説明

エレベータ制御システム及び制御装置

【課題】従来技術においては、より適正な救急運転の点で、更なる改善の余地がある。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御システムは、エレベータと、発信器と、受信器と、制御装置とを備える。エレベータは、乗りかごが昇降路を昇降可能である。発信器は、救急信号を発信可能である。受信器は、前記発信器からの前記救急信号を受信可能である。制御装置は、前記受信器が前記救急信号を受信した場合に、当該受信した救急信号に基づいて乗り場からの呼び登録を無効にし、前記乗りかごを予め設定された基準階で待機させ、前記受信した救急信号に応じた行先階を自動で呼び登録すると共に、所定の承認操作に応じて前記乗りかごを前記行先階に移動させた後に当該行先階で待機させ、前記基準階を自動で呼び登録する救急運転制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータ制御システムにおいて、例えば、状況に応じてエレベータの救急運転を行うエレベータ制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−298586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、より適正な救急運転の点で、更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ制御システムは、エレベータと、発信器と、受信器と、制御装置とを備える。エレベータは、乗りかごが昇降路を昇降可能である。発信器は、救急信号を発信可能である。受信器は、前記発信器からの前記救急信号を受信可能である。制御装置は、前記受信器が前記救急信号を受信した場合に、当該受信した救急信号に基づいて乗り場からの呼び登録を無効にし、前記乗りかごを予め設定された基準階で待機させ、前記受信した救急信号に応じた行先階を自動で呼び登録すると共に、所定の承認操作に応じて前記乗りかごを前記行先階に移動させた後に当該行先階で待機させ、前記基準階を自動で呼び登録する救急運転制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る乗りかご内の正面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るかご操作盤の正面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る乗りかご内の背面図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る乗り場の概略斜視図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る乗り場操作盤の正面図である。
【図7】図7は、実施形態1に係る発信器の斜視図である。
【図8】図8は、実施形態1に係る発信器の斜視図である。
【図9】図9は、実施形態1に係る監視盤の筐体正面図である。
【図10】図10は、実施形態1に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【図11】図11は、実施形態2に係るかご操作盤の正面図である。
【図12】図12は、実施形態2に係る入力部の正面図である。
【図13】図13は、実施形態2に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【図14】図14は、実施形態3に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図15】図15は、実施形態3に係る携帯通信端末機器の表示内容の一例を示す図である。
【図16】図16は、変形例に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図17】図17は、変形例に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【図18】図18は、変形例に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【図19】図19は、変形例に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図、図2は、実施形態1に係る乗りかご内の正面図、図3は、実施形態1に係るかご操作盤の正面図、図4は、実施形態1に係る乗りかご内の背面図、図5は、実施形態1に係る乗り場の概略斜視図、図6は、実施形態1に係る乗り場操作盤の正面図、図7、図8は、実施形態1に係る発信器の斜視図、図9は、実施形態1に係る監視盤の筐体正面図、図10は、実施形態1に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【0008】
本実施形態のエレベータ制御システム1は、図1に示すように、エレベータ2を制御するためのシステムであり、典型的には、昇降路8を昇降可能な乗りかご9で運行サービスを行うエレベータ2を円滑な救急活動に供するためのシステムである。
【0009】
具体的には、エレベータ制御システム1は、エレベータ2と、発信器3と、受信器4と、制御装置5とを備える。このエレベータ制御システム1は、発信器3が発信し受信器4が受信した救急信号に基づいて、制御装置5がこの救急信号に応じた所定の救急運転制御を行うことで、エレベータ2を移動手段として使用することに加えて、例えば、救急隊による救急活動をサポートする設備としても使用するものである。ここでは、制御装置5は、エレベータ制御盤(以下、特に断りのない限り単に「制御盤」という。)6と、救急用監視盤(以下、特に断りのない限り単に「監視盤」という。)7とを含んで構成される。
