エレベータシャフト用基礎の構築方法及びこれに用いるPC基礎並びにレベル調整用梁材
【課題】掘削工事を最小限に止め、大部分の工事を安全な地上作業とし、高い寸法精度で工期を短縮、居住者の障害を最小限に止めるエレベータシャフト用基礎の構築方法を得る。
【解決手段】工場製作の鉄筋コンクリート製のPC基礎1を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する。所要位置に鋼管杭3を打設、設置場所を浅く掘削して先行掘地盤4を形成、鋼製矩形枠5を水平に配置、矩形枠の外周に先行コンクリート6を打設、PC基礎1を配置、矩形枠にガイド部材8を設置、PC基礎1の内側掘削により潜函、PC基礎の鉄骨柱頭2に梁材11を架設、油圧ジャッキ12を挿入、鉄骨柱頭11のレベルを設計値に合わせて位置決め、ガイド部材8を撤去、PC基礎1内の基礎底盤14上に鉄筋コンクリートを打設して耐圧盤15を形成、耐圧盤15の強度確保後、梁材11と油圧ジャッキ12を撤去、PC基礎周りを埋め戻して基礎が完成する。
【解決手段】工場製作の鉄筋コンクリート製のPC基礎1を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する。所要位置に鋼管杭3を打設、設置場所を浅く掘削して先行掘地盤4を形成、鋼製矩形枠5を水平に配置、矩形枠の外周に先行コンクリート6を打設、PC基礎1を配置、矩形枠にガイド部材8を設置、PC基礎1の内側掘削により潜函、PC基礎の鉄骨柱頭2に梁材11を架設、油圧ジャッキ12を挿入、鉄骨柱頭11のレベルを設計値に合わせて位置決め、ガイド部材8を撤去、PC基礎1内の基礎底盤14上に鉄筋コンクリートを打設して耐圧盤15を形成、耐圧盤15の強度確保後、梁材11と油圧ジャッキ12を撤去、PC基礎周りを埋め戻して基礎が完成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既存建物へ付設されるエレベータにおける昇降路建物、すなわちエレベータシャフトの基礎の構築方法と、これに用いられるPC基礎及びレベル調整用梁材に関する。
【背景技術】
【0002】
4〜5階建ての既存中低層集合住宅には、エレベータが設置されていないものがある。一方、高齢化が急速に進みつつある現代社会では、バリアフリー化に対する要求が大きく、既存の中低層住宅でもエレベータを設置することが強く望まれている。しかし、1,2階の居住者にとって、エレベータの設置は大きなメリットがなく、したがって、工事に伴う騒音や工事期間中の生活の障害が大きな苦痛に感じられ、また設置費用の居住者負担が求められることもあることから、工事の同意、承認が得にくく、また工事に対する苦情が生じやすいという問題点がある。
【0003】
そこで、従来より、既存の建物の外部階段室にエレベータを付設する工法が種々提案されている。いずれも、設置費用をできるだけ安く抑え、工事中の居住者の生活への負担を最小限にするために、工事期間を短縮することを目的としている。
【0004】
例えば、特許文献1には、外部エレベータの地下ピット部が、地面を掘削した根切り部に設置される構造において、地下ピット部を鉄骨フレームを一体的に組立ててなる鉄骨フレームピットとし、この鉄骨フレームピット部とエレベータ本体部の鉄骨架構とを一体に設けて、最上階部屋根から鉄骨フレームピット部までを工場製作の外部エレベータユニットとし、これを現場打ちコンクリートにより構築された基礎の上に、クレーン等で吊り上げて設置する外部エレベータの構築方法が記載されている。この方法では、エレベータシャフトのピット部が鉄骨構造でユニット化され、現場への運搬が容易となり、現場では、必要に応じて、このピット部に工場製作のプレキャスト板を張るだけで工事が終了するから、施工期間を従来に比べて短縮化できるという。しかし、この方法においても、基礎部分は、掘削部への現場打ちコンクリートで構成される。
【特許文献1】特開2004−244208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の工法においては、基礎部分が現場打ちコンクリートで施工されるため、以下のような問題点がある。(1)設置面積に対して、作業空間を含めより大面積の掘削工事を必要とする。(2)このため、大量の掘削土が発生しその処理に難渋する。(3)掘削壁面の養生の必要性がある。(4)環境の劣悪な地下での長時間の危険な作業を強いられる。(5)長期のコンクリート及び第三者に対する養生が必要である。(6)短期間で高い寸法精度を出すのが困難である。
したがって、この発明は、基礎部を工場生産によるプレキャストコンクリート(PC)化し、潜函工法により現場に埋設することにより、掘削工事を最小限に止め、大部分の工事を安全な地上作業とし、高い寸法精度を出しながら、工期を短縮して居住者の障害を最小限に止めることができるエレベータシャフト用基礎の構築方法及びこれに用いるPC基礎並びにレベル調整用装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この出願の発明においては、上記課題を解決するため、予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製の無底箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭を突出させたPC基礎を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する工法を採用する。