説明

エレベータ用インジケータ及びエレベータ

【課題】レンズをボックスに取り付ける際の調整作業を容易にし組立作業性に優れたエレベータ用インジケータを提供する。
【解決手段】エレベータ乗り場における三方枠の幕板或いは乗りかご内に設置され、乗りかごの位置及び運転方向を表示するエレベータ用インジケータにおいて、乗りかごの運転状況を表示する表示器と、表示器を収納するボックスと、ボックスに固定され、インジケータの意匠面として表示器を覆うレンズとを備え、ボックスには、レンズを挟んで固定するためのツメとレンズ押さえとを有するロック機構が設けられ、レンズがロック機構によりボックスに固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗りかごの位置及び運転方向等を利用客に知らせるインジケータ及びそれを備えたエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗り場には、エレベータの乗りかご位置及び運転方向等の運行状況を知らせるインジケータが設置されている。
【0003】
図8は、乗りかごが停止するエレベータ乗り場を示す正面図である。図8に示すように、エレベータ乗り場では、乗りかごの出入り口に乗降するための出入り口に、乗りかごの停止時に開閉可能な出入り口戸2が設けられている。出入り口の左右及び上方には、出入り口3の左右に設けられる縦枠3b,3cと、上方に設けられる幕板3aとからなる三方枠3が設けられている。幕板にはインジケータ5が設置され、インジケータ5にエレベータの運行状況を表示させることで、エレベータサービスの利便性を高めている。なお、図中、符号4は、乗り場壁1に設けられた乗り場ボタンである。
【0004】
従来のインジケータは、図9及び図10に示すように、レンズ60、表示器70及びボックス80を備え、組立作業を簡素化させるためにレンズ60と表示器70を一体構造とし、一体のレンズ60及び表示器70をテープ90でボックス80に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−159773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のエレベータ用インジケータは、組立時にレンズ60とボックス80の中心を合わせるための調整作業が必須である。また、レンズ60と表示器70を一体構造とするための部品や、レンズ60にテープ90を貼付するためのスペースを確保する必要があるため、組立作業性に優れていなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、レンズをボックスに取り付ける際の調整作業を容易にし、組立作業性に優れたエレベータ用インジケータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく本発明に係るエレベータ用インジケータは、エレベータ乗り場における三方枠の幕板或いは乗りかご内に設置され、乗りかごの位置及び運転方向を表示するエレベータ用インジケータにおいて、前記乗りかごの運転状況を表示する表示器と、該表示器を収納するボックスと、該ボックスに固定され、インジケータの意匠面として前記表示器を覆うレンズとを備え、前記ボックスには、前記レンズを挟んで固定するためのツメとレンズ押さえとを有するロック機構が設けられ、前記レンズが前記ロック機構によりボックスに固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係るエレベータは、上記のインジケータを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズとボックスの位置調整が容易に行え、組立作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るエレベータ用インジケータの一実施形態の構成を示す正面図である。
【図2】図1の2A−2A線矢視図である。
【図3】図1の3A−3A線断面図である。
【図4】図1の4A−4A線断面図である。
【図5】図1のレンズ固定片の側面を示す側面図である。
【図6】エレベータの全体構成を示す概略図である。
【図7】乗りかご内に設けられるインジケータの設置例を示す正面図である。
【図8】エレベータ乗り場の構成を示す正面図である。
【図9】従来のエレベータ用インジケータの構成を示す正面図である。
