エレベータ操作盤
【課題】従来技術においては、操作性の向上の点でさらなる改善の余地がある。
【解決手段】実施形態のエレベータ操作盤は、柱状の操作盤設置構造物と、操作盤本体とを備える。柱状の操作盤設置構造物は、側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される。操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である。
【解決手段】実施形態のエレベータ操作盤は、柱状の操作盤設置構造物と、操作盤本体とを備える。柱状の操作盤設置構造物は、側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される。操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータは、昇降路内を乗りかごが移動することにより、乗りかごを任意の階床に移動させるが、このようなエレベータには、乗りかご内や乗り場に種々の操作盤が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−117407公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、操作性の向上の点でさらなる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ操作盤は、柱状の操作盤設置構造物と、操作盤本体とを備える。柱状の操作盤設置構造物は、側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される。操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る乗りかごの平面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分断面図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分分解断面図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分断面図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図9】図9は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図である。
【図10】図10は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図である。
【図11】図11は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体近傍の部分斜視図である。
【図12】図12は、実施形態4に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図、図2は、実施形態1に係る乗りかごの平面図、図3は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分斜視図、図4は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分断面図、図5は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分分解断面図、図6は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分断面図である。
【0008】
本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1に示すように、エレベータ2の乗りかご3内に設けられ、この乗りかご3内の利用者が種々の操作を行うものである。このエレベータ操作盤1が適用されるエレベータ2は、乗りかご3が昇降路内を昇降することで任意の目的階の乗り場に移動することができるものである。
【0009】
エレベータ2は、例えば、利用者によりエレベータ操作盤1や乗り場に設けられた操作盤等を介して呼び操作が行われた場合に、エレベータ操作盤1、乗り場に設けられた操作盤から制御装置4に呼び登録信号が入力され、制御装置4がこの呼び登録信号に応じて乗りかご3の呼び登録を行う。そして、制御装置4は、この呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご3の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご3が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご3の着床順序を定め、巻上機等を含んで構成される昇降駆動部5を駆動制御し、乗りかご3を目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ2は、乗りかご3が昇降路内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場に移動する。そして、エレベータ2は、乗りかご3が目的階の乗り場に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、制御装置4が扉6を開放する。これにより、乗り場で待機している利用者は、乗りかご3内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご3内の利用者は乗り場に降りることが可能となる。
【0010】
そして、本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1、図2に示すように、操作盤設置構造物7と、操作盤本体8とを備え、操作盤本体8が設けられる操作盤設置構造物7を所定の設置位置に設けることで、操作性の向上を図っている。
【0011】
ここで、乗りかご3は、側板9とかご床10と天井11とを含んで構成される。乗りかご3は、水平方向を区画する側板9と、鉛直方向下側を区画するかご床10と、鉛直方向上側を区画する天井11とにより囲まれた概略箱状であり、四方を囲む側板9のうちの一面に扉6及び袖壁(戸袋、あるいは、リターンパネル)12が設けられている。
【0012】
本実施形態のエレベータ操作盤1は、水平方向に対して操作盤設置構造物7を側板9から離れた所定の設置位置に設け、この操作盤設置構造物7の外面7aに利用者が操作する操作盤本体8を設ける。
【0013】
具体的には、操作盤設置構造物7は、外面7aが水平方向に沿って多方向を向いた構造物であり、ここでは、いわゆる全方向型の形状をなす構造物である。本実施形態の操作盤設置構造物7は、鉛直方向に沿った円筒形状(あるいは円柱形状)の形状をなす構造物である。すなわち、操作盤設置構造物7は、水平方向に沿った断面形状が円形をなしている。
【0014】
操作盤設置構造物7は、乗りかご3内に設けられる。操作盤設置構造物7は、かご床10あるいは天井11に設けられる。ここでは、操作盤設置構造物7は、鉛直方向に沿ってかご床10から天井11まで延在して設けられる。
【0015】
操作盤設置構造物7は、かご床10、天井11において側板9から離れた設置位置に設けられる。すなわち、操作盤設置構造物7は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。操作盤設置構造物7は、鉛直方向下端部7bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部7cが天井11に固定される。
