説明

エレベータのドア安全装置用センサ

【課題】ドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押された場合でも、乗客や物品との接触を確実に検出できるエレベータのドア安全装置用センサを提供する。
【解決手段】ドアの開き方向および乗客が出入りする方向に弾性変形自在なドアの閉じ方向の先端部分に装着される弾性変形部材10と、弾性変形部材10の変形を検出する変形検出手段20,30,40とを備える。これらの柱状体が筒状部材と共に変位してその接触部分に隙間が生じると電線24,25間の電気回路が遮断され、乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのドア安全装置用センサに関し、より詳しくは、乗りかごに出入りする乗客の身体や物品に接触するとドア開き方向および出入り方向に容易に弾性変形して乗客等との接触を検出するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータのドアには安全装置が設けられており、ドアを閉じるときに乗客の身体や物品を挟み込むことがないようになっている(下記特許文献1,2を参照)。
【0003】
例えば、図12に示したドア安全装置においては、かご側ドア1a,1bにセフティシュー2が並設されており、ドア閉時にセフティシュー2が乗客の身体等に接触して押し戻されると、かご側ドア1a,1bおよびホールドア3a,3bを直ちに開き方向に反転動作させるようになっている。
【0004】
また、ホールドア3a,3bに並設されている左右一対の三方柱4L,4Rには、複数の発光器5および受光器6が上下方向に間隔を開けてそれぞれ埋設されており、上下方向に間隔を開けつつ左右方向に水平に延びる複数の光軸7を形成している。
そして、乗場ホールの乗客等がホールドア3a,3bに接近してこれらの光軸7のいずれかを遮断すると、かご側ドア1a,1bおよびホールドア3a,3bを直ちに開き方向に反転動作させるようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−48452号公報
【特許文献2】特開2005−280900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図12に示したドア安全装置においては、セフティシュー2をかご側ドア1aに対してドア開閉方向に相対変位自在に支持するための機械的な構造を必要とし、重量および製造コストを増加させる要因となっている。
また、このセフティシュー2は、エレベータの乗客が乗りかごに出入りする方向に押された場合にはドア開閉方向に変位しないため、閉じかけているドアを開き方向に反転動作させることができない。
【0007】
さらに、図12に示した発光器5および受光器6は、それらの向きを正確に調整する必要があるばかりでなく、埃等が付着して作動不能とならないように保守する必要もある。
また、上下方向に間隔を開けて水平に延びる光軸7の間の空間においては乗客等を検出することができないため、閉じかけているドアを開き方向に反転動作させることができない。
【0008】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、重量や製造および保守のコストを低減させることができるともに、乗りかごに出入りする乗客や物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押された場合でも、乗客や物品との接触を確実に検出できるエレベータのドア安全装置用センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための請求項1に記載した手段は、
エレベータの乗りかごに出入りする乗客や物品とエレベータのドアとの接触を検出するセンサであって、
前記ドアの開閉方向および乗客が出入りする方向に弾性変形自在な、前記ドアの閉じ方向の先端部分に装着される弾性変形部材と、
前記弾性変形部材の変形を検出する変形検出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、エレベータの乗りかごに出入りする乗客の身体や物品に接触して弾性変形部材が変形すると、変形検出手段が弾性変形部材の変形を検出し、それによってエレベータのドアと乗客の身体や物品との接触を検出する構造である。
これにより、従来のドア安全装置におけるセフティシューのように機械的な作動部分や支持構造等を必要とせず、また発光器/受光器のように調整や保守の作業を必要とせず、さらにドア開き方向および乗客が乗りかごに出入りする方向のいずれの方向に押された場合でも乗客や物品との接触を確実に検出することができる。
【0011】
また、請求項2に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、
前記弾性変形部材が、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段が、
前記筒状部材の内側に互いに接触するように挿入されるとともにその接触部分を介して隣接する相手側と電気回路を形成する少なくとも2本の柱状体を有し、
かつ前記筒状部材の弾性変形に伴って隣接する前記柱状体が離間して前記電気回路が断たれたことを検出することを特徴とする。
なお、筒状部材は、エレベータのドアが左右に開閉する場合にはドアの上端から下端へと上下方向に延びるように配設するとともに、エレベータのドアが上下に開閉する場合にはドアの左端から右端へと水平に延びるように配設することができる。
また、柱状部材は非導電性材料、例えば非導電性の樹脂材料から細長く成形し、筒状部材とほぼ同軸にその内部に並ぶように挿入することができる。
また、電気回路は、柱状体の表面の一部に導電性金属板を貼り付けたり、導電性金属のメッキを施したり、あるいは柱状体の内部に導電部材を埋設したりすることによって形成することができる。
また、柱状体をその断面形状が矩形となるように形成するとともに、その各側面に個別に電気回路を形成することができる。
さらに、多数の柱状体が互いに接触して電気回路が連続的に形成されるように、筒状部材が上下方向に延びる場合には最も上側にある柱状体の重量を増加させ、あるいは筒状部材が左右方向に水平に延びる場合には、これらの柱状体をコイルばね等の弾性手段によって付勢して互いに密着させることもできる。