【0010】
エレベータ2は、昇降路8と、乗りかご9と、昇降駆動部10と、メインロープ11と、カウンタウェイト12と、乗り場13とを含んで構成される。エレベータ2は、制御盤6によって各部の駆動が制御されて乗りかご9が昇降路8内を昇降することで、任意の目的階の乗り場13に移動することができるものである。
【0011】
昇降路8は、建物の鉛直方向に沿って設けられる。昇降路8は、建物内に複数の階床14に渡って設けられる。昇降駆動部10や制御盤6等は、例えば、この昇降路8の上部に位置する機械室15に設置される。
【0012】
乗りかご9は、利用者が乗ったり荷物を乗せたりするための構造物である。乗りかご9は、メインロープ11が接続され昇降路8内に配置され、昇降駆動部10が駆動することで昇降路8を昇降可能である。昇降駆動部10は、例えば、電動機(モータ)等が駆動することでメインロープ11を巻き上げる巻上機などにより構成され、制御盤6によりその駆動が制御される。メインロープ11は、昇降路8の上部に設けられる昇降駆動部10の巻上機のシーブに掛けられて、一端に乗りかご9が連結され、他端にカウンタウェイト12が連結される。カウンタウェイト12は、乗りかご9のつり合いおもりをなす。
【0013】
乗り場13は、乗りかご9が着床可能なエレベータ停止階床14に設けられ、利用者が乗りかご9に対して乗降したり、荷物を乗りかご9に対して積み下ろしたりするための場所である。
【0014】
乗りかご9、乗り場13は、それぞれ扉装置16、17が設けられている。扉装置16、17は、制御盤6により開閉制御され、乗りかご9が任意の階床14の乗り場13に着床して停止した際に制御盤6の制御により互いに連動して開き、これにより、乗りかご9と乗り場13との間での利用者の乗降や荷物の積み下ろしが可能となる。
【0015】
そして、乗りかご9は、室内の扉装置16が設けられる側の面を正面、この正面とは反対側の面を背面とした場合に、図2に示すように、正面側の扉装置16の近傍にかご操作盤18が設けられる。かご操作盤18は、利用者による操作入力に応じていわゆる呼び登録や扉装置16、17の開閉などを行うものである。かご操作盤18は、図3に例示するように、表示部19、ボタンユニット20、開閉ボタン21等を含んで構成される。表示部19は、液晶表示装置等により構成され乗りかご9の位置や運転方向等の種々の運転情報を案内表示するものである。ボタンユニット20、開閉ボタン21は、利用者からの操作を受け付ける操作部である。ボタンユニット20は、数字などが表記された複数の押しボタンで構成され行先階等の登録を行うためのものであり、開閉ボタン21は、扉装置16、17の開閉を行うためのものである。かご操作盤18は、ボタンユニット20や開閉ボタン21への利用者の操作入力に応じて乗りかご9の呼び登録信号や開閉信号を制御盤6に送信し、また、表示部19の表示内容等が制御盤6によって制御される。また、乗りかご9は、図4に示すように、室内の背面側の側板22にトランク扉23が設けられる。トランク扉23は、例えば、救急活動時などに用いるストレッチャの一部を収容するためのトランクを開閉する扉であり、鍵構造24を介して所定のキーを用いて施錠、開錠が可能である。
【0016】
乗り場13は、図5に示すように、乗り場13を区画する壁面25の扉装置17の近傍に乗り場操作盤26が設けられる。乗り場操作盤26は、各階床14の各乗り場13に少なくとも1つずつが設けられる(図1参照)。乗り場操作盤26は、利用者による操作入力に応じていわゆる呼び登録などを行うものである。乗り場操作盤26は、図6に例示するように、表示部27、ボタンユニット28等を含んで構成される。表示部27は、液晶表示装置等により構成され乗りかご9の位置や運転方向等の種々の運転情報を案内表示するものである。ボタンユニット28は、利用者からの操作を受け付ける操作部であり、矢印などが表記された複数の押しボタンで構成されいわゆるアップ呼び登録やダウン呼び登録等の登録を行うためのものである。乗り場操作盤26は、ボタンユニット28への利用者の操作入力に応じて乗りかご9の呼び登録信号を制御盤6に送信し、また、表示部27の表示内容等が制御盤6によって制御される。
【0017】
発信器3は、救急信号を発信可能なものであり、図7、図8に示すように、本体部29、カバー30、ボタン31等を含んで構成される。発信器3は、本体部29の凹部(図8参照)にボタン31が設けられると共に、この凹部を開閉自在に覆うようにしてカバー30が組み付けられる。これにより、発信器3は、図7に示すように、カバー30が本体部29の凹部を塞いだ状態では、誤ってボタン31が押下操作されることを防止することができると共に、図8に示すように、本体部29に対してカバー30をスライドさせ、凹部を開放した状態とすることで、ボタン31が露出し押下操作することが可能な状態とすることができる。発信器3は、救急時などに利用者によりボタン31が押下操作されると、ロック状態となり、所定の救急信号を発信すると共に、透明部材で形成されているボタン31の背面側のLEDランプが点灯する。また、発信器3は、解除操作として、例えば、利用者によりボタン31を回転させる操作がなされると、ロック状態が解除され、救急信号の発信を停止すると共に、LEDランプを消灯する。
【0018】