その工法は、エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭を打設する工程と、設置場所の地盤をPC基礎の潜函面積よりも広く、かつ基礎底盤の形成位置より浅く掘削して先行掘地盤を形成する工程と、先行掘地盤上に、PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠を水平に配置する工程と、先行掘地盤上の矩形枠の外周に先行コンクリートを打設し、当該先行コンクリート上に基準レベル面を形成する工程と、矩形枠の内側に所定の間隔を置いて、先行掘地盤上に、PC基礎を配置する工程と、矩形枠の所要位置に、PC基礎を設計位置へ潜函させるための複数のガイド部材をPC基礎の四囲に転接するように固定する工程と、PC基礎の内側の地盤を基礎底盤となる位置まで掘削して、PC基礎を基準レベルまで潜函させる工程と、PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に、両端部がPC基礎の外側へ張り出すレベル調整用の梁材を架設する工程と、梁材と先行コンクリートの基準レベル面との間に、油圧ジャッキを挿入する工程と、油圧ジャッキを操作して、PC基礎の鉄骨柱頭のレベルを設計値に精度よく合わせて位置決めする工程と、PC基礎の位置決め完了後、矩形枠からガイド部材を撤去する工程と、所定位置に潜函されたPC基礎内の基礎底盤上に、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤を形成する工程と、耐圧盤の強度確保後、レベル調整用の梁材と油圧ジャッキを撤去する工程と、PC基礎周りを埋め戻す工程と、を含む。
【0007】
またこの出願の発明においては、上記工法を実施するためのレベル調整装置をPC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に架設される梁材と、この梁材と先行コンクリートの基準レベル面との間に介設される油圧ジャッキとで構成する。梁材には、PC基礎の外側へ張り出した両端部に、下端が油圧ジャッキに載るように垂直下方へ延出する束材を具備させ、また梁材の下面の所定位置に、H形鋼材からなる鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットを具備させる。ブラケットには、鉄骨柱頭のフランジに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を具備させ、鉄骨柱頭にボルト・ナットで接続可能に構成する。
【0008】
またこの出願の発明においては、上記工法を実施するためのPC基礎を鉄筋コンクリートで無底箱形に形成する。このPC基礎の上部の四隅には、エレベータシャフトの主柱材にボルト・ナットで接続可能なH形鋼材からなる鉄骨柱頭を突出させる。
【発明の効果】
【0009】
この出願の発明においては、以下のような効果を有する。(1)PC基礎を用いるので、基礎の寸法精度と品質を向上させることができる。(2)潜函工法の採用により狭小地での施工が可能となり、(3)掘削土の発生を従来に比して減少させることができると共に、(4)悪環境の地下作業を減少させることができ、(5)工期を大幅に短縮できる。(6)梁材と油圧ジャッキを用いたレベル調整方法の採用により、地上からの作業のみで、安全かつ容易に、レベル調整を行うことができ、(7)PC基礎の位置決めの精度を大幅に向上させることができる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の工法の施工過程を示す断面図、図2は同平面図、図3は本発明の工法に用いるPC基礎の斜視図、図4は本発明の工法の施工過程を示す一部の拡大断面図、図5は矩形枠とガイド部材の拡大断面図、図6乃至図13は本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【0011】
この発明においては、予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製のPC基礎1をエレベータシャフトの設置場所に潜函させることにより基礎を構築する。図3に示すように、PC基礎1は、無底の箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭2を突出させてなる。鉄骨柱頭2は、H形鋼材からなり、エレベータシャフト本体の主柱材にボルト・ナットで接続可能な接続部2aを有する。PC基礎1は、例えば、約2,200mm四方、高さ約1,800mm、重量約10t程度に構成され、下端縁部には、自重による潜函を容易にするため、鉄板で被覆された刃先が形成される。また、PC基礎1の内側下部には、後記耐圧盤15の鉄筋と接続するための接続金具(図示せず)が埋め込まれている。PC基礎1は、工場にて製作され、トラックで現場へ搬送される。
【0012】
基礎の構築工事は以下のように行われる。まず、図6に示すように、エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭3を打設する。次いで、設置場所の地盤をPC基礎の潜函面積よりもやや広く(例えば周囲に約300mmずつ)、かつ基礎底盤14(図10)を形成する深さ(例えば約2,000mm)より浅く(例えば約700mm)掘削し、養生パネル16で山留して、先行掘地盤4を形成する。また、この先行掘地盤4の外周側を例えば幅100mm、深さ100mm程度に掘削して溝4aを形成する。
【0013】
次いで、図7に示すように、先行掘地盤4上に、PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠5を水平に配置し、先行掘地盤4上の矩形枠5の外周に、先行コンクリート6を打設し、当該先行コンクリート6上に基準レベル面6aを形成する。先行コンクリート6の強度確保のために、例えば4週間程度の養生期間をおく。先行コンクリート6は、溝4a内において垂直断面が拡大されており、十分な水平方向の耐力を有する。