【0016】
ここで、操作盤設置構造物7は、図3、図4に示すように、下端部7b又はかご床10の一方に設けられる突起部13と、下端部7b又はかご床10の他方に設けられる係合部14とが係合して位置決めされる。ここでは、突起部13は、下端部7bに設けられ、係合部14は、かご床10に設けられる。
【0017】
突起部13は、操作盤設置構造物7の下端部7bから鉛直方向下側に向けて突出すように形成される。突起部13は、操作盤設置構造物7と一体に形成されてもよいし、操作盤設置構造物7とは別体に形成された上で、溶接等で接合されてもよい。係合部14は、かご床10において側板9から離れた上記設置位置に孔部として形成される。操作盤設置構造物7は、突起部13が係合部14に挿入され係合することで、下端部7bとかご床10との水平方向への相対移動が規制され、この下端部7bがかご床10上の所定の設置位置に位置決めされる。
【0018】
一方、操作盤設置構造物7は、図5、図6に示すように、上端部7cが締結部材15によって天井11に締結される。操作盤設置構造物7は、上端部7cに締結穴16が形成されている。操作盤設置構造物7は、上端部7cに天井11をのせた後、この天井11を挟んで締結穴16にボルト等の締結部材15が締結されることで、上端部7cと天井11との水平方向への相対移動が規制され、この上端部7cが天井11に固定される。
【0019】
したがって、操作盤設置構造物7は、下端部7bが突起部13、係合部14を介してかご床10に位置決めされ、上端部7cが締結部材15、締結穴16を介して天井11に固定される。これにより、例えば、作業員は、乗りかご3の製造時に操作盤設置構造物7を簡単な作業で容易に適切な設置位置に設置することができる。
【0020】
また、操作盤設置構造物7は、図4に示すように、下端部7bとかご床10との間に防振部材17が設けられる。防振部材17は、例えば、ゴム状のシート等の弾性部材によって構成される。これにより、操作盤設置構造物7は、防振部材17にて振動の発生、伝達が抑制され、例えば、きしみ音等の異音を抑制することができる。
【0021】
図1に戻って、操作盤本体8は、側板9や扉6脇の袖壁12ではなく、操作盤設置構造物7の外面7aに設けられる。操作盤本体8は、エレベータ2を操作するための種々の操作部を収めた操作盤(COP:Car Operation Panerl)であり、利用者が操作するものである。操作盤本体8は、水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。
【0022】
本実施形態の操作盤本体8は、操作盤設置構造物7の全周にわたって設けられるタッチパネル18を含んで構成される。タッチパネル18は、操作盤設置構造物7を鉛直方向周りに覆うように設けられる。言い換えれば、タッチパネル18は、操作盤設置構造物7の外面7aに円環状に設けられる。
【0023】
タッチパネル18は、例えば、液晶表示装置などの画像表示装置、この画像表示装置に重ね合わせて設けられる抵抗膜式、赤外線式、電磁誘導式、静電容量式、音響パルス式、表面弾性波式など種々の形式のタッチパネル部等を含んで構成される。操作盤本体8は、タッチパネル18の本体部が操作盤設置構造物7内に内蔵されると共に、表面に表示される操作領域19が操作盤設置構造物7の外面7aに露出するようにして操作盤設置構造物7に組み付けられる。操作領域19は、それぞれに行先階の数字等が表記され、利用者による種々の操作を受け付けるための領域である。この場合、操作盤本体8は、タッチパネル18を操作盤設置構造物7の外面7aに沿って湾曲した形状で設けることで、例えば、1つのタッチパネル18によって水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周に渡って各操作領域19を構成することができる。
【0024】
したがって、操作盤本体8は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも、タッチパネル18を介して利用者の操作を受け付けることができる。つまり、利用者は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の360°いずれの方向からでもタッチパネル18の操作領域19に触れて行先階を登録することができる。そして、制御装置4は、利用者によって触れられた操作領域19に応じて行先階を登録することができる。
【0025】
なお、上記タッチパネル18は、一例として、行先階登録用の操作領域19を図示しているが、これに限らず、扉6の開閉操作を受け付ける扉開閉操作用の操作領域や緊急に呼び出し用の操作領域等を含んで構成されてもよい。また、この操作盤本体8は、操作領域19を構成するタッチパネル18に加えて、利用者に対して乗りかご3の運転方向、現在階などの種々の運行情報を表示する表示装置やスピーカ、マイク等も一緒に設けられてもよい。
【0026】
上記のように構成されるエレベータ操作盤1は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体8の操作領域19を操作することができる。すなわち、図2に例示するように、乗りかご3の利用者20が相対的に多く混雑している場合や側板9、袖壁12等の前に利用者20が位置しているような場合であっても、利用者20は、乗りかご3内のほぼ中央部に位置する操作盤設置構造物7の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。したがって、エレベータ操作盤1は、例えば、乗りかご3内のどの位置からでも比較的に容易に操作盤本体8を操作することができ、操作性を向上することができる。
【0027】
また、エレベータ操作盤1は、例えば、側板9や袖壁12の一部又は全部が透明部材により構成され外界の景色を展望できる展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、側板9や袖壁12に操作盤を設けなくてもよいことから、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。例えば、操作盤自体を透明な素材で作成することで視界を妨げない構造とすることも可能であるが、この場合であっても操作盤の全体で完全な透過性を得ることは難しいが、本実施形態のエレベータ操作盤1であれば、確実に良好な視界を確保することができ、例えば、デザイン性を向上することができる。
【0028】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤1によれば、柱状の操作盤設置構造物7と、操作盤本体8とを備える。操作盤設置構造物7は、側板9とかご床10と天井11とを含んで構成されるエレベータ2の乗りかご3内に設けられ、かご床10あるいは天井11の側板9から離れた設置位置に設置される。操作盤本体8は、操作盤設置構造物7に設けられ水平方向に沿ってこの操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。したがって、エレベータ操作盤1は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体8を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0029】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。実施形態2に係るエレベータ操作盤は、操作盤設置構造物の形状が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する実施形態でも同様である。)。