ここで、発信器3が発信する救急信号は、発信場所等を特定可能な識別信号を含む信号であり、例えば、エレベータ2が設置される建物の各戸に対応した信号である。典型的には、発信器3は、各階床14の各戸に対応して、少なくとも各戸に1つずつが用意され、各戸の居住者が所持する(図1参照)。各発信器3が発信する救急信号は、エレベータ2が設置される建物の各戸と予め対応づけられて設定されており、各発信器3は、各階床14においていずれの住戸から救急信号が発信されたのかを特定可能な信号として、この救急信号を発信する。
【0019】
受信器4は、発信器3からの救急信号を受信可能なものであり、図1に示すように、各階床14に少なくとも1つずつが設けられる。ここでは、各受信器4は、図6に示すように、各階床14の乗り場操作盤26に組み込まれて設けられる。各受信器4は、監視盤7に電気的に接続されている。各受信器4は、発信器3からの救急信号を検知し、検知した救急信号を監視盤7に送信する。
【0020】
制御装置5は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータ2の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路等を含んで構成される。制御装置5は、図1に示すように、制御盤6と監視盤7とを含んで構成され、制御盤6と監視盤7とは、互いに接続されており、相互に信号、指令、情報等の通信、授受を行うことができる。
【0021】
制御盤6は、種々のセンサ、検出器や昇降駆動部10の巻上機、扉装置16、17、かご操作盤18、乗り場操作盤26等のエレベータ2の各部と電気的に接続され各部の動作を統括的に制御する。制御盤6は、例えば、かご操作盤18、乗り場操作盤26への利用者からの操作入力に応じて、昇降駆動部10の駆動を制御し、乗りかご9を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。
【0022】
監視盤7は、各受信器4が電気的に接続され、受信器4から転送される救急信号を制御盤6に転送するなど、救急信号に応じた種々の制御を行う。監視盤7は、例えば、管理スペース32等に設置される。監視盤7は、例えば、種々の通信装置等を介して消防署などの外部施設33に接続され、相互に信号、指令、情報等の授受を行うことができるように構成してもよい。
【0023】
また、監視盤7は、図9に示すように、基板等を収容する筐体34に発報LEDランプ35、救急運転解除キースイッチ36が設けられる。発報LEDランプ35は、エレベータ2が設置される建物の各戸に対応して複数設けられる。各発報LEDランプ35は、発光部が筐体34から露出するようにして設けられる。救急運転解除キースイッチ36は、エレベータ2における後述の救急運転を解除するためのスイッチである。
【0024】
次に、主に図1を参照すると共に適宜他図も参照して、エレベータ制御システム1の動作を説明する。上記のように構成されるエレベータ2は、平常運転として、乗りかご9内に乗り込んだ利用者によりかご操作盤18を利用したかご呼びが行われた場合や、乗り場13の利用者により乗り場操作盤26を利用した乗り場呼びが行われた場合に、かご操作盤18、乗り場操作盤26から制御盤6に呼び登録信号が入力され、制御盤6がこの呼び登録信号に応じて乗りかご9の呼び登録を行う。そして、制御盤6は、この呼び登録や乗りかご9の現在の移動方向(昇降方向)に基づいて、乗りかご9が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご9の着床順序を定め、昇降駆動部10を駆動制御し、乗りかご9を目的の階床14へと移動させる。これにより、エレベータ2は、乗りかご9が昇降路8内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場13に移動する。そして、エレベータ2は、乗りかご9が目的の階床14の乗り場13に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、制御盤6が扉装置16、17を同期して開放する。これにより、乗り場13で待機している利用者は、乗りかご9内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご9内の利用者は乗り場13に降りることが可能となる。
【0025】
そして、エレベータ制御システム1は、受信器4が受信した救急信号に基づいて、制御装置5がこの救急信号に応じた所定の救急運転制御を実行することで、エレベータ2の運転状態を平常運転から救急運転に切り替えて、より適正な救急運転を行うようにしている。
【0026】
具体的には、制御装置5は、受信器4が受信した発信器3からの救急信号に基づいて、この救急信号に応じた乗りかご9の呼び登録を自動で行う救急運転制御を実行する。ここでは、制御装置5は、救急運転制御として、動作制限運転制御や案内制御等を実行する。上記動作制限運転制御は、典型的には、平常運転制御の場合と比較して、乗りかご9を含むエレベータ2の動作を制限して運転する制御である。上記案内制御は、救急運転に関する案内を行う制御である。
【0027】
より具体的には、エレベータ制御システム1は、エレベータ2が設置される建物の居住者等が救急時等に発信器3のボタン31を押下操作すると、発信器3がこの居住者の住戸に対応する救急信号を発信する。乗り場操作盤26に組み込まれた受信器4は、発信器3からの救急信号を受信すると、この救急信号を制御装置5の監視盤7に転送する。そして、監視盤7は、受信器4から救急信号を受信すると、図9に例示するように、受信した救急信号に対応する住戸(図9の例では「306号室」)の発報LEDランプ35を点灯し、当該住戸から救急の要請があった旨を発報すると共に、制御盤6にこの救急信号を転送する。これにより、管理スペース32にいる管理人等は、当該住戸にて救急の要請があったことを認識することができる。なお、このエレベータ制御システム1では、消防署など外部施設33への救急通報は、基本的には、各人が行うものであるが、例えば、救急信号に応じて監視盤7から種々の通信装置等を介して補助的に救急通報を行うようにしてもよい。