【0012】
すなわち、請求項2に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、ドアの閉じ方向の先端部分に装着した筒状部材の内側に多数の柱状体が一直線上に並ぶように挿入し、これらの柱状体に設けた導電部分の接触によって筒状部材の内側に電気回路を形成する。
これにより、乗りかごに出入りする乗客や物品が筒状部材に接触して筒状部材を弾性変形させると、その変形部分の内側に収納されているいくつかの柱状体が筒状部材と共に変位してその導電部分に隙間が生じ、多数の柱状体によって形成されている電気回路が遮断される。
したがって、電気回路に流れていた電流が流れなくなったことを検出することにより、乗りかごに出入りする乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。
【0013】
また、請求項3に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、請求項2に記載したセンサにおける柱状体が、隣接する柱状体とその軸線回りに相対回転不能に係合する係合部を有していることを特徴とする。
この係合部は、例えば隣接する柱状体の一方に突設した四角錐状の凸部と、この凸部が遊嵌する他方の柱状体に凹設した四角錐状の凹部とから構成することができる。
また、凸部および凹部は、隣接する柱状体同士がその軸線の回りに相対回転しないように互いに係合可能な形状であれば良く、四角錐に代えて三角錐とすることもできるし、互いに遊嵌する複数の凸部と凹部とから形成することもできる。
さらに、各柱状体に設ける凸部および凹部は、隣接する柱状体同士の軸線回りの角度位置を位置決めし、隣接する柱状体の側面にそれぞれ設けられている導電部分が互いに接触するように形成される。
加えて、これらの凸部および凹部は、乗客や物品が接触して筒状部材が弾性変形したときに、その変形部分の内側に収納されているいくつかの柱状体同士が筒状部材と共に変位してその導電部分に隙間が生じることを妨げないように緩く嵌合することができる。
【0014】
すなわち、請求項3に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、各柱状体にそれぞれ設けた凸部と凹部との係合により、隣接する柱状体同士がその軸線回りに相対回転できないから、各柱状体の側面に設けられている導電部分がその軸線回りに位置ずれして電気回路が遮断されることを防止できる。
また、筒状部材の内側に多数の柱状体を挿入するときに、各柱状体にそれぞれ設けた凸部と凹部との係合によって各柱状体がその軸線回りに位置決めされるから、各柱状体の側面に設けられている導電部分を確実に接触させて電気回路を形成することができる。
【0015】
また、請求項4に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、
前記弾性変形部材が、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段が、
前記筒状部材の内側に間隔を開けて互いに対抗するように挿入されるとともに、前記筒状部材の弾性変形に伴って互いに接触して閉じた電気回路を形成する、少なくとも2つの導電部材を有し、
前記導電部材の接触によって電気回路が形成されたことを検出することを特徴とする。
【0016】
すなわち、請求項4に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、乗りかごに出入りする乗客や物品が筒状部材に接触して筒状部材を弾性変形させると、その変形部分の内側において少なくとも2つの導電部材のいずれかが互いに接触し、閉じた電気回路が形成される。
したがって、電気回路に電流が流れたことを検出することにより、乗りかごに出入りする乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。
【0017】
また、請求項5に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、
前記弾性変形部材が、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在であるとともにその内部に流体が密封された内部空間を有する筒状部材であり、
前記検出手段が、前記筒状部材の弾性変形に伴って密封されている内部空間の容積が減少してその内部の流体の圧力が上昇したことを検出するセンサであることを特徴とする。
筒状部材の内側に封入する流体は、空気や窒素ガス等の気体、水あるいは油等の液体を用いることができる。
【0018】
すなわち、請求項5に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、ドアの閉じ方向の先端部分に筒状部材を装着するとともに、この筒状部材の内部空間の両端を封止してその内部に流体を密封する。
これにより、乗りかごに出入りする乗客や物品が筒状部材に接触して筒状部材が弾性変形すると、密封されている内部空間の容積が減少し、その内部に封入されている流体の圧力が上昇する。
したがって、筒状部材の密封されている内部空間の圧力上昇を検出することにより、乗りかごに出入りする乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。
【0019】
また、請求項6に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、
前記弾性変形部材が、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在であるとともにその内部に空気を収容する内部空間を有した筒状部材であり、
前記検出手段は、前記筒状部材の弾性変形に伴ってその内部空間の容積が減少し、その内部に収容されている空気が前記内部空間の外側に溢出することを検出するセンサであることを特徴とする。
なお、上記センサは、通常時には互いに接触して電気回路を形成しているが、内部空間から溢出する空気の流れの圧力によって互いに離間してこの電気回路を遮断する一対の導電部材から構成することができる。
