説明

エレベータ用防水型押ボタンスイッチ

【課題】
防水機能を備えたエレベータ用の押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】
透明なボタントップを有し内部に扁平なダイヤ板4と文字板5を内蔵する押ボタン取付台7に載置された押ボタン部Aと、その下面に配置されたランプベース14を内蔵した接点部本体9を備えるスイッチ部Bとからなる押ボタンスイッチであって、押ボタン部Aと接点部本体9との間に透明なシリコン製透かし板11を密着して介在した。該透かし板は接点部本体9内の段部9aに差し渡し状に介装され、段部の内壁9bとその外周囲が密着し、その上面に押さえ枠板12が積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの利用者による操作入力を受けるエレベータ用押ボタンスイッチに係わり、スイッチ部を構成するランプベースの内部に水の侵入を防止する防水型押ボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
大型船舶に設置されたエレベータや駅などの屋外に設置されたエレベータ、或いは屋内のエレベータでも貨物用や厨房用などでは絶えず押ボタンスイッチが水の侵入の危険にさらされるため、防水構造が望まれる。
一般に、押ボタンスイッチは表面パネルの取付孔から押ボタン部を露出させた状態で使用されている。そこで、エレベータ内の清掃時や屋外のエレベータなどでは荒天時には押ボタンと押ボタンのカバー部との間から水が浸入するおそれがあり、水の侵入によりスイッチの接点が接触不良となったり、照光用の光源がショートしたりする不具合がある。
【0003】
そこで、エレベータ用の押ボタンスイッチで、水や塵芥がボタン内部のスイッチ部に浸入するのを防ぐため例えば、特許文献1の特開2006−331813号公報に示される、環状のシール部材を介在したものがある。また、特許文献2の特開平10−149735号公報に示される、キースイッチの下部にゴム製の防塵兼緩衝材を嵌め、更にスイッチ取付板の上面に板状の防塵兼緩衝材を介在したものが見受けられる。
【0004】
しかし、特許文献1に見られるシール部材を介在する場合、シール部材自体に更に防水性を持たせなければならず、可動シール部と固定シール部とで部材の厚みを変えるなどシール部材自体が複雑で高価なものとなっている。更に、特許文献1や2に見られる手段では、屋外等に設置されるエレベータでは押ボタンスイッチ内のシール材が気温や天候等の影響で劣化しやすく防水性が維持しにくい上、長期の安定した使用は期待できず、メンテナンスに手間を要するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−331813号公報
【特許文献2】特開平10−149735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は押ボタンスイッチの構造を大きく変えることなく簡単な構成で防水性を維持でき、しかも長期使用に耐え得るエレベータ用の防水型押ボタンスイッチを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は透明なボタントップを有し扁平なダイヤ板と文字板を内蔵する押ボタン取付台に載置された押ボタン部と、その下面に配置されたランプベースを内蔵した接点部本体を備えるスイッチ部とからなる押ボタンスイッチであって、押ボタン部と接点部との間に透明なシリコン製透かし板を密着して介装したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記透かし板は接点部本体内の段部に差し渡し状に介装され、段部の内壁にその外周囲が密着し、その上面に押さえ枠板を積層したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、透かし板はシリコン製の透明板であり、接点部本体内部と密着し、内部基盤のランプベースに水が浸入するのを防止するパッキンの機能を果たし、且つこの透かし板はランプベースに取付けたLEDの光を透過しボタントップを照光する。さらに、該透かし板は柔軟性のあるシリコン製であるため押ボタンの押圧力を受けた際、接点部本体内のスイッチ押え板を面の状態で押し下げるため、スイッチの円滑な作動に良好に寄与することができる。更に、本発明では押ボタン部とスイッチ部を分離することができ、ボタン部の汚れや毀損などの際にはボタン部のみ交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の押ボタンスイッチを示す断面面である。
【図2】押ボタン部の部品構成を示す分解斜視図である。
【図3】スイッチ部の部品構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態の防水型押ボタンスイッチ(以下、単に「押ボタンスイッチ」という。)の構成の縦断面を示しており、1は表面プレート2に取付けられた押ボタンスイッチを示し、該押ボタンスイッチ1は、全体を大別し、押ボタン部Aとスイッチ部Bよりなる。押ボタン部Aは、表面プレート2面に露出するボタントップ31を有する透明な材料からなる押ボタン3が、支持枠体30の内部に扁平で透明なダイヤ板4と文字板5とを積層し、基部32が取付枠台6を介在して押ボタン取付台7に支持されている。8は押ボタン3のカバー部材である。