【0030】
本実施形態のエレベータ操作盤201は、図7に示すように、操作盤設置構造物207と、操作盤本体208とを備える。
【0031】
操作盤設置構造物207は、上述したような円筒形状に限らず、三角形、四角形、五角形、六角形、・・・等の多角形筒形状(あるいは多角形柱形状)であってもよいし、楕円筒状形状等であってもよい。本実施形態の操作盤設置構造物207は、鉛直方向に沿った四角形筒形状(あるいは四角形柱形状)の形状をなす構造物である。すなわち、操作盤設置構造物207は、水平方向に沿った断面形状が矩形をなしている。操作盤設置構造物207は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。操作盤設置構造物207は、鉛直方向に沿ってかご床10から天井11まで延在して設けられ、鉛直方向下端部207bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部207cが天井11に固定される。
【0032】
操作盤本体208は、操作盤設置構造物207の外面207aに設けられる。操作盤本体208は、操作盤設置構造物207の全周にわたって設けられるタッチパネル218を含んで構成される。タッチパネル218は、操作盤設置構造物207を鉛直方向周りに覆うように設けられる。言い換えれば、タッチパネル218は、操作盤設置構造物207の外面207aに4面が一体で設けられる。操作盤本体208は、タッチパネル218の本体部が操作盤設置構造物207内に内蔵されると共に、表面に表示される操作領域19が操作盤設置構造物207の外面207aに露出するようにして操作盤設置構造物207に組み付けられる。
【0033】
上記のように構成されるエレベータ操作盤201は、操作盤設置構造物207が四角形筒形状であっても、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物207の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物207の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤201は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。
【0034】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤201は、利用者が操作盤設置構造物207の周囲の多方向から操作盤本体208を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0035】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図、図9、図10は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図、図11は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体近傍の部分斜視図である。実施形態3に係るエレベータ操作盤は、操作盤本体の構造が実施形態1とは異なる。
【0036】
本実施形態のエレベータ操作盤301は、図8に示すように、操作盤設置構造物7と、操作盤本体308とを備える。操作盤設置構造物7は、上述と同様に、鉛直方向に沿った円筒形状に形成され、鉛直方向下端部7bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部7cが天井11に固定される。
【0037】
そして、本実施形態の操作盤本体308は、操作盤設置構造物7の外面7aに設けられ、水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。本実施形態の操作盤本体308は、操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材としての外郭部322を有し、外郭部322の相対移動に伴って操作を受け付ける。
【0038】
具体的には、操作盤本体308は、図9、図10、図11に示すように、芯ズレボタン321を含んで構成される。芯ズレボタン321は、外郭部322と、中心部323と、バネ324と、接点部325とを含んで構成される。
【0039】
外郭部322は、操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材である。外郭部322は、円筒形状に形成される。外郭部322は、外径が操作盤設置構造物7の外径とほぼ同等に形成される。外郭部322は、操作盤設置構造物7の中間部分(利用者の手の位置くらいの高さの部分、典型的には、1m30cmくらいの高さの部分)に、鉛直方向に沿って複数個、ここでは4つが積み重ねられるようにして設けられる。各外郭部322は、外周面にそれぞれに対応する行先階の数字等が表記され、外周面が利用者による種々の操作を受け付けるための面となる。なお、外郭部322は、一例として、それぞれに対応する行先階の数字等が表記されるものとして例示しているが、これに限らず、扉6の開閉操作を受け付ける扉開閉操作用の表記や緊急に呼び出し用の表記等がなされたものを含んでいてもよい。
【0040】
中心部323は、外郭部322の相対移動の基準となる中心部材であり、外郭部322を保持するための基礎部分となるものである。中心部323は、円柱状に形成される。中心部323は、鉛直方向に沿って各外郭部322の内周面側に挿入され、両端が操作盤設置構造物7に固定される。
【0041】
バネ324は、各外郭部322の内周面と中心部323の外周面とを連結するものである。バネ324は、外郭部322の内周面、中心部323の外周面に、周方向に沿って等間隔で複数個、ここでは1つの外郭部322に対して8つが設けられる。複数のバネ324は、周方向に沿って放射状に配置され、それぞれ一端が外郭部322の内周面に連結され他端が中心部323の外周面に接続される。各バネ324は、中心部323に対して各外郭部322を弾性支持する。各外郭部322は、基本的には利用者による操作がなされていない状態では、各バネ324によって中心部323に弾性支持されて各外周面が操作盤設置構造物7の外周面とほぼ揃う位置で保持される。
【0042】
接点部325は、各外郭部322に対する操作を検出するものである。接点部325は、中心部323の外周面に、周方向に沿って等間隔で複数個、ここでは1つの外郭部322に対して8つが設けられる。各接点部325は、外郭部322に対する操作に応じて接点が通電したことを感知、検出し、検出信号を制御装置4に入力する。これにより、芯ズレボタン321は、全体として接点通電式の押下ボタンをなす。
【0043】
