感であるため、一般に不活性雰囲気(例えば窒素やアルゴン)中で、乾燥剤(例えばアルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、粘土、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、ハロゲン化金属、過塩素酸塩)とともに密封される。封入と乾燥のための方法としては、アメリカ合衆国特許第6,226,890号に記載されている方法などがある。さらに、障壁層(例えばSiOx、テフロン(登録商標))や、交互に積層された無機層/ポリマー層が、封入法として知られている。本発明に従って構成したELデバイスでは、これらのうちのどの密封法または封入法を用いてもよい。
【0116】
光学的最適化
【0117】
本発明のOLEDデバイスでは、望むのであれば発光特性を向上させるため、公知のさまざまな光学的効果を利用することが可能である。その中には、層の厚さを最適化して光の透過を最大にすること、誘電体ミラー構造を設けること、反射性電極の代わりに光吸収性電極にすること、グレア防止または反射防止のコーティングをディスプレイの表面に設けること、偏光媒体をディスプレイの表面に設けること、カラー・フィルタ、中性フィルタ、カラー変換フィルタをディスプレイの表面に設けることなどがある。フィルタ、偏光装置、グレア防止用または反射防止用コーティングは、ELデバイスの表面に、またはELデバイスの一部として特別に設けることができる。
【0118】
本発明の実施態様により、より高い発光効率、より低い駆動電圧、より高い電力効率といった優れた特徴を提供できる。本発明で有用な化合物の実施態様により、幅広い色相を提供することができる。その中には、(マルチカラー・ディスプレイを提供するために直接に、またはフィルタを通じて)白色光を出させるのに役立つ色相も含まれる。本発明の実施態様により、エリア照明デバイスも提供することができる。
【0119】
本発明とその利点は、以下の実施例によってさらによく理解することができる。
【実施例】
【0120】
合成例:Inv-3の調製
【0121】
【化21】

【0122】
2-クロロ-4-フェニルキノリンを以下の方法で調製した(Rxn-1)。2-アミノベンゾフェノン(21g、106.5ミリモル)を塩化メチレン(213ml)に溶かし、トリエチルアミン(22.3ml、159.8ミリモル)をゆっくりと添加した。0℃まで冷却した後、塩化アセチル(8.3ml、117.2ミリモル)を反応混合物に一滴ずつ添加した。次に反応混合物を氷から取り出し、一晩にわたって撹拌した。10%塩酸(84ml)を添加し、水層を1つにまとめ、酢酸エチルで抽出した。有機相を1つにまとめ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。カラム・クロマトグラフィ(25%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製すると、2-アセトアミドベンゾフェノンが得られた。
【0123】
水酸化ナトリウム(5M、1.8g、43.9ミリモル)を、2-アセトアミドベンゾフェノン(10.5g、43.9ミリモル)とエタノール(439ml)の混合物に添加した。得られた混合物を3時間にわたって還流温度に加熱した後、室温まで冷却し、濃縮した。撹拌しながら水と塩化メチレンを添加すると、白色の沈殿物が形成された。この固形物を真空濾過によって回収し、塩化メチレンで洗浄すると、2-ヒドロキシ-4-フェニルキノリンが得られた。
【0124】
オキシ塩化リン(37.4ml、402ミリモル)を2-ヒドロキシ-4-フェニルキノリンに添加し、得られた混合物を4時間にわたって還流温度に加熱した。室温まで冷却し、撹拌している氷水に混合物をゆっくりと添加すると、白色の沈殿物が得られた。混合物を塩化メチレンで抽出し、有機相を1つにまとめ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮すると、2-クロロ-4-フェニルキノリンが得られた。
【0125】
【化22】