【0012】
前記押ボタン部Aの下面にはスイッチ部Bが連結され、全体として押ボタンスイッチ1を構成している。押ボタン部Aの取付枠台6の下面には接点部本体9が取り付けられる。該接点部本体9は、上面に透明な連結ボタン10が載置され、透明なシリコン製の透かし板11が押え枠板12により接点部本体9の内部の段部9aに密着して介装され、透かし板11の外周囲は段部9aの内壁9bに密接して設けられている。このシリコン製の透かし板11は押ボタン部Aから外部の水等がスイッチ部Bに浸入するのを防止している。
【0013】
また、前記シリコン製の透かし板11に接して接点部本体9内には透明なスイッチ押え板13が介装され、該スイッチ押え板13の底面13aがランプベース14に接触するようスプリング15を介装して収納されている。該ランプベース14は、接点部本体9内の底部に照明用のLED16を取り付けた内部基盤17を備えている。
【0014】
また、押ボタン部Aとスイッチ部Bの間には戻し用のスプリング18が介装されている。即ち、接点部本体9の段部9aには複数のスプリング18が介装され、押ボタン3を押圧力に抗して戻す方向に付勢している。
【0015】
次に、本発明の押ボタンスイッチの作動を説明する。
エレベータ利用者が押ボタン3のボタントップ31を押すと、押ボタン取付台7に支持された押ボタン基部32によりスプリング18の弾発に抗して押ボタン3内に収納された連結ボタン10が下降し、その底面中央に形成された凸面10aがスイッチ部Bを構成する接点部本体9に差し渡されている透かし板11面を押圧する。
【0016】
透かし板11が押圧されると下面に収納されているスイッチ押え板13が押されて下降し、その底面13aがランプベース14内の内部基盤17のスイッチ回路(図示略)に接し、光源LED16を発光させる。
【0017】
LED16の発光は、透明なスイッチ押え板13、透明な透かし板11、更に透明な連結ボタン10を透して透明な押ボタン3に達し、ボタントップ31を照光させる。即ち、LED16の発光は、押ボタン3内部にあって文字板5を介し透明なダイヤ板4を透過してボタントップ31に至る。
【0018】
尚、押ボタン3の押圧を解くと、前記の作動と逆にスプリング18の弾発にて押ボタン部Aが戻り動し、押ボタン部Aとスイッチ部Bの接点部本体9とが離開し、ランプベース14内の内部基盤17での通電が解除され、LEDの発光が終了する。
【0019】
本発明にあっては、接点部本体内9の段部9aに透明なシリコン製の透かし板11を差し渡してその周囲を段部9aの内壁9bに密着させ、その上に押え枠板12を積層したことにより、この透かし板11は外部からの水の浸入に対しパッキンの作用をし、ランプベース内への水の浸入を防いでいる。
【0020】
また、透かし板11はシリコン材料にて形成されるため柔軟性を維持しており、押ボタン3が押されたとき下降する連結ボタン10の中央にある凸面10aに押し圧された際、押し圧力を均等に分散し、下面のスイッチ押え板13に面接触の状態で伝達できることでスイッチの円滑な作動を得る。
【0021】
尚、透かし板11は透明なシリコン製であるため、ランプベース14内のLEDの発光を透過し得、透光部材であると共に防水部材の機能を果たす。
【0022】
本発明では、押ボタンスイッチを構成する押ボタン部Aとランプベースを内蔵したスイッチ部が分離できる構成であるため、押ボタン部が毀損したり汚れた場合にはスイッチ部はそのままで押ボタン部のみ交換することができ、ユーザーのコスト負担の軽減に寄与できる。
【符号の説明】
【0023】
1 押ボタンスイッチ
2 表面プレート
3 押ボタン
31 ボタントップ
32 基部
4 ダイヤ板
5 文字板
6 取付枠台
7 押ボタン取付台
8 カバー部材
9 接点部本体
9a 段部
9b 内壁
10 連結ボタン
11 透かし板
12 押え枠板
13 スイッチ押え板
14 ランプベース
15、18 スプリング
16 LED
17 内部基盤
A 押ボタン部
B スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なボタントップを有し内部に扁平なダイヤ板と文字板を内蔵する押ボタン取付台に載置された押ボタン部と、その下面に配置されたランプベースを内蔵した接点部本体を備えるスイッチ部とからなる押ボタンスイッチであって、押ボタン部と接点部本体との間に透明なシリコン製透かし板を密着して介在したことを特徴とするエレベータ用防水型押ボタンスイッチ。
【請求項2】
前記透かし板は、接点部本体内の段部に差し渡し状に介装され、段部の内壁にその外周囲が密着し、その上面に押さえ枠板が積層されている請求項1に記載のエレベータ用防水型押ボタンスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−175883(P2011−175883A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39680(P2010−39680)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(592136598)株式会社オリエンタル工芸社 (1)
【Fターム(参考)】