説明

エレベータの乗場ドア離脱防止構造

本発明は、異常な衝撃や外力によるドアの離脱が防止されるよう、それぞれのドアの下部に離脱時に係止が発生する構造を有するドア離脱防止構造に関し、下部にシュー100がそれぞれ設けられた左・右側ドア(LD、RD)、及び前記シュー100が挿入されるレール溝210を有する敷居200を含み、前記左・右側ドア(LD、RD)の下段には断面が「┛」状に形成され垂直部と水平部を有する係止ブラケット21、22、23、24、25が設けられ、前記レール溝210の内側壁には前記係止ブラケット21、22、23、24、25の水平部の先端が挿入される係止溝212又は突出部215が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗場ドア離脱防止構造に関し、より詳しくは、閉鎖状態のドアの結合力を増強させ、外力により乗場ドアの開放、及びこれによる事故の発生を防止することができるようにした、エレベータの乗場ドア離脱防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗場ドアはエレベータのいずれの部分よりも人の直接的な接触が可能な場所に設けられており、乗客の悪戯及び異常な事故にさらされている。
【0003】
図1を参照しながら説明すれば、エレベータの乗場部に左・右側ドア(LD、RD)が設けられ、左・右側ドア(LD、RD)の上部は、それぞれ乗場ドア装置の連結板400に連結されている。さらに、左・右側ドア(LD、RD)の下部にはシュー100が形成され、前記シュー100が挿入され案内されるようにする敷居(sill)200が乗場の下部に設けられる。したがって、乗場ドア装置の駆動により、左・右側ドア(LD、RD)の開閉時に、連結板400の作動と、シュー100と敷居200のガイド作動とにより開閉動作がなされることになる。
【0004】
即ち、乗場ドア装置は、連結板400のそれぞれが乗場ドア装置内でワイヤ30などに連結され、一方のドア(LD)を移動させると、ワイヤ300を介して力が伝達された他方のドア(RD)が開放または閉鎖される構造であるか、またはそれぞれの連結板がそれぞれ駆動されて動作する構造である。閉鎖時に、ドアの上部は連結板400に固定され、連結板400がワイヤ300に連結されているが、これはドアの左右の動きに対してのみ互いに連動するだけであり、一方のドア(LD)の下段前面に衝撃を加えた場合に発生する押圧力と押上力に対し持ち堪える剛性または質量に関しては、他方のドア(RD)が何等の影響を与えることのできない構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、図2に示されているように、ドア(LD、RD)に不慮の事故により異常な衝撃が発生する場合(矢印表示)、衝撃を受けたドアが十分な剛性を持っていない場合は撓みが大きく発生し、下部のガイドの役割を果たすシュー100が敷居200の溝210から離脱するという問題点が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエレベータ乗場ドア離脱防止構造は、下部にシュー100がそれぞれ設けられた左・右側ドア(LD、RD)、及びシュー100が挿入されるレール溝210を有する敷居200を含み、左・右側ドア(LD、RD)の下段には断面が「┛」状に形成され垂直部と水平部を有する係止ブラケット21、22、23、24、25が設けられ、レール溝210の内側壁には係止ブラケット21、22、23、24、25の水平部の先端が挿入される係止溝212または突出部215が形成されている。
【0007】
本発明の目的は、下部にシューがそれぞれ設けられた左・右側ドアと、シューが案内される溝を有する敷居とを含むエレベータの乗場ドア離脱防止構造において、シューの下段を折り曲げて段部が形成され、敷居の溝の内側面には段部に対応されるスリットが形成されることにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異常な衝撃や外力によるドアの離脱を防止するよう、それぞれのドアの強度を補強するために発生する不要な費用を低減させ、このような異常な衝撃でたびたび発生する、ドアが離脱しながら使用者または居住者が昇降路へ墜落する事故を防止する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一般的なエレベータの構造を示す正面図である。
【図2】外力により撓まれたドアを示す側面図である。
【図3】本発明に係るエレベータの乗場ドア離脱防止構造の実施の形態1を示す正面図である。
【図4】図3の実施の形態1の挿入状態を示す側断面図である。
【図5】図3の実施の形態1の挿入状態を示す平面図である。
【図6】図3の実施の形態1の挿入後、係止状態を示す側断面図である。
【図7】図3の実施の形態1の挿入後、係止状態を示す平面図である。
【図8】実施の形態1を変形させた実施の形態2を示す正面図である。
【図9】実施の形態2に対する側断面図である。
【図10】実施の形態2に対する側断面図である。
【図11】実施の形態2の係止ブラケットを敷居に結合させる過程を段階別に示す図である。
【図12】実施の形態2の係止ブラケットを敷居に結合させる過程を段階別に示す図である。
【図13】実施の形態2の係止ブラケットを敷居に結合させる過程を段階別に示す図である。
【図14】本発明の実施の形態3を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態3の変形された実施の形態を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3の変形された実施の形態を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態4を示す側面図である。
【図19】本発明の実施の形態4を示す正面図である。
【図20】本発明の実施の形態5を示す側面図である。
【図21】本発明の実施の形態5を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態を図に基づき詳しく説明する。
【0011】
実施の形態1.