【0028】
そして、制御装置5の制御盤6は、救急信号を受信すると、救急運転制御の動作制限運転制御として、救急信号を受信する前に登録されていた乗り場13からの乗り場呼び登録を無効にする制御(登録無効制御)を実行すると共に、乗りかご9を予め設定された基準階に移動させこの基準階で待機させる制御(基準階待機制御)を実行する。このとき、制御盤6は、救急運転制御の動作制限運転制御として、基準階で乗りかご9の扉、すなわち、扉装置16、17を開放状態で待機させる制御(扉開放制御)を実行すると共に、救急信号に応じた行先階、すなわち、受信した救急信号に対応する住戸(発報住戸)が存在する階床14を行先階(発報階)として自動で呼び登録する制御(行先階自動登録制御)を実行する。
【0029】
ここで、基準階とは、エレベータ2が設置される建物の構造、規模、階数等に応じて予め設定される救急運転での基準となる階床14であり、典型的には、外部からこの建物に来た人がエレベータ2を使用するために最初に訪れる階床14である。例えば、図1の例では、基準階は、救急車両が到着可能な1階である。
【0030】
この結果、エレベータ制御システム1は、エレベータ2が設置された建物に到着した救急隊が、乗りかご9が基準階に移動するまでの時間や扉装置16、17が開放するまでの時間を待つことなく、直ちに基準階から乗りかご9に乗り込むことができるようにすることができるので、救急の際に救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができる。そして、エレベータ制御システム1は、発報住戸が存在する行先階が自動で呼び登録されることから、救急隊が手動で当該行先階の呼び登録をすることなく、適切な行先階を登録することができるので、救急隊の救急活動をよりスムーズに行えるようにサポートすることができると共に、行先階を間違えること等を防止することができる。
【0031】
ここで、このエレベータ制御システム1は、図3に示すように、所定の承認操作を入力可能な入力部37を備える。本実施形態の入力部37は、かご操作盤18のボタンユニット20が兼用される。制御盤6は、救急運転制御の動作制限運転制御として、救急運転中において、入力部37として兼用されるボタンユニット20に所定の承認操作がなされる前の操作の受け付けを禁止する制御(操作禁止制御)を実行すると共に、ボタンユニット20に所定の承認操作がなされた後の操作を受け付ける制御(操作承認制御)を実行する。言い換えれば、制御盤6は、救急運転制御として、ボタンユニット20に所定の承認操作がなされない場合、乗りかご4の昇降を行わない制御を実行する。
【0032】
上記所定の承認操作とは、例えば、予め設定された適正なコードをボタンユニット20に入力する操作である。制御盤6は、所定の承認操作として、ボタンユニット20への適正なコード入力操作が確認される前の操作の受け付けを禁止すると共に、ボタンユニット20への適正なコード入力操作が確認された後の操作を受け付ける。例えば、制御盤6は、乗りかご9に乗り込んだ救急隊がボタンユニット20に上記承認操作を入力した後に開閉ボタン21を押下操作した場合に、この操作を受け付けて扉装置16、17を閉じる制御を実行する。
【0033】
この結果、エレベータ制御システム1は、救急運転中に救急隊など、適正なコードを知らされている人以外の権限のない人の操作の受け付けを禁止することができることから、意図せず、救急隊の活動を妨げるような操作がなされることを未然に防止することができるので、救急隊の救急活動をよりスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0034】
そして、制御盤6は、乗りかご9に乗り込んだ救急隊の操作に応じて扉装置16、17を閉状態とすると、昇降駆動部10を駆動制御し、自動登録された行先階、すなわち、発報住戸が存在する行先階に乗りかご9を移動させる。
【0035】
ここで、このエレベータ制御システム1は、図6に示すように、乗り場13に設けられる乗り場案内装置38を備える。本実施形態の乗り場案内装置38は、表示部27が兼用される。制御盤6は、救急運転制御の案内制御として、救急運転中に、乗り場案内装置38として兼用される表示部27によって、救急運転中である旨を案内する制御(乗り場案内制御)を実行する。図6の例では、表示部27は、乗りかご9の現在位置表示領域の下に「救急運転」の文字を案内表示している。この結果、エレベータ制御システム1は、救急隊以外の利用者に対して、現在、救急運転中である旨を知らせることができる。
【0036】
また、エレベータ制御システム1は、図3に示すように、乗りかご9に設けられる乗りかご案内装置39を備える。本実施形態の乗りかご案内装置39は、表示部19が兼用される。制御盤6は、救急運転制御の案内制御として、救急運転中に、乗りかご案内装置39として兼用される表示部19によって、救急信号に応じた場所、すなわち、受信した救急信号に対応する住戸がある場所を案内する制御(乗りかご案内制御)を実行する。図3の例では、表示部19は、受信した救急信号に対応する発報住戸が「306号室」であり、当該住戸が乗りかご9を降りて右側「→」にある旨を案内表示している。この結果、エレベータ制御システム1は、発報住戸が存在する行先階に乗りかご9が到着し、扉装置16、17が開放した後、救急隊が直ちに救急信号に対応した住戸がある方向に向かうことができるようにすることができるので、救急隊の救急活動をよりスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0037】
