説明

エレベータのドア制御装置

【課題】ドアパネルに発生するドア駆動力を正確に求める。
【解決手段】エレベータのドア制御装置1において、ドア開閉の駆動源であるモータ3に印加する電流値を取得し、モータ3の駆動トルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性情報を用いてモータ3の駆動トルクを算出するトルク算出手段14と、トルク算出手段14により算出されたモータ3の駆動トルクからドアに発生するドア駆動力を算出する駆動力算出手段15と、モータ3の温度を検出する温度検出手段5,16と、温度検出手段5,16により検出されたモータ3の温度に応じてトルク−電流特性情報を補正する補正手段17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドアを制御するエレベータのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ装置は、乗客や荷物などが積載された乗りかごを巻上機により移動させ、乗客や荷物などを目的階まで搬送する装置である。このエレベータ装置には、乗りかごのドア(ドアパネル)などを制御するドア制御装置が設けられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ドア制御装置は、ドアの駆動源であるモータに取り付けられたパルスエンコーダによるフィードバック制御により所定の開閉パターンに応じてモータを制御し、ドアの開閉速度を調整する。また、ドア制御装置は、モータのトルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性を用いてモータに印加する電流値からドアパネルに発生するドア駆動力を算出する。このドア駆動力は、ドアへの挟まれや引き込まれを検出する過負荷検出や、加速時の駆動力と開閉時の加減速度からドア重量(ドアパネルの重量)を求めるドア重量推定などに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−302367号公報
【特許文献2】特開2000−159461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のモータの周囲温度や内部温度が変化すると、それに応じてトルク−電流特性が変動する。例えば、温度が常温時に比べ高くなると、特性の関係を示す直線の傾きは常温時より小さくなり(トルク減少)、逆に、温度が常温時に比べ低くなると、その傾きは常温時より大きくなる(トルク増加)。また、モータの個体差や制御用のアナログ回路のバラツキなどによりトルク−電流特性が変動する場合もある。このようなトルク−電流特性の変動は、電流値からドア駆動力(ドアパネルの駆動力)を算出する機能に影響を与えるため、そのドア駆動力を正確に求めることが困難になってしまう。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドアパネルに発生するドア駆動力を正確に求めることができるエレベータのドア制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、エレベータのドア制御装置において、ドア開閉の駆動源であるモータに印加する電流値を取得し、モータの駆動トルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性情報を用いてモータの駆動トルクを算出するトルク算出手段と、トルク算出手段により算出されたモータの駆動トルクからドアに発生するドア駆動力を算出する駆動力算出手段と、モータの温度を検出する温度検出手段と、温度検出手段により検出されたモータの温度に応じてトルク−電流特性情報を補正する補正手段とを備えることである。
【0008】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、エレベータのドア制御装置において、ドア開閉の駆動源であるモータに印加する電流値を取得し、モータの駆動トルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性情報を用いてモータの駆動トルクを算出するトルク算出手段と、トルク算出手段により算出されたモータの駆動トルクからドアに発生するドア駆動力を算出する駆動力算出手段と、モータの理想トルクを算出する理想トルク算出手段と、理想トルク算出手段により算出された理想トルクとモータの駆動トルクとを比較して補正値を算出し、算出した補正値を用いてトルク−電流特性情報を補正する補正手段とを備えることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドアパネルに発生するドア駆動力を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すドア制御装置によるモータ温度に応じたトルク補正を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るエレベータのドア制御装置1は、エレベータのドア(ドアパネル)2を開閉するための駆動源であるモータ3を制御する制御装置である。モータ3には、パルスエンコーダ4及び温度センサ5が設けられている。
【0013】
このドア制御装置1は、開閉パターン出力部6、速度検出器7、減算器8、速度制御器9、減算器10、電流制御器11、電力変換器12、電流検出器13、トルク算出部14、ドア駆動力算出部15、温度算出部16及びトルク補正部17を備えている。
【0014】