【0126】
2-アミノ-1-(4-ビフェニル)ベンゾイミダゾールを以下の手続き(Rxn-2)によって調製した。光から保護された密封したフラスコの中で、2-ニトロアニリン(4g、28.6mg)と、4-ブロモビフェニル(20g、85.8ミリモル)と、炭酸カリウム(6.5g、47.2ミリモル)と、ヨウ化銅(II)(0.23g、1.2ミリモル)を含むジメチルホルムアミド(20ml)を、2日間にわたって還流温度に加熱した。室温まで冷却し、カラム・クロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製すると、N-(4-ビフェニル)-2-ニトロアニリンが得られた。N-(4-ビフェニル)-2-ニトロアニリンを活性炭に担持されたパラジウム(0.2g)を用いてエタノール(69ml)中で4時間にわたって水素処理すると、N-(4-ビフェニル)-2-アミノアニリンが得られた。
【0127】
N-(4-ビフェニル)-2-アミノアニリンとジメチルホルムアミド(13ml)の混合物に臭化シアノゲン(2.0ml、9.75ミリモル)を添加した。この混合物を密封して光から保護した状態で、2日間にわたって撹拌した。水を添加し、水層をエーテルで3回抽出した。水層を回収し、撹拌しながらこの混合物のpHが約9になるまで水酸化ナトリウムを添加すると、茶色の沈殿物が形成され始めた。この固形物を真空濾過によって回収し、水で洗浄すると、2-アミノ-1-(4-ビフェニル)ベンゾイミダゾールが得られた。
【0128】
【化23】

【0129】
Inv-3を以下の手続き(Rxn-3)によって調製した。2-クロロ-4-フェニルキノリンと、2-アミノ-1-(4-ビフェニル)ベンゾイミダゾールと、酢酸パラジウム(II)(0.05g、0.21ミリモル)と、(オキシジ-2,1-フェニレン)ビス-(ジフェニルホスフィン)(0.11g、0.19ミリモル)と、炭酸セシウム(1.0g、3.1ミリモル)をトルエン(3ml)の中で一晩にわたって還流温度に加熱した。冷却した混合物に水を添加した後、塩化メチレンで抽出した。有機層を1つにまとめ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。混合物をシリカゲル(20%酢酸エチル/ヘプタン)を通過させて洗浄し、カラム・クロマトグラフィ(20%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製すると、1-(4-ビフェニル)-2-((4-フェニルキノリン-2-イル)アミノ)ベンゾイミダゾールが得られた。
【0130】
1-(4-ビフェニル)-2-((4-フェニルキノリン-2-イル)アミノ)ベンゾイミダゾールとトルエン(5.3ml)の混合物にトリエチルアミン(0.44ml、3.2ミリモル)と三フッ化ホウ素エーテル錯体(0.4ml、3.2ミリモル)を添加し、24時間にわたって還流温度に加熱した。冷却した混合物に水を添加した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を1つにまとめ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。カラム・クロマトグラフィ(20%酢酸エチル/ヘプタン)により、Inv-3が得られる。このサンプルを減圧下にて窒素流のもとで260℃にて昇華させた。
【0131】
最大発光と輝度効率の例
【0132】
本発明による一連の上記発明例と以下の比較例に関し、発光スペクトルを取得した。
【0133】
【化24】

【0134】
発光スペクトルは、濃度が10-5〜10-6Mの酢酸エチル溶液の中で室温にて取得し、単位波長間隔当たりの単位時間当たりの量子の数を波長の関数として表現した。発光させる方法は、当業者には周知である(例えばC.A. ParkerとW.T. Rees、Analyst、第85巻、587ページ、1960年を参照のこと)。発光スペクトルの最大は、このスペクトルの最高点に対応する波長として定義する。結果を以下の表に示してある。
【0135】
【表1】