【0020】
すなわち、請求項6に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、ドアの閉じ方向の先端部分に筒状部材を装着するとともに、この筒状部材の内部空間の一端を封止してその内部に空気を収容しつつ、その他端に上記センサを設ける。
これにより、乗りかごに出入りする乗客や物品が筒状部材に接触して筒状部材が弾性変形すると、その内部空間の容積が減少し、その内部に収容されている空気がセンサを通って溢出する。
したがって、筒状部材の内部空間に収容されている空気の溢出を検出することにより、乗りかごに出入りする乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。
【0021】
また、請求項7に記載したエレベータのドア安全装置用センサは、
前記弾性変形部材が、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段が、前記筒状部材の内壁面に貼設された歪ゲージを有し、前記筒状部材の弾性変形に伴ってその内壁面に生じた歪の変化を検出することを特徴とする。
なお、筒状部材の内壁面に弾性変形自在な薄い金属板を貼設するとともに、この金属板の表面に歪みゲージを貼設することもできる。
また、筒状部材の長手方向の複数の箇所に、多数の歪ゲージを個別に貼設することもできる。
【0022】
すなわち、請求項7に記載したエレベータのドア安全装置用センサにおいては、乗りかごに出入りする乗客や物品が筒状部材に接触して筒状部材を弾性変形させると、筒状部材の内壁面に歪が生じるから、この歪の大きさを歪ゲージによって計測することにより、乗りかごに出入りする乗客や物品とドアとの接触を検出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、重量や製造保守のコストを低減させることができるともに、乗りかごに出入りする乗客および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押された場合でも乗客および物品との接触を確実に検出することができるドア安全装置用センサを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1〜図11を参照し、本発明に係るエレベータのドア安全装置用センサの各実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、前述した従来技術を含めて同一の部分には同一の符号を用いることにより重複する説明を省略するとともに、ドアが開く方向を「ドア開き方向」と言い、乗りかごに乗客や物品が出入りする方向を「出入り方向」と言う。
【0025】
第1実施形態
まず最初に図1〜図3を参照し、第1実施形態のドア安全装置用センサについて説明する。
【0026】
本第1実施形態のドア安全装置用センサ100は、例えばエレベータのホールドア3a,3bの閉じ方向の先端部分にそれぞれ取り付けられて、ホールドア3a,3bの上端部から下端部へと上下方向に延びる筒状部材10と、この筒状部材10の内部空間に挿入されて一列に並ぶことにより電気回路を形成する多数の柱状体20,30,40とを備えている。
【0027】
筒状部材10は、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、塩化ビニル等の柔軟な高分子材料から押出成形したものであり、断面形状が略正方形である内部空間11、断面形状が長方形の内部空間12、およびこれらの内部空間11,12を仕切る仕切壁13を有していて、ドア開き方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
また、内部空間11の4方の内壁面には、内部空間11の中央に向かって突出する凸部14a〜14dがそれぞれ突設され、各柱状体20,30,40が上下方向に一直線に並ぶように位置決めする役割を果たしている。
【0028】
柱状体20は、筒状部材10の内部空間11に挿入される多数の柱状体のうち最上部に配設されるものであって、電気絶縁性の樹脂材料から製造された断面形状が矩形の角材を所定の長さに切断してなる本体部分21を有している。
また、本体部分21の各側面のうち、ドア開閉方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板22,23がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
これらの帯板22,23は、その上端部22a,23aが折り曲げられて本体部分21の上面に密着し、その下端部22b,23bも折り曲げられて本体部分21の下面に密着している。
さらに、帯板22,23の上端部22a,23aには、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線24,25が半田付けされている。
【0029】
柱状体30は、最上部の柱状体20の下方に連続して配設されるものであり、電気絶縁性の樹脂材料から製造された断面形状が矩形の角材を所定の長さに切断してなる本体部分31を有している。
また、本体部分31の各側面のうち、ドア開閉方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板32,33がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
これらの帯板32,33は、その上端部32a,33aがそれぞれ折り曲げられて本体部分31の上面に密着し、その下端部22b,23bもそれぞれ折り曲げられて本体部分31の下面に密着している。
【0030】
柱状体40は、筒状部材10の内部空間11に挿入される多数の柱状体のうち最下部に配設されるものであって、電気絶縁性の樹脂材料から製造された断面形状が矩形の角材を所定の長さに切断してなる本体部分41を有している。
また、本体部分41の各側面のうち、ドア開閉方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板42,43がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