【0014】
ここで、図2,図5を参照して、矩形枠5の構造を説明する。矩形枠5は、互いに両端部においてボルト・ナットにより接続・分離可能に構成された4つの枠材5a,5b,5c,5dからなり、基礎施工現場において矩形枠に組み立てられる。各枠材5a,5b,5c,5dは、先行掘地盤4上に載置される接地片51と、PC基礎の外周に平行に所定の間隔を置いて対向するように配置される起立片52と、接地片51と平行に対向する上部片53とを具備する。先行コンクリート6を打設する工程において、矩形枠5が、先行コンクリート6の内側の型枠として使用され、上部片53が先行コンクリート6の基準レベル面6aと面一となる。各枠材5a,5b,5c,5dには、3カ所ずつガイド取付板7が固着される。ガイド取付板7は、上部片53の上面に溶着され、基準レベル面6aの上に載る位置に配置される。ガイド取付板7は、枠材の延長直交方向のボルト挿通用長孔7aを有する。
【0015】
施工方法に戻る。次いで、図8に示すように、矩形枠5のガイド取付板7上に、ボルト・ナット9でガイド部材8を取り付ける。図示の実施例(図5)において、ガイド部材8は、アングル鋼材からなる取付部材8aの起立片にキャスター8bを固着してなる。これと相前後して、PC基礎1をクレーンで吊り、図9に示すように、矩形枠5の内側の先行掘地盤4上にPC基礎1を配置する。この際、矩形枠5の内側とPC基礎1の外側面との間に所定の間隔(例えば約30mm)を置くよう位置調整する。このとき、長孔7aに対するボルト・ナット9の位置を変更することにより、ガイド部材8の位置を調整し、矩形枠5とPC基礎1との間に上記所定間隔が形成される位置において車輪がPC基礎1の外側面に接触するようにガイド部材8を固定する。
【0016】
次いで、図10に示すように、先行掘地盤4上に配置されたPC基礎1の内側の地盤を順次掘削して徐々にPC基礎1を自重で潜函させ、基準レベルまで潜函したところで基礎底盤14を形成する。潜函の過程でPC基礎1は傾くので、ガイド部材8が側面に接してこれを案内する。このとき、ガイド部材8を介して矩形枠5に水平方向の力が作用する。先行掘地盤4の溝4aにより垂直方向の断面積を拡大された先行コンクリート6が、この水平力に有効に対向する。
【0017】
次いで、図11に示すように、レベル調整装置10を用いてPC基礎を所定の設計位置に正確に位置決めする。
【0018】
レベル調整装置10について説明する。レベル調整装置10は、PC基礎の各一対の鉄骨柱頭2,2間に架設される梁材11と、この梁材11と先行コンクリートの基準レベル面6aとの間に挿入される油圧ジャッキ12とを具備する。図示の実施例において、梁材11は、PC基礎1の外側へ張り出した両端の下部に垂直下方へ延出するように固着された束材13を具備する。梁材11は、下面の所定位置に、鉄骨柱頭2を構成するH形鋼材のフランジの外側面に当接するブラケット11aを有する。このブラケット11aは、鉄骨柱頭2の接続部2aに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を有し、鉄骨柱頭2にボルト・ナットで接続可能に構成されている。
【0019】
施工方法に戻る。束材13の下端と先行コンクリート6の基準レベル面6aとの間に、油圧ジャッキ12を挿入し、油圧ジャッキ12を地上で操作して、PC基礎の鉄骨柱頭2のレベルを設計値に精度よく合わせるように位置決めする。PC基礎の位置決め完了後、矩形枠5からガイド部材8を撤去し、鋼管杭3の先端部を処理した後、PC基礎1内の基礎底盤14上に、図12に示すように、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤15を形成する。鉄筋は、PC基礎1に予め埋め込まれている接続金具と接続する。
【0020】
1週間程度養生して耐圧盤15の強度が確保された後、レベル調整用の梁材11、束材13、油圧ジャッキ12を撤去し、図13に示すように、PC基礎1の周りを埋め戻す。以上で基礎工事が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、例えば、4〜5階建ての既存の現住集合住宅に後付で設置されるエレベータ用の基礎の施工方法、これに用いるPC基礎、レベル調整装置として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の工法の施工過程を示す断面図である。
【図2】本発明の工法の施工過程を示す平面図である。
【図3】本発明の工法に用いるPC基礎の斜視図である。
【図4】本発明の工法の施工過程を示す一部の拡大断面図である。
【図5】矩形枠とガイド部材の拡大断面図である。
【図6】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図7】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図8】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図9】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図10】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図11】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図12】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図13】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 PC基礎