開閉パターン出力部6は、ドア2を開閉するための所定の開閉パターンに基づいて速度指令(速度値)を出力する。また、速度検出器7は、パルスエンコーダ4の出力であるモータ回転角から実速度を算出して出力する。この実速度と速度指令の速度との速度偏差が減算器8により算出され、速度制御器9に出力される。このようにパルスエンコーダ4及び速度検出器7が用いられ、所定の開閉パターンに追従しドア2の開閉速度を制御する速度フィードバック制御系が構成されている。
【0015】
速度制御器9は、減算器8により出力された速度偏差に応じたトルク指令(ここでは電流値)を出力する。また、電流検出器13は、電力フィードバック制御用に電流を出力する。この電流とトルク指令の電流との電流偏差が減算器10により算出され、電流制御器11に出力される。
【0016】
電流制御器11は、減算器10から出力された電流偏差に基づき、モータ3への電力供給の制御を行う制御指令を出力する。また、電力変換器12は、電流制御器11から出力された制御指令に基づいてモータ3に電力を供給する。
【0017】
トルク算出部14は、速度制御器9により出力されたトルク指令の電流値を取得し、モータ3の駆動トルクと電流(印加電流)との相関関係を示すトルク−電流特性(特性情報)を用いて、モータ3の駆動トルクを算出する。特性情報は予めトルク算出部14により記憶されている。このトルク算出部14がトルク算出手段として機能する。
【0018】
ドア駆動力算出部15は、トルク算出部14により算出されたモータ3の駆動トルクからドア2に発生するドア駆動力を算出する。このドア駆動力は、ドア2への挟まれや引き込まれを検出する過負荷検出や、加速時の駆動力と開閉時の加減速度からドア2の重量(ドアパネル重量)を求めるドア重量推定などを行う際に用いられる。このドア駆動力算出部15が駆動力算出手段として機能する。
【0019】
温度算出部16は、温度センサ5により出力された電気信号からモータ3の温度を算出してトルク補正部17に出力する。なお、温度センサ5はモータ3の温度を電気信号として出力するセンサである。この温度算出部16が温度センサ5と共に温度検出手段として機能する。
【0020】
トルク補正部17は、温度算出部16から出力されたモータ3の温度に応じて、トルク算出部14により記憶されているトルク−電流特性(特性情報)を補正する。このトルク補正部17が補正手段として機能する。
【0021】
通常、トルク−電流特性の特性情報は、図2に示すように、モータ3に印加する電流(印加電流)の増加と共にトルクが増加するような特性を示す情報である。このトルク−電流特性は非飽和範囲において直線であり、モータ3の温度変化によりその傾きが変化する。この特性を用いてモータ3の温度に応じたトルク−電流特性がトルク補正部17により求められる。
【0022】
例えば、モータ3の常温範囲を所定の温度範囲に設定しておき、モータ3の温度がその所定の温度範囲内である場合には、常温のトルク−電流特性(図2中の実線)をトルク算出に用いる。モータ3の温度がその所定の温度範囲の最小値より小さくなった場合には、低温用の補正値を用いて常温のトルク−電流特性を低温のトルク−電流特性(図2中の一点鎖線)に補正してトルク算出に用いる。一方、モータ3の温度が所定の温度範囲より大きくなった場合には、高温用の補正値を用いて常温のトルク−電流特性を高温のトルク−電流特性(図2中の二点鎖線)に補正してトルク算出に用いる。
【0023】
このように、モータ3の温度を監視し、モータ3の温度に応じてトルク−電流特性を補正することによって、モータ3の温度変化に対して影響が少ないドア駆動力算出を実現することができる。すなわち、トルク−電流特性に温度依存性があることに着目し、温度算出部16により算出されたモータ3の温度に基づいてトルク−電流特性を補正することから、モータ3の温度が変化しても適正な駆動トルクが求められ、その駆動トルクを用いてドア駆動力が算出されるので、適正なドア駆動力を精度良く得ることができる。
【0024】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、モータ3の温度を検出し、検出したモータ3の温度に応じて、トルク−電流特性情報を補正することによって、モータ3の温度変化に対応して適正なトルク−電流特性情報が得られ、その特性情報がドアパネルに発生するドア駆動力の算出に用いられるので、ドア駆動力を正確に求めることができる。
【0025】
また、温度検出手段として、モータ3に設けられ温度を電気信号として出力する温度センサ5と、その温度センサ5により出力された電気信号からモータの温度を算出する温度算出部16とを用いることによって、モータ3の温度を正確に得ることができ、さらに、装置構成を簡略化することができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図3を参照して説明する。
【0027】
本発明の第2の実施の形態は第1の実施の形態と基本的に同じである。したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について説明し、第2の実施の形態で説明した部分と同じ部分の説明を省略する(なお、以降に示す第3及び第4の実施の形態も同様に説明を省略する)。
【0028】
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態の温度センサ5及び温度算出部16に替えて、温度検出手段として、抵抗値算出部21及び温度算出部22が設けられている。
【0029】
抵抗値算出部21は、電流検出器13により検出されたモータ電流Iと、電力変換器12により出力されたモータ電圧Vとから、モータ3の抵抗値を算出する。ここで、電力変換器12に供給される電源電圧が一定である場合には、モータ電圧Vは電流制御器11の電圧指令出力と等しくなるため、電流制御器11の出力をモータ電圧Vとしている。なお、モータ電圧Vとしては、電圧検出器などを設け、その電圧検出器により得られる実電圧を用いるようにしてもよい。
【0030】