これらの帯板42,43は、その上端部42a,43aがそれぞれ折り曲げられて本体部分41の上面に密着している。
さらに、本体部分41の下面には、一対の帯板42,43を電気的に接続するための帯板44がドア閉じ方向に延びるように貼設されている。
【0031】
このように構成された各柱状体20,30,40は、図1(b)に示したとおり、最上部に柱状体20、中間部に多数の柱状体30、最下部に柱状体40が位置するように筒状部材10の内部空間11に挿入される。
すると、柱状体20の帯板22の下端部22bと最も上側にある柱状体30の帯板32の上端部32aとが接触し、柱状体30の帯板32の下端部32bとその下方にある柱状体30の帯板32の上端部32aとが接触し、最も下側にある柱状体30の帯板32の下端部32bとその下方にある柱状体40の帯板42の上端部42aとが接触する。
全く同様に、柱状体20の帯板23の下端部23bと最も上側の柱状体30の帯板33の上端部33aとが接触し、柱状体30の帯板33の下端部33bとその下方にある柱状体30の帯板33の上端部33aとが接触し、最も下側の柱状体30の帯板33の下端部33bとその下方にある柱状体40の帯板43の上端部43aとが接触する。
これにより、電線24から,帯板22,32,42,44,43,33,23,電線25に至る電気回路が形成される。
【0032】
したがって、図3(a)に示したように、各柱状体20,30,40が上下方向に積層されて互いに接触しており、かつ乗りかごに出入りする乗客や物品がこのセンサ100に接触していない状態においては、電線24,25間に電圧を負荷することにより電気回路に電流が流れ続けることになる。
【0033】
これに対して、図3(b)に示したように、乗りかごに出入りする乗客の身体や物品Bがセンサ100に接触すると、筒状部材10はドア開き方向に押されて弾性変形する。
これに伴い、筒状部材10に収納されている多数の柱状体20,30,40のうち、例えば筒状部材10が弾性変形した部分に収納されている柱状体30,30は、筒状部材10と共にドア開き方向に変位してその接触部分に隙間Sが生じる。
すると、上側の柱状体30の帯板33の下端部33bと下側の柱状体30の帯板33の上端部33aとが上下方向に離間し、電気的な接触が失われる。
したがって、多数の柱状体20,30,40によって形成されていた電気回路の一部が遮断されて電流が流れなくなるから、乗りかごに出入りする乗客や物品Bとこのセンサ100とが接触したことを確実に検出することができる。
【0034】
全く同様に、乗りかごに出入りする乗客の身体や物品Bがこのセンサ100を出入り方向に押すと、筒状部材10は出入り方向に弾性変形する。
これに伴い、筒状部材10に収納されている多数の柱状体20,30,40のうち、例えば筒状部材10が弾性変形した部分に収納されている柱状体30,30は、筒状部材10と共に出入り方向に変位してその接触部分に隙間が生じる。
すると、上側の柱状体30の帯板32,33の下端部32b,33bと下側の柱状体30の帯板32,33の上端部32a,33aとが上下方向に離間し、電気的な接触が失われる。
したがって、多数の柱状体20,30,40によって形成されていた電気回路の一部が遮断されて電流が流れなくなるから、乗りかごに出入りする乗客や物品Bとこのセンサ100とが接触したことを確実に検出することができる。
【0035】
そして、乗りかごに出入りする乗客の身体や物品Bがこのセンサ100から離れると、筒状部材10は元の形状へと弾性的に復元するから、多数の柱状体20,30,40によって形成されていた電気回路も元の状態に戻って再び電流が流れる。
【0036】
なお、筒状部材10の内部空間11に挿入されている各柱状体20,30,40が上下方向に接触して電気回路が復元することを確実なものとするために、最上部の柱状体20の本体部分21に錘を内蔵させ、その重量によって各柱状体20,30,40を上下方向に密着させることができる。
あるいは、内部空間11に挿入したコイルスプリング等のばねを用いて、最上部の柱状体20を下方に付勢し、若しくは最下部の柱状体40を上方に付勢することにより、各柱状体20,30,40を上下方向に密着させることができる。
【0037】
すなわち、本第1実施形態のドア安全装置用センサ100は、その構造が簡単であり、例えばエレベータのホールドア3a,3bの閉じ方向の先端部分に固定すれば良い。
これにより、従来のドア安全装置におけるセフティシューのように機械的な作動部分や支持構造等を設ける必要がなく、また発光器/受光器のように調整や保守の作業を必要としない。
さらに、乗りかごに出入りする乗客および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押されても、乗客および物品との接触を確実に検出することができる。
【0038】
変形例(1)
次に図4を参照し、上述した第1実施形態のセンサ100の変形例について説明する。
【0039】
この変形例のドア安全装置用センサ150においては、筒状部材10の内部空間11に挿入する柱状体50,60,70の構造が、前述した柱状体20,30,40とは異なっており、出入り方向に対向する一対の側面に導電金属製の帯板52,53,62,63,72,73がそれぞれ追加されている。
【0040】
具体的に説明すると、柱状体50の本体部分51の各側面のうち、出入り方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板52,53がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
そして、これらの帯板52,53は、その上端部52a,53aが折り曲げられて本体部分51の上面に密着し、その下端部52b,53bも折り曲げられて本体部分51の下面に密着している。
さらに、帯板52,53の上端部52a,53aには、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線54,55が半田付けされている。
【0041】
柱状体60の本体部分61の各側面のうち、出入り方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板62,63がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