2 鉄骨柱頭
2a 接続部
3 鋼管杭
4 先行掘地盤
4a 溝
5 矩形枠
5a 枠材
5b 枠材
5c 枠材
5d 枠材
51 接地片
52 起立片
53 上部片
6 先行コンクリート
6a 基準レベル面
7 ガイド取付板
7a 長孔
8 ガイド部材
8a 起立片
8b キャスター
9 ボルト・ナット
10 レベル調整装置
11 レベル調整用梁材
11a ブラケット
12 油圧ジャッキ
13 束材
14 基礎底盤
15 耐圧盤
16 養生パネル
【技術分野】
【0001】
この発明は、既存建物へ付設されるエレベータにおける昇降路建物、すなわちエレベータシャフトの基礎の構築方法と、これに用いられるPC基礎及びレベル調整用梁材に関する。
【背景技術】
【0002】
4〜5階建ての既存中低層集合住宅には、エレベータが設置されていないものがある。一方、高齢化が急速に進みつつある現代社会では、バリアフリー化に対する要求が大きく、既存の中低層住宅でもエレベータを設置することが強く望まれている。しかし、1,2階の居住者にとって、エレベータの設置は大きなメリットがなく、したがって、工事に伴う騒音や工事期間中の生活の障害が大きな苦痛に感じられ、また設置費用の居住者負担が求められることもあることから、工事の同意、承認が得にくく、また工事に対する苦情が生じやすいという問題点がある。
【0003】
そこで、従来より、既存の建物の外部階段室にエレベータを付設する工法が種々提案されている。いずれも、設置費用をできるだけ安く抑え、工事中の居住者の生活への負担を最小限にするために、工事期間を短縮することを目的としている。
【0004】
例えば、特許文献1には、外部エレベータの地下ピット部が、地面を掘削した根切り部に設置される構造において、地下ピット部を鉄骨フレームを一体的に組立ててなる鉄骨フレームピットとし、この鉄骨フレームピット部とエレベータ本体部の鉄骨架構とを一体に設けて、最上階部屋根から鉄骨フレームピット部までを工場製作の外部エレベータユニットとし、これを現場打ちコンクリートにより構築された基礎の上に、クレーン等で吊り上げて設置する外部エレベータの構築方法が記載されている。この方法では、エレベータシャフトのピット部が鉄骨構造でユニット化され、現場への運搬が容易となり、現場では、必要に応じて、このピット部に工場製作のプレキャスト板を張るだけで工事が終了するから、施工期間を従来に比べて短縮化できるという。しかし、この方法においても、基礎部分は、掘削部への現場打ちコンクリートで構成される。
【特許文献1】特開2004−244208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の工法においては、基礎部分が現場打ちコンクリートで施工されるため、以下のような問題点がある。(1)設置面積に対して、作業空間を含めより大面積の掘削工事を必要とする。(2)このため、大量の掘削土が発生しその処理に難渋する。(3)掘削壁面の養生の必要性がある。(4)環境の劣悪な地下での長時間の危険な作業を強いられる。(5)長期のコンクリート及び第三者に対する養生が必要である。(6)短期間で高い寸法精度を出すのが困難である。
したがって、この発明は、基礎部を工場生産によるプレキャストコンクリート(PC)化し、潜函工法により現場に埋設することにより、掘削工事を最小限に止め、大部分の工事を安全な地上作業とし、高い寸法精度を出しながら、工期を短縮して居住者の障害を最小限に止めることができるエレベータシャフト用基礎の構築方法及びこれに用いるPC基礎並びにレベル調整用装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この出願の発明においては、上記課題を解決するため、予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製の無底箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭を突出させたPC基礎を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する工法を採用する。その工法は、エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭を打設する工程と、設置場所の地盤をPC基礎の潜函面積よりも広く、かつ基礎底盤の形成位置より浅く掘削して先行掘地盤を形成する工程と、先行掘地盤上に、PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠を水平に配置する工程と、先行掘地盤上の矩形枠の外周に先行コンクリートを打設し、当該先行コンクリート上に基準レベル面を形成する工程と、矩形枠の内側に所定の間隔を置いて、先行掘地盤上に、PC基礎を配置する工程と、矩形枠の所要位置に、PC基礎を設計位置へ潜函させるための複数のガイド部材をPC基礎の四囲に転接するように固定する工程と、PC基礎の内側の地盤を基礎底盤となる位置まで掘削して、PC基礎を基準レベルまで潜函させる工程と、PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に、両端部がPC基礎の外側へ張り出すレベル調整用の梁材を架設する工程と、梁材と先行コンクリートの基準レベル面との間に、油圧ジャッキを挿入する工程と、油圧ジャッキを操作して、PC基礎の鉄骨柱頭のレベルを設計値に精度よく合わせて位置決めする工程と、PC基礎の位置決め完了後、矩形枠からガイド部材を撤去する工程と、所定位置に潜函されたPC基礎内の基礎底盤上に、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤を形成する工程と、耐圧盤の強度確保後、レベル調整用の梁材と油圧ジャッキを撤去する工程と、PC基礎周りを埋め戻す工程と、を含む。