したがって、この操作盤本体308は、芯ズレボタン321が外郭部322の相対移動に伴って操作を受け付けることができる。すなわち、芯ズレボタン321は、図9に示す状態から利用者がいずれかの外郭部322を中心部323側に押し込む操作(押下操作)を行うと、図10、図11に示すように、押された外郭部322が各バネ324を変形させつつ操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動する。そして、芯ズレボタン321は、相対移動した外郭部322の内周面がいずれかの接点部325に当接することで、接点部325が通電し各外郭部322に対する操作が検出され、検出信号が制御装置4に入力される。これにより、操作盤本体308は、どの方向から外郭部322が押し込まれても、利用者による操作を受け付けることができる。そして、芯ズレボタン321は、利用者による押し込み操作が解除されると、各バネ324の付勢力によって外郭部322が所定の位置に戻され、再び、外郭部322の外周面が操作盤設置構造物7の外周面とほぼ揃う位置で保持されるようになる。
【0044】
この結果、操作盤本体308は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも、外郭部322を介して利用者の操作を受け付けることができる。つまり、利用者は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の360°いずれの方向からでも外郭部322を押して行先階を登録することができる。そして、制御装置4は、利用者によって押された外郭部322に応じて行先階を登録することができる。
【0045】
上記のように構成されるエレベータ操作盤301は、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物7の操作盤本体308に対して、操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤301は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。
【0046】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤301は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体308を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0047】
[実施形態4]
図12は、実施形態4に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。実施形態4に係るエレベータ操作盤は、操作盤設置構造物の形状が実施形態1とは異なる。
【0048】
本実施形態のエレベータ操作盤401は、図12に示すように、操作盤設置構造物407と、操作盤本体8とを備える。操作盤本体8は、上述と同様に、操作盤設置構造物407の外面407aに設けられ、操作盤設置構造物407の全周にわたって設けられるタッチパネル18を含んで構成される。
【0049】
操作盤設置構造物407は、鉛直方向に沿った円筒形状(あるいは円柱形状)の形状をなす構造物である。操作盤設置構造物407は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。そして、本実施形態の操作盤設置構造物407は、下端部407bがかご床10に固定され、上端部407cが鉛直方向に対して予め設定された所定高さに位置する。つまり、この操作盤設置構造物407は、乗りかご3内において、かご床10から天井11まで通しで設けるのではなく、上端部407cが利用者の手の位置くらいまでの高さ、典型的には、1m30cmくらいまでの高さに位置する。ここでは、操作盤設置構造物407は、下端部407bがボルト等の締結部材によってかご床10に締結される。
【0050】
上記のように構成されるエレベータ操作盤401は、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物407の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物407の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤401は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。さらに、このエレベータ操作盤401は、操作盤設置構造物407の上端部407cが鉛直方向に対して予め設定された所定高さに位置することから、この操作盤設置構造物407が利用者に対して与える圧迫感を抑制することができる。
【0051】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤401は、利用者が操作盤設置構造物407の周囲の多方向から操作盤本体8を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0052】
なお、上述した実施形態に係るエレベータ操作盤は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るエレベータ操作盤は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0053】
以上の説明では、突起部は、操作盤設置構造物の下端部に設けられ、係合部は、かご床に設けられるものとして説明したが、これに限らず、突起部がかご床に設けられ、係合部が操作盤設置構造物の下端部に設けられてもよい。また、操作盤設置構造物は、上端部又はかご床の一方に設けられる突起部と上端部又は前記かご床の他方に設けられる係合部とが係合して位置決めされ、下端部が締結部材によって天井に締結される構成であってもよい。
【0054】
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータ操作盤によれば、操作性を向上することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1、201、301、401 エレベータ操作盤
2 エレベータ
3 乗りかご
7、207、407 操作盤設置構造物
7a、207a、407a 外面
7b、207b、407b 下端部
7c、207c、407c 上端部
8、208、308 操作盤本体
9 側板
10 床
11 天井
12 袖壁
13 突起部
14 係合部
15 締結部材
16 締結穴
17 防振部材
18、218 タッチパネル
19 操作領域
321 芯ズレボタン
322 外郭部(可動部材)
323 中心部
324 バネ
325 接点部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータは、昇降路内を乗りかごが移動することにより、乗りかごを任意の階床に移動させるが、このようなエレベータには、乗りかご内や乗り場に種々の操作盤が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−117407公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、操作性の向上の点でさらなる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のエレベータ操作盤は、柱状の操作盤設置構造物と、操作盤本体とを備える。柱状の操作盤設置構造物は、側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される。操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る乗りかごの平面図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分断面図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分分解断面図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分断面図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図8】図8は、実施形態3に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【図9】図9は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図である。