そして、これらの帯板62,63は、その上端部62a,63aがそれぞれ折り曲げられて本体部分61の上面に密着し、その下端部62b,63bもそれぞれ折り曲げられて本体部分61の下面に密着している。
【0042】
柱状体70の本体部分71の各側面のうち、出入り方向に対向する一対の側面には、導電金属製の薄い帯板72,73がそれぞれ上下方向に延びるように貼設されている。
そして、これらの帯板72,73は、その上端部72a,73aがそれぞれ折り曲げられて本体部分71の上面に密着し、その下端部72b,73bもそれぞれ折り曲げられて本体部分71の下面に密着している。
さらに、下端部72b,73bには、一対の帯板72,73を電気的に接続するための電線74の両端部がそれぞれ半田付けされている。
【0043】
このように構成された各柱状体50,60,70によれば、前述した第1実施形態の柱状体20,30,40と全く同様に、電線24から帯板22,32,42,44,43,33,23,電線25に至る電気回路が形成される。
さらに、電線54から帯板52,62,72,電線74,帯板73,63,53,電線55に至る電気回路もまた形成される。
【0044】
したがって、乗りかごに出入りする乗客の身体や物品がこのセンサ150を出入り方向に押すと、筒状部材10は出入り方向に弾性変形する。
これに伴い、筒状部材10に収納されている多数の柱状体50,60,70のうち、例えば筒状部材10が弾性変形した部分に収納されている柱状体60,60は、筒状部材10と共に出入り方向に変位してその接触部分に隙間が生じる。
すると、例えば上側の柱状体60の帯板33,62の下端部33b,62bと下側の柱状体60の帯板33,62の上端部33a,62aとが共に上下方向に離間し、電気的な接触がそれぞれ失われる。
したがって、多数の柱状体50,60,70によって形成されている2つの系統の電気回路がそれぞれ遮断されて電流が流れなくなるから、乗りかごに出入りする乗客や物品とこのセンサ150とが接触したことを確実に検出することができる。
【0045】
すなわち、本変形例のドア安全装置用センサ150においては、第1実施形態のドア安全装置用センサ100に対し、乗りかごに出入りする乗客および物品によって筒状部材10がドア開き方向および出入り方向に押されたことをより一層確実に検出することができる。
また、筒状部材10の内部に多数の柱状体50,60,70をそれぞれ挿入する際に、例えば一つの柱状体の上下方向に延びる軸線回りの向きが90度ずれても、2つの系統の電気回路を確実に形成することができる。
【0046】
変形例(2)
次に図5を参照し、図4に示したドア安全装置用センサ150のさらなる変形例について説明する。
【0047】
図5に示した変形例のセンサ160においては、多数の柱状体60の上面に正四角錘状の凸部66が突設され、その下面にはこの凸部67と遊嵌する正四角錐状の凹部67が凹設されている。
これにより、多数の柱状体60を上下に積層すると、係合凸部66および係合凹部67が互いに係合し、上側の柱状体60の各側面と下側の柱状体60の側面とがそれぞれ面一となるように、各柱状体60の軸線回りの角度位置を位置決めすることができる。
したがって、上側の柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63と、下側の柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63とをそれぞれ確実に接触させて、2つの系統の電気回路を確実に形成することができる。
【0048】
また、最も上側の柱状体50の下面に同一形状の四角錐状の凹部を凹設することにより、柱状体50と柱状体60を上下に積層したときに、柱状体50の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板22,23,52,53と、柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63とをそれぞれ確実に接触させることができる。
全く同様に、最も下側の柱状体70の上面に同一形状の四角錐状の凸部を突設することにより、柱状体60と柱状体70を上下に積層したときに、柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63と、柱状体70の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板42,43,72,73とをそれぞれ確実に接触させることができる。
【0049】
さらに、各柱状体50,60,70を筒状部材10の内部に挿入するときに、その軸線回りの角度位置が90度ずれても、各側面に貼設されている導電金属製の薄板同士を確実に接触させることができる。
したがって、多数の柱状体50,60,70の間に2つの系統の電気回路を確実に形成することができる。
【0050】
変形例(3)
次に図6を参照し、図4に示したドア安全装置用センサ150のさらなる変形例について説明する。
【0051】
図6に示した変形例のセンサ170においては、多数の柱状体60の上面の四隅に四角柱状の凸部68がそれぞれ突設されているとともに、その下面の四隅にはこれらの凸部68が遊嵌する四角柱状の凹部69がそれぞれ凹設されている。
この場合にも、上側の柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63と、下側の柱状体60の各側面に貼設されている導電金属製の薄い帯板32,33,62,63とをそれぞれ確実に接触させて、2つの系統の電気回路を確実に形成することができる。
【0052】
全く同様に、最も上側の柱状体50の下面の四隅に四角柱状の凹部をそれぞれ凹設するととともに、最も下側の柱状体70の上面の四隅に四角柱状の凸部をそれぞれ突設することにより、多数の柱状体50,60,70の間に2つの系統の電気回路を確実に形成することができる。
【0053】
第2実施形態
次に図7を参照し、第2実施形態のドア安全装置用センサについて説明する。
【0054】