【0007】
またこの出願の発明においては、上記工法を実施するためのレベル調整装置をPC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に架設される梁材と、この梁材と先行コンクリートの基準レベル面との間に介設される油圧ジャッキとで構成する。梁材には、PC基礎の外側へ張り出した両端部に、下端が油圧ジャッキに載るように垂直下方へ延出する束材を具備させ、また梁材の下面の所定位置に、H形鋼材からなる鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットを具備させる。ブラケットには、鉄骨柱頭のフランジに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を具備させ、鉄骨柱頭にボルト・ナットで接続可能に構成する。
【0008】
またこの出願の発明においては、上記工法を実施するためのPC基礎を鉄筋コンクリートで無底箱形に形成する。このPC基礎の上部の四隅には、エレベータシャフトの主柱材にボルト・ナットで接続可能なH形鋼材からなる鉄骨柱頭を突出させる。
【発明の効果】
【0009】
この出願の発明においては、以下のような効果を有する。(1)PC基礎を用いるので、基礎の寸法精度と品質を向上させることができる。(2)潜函工法の採用により狭小地での施工が可能となり、(3)掘削土の発生を従来に比して減少させることができると共に、(4)悪環境の地下作業を減少させることができ、(5)工期を大幅に短縮できる。(6)梁材と油圧ジャッキを用いたレベル調整方法の採用により、地上からの作業のみで、安全かつ容易に、レベル調整を行うことができ、(7)PC基礎の位置決めの精度を大幅に向上させることができる等の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の工法の施工過程を示す断面図、図2は同平面図、図3は本発明の工法に用いるPC基礎の斜視図、図4は本発明の工法の施工過程を示す一部の拡大断面図、図5は矩形枠とガイド部材の拡大断面図、図6乃至図13は本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【0011】
この発明においては、予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製のPC基礎1をエレベータシャフトの設置場所に潜函させることにより基礎を構築する。図3に示すように、PC基礎1は、無底の箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭2を突出させてなる。鉄骨柱頭2は、H形鋼材からなり、エレベータシャフト本体の主柱材にボルト・ナットで接続可能な接続部2aを有する。PC基礎1は、例えば、約2,200mm四方、高さ約1,800mm、重量約10t程度に構成され、下端縁部には、自重による潜函を容易にするため、鉄板で被覆された刃先が形成される。また、PC基礎1の内側下部には、後記耐圧盤15の鉄筋と接続するための接続金具(図示せず)が埋め込まれている。PC基礎1は、工場にて製作され、トラックで現場へ搬送される。
【0012】
基礎の構築工事は以下のように行われる。まず、図6に示すように、エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭3を打設する。次いで、設置場所の地盤をPC基礎の潜函面積よりもやや広く(例えば周囲に約300mmずつ)、かつ基礎底盤14(図10)を形成する深さ(例えば約2,000mm)より浅く(例えば約700mm)掘削し、養生パネル16で山留して、先行掘地盤4を形成する。また、この先行掘地盤4の外周側を例えば幅100mm、深さ100mm程度に掘削して溝4aを形成する。
【0013】
次いで、図7に示すように、先行掘地盤4上に、PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠5を水平に配置し、先行掘地盤4上の矩形枠5の外周に、先行コンクリート6を打設し、当該先行コンクリート6上に基準レベル面6aを形成する。先行コンクリート6の強度確保のために、例えば4週間程度の養生期間をおく。先行コンクリート6は、溝4a内において垂直断面が拡大されており、十分な水平方向の耐力を有する。
【0014】
ここで、図2,図5を参照して、矩形枠5の構造を説明する。矩形枠5は、互いに両端部においてボルト・ナットにより接続・分離可能に構成された4つの枠材5a,5b,5c,5dからなり、基礎施工現場において矩形枠に組み立てられる。各枠材5a,5b,5c,5dは、先行掘地盤4上に載置される接地片51と、PC基礎の外周に平行に所定の間隔を置いて対向するように配置される起立片52と、接地片51と平行に対向する上部片53とを具備する。先行コンクリート6を打設する工程において、矩形枠5が、先行コンクリート6の内側の型枠として使用され、上部片53が先行コンクリート6の基準レベル面6aと面一となる。各枠材5a,5b,5c,5dには、3カ所ずつガイド取付板7が固着される。ガイド取付板7は、上部片53の上面に溶着され、基準レベル面6aの上に載る位置に配置される。ガイド取付板7は、枠材の延長直交方向のボルト挿通用長孔7aを有する。
【0015】