なおここでは、乗り場案内装置38、乗りかご案内装置39は、表示部27、表示部19によって兼用され、画像表示を用いた案内を行うものとして説明したが、例えば、スピーカ等を含んで構成され、音声を用いた案内を行うように構成されてもよい。
【0038】
そして、制御盤6は、救急運転制御の動作制限運転制御として、乗りかご9を救急信号に応じた行先階(発報階)に移動させた後、この行先階で待機させる制御(発報階待機制御)を実行する。このとき、制御盤6は、救急運転制御の動作制限運転制御として、行先階で乗りかご9の扉、すなわち、扉装置16、17を開放状態で待機させる制御(扉開放制御)を実行すると共に、予め設定された基準階を自動で呼び登録する制御(基準階自動登録制御)を実行する。
【0039】
この結果、エレベータ制御システム1は、救急隊が発報住戸にて活動を行った後、乗りかご9が当該発報階に移動するまでの時間や扉装置16、17が開放するまでの時間を待つことなく、直ちに当該発報階から乗りかご9に乗り込むことができるようにすることができるので、救急隊の救急活動をよりスムーズに行えるようにサポートすることができる。そして、エレベータ制御システム1は、基準階が自動で呼び登録されることから、救急隊が手動で当該基準階の呼び登録をすることなく、適切な基準階を登録することができるので、救急隊の救急活動をよりスムーズに行えるようにサポートすることができると共に基準階を間違えること等を防止することができる。
【0040】
そして、制御盤6は、乗りかご9に乗り込んだ救急隊の操作に応じて扉装置16、17を閉状態とすると、昇降駆動部10を駆動制御し、自動登録された基準階に乗りかご9を移動させる。
【0041】
次に、図10のフローチャートを参照してエレベータ制御システム1における救急運転制御の一例を説明する。
【0042】
まず、制御装置5の制御盤6は、受信器4、監視盤7等を介して発信器3からの救急信号を受信すると、乗り場案内装置38として兼用される表示部27、乗りかご案内装置39として兼用される表示部19によって救急運転中である旨を案内すると共に、乗り場13からの乗り場呼び登録を無効にし(ST1)、乗りかご9が現在の最終行先階登録階に到着するまで通常運転を行う(ST2)。
【0043】
制御盤6は、最終行先階登録階にて乗りかご案内装置39によって、乗客に降車を促し乗客を全て降ろした後、乗りかご9を基準階に移動させこの基準階で扉装置16、17を開放した状態で待機させると共に(ST3)、ボタンユニット20において、受信した救急信号に応じた住戸が存在する発報階への行先ボタンを自動登録する(ST4)。このとき、制御盤6は、他階への登録は受け付けない。またこのとき、制御盤6は、乗り場案内装置38、乗りかご案内装置39によって、現在、救急運転中であるため乗車できない旨の案内をするとよい。
【0044】
次に、制御盤6は、例えば、救急隊が乗りかご9に乗り込んだ後、所定の承認操作としてボタンユニット20へのコード入力操作がなされた後に開閉ボタン21の閉ボタンが押下操作され、当該入力されたコードが正常であったか否かを判定する(ST5)。制御盤6は、入力されたコードが正常でなかったと判定した場合(ST5:No)、表示部19にコード違いである旨を表示し(ST6)、ST5に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0045】
制御盤6は、入力されたコードが正常であったと判定した場合(ST5:Yes)、扉装置16、17を閉状態とし、昇降駆動部10を駆動制御し、乗りかご9を自動登録された発報階に直行移動させ(ST7)、この間、乗りかご案内装置39によって、救急信号に応じた発報住戸の部屋番号や当該住戸がある方向を案内する。そして、制御盤6は、乗りかご9が発報階に到着後、この発報階で扉装置16、17を開放した状態で待機させ(ST8)、ボタンユニット20において、基準階への行先ボタンを自動登録する(ST9)。このとき、制御盤6は、他階への登録は受け付けない。またこのとき、制御盤6は、乗り場案内装置38、乗りかご案内装置39によって、現在、救急運転中であるため乗車できない旨の案内をするとよい。
【0046】
次に、制御盤6は、例えば、救急隊が乗りかご9に乗り込んだ後、所定の承認操作としてボタンユニット20へのコード入力操作がなされた後に開閉ボタン21の閉ボタンが押下操作され、当該入力されたコードが正常であったか否かを判定する(ST10)。制御盤6は、入力されたコードが正常でなかったと判定した場合(ST10:No)、表示部19にコード違いである旨を表示し(ST11)、ST10に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0047】
制御盤6は、入力されたコードが正常であったと判定した場合(ST10:Yes)、扉装置16、17を閉状態とし、昇降駆動部10を駆動制御し、乗りかご9を自動登録された基準階に直行移動させ(ST12)、基準階に到着後、この基準階で扉装置16、17を開放した状態で待機させる(ST13)。
【0048】