【図10】図10は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図である。
【図11】図11は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体近傍の部分斜視図である。
【図12】図12は、実施形態4に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図、図2は、実施形態1に係る乗りかごの平面図、図3は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分斜視図、図4は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の下端部近傍の部分断面図、図5は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分分解断面図、図6は、実施形態1に係る操作盤設置構造物の上端部近傍の部分断面図である。
【0008】
本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1に示すように、エレベータ2の乗りかご3内に設けられ、この乗りかご3内の利用者が種々の操作を行うものである。このエレベータ操作盤1が適用されるエレベータ2は、乗りかご3が昇降路内を昇降することで任意の目的階の乗り場に移動することができるものである。
【0009】
エレベータ2は、例えば、利用者によりエレベータ操作盤1や乗り場に設けられた操作盤等を介して呼び操作が行われた場合に、エレベータ操作盤1、乗り場に設けられた操作盤から制御装置4に呼び登録信号が入力され、制御装置4がこの呼び登録信号に応じて乗りかご3の呼び登録を行う。そして、制御装置4は、この呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご3の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご3が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご3の着床順序を定め、巻上機等を含んで構成される昇降駆動部5を駆動制御し、乗りかご3を目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ2は、乗りかご3が昇降路内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場に移動する。そして、エレベータ2は、乗りかご3が目的階の乗り場に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、制御装置4が扉6を開放する。これにより、乗り場で待機している利用者は、乗りかご3内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご3内の利用者は乗り場に降りることが可能となる。
【0010】
そして、本実施形態のエレベータ操作盤1は、図1、図2に示すように、操作盤設置構造物7と、操作盤本体8とを備え、操作盤本体8が設けられる操作盤設置構造物7を所定の設置位置に設けることで、操作性の向上を図っている。
【0011】
ここで、乗りかご3は、側板9とかご床10と天井11とを含んで構成される。乗りかご3は、水平方向を区画する側板9と、鉛直方向下側を区画するかご床10と、鉛直方向上側を区画する天井11とにより囲まれた概略箱状であり、四方を囲む側板9のうちの一面に扉6及び袖壁(戸袋、あるいは、リターンパネル)12が設けられている。
【0012】
本実施形態のエレベータ操作盤1は、水平方向に対して操作盤設置構造物7を側板9から離れた所定の設置位置に設け、この操作盤設置構造物7の外面7aに利用者が操作する操作盤本体8を設ける。
【0013】
具体的には、操作盤設置構造物7は、外面7aが水平方向に沿って多方向を向いた構造物であり、ここでは、いわゆる全方向型の形状をなす構造物である。本実施形態の操作盤設置構造物7は、鉛直方向に沿った円筒形状(あるいは円柱形状)の形状をなす構造物である。すなわち、操作盤設置構造物7は、水平方向に沿った断面形状が円形をなしている。
【0014】
操作盤設置構造物7は、乗りかご3内に設けられる。操作盤設置構造物7は、かご床10あるいは天井11に設けられる。ここでは、操作盤設置構造物7は、鉛直方向に沿ってかご床10から天井11まで延在して設けられる。
【0015】
操作盤設置構造物7は、かご床10、天井11において側板9から離れた設置位置に設けられる。すなわち、操作盤設置構造物7は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。操作盤設置構造物7は、鉛直方向下端部7bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部7cが天井11に固定される。
【0016】
ここで、操作盤設置構造物7は、図3、図4に示すように、下端部7b又はかご床10の一方に設けられる突起部13と、下端部7b又はかご床10の他方に設けられる係合部14とが係合して位置決めされる。ここでは、突起部13は、下端部7bに設けられ、係合部14は、かご床10に設けられる。
【0017】
突起部13は、操作盤設置構造物7の下端部7bから鉛直方向下側に向けて突出すように形成される。突起部13は、操作盤設置構造物7と一体に形成されてもよいし、操作盤設置構造物7とは別体に形成された上で、溶接等で接合されてもよい。係合部14は、かご床10において側板9から離れた上記設置位置に孔部として形成される。操作盤設置構造物7は、突起部13が係合部14に挿入され係合することで、下端部7bとかご床10との水平方向への相対移動が規制され、この下端部7bがかご床10上の所定の設置位置に位置決めされる。
【0018】
一方、操作盤設置構造物7は、図5、図6に示すように、上端部7cが締結部材15によって天井11に締結される。操作盤設置構造物7は、上端部7cに締結穴16が形成されている。操作盤設置構造物7は、上端部7cに天井11をのせた後、この天井11を挟んで締結穴16にボルト等の締結部材15が締結されることで、上端部7cと天井11との水平方向への相対移動が規制され、この上端部7cが天井11に固定される。
【0019】
したがって、操作盤設置構造物7は、下端部7bが突起部13、係合部14を介してかご床10に位置決めされ、上端部7cが締結部材15、締結穴16を介して天井11に固定される。これにより、例えば、作業員は、乗りかご3の製造時に操作盤設置構造物7を簡単な作業で容易に適切な設置位置に設置することができる。