施工方法に戻る。次いで、図8に示すように、矩形枠5のガイド取付板7上に、ボルト・ナット9でガイド部材8を取り付ける。図示の実施例(図5)において、ガイド部材8は、アングル鋼材からなる取付部材8aの起立片にキャスター8bを固着してなる。これと相前後して、PC基礎1をクレーンで吊り、図9に示すように、矩形枠5の内側の先行掘地盤4上にPC基礎1を配置する。この際、矩形枠5の内側とPC基礎1の外側面との間に所定の間隔(例えば約30mm)を置くよう位置調整する。このとき、長孔7aに対するボルト・ナット9の位置を変更することにより、ガイド部材8の位置を調整し、矩形枠5とPC基礎1との間に上記所定間隔が形成される位置において車輪がPC基礎1の外側面に接触するようにガイド部材8を固定する。
【0016】
次いで、図10に示すように、先行掘地盤4上に配置されたPC基礎1の内側の地盤を順次掘削して徐々にPC基礎1を自重で潜函させ、基準レベルまで潜函したところで基礎底盤14を形成する。潜函の過程でPC基礎1は傾くので、ガイド部材8が側面に接してこれを案内する。このとき、ガイド部材8を介して矩形枠5に水平方向の力が作用する。先行掘地盤4の溝4aにより垂直方向の断面積を拡大された先行コンクリート6が、この水平力に有効に対向する。
【0017】
次いで、図11に示すように、レベル調整装置10を用いてPC基礎を所定の設計位置に正確に位置決めする。
【0018】
レベル調整装置10について説明する。レベル調整装置10は、PC基礎の各一対の鉄骨柱頭2,2間に架設される梁材11と、この梁材11と先行コンクリートの基準レベル面6aとの間に挿入される油圧ジャッキ12とを具備する。図示の実施例において、梁材11は、PC基礎1の外側へ張り出した両端の下部に垂直下方へ延出するように固着された束材13を具備する。梁材11は、下面の所定位置に、鉄骨柱頭2を構成するH形鋼材のフランジの外側面に当接するブラケット11aを有する。このブラケット11aは、鉄骨柱頭2の接続部2aに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を有し、鉄骨柱頭2にボルト・ナットで接続可能に構成されている。
【0019】
施工方法に戻る。束材13の下端と先行コンクリート6の基準レベル面6aとの間に、油圧ジャッキ12を挿入し、油圧ジャッキ12を地上で操作して、PC基礎の鉄骨柱頭2のレベルを設計値に精度よく合わせるように位置決めする。PC基礎の位置決め完了後、矩形枠5からガイド部材8を撤去し、鋼管杭3の先端部を処理した後、PC基礎1内の基礎底盤14上に、図12に示すように、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤15を形成する。鉄筋は、PC基礎1に予め埋め込まれている接続金具と接続する。
【0020】
1週間程度養生して耐圧盤15の強度が確保された後、レベル調整用の梁材11、束材13、油圧ジャッキ12を撤去し、図13に示すように、PC基礎1の周りを埋め戻す。以上で基礎工事が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、例えば、4〜5階建ての既存の現住集合住宅に後付で設置されるエレベータ用の基礎の施工方法、これに用いるPC基礎、レベル調整装置として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の工法の施工過程を示す断面図である。
【図2】本発明の工法の施工過程を示す平面図である。
【図3】本発明の工法に用いるPC基礎の斜視図である。
【図4】本発明の工法の施工過程を示す一部の拡大断面図である。
【図5】矩形枠とガイド部材の拡大断面図である。
【図6】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図7】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図8】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図9】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図10】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図11】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図12】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【図13】本発明の工法を順を追って示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 PC基礎
2 鉄骨柱頭
2a 接続部
3 鋼管杭
4 先行掘地盤
4a 溝
5 矩形枠
5a 枠材
5b 枠材
5c 枠材
5d 枠材
51 接地片
52 起立片
53 上部片
6 先行コンクリート
6a 基準レベル面
7 ガイド取付板
7a 長孔
8 ガイド部材
8a 起立片
8b キャスター
9 ボルト・ナット
10 レベル調整装置
11 レベル調整用梁材
11a ブラケット
12 油圧ジャッキ
13 束材
14 基礎底盤
15 耐圧盤
16 養生パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製、無底箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭を突出させたPC基礎を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する方法であって、
エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭を打設する工程と、
前記設置場所の地盤を前記PC基礎の潜函面積よりも広く、かつ基礎底盤の形成位置より浅く掘削して先行掘地盤を形成する工程と、
前記先行掘地盤上に、前記PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠を水平に配置する工程と、
前記先行掘地盤上の前記矩形枠の外周に、先行コンクリートを打設し、当該先行コンクリート上に基準レベル面を形成する工程と、
前記矩形枠の内側に所定の間隔を置いて、前記先行掘地盤上に、前記PC基礎を配置する工程と、
前記矩形枠の所要位置に、前記PC基礎を設計位置へ潜函させるための複数のガイド部材を、PC基礎の四囲に転接するように固定する工程と、
前記PC基礎の内側の地盤を基礎底盤となる位置まで掘削して、PC基礎を基準レベルまで潜函させる工程と、
前記PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に、PC基礎の外側へ張り出すレベル調整用の梁材を架設する工程と、
前記梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に、油圧ジャッキを挿入する工程と、
前記油圧ジャッキを操作して、前記PC基礎の鉄骨柱頭のレベルを設計値に合わせて位置決めする工程と、
前記PC基礎の位置決め完了後、前記矩形枠から前記ガイド部材を撤去する工程と、
所定位置に潜函された前記PC基礎内の基礎底盤上に、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤を形成する工程と、
前記耐圧盤の強度確保後、前記レベル調整用の梁材と前記油圧ジャッキを撤去する工程と、
前記PC基礎周りを埋め戻す工程と、を含むことを特徴とするエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項2】
前記矩形枠は、互いに両端部においてボルト・ナットにより接続・分離可能に構成された4つの枠材からなり、基礎施工現場において矩形枠に組み立てられ、
前記各枠材は、前記先行掘地盤上に載置される接地片と、前記PC基礎の外周に平行に所定の間隔を置いて対向する起立片とを具備し、
前記先行コンクリートを打設する工程において、前記矩形枠が、先行コンクリートの内側の型枠として使用されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項3】
前記各枠材は、前記接地片と平行で、前記先行コンクリートの基準レベル面と面一となるように延びる上部片をさらに具備し、
前記上部片の上面の所定位置には、前記ガイド部材の固定用ボルトを挿通するための前記枠材の延長直交方向の長孔を有するガイド取付板が固着されており、
前記ガイド部材を前記矩形枠上に固定する工程において、ガイド部材を前記ガイド取付板の長孔に沿って位置調整することにより、前記PC基礎の潜函を設計位置へ案内する適正位置にガイド部材を固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項4】
前記梁材の前記PC基礎の外側へ張り出した部位に、垂直下方へ延出する束材を固着することにより、前記梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に、束材を介在させて油圧ジャッキを挿入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項5】
前記梁材の下面の所定位置には、H形鋼材からなる前記鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットが固着されており、
前記鉄骨柱頭に前記梁材を架設する工程において、前記ブラケットと鉄骨柱頭のフランジとをボルト・ナットで接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法の実施に用いられるレベル調整装置であって、前記PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に架設される梁材と、この梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に介設される油圧ジャッキとを具備し、
前記梁材は、PC基礎の外側へ張り出した両端部に、下端が前記油圧ジャッキに載るように垂直下方へ延出する束材を具備すると共に、下面の所定位置に、H形鋼材からなる前記鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットを具備し、このブラケットは、鉄骨柱頭のフランジに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を有し、鉄骨柱頭にボルト・ナットで接続可能に構成されていることを特徴とするPC基礎のレベル調整装置。
【請求項7】
請求項1に記載の方法に用いられるPC基礎であって、鉄筋コンクリートで無底箱形に形成され、上部の四隅に、エレベータシャフト本体の主柱材にボルト・ナットで接続可能なH形鋼材からなる鉄骨柱頭が突出することを特徴とするエレベータシャフト用PC基礎。
【請求項1】
予め工場にて製作された鉄筋コンクリート製、無底箱形で、上部の四隅に鉄骨柱頭を突出させたPC基礎を、エレベータシャフトの設置場所に潜函させて基礎を構築する方法であって、
エレベータシャフトの設置場所の所要位置に鋼管杭を打設する工程と、
前記設置場所の地盤を前記PC基礎の潜函面積よりも広く、かつ基礎底盤の形成位置より浅く掘削して先行掘地盤を形成する工程と、