次に、制御盤6は、管理スペース32の監視盤7の救急運転解除キースイッチ36(図9参照)が操作されたか否かを判定する(ST14)。制御盤6は、救急運転解除キースイッチ36が操作されていないと判定した場合(ST14:No)、予め設定された救急運転終了のコード入力がボタンユニット20になされたか否かを判定する(ST15)。制御盤6は、ボタンユニット20に救急運転終了のコード入力がなされていないと判定した場合(ST15:No)、乗りかご9が基準階に到着した後、予め設定された所定期間(例えば、5分)が経過したか否かを判定する(ST16)。この場合、制御盤6は、例えば、タイマによって乗りかご9が基準階に到着してからの経過時間を計測しておく。制御盤6は、乗りかご9が基準階に到着した後、予め設定された所定期間が経過していないと判定した場合(ST16:No)、ST14に戻って以降の処理を繰り返し実行する。
【0049】
制御盤6は、ST14にて救急運転解除キースイッチ36が操作されたと判定した場合(ST14:Yes)、ST15にてボタンユニット20に救急運転終了のコード入力がなされたと判定した場合(ST15:Yes)、あるいは、ST16にて乗りかご9が基準階に到着した後、予め設定された所定期間が経過したと判定した場合(ST16:Yes)、エレベータ2を救急運転から平常運転に復帰させ(ST17)、この制御を終了する。これにより、このエレベータ制御システム1は、動作が制限された救急運転のままで放置されることを防止することができる。なお、このエレベータ制御システム1は、救急運転中であっても、必要に応じて救急運転解除キースイッチ36が操作されることで、適宜、エレベータ2を平常運転に復帰させることも可能である。
【0050】
上記のように構成されるエレベータ制御システム1は、乗りかご9が昇降路8を昇降可能であるエレベータ2と、救急信号を発信可能である発信器3と、発信器3からの救急信号を受信可能である受信器4と、受信器4が救急信号を受信した場合に、当該受信した救急信号に基づいて乗り場13からの呼び登録を無効にし、乗りかご9を予め設定された基準階で待機させ、受信した救急信号に応じた行先階を自動で呼び登録すると共に、所定の承認操作に応じて乗りかご9を行先階に移動させた後に当該行先階で待機させ、基準階を自動で呼び登録する救急運転制御を実行する制御装置5とを備える。したがって、エレベータ制御システム1、制御装置5は、例えば、救急の際に救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができ、適正に救急運転を行うことができる。また、エレベータ制御システム1、制御装置5は、例えば、各人による救急通報の過程で部屋番号等の情報を正しく伝えることができなかったような場合であっても、救急隊等を適切に該当発報住戸に案内、誘導することができる。
【0051】
[実施形態2]
図11は、実施形態2に係るかご操作盤の正面図、図12は、実施形態2に係る入力部の正面図、図13は、実施形態2に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。実施形態2に係るエレベータ制御システム、制御装置は、入力部の構成の点で実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する実施形態、変形例でも同様である。)。
【0052】
図11、図12に示すように、本実施形態のエレベータ制御システム201は、所定の承認操作を入力可能な入力部237を備える。本実施形態の入力部237は、例えば、左右自動復帰型の救急運転キースイッチ240によって構成される。救急運転キースイッチ240は、かご操作盤18に組み込まれて設けられる。救急運転キースイッチ240は、所定のキーにより操作が可能なスイッチであり、救急運転中の承認操作を行うためのスイッチである。救急運転キースイッチ240を操作するキーは、例えば、トランク扉23の鍵構造24を開閉するためのキーと兼用するとよい。制御盤6は、所定の承認操作として、救急運転キースイッチ240をONにする操作が確認される前の操作の受け付けを禁止すると共に、救急運転キースイッチ240をONにする操作が確認された後の操作を受け付ける。例えば、制御盤6は、乗りかご9に乗り込んだ救急隊がトランク用のキーを用いて救急運転キースイッチ240をONにする操作をした後に開閉ボタン21を押下操作した場合に、この操作を受け付けて扉装置16、17を閉じる制御を実行する。なお、このエレベータ制御システム201は、救急運転中であっても、必要に応じて救急運転キースイッチ240をOFF側に操作することで、適宜、エレベータ2を平常運転に復帰させることも可能である。
【0053】
次に、図13のフローチャートを参照してエレベータ制御システム201における救急運転制御の一例を説明する。
【0054】
制御盤6は、ボタンユニット20において、受信した救急信号に応じた住戸が存在する発報階への行先ボタンを自動登録した後(ST4)、所定の承認操作として救急運転キースイッチ240がONされたか否かを判定する(ST205)。制御盤6は、救急運転キースイッチ240がONされていないと判定した場合(ST205:No)、ONと判定されるまでこの判定を繰り返し行う。制御盤6は、救急運転キースイッチ240がONされたと判定した場合(ST205:Yes)、扉装置16、17を閉状態とし、昇降駆動部10を駆動制御し、乗りかご9を自動登録された発報階に直行移動させる(ST7)。
【0055】
同様に、制御盤6は、ボタンユニット20において、基準階への行先ボタンを自動登録した後(ST9)、所定の承認操作として救急運転キースイッチ240がONされたか否かを判定する(ST210)。制御盤6は、救急運転キースイッチ240がONされていないと判定した場合(ST210:No)、ONと判定されるまでこの判定を繰り返し行う。制御盤6は、救急運転キースイッチ240がONされたと判定した場合(ST210:Yes)、扉装置16、17を閉状態とし、昇降駆動部10を駆動制御し、乗りかご9を自動登録された基準階に直行移動させる(ST12)。