【0020】
また、操作盤設置構造物7は、図4に示すように、下端部7bとかご床10との間に防振部材17が設けられる。防振部材17は、例えば、ゴム状のシート等の弾性部材によって構成される。これにより、操作盤設置構造物7は、防振部材17にて振動の発生、伝達が抑制され、例えば、きしみ音等の異音を抑制することができる。
【0021】
図1に戻って、操作盤本体8は、側板9や扉6脇の袖壁12ではなく、操作盤設置構造物7の外面7aに設けられる。操作盤本体8は、エレベータ2を操作するための種々の操作部を収めた操作盤(COP:Car Operation Panerl)であり、利用者が操作するものである。操作盤本体8は、水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。
【0022】
本実施形態の操作盤本体8は、操作盤設置構造物7の全周にわたって設けられるタッチパネル18を含んで構成される。タッチパネル18は、操作盤設置構造物7を鉛直方向周りに覆うように設けられる。言い換えれば、タッチパネル18は、操作盤設置構造物7の外面7aに円環状に設けられる。
【0023】
タッチパネル18は、例えば、液晶表示装置などの画像表示装置、この画像表示装置に重ね合わせて設けられる抵抗膜式、赤外線式、電磁誘導式、静電容量式、音響パルス式、表面弾性波式など種々の形式のタッチパネル部等を含んで構成される。操作盤本体8は、タッチパネル18の本体部が操作盤設置構造物7内に内蔵されると共に、表面に表示される操作領域19が操作盤設置構造物7の外面7aに露出するようにして操作盤設置構造物7に組み付けられる。操作領域19は、それぞれに行先階の数字等が表記され、利用者による種々の操作を受け付けるための領域である。この場合、操作盤本体8は、タッチパネル18を操作盤設置構造物7の外面7aに沿って湾曲した形状で設けることで、例えば、1つのタッチパネル18によって水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周に渡って各操作領域19を構成することができる。
【0024】
したがって、操作盤本体8は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも、タッチパネル18を介して利用者の操作を受け付けることができる。つまり、利用者は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の360°いずれの方向からでもタッチパネル18の操作領域19に触れて行先階を登録することができる。そして、制御装置4は、利用者によって触れられた操作領域19に応じて行先階を登録することができる。
【0025】
なお、上記タッチパネル18は、一例として、行先階登録用の操作領域19を図示しているが、これに限らず、扉6の開閉操作を受け付ける扉開閉操作用の操作領域や緊急に呼び出し用の操作領域等を含んで構成されてもよい。また、この操作盤本体8は、操作領域19を構成するタッチパネル18に加えて、利用者に対して乗りかご3の運転方向、現在階などの種々の運行情報を表示する表示装置やスピーカ、マイク等も一緒に設けられてもよい。
【0026】
上記のように構成されるエレベータ操作盤1は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体8の操作領域19を操作することができる。すなわち、図2に例示するように、乗りかご3の利用者20が相対的に多く混雑している場合や側板9、袖壁12等の前に利用者20が位置しているような場合であっても、利用者20は、乗りかご3内のほぼ中央部に位置する操作盤設置構造物7の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。したがって、エレベータ操作盤1は、例えば、乗りかご3内のどの位置からでも比較的に容易に操作盤本体8を操作することができ、操作性を向上することができる。
【0027】
また、エレベータ操作盤1は、例えば、側板9や袖壁12の一部又は全部が透明部材により構成され外界の景色を展望できる展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、側板9や袖壁12に操作盤を設けなくてもよいことから、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。例えば、操作盤自体を透明な素材で作成することで視界を妨げない構造とすることも可能であるが、この場合であっても操作盤の全体で完全な透過性を得ることは難しいが、本実施形態のエレベータ操作盤1であれば、確実に良好な視界を確保することができ、例えば、デザイン性を向上することができる。
【0028】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤1によれば、柱状の操作盤設置構造物7と、操作盤本体8とを備える。操作盤設置構造物7は、側板9とかご床10と天井11とを含んで構成されるエレベータ2の乗りかご3内に設けられ、かご床10あるいは天井11の側板9から離れた設置位置に設置される。操作盤本体8は、操作盤設置構造物7に設けられ水平方向に沿ってこの操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。したがって、エレベータ操作盤1は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体8を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0029】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。実施形態2に係るエレベータ操作盤は、操作盤設置構造物の形状が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する実施形態でも同様である。)。
【0030】
本実施形態のエレベータ操作盤201は、図7に示すように、操作盤設置構造物207と、操作盤本体208とを備える。
【0031】
操作盤設置構造物207は、上述したような円筒形状に限らず、三角形、四角形、五角形、六角形、・・・等の多角形筒形状(あるいは多角形柱形状)であってもよいし、楕円筒状形状等であってもよい。本実施形態の操作盤設置構造物207は、鉛直方向に沿った四角形筒形状(あるいは四角形柱形状)の形状をなす構造物である。すなわち、操作盤設置構造物207は、水平方向に沿った断面形状が矩形をなしている。操作盤設置構造物207は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。操作盤設置構造物207は、鉛直方向に沿ってかご床10から天井11まで延在して設けられ、鉛直方向下端部207bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部207cが天井11に固定される。
【0032】
操作盤本体208は、操作盤設置構造物207の外面207aに設けられる。操作盤本体208は、操作盤設置構造物207の全周にわたって設けられるタッチパネル218を含んで構成される。タッチパネル218は、操作盤設置構造物207を鉛直方向周りに覆うように設けられる。言い換えれば、タッチパネル218は、操作盤設置構造物207の外面207aに4面が一体で設けられる。操作盤本体208は、タッチパネル218の本体部が操作盤設置構造物207内に内蔵されると共に、表面に表示される操作領域19が操作盤設置構造物207の外面207aに露出するようにして操作盤設置構造物207に組み付けられる。