【図10】図9の10A−10A線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、本実施形態のインジケータが設けられるエレベータについて説明する。図6は、エレベータの構成を示す概略図である。図6に示すように、エレベータ20は、昇降路21内を昇降移動する乗りかご22とつり合いおもり23とを備える。乗りかご22とつり合いおもり23は、機械室(図示せず)或いは昇降路21内に配置されたシーブ(巻上機)24及びプーリ25と主ロープ26によりつるべ式に懸垂され、シーブ24が発生させるトルクを主ロープ26に摩擦伝達させることにより昇降する。
【0014】
各フロアのエレベータ乗り場27には、インジケータが設置され、乗りかご22が停止している階数、矢印等で示される乗りかご22の移動方向、満員や停止中の状況等、乗りかごの運行状況が表示される。本実施形態のインジケータが設置されるエレベータ乗り場については、図6と同様であるためその説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態のインジケータの構成を示す正面図である。図2は図1の2A−2A線矢視図、図3は図1の3A−3A線断面図、図4は図1の4A−4A線断面図である。なお、インジケータの構成の説明において、横型のインジケータをエレベータ乗り場に設置した際、上下左右となる方向をそれぞれ上下方向(図中、Y方向)、左右方向(図中、X方向)と定義する。
【0016】
図1〜図4に示すように、本実施形態のインジケータは、エレベータの運転状況を表示する表示器7と、表示器7を収納するボックス8と、インジケータの意匠面として表示器7を覆い光透過性を有する板材(例えば、アクリル板)で形成されたレンズ6とを備える。
【0017】
図3及び図4に示すように、表示器7はボックス8内に収納され、固定用ボルト11で締結固定されている。
【0018】
ボックス8の表側には、レンズ6がロック機構により固定されている。ロック機構は、ボックス8の内壁に設けられ、レンズ6を裏側から押さえるレンズ押さえ8cと、ボックス8の表面側の縁に設けられ、レンズ6を表側から押さえるツメ8a,8bと、2つのレンズ固定片9とで構成される。
【0019】
ツメ8a,8bは、ボックス8の縁に形成した突起を折り曲げてなるものであり、ボックス8の上側に設けられる上部ツメ8aと、ボックス8の下側に設けられる下部ツメ8bとからなる。本実施例では上部ツメ8aがレンズ6の上部中央付近に1つ設けられていると共に、下部ツメ8bがレンズ6の下部の左右端部付近に1つずつ、2つ設けられている。なお、上部ツメ及び下部ツメの数はこの形態に限るものではない。レンズ押さえ8cとツメ8a,8bとの間に挟持固定されるレンズ6の周縁部は、レンズ本体部(中央の主部分)6dより一段薄い段付部6a,6bに形成されている。また、レンズ6の下側の段付部6bには、レンズ6をレンズ押さえ8c上に設置しやすいように、下部ツメ部8bに対応する位置に切欠き部6cが形成されている。
【0020】
レンズ固定片9は、正面から見てレンズ6の右上の角及び左上の角に当接するL字形状をなしている。図5はレンズ固定片9の側面を示す側面図である。図5に示すように、そのL字形状部分は、レンズ6の段付部6a上に位置しレンズ本体部6cの角に当接する。レンズ固定片9はボックス8の底に固定用ボルト12で締結固定されている。2つのレンズ固定片9は、レンズ6の角に当接することにより、レンズ6の左右上3方向の挙動を抑制する。
【0021】
本実施形態のインジケータの組立手順について説明する。
【0022】
まず、表示器7を固定用ボルト11にてボックス8へ固定する。固定用ボルト11の締結位置は予め設計されているので、表示器7とボックス8の位置調整が不要となる。
【0023】
表示器7を取り付けた後、レンズ6上側の段付部6aを上部ツメ8aとレンズ抑え8cの間に引っ掛け、レンズ6をボックス8と水平となるように倒してレンズ押さえ8c上に載置し、レンズ6を載置したところで下方向へスライドさせ、レンズ本体部6aの縁を下部ツメ8bの端面に押し当てた状態とする。これにより、レンズ6とボックス8の上下方向については位置調整され、レンズ6はレンズ押さえ8cとツメ8a,8bとで挟持された状態となる。この際、レンズ6の段付部6bには、切欠き部6cが形成されているので、下部ツメ8bとの干渉を回避しスムーズに作業を行うことができる。
【0024】