図3は、本発明に係るエレベータの乗場ドア離脱防止構造の実施の形態1を示す正面図であり、図4及び図5は、図3の実施の形態1の挿入状態を示す側断面図及び平面図であり、図6及び図7は、図3の実施の形態1の挿入後係止状態を示す側断面図及び平面図である。
【0012】
図3に示されているように、本発明の実施の形態1(A1)は、下部にシュー100がそれぞれ設けられた左・右側ドア(LD、RD)、及びシュー100が挿入されるレール溝210を有する敷居200を含み、左・右側ドア(LD、RD)の下段には断面が「┛」状に形成され垂直部と水平部を有する係止ブラケット21が設けられ、レール溝210の内側壁には係止ブラケット21の水平部の先端が挿入される係止溝212が形成されている。
【0013】
シュー100は、左・右側ドア(LD、RD)の下部に形成された略長方形の金属板であり、その下段には離脱を防止するための段部が形成されている。敷居200は、シュー100の下部段部が挿入されるレール溝210を有する一定の長さのガイド部材である。したがって、左・右側ドア(LD、RD)の開閉動作時にシュー100が敷居200のレール溝210に沿って移動する。係止ブラケット21は、左・右側ドア(LD、RD)の下段に取り付けられた所定の厚さを有する「┛」状の金属板材である。これに対応して、レール溝210の内側壁には係止ブラケット21の先端が挿入される係止溝212が形成されている。したがって、図5に示されているように、係止ブラケット21をレール溝210に挿入した後、図7のように時計方向に90°回転させると、図6に示されているように、係止ブラケット21の先端が係止溝212に挿入される。
【0014】
このとき、係止ブラケット21の垂直部は、図6に示されているように、シュー100の真中に位置するのが好ましく、このように位置すれば係止ブラケット21をレール溝210に挿入したあと90°回転させることにより、係止ブラケット21の先端を係止溝212に容易に挿入することができる。このように回転された状態で垂直部にボルト300を締結することにより、係止ブラケット21をドア(LD、RD)に固定させることができる。
【0015】
さらに図5を参照すれば、係止ブラケット21の水平部は、縦辺(a)の長さが横辺(b)の長さより長く形成されるのが好ましく、レール溝210の係止溝212までの長さ(c)は、縦辺(a)の長さより長く形成されるのが好ましい。これに伴い、各長さはc>a>bの順になるのが好ましい。
【0016】
一方、係止ブラケット21は、その先端が係止溝212に係止できるように、その断面が「┛」状以外にも、「┫」状、「┻」状、「╋」状のうち何れか1つの形状に形成することができる。
【0017】
実施の形態2.
図8は、実施の形態1を変形させた第2の実施の形態2を示す正面図であり、図9及び図10は実施の形態2を示す側断面図である。
【0018】
図8〜図10に示されているように、本発明の実施の形態2(A2)は、下部にシュー100がそれぞれ設けられた左・右側ドア(LD、RD)、及びシュー100が挿入されるレール溝210を有する敷居200を含み、左・右側ドア(LD、RD)の下段には断面が「┛」状に形成され垂直部と水平部を有する係止ブラケット22が設けられ、レール溝210の一側内壁には、係止ブラケット22の水平部の先端が挿入される係止溝212が形成され、係止ブラケット22の垂直部がレール溝210の他側内壁に隣接するように水平部が長く形成されている。
【0019】
図10は、実施の形態2(A2)のドアに衝撃が加えられドアが後に退けられる時の係止状態を示す側断面図である。
【0020】
図10に示されているように、ドアに衝撃が加えられドアが後に退けられると、係止ブラケット22が上方に拗じれて抜けながら水平部の先端がレール溝210の係止溝212に挿入されることにより係止状態が保持可能である。
【0021】
図11〜図13は、実施の形態2の係止ブラケット22を敷居200に結合させる過程を段階別に示す図である。
【0022】
図11に示されているように、レール溝210内に係止ブラケット22を傾けて挿入し、水平部の先端から挿入させる。
【0023】
図12に示されているように、レール溝210内で係止ブラケット22を徐々に垂直に立てて水平部の先端が係止溝212に挿入されるようにする。
【0024】
図13に示されているように、レール溝210内で係止ブラケット22を垂直に立てると、水平部の先端が係止溝212に完全に挿入される。このとき、垂直部はレール溝210の反対側の内側壁に殆ど隣接するように設けられる。
【0025】
実施の形態3.