【0033】
上記のように構成されるエレベータ操作盤201は、操作盤設置構造物207が四角形筒形状であっても、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物207の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物207の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤201は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。
【0034】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤201は、利用者が操作盤設置構造物207の周囲の多方向から操作盤本体208を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0035】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図、図9、図10は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体の水平方向に沿った断面図、図11は、実施形態3に係るエレベータ操作盤の操作盤本体近傍の部分斜視図である。実施形態3に係るエレベータ操作盤は、操作盤本体の構造が実施形態1とは異なる。
【0036】
本実施形態のエレベータ操作盤301は、図8に示すように、操作盤設置構造物7と、操作盤本体308とを備える。操作盤設置構造物7は、上述と同様に、鉛直方向に沿った円筒形状に形成され、鉛直方向下端部7bがかご床10に固定され、鉛直方向上端部7cが天井11に固定される。
【0037】
そして、本実施形態の操作盤本体308は、操作盤設置構造物7の外面7aに設けられ、水平方向に沿って操作盤設置構造物7の全周から操作を受け付け可能である。本実施形態の操作盤本体308は、操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材としての外郭部322を有し、外郭部322の相対移動に伴って操作を受け付ける。
【0038】
具体的には、操作盤本体308は、図9、図10、図11に示すように、芯ズレボタン321を含んで構成される。芯ズレボタン321は、外郭部322と、中心部323と、バネ324と、接点部325とを含んで構成される。
【0039】
外郭部322は、操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材である。外郭部322は、円筒形状に形成される。外郭部322は、外径が操作盤設置構造物7の外径とほぼ同等に形成される。外郭部322は、操作盤設置構造物7の中間部分(利用者の手の位置くらいの高さの部分、典型的には、1m30cmくらいの高さの部分)に、鉛直方向に沿って複数個、ここでは4つが積み重ねられるようにして設けられる。各外郭部322は、外周面にそれぞれに対応する行先階の数字等が表記され、外周面が利用者による種々の操作を受け付けるための面となる。なお、外郭部322は、一例として、それぞれに対応する行先階の数字等が表記されるものとして例示しているが、これに限らず、扉6の開閉操作を受け付ける扉開閉操作用の表記や緊急に呼び出し用の表記等がなされたものを含んでいてもよい。
【0040】
中心部323は、外郭部322の相対移動の基準となる中心部材であり、外郭部322を保持するための基礎部分となるものである。中心部323は、円柱状に形成される。中心部323は、鉛直方向に沿って各外郭部322の内周面側に挿入され、両端が操作盤設置構造物7に固定される。
【0041】
バネ324は、各外郭部322の内周面と中心部323の外周面とを連結するものである。バネ324は、外郭部322の内周面、中心部323の外周面に、周方向に沿って等間隔で複数個、ここでは1つの外郭部322に対して8つが設けられる。複数のバネ324は、周方向に沿って放射状に配置され、それぞれ一端が外郭部322の内周面に連結され他端が中心部323の外周面に接続される。各バネ324は、中心部323に対して各外郭部322を弾性支持する。各外郭部322は、基本的には利用者による操作がなされていない状態では、各バネ324によって中心部323に弾性支持されて各外周面が操作盤設置構造物7の外周面とほぼ揃う位置で保持される。
【0042】
接点部325は、各外郭部322に対する操作を検出するものである。接点部325は、中心部323の外周面に、周方向に沿って等間隔で複数個、ここでは1つの外郭部322に対して8つが設けられる。各接点部325は、外郭部322に対する操作に応じて接点が通電したことを感知、検出し、検出信号を制御装置4に入力する。これにより、芯ズレボタン321は、全体として接点通電式の押下ボタンをなす。
【0043】
したがって、この操作盤本体308は、芯ズレボタン321が外郭部322の相対移動に伴って操作を受け付けることができる。すなわち、芯ズレボタン321は、図9に示す状態から利用者がいずれかの外郭部322を中心部323側に押し込む操作(押下操作)を行うと、図10、図11に示すように、押された外郭部322が各バネ324を変形させつつ操作盤設置構造物7に対して水平方向に沿って相対移動する。そして、芯ズレボタン321は、相対移動した外郭部322の内周面がいずれかの接点部325に当接することで、接点部325が通電し各外郭部322に対する操作が検出され、検出信号が制御装置4に入力される。これにより、操作盤本体308は、どの方向から外郭部322が押し込まれても、利用者による操作を受け付けることができる。そして、芯ズレボタン321は、利用者による押し込み操作が解除されると、各バネ324の付勢力によって外郭部322が所定の位置に戻され、再び、外郭部322の外周面が操作盤設置構造物7の外周面とほぼ揃う位置で保持されるようになる。
【0044】
この結果、操作盤本体308は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも、外郭部322を介して利用者の操作を受け付けることができる。つまり、利用者は、水平方向に対して操作盤設置構造物7の360°いずれの方向からでも外郭部322を押して行先階を登録することができる。そして、制御装置4は、利用者によって押された外郭部322に応じて行先階を登録することができる。
【0045】
上記のように構成されるエレベータ操作盤301は、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物7の操作盤本体308に対して、操作盤設置構造物7の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤301は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。
【0046】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤301は、利用者が操作盤設置構造物7の周囲の多方向から操作盤本体308を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0047】