レンズ6を下部ツメ8bに押し当てた状態で、レンズ6の左上及び右上にレンズ固定片9を宛がい、レンズ固定片9をボックス8に固定用ボルト12で締結する。
【0025】
これにより、レンズ6を上部ツメ8a、下部ツメ8b及びレンズ固定片9と、レンズ押さえとで挟み、レンズ6の挙動を抑制することができる。また、レンズ6の左右方向の固定は、2つのレンズ固定片9により固定され、レンズ6の上下方向は、レンズ固定片9と下部ツメ8bとで固定される。従って、ツメ8a,8b、レンズ押さえ8c及びレンズ固定片9からなるロック機構により、強固に(上下左右前後3方向に)ボックス8にレンズ6を固定しているので、インジケータの幕板3aへの設置作業中にレンズ6の落下等を防止できる。また、ロック機構を構成するレンズ固定片9は、レンズ6の角に当接するL字形状とすることで、レンズ6の上左右3方向の挙動を抑える部品として作用し、他の固定部品が不要となるため、部品点数の低減を図ることができる。また、ロック機構は、レンズ6をボックス8の表面にスライド挿入し、固定用ボルト12でレンズ固定片9を締結するだけで、位置調整されてレンズを固定することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0026】
なお、本実施例では上部ツメ8aがレンズ6の上部中央付近に1つ設けられていると共に、下部ツメ8bがレンズ6下部の左右端部付近に1つずつ設けられている構成のため、レンズ固定片9でレンズ6を固定する前でも、安定保持された状態を維持できるので、レンズ固定片9を取付ける作業も容易に行いやすくなる上、レンズ固定片9をレンズ6の上部の左右端部付近に1つずつ取付けることでしっかりとレンズ6を固定することができる構成となっている。
【0027】
以上、本実施形態のエレベータ用インジケータによれば、レンズ6とボックス8の位置調整を容易に行え、組立作業性を向上させることができる。
【0028】
また、上述の例では、インジケータがエレベータ乗り場に設置される場合について説明したが、本発明に係るエレベータ用インジケータは、乗りかご22内に設置されるインジケータにも適用することができる。図7に示すように、インジケータ13は、例えば、乗りかご22の天枠14に取り付けられる。図中、符号15は、前側板16に取り付けられたかご内操作盤である。
【符号の説明】
【0029】
6:レンズ
6c:切欠き部
7:表示器
8:ボックス
8a:上部ツメ
8b:下部ツメ
9:レンズ固定片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗り場における三方枠の幕板或いは乗りかご内に設置され、乗りかごの位置及び運転方向を表示するエレベータ用インジケータにおいて、
前記乗りかごの運転状況を表示する表示器と、該表示器を収納するボックスと、該ボックスに固定され、インジケータの意匠面として前記表示器を覆うレンズとを備え、前記ボックスには、前記レンズを挟んで固定するためのツメとレンズ押さえとを有するロック機構が設けられ、前記レンズが前記ロック機構によりボックスに固定されていることを特徴とするエレベータ用インジケータ。
【請求項2】
請求項1記載のエレベータ用インジケータにおいて、前記ロック機構は、前記レンズのインジケータ横方向の両側に位置し前記レンズを位置決めして固定するレンズ固定片を更に有し、インジケータの左右方向が前記レンズ固定片で固定され、インジケータの上下方向が前記レンズ固定片と前記下部ツメとで固定され、インジケータの奥行方向が前記レンズ押さえと、上部ツメ、下部ツメ及び前記レンズ固定片との間で挟持固定されることを特徴とするエレベータ用インジケータ。
【請求項3】
請求項2記載のエレベータ用インジケータにおいて、前記レンズ固定片は、前記レンズの角に当接するL字形状をなし、前記レンズの上部左右の2点のみを固定することで前記レンズの左右上3方向の挙動を抑制することを特徴をとするエレベータ用インジケータ。
【請求項4】
昇降路内を昇降移動する乗りかごを有し、前記乗りかごへ乗降するエレベータ乗り場及び前記乗りかご内部の少なくとも一方にエレベータの運行状況を表示するインジケータが設けられたエレベータにおいて、
前記インジケータは、請求項1乃至3のいずれか1項記載のエレベータ用インジケータであることを特徴とするエレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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