前記先行掘地盤上に、前記PC基礎の潜函位置を包囲するように、鋼製の矩形枠を水平に配置する工程と、
前記先行掘地盤上の前記矩形枠の外周に、先行コンクリートを打設し、当該先行コンクリート上に基準レベル面を形成する工程と、
前記矩形枠の内側に所定の間隔を置いて、前記先行掘地盤上に、前記PC基礎を配置する工程と、
前記矩形枠の所要位置に、前記PC基礎を設計位置へ潜函させるための複数のガイド部材を、PC基礎の四囲に転接するように固定する工程と、
前記PC基礎の内側の地盤を基礎底盤となる位置まで掘削して、PC基礎を基準レベルまで潜函させる工程と、
前記PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に、PC基礎の外側へ張り出すレベル調整用の梁材を架設する工程と、
前記梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に、油圧ジャッキを挿入する工程と、
前記油圧ジャッキを操作して、前記PC基礎の鉄骨柱頭のレベルを設計値に合わせて位置決めする工程と、
前記PC基礎の位置決め完了後、前記矩形枠から前記ガイド部材を撤去する工程と、
所定位置に潜函された前記PC基礎内の基礎底盤上に、鉄筋を配筋してコンクリートを打設することにより耐圧盤を形成する工程と、
前記耐圧盤の強度確保後、前記レベル調整用の梁材と前記油圧ジャッキを撤去する工程と、
前記PC基礎周りを埋め戻す工程と、を含むことを特徴とするエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項2】
前記矩形枠は、互いに両端部においてボルト・ナットにより接続・分離可能に構成された4つの枠材からなり、基礎施工現場において矩形枠に組み立てられ、
前記各枠材は、前記先行掘地盤上に載置される接地片と、前記PC基礎の外周に平行に所定の間隔を置いて対向する起立片とを具備し、
前記先行コンクリートを打設する工程において、前記矩形枠が、先行コンクリートの内側の型枠として使用されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項3】
前記各枠材は、前記接地片と平行で、前記先行コンクリートの基準レベル面と面一となるように延びる上部片をさらに具備し、
前記上部片の上面の所定位置には、前記ガイド部材の固定用ボルトを挿通するための前記枠材の延長直交方向の長孔を有するガイド取付板が固着されており、
前記ガイド部材を前記矩形枠上に固定する工程において、ガイド部材を前記ガイド取付板の長孔に沿って位置調整することにより、前記PC基礎の潜函を設計位置へ案内する適正位置にガイド部材を固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項4】
前記梁材の前記PC基礎の外側へ張り出した部位に、垂直下方へ延出する束材を固着することにより、前記梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に、束材を介在させて油圧ジャッキを挿入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項5】
前記梁材の下面の所定位置には、H形鋼材からなる前記鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットが固着されており、
前記鉄骨柱頭に前記梁材を架設する工程において、前記ブラケットと鉄骨柱頭のフランジとをボルト・ナットで接続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシャフト用基礎の構築方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法の実施に用いられるレベル調整装置であって、前記PC基礎の各一対の鉄骨柱頭間に架設される梁材と、この梁材と前記先行コンクリートの基準レベル面との間に介設される油圧ジャッキとを具備し、
前記梁材は、PC基礎の外側へ張り出した両端部に、下端が前記油圧ジャッキに載るように垂直下方へ延出する束材を具備すると共に、下面の所定位置に、H形鋼材からなる前記鉄骨柱頭のフランジの外側面に当接するブラケットを具備し、このブラケットは、鉄骨柱頭のフランジに形成されたボルト挿通孔に対応するボルト挿通孔を有し、鉄骨柱頭にボルト・ナットで接続可能に構成されていることを特徴とするPC基礎のレベル調整装置。
【請求項7】
請求項1に記載の方法に用いられるPC基礎であって、鉄筋コンクリートで無底箱形に形成され、上部の四隅に、エレベータシャフト本体の主柱材にボルト・ナットで接続可能なH形鋼材からなる鉄骨柱頭が突出することを特徴とするエレベータシャフト用PC基礎。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−204218(P2007−204218A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25038(P2006−25038)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(599139556)綿半テクノス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(599139556)綿半テクノス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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