本第2実施形態のドア安全装置用センサ200は、例えばエレベータのホールドア3a,3bの閉じ方向の先端部分にそれぞれ取り付けられて、ホールドア3a,3bの上端部から下端部へと上下方向に延びる筒状部材80と、この筒状部材80の内部空間に挿入されて互いに対向する一対の導電板84,85とを備えている。
【0055】
筒状部材80は、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、塩化ビニル等の柔軟な高分子材料から押出成形したものであり、断面形状が略正方形である内部空間81、断面形状が長方形の内部空間82、およびこれらの内部空間81,82を仕切る仕切壁83を有していて、ドア閉じ方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
【0056】
一対の導電板84,85は、導電性の薄くて細長い金属板を断面形状C字形に湾曲成形したもので、内部空間81の内壁面に貼設したときに、それらの両端部間に隙間S1,S2が開くようになっている。
このとき、一対の隙間S1,S2は、図7(b)中に矢印Aで示したドア開き方向、および矢印Bで示した出入り方向に対し、平面視で45度をなす角度位置に配置される。
また、一対の導電板84,85の上端部には、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線86,87がそれぞれ半田付けされている。
【0057】
これにより、筒状部材80が乗客の身体および物品によってドア開き方向(矢印A)および出入り方向(矢印B)のいずれの方向に押されても、筒状部材80の弾性変形に伴って一対の導電板84,85の端部同士が接触するから、電線86,87を介して導電板84,85同士の接触、したがって乗客の身体若しくは物品とこのセンサ200との接触を確実に検出することができる。
【0058】
次に図8を参照し、第2実施形態のセンサ200の変形例について説明する。
【0059】
変形例(1)
図8(a)に示した変形例のドア安全装置用センサ250における筒状部材90は、断面形状が円形の内部空間91、断面形状が長方形の内部空間92、およびこれらの内部空間91,92を仕切る仕切壁93を有していて、ドア閉じ方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
また、内部空間91の内壁面には、次述する3枚の導電板を支持する突出部94a,94b,94cが平面視で120度ずつの間隔を開けて延びるように突設されている。
なお、突出部94aは、ドア開き方向に延びるように配設することが好ましい。
【0060】
3枚の導電板95,96,97は、導電性の薄くて細長い金属板を断面形状略C字形に湾曲成形したもので、内部空間91の内側において互いに所定の間隔を開けて対向するようになっている。
また、これらの導電板95,96,97の上端部には、図示されないドア開閉制御装置へと延びる電線がそれぞれ半田付けされている。
【0061】
これにより、筒状部材90が乗客の身体および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押されても、筒状部材90の弾性変形に伴って、3枚の導電板95,96,97のうち少なくともいずれか2枚が接触するから、これらの導電板に接続されている電線介して導電板同士の接触、したがって乗客の身体若しくは物品とこのセンサ250との接触を確実に検出することができる。
【0062】
変形例(2)
図8(b)に示した変形例のドア安全装置用センサ260における筒状部材95は、断面形状が円形の内部空間101、断面形状が長方形の内部空間102、およびこれらの内部空間101,102を仕切る仕切壁103を有していて、ドア閉じ方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
また、内部空間91の内壁面には、4枚の導電板を支持する突出部104a,104b,104c,104dが平面視で90度ずつ間隔を開けて延びるように突設されている。
なお、これらの突出部は、突出部104a,104cがドア開き方向に、かつ突出部104b,104dが出入り方向に延びるように配設することが好ましい。
【0063】
4枚の導電板105,106,107,108は、導電性の薄くて細長い金属板を断面形状L字形に屈曲成形したもので、内部空間101の内側において互いに所定の間隔を開けて対向するようになっている。
また、これらの導電板105,106,107,108の上端部には、図示されないドア開閉制御装置へと延びる電線がそれぞれ半田付けされている。
【0064】
これにより、筒状部材95が乗客の身体および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押されても、筒状部材95の弾性変形に伴って、4枚の導電板105,106,107,108のうち少なくともいずれか2枚が接触するから、これらの導電板に接続されている電線介して導電板同士の接触、したがって乗客の身体若しくは物品とこのセンサ260との接触を確実に検出することができる。
【0065】
第3実施形態
次に図9を参照し、第3実施形態のドア安全装置用センサについて説明する。
【0066】
本第3実施形態のドア安全装置用センサ300は、例えばエレベータのホールドア3a,3bの閉じ方向の先端部分にそれぞれ取り付けられて、ホールドア3a,3bの上端部から下端部へと上下方向に延びる筒状部材110と、この筒状部材110の内部空間に封入された空気の圧力変化を検出する圧力センサ115とを備えている。
【0067】
筒状部材110は、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、塩化ビニル等の柔軟な高分子材料から押出成形したものであり、断面形状が略正方形である内部空間111、断面形状が長方形の内部空間112、およびこれらの内部空間111,112を仕切る仕切壁113を有していて、ドア閉じ方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
また、内部空間111は、下端部に封止栓114が取り付けられ、かつその上端部に圧力センサ115が取り付けられて、その内部の空気が密封されている。
さらに、圧力センサ115には、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線116,117がそれぞれ設けられている。