【0056】
上記のように構成されるエレベータ制御システム201、制御装置5は、例えば、救急の際に救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができ、適正に救急運転を行うことができる。そして、このエレベータ制御システム201、制御装置5は、例えば、トランク扉23の鍵構造24を開閉するためのキーを用いて救急運転キースイッチ240を操作し、所定の承認操作を行うことができることから、意図せず救急隊の活動を妨げるような操作がなされることを未然に防止した上で、1つの動作で承認操作を行うことができるのでより円滑に混乱なく救急活動を行わせることができる。
【0057】
[実施形態3]
図14は、実施形態3に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図、図15は、実施形態3に係る携帯通信端末機器の表示内容の一例を示す図である。実施形態3に係るエレベータ制御システム、制御装置は、携帯通信端末機器を発信器として兼用する点で実施形態1とは異なる。
【0058】
図14に示すように、本実施形態のエレベータ制御システム301は、発信器として、携帯電話機、PHS、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等の携帯通信端末機器303が兼用される。
【0059】
携帯通信端末機器303は、図15に表示内容を例示するように、エレベータ2が設置される建物、住居毎の特定サイトにアクセス可能である。各戸の居住者は、この特定サイトにて、症状、部屋番号等の情報を入力し、救急ボタンを選択する。これにより、携帯通信端末機器303は、救急信号を発信し、受信器4は、この救急信号を受信し、制御装置5の監視盤7に転送し、制御装置5は、この救急信号に応じて救急運転制御を実行する。この場合、制御盤6は、救急運転制御の案内制御として、救急運転中に、乗りかご案内装置39として兼用される表示部19によって、受信した救急信号に応じた住戸がある場所等と共に、救急患者の症状等もあわせて案内表示するようにしてもよい。なお、受信器4は、いわゆるアンテナ、インターネット等の種々の通信装置を介して、この携帯通信端末機器303からの救急信号を受信する構成であってもよい。また、部屋番号等の情報は、上記の特定サイトにて事前に登録することも可能である。
【0060】
上記のように構成されるエレベータ制御システム301、制御装置5は、例えば、救急の際に救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができ、適正に救急運転を行うことができる。そして、このエレベータ制御システム301、制御装置5は、発信器が携帯通信端末機器303によって兼用されることから、専用の発信器3が救急患者の手元になかったような場合であっても、携帯通信端末機器303を代用して救急信号の発信が可能であり、また、救急隊等に対して事前に救急患者の症状等に関する情報を知らせることもできることから、救急隊の救急活動をさらにスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0061】
なお、上述した実施形態に係るエレベータ制御システム、制御装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るエレベータ制御システム、制御装置は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。
【0062】
また、以上で説明した発信器は、携帯して移動可能な発信器3や携帯通信端末機器303によって構成され、受信器4に対して無線で救急信号を発信するものとして説明したがこれに限らない。
【0063】
図16は、変形例に係るエレベータ制御システムの概略構成例を示すブロック図である。このエレベータ制御システム401は、図16に示すように、エレベータ2が設置される建物の各戸に固定的に設置される発信器403を備える。この場合、各発信器403は、有線で受信器404と接続され、受信器404は、管理スペース32等に各階床14共通で1つが設置される構成であってもよい。また、受信器404は、監視盤7と一体で設けられてもよい。
【0064】
また、図17、図18、図19は、変形例に係るエレベータ制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
【0065】
例えば、制御盤6は、所定の承認操作の確認として、適正なコードの入力操作確認と救急運転キースイッチ240のON操作確認とを組み合わせてもよい。この場合、制御盤6は、例えば図17に示すように、ボタンユニット20において、受信した救急信号に応じた住戸が存在する発報階への行先ボタンを自動登録した後(ST4)、所定の承認操作として救急運転キースイッチ240がONされたか否かを判定する(ST205)。一方、制御盤6は、ボタンユニット20において、基準階への行先ボタンを自動登録した後(ST9)、所定の承認操作としてボタンユニット20へのコード入力操作がなされた後に開閉ボタン21の閉ボタンが押下操作され、当該入力されたコードが正常であったか否かを判定する(ST10)。このように構成した場合であっても、エレベータ制御システム、制御装置は、救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0066】