図14及び図15は、本発明の実施の形態3を示す図である。
【0026】
図14及び図15に示されているように、本発明の実施の形態3(A3)の場合、レール溝210の内側壁に係止ブラケット23の水平部の先端が挿入される係止溝212が形成され、係止溝212の下部には異物が積もらないようにするため、ラウンド213又は傾斜213aが形成される。
【0027】
図16及び図17は、本発明の実施の形態3の変形された実施の形態を示す図である。
【0028】
図16及び図17に示されているように、本発明の実施の形態3の変形された実施の形態(A3−2)の場合、レール溝210の内側壁に係止ブラケット23の水平部の先端が挿入される係止溝212が形成され、係止溝212の内側にはラウンド213が形成され、係止溝212の下部から連続して下方に繋がる下部側壁2123、2123aは、係止溝212の上段側壁2122より内側にさらに奥深く引き込まれるように形成されている。
【0029】
したがって、係止溝212の内側に異物の積もる弊害が防止可能であり、レール溝210の下部により広い空間が形成され異物がより多く積もり得るので、エレベータ乗場ドアの離脱防止構造がより長く使用可能であり、シュー100と係止ブラケット23の間の干渉の発生を最少化することができる。
【0030】
実施の形態4.
図18及び図19は、本発明の実施の形態4を示す側面図及び正面図である。
【0031】
図18に示されているように、本発明の実施の形態4(A4)の場合、レール溝210の一側に係止ブラケット24の先端が係止され得るよう突出係止部215が形成される。
【0032】
突出係止部215は、ボルト、板材、ピン、棒、四角バーの中から択一されたものである。
【0033】
図18に示されているように、係止ブラケット24は「┓」状になるようにドアの中央側シュー216の緩衝部分を一部切り欠いて溝部2162を形成することにより、運行時に突出係止部215に係止しないようにした構造である。
【0034】
実施の形態5.
図20及び図21は、本発明の実施の形態5を示す側面図及び正面図である。
【0035】
図20及び図21に示されているように、本発明の実施の形態5(A5)は、係止ブラケット25とシュー216を一体形に製作したものである。
【0036】
したがって、ドアの中央部とドアの外側に適用して、実施の形態4(A4)と同一の係止機能を有しながらも、部品の個数を減少させて簡潔化させた構造である。
【0037】
たとえ、本発明が言及された好ましい各実施の形態と関連して説明されたが、発明の要旨と範囲から外れることなく多様な修正及び変形が可能なことは、当業者であれば容易に認識できるはずであり、このような変更及び修正は全て請求の範囲に属するのは自明である。
【符号の説明】
【0038】
LD 左側ドア、RD 右側ドア、21 第1ブラケット、22 第2ブラケット、100、216 シュー、200 敷居、210 レール溝、212 係止溝、215 突出係止部、2162 溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部にシューがそれぞれ設けられたドア、及び前記シューが挿入されるレール溝を有する敷居を含み、
前記ドアの下段には係止ブラケットが形成され、
前記レール溝の内側壁には前記係止ブラケットの先端が挿入される係止溝が形成されていることを特徴とするエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項2】
下部にシューがそれぞれ設けられたドア、及び前記シューが挿入されるレール溝を有する敷居を含み、
前記ドアの下段には係止ブラケットが形成され、
前記レール溝の一側には前記係止ブラケットの先端が係止されるようにボルト、板材、ピン、棒、四角バーの中から択一されたものである突出係止部が形成され、
前記シューの緩衝部分を一部切り欠いて溝部を形成することにより、運行時に前記突出係止部に係止されないようにしたことを特徴とするエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項3】
前記係止ブラケットの形状は、前記レール溝内に係止できるよう「┛」状、「┫」状、「┻」状、「╋」状の中から択一された形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項4】
前記シューと前記係止ブラケットとは一体に形成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項5】
前記レール溝の内側壁に孔を形成させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項6】
前記敷居の全体断面形状自体に孔又は突起、折曲部を形成させたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項7】
前記敷居の上、下部には段部を作るため、ボルト、板材、ピン、棒、四角バーの中から択一されたものを取り付けるか挟み込んで突出部が形成されたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項8】
前記係止溝には、異物が積もらないようにするためラウンド又は傾斜が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。
【請求項9】
前記係止溝の下部で連続して下方に繋がる下部側壁は、前記係止溝の上段側壁より内側にさらに奥深く引き込まれて形成されたことを特徴とする、請求項8に記載のエレベータの乗場ドア離脱防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−520737(P2011−520737A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511522(P2011−511522)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003108
【国際公開番号】WO2009/151271
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510273868)韓国三菱エレベータ株式会社 (8)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELEVATOR KOREA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】13−6,Yeouido−dong,Yeongdeungpo−gu,Seoul 150−870,Korea
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】