【0136】
上記の表から、比較用化合物であるComp-1とComp-2は、望ましい青緑色の発光波長を持つが、量子収率からわかるように効率は他の化合物よりも低いことがわかる。Comp-3を用いると高効率になるが、520nmという発光波長はあまり望ましくない。しかし本発明の化合物は、高効率で、しかも望ましい青色または青緑色の発光波長を持つ。
例2
【0137】
サンプル1〜5のELデバイスの製造:発明例
【0138】
本発明の要求を満たすELデバイス(サンプル1)を以下のようにして構成した。
【0139】
1.アノードとしてインジウム-スズ酸化物(ITO)を85nmの厚さにコーティングしたガラス基板を、順番に、市販の洗剤の中で超音波処理し、脱イオン水の中でリンスし、トルエン蒸気の中で脱脂し、酸素プラズマに1分間にわたって曝露した。
【0140】
2.プラズマ支援CHF3堆積により、ITOの上にフルオロカーボン(CFx)からなる正孔注入層(HIL)を1nm堆積させた。
【0141】
3.次に、N,N'-ジ-1-ナフチル-N,N'-ジフェニル-4,4'-ジアミノビフェニル(NPB)からなる厚さが75nmの正孔輸送層(HTL)をタンタル・ボートから蒸着した。
【0142】
4.次に、正孔輸送層の上に、2-t-ブチル-9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)とInv-4(0.50質量%)からなる発光層(LEL)を20nm堆積させた。これらの材料もタンタル・ボートから蒸着した。
【0143】
5.次に、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(AlQ3)からなる35nmの電子輸送層(ETL)を発光層の上に堆積させた。この材料もタンタル・ボートから蒸着した。
【0144】
6.AlQ3層の上に、MgとAgの体積比が10:1になったカソードを220nm堆積させた。
【0145】
上記の一連の操作により、ELデバイスの堆積が完成した。次に、周囲環境から保護するため、このデバイスを乾燥グローブ・ボックスの中で密封した。
【0146】
Inv-4を組み込んだサンプル2、3、4のELデバイスをサンプル1と同じ方法で製造した。ただしInv-4は、表2に示したレベルで使用した。サンプル5をサンプル1と同じ方法で製造したが、Inv-4を含まない点が異なっている。このようにして形成したセルを、動作電流20mA/cm2にて、効率と色に関してテストした。その結果を、出力効率(W/A)、輝度収率(cd/A)、発光が最大になる波長(λmax)、国際照明委員会(CIE)の色度座標として表2に記してある。
【0147】
【表2】

【0148】
表2からわかるように、本発明のドーパントを組み込んだELデバイスは、どれをテストしても、ドーパントのない比較例のデバイスよりも効率が大きかった。
例3
【0149】
サンプル6〜9のELデバイスの製造:発明例
【0150】
サンプル6〜9のELデバイスをサンプル1と同じ方法で製造した。ただしInv-4の代わりにそれぞれInv-1、Inv-2、Inv-3、Inv-5を用いた。これらの材料をどのレベルで使用したかは表3に示してある。このようにして形成したセルを、動作電流20mA/cm2にて、効率と色に関してテストした。その結果を、出力効率(W/A)、輝度収率(cd/A)、発光が最大になる波長(λmax)、国際照明委員会(CIE)の色度座標として表3に記してある。
【0151】
【表3】

【0152】
表3からわかるように、ELデバイスは一連の色相を提供する。
【0153】
この明細書で言及した特許とそれ以外の刊行物の全内容は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。本発明を特にいくつかの好ましい実施態様を参照して詳しく説明してきたが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、さまざまな変形や変更をなしうることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明を利用できる典型的なOLEDデバイスの概略断面図である。
【符号の説明】
【0155】
101 基板
103 アノード
105 正孔注入層(HIL)
107 正孔輸送層(HTL)
109 発光層(LEL)
111 電子輸送層(ETL)
113 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素錯体を含む発光層を含んでなるエレクトロルミネッセンス・デバイスであって、該ホウ素が、6員複素芳香族環基の窒素原子と、5員複素芳香族環基の窒素原子とに結合しており、その5員複素芳香族環基と6員複素芳香族環基はさらにイミン基によって連結されており、該5員複素芳香族環基は、二価または三価の少なくとも1つの追加ヘテロ原子を含有することを特徴とする、エレクトロルミネッセンス・デバイス。
【請求項2】
上記追加ヘテロ原子が、N原子、O原子、S原子、Se原子又はTe原子である、請求項1に記載のホウ素錯体。
【請求項3】
上記追加ヘテロ原子が、O原子またはS原子である、請求項1に記載のホウ素錯体。
【請求項4】
上記5員環が追加の芳香族環基と縮合している、請求項1に記載のホウ素錯体。
【請求項5】
上記5員環が追加の芳香族環基と縮合していて、上記6員環が追加の芳香族環基と縮合している、請求項1に記載のホウ素錯体。
【請求項6】
上記ホウ素錯体が、一般式(1):
【化1】