ここで、ドア2が開端あるいは閉端で停止している場合には、駆動用のモータ3も停止しているため、モータ3の回転によって生じる誘起電力はゼロである。したがって、モータ電圧Vとモータ電流Iには、モータ抵抗値をRとすると、V=R×Iの関係式が成り立つ。この関係式からモータ3の抵抗値(内部抵抗値)が求められる。
【0031】
温度算出部22は、モータ3の抵抗値と温度との相関関係を示す抵抗値−温度特性(特性情報)を用いて、抵抗値算出部21により算出されたモータ3の抵抗値からモータ3の温度を算出する。標準的な抵抗−温度特性の特性情報は予め温度算出部22により記憶されている。
【0032】
ここで、一般的に温度Tにおけるモータ抵抗値R(T)は、R(T)=R(25)×(1+α(T−25))と表される。なお、R(25)は25℃時の抵抗値であり、αは巻線材質によって決まる温度係数である。温度算出部22は、上記の式を用いてモータ3の抵抗値からそのモータ3の温度を算出する。算出されたモータ3の温度はトルク補正部17に入力され、モータ3の温度に応じた適正なトルク−電流特性がトルク補正部17により得られる。
【0033】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、温度検出手段として、ドア2が停止した状態(モータ3を拘束した場合)のモータ3の電圧及び電流からモータ3の抵抗値を算出する抵抗値算出部21と、抵抗値−温度特性情報を用いて、抵抗値算出部21により算出されたモータ3の抵抗値からモータ3の温度を算出する温度算出部22とを使用することによって、モータ3の温度を正確に得ることができ、さらに、装置構成を簡略化することができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図4を参照して説明する。
【0035】
図4に示すように、本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態の温度センサ5及び温度算出部16に替えて、理想トルク算出部31が設けられている。
【0036】
理想トルク算出部31は、開閉パターン出力部6から出力された開閉パターン(速度指令)とドア2の重量(ドアパネル重量)とから得られる加減速度により理想状態の加減速度トルク、すなわち理想トルクを求め、トルク補正部17に出力する。この理想トルク算出部31が理想トルク算出手段として機能する。
【0037】
ここで、ドア2の重量は設計図面や実測から得られる実重量であり、少なくとも1階床分のデータ(かごドア及び乗り場ドア)が設定されている。このドア2の重量は理想トルク算出部31あるいは他の記憶部に予め設定されている。また、ドアパネル重量M、加減速度A及びドア駆動力Fには、F=M×Aの関係式が成り立つ。理想トルク算出部31は、該当する階におけるドア重量と加減速度から理想トルクを求める。なお、ドア駆動力Fはモータトルクに比例する。
【0038】
また、理想トルクを求める際には、モータ3の温度を加味して理想トルクを求めるようにしてもよい。この場合には、第1の実施の形態のように温度センサ5及び温度算出部16を設け、算出したモータ3の温度を理想トルク算出部31に入力する。理想トルク算出部31はそのモータ3の温度に応じて理想トルクを補正しつつ算出する。
【0039】
トルク補正部17は、理想トルク算出部31から出力された理想トルクと速度制御器9により出力されたトルク指令(指令トルク)とを比較して補正値を算出し、その補正値を用いてトルク算出部14により記憶されているトルク−電流特性(特性情報)を補正する。なお、速度制御器9から得られる駆動トルクである指令トルク以外にも、モータ電流検出値から得られる駆動トルクである実トルクが理想トルクとの比較に用いられてもよい。このトルク補正部17が補正手段として機能する。
【0040】
例えば、理想トルクをTrとし、指令トルクをTfとすると、補正値はTr/Tfの比で求められる。この補正値がトルク算出部14に入力され、その補正値に基づいてトルク−電流特性(特性情報)が補正され、適正なトルク−電流特性が得られる。
【0041】
このように、理想トルクと指令トルクとを比較して補正値を取得し、その補正値に基づいてトルク−電流特性を補正することによって、モータ3の個体差やアナログ回路のバラツキなどに対して影響が少ないドア駆動力算出を実現することができる。すなわち、モータ3の個体差やアナログ回路のバラツキによりトルク−電流特性が変動することに着目し、ドアの実重量から得られた理想トルクと指令トルクとの比較に基づいてトルク−電流特性を補正することから、モータ3の個体差やアナログ回路のバラツキによりトルク−電流特性が変動しても適正な駆動トルクが求められ、その駆動トルクを用いてドア駆動力が算出されるので、適正なドア駆動力を精度良く得ることができる。
【0042】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、モータ3の理想トルクを算出し、算出した理想トルクとモータ3の駆動トルク(指令トルクあるいは実トルク)とを比較して補正値を算出し、算出した補正値を用いてトルク−電流特性情報を補正することによって、モータ3の個体差やアナログ回路のバラツキなどに対応して適正なトルク−電流特性情報が得られ、その特性情報がドアパネルに発生するドア駆動力の算出に用いられるので、ドア駆動力を正確に求めることができる。
【0043】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について図5を参照して説明する。
【0044】
図5に示すように、本発明の第4の実施の形態では、第1の実施の形態の構成に加え、トルク補正異常判定部41が設けられている。
【0045】
トルク補正異常判定部41は、トルク補正部17から出力された補正値に対してしきい値を設けておき、その補正値がしきい値を超えた場合、温度検出に使用する温度センサ5の異常を判断する。