[実施形態4]
図12は、実施形態4に係る乗りかごの概略構成例を示す模式的斜視図である。実施形態4に係るエレベータ操作盤は、操作盤設置構造物の形状が実施形態1とは異なる。
【0048】
本実施形態のエレベータ操作盤401は、図12に示すように、操作盤設置構造物407と、操作盤本体8とを備える。操作盤本体8は、上述と同様に、操作盤設置構造物407の外面407aに設けられ、操作盤設置構造物407の全周にわたって設けられるタッチパネル18を含んで構成される。
【0049】
操作盤設置構造物407は、鉛直方向に沿った円筒形状(あるいは円柱形状)の形状をなす構造物である。操作盤設置構造物407は、水平方向に対して乗りかご3内の側板9から離れた中央部付近の設置位置に設置される。そして、本実施形態の操作盤設置構造物407は、下端部407bがかご床10に固定され、上端部407cが鉛直方向に対して予め設定された所定高さに位置する。つまり、この操作盤設置構造物407は、乗りかご3内において、かご床10から天井11まで通しで設けるのではなく、上端部407cが利用者の手の位置くらいまでの高さ、典型的には、1m30cmくらいまでの高さに位置する。ここでは、操作盤設置構造物407は、下端部407bがボルト等の締結部材によってかご床10に締結される。
【0050】
上記のように構成されるエレベータ操作盤401は、利用者が乗りかご3内のほぼ中央部に位置するこの操作盤設置構造物407の操作盤本体8に対して、操作盤設置構造物407の全周のいずれの方向からでも容易に操作を行うことができる。また、エレベータ操作盤401は、例えば、展望用のエレベータ2の乗りかご3に適用された場合には、外界に対して水平方向の360°全体にわたって良好な視界を確保することができる。さらに、このエレベータ操作盤401は、操作盤設置構造物407の上端部407cが鉛直方向に対して予め設定された所定高さに位置することから、この操作盤設置構造物407が利用者に対して与える圧迫感を抑制することができる。
【0051】
以上で説明した実施形態に係るエレベータ操作盤401は、利用者が操作盤設置構造物407の周囲の多方向から操作盤本体8を操作することができることから、簡易な構成で操作性を向上させることができる。
【0052】
なお、上述した実施形態に係るエレベータ操作盤は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るエレベータ操作盤は、以上で説明した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0053】
以上の説明では、突起部は、操作盤設置構造物の下端部に設けられ、係合部は、かご床に設けられるものとして説明したが、これに限らず、突起部がかご床に設けられ、係合部が操作盤設置構造物の下端部に設けられてもよい。また、操作盤設置構造物は、上端部又はかご床の一方に設けられる突起部と上端部又は前記かご床の他方に設けられる係合部とが係合して位置決めされ、下端部が締結部材によって天井に締結される構成であってもよい。
【0054】
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータ操作盤によれば、操作性を向上することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
1、201、301、401 エレベータ操作盤
2 エレベータ
3 乗りかご
7、207、407 操作盤設置構造物
7a、207a、407a 外面
7b、207b、407b 下端部
7c、207c、407c 上端部
8、208、308 操作盤本体
9 側板
10 床
11 天井
12 袖壁
13 突起部
14 係合部
15 締結部材
16 締結穴
17 防振部材
18、218 タッチパネル
19 操作領域
321 芯ズレボタン
322 外郭部(可動部材)
323 中心部
324 バネ
325 接点部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される柱状の操作盤設置構造物と、
前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である操作盤本体とを備えることを特徴とする、
エレベータ操作盤。
【請求項2】
前記操作盤本体は、前記操作盤設置構造物の全周にわたって設けられるタッチパネルを含んで構成される、
請求項1に記載のエレベータ操作盤。
【請求項3】
前記操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材を有し、前記可動部材の相対移動に伴って操作を受け付ける、
請求項1に記載のエレベータ操作盤。
【請求項4】
前記操作盤設置構造物は、下端部又は前記かご床の一方に設けられる突起部と前記下端部又は前記かご床の他方に設けられる係合部とが係合して位置決めされ、上端部が締結部材によって前記天井に締結されると共に、前記下端部と前記かご床との間に防振部材が設けられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ操作盤。
【請求項5】
前記操作盤設置構造物は、下端部が前記かご床に固定され、上端部が鉛直方向に対して予め設定された高さに位置する
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ操作盤。
【請求項1】
側板とかご床と天井とを含んで構成されるエレベータの乗りかご内に設けられ、前記かご床あるいは前記天井の前記側板から離れた設置位置に設置される柱状の操作盤設置構造物と、
前記操作盤設置構造物に設けられ水平方向に沿って当該操作盤設置構造物の全周から操作を受け付け可能である操作盤本体とを備えることを特徴とする、
エレベータ操作盤。
【請求項2】
前記操作盤本体は、前記操作盤設置構造物の全周にわたって設けられるタッチパネルを含んで構成される、
請求項1に記載のエレベータ操作盤。
【請求項3】
前記操作盤本体は、前記操作盤設置構造物に対して水平方向に沿って相対移動可能な可動部材を有し、前記可動部材の相対移動に伴って操作を受け付ける、
請求項1に記載のエレベータ操作盤。
【請求項4】
前記操作盤設置構造物は、下端部又は前記かご床の一方に設けられる突起部と前記下端部又は前記かご床の他方に設けられる係合部とが係合して位置決めされ、上端部が締結部材によって前記天井に締結されると共に、前記下端部と前記かご床との間に防振部材が設けられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ操作盤。
【請求項5】
前記操作盤設置構造物は、下端部が前記かご床に固定され、上端部が鉛直方向に対して予め設定された高さに位置する
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエレベータ操作盤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−49547(P2013−49547A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189306(P2011−189306)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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