【0068】
これにより、乗客の身体および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押されても、この筒状部材110は弾性変形してその内部空間111の容積が減少するから、内部空間111に密封されている空気の圧力が上昇する。
したがって、圧力センサ115を用いて内部空間111に密封されている空気の圧力上昇を検出することにより、乗客の身体若しくは物品とこのセンサ300との接触を確実に検出することができる。
【0069】
変形例
次に図10を参照し、第3実施形態のセンサ300の変形例について説明する。
【0070】
図10に示した変形例のセンサ350においては、筒状部材110の内部空間111の上端部に取り付けるセンサの構造が第3実施形態のそれとは異なっている。
具体的に説明すると、この溢出センサ120は、上下方向に所定の間隔を開けて互いに平行に延びる、電気絶縁材料製の一対の板状部材121,122を有している。
これらの板状部材121,122には、それぞれ貫通孔121a,122aが貫設されており、筒状部材110の内部空間111を外界に連通させている。
【0071】
また、下側の板状部材122の上面には、断面形状L字形の導電板123の底壁部分が密着している。
そして、この導電板123の縦壁部分は上側の板状部材121を貫通して上方に延び、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線124が半田付けされている。
なお、この導電板123の底壁部分には、上述した貫通孔122aと同軸で同径な貫通孔123aが貫設されており、筒状部材110の内部空間111と外界との連通を妨げないようになっている。
【0072】
また、導電板123の底壁部分の上面には、円板状の導電板125がコイルばね126によって付勢されて密着している。
そして、この導電板125の上面には、図示されないドア開閉制御装置に延びる電線127が半田付けされている。
これにより、電線124,第1の導電板123,第2の導電板125,電線127に至る電気回路が形成されている。
なお、この第2の導電板125には小径な通気孔が貫設されており、筒状部材110の内部空間111への外界からの空気の流入を可能としている。
【0073】
このような構造の溢出センサ120を備えた筒状部材110に乗客の身体および物品が接触し、ドア開き方向若しくは出入り方向に押されると、この筒状部材110は弾性変形してその内部空間111の容積が減少するから、内部空間111に収納されている空気はこの溢出センサ120に設けられている貫通孔122a,123a,121aを通って外界に溢出しようとする。
このとき、溢出しようとする空気Pの圧力により、第2の導電板125はコイルばね126の付勢力に抗して第1の導電板123の底壁部分から浮き上がるため、電線124,第1の導電板123,第2の導電板125,電線127に至る電気回路が遮断される。
したがって、この溢出センサ120によって形成されている電気回路の遮断を検出することにより、乗客の身体若しくは物品とこのセンサ350との接触を確実に検出することができる。
【0074】
なお、コイルばね126の付勢力を調整することにより、第2の導電板125が浮き上がるために必要な、内部空間111に収納されている空気の圧力上昇レベルを自在に設定することができる。
また、内部空間111に収納されている空気が外界に溢出し終えると、第2の導電板125が第1の導電板123の上面に密着して貫通孔123a,122aを塞いでしまう。
しかしながら、第2の導電板125には小径な貫通孔125aが貫設されているので、内部空間111の内側への空気の再流入を妨げることがない。
また、気温の上昇に伴って内部空間111に収納されている空気は膨張するが、第2の導電板125の貫通孔125aを介して外界に流出することができるので、内部空間111の内側の気圧と外界の気圧とは常に等しい。
したがって、気温の高低にかかわらず、乗客の身体若しくは物品とこのセンサ350との接触を確実に検出することができる。
【0075】
第4実施形態
次に図11を参照し、第4実施形態のドア安全装置用センサについて説明する。
【0076】
本第4実施形態のドア安全装置用センサ400は、例えばエレベータのホールドア3a,3bの閉じ方向の先端部分にそれぞれ取り付けられて、ホールドア3a,3bの上端部から下端部へと上下方向に延びる筒状部材110と、この筒状部材110の内壁面に貼着された歪ゲージとを備えている。
【0077】
筒状部材110は、例えばシリコンゴム、クロロプレンゴム、EPDMゴム、塩化ビニル等の柔軟な高分子材料から押出成形したものであり、断面形状が略正方形である内部空間111、断面形状が長方形の内部空間112、およびこれらの内部空間111,112を仕切る仕切壁113を有していて、ドア閉じ方向および出入り方向のいずれの方向にも容易に弾性変形できるようになっている。
【0078】
また、内部空間111の3つの内壁面には、この筒状部材110の壁面に生じる歪の変化を計測するための歪ゲージ131,132,133がそれぞれ貼着されている。
そして、これらの歪ゲージ131,132,133から延びる電線124は、図示されないドア開閉制御装置に接続されている。
【0079】
このセンサ400は、乗客の身体および物品によってドア開き方向および出入り方向のいずれの方向に押されても容易に弾性変形し、その内壁面に歪の変化が生じる。
したがって、内部空間111の内壁面に貼着されている3つの歪ゲージ131,132,133を用いて内壁面に生じる歪の変化を計測することにより、乗客の身体若しくは物品とこのセンサ400との接触を確実に検出することができる。
【0080】
なお、本第4実施形態においては、3つの歪ゲージ131,132,133を筒状部材110の内壁面に直接貼着しているが、筒状部材110の内壁面に薄くて弾性変形自在な金属板を貼着するとともに、この金属板の表面に歪ゲージを貼着する構造とすることもできる。
また、筒状部材110の内壁面に所定の間隔を開けて多数の歪ゲージを貼着する構造とすることもできる。
【0081】