で表わされる(ただし
Ar1は、6員の複素芳香族環基を形成するのに必要な原子群であり;
Ar2は、二価または三価の少なくとも1つの追加ヘテロ原子を含む5員の複素芳香族環基を形成するのに必要な原子群であり;
L1とL2は、独立に選択された置換基を表わす)、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
Ar1が、ピリジン環基を形成するのに必要な原子である、請求項6に記載のホウ素錯体。
【請求項8】
Ar2が、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基又はセレナゾール環基を形成するのに必要な原子群である、請求項6に記載のホウ素錯体。
【請求項9】
L1とL2がフルオロ置換基を表わす、請求項6に記載のホウ素錯体。
【請求項10】
上記ホウ素錯体が、一般式(2):
【化2】

で表わされる(ただし
Wは、O、S、Se、Te又はN-Raであり(ただしRaは置換基である);
V1とV2は、独立に、水素または独立に選択した置換基を表わし、ただしV1とV2が互いに結合して環基を形成することも可能であり;
Ar1は、6員の複素芳香族環基を形成するのに必要な原子群であり;
L1とL2は、独立に選択した置換基を表わす)、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
V1とV2が、独立に、アリール基またはアルキル基を表わす、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
V1とV2が互いに結合して芳香族環基を形成している、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
上記ホウ素錯体が、一般式(3):
【化3】

で表わされる(ただし
Wは、O、S、Se、Te又はN-Raであり(ただしRaは置換基である);
V3〜V10は、独立に、水素または独立に選択した置換基を表わし、ただし隣接する置換基が互いに結合して環基を形成することも可能であり;
L1とL2は、独立に選択した置換基を表わす)請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
WがSを表わす、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
L1とL2がフルオロ置換基を表わす、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
L1とL2がフルオロ置換基を表わしており、WがN-Raを表わす(ただしRaは置換基である)、請求項13に記載のデバイス。
【請求項17】
独立に、V3〜V6のうちの少なくとも2つが合わさって環基を形成し、V7〜V10のうちの少なくとも2つが合わさって環基を形成している、請求項13に記載のデバイス。
【請求項18】
上記発光層がホストとドーパントを含んでおり、該ドーパントの量が該ホストの10質量%以下である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
上記ホスト材料が一般式(4):
【化4】

で表わされる(ただし
W1〜W10は、独立に、水素または独立に選択した置換基を表わし、ただし隣接する2つの置換基が合わさって環基を形成することも可能である)、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
W9とW10が、独立に、ナフチル基を表わす、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
W9とW10が、ナフチル基とビフェニル基を表わす、請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
W9がビフェニル基を表わす、請求項19に記載のデバイス。
【請求項23】
上記ホウ素錯体が発光層の体積の0.5〜8%である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス・デバイスを含むディスプレイ。
【請求項25】
直接に、またはフィルタを用いて白色光が発生する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項26】
請求項1に記載のエレクトロルミネッセンス・デバイスを含むエリア照明デバイス。
【請求項27】
請求項1に記載のデバイスに電位を印加する操作を含む発光法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−528124(P2007−528124A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551420(P2006−551420)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/002412
【国際公開番号】WO2005/075599
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】