また、制御盤6は、図18に示すように、救急信号を受信した際に乗り場13からの乗り場呼び登録を無効にした後(ST1)、乗りかご9が現在の最終行先階登録階に到着するまで通常運転を行う制御(ST2)を省略し、すぐに乗りかご9を基準階に移動させ、この基準階にて乗客に降車を促し乗客を全て降ろした後、そのまま乗りかご9を基準階で待機させる(ST3)ようにしてもよい。このように構成した場合であっても、エレベータ制御システム、制御装置は、救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0067】
また、制御盤6は、図19に示すように、救急信号を受信した際に乗り場13からの乗り場呼び登録を無効にした後(ST1)、乗りかご9が最寄階に到着するまで通常運転を行い(ST2A)、最寄階にて乗客に降車を促し乗客を全て降ろした後、乗りかご9を基準階に移動させ、この基準階で待機させる(ST3)ようにしてもよい。このように構成した場合であっても、エレベータ制御システム、制御装置は、救急隊の救急活動をスムーズに行えるようにサポートすることができる。
【0068】
また、制御装置5は、例えば、エレベータ2が設置された建物内で2件以上の救急の要請があった場合には、最初の発報を優先し、その後は、管理人、救急隊等が監視盤7の発報LEDランプ35の点灯状態等を確認して、適宜対応するようにすればよい。
【0069】
また、以上の説明では、エレベータ制御システム1、201、301、401は、1台の乗りかご9からなるエレベータ2に適用されるものとして説明したが、これに限らず、複数台の乗りかご9を含むエレベータ群に適用され、これらを群管理運転するように構成されてもよい。この場合、制御装置5は、救急信号を受信した際には、平常運転制御を実行しているもののうちの所定の1台の乗りかご9を救急運転に切り替えて、残りの乗りかご9で平常運転を行うよう割り振って群管理制御してもよい。
【0070】
以上で説明した各実施形態、変形例に係るエレベータ制御システム、制御装置によれば、適正に救急運転を行うことができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1、201、301、401 エレベータ制御システム
2 エレベータ
3、403 発信器
4、404 受信器
5 制御装置
6 制御盤
7 監視盤
8 昇降路
9 乗りかご
13 乗り場
16、17 扉装置(扉)
18 かご操作盤
19、27 表示部
20、28 ボタンユニット
23 トランク扉
24 鍵構造
26 乗り場操作盤
35 発報LEDランプ
36 救急運転解除キースイッチ
37、237 入力部
38 乗り場案内装置
39 乗りかご案内装置
240 救急運転キースイッチ
303 携帯通信端末機器(発信器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごが昇降路を昇降可能であるエレベータと、
救急信号を発信可能である発信器と、
前記発信器からの前記救急信号を受信可能である受信器と、
前記受信器が前記救急信号を受信した場合に、当該受信した救急信号に基づいて、乗り場からの呼び登録を無効にし、前記乗りかごを予め設定された基準階で待機させ、前記受信した救急信号に応じた行先階を自動で呼び登録すると共に、所定の承認操作に応じて前記乗りかごを前記行先階に移動させた後に当該行先階で待機させ、前記基準階を自動で呼び登録する救急運転制御を実行する制御装置とを備えることを特徴とする、
エレベータ制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記救急運転制御として、前記基準階及び前記行先階で前記乗りかごの扉を開放状態で待機させる制御を実行する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
前記所定の承認操作を入力可能な入力部を備え、
前記制御装置は、前記救急運転制御として、前記入力部に前記所定の承認操作がなされない場合、前記乗りかごの昇降を行わない制御を実行する、
請求項1又は請求項2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記乗り場に設けられる乗り場案内装置と、
前記乗りかごに設けられる乗りかご案内装置とを備え、
前記制御装置は、前記救急運転制御として、前記乗り場案内装置によって救急運転中である旨を案内し、前記乗りかご案内装置によって前記救急信号に応じた場所を案内する制御を実行する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記発信器は、携帯通信端末機器によって兼用される、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
受信器が発信器からの救急信号を受信した場合に、当該受信した救急信号に基づいてエレベータの乗り場からの呼び登録を無効にし、エレベータの乗りかごを予め設定された基準階で待機させ、前記受信した救急信号に応じた行先階を自動で呼び登録すると共に、所定の承認操作に応じて前記乗りかごを前記行き先階に移動させた後に当該行先階で待機させ、前記基準階を自動で呼び登録する救急運転制御を実行することを特徴とする、
制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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