以上、本発明に係るエレベータのドア安全装置用センサの各実施形態ついて詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態によって限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、いずれも筒状部材に2つの内部空間を貫設する構造としたが、筒状部材の断面形状は必要に応じて適切に変更することができる。
また、筒状部材はドアの一端から他端まで連続して延びるものには限定されず、長さの短い複数の筒状部材を組み合わせて用いることもできる。
また、左右方向に開閉する片開きドアを例にとって説明したが、左右方向に開閉する両開きドアに本発明を適用できることはもちろんのこと、上下方向に開閉するドアにも本発明を適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1実施形態のドア安全装置用センサを示す(a)取付図、(b)斜視図、および(c)水平断面図。
【図2】図1に示した柱状体を示す斜視図。
【図3】図1にセンサの作動を模式的に示す側面図。
【図4】図1に示した柱状体の変形例を示す斜視図。
【図5】図4に示した柱状体の変形例を示す斜視図。
【図6】図4に示した柱状体の変形例を示す斜視図。
【図7】第2実施形態のドア安全装置用センサを示す(a)斜視図、(b)水平断面図。
【図8】第2実施形態のドア安全装置用センサの2つの変形例を示す水平断面図。
【図9】第3実施形態のドア安全装置用センサを示す斜視図。
【図10】第3実施形態のドア安全装置用センサの変形例を示す縦断面図。
【図11】第4実施形態のドア安全装置用センサを示す(a)斜視図、(b)水平断面図。
【図12】従来のドア安全装置を有したエレベータのドア部分を示す平面図。
【符号の説明】
【0083】
1a,1b かご側ドア
2 セフティシュー
3a,3b ホールドア
5 発光器
6 受光器
7 光軸
10 筒状部材(弾性変形部材)
20,30,40 柱状体
22,32,42 帯板
23,33,43 帯板
50,60,70 柱状体
52,62,72 帯板
53,63,73 帯板
80,90,95 筒状部材
84,85 導電板
95,96,97 導電板
100 第1実施形態のセンサ
105,106,107,108 導電板
110 筒状部材
115 圧力センサ
120 溢出センサ
131,132,133 歪ゲージ
150 変形例(1)のセンサ
160 変形例(2)のセンサ
170 変形例(3)のセンサ
200 第2実施形態のセンサ
250 変形例(1)のセンサ
260 変形例(2)のセンサ
300 第3実施形態のセンサ
350 変形例のセンサ
400 第4実施形態のセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごに出入りする乗客や物品とエレベータのドアとの接触を検出するセンサであって、
前記ドアの開閉方向および乗客が出入りする方向に弾性変形自在な、前記ドアの閉じ方向の先端部分に装着される弾性変形部材と、
前記弾性変形部材の変形を検出する変形検出手段と、
を備えることを特徴とするエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項2】
前記弾性変形部材は柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段が、
前記筒状部材の内側に互いに接触するように挿入されるとともにその接触部分を介して隣接する相手側と電気回路を形成する少なくとも2本の柱状体を有し、
かつ前記筒状部材の弾性変形に伴って前記柱状体が離間して前記電気回路が断たれたことを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項3】
前記柱状体は、隣接する柱状体とその軸線回りに相対回転不能に係合する係合部を有していることを特徴とする請求項2に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項4】
前記弾性変形部材は柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段が、
前記筒状部材の内側に間隔を開けて互いに対抗するように挿入されるとともに、前記筒状部材の弾性変形に伴って互いに接触して閉じた電気回路を形成する、少なくとも2つの導電部材を有し、
前記導電部材の接触によって電気回路が形成されたことを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項5】
前記弾性変形部材は、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在であるとともにその内部に流体が密封された内部空間を有した筒状部材であり、
前記検出手段は、前記筒状部材の弾性変形に伴って密封されている内部空間の容積が減少し、その内部の流体の圧力が上昇したことを検出する圧力センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項6】
前記弾性変形部材は、柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在であるとともにその内部に空気を収容する内部空間を有した筒状部材であり、
前記検出手段は、前記筒状部材の弾性変形に伴ってその内部空間の容積が減少し、前記内部空間に収容されている空気が前記内部空間の外側に溢出することを検出するセンサであることを特徴とする請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。
【請求項7】
前記弾性変形部材は柔軟な高分子材料から製造されて弾性変形自在な筒状部材であり、
前記検出手段は、前記筒状部材の内壁面に貼設された歪ゲージを有し、前記筒状部材の弾性変形に伴ってその内壁面に生じた歪の変化を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載したエレベータのドア安全装置用センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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