【0046】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、トルク補正異常判定部41を設けることによって、温度センサ5の異常を監視することができ、その結果、装置信頼性を向上させることができる。
【0047】
なお、前述のトルク補正異常判定部41を本発明の第2の実施の形態に適用した場合には、トルク補正異常判定部41は、温度検出に使用する電流検出器13の異常を判断する。これにより、電流検出器13の異常も監視することができ、その結果、装置信頼性を向上させることができる。
【0048】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態について図6を参照して説明する。
【0049】
本発明の第5の実施の形態は第4の実施の形態と基本的に同じである。したがって、第5の実施の形態では、第4の実施の形態と異なる部分について説明し、第4の実施の形態で説明した部分と同じ部分の説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、本発明の第5の実施の形態では、第4の実施の形態の構成に加え、異常情報格納部51及び異常情報出力部52が設けられている。なお、前述のトルク補正異常判定部41は、温度検出に使用する温度センサ5の異常を判断すると、異常に関する異常情報を出力する。
【0051】
異常情報格納部51は、トルク補正異常判定部41から出力された異常情報を格納して記憶する。また、異常情報出力部52は、トルク補正異常判定部41から出力された異常情報を受けて、エレベータ主制御装置1aに異常情報を出力する。これに応じて、エレベータ主制御装置1aは情報管理センターに異常発生を通知したり、あるいは、異常ランプの点灯や異常音の発報を行ったりする。
【0052】
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、異常情報出力部52を設けることによって、異常発生に応じて異常情報がエレベータ主制御装置1aに出力されるので、その異常に応じた処理、例えば異常発生の報知などの処理を行うことができる。
【0053】
また、異常情報格納部51を設けることによって、異常情報を保存することが可能になるので、エレベータ保守員が点検を行う場合など、その異常情報を表示してチェックすることが可能であり、保守点検作業の負担を軽減することができる。
【0054】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
また、エレベータのドア制御装置1を構成する機能部はハードウェアだけで実現されてもよく、あるいは、その一部がソフトウェアであるプログラムが実行されることによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 エレベータのドア制御装置
3 モータ
5 温度センサ
14 トルク算出部(トルク算出手段)
15 ドア駆動力算出部(駆動力算出手段)
16 温度算出部
17 トルク補正部(補正手段)
21 抵抗値算出部
22 温度算出部
31 理想トルク算出部(理想トルク算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開閉の駆動源であるモータに印加する電流値を取得し、前記モータの駆動トルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性情報を用いて前記モータの駆動トルクを算出するトルク算出手段と、
前記トルク算出手段により算出された前記モータの駆動トルクから前記ドアに発生するドア駆動力を算出する駆動力算出手段と、
前記モータの温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記モータの温度に応じて前記トルク−電流特性情報を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
前記温度検出手段は、
前記モータに設けられ、温度を電気信号として出力する温度センサと、
前記温度センサにより出力された前記電気信号から前記モータの温度を算出する温度算出部と、
を有していることを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
前記温度検出手段は、
前記ドアが停止した状態の前記モータの電圧及び電流から前記モータの抵抗値を算出する抵抗値算出部と、
前記モータの抵抗値と温度との相関関係を示す抵抗値−温度特性情報を用いて、前記抵抗値算出手段により算出された前記モータの抵抗値から前記モータの温度を算出する温度算出部と、
を有していることを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
ドア開閉の駆動源であるモータに印加する電流値を取得し、前記モータの駆動トルクと印加電流との相関関係を示すトルク−電流特性情報を用いて前記モータの駆動トルクを算出するトルク算出手段と、
前記トルク算出手段により算出された前記モータの駆動トルクから前記ドアに発生するドア駆動力を算出する駆動力算出手段と、
前記モータの理想トルクを算出する理想トルク算出手段と、
前記理想トルク算出手段により算出された理想トルクと前記モータの駆動トルクとを比較して補正値を算出し、算出した補正値を用いて前記トルク−電流特性情報を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのドア制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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